※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D 世界を渡る転生者   作:上平 英

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第34話 トップ会談

 

<エイジ>

 

 

「――さて、行くわよ」

 

 部室に集まるオカルト研究部の面々。リアスの言葉にうなずいた。

 

 そう、今日は3大勢力の会談の日だ。ついにこの日がやってきた。この日が終われば俺はリアスの……。

 

 会場となるのは、駒王学園の新校舎にある職員会議室だ。今日は休日。時間帯は深夜。

 

 すでに各陣営のトップたちは新校舎の休憩室で待機しているらしい。

 

 そして、何よりもこの学園全体が強力な結界に囲まれ、誰もなかへ入れなくなっていた。もちろん、会談が終わるまで外にも出られない。

 

 俺たちはリアスのあとに続いて部室をあとにしようとする。

 

『ぶ、部長! み、皆さぁぁぁぁぁぁん!』

 

 部室に置かれた段ボール。引きこもりのヴァンパイアが入っている。

 

「ギャスパー、今日の会談は大事なものだから、時間停止の神器を使いこなせていないあなたは参加できないのよ?」

 

 とリアスがやさしく告げていた。

 

 まあ、確かに神器をコントロールできないのは困るけど、それよりも男の娘が俺の傍にいること事態が困る。

 

「ギャスパー、おとなしくしてろよ」

 

「は、はい、イッセー先輩……」

 

 何やらうしろでイッセーとギャスパーとのやり取りが行われているが、……スマン。いま気力を消費するわけにはいかないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コンコン、リアスが会議室の扉をノックする。

 

「失礼します」

 

 リアスが扉を開くと、そこには――。

 

 特別に用意させたという豪華絢爛そうなテーブル。それを囲むように見知ったやつらが座っていた。

 

 悪魔側、サーゼクスとセラフォルーと給仕係りのグレイフィア。

 

 天使側、金色の羽のミカエルと美少女の天使さん。

 

 堕天使側、黒い悪魔の翼を12枚生やしたアザゼルと白龍皇のヴァーリ。

 

 アザゼルと目が合うと、アザゼルは口の端を愉快そうにあげた。ちっ、この前情けないところ見られたんだったな。

 

 3勢力のトップは皆正装で、装飾の凝った衣装を身に纏っていた。ちなみに俺も冥界で通っている黒と赤の衣装だ。

 

「私の妹と、その眷属――ひとり変わったのはいるが皆知っていると思う」

 

 おい、変わったのってなんだ、変わったのって!

 

「先日のコカビエル襲撃で彼女たちが活躍してくれた」

 

「報告は受けています。改めてお礼を申し上げます」

 

 ミカエルがリアスへ礼を言う。リアスは冷静に振る舞い、再度会釈をするだけだ。

 

「悪かったな、俺のところのコカビエルが迷惑をかけた」

 

 あまり悪びれた様子もないが、こちらもコカビエルの対応にやってきたヴァーリを、戦闘中だったからといえ、話も聞かずに打ち倒してしまったので何も言えない。

 

「そこの席に座りなさい」

 

 サーゼクスの指示を受け、グレイフィアが俺たちを壁際に設置された椅子を促してくれる。その席には支鳥先輩がすでに座っていた。

 

 会長の隣にリアスが座る。その横に俺が座り、その後には朱乃さん、木場、イッセー、アーシア、ゼノヴィア、小猫ちゃんと続いて座った。

 

 それを確認したサーゼクスが言う。

 

「全員がそろったところで、会談の前提条件をひとつ。ここにいる者たちは、最重要禁則事項である『神の不在』を認知している」

 

 支取先輩はコカビエルの話を聞いていないはずだから、会談前に誰かから聞いたんだろう。

 

「では、それを認知しているとして、話を進める」

 

 こうして、サーゼクスのその一言で三大勢力の会談が始まった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会談は順調に進んでいった。

 

 サーゼクス、セラフォルー、ミカエル、アザゼルの4人がそれぞれ喋り続けていた。

 

 俺は暇だったのでリアスの顔を眺めていると、リアスが苦笑した。俺の手を握り、握った。リアスの手はわずかに震えていた。――緊張しているんだろう。

 

 俺は無言でリアスの手を握り返す。だいじょうぶだと、やさしく――。

 

(あらあら、部長とエイジくんは会談中でもラブラブですわね)

 

(エイジの手から勇気をもらってるのよ。やっぱり、これが一番効果あるわね)

 

 リアス! 俺の勇気ならいくらでも持っていってくれ!

 

 リアスの手に集中しながら会談を聞いていると、部長のコカビエル襲撃の報告となり、アザゼルが和平の話を持上げてきた。ってアザゼルが神器持ちを集めてたのは3大勢力の戦争のためじゃなくて、やっぱり研究のためかよ。

 

「そう。次の戦争をすれば、3すくみは今度こそ共倒れだ。そして、人間界にも影響を大きく及ぼし、世界は終わる。俺らは戦争をもう起こせない」

 

 アザゼルは真剣な面持ちになる。

 

「神がいない世界は間違いだと思うか? 神がいない世界は衰退するか? 残念ならがそうじゃなかった。俺もおまえたちもいまこうしやって生きている」

 

 アザゼルは腕を広げながら言った。

 

「――神がいなくても世界は回るのさ」

 

 まっ、それもそうだな。大昔に死んでいて、いまも俺らは何も変わらずに生きているんだから、神は本当に必要なものだったのかわからないよな。

 

 それから会談は戦力うんぬんの話しに移り、現在の兵力と、各陣営との対応、これからの勢力図の話しに移った。

 

「――と、こんなところだろうか?」

 

 サーゼクスのその一言で、お偉い方々が大きく息を吐いていた。

 

 それからミカエルが俺たちのオカルト研の方へ視線を向けていた。

 

「さて、話し合いもだいぶ良い方向へ片付きましたし、黒の聖職者……いえ、黒い捕食者と赤龍帝どのお話を聞いてもよろしいかな?」

 

 全員の視線がこちらに向いた。

 

「赤龍帝はわかるが、俺もか?」

 

 3大勢力のトップたちはうなずいた。

 

「ええ。この場でもう一度どの勢力へつくか宣言して欲しいのです。あなたは魔王や神と同格の力と有能な僕をお持ちですから、この場で改めてあなたがどちらの勢力へ付き、和平に合意してくれるかを訊きたいのです」

 

 ああ、そういうことね。

 

 俺は尻尾と羽根を出して言う。

 

「個別の会談でも言ったと思うが、俺は人間ベースの転生悪魔から本物の悪魔になったみたいだから、当然悪魔側だし、俺の王は1人だからな」

 

 俺はリアスの手を握る。

 

「俺は俺が認めた王の元にいくさ」

 

「え、エイジ……」

 

 部長の顔が真っ赤になる。

 

「あははははっ! お前が悪魔側についた理由は本当にそれだったのか! くくくくくっ、まさか誰も魔王クラスの男が『惚れたから』って理由でどこの勢力につくか決めるなんて思わないだろうな!」

 

 とアザゼルが笑い声をあげ、サーゼクスも俺らを見て笑い声を漏らし、ミカエルはなぜか満足げにうなずき、セラフォルーは顔を膨らませて俺を睨んでいた。

 

 アザゼルが笑い終えたところで、イッセーに訊ねた。

 

「で、赤龍帝、おまえは?」

 

 アザゼルに訊かれたイッセーは見返るのほうを向いて、アーシアに言った。

 

「アーシア。アーシアのことをミカエルさんに訊いていいかな?」

 

「イッセーさんがお訊きしたいのでしたら、構いません。私はイッセーさんを信じていますから」

 

 イッセーはミカエルを見て訊いた。

 

「アーシアをどうして追放したんですか?」

 

 え? いまここで?

 

 俺は驚いたが、ミカエルは真摯な態度で答えだした。

 

 神が死んで神が使っていた『システム』だけが残り、その『システム』をミカエルたち上級の天使の一部が引き継いで『システム』を使い、信徒に加護を与えていたそうだが、その『システム』は容易に扱えるものではなく、いろいろ不都合が起こったそうで、その不都合が禁手というバクや、アーシアの神器で悪魔や堕天使の傷を癒すことができたり、木場が本来交じり合うことのない魔と聖の聖魔剣を創りだせた理由で、神の不在を知られるわけにはいかなかったから、アーシアを切り捨てたという話だった。

 

 そして他にも『システム』に影響を及ぼすものがあった。

 

 神の不在を知るものだ――。つまり、ゼノヴィアもどちらにしろ教会側から追い出される運命だったのだ。

 

「そうです、ゼノヴィア。あなたを失うのはこちらとしても痛手ですが、我々『熾天使(セラフ)』と一部の上級天使で神の不在を知った者が本部に直結した場所に近づくと『システム』に大きな影響が出るのです。――申し訳ありません。あなたとアーシア・アルジェントを異端とするしかなかった」

 

 ミカエルがアーシアとゼノヴィアへ頭を下げる。

 

 ミカエルが謝ったことに2人は目を丸くしていたが、すぐにゼノヴィアは首を横に振り、微笑んだ。

 

「いえ、ミカエルさま、謝らないでください。これでもこの歳になるまで教会に育てられた身です。いささか理不尽を感じていましたが、理由を知ればどうということもありません」

 

「あなたが悪魔に転生したこと。そてはこちらの罪でもあります」

 

「いいのです。……多少、後悔も致しましたが、教会に仕えていた頃にはできなかったこと、封じていたことが現在私の日常を華やかに彩ってくれています。そんなことを言ったら、他の信徒に怒られるかもしれませんが……。それでもいまの私はこの生活に満足しているのです」

 

 ゼノたん、俺たちとの生活をそんな風に感じていたのか……。

 

 アーシアも手を組みながら言う。

 

「ミカエルさま、私もいま幸せだと感じております。大切なヒトたちがたくさんできましたから、それに憧れのミカエルさまにお会いしてお話もできたのですから光栄です!」

 

 ミカエルはゼノヴィアとアーシアの言葉に安堵の表情を見せていた。

 

「すみません。あなたたちの寛大な心に感謝します。デュランダルはゼノヴィアにお任せします。サーゼクスの妹君の眷属ならば下手な輩に使われるよりも安全でしょう」

 

 ミカエルはそして今度は俺を見て笑った。ま、まさか――。

 

「もしも、あなた方がまだ信仰心を失わずに祈りを捧げたいというのでしたら、あなた方には悪魔への祈りのダメージをなくす措置をとりますがどうされますか?」

 

「お祈りしてもいいんですか!」

 

「私も神がいないとわかっていても祈りは捧げたいです」

 

「ええ。個々の会談の席で黒い捕食者殿が要求されたことなのでだいじょうぶですよ」

 

 ――っ!

 

 再び部屋のなかの視線が俺へ集まる。って――。

 

「こんなところで内容をバラスなよな」

 

 俺の抗議の声にミカエルは微笑むだけだ。本当にこいつ天使か? 

 

「ありがとうございます、エイジさん!」

 

「ありがとう、エイジ」

 

 2人が嬉しそうな顔でお礼を言ってくる。

 

「べ、べべ、別に他に要求することがなかっただけだ!」

 

 そう言って顔を背けると、イッセーが「ツンデレか?」とつぶやいたので殴っておいた。

 

 それからイッセーがアザゼルにレイナーレの事件で悪魔になったことや、アーシアが殺されそうになったことを言ったが、アザゼルに当然なことだし、悪魔化して不都合があったかと訊かれて軽く論破されていた。

 

 それからアザゼルは『世界をかえることのできる力を宿している』白龍皇のヴァーリと赤龍帝のイッセーに世界をどうしたいか訪ね、ヴァーリは戦いを求め、イッセーは世界が平和になってアーシアや女の子たちをエッチなことをしまくると宣言して、全員から苦笑され、リアスには呆れられていた。

 

 そして、イッセーの『赤龍帝の力を仲間を守ることに使う』と宣言していたところでイッセーの声が途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーが固まっている。いや、部屋のなかにいるほとんど者が停められいた。

 

「これはギャスパーか?」

 

 俺がつぶやくと、サーゼクスがうなずいた。

 

「ああ、そうだろうね。おそらく会談を狙ったテロだ」

 

 テロか……まあ、テロぐらいあるか。

 

 サーゼクスはグレイフィアと話し合いを始めた。

 

 動ける人数を確認すると、お偉いさんの全員とリアス、木場、ゼノヴィア、そしてイッセーが先ほど時間停止から回復した。

 

「エイジは魔王クラス、イッセーは赤龍帝を宿す者、祐斗は禁手に至り、イレギュラーな聖魔剣を持っているから無事なのかしら。ゼノヴィアは直前になってデュランダルを発動させたのね」

 

 リアスは冷静に状況を整理し、ゼノヴィアは聖剣デュランダルを異空間へ納めながら言う。

 

「時間停止の感覚はなんとなく、体で覚えた。――停止させれる寸前にデュランダルの力を盾に使えば防げると思ったけど、正解だった」

 

 ゼノヴィアってスペックマジで高いなぁ。

 

 で、外を見てみると新校舎が攻撃されていた。

 

 黒いローブ姿の魔術師で、かなりの人数が攻撃していて攻撃の音が鳴り止まない。

 

 アザゼルは敵が魔術師で人間が悪魔のように力をふるえるようになった存在だと説明し、さらに譲渡系の力でギャスパーの時間停止の神器の力を増大させて暴走させていることを説明した。

 

「ギャスパーは旧校舎でテロリストの武器にされている……。どこで私の下僕の情報を得たのかしら……。しかも、大事な会談を付けねらう戦力にされるなんて……ッ! これほど侮辱される行為もないわっ!」

 

 リアスは全身から紅いオーラを放ちながら怒りを露にした。

 

「ちなみにこの校舎を外で取り囲んでいた堕天使、天使、悪魔の軍勢も全部停止させられているようだぜ。まったく、リアス・グレモリーの眷属は末恐ろしい限りだ」

 

 アザゼルが部長の方に手をポンと置くが、リアスは容赦なく払いのけた。

 

 払いのけられたアザゼルは嘆息しながらその手を窓に向ける。すると、外の空に無数の光の槍らしきものが出現して、バッ! アザゼルが手を下げるのと同時に光の槍が雨となって、魔術師たちに降り注ぐ。テロリストどもは防御障壁を展開するが、それをなんなく貫いて一掃してします。

 

 あーあ……可愛い女の子ばっかりだったのに、もったいねぇなぁ。

 

 アザゼルの一撃でかなり数は減ったが、また再び新たな敵が転移してきて攻撃を再開する。

 

「さっきからこれの繰り返しだ。俺たちが倒しても倒しても現れる。しかし、タイミングといい、テロの方法といい、こちらの内情に詳しい奴がいるのかもしれない。案外、ここに裏切り者がいるのか?」

 

 呆れるようにアザゼルは息を吐く。

 

「ここから逃げられないんですか?

 

 イッセーの質問にアザゼルは首を横に振る。

 

「逃げないさ。学園全体を囲う結界を解かないと俺たちは外へ出られない。だが、結界を解いたら人間界に被害を出すかもしれないだろ。俺は相手の親玉が出てくるのを待っているんだよ。しばらく篭城していれば痺れを切らせて顔を出すかもな。早く黒幕を知りたいもんだ。それに下手に外へ出て大暴れすると敵の思う壺かもしれないってわけだ」

 

 じゃあこのまま待つのかな?

 

「というように、我々首脳陣は下調べ中で動けない。だが、まずテロリストの活動拠点となっている旧校舎からギャスパーくんを奪い返すのが目的となるね」

 

 と、サーゼクスが言う。まっ、あいつに動きを停められてる間に他の奴にグサッと殺されたらマズイもんな。

 

「お兄さま、私が行きますわ。ギャスパーは私の下僕です。私が責任を持って奪い返しに行きます」

 

 強い意志を瞳に乗せて部長が進言する。サーゼクスはふっと笑う。

 

「言うと思っていたよ。妹の性格ぐらい把握している。――しかし、旧校舎までどう行く? この新校舎の外は魔術師だらけだ。通常の転移も魔法に阻まれる」

 

「――つ」

 

 部長が口ごもる。俺は1枚の栞を懐から出す。

 

「これを使えば旧校舎の部室まで転移できます」

 

「え!?」

 

「これは俺が以前創っておいた魔法で妨害されずに、栞に登録された場所へ転移できることのできる魔道具なんです。使いきりで、もともと1人用ですが、2人までなら転移可能です」

 

「それがあれば部室までいけるな」

 

「ちなみにどこに出るの?」

 

「…………シャワールームの前です」

 

「…………いまは深くは聞かないでおくわ」

 

 で、誰がギャスパーを助けに行くとなったんだが、1人はリアスで、もう1人は――。

 

「俺が行きます!」

 

 とイッセーが手をあげた。

 

「そうね。エイジはギャスパーを視界に入れれないし」

 

 と部長が言い。2人でギャスパーを救出作戦に向かうことになった。

 

 ううっ……きちんとギャスパーを克服していれば……。

 

 そのあとイッセーはアザゼルから対価無しで禁手化でき、神器を制御できるようになるリングをギャスパーの分と合わせて2つ貰って、旧校舎へと転移する用意を始めた。

 

「さてと……じゃあ、神城、ヴァーリ」

 

「なんだよ、アザゼル」

 

「おまえらは外で敵の目を引け。黒い捕食者と白龍皇が前に出てくれば、野朗どもの作戦も多少は乱れるだろうさ。そてに何かが動くかもしれない」

 

「俺はいいぜ。り……、部長たちの存在を少しでもあちら側に気づかれない状況にしたほうがいいからな」

 

 俺は二つ返事でうなずいたが、ヴァーリはうなずかない。

 

「俺がここにいることはあっちも承知なんじゃないかな?」

 

「だとしても、転移不能な場所で赤龍帝が中央に転移してくるとまでは予想していないだろう。注意を引きつけるのは多少なりとも効果はあるさ」

 

「旧校舎のテロリストごと、問題になっているハーフヴァンパイアを吹き飛ばしたほうが早いんじゃないかな?」

 

「和平を結ぼうってときにそれはやめろ。最悪の場合、それにするが、魔王の身内が助けられるなら、助けたほうがこれからのためになる」

 

「了解」

 

 アザゼルがそこまで言ってやっとうなずいたヴァーリ。

 

 カッ! ヴァーリの背中に光の翼が展開する。

 

「へぇ、キレイなもんだな」

 

 光り輝く翼に感想をもらすと、ヴァーリはふっと笑った。

 

「―― 禁 手 化 (バランス・ブレイク)

 

『Vanisihing Dragon Breaker!!!!!!』

 

 音声のあと、ヴァーリの体を真っ白なオーラが覆う。光が止んだとき、奴の体は白い輝きを放つ全身鎧(フル・プレート)に包まれていた。最後にマスクがシュバッとヴァーリの顔を覆った。

 

 イッセーが禁手化したヴァーリに注目していた。おそらく、自分と違って完璧に禁手になれるヴァーリとの力の差を感じているんだろう。

 

「さてと……俺も新に得たインキュバスの能力でも使うか」

 

 そう言いながらバッと背中にサキュバスの羽と先がハート型になっている漆黒の尻尾を出した。

 

「なんだ? インキュバスの能力を使えるようになったのか?」

 

 アザゼルが訊いてくる。

 

 俺は尻尾を動かしながら言う。

 

「ああ。かなり苦労と修行を重ねてサキュバスに力の使い方を教わったりして、だいたい6割から7割ほどサキュバスの……いや、インキュバスの能力を自在に使えるようになったな。まあ、その代わり本来の能力が不安定になって、本来の能力は使えなくなっているがな」

 

「おいおい、それでだいじょうぶなのか?」

 

「サキュバスの能力は攻撃性がないのに、だいじょうぶなの?」

 

 アザゼルと心配そうな顔になったリアスが訊ねてくる。

 

 俺は自身を満々でうなずく。

 

「ああ。だいじょうぶだ。俺は能力だけじゃなくて戦闘技術も磨いているからな。それにインキュバスとなった俺の初のデビュー戦だ。思う存分暴れさせてもらうさ」

 

 窓のほうを向いてヴァーリの隣に並ぶ。

 

「じゃあ、行ってきます」

 

「ええ。いってらっしゃい」

 

 俺はリアスの言葉を背に戦場へ飛び出した――。

 

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