※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D 世界を渡る転生者   作:上平 英

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第40話 新人悪魔の会合

 

<イッセー>

 

 

「私はシーグヴァイラ・アガレス。大公、アガレス家の次期当主です」

 

 先ほどのメガネのお姉ちゃん――アガレス家のお嬢さまに俺たちグレモリー眷属はあいさつしてもらう。

 

 大広間はあのあと、駆けつけたスタッフの魔力によって修復され、ほぼ元に戻った。

 

 改めて若手が集まり、あいさつを交わしていた。さっきのヤンキーとその眷属を抜かした者たちでテーブルを囲んでいる。

 

 部長――グレモリー眷属、会長――シトリー眷属、サイラオーグさんのバアル眷属。そして、先ほどのヤンキーがグラシャラボラス眷属らしい。

 

 しかし、この姉ちゃん、大公の次期当主かよ! 大公さまは、俺たち悪魔に命をくだす魔王さまの代理人!

 

 魔王さまが会社の社長なら、大王さまは副社長、大公さまは専務だと部長に聞いたことがある。その大公の次期当主の姉さんが先ほどからエイジにすごく熱い視線を送ってる! エイジもそれににこやかに応えているし、結構親しそうだ。

 

「ごきげんよう、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主です」

 

「私はソーナ・シトリー。シトリー家の次期当主です」

 

 部長と会長が続けてあいさつする。

 

 主たちが席に着き、眷属はその主の後方で待機している感じだ。どこも一緒。

 

「俺はサイラオーグ・バアル。大王、バアル家の次期当主だ」

 

 堂々と自己紹介してくれるサイラオーグさん。やっぱり威風堂々している。やっぱりナンバー1は格が違うんだろうな。

 

 先ほど、騒ぎのなか優雅にお茶を飲んでいたやさしげな雰囲気の少年も口を開く。

 

「僕はディオドラ・アスタロト。アスタロト家の次期当主です。皆さん、よろしく」

 

 なんともやさしげな声だとこ。虫も殺せないような感じだけど、そこは悪魔。この人も裏じゃすごいかもしれない。

 

 アスタロト……。えっと、確か、現ベルゼブブさまが出た名家だっけ。

 

 さっきのヤンキーはグラシャラボラスだから、現アスモデウスさまが出たところだったはず。

 

 あんなのが次期当主でいいのか? 話では、フリーダムすぎる魔王さまの影響で兄弟は皆真面目だと聞いていたんだけど。

 

「グラシャラボラス家は先日、御家騒動があったらしくてな。次期当主とされてた者が不慮の事故死をとげたばかりだ。先ほどのゼファードルは新たな次期当主の候補ということになる」

 

 サイラオーグさんがそう説明してくれた。

 

 マジか。グラシャラボラス家は大変なことになっているんだな。しかし、あんなのが次の候補では大変だと思うんだが……。ま、他のお家のことには首を突っ込まないほうがいいかもね。

 

 こうして若手悪魔6名がそろったわけだ。どの悪魔の眷属さんも強そうなのばかりだ……。俺が一番弱く見えてそうでさ……。気が引ける。

 

 グレモリーがルシファー、シトリーがレヴィアタン、アスタロトがベルゼブブ、グラシャラボラスがアスモデウス、そして大王と大公。この6家ってことか。

 

 すげえメンツだ! 何、このドリームメンバー! なるほど、これが有望な若手悪魔なわけね。確かに有望というか、将来を背負って立ちそうなメンバーだよ。

 

 皆、上級の世界にいるせいか、振る舞いや漂うオーラが違う。このメンバーを集めて旧家や上級悪魔のお偉いさんは何を見たいのかな?

 

「おい、兵藤。間抜けな顔を見せるなよ」

 

 匙が嘆息しながら俺にそう言う。

 

「だってよ、上級悪魔の会合だぜ? 緊張するじゃないかよ。皆、強そうだ」

 

「何言ってんだよ。おまえは赤龍帝だぞ? もう少し堂々とすればいいじゃないか。神城を見てみろよ」

 

「エイジを?」

 

 匙に言われてエイジを見ると、エイジは堂々と部長の後ろに待機していた。しかも、アガレス家の姉ちゃんだけじゃなく、次期当主の悪魔さんやその眷属たちに品定めしているような視線を送られている。

 

「さすが、『黒い捕食者』だよ。探るような視線も殺気も歯牙にかけずに堂々と主の後で待機してるんだ。マジで格が違う。冥界に来てから会長の城で神城の活躍するアニメとか映画や捕らえた賞金首のリストを見せてもらったけど、本当に魔王クラスだよあいつ」

 

 と匙が羨望の眼差しでエイジを見ていた。

 

「眷属悪魔はこの場で堂々と振る舞わないといけないんだ。相手の悪魔たちは主を見て下僕を見るんだからな。だから、おまえがそんなんじゃ、先輩にも失礼だ。神城みたいにちったぁ自覚しろ、おまえはグレモリー眷属で、赤龍帝なんだぞ」

 

 匙から強面に意見されて、俺もちょっと驚いた。

 

「おまえは先輩自慢の眷属だからな。……俺だって、会長の自慢になってみたいさ」

 

 匙は苦笑しているけど……。なんだ? どうしたんだ、こいつ?

 

 疑問に感じる俺。そこへ扉が開かれ、使用人が入ってくる。

 

「皆さま、大変長らくお待ちいただきました。――皆さまがお待ちでございます」

 

 ついに行事とやらが始まる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺たち若手悪魔の面々が案内されたのは、異様な雰囲気が漂う場所だった。

 

 かなり高いところに席が置かれており、そこに偉そうな方々が座っている。さらにその上の段にも偉そうな悪魔の皆さん。

 

 もうひとつ上の段には見知った顔の方――魔王サーゼクスさまがいらっしゃった。隣にはセラフォルーさま。今日は魔王少女の姿じゃないのね。

 

 俺たちはお偉いさんに高い位置から見下ろされている状態だ。正直、あまり気持ちのいいものじゃない。お偉いさんたちも俺らを見下した目で見ているからだ。嫌な感じだぜ。

 

 俺たちは部長のうしろに並んで待機していた。特にすることもないんだけどね。それでも緊張するなぁ。だって、すっごく静寂なんだもん……。仕方ないから、他の眷属の女の子を見ていよう。

 

 獣娘や元人間の娘もいるみたいだしさ。あとで仲良くしてもらえたら最高だな。

 

 などと俺が下心全開にしていたら、部長を含めた若手6人が一歩前に出る。ヤンキーも復活して同様に一歩前へ出ていた。頬の腫れはいまだに引かないようで生々しい痕を残していた。まあ、あれだけのパンチだ。アーシアの回復神器でも当てない限り、すぐには消えないだろう。

 

「よく、集まってくれた。次世代を担う貴殿らの顔を改めて確認するため、集まってもらった。これは一定周期ごとにおこない、若き悪魔を見定める会合でもある」

 

 初老の男性悪魔が手を組みながら、威厳の声で言う。

 

「さっそく、やってくれたようだが……」

 

 今度はヒゲたっぷりの男性悪魔が皮肉げに言う。さっきの騒動のことだな。さっそくやってましたね。俺もビックリです。若手の至り?

 

「キミたち6名は家柄、実力共に申し分ない次世代の悪魔だ。だからこそ、デビュー前にお互い競い合い、力を高めてもらおうと思う」

 

 一番上の段のサーゼクスさまがおっしゃられる。

 

 ってことは、ここにいる眷属悪魔たちでレーティングゲームをやれってことか? そういえば、アザゼル先生が言ってたな。冥界での合宿中にレーティングゲームをセッティングしたって。もしかして、これのことか?

 

「我々もいずれ『 禍 の 団 (カオス・ブリゲード)』との戦に投入されるのですね?」

 

 サイラオーグさんがいきなり直球を訊く。こりゃすごいこと訊ねるもんだね。

 

「それはまだわからない。だが、できるだけ若い悪魔たちを投入したくないと思っている」

 

 サーゼクスさまはそうお答えになられる。その応えにサイラオーグさんは納得できないように眉をつり上げた。

 

「なぜです? 若いとはいえ、我らとて悪魔の一端を担います。この歳になるまで先入の方々からご厚意を受け、なお何もできないとなれば――」

 

「サイラオーグ、その勇気は認めよう。しかし、無謀だ。何よりも成長途中のキミたちを戦場に送るのは避けたい。それに次世代の悪魔を失うのはあまりに大きいのだよ。理解して欲しい。キミたちはキミたちが思う以上に我々にとって、宝なのだよ。だからこそ、大事に、段階を踏んで成長して欲しいと思っている」

 

 サーゼクスさまのお言葉にサイラオーグさんも「わかりました」といちおうの納得をしたようだ。でも、不満ありそうな表情だな。

 

 その後、お偉いさんたちの難しいお言葉やら魔王さまからの今後のゲームについてなど、難しい話が続いた。俺はちんぷんかんぷんで頭がパンクしそうだった。

 

 早く終わらないものか。って、終わったところで休む間もなく、合宿の修行が始まるんだよね。でも、ベッドで一眠りぐらいしてから修行に臨みたいもんだ。

 

「さて、長い話に付き合わせてしまって申し訳なかった。なに、私たちは若いキミたちに私たちなりの夢や希望を見ているのだよ。それだけは理解して欲しい。君たちは冥界の宝なのだ」

 

 サーゼクスさまの言葉に皆聞き入っていた。魔王さまの言葉には嘘偽りが含まれていないのが聞いていてわかる。やっぱ部長のお兄さんだね。基本的におやさしいと思うんだ。

 

「最後にそれだけの今後の目標を聞かせてもらえないだろうか?」

 

 サーゼクスさまの問いかけに最初に答えたのはサイラオーグさんだった。

 

「俺は魔王になるのが夢です」

 

 ――っ! いきなり、言い切ったよ、この人! すげえ!

 

『ほう……』

 

 お偉いさんたちも、正面から迷いもなく言い切ったサイラオーグさんの目標に、感嘆の域を漏らしていた。

 

「大王家から魔王が出るとしたら前代未聞だな」

 

 お偉い男性悪魔の方がそう言う。

 

「俺が魔王になるしかないと冥界の民が感じれば、そうなるでしょう」

 

 また言い切った! すっごいな、この人!

 

 驚く暇もなく、次は部長が言う。

 

「私はグレモリーの次期当主として生き、そしてレーティングゲームの各大会で優勝することが近い将来の目標ですわ」

 

 なるほどね。それが部長の夢、目標なのか。初めて耳にした気がする。堅実だな。部長らしいや。おし! 俺ら眷属はその部長の夢のためにがんばるぜ!

 

 そのあとも若手の人たちが夢、目標を口にし、最後に残ったのはソーナ会長だった。

 

 そして、ソーナ会長は言う。

 

「冥界にレーティングゲームの学校を建てることです」

 

 学校か! へぇ、会長は学校を建てたいんだな。

 

 と、俺は感心していたのだが、お偉いさんたちは眉を寄せていた。

 

「レーティングゲームを学ぶところならば、すでにあるはずだが?」

 

 確認するかのようにお偉いさんは会長に訊く。

 

 会長は淡々と答える。

 

「それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔のみしか行くことが許されない学校のことです。私が建てたいのは下級悪魔、転生悪魔も通える分け隔てない学舎です」

 

 おおっ、差別のない学校か。それはいいな。これからの冥界にとって、良い場所になるんじゃないかな。匙も誇らしげに会長の夢を聞き入っていた。

 

 しかし――。

 

『ハハハハハハハハハハハハハハハッ!』

 

 お偉いさんたちの笑い声がこの会場を支配する。

 

 俺は意味がわからなかった。なんでお偉いさんたちが笑い出したのか。部長のほうへ顔を向ければ、目を細めて難しい顔になっていた。え? え? どういうこと?

 

 理解できない俺。匙も突然の笑い声に驚いていた。

 

 そしてお偉いさんたちは嘲笑を浮べながら口々に言う。

 

「それは無理だ!」

 

「これは傑作だ!」

 

「なるほど! 夢見る乙女というわけですな!」

 

「若いというのはいい! しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がそのような夢をかたるとは。ここがデビュー前の顔合わせの場でよかったというものだ」

 

 わからない。どうして会長は――バカにされているんだ?

 

「……いまの冥界がいくら変わりつつあるとしても、上級と下級、転生悪魔、それらの間の差別はまだ存在する。それが当たり前だといまだに信じている者たちも多いんだ」

 

 隣で木場が淡々と口にしていた。

 

「なんだ、それ? だって、部長のお家は俺たちを普通に迎え入れてくれたじゃないか」

 

「イッセーくん。グレモリーは情愛が深い悪魔の一族だ。あまり人間にも下級悪魔にも差別的な目を向けない。……だけど、フェニックスを思い出してくれ」

 

「――っ」

 

 木場の言葉に脳裏でライザー・フェニックスが思い出される。確かに、あいつは俺をバカにしていた。下級だと下僕だと。俺に差別的な態度を取っていたかもしれない。

 

 そんななかでも会長は真っ直ぐに言う。

 

「私は本気です」

 

 セラフォルーさまもうんうんと力強くうなずいていた。「よく言った!」と言わんばかりのご様子だ。魔王という立場上、妹を応援できないのだろうが、それでも心配そうだった。

 

 しかし、冷徹な言葉をお偉いさんは口にする。

 

「ソーナ・シトリー殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔たる主に仕え、才能を見出されるのが常。そのような養成施設をつくっては伝統と誇りを重んじる旧家の顔を潰すこととなりますぞ? いくら悪魔の世界が変革の時期に入っていると言っても変えていいものと悪いものが……」

 

 ピリッ!

 

 会場の空気が一瞬凍った。会場のすべての悪魔が目を大きく見開いて驚き、動けないでいた。な、何? 何が!?

 

「すみません、発言を許可してほしいのですが、よろしいでしょうか?」

 

 ――エイジだった。すごい笑顔だけど背景というか、体から漂うオーラはとんでもない! 先ほどのアガレスの姉ちゃんとヤンキー悪魔のオーラより格段に強い!

 

 お偉いさんたちもかなりビビッて顔に汗をかいているほどだ。

 

「……い、いいだろう。発言を許す」

 

 お偉いさんの許可を出した。さ、さっきまでの高圧的な態度が一変してる!

 

 一歩前に出て軽く会釈してから口を開くエイジ。

 

「あなた方はソーナ・シトリー殿をなぜ笑うのですか?」

 

「そ、それは下級悪魔や転生悪魔は、主に才能を……」

 

「では下級悪魔や転生悪魔は弱いというのですか?」

 

 エイジはお偉いさんに笑顔を向けるがマジで怖い! お偉いさんマジでビビッているよ! エイジは一応転生悪魔で下級悪魔になってるけど、実力は魔王クラスだから、言葉の重圧がすごく重い! 

 

「下級悪魔や転生悪魔でも才能があるものは存在します。ソーナ・シトリー殿が将来学校を設立し、下級悪魔や転生悪魔たちに教育を施せば、悪魔全体の力を高めることになるでしょう。――確かに伝統や格式は大事です。ですが、先ほどサーゼクスさまがおっしゃった通り、次世代の悪魔たちは宝。その次世代の悪魔たちが成長する場が多くなることは素晴らしいことではないですか?」

 

「……う、うむ。そ、それはそうだな……」

 

 おおっ! お偉いさんがうなずいている!? 言いくるめられてる!? いや、言いくるめるって言うより圧力かけて脅しているに近いな……。

 

 エイジはあの怖い笑顔を向けながらさらに続けた。

 

「それに、この会合は有望な新人悪魔が集まり、自らの目標や夢を掲げるが目的ですよね? その会合でソーナ・シトリー殿が掲げた目標や夢を笑うとはあまりにも失礼ではないですか? 偉大な悪魔なら、どんな夢や目標も応援しろ、とまでは言いませんが、受け入れる度量を見せてもいいはずではないのですか」

 

『………………』

 

 お偉いさんたちは黙ってる。え、エイジ……少し言いすぎじゃないか? セラフォルーさまは「グッド!」と満面の笑みで拳を突き出して親指を立ててるけど。

 

 長い沈黙のあと、ソーナ先輩の目の前に位置していたお偉いさんの悪魔が頭を下げた。えっ!? 他のお偉いさんたちも頭を下げてる!

 

「……ソーナ・シトリー殿、どうやらこちらに無礼があったようだ。下級悪魔や転生悪魔の学校を建てることを素直に応援はできないが、認めよう。笑いものにしてすまなかった」

 

 お偉いさんたちが自分たちの非を認めた! っていうかすげえな、エイジ。まるで隙を見せない! マジで格の違いってのを見せられた気がする!

 

 ソーナ先輩はお偉いさんたちからの突然の謝罪に、少し戸惑いながらも受け入れた。

 

 と、そこでエイジからお偉いさんたちへ発せられていた重圧がなくなり、エイジは部長の後ろのポジションに戻った。お偉いさんはエイジからの重圧から解放されて大きなため息を吐いていた。

 

 そこにニコニコ笑顔のサーゼクスさまが提案してきた。

 

「新人悪魔同士のレーティングゲームで執り行うつもりだったんだ。リアス、ソーナ、戦ってみないか?」

 

 ――っ! い、いきなりだな! 魔王さま! 予想外のことに俺と眷属も驚愕した。

 

「…………」

 

「…………」

 

 部長と会長も顔を見合わせ、目をパチクリさせて驚いていた。

 

「もともと、近日中にリアスのゲームをする予定だった。アザゼルが格勢力のレーティングゲームファンを集めてデビュー前の若手の試合を観戦させる名目もあったものだからね。だからこそ、ちょうどいい。リアスとソーナでひとゲーム執り行ってみないではないか」

 

 サーゼクスさまのお話から察するに、その間戦試合とやらはアザゼル先生が俺たちに用意していた合宿修行の総仕上げをする予定ゲーム!

 

 ――俺らの相手は会長! 生徒会!

 

 マジか! いきなり駒王学園に通う悪魔同士が対決!?

 

 部長は一度息を吐くと、挑戦的な笑みを会長に見せる。おおっ! 部長はやる気だ!

 

 会長も冷笑を浮べだした! こっちもやる気全開!

 

「公式ではないとはいえ、私にとっての初のレーティングゲームの相手があなただなんて運命を感じてしまうわね、リアス」

 

「競う以上は負けはしないわ、ソーナ」

 

 さっそく火花が散ってる! おいおいおいおい! 部長対会長、オカルト研究部対生徒会かよ!

 

「リアスちゃんとソーナちゃんの試合! うーん☆ 燃えてきたかも!」

 

 セラフォルーさまも楽しげだ!

 

「対決の日取りは、人間の時間で8月20日。それまで各自好きに時間を割り振ってくれてかまわない。詳細は改めて後日送信する」

 

 サーゼクスさまの決定により、こうして部長と会長のレーティングゲームが開始されることになった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お偉いさんたちとを含めた新人悪魔の会合を終えてすぐ。次々と新人悪魔やその眷属が帰っていくなか、エイジのもとへアガレスの姉ちゃんとその眷属の女の子たちがあいさつに来ていた。

 

「先ほどはお見苦しいところをお見せしてしまいましたわね」

 

「キミみたいな美少女に暴言を吐こうとしたんだ。あれは100%グラシャラボラス家の次期当主が悪いよ」

 

「そんな美少女だなんて……」

 

 と、頬を赤らめるアガレスの姉ちゃん。すげえな、マジでヤンキー悪魔と睨みあってた同一人物と思えねえ! って部長と朱乃さんの体からオーラが出てる!? え、エイジ! ヤバいぞ! 気づけ!

 

「じゃあ、またお会いしましょう、神城さま」

 

「はい、また」

 

 恥ずかしそうに小さく手を振りながら帰っていくアガレスの姉ちゃんとその眷属たち。

 

 そのあと部長の元に戻ろうとしたエイジの腹に何かが飛び込んできた――レヴィアタンさまだった!

 

「ブラたん! さっきはすっごく格好よかったよ!」

 

 レヴィアタンさまが満面の笑みでエイジの首に手を回して抱きついてる。かなりご機嫌のようでぴょんぴょん飛び跳ねている。

 

「セラたん、ちょっと――んっ!」

 

 なあぁぁぁぁ!? キスされやがった! しかも口にっ!

 

「お姉さま! 何をしているんですか! はしたなすぎます、離れてください!」

 

 後方からソーナ会長がやってきて無理やりレヴィアタンさまを引き離そうとしているが、レヴィアタンさまはまったく離れる気がないご様子で頬をエイジに擦り付けている! なんてうらやましいんだ!

 

 そこに、とうとう我慢できなくなったのか部長と朱乃さんがエイジの耳を引っ張った。

 

「いたたたた……」

 

 それでようやくレヴィアタンさまからエイジが引き離された。

 

「もう! お姉ちゃんとブラたんとのラブシーンを邪魔しないでよ!」

 

 不満そうにおっしゃるレヴィアタンさま。ソーナ会長はそれを無視してエイジに向かって軽く頭を下げた。

 

「先ほどはありがとうございました」

 

 ああ、さっきお偉いさんが会長さんの夢を笑ったことに意見して、お偉いさんたちに謝罪させたからか。

 

「いや、別にいいですよ。それよりも、その夢を大事にしてください。俺は支取会長の夢を応援しますよ」

 

 エイジは自然な笑みを浮かべて言った。その笑みで会長さんは顔を赤らめた。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

「……さっきはありがとな」

 

 と、匙も一言で小さい声だったがエイジに礼を言っていた。そこに再びレヴィアタンさまが爆弾発言をする。

 

 ニコニコ笑顔でエイジと支鳥会長の手を取りながら、

 

「なになに、ソーナちゃん☆ やっぱり私とブラたんの3人でエッチする? お姉ちゃん、大歓迎だよ☆」

 

「な、何を言っているんですか!? もうっ! 帰りますよ!」

 

「あんっ、ブラた~ん! また今度ね~☆」

 

 ソーナ先輩はレヴィアタンさまの手を引きながら帰っていった。だが満更でもない様子の会長。……匙はショックを受けた様子で泣きながら帰っていった。

 

 俺たちも帰ることになったが、エイジは部長と朱乃さんから尻尾を引っ張られていた。

 

「さあ、エイジ。会合であんな大胆な発言したから帰ったらお説教よ。ソーナがバカにされたからといってもね」

 

「そうですわね。新人悪魔の会合で他の新人悪魔にも手を出していましたし、お説教は必要ですわね」

 

「…………はい……」

 

 弱々しい声のエイジ。あの尻尾って確か、男にとって大事なところだったよな? 時々お仕置きとして抓られたりしてるみたいだけど、すげえ痛そうだなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、シトリー家と対決とはな」

 

 グレモリー家の本邸に帰ってきた俺たち。そこで迎え入れてくれたのはアザゼル先生だった。広いリビングに集合し、先生に先ほどの会合の顛末を話したんだ。

 

「人間界の時間で現在7月28日。対戦日まで約20日間か」

 

 何やら先生は計算をし出す。

 

「しゅ、修行ですか?」

 

 俺が訊くと先生はうなずく。

 

「当然だ。明日から開始予定。すでに各自のトレーニングメニューを考えてある」

 

「でも、俺たちだけ堕天使総督のアドバイス受けていいのかな? もうこっちには魔王クラスが1人いるのに。反則じゃないんですか?」

 

 他の若手から文句があってもおかしくないと俺は感じちゃう。

 

 しかし、先生は嘆息するだけだ。

 

「別に。俺はいろいろと悪魔側にデータを渡したつもりだぜ? それに天使側もバックアップ体制をしているって話だ。あとは若手悪魔連中の己のプライドしだい。強くなりたい、主の存続を高めたい、って心の底から思っているのなら脇目も振らずだろうよ」

 

 あー、そう言われればそうなのかな。

 

「うちの副総督も各家にアドバイスを与えているぐらいだ。ハハハ! 俺よりもシェムハザのアドバイスのほうが役に立つかもな!」

 

 アザゼルは陽気に笑った。

 

「あと神城だが、こいつには大きなハンデがかせられることになっている。インキュバスの能力以外の特殊能力封印と、中級悪魔程度の魔力出力制限。――なんだが、俺的にはインキュバスの能力が一番厄介だと思うんだけどな」

 

 先生は一拍おいて言う。そうか、今回エイジはハンデつきなのか。まあ、そうしないと強すぎて困るんだろうなあ。新人悪魔同士のゲームだし。

 

「まあいい。明日の朝、庭に集合。そこで各自の修行方法を教える。覚悟しろよ」

 

『はい!』

 

 先生の言葉に全員が重ねて返事をした。よし! 何はともあれゲームは決まってしまったんだ! それに備えて修行せねば! 何よりもあのヴァーリに少しでも近づかないといけない!

 

 ――っと、そこへグレイフィアさんが現れる。

 

「皆さま、温泉のご用意ができました」

 

 ――ッ! それは最高の報告だった!

 

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