※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D 世界を渡る転生者   作:上平 英

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第13話 部長さんとホスト風男

 

<エイジ>

 

 

『私の処女を貰ってちょうだい。至急頼むわ』

 

 深夜。俺の家の寝室に現れた部長はそう言った。

 

 部長は俺のベッド上がり、俺の腹に跨る。

 

 純白の下着が月明かりに照らされて官能的だ。

 

 部長はブラジャーを外して、俺の手を取り、自分の胸を掴ませる。

 

 やわらかて弾力のある、極上のおっぱいだ。

 

 部長は胸を揉ませながらつぶやく。

 

「エイジなら経験豊富だし、私も安心して身を任せられるわ」

 

 え? なにこの状況?

 

 混乱する俺を他所に、部長は1人で盛り上がる。

 

「私は初めてだからいたらないところがあるでしょうけど、あなたならきっといい初体験にさせてくれると信じてる。さあ、早く始めましょう」

 

 早口気味にそう言って、顔を近づけてくる部長。

 

 その表情には陰りがあり、追い詰められているような印象を受ける。

 

 俺はゆっくりと顔を近づけてくる部長を止めるために両肩に手を置く。

 

「ま、待ってください」

 

「なに? 私に恥をかかせるつもり?」

 

 顔を近づけたまま、真剣な表情でこちらを見る部長。

 

 とりあえず俺は部長を腹から降ろして隣に寝かせた。

 

「きゃ! なに? する気に……」

 

 体を強張らせる部長に、普段みせている俺とは違う態度で拒絶する。

 

「断る。そんな顔で処女捧げられても嬉しくない」

 

「っ!」

 

 俺の言葉にショックを受けたように固まる部長。

 

 俺は腕枕をしながら言う。

 

「何があったかは知らないが、俺はそんな顔をした部長から処女を貰いたくないし、それに部長がここで処女を散らすと、必ずあとで後悔すると思うんだ」

 

「…………。……はぁぁ」

 

 無言のあと、深いため息と共に部長の強張っていた肩から力が抜いた。

 

 俺の腕に頭を預けて天井を見上げ、改めて息を吐いた。

 

「悪魔の契約書のアンケートに『処女を捧げてもらった』っていう回答がたくさんあったから。てっきりあなたなら喜んで私の処女も貰ってくれると思ったんだけど……」

 

 呆れたようにつぶやく部長に言う。

 

「俺は、相手が心から処女を捧げたいと望んでいる女にだけにしかしていないよ。まあ、契約で何人も女を抱いているとはいえ、俺は抱く女を心から愛すると決めているんだ」

 

 ふふっ、俺の腕を枕にしたまま部長が微笑んだ。

 

「あなたって、意外と紳士だったのね」

 

 微笑みながら流し目を送ってくる。

 

「『意外』は余計。ここ数日、悩んでいたのは気づいていたが、それが関係あるのか?」

 

「……っ」

 

 俺の問いに口を塞ぎ、気まずそうな表情になる部長。どうやら図星らしいが、

 

「言いたくなかったらいい。とりあえず、明日も学校があるし寝るぞ。あと、家に帰りづらいんだったらここにいてもいい。添い寝ぐらいはしてやるよ」

 

「……じゃあ、お願いするわ」

 

 えっ!? マジか!? 添い寝は冗談だったんだが……。だがここで『冗談です』とは言えないな。

 

「じゃあ、おやすみ」

 

「おやすみなさい。エイジ」

 

 上半身裸の部長とそのまま添い寝することになりました。

 

 ていうか、俺、裸だぞ!? 部長さん気づいてる!?

 

 …………。

 

 隣を見ると、規則正しい寝息を立てている部長さん! 物凄く寝つきがいいらしい! ていうか! 膝が! 太ももが当たってますよ~~!!

 

 ……。

 

 …………。

 

 ………………まあ、部長が気にしないならいいか。

 

 俺も『悪魔の仕事』という連日の肉奉仕から今後解放されるんだし、今夜はもう寝よう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<リアス>

 

 

 隣で寝息を立て始めたエイジを薄目を開けて完全に寝ていることを確認する。

 

 ふふふっ。

 

 自然と笑みがこぼれた。

 

 ここに来たときの、沈んだ気持ちがすっかりなくなっている。

 

 実家からの命令で無理やり結婚させられそうになって、婚約を破綻させるために、そういう方面に長けていて、悪魔の契約でも100人近くの女性と寝ている男だから、てっきり私の処女も貰ってくれると思ったのに。

 

 エイジは、私のために断った。

 

 ただの性欲魔神じゃなかったのね。

 

 少し嬉しかったし、安心した。自分でもこんな方法間違っていると分かっていたから……。

 

 んっ。

 

 エイジが少しだけ寝返りをうった。

 

 やっぱり、すごい体。一グラムの無駄もないみたい。

 

 シーツで隠れていても分かる。

 

 鍛えこまれた筋肉。

 

 そして、学園にいるときの彼と違って、引き込まれそうな不思議な雰囲気。

 

 抱きついてみると、すごく安心した。抱きついて胸に顔を埋めるとすぐに睡魔が襲ってきた。

 

 ……エイジ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リアス! リアス!」

 

 私の名前を呼ぶ声。誰かが私の体を揺すっていた。

 

 目を開けてぼやけた視界で見ると、朱乃が立っていた。まだ日も昇っていないようで薄暗い。

 

「あれ? 朱乃?」

 

「あれ? 朱乃? じゃないわよ。いったいなにをやっているのよ、あなた」

 

 朱乃が怒りの表情で顔を近づけてきた。

 

「え? 私は……」

 

 昨夜の説明をしようとしたら顔が熱くなった。

 

「あ、あなたまさか……っ!?」

 

 朱乃が口に手を当てて大声を出した。

 

 そしてすぐに含みのある笑みをつくってこちらを見つめてきた。

 

 誤解される前に、言わないと!

 

「ちっ、違うわ、朱乃! 私はまだ処女よ!」

 

「でも……、2人ともはだ……」

 

「この子の場合、信じにくいかもしれないかも知れないけど本当よ! この子は私に手を出さなかったわ! 添い寝しただけ! 私は上は着ていないけど下は穿いてるし! この子はここに転移したときから裸だったの!」

 

「……そうなの」

 

 なにを必死になっているんだろう……。私らしくない行動に朱乃も若干引いているわ。

 

「う~ん……」

 

「ちょ!? エイジ!?」

 

 エイジが寝返りをうったせいで、エイジの顔が私の胸に埋もれた。それに腕が背中に回って抱きしめられる体勢になってしまった。

 

「――っ!? ん、んんっ!」

 

 エイジの腕が背中に回され、私のお尻をギュムッと掴む。

 

「こ、こらっ」

 

 まるでモチでも捏ねるかのように揉まれる。

 

 お尻を掴んでいる手をひき離そうとするが、力が強くて引き離せない。しかも相手に痛みを感じさせない絶妙な力加減でもまれ続ける。

 

「ん……、ん」

 

 私の胸にエイジが顔を埋める。

 

 胸の感触を楽しむかのように顔を押し付けてきて、乳首の存在に気づいたのか、大きく口を開け始めた。

 

「ちょっ!? え、エイジっ、ま、待ちなさいっ」

 

 私の制止の声は聞き届かない。大きく開けた口で乳首を咥えられる。

 

「んんっ!」

 

 なに、これっ!? 

 

 乳首から電流でも流されたかのように、勝手に体が跳ねる。ザラついた舌が乳首を擦り、痛いぐらいに勃起する。

 

「あぁ、んんっ! んむっ……ううぅぅぅ!」

 

 口に咥えられたまま、舌で舐められ、転がさせ、赤ん坊のように吸われる。

 

 すっ、すごく、い、いいっ……!

 

「リ、リアス?」

 

 朱乃の戸惑う声が聞こえたが、今はそれどころじゃない。

 

 未だに両手でお尻を掴まれるのだ。

 

「あんっ」

 

 緊張を解すように優しく丁寧に揉まれ、お尻の谷間を指先でなぞられて、お尻の穴に……って!?

 

「ちょ!? どこに指を入れようと……!? ……うぅんっ!?」

 

 ズムッという鈍く低い音共に感じる異物感。

 

 異物はそのままお尻の穴を広げるように蠢き、エイジの指先がお尻の穴に入れられたこと決定づけた。

 

「ん……、あ、あああ……」

 

 お尻の穴の縁に沿って、円を描くように少しずつ解され、広げられる。

 

「ぁんっ。だ、ダメ……、胸まで弄られるなんて……わ、私……」

 

 さらに、胸から送り続けられる快感。胸がふやけてしまうのではないかと思うほど舐められ、吸われ、愛される。

 

 頭に白い靄がかかり始め、快感の波が何度も襲い掛かってくる。

 

「……ん、……んんっ、……あんっ、ああっ、も、もうダメぇええええ~~~!」

 

「り、リアス!?」

 

 頭が完全に白くなる。私は快楽に飲み込まれ、エイジの頭を強く抱き寄せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<朱乃>

 

 

 朝に近い深夜。いくらリアスが探してもどこにもいないと、リアスのお兄様の『女王』で、妻のグレイフィアさまから報告を貰い、リアスを探すように協力を求められたんだけど……。

 

 まさか、転移して一発目で見つかるとわ思いませんでしたわ……。

 

 グレイフィアさまがいくら探しても見つからないと、必死な顔で家に来たときは驚きましたけど、拍子抜けですわね。

 

 でも、見つけたときは驚きましたわ。

 

 まさか裸で抱き合っていたなんて……。

 

 よっぽど婚約が嫌だったみたいだから、婚約を破棄するために処女をあげたのかしら?

 

 とりあえず、私の安眠を邪魔して心配させたというのに、エイジさんの抱きついて幸せそうに寝ているリアスを叩き起こしましょう。

 

 私がリアスを起こして、なにをしたのか尋ねようとしたとき、普段のリアスでは珍しいリアクションを取ったのは驚きましたわ。

 

 本当にエイジさんに処女をあげたものだと思いました。

 

 でもリアスはというと、顔を真っ赤にして慌てた様子で大声をだして関係を否定した。

 

 それから、エイジさんがいきなり寝返りをうって、寝ぼけた状態でリアスの胸を顔を埋めたり、お尻を……、まあ、これ以上詳しくは言えませんね。

 

 で、現在。

 

 急な展開に置いてきぼりにされた私だけど、ずっとリアスをエイジさんの腕の中で悶えさせているのは可哀想ですし、そろそろエイジさんを起こしてリアスを解放させてあげないといけませんわね。

 

 それにしても、なんでグレイフィアさんはエイジさんに気づかなかったんでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<エイジ>

 

 

 辺りが騒がしくなり、眠りからゆっくり醒めた俺の視界に飛び込んだのは、柔らかくもハリがあり、いい匂いをした肌色だった。

 

 ああ、口の中にコリコリした突起みたいなモノが……。

 

 舌で転がしたり、吸ってみると少し安心する……。

 

「あ、うぅんっ、んんっ!」

 

 しばらく夢中で舐めていると上の方から喘ぎ声が聞こえてきた……。

 

 これってまさか……。

 

 そ、それに、両手がモチモチしたものを掴んでいるし………左の人差し指だけが締め付けられているみたいで、すごく温かいのはまさか……。

 

「ふぁんっ!」

 

 両手を離し、人差し指を『抜く』と、またまたこれまた厭らしい声が……。

 

 視線を上に持っていくとやはり昨夜夜這いをかけてきて、結局添い寝だけをすることになった我らが主の部長さん。

 

 普段は見せないような色っぽくて、女の顔になっている。

 

 しかも、現在痙攣中……。

 

 寝ぼけて部長の体を弄ってしまったみたいです。

 

 まあ、と、とりあえず、起きようか、な……。

 

 俺は普段通り、ゆっくりと起き上がる。

 

 痙攣中の部長と視線が合う。普段通り、普段通りに対応しないと。

 

「おはようごさいます。部長」

 

 とりあえず、頭を撫でる。

 

「昨夜は、激しかったですね」

 

 と、冗談でも言って気まずいこの空気を返る。

 

「リアス!? やっぱりあなた!」

 

 んん? この声は……?

 

「あれ……? なんで、朱乃さんが?」

 

 薄暗い部屋のベッドの脇に、駒王学園2大お姉さまのひとり、姫島朱乃さんが制服姿で立っていた。

 

 なんでここにいるの?

 

「私はリアスを探しにきたんです。エイジさん? まさかとは思いますがリアスと……」

 

 あ、朱乃さんの背後に般若が……。

 

 慌てて俺は弁解する!

 

「ストップ! 朱乃さん! ストップです! 俺は、添い寝ぐらいしかやってませんから! それにさっきのは冗談です! まさか朱乃さんがいるとは思わなくて……」

 

「いいんですのよ? そんなに誤魔化さなくても」

 

 朱乃さんが笑顔を向けてくるが、その背後で般若が剣を振り上げている。

 

「いやいやいや、ほんとにしてないですって! 部長は正真正銘の処女ですよ!」

 

「本当でしょうね?」

 

「はい!」

 

「そう……、信じてあげますわ」

 

 やっと矛先を収めてくれた。

 

 それから、朱乃さんはそそくさと腰が抜けてしまった部長と一緒に、転移魔法で帰っていった。

 

 転移するときに「覚えてなさいよね」と部長が耳元で囁いていたので、正直、今日の学校は休みたいです。

 

 はぁ、完全に目が覚めたことだし、少し早いが鍛錬を始めよう。気が紛れるだろうし。

 

 詳しい事情なんかは部室で聞けばいいんだし、考えるのは後だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつもの時間に朝の鍛錬を終え、シャワーを浴びてレイナーレが作った朝食を摂って学園に向い、授業を受け終える。

 

 そして、いつもなら部室に直行するんだが、今回は少し事情が違った。

 

 わざとではなかったとしても、今朝のことでお仕置きされるかもしれないから、なにか……、そう、2人の機嫌を少しでも直るような、お菓子でもを買いに、デパートに行ったほうがいいと考えたんだ。

 

 俺は、イッセーとアーシアに先に部室に行くように言って、デパートで『30』の期間限定のアイスケーキを購入してから部室へ向かう。

 

 俺の家とイッセーの家も通り道だったので、レイナーレとイッセーの家の分のアイスを渡してから戻ったから、少し時間をくってしまった。

 

 ん?

 

 部室に行き、ドアを開けようとすると、少し固かった。

 

 バキッ! バキバキバキィッ!!

 

 少し力を込めて開こうとするとすごい音が……。うん、ドアは壊れていないな。

 

 ということは、さっきの壊れるような音は結界か?

 

 俺がドアから部室のなかに入ってみると、様々なタイプの女達が。

 

 もう少し視線を奥にやると、童顔の武道家スタイルの女に棍を突きつけられているイッセー。

 

「おい、リアス? コイツがお前の言っていたもう1人の兵士か?」

 

 チョイ悪ホスト風の男が不敵な笑みを浮かべて立っていた。

 

 うん。無視。無視しよう。

 

「遅れてすみません、部長。その代わりと言ってはなんですが、期間限定『30』のアイスケーキを買ってきたので皆で食べましょう」

 

 部長の元へ駆け寄り、ケーキを渡す。

 

「あ、ありがと……」

 

 よしっ! 怒っているかと思ったけど、怒ってない!

 

「下級悪魔風情が、この俺を無視するんじゃね~!」

 

 俺が部長にケーキを渡していると、うしろから大声が聞こえてきた。

 

「えっと……、どちら様?」

 

 チョイ悪ホスト風の男に尋ねてみる。

 

「俺の名はライザー・フェニックス! フェニックス家の三男でお前の主人であるリアスの婚約者だ!」

 

 鼻を鳴らしてポーズをきめるチョイ悪ホスト。

 

「なんですかこのチョイ悪ホストは? 頭でもおかしいんですか?」

 

 部長に尋ねようとすると、部長は「チョイ悪ホスト……っ」となにやら笑いのツボに入ったようで笑っている。

 

「ぐっ、下級悪魔の分際でぇええっ!!」

 

 突然、燃えだすチョイ悪ホスト……てか、室内で炎だすなよ。

 

「おい。アイスが溶けるだろう。買ってきたのがアイスケーキだと聞こえなかったのか?」

 

 部長の機嫌をよくするために厳選して選んだのになにやってやがる。

 

 まずは水魔法でホストの体を包み、氷魔法で瞬間冷凍する。

 

「「「ライザー様!!?」」」

 

 突然出来た氷の彫刻に驚き声をあげるホストの近くに居た女たち。

 

「うん。氷の氷像としての価値はないが、保冷剤にはなるな」

 

 氷の中で気持ちの悪いドヤ顔しているから、よっぽどの物好きか変態ぐらいしか買わないな。

 

「貴様! なにをした!」

 

 仮面をつけた女が詰寄って来た。

 

「いや、何をしたって、この男が燃え始めたから鎮火してやっただけなんだが? ていうか、キミたちもアイス食べる? たくさん買ってきたから君らの分もあるよ」

 

「なにを言って……!」

 

 怒りに声を荒げる仮面女だが、背後に居た小学生のような二人組みや獣ミミの女の子はアイスケーキに惹かれたようで、若干だが瞳が輝いている。人望ないのか、ライザー……。

 

「とりあえず、これは邪魔だから外に出しとこ」

 

 そう言って氷像(チョイ悪ホスト入り)を部室の前に出す。

 

「ライザーさまになにをする!」

 

 部室に戻るとさっきの仮面の女以外にもつっかかってきた。

 

「別に邪魔だから外に出しただけだって」

 

 10人以上に詰め寄られ、ちょっと鬱陶しい。

 

 とりあえず、胸や尻を揉んで適当にイカせて黙らせる。

 

「んん、なにを……? ああっ!」

 

「ちょ! どこに手をっ!」

 

「んんんぅぅぅ!」

 

「ふあっ、ヤダッ、す、すごぃぃ……」

 

「にゃあぁぁぁん!」

 

 騒いでいた女達をあらかたイカて黙らせると、美人で銀髪のメイドが近づいてきた。

 

 ん? こいつって、グレイフィアだよな?

 

「はじめまして。サーゼクス・ルシファーさまの『女王』。グレイフィアです」

 

 はじめましてって、冥界で会ったことがあったよな? いや、あの時から仮面を被っていたから前に会っていることに気づいていないんだな。

 

はじめまして(・・・・・・・)。グレイフィスさん。リアス・グレモリーの『兵士』。神城エイジです」

 

 正体がバレるのは面倒だしここは知らないフリをしておこう。

 

「エイジ! お前なんて羨ましいことを!!」

 

 グレイフィスと挨拶を交わしていると、立ちあがったイッセーが血の涙を流しながらつっかかってきた。

 

 一見俺を睨みつけいるように見えるイッセーだが、その目は床で喘いでいる女達に集中している。

 

「とりあえず。うるさい」

 

「げふっ……!」

 

 イッセーの頭を軽く殴り、部長の前のソファーに座ってアイスケーキを切り分け始める。

 

 朱乃さんに皿を貰い、部長達に好みのアイスを取らせ、地面で喘いでいる女達の分も切り分ける。

 

「グレイフィア……さんは、なんにしますか?」

 

 グレイフィアがチョイスしたアイスを渡し、よろよろと起き上がった女達の分を配る。

 

 アイスを食べながらグレイフィアから事情を聞くと、なんでも女達はチョイ悪ホストのライザーの眷属悪魔で、ライザーと部長は親が決めた婚約者らしい。

 

 しかし、部長はというと、ライザーが嫌いで拒絶。

 

 そして、婚約を賭けて10日後に自分の駒と相手の駒同士を戦わせる、『レーティングゲーム』で決着をつけることになったらしい。ちなみに、俺が最初見たイッセーが武道家風の童顔少女から棍を突きつけられていたのは、イッセーがライザーに飛び掛ったのを止めた場面だったらしい。

 

 部長の悩みはしたくもない結婚か~。そりゃあ、このご時勢に嫌いな男なんかと結婚したくないよな。

 

 だが、それにしてもイッセーは無謀すぎるだろう。

 

 人間に毛の生えたほどの力しかないのに純血悪魔につっかかるなんて、殺されてもおかしくなかったんだぞ。

 

「そこのお前! 俺さまになにをしやがった!」

 

 グレイフィスから丁度事情を聞き終わったぐらいで、チョイ悪ホストのライザーがドアをうるさく開けて登場した。

 

 まあ、30分ぐらいで解けるように『設定』していたからな。

 

「…………」

 

 とりあえず応えるのが面倒だから、無視して温かいお茶を飲む。

 

「おい! なに無視してやがる!」

 

 空気の動きでライザーが炎をだして後ろから殴ろうとしているのが分かる。

 

 はぁ、また凍らせるか。

 

「お待ちください」

 

 俺が動こうとした瞬間。グレイフィアがライザーの前に立って、ライザーを止めた。

 

「今はお引きくださいライザーさま。これ以上やるのでしたら、私も黙ってみているわけにはいけなくなります。残りは、『レーティングゲーム』で行ってください」

 

「なっ!? だが俺はコイツに!」

 

「ライザーさま」

 

「クソっ!」

 

 グレイフィアが睨むと、ライザーはイライラを吐き出すように大声で悪態をついた。大きく息を吐いて、スーツを乱れを直して改めて言う。

 

「リアス。今度会うときは10日後の『レーティングゲーム』でだ。そこのお前も必ず殺してやるから、首を洗って待っていろ」

 

 ライザーはそれだけ言うと、足元に転移魔法陣を展開させて部室から消えた。

 

「……あなたは、何者ですか?」

 

 警戒するようにグレイフィアが睨んでくる。ていうか、ほんとは俺とお前の知り合いなんだが……。まあ、ここでばらすと面倒なので、

 

「リアス・グレモリーの『兵士』です」

 

 と、答えておく。

 

「…………」

 

 無言で『そんなことは聞いていません』と言いたげに睨んできた。うん。怒った女って怖いよな。特にグレイフィアとなると。

 

「……まあ、いいでしょう。では、お嬢さま。私もこれで」

 

「ええ。お兄さまによろしくね」

 

 部長と挨拶を交わして転移するグレイフィア。転移の瞬間にもう一度睨むのを忘れないのがさすがだ。

 

「さてと……。とりあえず今日の部活は中止よ。みんな解散」

 

 部長がぽんと手を叩いていう。

 

 やった! 休みだ!

 

 部長は手早く部員を部室から追いだし、朱乃さんを残して俺も部室からでようとした瞬間、肩を掴まれた。

 

 肩を掴んで離さない手。細くて綺麗な指先。背後から感じる紅い魔力。

 

 振り返ると、笑顔の部長が居た……。

 

「あなたは居残りよ」

 

「な、何でですか?」

 

 予想はしているが一応聞いてみる。

 

「あんな強力な氷魔法が使えること黙っていたこと」

 

「前に魔法が使えるって言いましたよね!?」

 

 以前、部長の着替え中に転移魔法を使ってその時きちんと俺は魔法が話せると教えたはずだ!

 

「ええ。そうね。そうだったわね。でも……」

 

「……でも?」

 

「今朝のことは許していないわ。わたしにあんなことをしたお仕置きをしてあげないとねぇ?」

 

「それはマジでスイマセンでした! 寝ぼけてやったこととはいえお尻の穴に指を……」

 

「だ、黙りなさいっ!」

 

 顔を真っ赤にして殴られた。

 

「ふふふっ、仲がいいですわね」

 

 朱乃さん! 優雅に笑ってないで助けてください! ていうか、なんで荒縄を持ってるんですか!?

 

「さあ、お仕置きを始めましょうか?」

 

 部長が手のひらに魔力を集める。

 

「ちょ! ぶ、部長ぉぉぉおおお!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<リアス>

 

 

 エイジの家から自宅に帰り、お兄様の『女王』のグレイフィスと朱乃に説教をされた日の午後。

 

 部室に婚約者のライザーがやって来た。

 

 フェニックス家の三男で私の家しか見ない、いけ好かない男。

 

 親同士が決めたとは嫌だったけど、私はグレモリー家の女として婚約させられた。

 

 本当は大学を卒業してから結婚させられるはずだったけど、ライザーが先走って人間界までやってきて今すぐ結婚しようと言ったのだ。

 

 ソファーの隣に座ってベタベタと体を触ってくるライザー。この男に髪をいじられるのは嫌いだ。

 

 我慢できなくなって立ち上がって怒鳴ったけど、ライザーは余裕を感じさせる、不敵な笑みを浮かべたままだ。

 

 ライザーの態度に怒ったイッセーが、ライザーにつっかかった。

 

 そして、険悪になり始めたところでグレイフィスが介入し、レーティングゲームで私の未来を決めることになってしまった。

 

 ライザーは余裕な笑みを浮かべて眷属悪魔を召喚する。転移魔法陣から15人もの女性悪魔が出現した。

 

 そして、それを見たイッセーが涙を流して悔しがっていたけど、いくらハーレムが野望だからって少しは自重しなさい。相手は敵なのよ。

 

 それに、ライザーも『お前には一生できないだろ』とイッセーを挑発して、一応の婚約者である私のまえで眷属悪魔たちにキスをするなんて、いったいなにを考えてるのかしら?

 

 本当に、結婚を決める戦いをするのに、その相手の前で他の女に堂々と手を出すなんて……。本当に気に入らないわ。

 

 イッセーもライザーに殴りかかって一瞬で倒されるし……。

 

 ふぅ……、まだ発展途上なのに無謀すぎるわ。

 

 イッセーがライザーの『兵士』に棍つきつけられていると、誰も来ないようにと結界を張ったドアを、強引にその結界を壊しながら開けてエイジが入ってきた。

 

 今朝の事で少し顔を合わせづらかったけど、彼はずかずかと部室に入ってくると、箱を取り出してケーキを買ってきたと言う。

 

 部室の険悪な雰囲気を読まずにケーキの箱を渡し、突っかかってきたライザーを無視した。

 

 エイジの態度にライザーが怒って体から炎を発しようとした瞬間。エイジが魔法を発動させた。

 

 ライザーの体が一瞬水に包まれたかと思ったら、今度は一瞬で氷ついた。

 

 しかも、特に気にする事もなく氷像になったライザーを外へ出し、彼に詰め寄ったライザーの眷属たちをも軽くあしらい、全員床に跪かせた。

 

 さすが、悪魔になってから1ヶ月も経たないうちに、100人近くの人間と厭らしい契約を取ったエイジ。ライザーの眷属悪魔たちが子供扱い。

 

 そ、それに、私も……。

 

 いいえ。お尻で感じてはいないわ! 私はイッてはいないわ!

 

 ……ふふふ、でも、とりあえずはエイジにお仕置きしないといけないわね。

 

 昨日は添い寝だけって言う約束だったんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<エイジ>

 

 

 夜もふけた頃。やっと、俺は解放してもらえた。

 

「部長~、酷いですよ~」

 

 ソファーにうつ伏せになり、赤くなった尻を気をめぐらして治療しながらぼやく。

 

 朱乃さんはすでに帰宅していて、部室には俺と部長しかいない。

 

「自業自得よ」

 

 ソファーに座り、メガネをかけて本を読んでいた。

 

「部長は目が悪いんですか?」

 

「いいえ。気分的なものよ。考え事をしているときにメガネをかけていると頭が回るの。ふふふ、人間暮らしが長い証拠ね」

 

 そう言って微笑む部長。

 

「すごく似合ってます。いつもの雰囲気もいいですが知的なこっちの部長もいいですね」

 

「な、なに言ってるのよ」

 

 真っ赤になる部長をにやにやと見つめていると小突かれた。

 

「もう、冗談はいいからもう帰るわよ」

 

「あ、送っていきますよ。悪魔と言っても女の子の一人歩きは危険ですから」

 

 ソファーから立ち上がる部長の後に続いて立ち上がる。

 

「あら、転移魔法を使うから送りはいらないわよ。それに狼のあなたに送られたら食べられちゃうかもしれないし」

 

 部長は微笑みながら呟く。

 

「あはは、それもそうですね。ああ、あと……」

 

「なにかあるの?」

 

 部長の耳元に顔を近づけて囁く。

 

「一度なら我慢できるかもしれませんが、二度も部長みたいな魅力的な女性に誘われたら、今度は思わず食べちゃうかもしれないので、気をつけてくださいね」

 

「な、な、なななっ!? なにをいって……っ!」

 

 部長は今までに見た事もないほど動揺する。本を落して、後ろにさがった。耳まで赤くして可愛らしいな。

 

 あはははは。

 

 そんな初心な姿に思わず笑ってしまった。

 

「エ・イ・ジ~~!」

 

 半眼で睨みながら詰め寄る部長。お仕置きされる前に逃げないと。

 

「じゃあ、俺はこれで。きちんと転移魔法で帰るんですよ。おやすみなさい、部長」

 

 部長の頭をひと撫でしてから転移魔法を発動させて自宅へと帰る。

 

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