第12話 いままでの悪魔の仕事ってなんだったんだ!?
<エイジ>
レイナーレが俺のメイドとなって働き始めて一週間ほどが経った。
メイド初日に俺を起こしに来たとき、きちんとメイド服を着ていたのを褒めたら、ほんのり顔を赤らめて目を逸らしたのはかわいらしかったな。
家事も問題なくこなせているし、悪魔の仕事でいないときや冥界で賞金稼ぎをしている間、レイナーレに家を任せられるなと喜んだ。
そして、いつものように悪魔の仕事を終え自宅に帰ると、レイナーレが下着一枚でスタンバイしていて襲い掛かってきたのはすごく驚いた。
正直、いずれは身も心も捧げてくれると嬉しいな~、と思っていたが、こんなに早く捧げられるとは思ってなかった。
セックスしてもいいか確認すると、無言で体を擦り付けてきたから、俺はレイナーレを押し倒し、犯した。
レイナーレは従順で献身的に求めてきて、しかも、心の底から悦んでいるのが目で見れた。
挿入すると少し痛がり視線を落すと血が出でいた。黒歌の言った通り処女だった。
ていうか、あのエロ猫一目見ただけで処女か非処女か見分けられるスキルを持っているし、性技もすごいし、SにもMにもなれる万年発情猫だからな。俺も童貞刈られたし。
レイナーレに一度中出ししたあと、いきなりベッドに登ってきてレイナーレのアナルを弄って、2回戦に突入して、朝まで三人でやりまくるはめになるとは思わなかった。
しかも、寝坊して学園サボっちゃったし……。
はぁ~、今日は部活休みだからいいけど、部活あるときに休んだらいい訳が面倒だなぁ。
それに、悪魔の仕事の顧客の数が増えすぎてさばききれない……。
1日に10人近く……、しかも朝までの間とかハードすぎる。
イッセーは1日1人か、アーシアとチラシ配りするだけで終わるのに……。
いや、まあ、セックスは好きだからやるのは好きだけど。どうせやるなら客と店員との間を抜きにしてやりたい。相手を満足させることを第一にするのは結構気を使うからな。
はぁ~、とりあえず今日は、メイド服のままのレイナーレと着物を着せたままの黒歌と着衣プレイで癒してもらうか。
レイナーレが風呂で背中を流してくれるらしいし、今日は一日疲れを落そう……。
◆
黒歌とレイナーレに朝方まで癒してもらったので、鍛錬と朝食作りとしたあと、朝刊を取りに家の門に出ると、金髪のシスター、アーシアがいた。
「おはようございます。エイジさん」
丁寧に腰を折って朝の挨拶を行なう、アーシアさん。
「あれ? なんでここにいるんだ?」
疑問に思っていると、アーシアが応えてくれた。
「今日からイッセーさんのお家でお世話になることになったんです」
…………え?
アーシアがイッセーの家で世話になる?
一緒に住むのか?
アーシアが?
兵藤家の夫妻はおじさんのほうは少しスケベだけど、きちんとした人格者だが、イッセーがなぁ……。
正直、あの変態との同居はあまりお勧めしないが……。
「なので、お隣さんにご挨拶に着たんです」
「そうなんだ。それじゃあ、これからよろしくな」
「はい。よろしくおねがいします」
天使のような笑顔を向けてくれるアーシア。まあ、正体は悪魔だけど……。
クソっ! もしもイッセーが無理やりアーシアを手篭めにしようとしたら殺してやる!
「あの、これからイッセーさんと部長さんがトレーニングしている公園に行くんですけど、エイジさんも行きませんか?」
上目使いで聞いてくるアーシア。う~ん、反則だな。
「わかった。俺も行くよ」
2つ返事で了承し、まだ家で眠っている2人に言ってから、アーシアと一緒に公園へと向かう。
◆
公園に着くと、地面に横たわった屍、もといイッセーとジャージ姿の部長が居た。
「アーシア、エイジ、どうしてここに?」
イッセーがよろよろと起き上がり尋ねてきた。
アーシアがほんの少しだけ頬を染めて応える。
「毎朝、イッセーさんがここで部長さんとトレーニングをしていると……、その、私もイッセーさんのお力になりたいなーって。今日はお茶ぐらいしか用意できませんでしたけど」
「うぅぅ、アーシア! 俺はアーシアの心意気に感動した! ああ、可愛い子にそんなことを言われるときが俺に訪れようとは!」
アーシアから預かったお茶を俺の手から渡そうかと思ったが、涙を流して感動しているのイッセーが可哀想になり、アーシアを経由してからイッセーに渡した。
「俺はアーシアに連れてこられたんだ」
とりあえず、イッセーはアーシアに任せて、部長にお茶を差し出した。
「どうぞ、部長」
「ありがとう、エイジ。でも、昨日は学園休んだらしいじゃないの。やっぱり仕事の量を減らした方がいいのかしら?」
お茶を飲みながらつぶやく部長。
「そうしてくれれば助かります。このままでは体がもたないので」
「そう。考えておくわ。あと、堕天使のことなんだけれど……」
真剣な表情で部長が訊いてきた。
「ああ。それなら心配ないです。きちんとメイドとして家で働いてくれてますし、アーシアや他の悪魔にも手を出させないことも約束させました。彼女も他にもう行くあてはないので、俺のところでメイドをして働くそうです」
「そう、それならいいわ」
一息吐くと部長は遠くを見るような、悩んでいるような表情になった。
「どうかされたんですか?」
「いえ……、なんでもないわ」
そう言って、手を軽く振りながらイッセーとアーシアの元へと近づいた。
「じゃあ、アーシア、イッセーの家に行きましょうか。あと、エイジも来なさいよ」
部長、俺はオマケですか?
◆
公園から十数分後にイッセーの家の前にやって来た俺は、イッセーの家の前に積まれた段ボール箱を発見した。
「さあ、イッセー、エイジ。このダンボールを部屋に運んであげなさい」
ああ、アーシアの荷物か。
とりあえず、手近の荷物を持上げ玄関のほうで待つ。
「へ? 運ぶ? 俺の家に!?」
「そうよ。これはアーシアの荷物ですもの。運んであげるのが紳士的だとは思わない? 実際、エイジはもうダンボールを運んでいるわよ」
「これ、アーシアの荷物っ!?」
「そうよ今日からアーシアはあなたの家に住むの」
そこでやっと状況を理解したイッセー。とりあえず、今日も学校があるから驚くのはあとにして欲しい。
それから、イッセーの家にアーシアの荷物を運び終えた俺は、何故かイッセー家の家族会議に参加させられた。
ちなみに椅子がないので部長の後ろに立っています。
しかし、さすがは部長。部長の持つ威風でイッセーの両親は縮こまっている。
「お父さま、お母さま、そういう事情でこのアーシア・アルジェントのホームスティをお許しください」
部長が優雅に朗らかに無茶な要求を突きつけた。イッセーの両親はアーシアとイッセーを交互に見つめて仲良く耳打ちしあっていた。
はい。わかります。性欲の権化であるイッセーがアーシアを襲わないか心配なんですよね。俺も心配です。
イッセーの父さんがゴホンと一つ咳払いをした後、アーシアへ質問した。
「アーシア……さんでいいのかな?」
「はい、イッセーさんのお父さま」
緊張の面持ちでアーシアが応える。
「お、お父さま……。くぅ……きれいな外国人さんに立て続けに『お父さま』なんて言われると、その、なんていうか、響くね……いい意味で」
なにやら感無量になっているイッセーの父さん。うん。あなたはやはりイッセーの父親だ。それより、なんでイッセーまでニヤケているんだ?
「お父さん!」
イッセーの母さんが父さんを小突く。ハッと父さんとイッセーが我にかえった。
「ゴ、ゴホン! ホームスティするにしても我が家には性欲の権化ともいえるバカ息子がいる。残念だけど、うちよりも同じ女の子がいるお宅のほうがいいんじゃないかな。なにかあった後じゃ、申し訳が立たない」
そうだよな。イッセーの家にアーシアを住まわせるなんて、猛獣の檻に肉を入れるもんだ。
「そうだ。エイジ君のところはどうだい?」
え?
「そうね。エイジくんの家は隣だし、それにエイジくんなら家のバカ息子と違って紳士だし!」
イッセーの両親が、2人そろって俺を勧めてきた。
「なっ!? エイジ! お前の家は近所だって言ってたのに隣だったのかよ! ていうか、なんで俺よりも両親の信頼を得ている!?」
家が隣であることをずっと教えていなかったイッセーが騒ぎ出す。
ここは正直に言うしかないと告白しよう。
「まあ、落ち着けイッセー。実際、俺の家は隣で、ご近所付き合いもしていたし、地区の清掃活動なんかにも参加していたんだぞ。それに、1年も住んでいて、俺はお前が、俺が隣に住んでいるという事実を知らないことに驚いている」
これは半分嘘だ。俺の家は認識遮断と俺の知らない者への侵入防止の結界で厳重に守っているために一般人も気づきにくいのだ。
最近は、グレモリー眷属の面々には結界の力が働かないようにし、アーシアも知っていたから、てっきり、イッセーも知っているものだと思っていた。
まあ、知ったところでイッセーを俺の家に入れることは出来ないだろうな、メイドになったレイナーレもいるし、エロ猫の黒歌も住んでいるから、イッセーなんか連れて行ったら、下着泥をしたりや鼻血とか噴いて床が汚れそうだ。
「父さんも母さんも知ってたんならなんで教えてくれなかったんだよ!」
イッセーが涙目で両親に詰め寄るが、2人は気にした様子もなく応えた。
「エイジくんは今どき珍しい好青年なんだぞ。お前に触発されて変態になったらどうするんだ」
「そうよ。イッセーと同じように変態になったらどうするのよ」
「………………」
無言で膝をつく、イッセー。まあ、自業自得だが、ここまで信用がない姿を見るのは可哀想だ。
「えっと、俺の家は基本一人暮らしですし、家にいない時間が多いですから、
レイナーレがアーシアを殺そうとしたのは最近だし、それに、性欲の権化のイッセーよりもある意味危険な、万年発情猫がいますので無理です。きっとアーシアがエロくされちゃうから……。いや、それはそれでみてみたい気はするけど。
「おお、そうだったね。キミは1人暮らしでバイトをしていたんだったね」
イッセーの父さんがすまなさそうに頭を下げた。
「では、このアーシアが娘になるとしたらどうですか?」
話を長引かせないためか、強引に話を戻して部長が笑顔で話し始める。
「どういうことかな?」
「お父さま、アーシアはイッセーのことを信頼しています。それは深く。私も同様ですわ。イッセーは直情型でやや思考が足りない部分もありますけど、愚かではありません。むしろ、向かってくる困難を切り開こうと前へ前へ突き進んでいける熱いものを内に秘めています。私もアーシアもイッセーのそのようなところに惹かれてますわ。とくにアーシアは。ねぇ? アーシア」
「は、はい! イッセーさんは私を命がけで助けてくれましたし、学校でもたくさん助けてもらっています。授業のときも―――」
と、アーシアが満面の笑みでイッセーに助けてもらっている日々を嬉々として話し始めた。
少々過大評価しすぎのようだけど。満面の笑みで話すアーシアに口を挟むわけにはいかないと口は挟まなかった。
イッセーが褒められていることに笑顔を浮かべて喜んでいる2人に、部長がさらにダメ押しをする。
「今回のホームスティは花嫁修業も兼ねて――――というのはどうでしょうか?」
すると両親だけでなくイッセーまで驚き素っ頓狂な声をあげた。…・・・うん。アーシアは分かってないみたいだ。
ぶはっ。
イッセーの父親から目から大量の涙が流れ出す。涙を拭いながら、口を開いた。
「……イッセーがこんなのだから、父さんは一生孫の顔なんて見れないと思っていた。老後も一人身のおまえを心配しながら暮らさないといけないと悲嘆にもくれたよ……」
突然、語りだした内容に俺まで涙腺をやられそうだ。
イッセーの母親も隣でハンカチで目元を拭い涙を流してバカ息子のイッセーのことを話した。
ていうか、イッセーの母さん! クローゼットの中のプラモデルの箱の中に隠したエッチなDVDの隠し場所なんて公開しないであげて! 同世代の女の子の前でばらされたイッセー涙目だよ!
「アーシアさん! こんなダメな息子だけど、よろしくお願いできるかい?」
「そんな……、イッセーさんはダメな方なんかじゃありません。とても素敵な方ですよ」
アーシアは、イッセーの父さんの問いかけの真意に気づいておらずに、ニッコリと微笑んだ。
それを見てイッセーの母さんが嗚咽を漏す。
ドラマみたいな展開だけど、なんていうか、どれだけイッセーの未来を心配していたんだろう?
「リアスさん! アーシア・アルジェントさんは我が家でお預かりしますよ!」
快諾を聞き、部長も微笑む。
「ありがとうございます。お父さま。というわけでイッセー。これからアーシアをよろしくお願いね。アーシア、これからイッセーのお家で厄介になるのよ。失礼のないように。イッセーの親御さんと仲良くしなさい」
交渉成立! アーシアは兵藤家の一員になりました!!
部長の交渉術に敬意を払って、さすが部長! この悪魔の中の悪魔! と、心の中で褒めてあげよう。
◆
アーシアがイッセーの家に暮らし始めて数日後の部室。
今夜も悪魔の仕事に向かい。一旦部室に帰宅した俺だが現在の体調があまり芳しくない。うん。肉体的には全く疲れていないんだけど、ストレス。うん、ストレスがやばいんだ。
毎日毎日、ほとんど寝る間もなく、悪魔の仕事で家々をまわって奉仕する毎日に、現在かなり疲れています。
今夜もあと8人ほど新規で契約があるらしい……。ていうか、マジで気が滅入る。もう数十人と契約しているのに、まだ増えるなんて……。部長は喜んでくれるけど、キツイです。
癒しは、自宅で待っている黒歌とレイナーレ。そして朱乃さんが煎れてくれるお茶とアーシアの笑顔に、契約取ったときに見せてくれる部長の笑顔だけ……。
だけど、今夜から黒歌は魔界に修行へ出かけてしまって不在だし、レイナーレも生理がきていて、生理痛で寝込んでいる。
今夜は1人……。癒しが、欲しいです……。
「エイジさん、だいじょうぶですか?」
イッセーと共にチラシ配りを終えたアーシアがソファーにもたれかかった俺を心配してくれる。
「ああ、大丈夫だよ。体調は悪くないんだ……」
「うおっ! すごい香水の臭いだな」
イッセーが俺の学ランに染み付いた香水を嗅いで騒ぐ。
「夜のデートはどうだった?」
さわやかなスマイルを浮かべた木場が2人に聞くと、イッセーが親指を立てた。
「最高に決まってんだろ」
「……深夜の不順異性交遊」
静かな声で厳しい事を呟く小猫ちゃん。もっと言ってやって!
イッセーとアーシアはそのまま奥へ進み、部長の元へ行き、戻ったことを伝えた。
「それじゃあ、今夜からはアーシアにも悪魔の仕事、契約取りをしてもらいましょうか」
ま、まじかよ。アーシアに出来るのか? って、それ以前にダメだろ! まだ純なアーシアに教えちゃダメだろ!
「イッセー……なに泣いているの? エイジも頭を抱えてどうしたの?」
怪訝な顔でイッセーの顔を覗きこんだ部長。
「部長! ダメです。ダメです!」
イッセーが首を振りながら、涙を流した。
「部長。俺も反対です。アーシアが心配です」
俺も立ち上がって部長の前に立つ。
「部長! アーシア一人じゃ不安ですぅ! アーシアが! アーシアがヘンなヤツにいかがわしい注文をされたら俺は我慢できません!」
泣いて詰め寄るイッセー。いいぞ! もっと言ってやれ!
「イッセー、エイジ。呼び出した悪魔に対しての過度のいやらしい依頼はグレモリー一族の眷属悪魔にはこないわ。そういう注文をしてくる人間もいるけれど、その手の専門悪魔がいるから。そちらが引き受けてくれるわ。私のところは安心なのよ? 悪魔にだって専門職があるの」
………。
「部長、本当ですか? 本当なんですね? でも、俺、メッチャ不安なんですよ!」
納得がいかずに涙を流すイッセー。
……………。
…………………。
「…………………」
「…………どうしたの、エイジ?」
顔を近づけてくる部長。
「……俺のところの依頼って、そういうものばかりなんですけど?」
「え?」
いや、リアス先輩。あなたがよこした仕事でしょう? なにかわいらしい声を漏らしているんですか?
「朱乃、いままでエイジが取ってきた契約書を出して、アンケート用紙もよ。あと、新規の依頼人のことも調べて」
部長が指示を飛ばし、すぐに朱乃さんは書類を持ってきた。
書類はファイルに綴じてあり百枚近くあるだろう。
「どうぞ、部長」
「ありがとう」
朱乃さんから手渡された契約書を読んでいくうちに、部長は驚きの表情になり、顔を真っ赤に染めた。
「こ、これは……」
後ろで書類を覗き込んだ朱乃さんも同様で、顔を赤くしている。
「…………」
「…………」
沈黙を破り、部長と朱乃さんが顔を見合わせて渇いた笑い声を発する。
「あの、部長? どうかしたんですか?」
イッセーが尋ねてくるが部長は無視して書類に目を通しながら笑う。
そして、気まずそうに呟いた。
「……ごめんなさいエイジ」
「ちょ! なに!? どうしたんですか部長!?」
状況をわかっていないイッセーが、頭に大量の疑問符を浮かべる。
「えっと、それじゃあ、今夜の依頼は……」
部長に尋ねると、後ろにいた朱乃さんが部長に書類を渡した。
「リアス、今夜の依頼も同じ系統のもの、というか全てアレですわ。それに、今までエイジさんを指名していた依頼者も全員……」
「…………ほんと?」
「……ええ」
顔を見合わせ、深くため息をついた2人。
部室にいいようもない空気が漂い、耐え切れなくなった俺は頭を下げた。
「なんか、すみません! マジで、なんかすみません!」
俺が悪いんじゃないだろうけど、すみません!
「……いいわ。そんな依頼者の元へ送った私が悪かったんだし。依頼者がどんどん増えていくから、嬉しくてまともに内容確認せずに仕事をさせた、私の責任よ」
「すみません、エイジさん。私もちゃんと確認していれば……」
素直に非を認めて深々と頭を下げて謝罪してくる2人。
「いえ……、いいですよ」
いいから頭を下げるのはやめてください! いたたまれないから!
「イッセー。アーシアに同行してあげなさい。しばらく契約はペアで行ってもらうわ」
「え? はっ、はい! わかりました!」
そう言って手早くイッセーとアーシアを依頼者の元へと飛ばし、俺はソファーに座らされた。
「さてと、改めて謝るわ。ごめんさないね、エイジ。まさか、いかがわしい仕事を要求されてるとは思いもしなかったわ」
部長を気まずそうに視線を背ける。
「俺も初契約からいかがわしいお願いをされて、悪魔の仕事はこんな事までやるんだと勘違いしていました」
「でも毎日10人近い人数の相手をしていて、リピーターが100人近くいるなんて思わなかったわ」
少し呆れ気味つぶやく部長。あの~、視線合わせてくれませんか? あと下半身をチラチラ見ないでください。
「よく死にませんでしたわね」
朱乃さん、それは褒め言葉ですか? 微笑みに変な感情入れてません? 背筋がゾクゾクするんですけど?
「あははは、すごいんだね、エイジくん」
木場は苦笑いを浮かべてる。
「…………」
小猫ちゃん! そんなゴミを見るみたいな目で睨まないで! せめて無言はやめて!
精神的追い込まれた俺。部長はそんな俺の頭を抱き寄せて、撫でてくれた。
「ごめんなさい。これからはしっかり確認するわ」
「……部長」
小猫ちゃんにゴミを見るような目で見つめられた精神ダメージが少しだけ回復した。
◆
部室で部長に優しく慰められ、今夜は自宅で休むように言われたので、家で眠っていると、深夜に侵入者を探知した。
侵入者に対応するために体が勝手に目を覚まさせる。
起き上がってみると、寝室にグレモリー眷属の転移魔法陣が出現し始めた。
ん? 誰だこんな夜中に……?
目を擦って魔法陣を見ると、紅の髪が飛び込んできた。
「あれ? 部長?」
転移してきたのは下着姿の部長だった。
「エイジ、私を抱きなさい」
へ? なんですって?
「私の処女を貰ってちょうだい。至急頼むわ」
…………はい? あれ? 俺まだ寝てるのかな?