<エイジ>
教会側の2人との会談から数日後。
放課後いつものように部室にいたら、町のほうで不規則な力の流れを感じた。
おそらく最近放課後いなくなるイッセーと小猫ちゃんだろう。
「エイジ、今すぐ転移するわよ」
部長はそう言って立ち上がる。
「了解です」
俺もソファーから立ち上がり魔法陣の上に移動する。
そしてさらに、部室でエクスカリバーの件を相談しに着ていた支取先輩も同行するために魔法陣へ乗った。
魔法陣が輝くと、
「バルパーのじいさん! 撤退だ! コカビエルの旦那に報告しにいくぜ!」
「致し方あるまい」
「あばよ、教会の悪魔と連合どもが!」
「追うぞ! イリナ」
「うん!」
「僕も追わせてもらおう! 逃がすか、バルパー・ガリレイ!」
「お、おい! 木場! ったく! 何なんだよ!」
前方ですごく面倒そうなやり取りが繰り広げられていた。
って小猫ちゃんはともかく、なんで生徒会の匙がいるんだ?
俺が首を傾げていると険しい表情になっているお2人さん。
ゆっくりと歩いて近づくと、
「力の流れが不規則になっていると思ったら……」
「これは、困ったものね」
イッセーたちが振り返る。
「イッセー、どういうこと? 説明してもらうわよ」
イッセーたちの顔が一瞬で青くなった……。
◆
あのあと近くの公園に移動し、勝手な行動を取り戦闘していた3人を噴水前の地べたに正座させ、理由を説明してもらっていた。
「……エクスカリバー破壊ってあなたたちね」
額に手を当て、極めて機嫌のよろしくない部長。
まあ、当然だろう。間違えば天使側との戦争が起こっていたかもしれない事態だからな。
「サジ。あなたはこんなにも勝手なことをしていたのですね。本当に困った子です」
「あぅぅ……。す、すみません、会長……」
会長のほうも冷たい表情で匙に詰め寄っていた。匙の顔色は危険なほど青い。そんなに怯えてどうしたんだ?
「祐斗はそのバルパーを追っていったのね?」
「はい。ゼノヴィアとイリナも一緒だと思います。……な、何かあったら連絡をよこしてくれるとは思うんですが……」
「復讐の権化と化した祐斗が悠長に電話をよこすかしら」
ごもっともだな。仇敵が定まったんだから、そいつ目掛けて憎しみをぶつけるまで止まらないだろう。
部長の視線がイッセーから小猫ちゃんへと移る。
「小猫」
「……はい」
「どうして、こんなことを?」
「……祐斗先輩がいなくなるのは嫌です……」
小猫ちゃんは自分の思いを正直に口にした。部長もそれを聞き、怒りというよりも困惑するような顔に転じていた。
「……過ぎたことをあれこれ言うのもね。ただ、あなたたちがやったことは大きく見れば悪魔の世界に影響を与えるかもしれなかったのよ? それはわかるわね?」
「はい」
「……はい」
イッセーと小猫ちゃんは同時にうなずいた。
「すみません、部長」
「……ゴメンなさい、部長」
イッセーと小猫ちゃんが深々と頭を下げた。
ベシッ! ベシッ!
叩かれる音のほうへ顔をむけると、匙が支取先輩に尻を叩かれていた。
おおっ、懐かしい。俺もああやって叩かれたな……部長と朱乃さんに。
「あなたには反省が必要ですね」
「うわぁぁぁぁん! ゴメンなさいゴメンなさい! 会長、許してくださぁぁぁい!」
「ダメです。お尻を千叩きです」
ベシッ! ベシッ!
会長の手には魔力がこもっている。
悪魔の尻叩きの時って手に魔力をこめるのがディフォルトなんですね。
「使い魔を祐斗探索に出させたから、発見しだい、部員全員で迎えに行きましょう。それからのことはそのときに決めるわ。いいわね?」
『はい』
叩かれていた匙から視線をはずすと、部長がイッセーと小猫ちゃんを引き寄せ、抱きしめていた。
「……バカな子たちね。本当に、心配ばかりかけて……」
やさしい声音で部長は2人の頭をなでた。
その様子を涙を流しながら匙が見て、
「うわぁぁぁぁん! 会長ぉぉぉ! あっちはいい感じで終わってますけどぉぉぉ!」
「よそはよそ。うちはうちです」
ベシッ! ベシッ!
イッセー、部長の眷属悪魔でよかったな。
「さて、イッセー。お尻を出しなさい」
あら?
部長を見ると、ニッコリ微笑んだ部長の右手が紅いオーラに包まれてた。
「下僕の躾は主の仕事。あなたもお尻叩き千回よ♪」
ベシッ! ベシッ!
匙とイッセーが2人で並んで尻を叩かれる。
俺が笑いながらみていると、2人が俺を睨んだ。
「神城! なに笑ってやがる!」
「そうだ! お前こそ教会側の2人と裏で取引したんだろうが!」
なっ!? 何故それを!?
「本当なのエイジ?」
イッセーの尻を叩きながら聞いてくる部長。
「イリナたちが言ってたぞ! 表立って協力できないから教会側にエクスカリバーの破壊を黙認するように、話を持ちかけたんだろう!」
イッ、イッセーッ!
っていうかゼノたん! イリナ! 普通取引内容は話しちゃダメだろ!? 何のために『裏』なんだよ!
「エイジ、詳しく聞かせてもらうわよ」
ニッコリ笑顔の部長。
ああ……、話したあとは、おしおきですね。
◆
イッセーの尻叩きで時間が遅くなり、俺の尻はなんとか難を逃れることができた。
帰り道を部長とイッセー、俺が歩く。
そういや小猫ちゃん、別れ際まで部長に謝ってたな~。
家の近所までやってきたところでイッセーが部長に尋ねた。
「あれ? 部長の家って俺の家の近所だったんですか?」
ああ、言ってなかったな。
いや……、この前セルベリアとノエルと部長も連れて、新しい住人って事でご近所に挨拶に回ったから、イッセーの両親は知ってるはずだ。
また訊かされていなかったのか?
「ええ。私はいまエイジの家に居候させてもらってるわ。ご両親や近所の方々にも挨拶に回ったはずだけど、知らなかったの?」
部長も隣に住んでいた事を知らなかったイッセーに意外そうな顔だ。
イッセーは俺と部長の顔を何度も見たあと、ぶわっと血の涙を流した。
「エイジぃぃぃぃ! お前っ、お前って奴はぁぁぁぁ! この野郎ぉぉぉぉ!」
全力でそう叫んだあと、ものすごいスピードで走り去ってしまった。
取り残された俺と部長は、苦笑したあと家路についた。
◆
家に帰り、夕食の準備に取り掛かる。
家事をしてくれる堕天使メイド、レイナーレが修行でいないからだ。
日にちを決めて2人で分担して料理をしていて、今日は部長が当番の日なんだが、部長の登場が遅い。
どうしたんだろう? リビングのソファーでテレビを見ていると、後から声がかかった。
「……エイジ」
「なんですか?」
後を振り返って俺は絶句した!
部長が裸エプロン姿で恥じらいならは立っていたからだ!
結構、楽しんだシチュエーションで何人も見てきたが、その中でも群を抜いて興奮した。
恥じらいながら短い前掛けで、見えそうになる股間を隠し、もじもじとしていた。
「今日、部室でアーシアがイッセーにしてみるっていうから、私も着てみたの、どう?」
あの純真無垢のアーシアが発案者!? イッセー。アーシアの裸エプロン見てんの!? いやそれよりもっ!
「最高に美しいです!」
シュタッ。
俺は並外れた身体能力を使って、部長の前に立って両手を握った。
「そ、そう?」
「はい! さすがリアス部長です! 俺っ! すごく興奮してます!」
そう言うと部長は真っ赤に顔を染めて、
「じゃあ、夕飯作るわね」
とキッチンに向かった。
俺は行儀よくテーブルについて、ずっと部長の裸エプロン姿を脳に焼きつかせた。
◆
夕食を食べ終えて、部長が食器を高性能食器洗い機に納めていた時。
そろそろもう我慢の限界に来ていた俺は、後ろから抱きついた。
「ちょっと、エイジ」
最後の一枚を納めて、起動させたあとを狙ったから、このまま終わりまでいっていいはずだ!
普段のスキンシップでも結構やばいところまでは経験済みだし、今はもう真夜中!
ズボンのベルトも緩ませチャックも緩めておいたから、すぐにペニスを取り出せた。
「こ、こらぁ……」
エプロンと肌の間に手をすべりこませ、おっぱいを揉みながら背中に何度もキスをする。
「エイジぃ、やめ、なさい……」
言葉とは裏腹に、だんだんノッテきた部長。
後ろ手にペニスを掴んでニギニギと弄ってくれる。
少し腰を進めて後ろから股の間にペニスを侵入させてスジを擦ると、濡れているのがよくわかった。
「リアス部長……、俺っ、もう……」
耳元で囁いて振り向かせる。
部長の唇を奪い舌を絡めると、部長も舌を絡ませてくれた。
食後で夕食に食べた魚の味が少しだけした。
くちゃ、くちゃっと、お互いの唾液を行き来させながら、お互いの唾液を飲みながら、興奮を高めていく。
「リアス部長……」
「エイジ……」
腰を滑り込ませ、部長の体をキッチンのテーブルが背もたれになるように位置取りをする。
がに股に開かれた部長の股、愛液を間から溢しているオマンコにペニスを突きつけた。
ぷにぷにとした膣口に亀頭をあてがい、確認するように部長にキスをする。
部長は素直に俺のキスを受け入れて、大きく股を開いてくれた。
家には2人だけ……、邪魔者はいない。
やっと……やっと部長の処女をいただける!
「大好きです、リアス」
数えきれないほど女を抱いてきたが、リアス・グレモリーは俺の中で特別な存在だった。
絶対に離したくない。絶対に誰にも渡したくない。
美しいあなたが、可愛らしいあなたが、優しいあなたが、気高いあなたが、全部愛おしい。
黒歌もセルベリアもノエルもレイナーレ、時雨も、リアス・グレモリーも誰にも渡したくない!
腰を進め、一気に処女を奪おうと……、
しようとしたところで、
家の外で、大きな力が、殺気が、
すべてをぶち壊した……。
◆
家の外からの殺気、位置的にはイッセーの家だが、関係ない。
俺と部長はお互いの顔を見合わせたあと、残念そうに大きいため息を吐き、即座に駒王学園の制服に着替えてからイッセーとアーシアの近くへ転移した。
転移すると、アーシアが傷だらけのイリナを治療していて、イッセーは殺気を放っている相手と睨み合っていた。
「部長! エイジ!」
イッセーが安堵の表情を浮かべる。
「はじめましてかな、グレモリー家の娘。紅髪が麗しいものだ。忌々しい兄者を思い出して反吐が出そうだよ」
黒い羽が10枚ついた堕天使の男が部長を挑発的な物言いで、睨んだ。
こいつがコカビエル!
っていうか邪魔しやがった相手!
俺は殺気をコカビエルに向ける。
「くくっ! さすがは実力は魔王クラスといわれている黒の聖職者! なかなかの殺気ではないか!」
恍惚の表情のコカビエル。
結構な殺気を浴びせたはずだぞ、生粋の戦闘狂かなにかなのか?
部長が一歩前に出る。そして冷淡な表情を浮かべた。
「ごきげんよう。堕ちた天使の幹部――コカビエル。それと私の名前はリアス・グレモリーよ。お見知りおきを。もうひとつ付け加えさせてもらうなら、グレモリー家と我らが魔王は最も近く、最も遠い存在。この場で政治的なやり取りに私との接触を求めるなら無駄だわ」
「魔王と交渉などというバカげたことはしない。まあ、妹を犯してから殺せば、サーゼクスの激情が俺に向けられるかもしれない……っ!?」
コカビエルの言葉を聞いていられなかった俺はさらに黒い魔力を解放し、殺気を向けた。
「それよりも先に、俺がお前を殺してやろうか?」
「っ! まだ待つのよエイジ」
部長に言われ、仕方無しに俺は殺気と魔力を抑える。
「……それで、私との接触は何が目的かしら?」
コカビエルは戦闘態勢をとり、俺を警戒したまま、改めて部長を見た。
「お前の根城である駒王学園を中心にこの町で暴れさせてもらう。そうすればサーゼクスが出てくるだろう?」
サーゼクス?
「そんな事をすれば、堕天使と神、悪魔との戦争が再び勃発するわよ?」
「それは願ったり叶ったりだ。エクスカリバーでも盗めばミカエルが戦争をしかけてくれると思ったが……寄越したが雑魚のエクソシストどもと聖剣使いが2名だ。つまらん。あまりにつまらん! ――だから、悪魔の、サーゼクスの妹との根城で暴れるんだよ。黒の聖職者はサーゼクスの前座として、俺を十二分に楽しませてくれそうだからな」
俺がサーゼクスの前座……! なんかすごい嫌なんだが、あいつが聞いたら笑い転げてバカにしそうなんだけど。
「……戦争狂め」
部長が忌々しそうにつぶやくが、コカビエルは狂気の笑いをあげるだけだ。
「そうだ。そうだとも! 俺は三つどもえの戦争が終わってから退屈で退屈で仕方がなかった! アザゼルもシェムハザも次の戦争に消極的でな。それどころか、
コカビエルがイッセーを見る。
イッセーは体を震わせながらも強気な姿勢で訊いた。
「……おまえらは俺の神器もご所望なのかよ?」
「少なくとも俺は興味ない。――だが、アザゼルは欲がるかもしれんな。あいつのコレクター趣味は異常だ」
あの不良総督か……。話したことはないが、そいつと寝たことのある女たちから、少しだけ話を聞いたことはある。
エロ総督。女に誑かされて堕ちた天使。神器大好き男。
碌な情報ないな……。
「とちらにしろ、俺はおまえの根城で聖剣をめぐる戦いをさせてもらうぞ、リアス・グレモリー。戦争をするためにな! サーゼクスの妹とレヴィアタンの妹、黒の聖職者が通う学び舎だ。さぞ、魔力の波動が立ち込めていて、混沌が楽しめるだろう! エクスカリバー本来の力を解放するにも最適だ! 戦場としてはちょうどいい」
狂ってやがるな……。だけど、それより、レヴィアタンの妹ってまさか支取先輩!? あのコスプレ、ロリっ娘、天真爛漫、マイペースのセラたんの妹だったの!? そういや顔つきとか目元とかそっくりじゃん!? だから何で気づかなかったんだよ、俺!?
ていうか、黒の聖職者って呼ぶんじゃねぇぇぇっ!
殺気を出して再びコカビエルを睨む。
すると白髪の神父服に身をつつんだ青年が両手で体を抱いて悶えていた。
「ひゃはー! すげぇ真っ黒な殺気だぜぇ! ぞくぞくっ、ぞくぞくきちゃうっ! 最高だぜ! さっすが噂の旦那! 俺、感じちゃうぅぅぅ!」
気持ち悪っ! こいつがイッセーの言ってたクソ神父か! っていうかクソ神父だよな? こんな奴が何人もいないよな?
「ひゃははは! それにしても最高でしょ? 俺のボスって。イカレ具合が素敵に最高でさ、俺もついつい張りきっちゃうのよぉ。こんなご褒美までくれるしね」
クソ神父が取り出したのは、エクスカリバーだった。
「右のが【
クソ神父は心底おもしろそうに哄笑をあげる。
すまん。エクスカリバーの大量所持者は間違いなく俺だ。たぶん探せば10本以上ででくると思うから。
っていうか、エクスカリバーって名乗りたいだけじゃないの!? 別に聖剣じゃなくてもよくね? まあ、悪魔に対して効果抜群なんだろうけど、その効果を除けば、聖剣の能力って、中途半端もいいところだろうよ。
「バルパーの聖剣研究、ここまでくれば本物か。俺の作戦に付いてきたときは正直怪しいところだったがな」
バルパーも今回の事件の共犯って事か。
「エクスカリバーをどうする気なの!?」
部長が問う。コカビエルは10枚の翼を羽ばたかせ、学園の方へ体を向けた。
「ハハハ! 戦争をしよう、魔王サーゼクス・ルシファーの妹リアス・グレモリー! そして黒の聖職者よ!」
だから黒の聖職者はやめて! 通り名の由来が残念すぎるんだから! 呼ぶならブラック・プレデターのほうで呼んでくれ! そっちなら、別にいいから!
カッ!
クソ神父が目くらまし用アイテムを出して、コカビエルとともに姿を消した。
「エイジ、イッセー、学園へ向かうわよ!」
「了解!」
「はい!」
コカビエル! 俺と部長の邪魔をした報いを受けさせてやる!