※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D 世界を渡る転生者   作:上平 英

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第31話 授業参観

 

<エイジ>

 

 

 アザゼルとの会談が終わってから数日後、駒王学園の授業参観当日。

 

 最近イッセーとアーシアを含めて、部長と4人で学校に登校するようになっていた。

 

 玄関で部長と別れてイッセーたちと教室に入りそれぞれの席につくと、ゼノヴィアが近づいてきた。

 

「おはよう、エイジ」

 

「おはよう、ゼノたん」

 

 挨拶を交わすと、ゼノヴィアは少しだけ顔を赤らめた。

 

「エイジ」

 

「なんだ?」

 

 そう返すとゼノヴィアは頭を下げる。

 

「先日は突然あんなことを言って申し訳なかった」

 

 ああ、子供作ろうってことか。

 

「私はエイジのことを考えずに突っ走りすぎたようだね」

 

「いや、確かにいきなりすぎたけど、ゼノたんに攻められて嬉しかったよ」

 

「そ、そうか? それならよかった。――あっ! ああ、そうだ。今日はコレを渡そうと思ったんだった」

 

 ゼノヴィアはそう言うとごそごそとスカートのポケットを探り始めた。

 

 ていうか周りの視線が集まっているような? まあ、ゼノヴィアは美少女で男にも人気があって、身体機能も高いせいか、女子からも人気があるもんな。

 

 ていうか、女子の視線がいささか多すぎるな。まあ、学校の女子にもかなり手を出してて裏ではかなり有名だからなー。

 

「あ、あった」

 

 ゼノヴィアはスカートのポケットの中から小さな袋に包まれたもの――コンドームを俺に渡してきた。

 

 クラスの全員の視線が、ゼノヴィアが渡し、受け取って現在俺の手の平に乗せられたコンドームに集まった。

 

「まずはこれで練習しようか」

 

「いや、練習って……」

 

 俺が戸惑っていると近くの席で談笑していたイッセーが叫び声をあげた。

 

「バ、バカかぁぁぁああああっ! な、何を大衆の面前で取り出してんだよ!?」

 

 まあ、俺もその意見に同意する。男子高校生には――特に三バカに対しては刺激が強すぎるものだよなぁ。

 

「そう騒ぐことでもないだろう。まあ、私のいた世界では、これの使用にひと悶着あったが、やはりつけたほうが日本のお国柄的にも都合が言いのだと思ったのだ」

 

 ゼノヴィアは叫ぶイッセーに向かって冷静に言うと、俺の顔を見た。

 

「エイジ。つけるのが嫌なら別につけなくても私はまったくかまわないからな」

 

「そうなのか? まあ『できた』場合はしっかり責任を取るが、在学中に妊娠したら卒業できなくなるぞ?」

 

「うむぅ……、確かに卒業できなるのは残念だな」

 

「おまえら、ちょっとは周りの目を……」

 

 っあ。イッセーの言葉でこの場が学校であることを思い出したが、すでにクラス中の視線が集まっていた。

 

 ゼノヴィアはまったく気づいているようすもなく、イッセーの近くにいたアーシアのほうを向いた。

 

「アーシアもイッセーと使うといい。無計画な性交はお互いが傷つくそうだ。男女の関係は難しいね」

 

 そう言うとアーシアにコンドームの袋から一個を千切って手渡した。「?」と疑問符を浮べるアーシアだが、エロメガネっ娘の桐生さんが間髪を入れずにゴニョゴニョと耳打ちしていく。

 

「……うぅん」

 

 途端にカーッと、顔を真っ赤にさせて卒倒するアーシア。まあ、耐性なさそうな子だしいい薬か。

 

 桐生さんはメガネを光らせながら、イッセーに言う。

 

「まあ、使ってもいいんじゃない? アーシアは――」

 

「桐生さぁぁぁんっ! やめてくださいぃぃぃぃ!」

 

 突然、復活したアーシアが桐生さんの口をふさいだ。

 

 そのあと、何やらアーシアにアドバイスみたいなものをやったあと、桐生さんは俺の手を取った。

 

「やっぱり……結構、深爪ね」

 

「やっぱり?」

 

「深爪の男は女遊びが激しいと聞くわ。――そう、女体をまさぐるのに爪が伸びているといろいろと不便だものね」

 

「――っ!」

 

 み、見抜かれた――!? ……いや、まあ隠してないけど……。

 

「なっ、なるほど、爪は深爪にしといたほうがいいのか……」

 

 イッセーがなぜかメモしていたが、それよりも……。

 

「その様子は図星みたいね。さすがは中等部から高等部の1年生から3年生、さらに大学部のお姉さまたちを数々ノックアウトしてきた男ね」

 

『――っ!』

 

 教室から音が消えた。

 

 桐生さんはまるで某少年探偵漫画のあの子のようにメガネをくいっと上げて、俺の顔を真っ直ぐ指差し、語るように話し始めた。

 

「神城エイジ。小学校から中学校まで隣町に住んでいて、気配り上手で女の子をすごく大切にする最高の男――。隣町に知り合いがいてね。教えてもらったの。何でもヴァージン・クラッシャーや最高の初体験を経験させてくれる男と呼ばれて、中学に在学していた3年間のうちに100人以上と経験したそうね。だけどこの駒王学園に入学してから3バカと仲良くなってからはあまり活発に動いていなかった。――いいえ、3バカの所為で女の子が近寄りにくかったが正解でしょう。だけど2年の春から夏にかけて再び活発になってきたという情報を仕入れたわ」

 

「な、なぜそれを――!」

 

 こちらも犯人風なリアクションをとる。ていうか活発になった理由は悪魔の仕事でちょいちょい学園の女の子と寝ているからだ。

 

「私を甘く見ないでほしいわね! あなたの所業が今まで表に出なかったのは、あなたが食べた女の子が『最高に気持ちよくて幸せだった』とかで、セックスしてもらえるだけで満足しているから表にでなかっただけよ! さあ、いい機会だから教えなさい! いったいどんなテクで落したの? 女の子がセックスさせてもらっただけで幸せと思えるほどすごいんでしょ?」

 

 そう言って詰め寄ってくる桐生さん。――ってなにやらクラスの反応で分かれていらっしゃる!?

 

 男子は3バカの松田と元浜を始めとする嫉妬しているメンバーと、興味ありますとイッセーを始めとして、メモ用紙を取り出しているメンバー。そして、別に気にならないという様子だがしっかり聞き耳立てているメンバー。ってか、なんでイッセーがそちら側に? 嫉妬メンバーじゃないってことはアーシアといよいよなのか?

 

 女子は桐生さんを筆頭に気になりますメンバーと、アーシアを筆頭に真っ赤になって話しを聞いている初心な女の子メンバー。もう一組、顔を真っ赤にしている女の子がいるが、こちらは俺が食べた女の子メンバーだった。初心なメンバーとおんなじみたいだからばれないよね!?

 

 そしてマイペースで、すこし――いやかなり天然のゼノヴィアはやはりマイペースだった。

 

「さすがエイジだな。私は初心者だからいろいろ教えてくれよ」

 

「ああ、わかった。一応生理周期とか確認する用のノートも作っといたほうがいいぞ」

 

 と自然に返してしまう俺も俺だったが――。

 

「そうか? 私は別に危険日でもかまわないんだが」

 

 ゼノヴィアもゼノヴィアだった――。

 

 桐生さんに詰め寄られる俺だったが、すぐに教師の登場したことでその場は回避できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんとか授業が始まり、開け放たれたうしろの扉からクラスメートの親御たちが入ってきた。

 

 イッセーの両親がイッセーより先にホームステイしているアーシアに手を振り、アーシアも恥ずかしがりながらも小さく手を振るという微笑ましいシーンがあり、和んでいたのだが、イッセーの両親の隣に立っていたメンバーが問題だった。

 

 笑顔で俺に向かって手を振る4人組――そう、本人はそのつもりはないんだろうがお色気たっぷりの黒いスーツ姿のセルベリアに、お気に入りの清楚系の服を着たノエル。セルベリアと同じくスーツ姿にいつも手放さない身の丈以上ある刀を竹刀袋に入れた時雨、さらにメイド服ではないパンクファッションのレイナーレが立っていた。

 

 黒歌がいないがおそらく小猫ちゃんのところだろう。

 

 4人はただでさえ目だつ美人なのに、全員が俺に向かって手を振っているのだ。

 

 朝のこともあってかなり男子からの視線が痛い。

 

 ――とっ、イッセーが殺気だった視線で見てきた。うん、メモ取っていたし、なんか変だと思っていたけど、ようやくいつものイッセーだ。

 

 そのあとは英語の授業でなぜか紙粘土をわたされて「なんかつくれ」って言われて、イッセーがリアス部長に結構似た紙粘度像を造っていた。

 

 俺は特に創っていないというか、能力がありすぎてただ人間の前で物を創れなかった。うん、ただ創っただけなのにいきなり動いたりするからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お昼休み。

 

 セルベリアたちはかなり目立つし、今朝の一件で教室で静かに食べれる状況でもなかったので、俺は4人と学園の中の中庭で昼食をとった。ちなみに黒歌は小猫ちゃんの教室で、小猫ちゃんを見ながら食べると連絡がきていたので不在だ。

 

 昼食を摂り終えた俺たちは自販機の前で、飲み物を買いに来ていたイッセーとアーシアに会い、さらに同じく飲み物を買いにきていた部長と朱乃さんと会った。

 

「よくできているわね」

 

 紙粘土でできたリアス像を観察していたモデルのリアス部長は、像をイッセーに返して褒めた。

 

 ああ、俺も創っていれば褒められたのに……。と考えていると朱乃さんが微笑を浮べて俺に訊いた。

 

「エイジさんは何も創っていないんですか?」

 

「ええ。創ってません。というか普通の人間の前ではあまり見せれないんです」

 

『見せれない?』

 

 オカルト研メンバーとまだ知らなかったレイナーレが首を傾げた。

 

 俺は少し落ち込みながら言う。

 

「俺が創ったものって時々動いたり、何かの力を持ったりするのでヘタに遊びで創れないんですよ」

 

「そ、それは……」

 

「それはすごい――ですわね」

 

 知らなかったメンバーが何とも言えない空気になったところで、木場が現れた。

 

「あら? 祐斗。お茶?」

 

 部長が訊くと、木場は廊下の先を指さす。

 

「いえ、何やら魔女っ子が撮影会をしていると聞いたもので、ちょっと見にいこうかと思いまして」

 

 木場の返答に首を傾げる一同。てか、撮影会? 魔女っ子? 木場って意外とアニメかコスプレ好きなのか?

 

 カシャカシャ!

 

 フラッシュがたかれ、カメラを持った男どもが、廊下の一角で何かを撮影している。

 

 見えないから人垣の中に入っていこうかなと思っていると、生徒会の匙が近づいてきた。後ろには生徒会の女子メンバーもついていた。

 

「オラオラ! 天下の往来で撮影たーいいご身分だぜ!」

 

 匙は人垣になっていたカメラ男子たちに向かって怒鳴る。

 

「ほらほら、解散解散! 今日は公開授業の日なんだぜ! こんなところで騒ぐな!」

 

 匙に怒鳴られて人垣がクモの巣を散らすように消えていった。

 

 残るは魔法少女だけになったんだが、……その魔法少女にやや問題があった。

 

 可愛らしい衣装を着ていて、短いスカートで、少し動いただけでパンツが見えそうになる衣装を着ているまでは、普通のコスプレイヤーなんだが。うん、俺の同居人メンバーと朱乃さん、木場は彼女の正体に気づいたようだ。

 

「あんたもそんな格好をしないでくれ。って、もしかして親御さんですか? そうだとしても場に合う衣装ってもんがあるでしょう。困りますよ」

 

「えー、だって、これが私の正装だもん☆」

 

 匙が注意を促すが、かわいらしいポージングをして聞く耳を持たないどころか、俺と目が合った瞬間――俺の胸に飛び込んで、というかダイブしてきた。

 

「ブラたーん! ブラたんなんだよね! 大きくなったね~☆」

 

「ああ、久しぶりだな。この前、俺が狙われていることを教えてくれたんだろ?」

 

「うん! ほんとに久しぶりだよー。その情報は結局遅かったみたいだから別にお礼なんていいよー☆ それよりも、最近冥界にこないし、冥界に来ても私に会いに来てくれないからすっごく寂しかったんだから!」

 

 突然俺の胸に、スリスリと体を擦り付けてくる魔女っ子にフリーズしていた部長たちが復活し、匙が嫉妬しているときのイッセーみたいな顔で近づいてきた。

 

「神城! まさかおまえの親御さんか?」

 

「いや、違う。俺の両親はすでに死んでるから」

 

 そう答えると匙は怒りの顔を止めて「そ、そうか。すまない」と謝ってきた。こいつってイッセーに似て真っ直ぐでいいヤツだよなぁ。

 

「あれ? そちらの4人組は?」

 

 いいヤツだから、たまにからかいたくなるんだ。

 

「俺の嫁さんたち。ちなみにこの子も」

 

 そう言って魔女っ子を匙と向かい合わせにして、魔女っ子の肩に両手をおく。

 

 魔女っ子もノリがいいからわかっている。

 

「はじめまして! お嫁さんです!」

 

 と匙に挨拶する魔女っ子。

 

「なにぃぃぃいいいいい! ハーレムメンバーだとでも言うのか!?」

 

「そうだよ! メインヒロインルートだったのに、ドロドロに攻略されて……。もう、ハーレムルート一直線なんだからね☆」

 

 笑顔でポージングする魔女っ子に、匙はポカンとしたあと、俺を親の仇か何かと言わんばかりに血の涙を流して叫んだ。

 

「羨ましすぎるぞ! きさまぁぁぁぁあああああ!」

 

「そうだ! なんで次から次に女の子が集まってくるんだよぉぉぉおおおお!」

 

 っといつの間にかイッセーも匙の隣側に移動して叫んでいた。

 

「ぷっ、ふふふ……」

 

 魔女っ子の口から笑い声が漏れた。

 

「あはははははっ! 少しからかっただけなのに、おもしろい子たちだね! ブラたん☆」

 

「そうだろ、セラたん。見てて飽きないからな」

 

 そう、からかっただけだから! 手にオーラを集めないでください部長! ま、レイナーレ以外、セルベリアたちはお馴染みだからなわかっていて、レイナーレは俺が女に手をだしてもなにも言わない、ただ、エッチの密度が濃くなるだけだ。

 

 そこに後方から支鳥先輩の先導のもと、紅髪の2人組みが近づいてきた。

 

「何事ですか? サジ、問題は簡潔に解決しなさいといつも言って――」

 

 支鳥先輩はそこまで言いかけて、魔女っ子を見かけるなり、言葉を止めた。

 

「ソーナちゃん! 見つけた☆」

 

 魔女っ子は俺の手をとって、肩の上から滑らせて背負うように、俺が後から抱きしめているような体勢になって支鳥先輩へ笑顔を向けた。

 

「ああ、セラフォルーか。キミもここへ来てたんだな」

 

 サーゼクスの言葉に疑問符を浮かべているイッセーに部長が言う。

 

「レヴィアタンさまよ」

 

 ポカンとするイッセーに部長はさらに説明する。

 

「あの方は現4大魔王のお1人、セラフォルー・レヴィアタンさま。そしてソーナのお姉さまよ」

 

「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッ!」

 

 イッセーの絶叫が廊下にこだまするって! マジうるせぇ!

 

「セ、セラフォルーさま、お久しぶりです」

 

「あら、リアスちゃん☆ おひさ~☆ 元気にしてましたか?」

 

 いつも通りかわいらしい口調だが、部長はその対応と嫉妬からか笑顔が硬かった。

 

「は、はい。おかげさまで。今日はソーナの授業参観に? 知り合いであるろいうことは知っていましたが、随分と親しそうですね。エイジとどういう関係なんですか?」

 

「来た目的は、もちろんソーナちゃんの授業参観よ☆ ブラたんとの関係は―」

 

「関係は?」

 

 セラフォルーは部長を十分にひきつけると、ニヤリと微笑んだ。

 

「フラれた相手とフッタ関係なんだよ☆ ブラたんを眷属にしたかったんだけど、フラれちったんだ~☆ もう! 力ずくで強引にベッドに連れ込んだのに、結局眷属になってくれなかったんだよ~。しくしく」

 

『ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッッ!』

 

 先ほどのイッセーよりも大くて複数人の絶叫がこだました。

 

 いち早く立ち直った支鳥先輩が顔を真っ赤にしてセラフォルーに詰め寄った。

 

「お、おおお姉さまッ! そ、それ本当なんですか!? べ、ベッドに連れ込んだって……!」

 

 次に部長が立ち直って支鳥先輩の隣に立って詰め寄った。

 

 セラフォルーは2人の剣幕など軽く流して俺の腕を下腹へと持ってきてうなずく。

 

「うん! どうしてもブラたんが欲しかったから。サーゼクスちゃんにどうやってグレイフィアちゃんを射止めたのか聞いて、その通りに強引に迫ってみたの☆ 強引にベッドに連れ込んでブラたんを襲ったのに、初めてだったけど一生懸命がんばったのに、逆にブラたんに負けちゃって、結局眷属にできなかったんだよね~」

 

 軽い感じに言うセラフォルー。てか、あの時ベッドに引きずり込まれた理由って……。

 

 全員が視線をサーゼクスに向けると、サーゼクスは苦笑した。

 

「まさか、本当に実行に移すとは私も思っていなかったんだよ。なにせエイジがまだ10歳ぐらいの頃だったし。まさか、そんな子供を襲うなんてね」

 

 そう言って微笑むサーゼクスに、セラフォルーがぷぅと可愛らしく頬を膨らませた。

 

「あのときサーゼクスちゃんが『絶対この方法なら堕ちるよ』って勧めたんじゃない! 私もまさか初めてだったからって、逆に虜にされるとは思ってなかったの!」

 

 ああ……、何か今日って厄日じゃないのか? てか皆さん「10歳で……」とか、イッセーと匙も床を無言で殴るのやめてください。

 

 一旦話を切ってから、レヴィアたんはこんど支鳥先輩に抱きついた。

 

 そして部長がイッセーに挨拶するように言う。

 

「ご、ごあいさつしなさい、イッセー」

 

「は、はじめまして、兵藤一誠。リアス・グレモリーさまの下僕『兵士』をやっています! よろしくお願いします!」

 

「はじめまして☆ 私、魔王セラフォルー・レヴィアタンです☆ 『レヴィアたん』って呼んでね☆」

 

 相手が魔王ということで緊張しながら挨拶するイッセーと、ピースサインを横向きでチョキする、軽いノリの魔王レヴィアタン。

 

「ねぇ、サーゼクスちゃん。この子がドライグくんなの?」

 

「そう、彼が『赤い龍』を宿す者、兵藤一誠くんだ」

 

 レヴィアたんはこんどはもう1人の紅髪の男性に視線を向けた。

 

「あらあら、グレモリーのおじさま」

 

「ふむ。セラフォルー殿。これはまた奇抜な衣装ですな。いささか魔王としてはどうかと思いますが……」

 

「あら、おじさま☆ ご存じないのですか? いまこの国ではこれが流行りですのよ?」

 

 うん。一部では流行だな。ごく一部の会場とかでは。

 

「ほう、そうなのですか。これは私が無知だったようだ」

 

「ハハハハ、父上。信じてはなりませんよ」

 

 レヴィアたんと部長の親御さんのと会話に困惑するイッセーに、部長は魔王のことを説明する。

 

「言うのを忘れていた――いえ、言いたくなかったけれど、現4大魔王さま方は、どなたもこんな感じなのよ。プライベート時、軽いのよ。酷いぐらいに」

 

 ため息を吐きながら部長は言う。

 

「俺も、サーゼクスもセラたんも『実は魔王なんだ』って言われるまで気づかなかったもんなー」

 

「知らなかったの、エイジ」

 

 部長が意外そうに訊いた。

 

「はい。サーゼクスにセラたんを紹介されたときに、2人が魔王だと教えられたときは信じられなかったです」

 

「そうだったの……というかセラたんって」

 

「セラフォルーにそういうふうに呼ぶように命令されたんです」

 

「そうなの」

 

「はい」

 

 ただの賞金稼ぎだった俺は、悪魔の勢力関係とか知らなくても賞金首の情報があれば生きていけたしな。まあ、2人が魔王だって教えられたときは驚いたけど。

 

 セラフォルーは今度は支鳥会長にいつものハイなテンションで話しかけ始めた。

 

「ソーナちゃん、どうしたの? お顔が真っ赤ですよ? せっかくお姉さまである私との再会なのだから。もっと喜んでくれてもいいと思うよ? 『お姉さま!』『ソーたん!』って抱き合いながら百合百合な展開でもいいと思うのよ、お姉ちゃんは!」

 

 支取先輩は遺憾そうな表情で言う。

 

「……お、お姉さま。ここは私の学舎であり、私はここの生徒会長を任されているのです……。いくら、身内だからとしてもお姉さまの行動は、あまりに……。そのような格好は容認できません」

 

「そんなソーナちゃん! ソーナちゃんにそんなこと言われたら、お姉ちゃん悲しい! お姉ちゃんが魔法少女に憧れているって、ソーナちゃんは知っているじゃない! きらめくスティックで天使、堕天使をまとめて抹殺なんだから☆」

 

「お姉さま、ご自重ください。魔王のお姉さまがきらめかれたら小国が数分で滅びます」

 

 まぁ、魔法少女じゃなくて魔王少女だからな。

 

 イッセーと匙が少し離れたポジションで小声で話していた。

 

「なあ、匙。先日の堕天使幹部が来襲してきたとき、会長はお姉さま呼ばなかったけど……これを見る限り、仲が悪いからってわけじゃないよな?」

 

「逆だ、逆。話ではセラフォルー・レヴィアタンさまが妹を溺愛しすぎているから、呼ぶと大変なことになるってさ。妹が堕天使に汚されるとわかったら、何をしでかすかわからなかったらしいんだよ。即戦争だよ。あそこはセラフォルーさまを呼ばずにルシファーさまを呼んで正解だ。しかし、俺も初めてお会いしたけど、これは……」

 

 支鳥先輩の胸に抱きついたセラフォルーに言う。

 

「お姉さま……それより神城くんに手をだしたことは本当なんですか?」

 

 セラフォルーは笑顔でうなずいて支鳥先輩に言った。

 

「うん! そう言えばソーナちゃんってブラたんの大ファンだったね☆ あっ! まさか姉妹丼!? ソーナちゃん、お姉ちゃんとブラたんとの3Pコースをご所望中なの!?」

 

「なっ!? なにを言っているんですかぁぁぁああああ!」

 

 顔を真っ赤にして支鳥先輩が叫んだ。そして「うぅ、もう耐えられません!」と目元を潤ませながら、この場を走り去っていく。

 

「待って! ソーナちゃん! お姉ちゃんを置いてどこに行くの!」

 

 セラフォルーが支鳥先輩を追って走りだした。

 

「ついてこないでください!」

 

「いやぁぁぁん! お姉ちゃんを見捨てないでぇぇぇぇぇっ! ソーたぁぁぁぁん!」

 

「『たん』付けはお止めになってくださいとあれほど!」

 

 魔王姉妹の追いかけっこが開幕した。

 

「うむ。シトリー家は今日も平和だ。そう思うだろ、リーアたん」

 

「お兄さま、私の愛称を『たん』付けで呼ばないでください!」

 

 へぇ、部長って家では「リーア」って呼ばれていたのか。

 

「そんな……リーアたん。昔はお兄さまお兄さまといつも私のうしろをついてきたのに……。反抗期か……」

 

 ショックを受けるサーゼクス。半分はからかっているな。

 

「もう! お兄さま! どうして幼少時の私のことを――」

 

 パシャ!

 

 怒った部長を写真に撮る部長のお父さま。感無量そうだった。

 

「いい顔だ、リアス。よくぞ、ここまで立派に育って……。ここに来られなかった妻の分まで私は今日張り切らせてもらおうか」

 

「お父さま! もう!」

 

 ああ、かわいいな部長。

 

「魔王さまと、魔王さまの御家はおもしろい共通点があるのですよ」

 

 ポカンとしている皆に朱乃さんが心底愉快そうに微笑みながら言う。

 

「魔王さまは皆さまおもしろい方ばかりなのです。そして、そのご兄弟は例外なく真面目な方ばかり・うふふ、きっとフリーダムなご兄弟が魔王さまになったせいで、真面目にならざるを得なかったのでしょうね」

 

 と、そこへ――。

 

「おや、イッセー」

 

「あっ、父さん」

 

 イッセーの両親が現れた。

 

「兵藤一誠くん、ご両親かな?」

 

「は、はい。俺の両親です」

 

「そうか。うむ」

 

 部長のお父さんがイッセーの両親の前に立つ。

 

「はじめまして、リアスの父です」

 

「こ、こ、こここここここここれは、どうも! あっ、えっと、兵藤一誠の父です! リアスさんには部活でいろいろお世話になっておりますようで、えーと、その……」

 

 すごく緊張しているイッセーの父親。逆に余裕の表情の部長のお父さん。

 

 一通り挨拶すると俺の方へとやって来た。

 

「久しぶり――になるのかな。神城エイジくん」

 

 握手を求めてくる部長のお父さん。

 

「はい。――あの件は申し訳ありませんでした」

 

 あの件はライザーとの婚約パーティをぶち壊したことだ。そのことに頭を下げると、部長のお父さんは首を横に振る。

 

「いや、謝らないでくれ。もう、あの件は別にいいんだ。ふふふ、まさかキミほどの男を娘が射止めるとは……」

 

 とおかしそうに笑う部長のお父さん。

 

「お父さま!」

 

 顔を真っ赤にする部長。

 

 そんな部長の顔の写真を撮ると、俺の背後に控えていた四人の中で一番年長そうに見えてデジカメを持ったセルベリアを交えて、イッセーの両親と再び話を始めた。セルベリアもなぜか母親のように対応して礼儀正しく挨拶を交わして話し始めた。

 

 部長のお父さんは木場に向かって手をあげる。

 

「木場くん」

 

「はい」

 

「すまないが、落ち着ける場所まで案内してくれないだろうか?」

 

「はい。それでは、ご案内します」

 

 木場はセルベリアと一誠の両親に一礼すると、廊下を歩きだした。

 

「それではリアス、神城エイジくん、兵藤一誠くん。私は少しお話をしてくる。サーゼクス、あとは頼めるな?」

 

「はい、父上」

 

 っておまえは残るのかよ!

 

「リアス」

 

「なんでしょう、お兄さま」

 

「ちょっと、いいだろうか。すまないね。エイジ。妹を少し借りるよ。朱乃くんも一緒にきてくれるかな?」

 

「はい」

 

 朱乃さんも応じていた。

 

 それからサーゼクスは2人をどこかへ連れて行った。取り残された俺らは何もすることがなかったので教室に戻った。

 

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