※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D 世界を渡る転生者   作:上平 英

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第25話 新たな決意と新たな仲間

 

<エイジ>

 

 

 ヴァーリがコカビエルとクソ神父を回収して消えたのを確認して全員、戦闘態勢を解いた。

 

 木場が気の抜けたような顔で空を見つめているところへ、イッセーが木場の背を叩いた。

 

「やったじゃねぇか、色男! へー、それが聖魔剣か。白いのと黒いのが入り混じっててキレイなもんだなぁ」

 

「イッセーくん、僕は――」

 

「ま、いまは細かいの言いっこなしだ。とりあえず、いったん終了ってことでいいだろう? 聖剣もさ、おまえの仲間のこともさ」

 

「うん」

 

 イッセーが木場を励まし、さらにアーシアが心配そうに木場に訊いた。

 

「……木場さん、また一緒に部活できますよね?」

 

 木場が口を開こうとした時、

 

「祐斗」

 

 部長が木場を呼んだ。

 

 部長は木場を笑顔で迎え入れた。

 

「祐斗、よく帰ってくれたわ。それに禁手《バランス・ブレイカー》だなんて、私も誇れるわよ」

 

「……部長、僕は……部員の皆に……。何よりも、一度命を救ってくれたあなたを裏切ってしまいました……。お詫びする言葉が見つかりません……」

 

 部長は木場の頬を手でなでる。

 

「でも、あなたは帰ってきてくれた。もう、それだけで十分。彼らの想いを無駄にしてはダメよ」

 

「部長……。僕はここに改めて誓います。僕、木場祐斗はリアス・グレモリーの眷属――『騎士』として、あなたと仲間たちを終生お守りします」

 

「うふふ。ありがとう。でも、それをエイジとイッセーの前で言ってはダメよ?」

 

 イッセーはものすごい嫉妬の目つきで木場を睨んでいたが、俺はそこまで睨んでない。うん、別にこれぐらいなんでもないんだからねッ!

 

 木場が立ち上がり俺へ向かって深く頭を下げた。

 

「ありがとう、エイジくん。キミのおかげで仇敵を自分の手で討つことができた。それに裏でも僕のために色々動いてくれたんだろう? キミが聖剣を持っていると知って一方的に敵視していたのに……」

 

「べ、別におまえのためじゃねぇよ。部長のためにやっただけだ!」

 

「それでもありがとう」

 

 いままで敵視されていたから、なんかいまの木場は調子が狂う。

 

「とりあえず、礼だけは受け取っておく」

 

 そう言って距離をとった。

 

「さて」

 

 ブゥゥゥン。危険な音を立てて、部長の手が紅いオーラに包まれた。

 

 …………ああ、そう言えば俺のお仕置きがまだでしたね……。

 

「あら? エイジじゃないわよ」

 

 え!

 

「本当はお仕置きしようかと思ってたけど、今日すごく頑張ってくれたから、エイジへのお仕置きなしよ」

 

 ま、マジで!? やったぁぁぁぁ! 俺の尻と心が助かったぁぁぁぁ!

 

 部長はニッコリ笑顔を木場に向ける。

 

「祐斗、勝手な事をした罰よ。お尻叩き千回ね」

 

 バシッ! バシッ!

 

 木場が部長に尻を叩かれる音と、尻を叩かれる木場をみて笑うイッセーの笑い声が真夜中の校庭に鳴り響く。

 

 叩かれるたびに木場の顔が苦痛に歪み、必死に声を我慢している姿は、かなり笑えるのだが、

 

「さて、ゼノたん」

 

 放心しているゼノヴィアに近づく。

 

「ぁ……、ぅ……」

 

 まだ神が死んだと聞かされたショックで放心している。

 

「いまはゆっくり眠りな。難しいことはまたあとで考えるんだ」

 

 ゼノヴィアの頭をなでて、【眠りの霧】という相手を眠らせる魔法を発動させる。

 

「――っ」

 

 抜け殻状態だったのでレジストもせずに、ゼノヴィアは簡単に意識を失った。

 

「とりあえず、デュランダルは【王の財宝】に入れとくか。あと聖剣の核――『かけら』だったけか?」

 

 俺はサーゼクスの加勢が来る30分の間に、それらを終わらせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サーゼクスの加勢が学園へ到着したあと、部長は支取先輩を含めて状況説明を行い、彼らに大きなクレーターだらけで荒らされたグランドや、建物の修理を頼んだ。

 

 そして現在、俺はオカルト研の部室で休んでいた。

 

 オカルト研の部室にいるのは4名。

 

 俺と、部長、支取先輩に、そしてゼノヴィアだ。

 

 他の部員たちや生徒会メンバーは戦闘後ということで、すでに家へと帰り休んでいるだろう。

 

 部長たちと俺は今回の事件の説明を、サーゼクスがよこした加勢の悪魔に詳しい説明を行っていたために遅くまで残っているのだ。

 

 ゼノヴィアは未だに眠りから覚めないためにソファーに寝かせていた。

 

「とりあえず、一件落着ですね」

 

「ええ、誰も死なずに、皆無事でよかったわ」

 

 1つのソファーでゼノヴィアを寝かせているので、2人はもう1つのソファーに並んで俺が用意した紅茶を飲みながら安堵の息を吐いた。

 

 俺はどこにいるかって? そりゃあ部長の横に座ってるよ。

 

 まあ、少し狭いけど、部長に密着されるのは嬉しい。

 

「学園の被害もそれほど大きくありませんでしたし、助かりました」

 

 支取先輩は学園のことを気にしていたからな。

 

「エイジが考えて戦ってくれたおかげよ」

 

 そう言って部長が誇らしげに俺を見た。褒められるのは大好きです!

 

 支取先輩が俺に頭を下げた。

 

「神城くん、ありがとう」

 

「いえ、俺の母校でもありますし、気にしないでくださいよ」

 

「そんなわけにはいかないわ。こんど何か困ったことがあれば相談してください。わたしにできることなら協力しますから」

 

 律儀な先輩だなぁ。本当にあのレヴィアたんの妹なのか?

 

 支取先輩の顔を観察していると、部長の顔が視界を遮った。

 

 ニッコリ笑顔の部長。

 

「それよりも、エイジ。この子はどうするの?」

 

 部長はゼノヴィアを指差した。

 

 ああ、ゼノヴィアね。

 

「あのままにしておくのは無理だったので連れてきました。目が覚めたらデュランダルを渡して、聖剣と聖剣の『かけら』も渡しますよ。神側の聖剣エクスカリバーがこちらにあるのはマズイでしょうから」

 

 そういうと部長と支取先輩は納得したような表情で「そうね」とうなずいた。

 

 そして、支取先輩が時計を見て立ち上がった。

 

「もうあと数時間もすれば登校時間ですね。私はこれで失礼します」

 

 部長が立ち上がり、俺も立つ。

 

 支取先輩は魔法陣を足元に発現させた。

 

「それではまた学校で、リアス、神城くん。おやすみなさい」

 

「ええ、またね。ソーナ」

 

「お疲れ様でした」

 

 魔法陣が光り支取先輩の姿が消えた。

 

 3人だけになった部室。

 

「さてと、私たちも帰りましょうか。明日は休日だし、ゆっくりと眠りたいわ」

 

 戦闘の疲れを癒すためと慰労目的で、明日はグレモリー眷属は休日となっていた。

 

 ちなみにシトリー眷属は生徒会で、全員休むことはできないので、交代して休むそうだけど、支取先輩は休みそうにないな。

 

「そうですね。帰りましょうか」

 

 ゼノヴィアを抱えて家へと転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家へと帰宅したあと、ゼノヴィアを俺の部屋のベッドに寝かせた。

 

 イリナはリビングで寝ていたが、いまは2人一緒にない方がいいからだ。

 

 精神不安定のゼノヴィアが何かの拍子に、イリナに神の不在を漏らしてしまうおそれがあったからだ。

 

 ゼノヴィアをベッドに運んだあと、俺は部長とともに風呂に入っていた。

 

 湯船の中で向かい合って抱き合い静かな時間を過ごす。

 

「今日はいろんなことがあったわね」

 

 部長が俺の胸に顔を埋めながらつぶやいた。

 

 俺は湯船の縁に両手をおいてうなずいた。

 

「ええ。ケロベロスに、バルパー、木場の禁手、コカビエルとの戦闘、白龍皇の来襲……」

 

「それに、あなたもね」

 

「俺も?」

 

 部長の乳首が俺の乳首に触れる。

 

 ゆっくりとお互いの乳首が勃起し始めたことを感じながら、部長は言う。

 

「まさか、コカビエルを一方的に倒して、魔剣エクスカリバーなんてとんでもないものを持っていたとは思わなかったわ。噂の魔王級が本当だってことを改めて知った――」

 

 部長は俺の瞳を覗きこむ。

 

「あなたほどの力の持ち主がなぜ私の下僕悪魔になったの? あなたなら『はぐれ』……、いえ、普通に悪魔として迎え入れられると思うんだけど」

 

 瞳に悲しげな、不安そうな色を含ませた部長。まったく……。

 

 俺は部長に尋ねる。

 

「自信がないんですか?」

 

「……ええ。魔王の妹でもグレモリー家の次期当主でも、あなたを下僕にするような資格は私には……」

 

 俯く部長の顔を無理やり上げさせる。

 

「俺は前にも言いましたが、あなただから眷属になったんです。あなたの生まれや立場などは別にいいんですよ、俺はリアス・グレモリーを気に入って下僕悪魔になったんですから」

 

「――っ!」

 

 部長の瞳に涙が浮んだかと思えば、すぐに顔が真っ赤になった。

 

「俺は強大な力を持っている。確かに魔王級の実力でしょう。ですが、その力をどう振るうか、誰のために振るうのかは俺の自由。俺はあなたの眷属悪魔として力を振るいますし……」

 

 一拍おいてリアス部長の耳元で言う。

 

「1人の男としてもあなたを守りますよ」

 

「っ!」

 

 どんどん真っ赤になっていく部長。

 

 その様子が可愛らしくて笑みがこぼれてしまう。

 

「エイジィィィィ……」

 

 からかわれたと思ったか、部長が怒ってしまった。

 

「まったくもう! あなたってそうやって女の子をおとしていくの?」

 

「ふふ、すみません。確かに俺は女好きで美人に求められれば見境なくセックスしてしまう性分です。ですが、本気で特定の女性を好きになったら、絶対に自分の手で幸せにしないと我慢ならない。イッセーで言うところのハーレムですね。俺は黒歌やセルベリア、ノエル、時雨、レイナーレを絶対に手放しませんし、それにもちろんリアス・グレモリー、あなたも」

 

 そう言うと、リアス部長は俺の首筋に顔を埋めた。

 

「呆れるほどに強欲ね」

 

「はい。今の俺は悪魔ですから」

 

 そのあと、自室にはゼノヴィアがいるので、俺の部屋の向かい側にある、部長の部屋で寝ることなったが、

 

「ぶ、部長……」

 

「ふふふ、あなたも乳首が弱かったの?」

 

 部長が俺の上に乗り、乳首を舌で攻めてきた。

 

「いつもあなたが私の乳首吸いながら寝てるんだから、たまには私も吸わせてもらうわね」

 

「あ、ああ……、そ、そんな、吸わないでぇぇぇぇ」

 

「ふふふ、ビンビンになって可愛らしいわね」

 

 朝方まで部長の攻めは続いた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼノヴィアとイリナが目覚めてから、数日後――。

 

 放課後の部室にやって来た俺と、イッセーとアーシア。部室のソファーには外国人の女の子。

 

 そういえば、確か今日だったな。

 

「やあ、赤龍帝」

 

 緑のメッシュを入れた女の子――ゼノヴィアが駒王学園の制服に身を包んで、驚くイッセーとアーシアに挨拶をした。

 

 動揺を隠せないイッセーがゼノヴィアを指差した。

 

「なっ……なんで、おまえがここに!?」

 

 バッ!

 

 ゼノヴィアが背中から黒い翼――悪魔である証をだした。

 

 ゼノヴィアがふんと鼻息をつきながら言う。

 

「神がいないと知ったんでね、破れかぶれで悪魔に転生した。リアス・グレモリーから『戦車』の駒をいただいた。本当は『騎士』の駒で転生するつもりだったが、姫島朱乃とカミシロを交えて相談した結果、私にはスピード強化より攻撃と防御を強化したほうがいいと『戦車』の駒になったんだ。ちなみにデュランダルがすごいだけで私自身はそこまで少なくなかったようで、駒の消費は1つで済んだみたいだぞ。で、この学園にも編入させてもらった。今日から高校2年生の同級生でオカルト研究部所属だ。よろしくね、イッセーくん♪」

 

「……真顔で可愛い声を出すな」

 

「イリナの真似をしたのだが、うまくいかないものだな」

 

「つーか、転生かよ! 部長、貴重な駒をいいんですか?」

 

 俺も悪魔化の話には驚いたよ。

 

「まあ、デュランダル使いが眷属にいるのは頼もしいわ。これで祐斗とともに剣士の2翼が誕生したわね」

 

 まっ、ゼノヴィアは『騎士』の駒じゃないけどな。

 

「そう、私はもう悪魔だ。後戻りできない。――いや、これで良かったのか? うぅむ、しかし、神がいない以上、私の人生は破綻したわけだ。だが、元敵の悪魔に降るというのはどうなんだろうか……。いくら相手が魔王の妹、黒の聖職者だからといって……」

 

 ゼノヴィアは何やらぶつぶつとつぶやきながら頭を抱えだした。しかも、祈ってダメージ受けてる……。

 

 うーん、アーシアも祈ったりしたらダメージくらってたなぁ。元信徒でも2人とも信仰がぬけていないし、生き甲斐だったんだ。どうにかして祈りのダメージだけでもなくす方法はないのかな~?

 

 イッセーの視線が俺に移る。

 

「エイジ! お前知ってたのか?」

 

「まあな。ゼノたんと怪我したイリナの面倒みていたのは俺だし。代わりに聖剣の『かけら』を回収したのも俺だったからな」

 

「何で俺たちに教えなかったんだよ。それに、ゼノたんって」

 

「ん? 事前に話したら面白みがないだろう? 部室を開けたら意外な美少女が――ってお前が好きなシチュエーションだろ? ゼノたんがどう呼んでもいいと言ったんでな、冗談でゼノたんって言ったら了承してくれた」

 

 そう言ってゼノヴィアを見ると、ゼノヴィアは大きなため息を吐いた。

 

「まさか、そんな呼び方をするとは思わなかったんだ」

 

「……そ、そうか。ところでイリナは?」

 

「イリナなら、私のエクスカリバーを合わせた5本とバルパーの遺体を持って本部に帰った。統合したエクスカリバーを破壊してしまったせいか、芯となっている『かけら』の状態で回収した。まあ、奪還の任務には成功したわけだよ。芯があれば錬金術で鍛えて再び聖剣にできる」

 

「エクスカリバーを返していいのか? てか、教会裏切っていいのかよ?」

 

「いちおうあれは返しておかないとマズい。デュランダルと違い、使い手は他に見繕えるからね。私にはデュランダルがあれば事足りる。あちらへ神の不在を知ったことに関して述べたら、何も言わなくなったよ。私は神の不在を知ったことで異分子になったわけだ。教会は異分子を、異端を酷く嫌う。たとえ、デュランダルの使い手でも捨てる。アーシア・アルジェントのときと同じだな」

 

 ゼノヴィアは自嘲した。

 

「イリナは運がいい。ケガをしていたため、戦線離脱していたとはいえ、あの場で、あの真実を聞けば、心の均衡はどうなっていたかわからない」

 

 コカビエルが神の不在をしゃべったのって、半分俺のせいみたいなもんだから、なんか気まずい……。

 

 そう思っていると、ゼノヴィアが俺の方へ『気にするな』と目をいっていた。

 

 そのあとゼノヴィアはすぐに話しに戻る。

 

「ただ、私が悪魔となったことをとてもお残念がっていた。神の不在が理由だとは言えないしね。なんとも言えない別れだった。次に会うときは敵かな」

 

 ゼノヴィアが目元を細めながら言う。

 

 俺にしてもイリナとの別れは、なんとも言えなかった。「この悪魔がゼノヴィアを誑かしたのね!」って、俺に敵意向けてきたからね……。

 

 まだ手も出していないのに……、あ、いや、……手も出してないのに。

 

 部長の目つきが鋭くなったように感じて言いなおしたが、なに? 心読まれたの?

 

 部長が全員そろったところを確認すると、部長が語りだす、

 

「教会は今回のことで悪魔側――つまり魔王に打診してきたそうよ。『堕天使の動きが不透明で不誠実のため、遺憾ではあるが連絡を取り合いたい』――と。それとバルパーの件についても過去逃したことに関して自分たちにも非があると謝罪してきたわ」

 

 遺憾か……。まあ、こんなところだろう。

 

「しかし、この学び舎は恐ろしいな。ここには魔王の妹がもう1名もいるのだもの」

 

 嘆息しながら言うゼノヴィアに、イッセーとアーシアが驚きの表情で部長を見る。

 

 部長は肯定するようにうなずいた。

 

 まっ、俺なんてその2人の魔王と知り合いなのに、その妹だとは気づかなかったからな。

 

 てか、俺って無知すぎるな。

 

 グレモリー家とかシトリー家って冥界で有名な名家なのに知らないなんて……。

 

「今回のことは、堕天使の総督アザゼルから、神側と魔王側に真相が伝わってきたわ。エクスカリバー強奪はコカビエルの単独行為。他の幹部は知らなかったことだった。3すくみの均衡を崩そうと画策し、再び戦争を起こそうとした罪により、【地獄の最下層(コキュートス)】で永久冷凍の刑が執行されたそうよ」

 

 結局、死んでないわけか。

 

「『 白 い 龍 (バニシング・ドラゴン)』が介入し、……エイジにコカビエルごと怪我を負わされたけど、それは戦闘中に突然介入したこちらが悪いと、問題にはされなかったどころか、代わりに事態を収拾したことに感謝するそうよ」

 

 会談の前の火種にはされたくなかったし、それは本当によかった。

 

「近いうちに天使側の代表、悪魔側の代表、アザゼルが会談を開くそうよ。ヴァーリが話したとおり、アザゼルから話したいことがあるみたいだから。そのときにコカビエルの謝罪するかもしれないなんて言われてるけれど、あのアザゼルが謝るかしら」

 

 肩をすくめながら、部長が忌々しそうに言う。

 

 それにしても、3大勢力の会議ね~。

 

 なんていうか面倒そうだ。

 

「私たちもその場に招待されているわ。事件に関わってしまったから、そこで今回の報告をしなくてはいけないの」

 

「マジっスか!?」

 

 部長の言葉にイッセーが驚き声を上げる。他のメンバーも驚いているようだ。

 

 ゼノヴィアが訊ねる。

 

「……『 白 い 龍 (バニシング・ドラゴン)』は堕天使側なのか?」

 

「そうだ。アザゼルは『神滅具(ロンギヌス)』を持つ 神 器 (セイグリッド・ギア)所有者を集めている。何を考えているかはわからないが、ろくでもないことをしようとしているのは確かだね。『 白 い 龍 (バニシング・ドラゴン)』はその中でもトップクラスの使い手。『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部を含めた強者(つわもの)のなかでも4番目か5番目に強いと聞く。すでに完全な 禁 手 (バランス・ブレイカー)状態。現時点のライバルはキミより断然強い」

 

 4か5か……。

 

 まあ、成長すればもっと強くなるんだろうけど。

 

 驚愕していたイッセーが、ふと気づく。

 

「エイジって、その堕天使の中でも4番目に強いあいつを一撃で倒してなかったか?」

 

 全員の視線が俺に集まる。

 

「ま、俺の実力は魔王並みだからな。いくら白龍皇だからって、幹部ごときには負けねぇよ。っていうか、正確にいうと倒してないぞ。きちんと防御して必要最低限のダメージに抑えやがったからな、あいつ」

 

「そ、そうなのか……」

 

 部長が俺の顔を正面から見た。

 

「……エイジ。3大勢力の会議の時に、正式にどの勢力につくか決めて欲しいと3勢力から要望が来てるわ」

 

「エイジは部長の眷属悪魔だから悪魔側じゃないんですか?」

 

 イッセーが部長に聞く、部長は首を振って言う。

 

「イッセー、そんなに簡単な話じゃないの。エイジは今まで仮面をつけて3大勢力のどれにもつかずに賞金稼ぎとして、賞金首を長い間狩ってきたの。あなたもコカビエルがエイジをなんと呼んだか聞いたでしょう?」

 

 やめて! その名は……!

 

「黒の聖職者――でしたっけ? 冥界でも【 黒い捕食者 (ブラック・プレデター)】って名乗ったり、呼ばれたりしてましたよね?」

 

 そこへゼノヴィアが詳しく説明を開始した。

 

「黒の聖職者――。ここ数年で教会内で有名になった仮面の断罪者だ。神に近い圧倒的な力で悪人や堕天使、悪魔を駆逐し、正体は誰も知らなかった。だが、ここ最近冥界で素顔をさらし、自分が悪魔であることをバラシたことで教会内にも激震が走っていたな。黒の聖職者は女性に優しいし、顔も悪くないし、美丈夫と、ミステリアスな仮面で女性のファンが多かったしな」

 

 ゼノヴィアの説明のあとに部長が続く。

 

「黒い捕食者もだいたいそんな感じね。魔王クラスの実力を持つ賞金稼ぎで、上級悪魔並みの力を持った蒼炎の戦乙女と、魔銃の2人を従え、凶悪な悪魔や危険な悪魔を次々と狩る伝説クラスの賞金稼ぎ。ちなみに冥界ではその黒の捕食者を題材とした物語がブームになっているわ」

 

「神や魔王クラス……。題材とした物語……。エイジってもしかしなくても有名人?」

 

 イッセーが信じられないと俺の顔をみてくる。

 

「まあな」

 

 以前部室で話したこともあったんだけどな。

 

 そうつぶやくと朱乃さんがSな表情で要らない情報を言ってきた。

 

「冥界では知らない女性はいないと言われているほどですわ。少年期から現在の青年期まで全部で6期ほど続いているアニメもありますし、小説やドラマの題材、さらにゲームなど、さまざまなグッズも発売されているんですよ」

 

 一拍おいて、それに――と朱乃さんが続ける。

 

「グレモリー家とフェニックス家の婚約パーティーには冥界のテレビが入っていましたから、その場でずっと隠していた仮面を脱ぎ去り、婚約パーティーでまさに創作通り、お姫さま(部長)を攫ったことで【黒い捕食者(ブラック・イーター)】の人気に火がついてるんですよ」

 

 部長の顔が真っ赤になる。

 

「それはいま言わなくていいでしょ!」

 

 真っ赤になって朱乃さんに怒り、話を強引に戻す。

 

「とにかく! そんな神や魔王クラスでいままでフリーで活動していたエイジが、どの勢力につくかっていうのはすごく重要なことなのよ! 私の眷属悪魔でも本人がきちんと意思表明をしないと3大勢力がヘタに動けなるほどのね!」

 

 部長は顔を少し反らし、改めて聞いた。

 

「で、エイジは、どの勢力につくのよ……」

 

 わかっているくせに……。でも、ツンデレ風の部長のお姿には萌えます!

 

「そりゃあ、当然、俺の王であるリアス・グレモリー。あなたにつきますよ」

 

「……そんなにすぐに決めていいの?」

 

「ええ。事前に3勢力に通達してくれてもいいですよ」

 

 確認する部長に、俺は笑顔で言う。

 

 部長は嬉しそうな笑みを一瞬うかべると、すぐに表情を引き締めた。

 

「わかったわ。あなたが悪魔側についてくれて嬉しいわ」

 

 そう言って話を締めくくった。

 

 そのあと、ゼノヴィアがアーシアに会談のときの態度を謝罪した。2人とも言い子だし、すぐに友達になるな。

 

 3大勢力で会談……。

 

 面倒事が一気に増えていくな。

 

 まっ、いまはそんなことよりも今度の休日だな!

 

 部長と朱乃さんの水着選び! イッセーの誘いを断ってまで……いや、部長の方が先だったな。

 

 イッセーたちはカラオケ、俺は部長と朱乃さんとのデート!

 

 楽しまなきゃ損だ!

 

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