※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D 世界を渡る転生者   作:上平 英

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第47話 修行の報告会とパーティ

 

<イッセー>

 

 

「おりゃああああっ!」

 

『Explosion!!』

 

 神器から増大した力が俺の体に流れ込んで、一気に身体能力が向上した!

 

「これを避けられるか!」

 

 タンニーンのおっさんが大きく口を開けた!

 

 ゴォォォンッ! ドォォォォンッ!

 

 俺は連続で吐き出される火の玉を素早く避けて、前方へ手を向けた!

 

 イメージは巨大な魔力の弾! それを撃ちだす! ドラゴンショット!

 

 ドンッ! 俺は左腕から巨大な魔力の塊を撃ちだした! 大きさ的にもおっさんの半分はありそうな一撃だ! 以前に山を吹っ飛ばした威力以上はあるはず! おかげで俺の魔力は底上げ+撃ちだしでほとんど空だ! 貯蔵できる魔力の少なさが俺の弱点! こればかりはどんなに威力やらを底上げしても限界がある!

 

「ふんっ! 少しはまともなものを出すようになったものだッ!」

 

 おっさんは避けずに真っ正面から魔力の弾を受け止める気だ!

 

 ドォオオオオォォォォンッ!

 

 おっさんはぶっとい両腕でそれを正面から受け止め、勢いよく口からブレスを吐き出した!

 

 ドッ! ゴォォォオオオオオオオッ!

 

 俺の魔力の弾はおっさんのブレスの一撃で遥か彼方の空へ弾き飛ばされてしまう!

 

『Reset』

 

 増大されていた俺の力が元に戻り、一気に疲労が襲ってくる。

 

 おっさんは自分の両手を見ていた。プスプスと小さな煙を上げていた。俺の魔力の弾がおっさんの手を焼いたのかな?

 

「いい一撃だ。最初に出会った頃に比べると、確実にドラゴンの力が高まっている。体力も申し分ないだろう。俺との鬼ごっこも一日ぶっ続けでできるほどだ」

 

 珍しくおっさんが褒めてくれる。

 

 俺は肩で息をして、常に腰に備えている水筒をあおっていた。この水筒、水分補給はもちろん、神器の力を譲渡して水のパワーを高めておっさんの火の息を多少相殺し弱めたりもできる。まあ、俺もいろいろと対処方法を考えていたわけですよ。

 

 格好もボロボロ。ジャージなんて、大事な部分を守るぐらいしか機能していなくて、上半身は完全に破れて裸。うん。胸板も厚くなったか。余計な贅肉も取れたし。

 

 いきなり山でのサバイバルにも慣れたよ。山の動植物を見つけ、焼いて食ったりしてたし、葉っぱの布団で寝たりしたよ。かなり、野生的な能力まで身につけてしまった。まさか、俺が夏休みに山猿みたいな生活を送るとは思わなかったけど……。

 

 そのサバイバルのおかげで火種の魔力を身につけて、神器の能力と合わせることで、おっさん直伝の火技ができるようになったりした。大火力! いつか披露してやるぜ!

 

 で、現在はもうすでに8月15日だ。シトリー眷属とのゲームは8月20日。あと5日。時間的に仕上げの時期なのだろう。

 

 集合時間も近い。一度ゲーム前に集まって、休息を取る日も想定されている。修行でたまった疲れをその日に取るためだ。

 

 あと、ゲーム前に魔王さま主催のパーティもあるらしく、俺たち眷属や他の若手悪魔も招待されているそうだ。つまり、もう修行をしている時間はない。

 

「おまえも今日までよくやった。――しかし、残念だったな。もう少し日があれば可能だったかもしれない。明日で修行は終わりだが……おそらく無理だろう」

 

 タンニーンのおっさんは息を吐く。ああ、わかっているよ。俺は期間内にこなせなかったんだ。体力も何もかも以前より向上した。――けど、禁手には至れないまま修行を終えることとなったんだ。

 

 俺の修行は――目標をこなせなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、俺はこれで。魔王主催のパーティには俺も出席する。また会おう、兵藤一誠。それとドライグ」

 

 グレモリー本邸前。俺はタンニーンのおっさんの背に乗って帰ってきた。いやー、怪獣ドラゴンの背中は快適だし、圧倒的だね! 短い間の空中旅行だったけど、最高だった!

 

「うん。おっさんありがとう! パーティでまた!」

 

『すまんな、タンニーン。また会おう』

 

「ああ、俺も楽しかった。あのドライグに協力したのだからな。長生きはするものだ。そうだ、俺の背に乗ってパーティ入りするか?」

 

「本当に? いいの?」

 

「ああ、問題ない。神城も俺をタクシーとして呼び出すからな」

 

 マジで!? あいつ最上級悪魔のおっさんをタクシーにしてんの!?

 

「俺の眷属を連れて、パーティ開催日にここに来よう。詳しくはあとでグレモリーに連絡を入れる。では、明日、またここへ来よう。さらばだ!」

 

 それだ言うと、おっさんは羽ばたいて空へと消えていく。

 

 俺は手を振って見送った。

 

『甘い龍王だ』

 

「良いヒトだと思うぜ。会ったときは怖かったけど……。ドラゴンってカッコイイな!」

 

『俺もおまえもドラゴンではあるんだぞ?』

 

 そうだけどざ……正真正銘のドラゴンって、あんなにデカくて雄大な生物をいうと思うんだ。俺とおまえじゃ、ひょろい元人間の悪魔と神器の一部じゃないか。

 

『そりゃ、そうだがな』

 

 だろう? やっぱあれこそザ・ドラゴンだって!

 

「やあ、イッセーくん」

 

 聞き覚えのある男の声に振り返ると――そこには木場。ジャージ姿だったけど、ボロボロだった。俺ほどじゃないけどさ。

 

 イケメンフェイスもだいぶ引き締まったように見える。

 

「……良い体になったね」

 

 木場が上半身裸の俺の姿を見て、そう言う。俺は身を隠そうとする!

 

「や、やめろ、なんだ、その目は……そういう目で俺の体を見るな!」

 

 なんなく身の危険を感じてしまった! だって、たまに怖いよ、こいつ!

 

「ひ、酷いな。僕は筋肉がついたねって言いたかっただけなのに」

 

「おまえは……変わらないな」

 

「まあ、僕は肉がつきにくい体だからね。うらやましいよ」

 

 そういえば木場のオーラが濃くなっているように感じられた。

 

 あれ? 俺、魔力の流れを見るのが以前よりも向上してる? これもおっさんとの修行の成果だろうか? 冥界の自然と一体化しすぎたから、感覚が鋭くなったのか?

 

「イッセーさん! 木場さん!」

 

 城門から出てきたのは――シスター服姿のアーシアだった。あー、やっぱり、アーシアはこれだよね!

 

「アーシア、久しぶりだな」

 

「イ、イッセーさん! ふ、服を着てください!」

 

 俺の裸を見て慌てるアーシア。俺の裸を見て恥ずかしいというよりも俺の行為が恥ずかしいから上に何か着ろという意味だろう。なんだかんだでこの子は俺の裸、見慣れていたりする。

 

「あら、外出組は皆帰ってきたみたいね」

 

 次に現れたのは――部長ッ! お久しぶりだぁぁぁぁぁっ! 俺の部長! 俺のお姉さま! お変わりなくおうつく……、――っ! 

 

 すげえ! 部長のオーラが段違いに上がっているのを感じる! しかもなんか前より一段とキレイになってる!?

 

 木場も部長がオーラが段違いに上がっていることに言葉をなくしているようだ。

 

「イッセー、祐斗、随分強くなったみたいね」

 

 ニッコリ笑顔の部長! 寂しい山篭りサバイバルだったから、会えて嬉しいんだけど……!

 

「……部長も、すごく強くなられてみたいですね」

 

 木場が俺の言いたいことを代わりに言ってくれた!

 

 部長は木場の言葉にうなずいた。

 

「ええ、かなり厳しい修行をみっちり受けたからね」

 

 自信たっぷりと胸を張る部長! おおっ! 久々のおっぱいも少し成長しているようだ!

 

「さて、皆。入ってちょうだい。シャワーを浴びて着替えたら、修行の報告会をしましょう」

 

 どうやら、俺は久しぶりに文化的な生活が送れそうだ。

 

 しかし、禁手に至れなかった報告をするのは――情けない限りだぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺たちリアス・グレモリー眷属が全員集合したのは実に2週間以上ぶりだった。

 

 アザゼル先生から修行プランをもらったあと、俺はドラゴンに連れ去られたけど、皆もあのあと解散したらしい。だから、あれ以来の集合となる。

 

 正直、こんなに眷属が離ればなれで生活したのは初めてかもしれない。――って、俺がメンバーに加わってからだと思うが。それ以前は俺もいないからわからんし。

 

 外で修行していた俺と木場はシャワーを浴びて着替えたあと、グレモリー家の会議室に集まっていた。

 

 で、集まって修行の内容を話していた。木場は師匠との修行顛末。俺もタンニーンとのサバイバル生活を話した。

 

 皆、軽く引いていた。木場も外で修行していたらしいけど、山小屋、またはグレモリーが所有している別荘で生活しながら修行していたらしく、俺のように山で動植物をハントしてドラゴンの火炎を避けていた生活は想像を絶していたらしい。

 

 あれ? あれれれれ? おかしいな。なんで? もしかして、俺だけ辛い目に遭ってましたか? 野宿でしたよ? 毛布もないし、枕もない。冥界に生えている巨大な葉っぱを敷いてそこで眠ってたんだけど……。

 

「あの先生、なんか、俺だけ酷い生活送ってませんか?」

 

「俺もおまえが山で生活できていたから驚いたよ。途中で逃げ帰ると思っていたかなら。まさか、普通に山で暮らし始めていたとは俺も想定外だった」

 

「ええええええええええええええええええええええええっ!? 何それ……? お、俺、冥界産のウサギっぽい奴とかイノシシっぽい奴を狩ってさばいて焼いて食べたんですよ……? 水だって、山で拾った鉄鍋で一度沸騰殺菌してから水筒に入れてたし……」

 

「だから驚いているんだよ。おまえ、たくましすぎるぞ。ある意味、悪魔を超えてる」

 

「酷い! こちとらあのお山でドラゴンに一日中追いかけ回されて生活してしてたのにぃぃぃっ! 何度死にかけたことか! うえええええええんっ!」

 

 あまりのことに俺は泣いちまった! だって! だって! だってさああああっ!

 

「かわいそうなイッセー……。よく耐えたわね。あの山は名前がなかったけど、『イッセー山』と命名しておくわ」

 

 部長がよしよしと頭をなでてくれる! 間に机がなかったら抱きついていた! それほど俺はショックだった! それにしても、酷い! アザゼル先生酷い! 俺、ドラゴンに連れ去られたんだからね! いまだに眼下で部長が手を振っているのを思いだすんだ! 誘拐だよ! あれ、いま考えても誘拐だって!

 

「いや、そいれでもかなり体力が向上したようだな。これでいざ禁手に至っても鎧を着ている時間はそこそこあるだろう。――しかし、禁手には至れなかったか」

 

 アザゼル先生は俺が至れなかったことにさほど残念というほどでもなさそうだった。

 

「ま、至れない可能性は予測していた範囲でもある。ああ、おまえがショックを受けることはないぞ、イッセー。禁手ってのはそれほど劇的変化がないと無理ということだ。サバイバル生活と龍王クラスのドラゴンとの接触で何かが変化すると思ったんだが、時間が足りなかったな。せめて、あと一ヶ月……」

 

 無理! あんな生活あと一ヶ月も送ったら、俺は部長欠乏症で死ぬ! 部長の顔を一ヶ月も見れないなんて耐えられずに死ぬ!

 

「じゃあ、次の報告だな。リアス、朱乃、ゼノヴィア、小猫、そしてエイジだ」

 

 あえてアザゼル先生が遅らせていた4人だ。

 

 部長と朱乃さん、ゼノヴィア……。その3人が修行前よりも格段にオーラが強くなっていたり、身のこなしにキレが増しているからだろう。俺もこの短期間で、どんな修行をすればそんなに強くなれるのか気になって涙も止まった。

 

 部長と朱乃さん、ゼノヴィアが修行の報告を開始した。

 

 ――って! ゼノヴィアの修行をエイジがつけているのは知っていたけど、部長と朱乃さんも遅れてだけどその特訓に参加したそうだ! 2大お姉さまとゼノヴィア! それにセルベリアさんたちも修行の手伝いしてたって……! ハーレムじゃん!?

 

 俺、女ッ気が皆無なお山で修行していたのに、こいつは美少女や美人に囲まれてたのか!?

 

 部長たちは思い出すように語る。

 

「毎日毎日、修行のたびに指1本も動かせなくなるまで虐められたわね」

 

「ええ、魔力も極限まで使い果たさせられて……」

 

「基礎訓練から武器の振り方だけでなく、近接戦闘の手ほどき、状況判断能力、危険さっち能力を鍛えさせられたり、さらに模擬戦では骨折、吐血が当たり前だったな……」

 

 …………。

 

 ……指1本動かせない? ……魔力を極限まで使い果たす? 骨折、吐血?

 

 ……え? そんな修行を毎日送ってたの? ってかエイジってそんなにも厳しかったの? 女にはやさしいと思ってたんだけど……マジなの?

 

 アザゼル先生も引いていた。

 

「マジでそんな無茶な修行してたのかよ……。まあ、その分強くなってるが疲労は溜まらないのか? そんな修行。一日でも受ければ数日動けないと思うんだが?」

 

 アザゼル先生の問いに部長が説明する。

 

「普通はそうだけど、エイジが持っている能力……。というか、【マジカルエステ】という技術で、エイジにマッサージをしてもらったら、疲労も残らないし、体の調子が逆によくなったていたから問題はなかったわ」

 

「マジカルエステ、ねぇ。そんなに効果があるのか?」

 

「はい。エイジ先輩のマッサージは、本当にすごい効果がありました」

 

 と、熱弁する小猫ちゃん。アザゼル先生が俺の修行の様子と、部長のお母さんからの伝言、冥界の文字とマナーなんかを教えるために一旦、城に帰ってくるように言われたときに、丁度、小猫ちゃんが修行のやりすぎで倒れたんだったよなぁ。見舞いに行ったらぐっすり寝てたけど、エイジのマッサージを受けて眠っていたのかな?

 

 ぎりぎりまで虐めて回復させて、虐めての繰り返しと、そのなかでの訓練の結果。部長と朱乃さんは数段実力が上がり、始めからエイジの修行を受けていたゼノヴィアは聖剣デュランダルとエイジが創りだした龍殺しの剣という、なんとも俺とドライグにとっては危険極まりない剣を扱えるようになったそうだ。

 

 次に小猫ちゃんなんだが、こちらも黒歌さんに仙術の手ほどきを受けて、なんとか初級段階まで力を使いこなせるようになったらしいが、少しだけ表情が暗かった。

 

 そして最後にエイジの修行報告の番なんだが……。

 

 座ったまま眠っていた。

 

「いままで何を言わないからおかしいとは思っていたが。まさかこいつ眠っていたのか?」

 

 アザゼル先生も意外そうにつぶやいた。

 

「エイジ、起きなさい」 

 

「は、い……すみません」

 

 部長の呼びかけひとつで目を覚ますエイジ。おいおい、何を寝てるんだよ!

 

 アザゼル先生が苦笑しながら訊ねた。

 

「で、おまえの修行は? 3人を格段に強くしたみたいだが。いや、それよりも悪魔の仕事とやらはこなせたのか?」

 

 ――っ! そういやこいつ夏休みが始まってすぐに3,000件というおそろしい量の仕事の依頼が来ていたんだったな……。ほとんど女とエッチする、なんともうらやましい仕事らしいけど、いくらなんでも3人に修行をつけながら3,000件をこなすなんて無理だろう。

 

 エイジはうとうとしながらも報告を始めた。

 

「……時間を早くする結界を張る魔具を借りているから、悪魔の仕事はあと200件で、終わる。……自分の修行も合間合間でしていたから大丈夫だ……」

 

「合間合間って、中級悪魔程度まで魔力も制限させられて、能力も使えないんだろ? 大丈夫なのか?」

 

 俺が聞くとエイジはノータイムで答えた。

 

「ああ、大丈夫だ」

 

 断言するエイジ。アザゼル先生が眠たそうなエイジの顔を見ながらつぶやいた。

 

「まあ、【武器の申し子】と称されてる武器の使い手の師匠だし。もともと規格外だから大丈夫か」

 

 と嘆息するアザゼル先生! エイジってアザゼル先生にも規格外認定だよ!

 

 アザゼル先生は先ほどより真剣な表情でエイジに訊ねる。

 

「そういや、おまえってきちんと休んでるのか? リアスたちの修行をみながらマッサージしたり、そのあとも悪魔の契約取りに行って、その合間に自分の修行をして――って。おまえ、まともに寝てるのか?」

 

 ――っ! そ、そういえば、悪魔の契約取りでも月30件でも多いくらいなのに、夏休みからいままででもう2,800件も仕事をこなしてるんだよな? しかも、部長たちの修行に自分の修行もしてれば眠る時間なんて……。

 

 いまもこうして眠たそうに報告会に参加しているんだし……。

 

 こいつ、かなり無理しているんじゃないか? 

 

 俺も心配になって「大丈夫か?」と訊こうとしたそのとき――。

 

「ああ。時間短縮の結界があるから、悪魔の契約で抱いたあとに一緒に添い寝させてもらったりしてる。それに、リアス部長たちもセルベリアたちも気遣ってくれるから大丈夫だ。いま眠いのは昨晩常連のサキュバス複数との契約が連チャンしたからなんだよ。まあ、昨日ラストに依頼を受けた人と契約したあと、その人に癒してもらったし。さっきまでゼノたんに添い寝してもらったから、体調はむしろいい」

 

「普通、サキュバスとしたら不能になるまで吸いとられるか、しばらく動けなくなるんだけどね……」

 

 木場が苦笑いして、アザゼル先生は、

 

「そうか。なら大丈夫だな」

 

 とか言ってるけど、俺は納得できねぇえええええええええええええええっ!

 

「なんだよ、それ! 俺なんかお山だぞ!? お山の葉っぱで妄想の抱き枕だったんだぞ! 話し相手はおっさんとドライグだけで女の子なんていなかったんだぞ! なのに……なのにおまえは……!」

 

 先ほどよりも俺は泣いた! 大泣きした! もう前が涙で見れないっ!

 

「俺も女の子と修行したかったぁぁぁぁ! 俺もおっぱい揉む仕事がよかたぁぁぁぁっ! なんで、俺のところにくる契約は変態ばっかりなんだよぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!」

 

「イッセーくん……」

 

 木場が両手を広げて抱きついて来いという眼差しを送ってきた! 男の胸なんかに抱きつきたくねぇぇぇぇんだよぉぉぉぉぉおおおおおおおおっ!

 

『おおっ、この力は……』

 

 ドライグの声が聞こえたような気が……。

 

「イッセーさん……」

 

 いや、アーシアの声が聞こえた!

 

 アーシアのほうを見ると両手を恥ずかしそうに広げていた! 木場と同じボーズだけど、感動が違う!

 

「アーシアぁぁぁぁあああああああああああああっ! うぇぇぇえええええんっ!」

 

 アーシアの胸に抱きついて涙を流す! 木場がうしろで残念そうな表情になった気がしたが、知らねえっ! 俺はアーシアの胸に顔を埋めて思う存分涙を流した!

 

 エイジのバっカやろぉぉぉぉぉうううううう!

 

「じゃあ、報告会は終了。明日はパーティだ。今日はもう解散するぞ」

 

 先生の一声に報告会は終了した。

 

 こうして、俺のサバイバル生活は終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の夕刻。俺は駒王学園の制服に身を包んで客間で待機していた。今日はパーティだからね。今日は半日たっぷり眠った。おかげでだいぶ疲れは取れた気がする。

 

 久しぶりの制服だ。このところジャージだったし。やっぱりしっくりくるなぁ。

 

 いちおう、腕章をつけている。グレモリーの紋章付きだ。これでパーティOKらしい。女子は準備に時間がかかるとのことで、全員メイドさんたちに連れてかれた。

 

 エイジの奴はギリギリまで契約取りに行かせられているようでまだいない。それに木場もギャスパーも用事があるとかってどっかに行っちゃったけど……。

 

「兵藤か?」

 

 聞き覚えのある声に振り返れば――匙だった。って、どうしてここに匙が!?

 

「匙、どうしてここに?」

 

「ああ、会長がリアス先輩と一緒に会場入りするってんでついてきたんだ。で、会長は先輩に会いに行っちまったし。仕方ないんで屋敷のなかをうろうろしてたら、ここに出た」

 

 この本邸、本当に中も広いからな。迷い迷ってここに着いたか。

 

 俺から少し離れた席に座る匙。真剣な面持ちで言う。

 

「もうすぐゲームだな」

 

「ああ」

 

「俺、鍛えたぜ」

 

「俺もだ。山で毎日ドラゴンに追いかけられてた」

 

「そ、そうか。相変わらすハードな生き方してんな。まあ、俺も相当ハードなメニューをこなしたけどさ」

 

 そうか。こいつもこいつで修行に励んだわけだな。当然だろう。主の勝敗がかかっているんだ。気合も入る。匙は頬をかきながら言う。

 

「兵藤。先月、若手悪魔が集まったときのことを覚えているか?」

 

「ああ。それがどうした?」

 

「あれ、俺たちは本気だ。……お、俺……。せ、先生になるのが夢なんだ!」

 

 突然、匙は顔を真っ赤にしてそう言う。

 

「先生? 何かを教えるのか?」

 

 俺の問いに匙は紅潮しながらも真摯に答える。

 

「会長は冥界にレーティングゲーム専門の学校を設立しようとしてる。ただの学校じゃないんだ。悪魔なら上級下級貴族平民関係無しに受け入れる、誰にも自由な学校なんだ。会長に聞いたんだ。悪魔業界は少しずつ、差別や伝統やらなんかが緩和されてきたけど、まだまだ根底の部分で受け入れがたい部分もあるって。だから、レーティングゲームの学校もいまだに上級悪魔の貴族しか受け入れていない。ゲームは誰にも平等でなければならない――。これは現魔王さまがお決めになられたことだ。平等なのに下級悪魔の平民にはゲームの道が遠いんだよ。おかしいだろ? もしかしたら、貴族以外の悪魔でもやり方しだいでは上級悪魔に昇格できるかもしれないのによ。可能性はゼロじゃないはずなんだ!」

 

 匙の真剣な意見に俺は驚きと共に感嘆していた。

 

 こいつはこいつなりに将来を真面目に見ているのだ、と。

 

「会長はそれをなんとかしたいって言ってた。下級悪魔でもゲームができるってことを伝えたいって。だから、この冥界に誰でも入れる学校をつくるんだよ! 会長はそのために人間界でも勉強されているんだ! スポットが決して当たらなかった者たちに可能性を与えるんだ! 1パーセントでも! ゼロに限りなく近くても! ゼロじゃなきゃ上級悪魔になれるかもしれないんだ! 兵藤! 俺たちだって、その可能性を信じて上級悪魔になろうとしているだろ?」

 

「ああ、その通りだぜ」

 

 そうさ。俺は上級悪魔になることを目標にしてる。可能性がゼロでも百パーセントにしてやるって気合も持ってるぜ。匙は拳を振り上げて宣言する。

 

「だ、だからこそ、俺はそこで先生をするんだ。いっぱい勉強して、いっぱいゲームに勝って、いろんなものを蓄える。それで『兵士』のことを教える先生になるんだ。会長が俺にも手伝って欲しいってさ。こんな俺でも学校の先生になれるかもしれない……。お、俺、むかしはバカなことばっかりやっていてさ。親にも迷惑かけたし、周りの人間にも嫌われてた。でもよ、会長となら、夢を見れるんだ! 俺は生涯会長のお側にいて、会長の手助けをする! 会長の夢が俺の夢なんだ!」

 

 匙は照れながら言う。

 

「へへへ。お袋にはさ、悪魔になったこと内緒だけど、それでも将来の夢を話したら泣いちまってよ。先生になるんだ! ってガラにもないこと言ったからかもしれないな。でもよ。悪くないよな。お袋の安心した顔ってよ」

 

 それが匙の夢か。俺とは――違う道なんだな。同じ『兵士』だから、もしかしたら戸思ってたけど、やはり、人それぞれだ。こいつにはこいつの夢がある。

 

 俺は将来主のもとから独立したいと目標を立てた。こいつは主のもとで終生仕えるとした。同じ時期に悪魔になっても目指す道はまったく違う。

 

 そういえば、エイジの夢はなんなんだろう? あいつも俺と同じ時期に……いや、あいつは最初から普通の高校生じゃなかったな……。最初から裏側の、しかも最深部に近いところにいるような人間だった。

 

「立派な目標だと思うぜ、匙。いい先生になれよ」

 

「ああ、そのためにも今度おまえたちを倒さなきゃいけないんだけどな」

 

「あー、なるほど。なら、ダメだ。俺たちが勝つさ!」

 

「いや、俺たちだ。上にバカにされた以上、俺たちは結果を見せなきゃいけない。神城の奴には上に謝罪させてもらったり、夢を応援してもらったりって恩があるが、ゲームには関係ないからな」

 

 お互い笑いながらも瞳は真剣そのもの。――負けるわけにはいかないさ。

 

 しかし、先生か。ふいにアザゼル先生を思いだすが……まあ、さすがにこいつはそれにはならないだろう。

 

「ところで匙」

 

「なんだ?」

 

 俺は指で宙をつつく。

 

「女性の乳をつつくとブザーになるらしいぜ」

 

「……な、なんだよ、それ?」

 

 おっ、興味深そうに聞き入る匙。さすが俺と同じスケベだ!

 

「アザゼル先生に聞いたんだ。おっぱいの可能性は無限だと。俺も揉むだけじゃなくてそろそろつつかないと次の次元にはいけないのかもしれない。しかし、つつくか……」

 

「……なあ、兵藤。俺よ。俺、いつになったら主さまのおっぱい揉めるのかな?」

 

 真剣にそう相談されてしまった。

 

「俺だってそう揉んでいないさ。幸運に幸運が重なったから揉めたんだ」

 

 匙が怒りの瞳で詰め寄ってくる!

 

「なんだよ、その幸運ってよ! 俺には一切降りてこないぞ!?」

 

「俺だって1回きりしか揉めてないんだ! そんなにすぐには……、いや、この前、アザゼル先生に女風呂に投げ込まれたときに、部長たちとエイジの眷属の女の子のおっぱいを一瞬見れたっけ? しかもそのあと鼻血で出血多量になったときアーシアと小猫ちゃんに看病してもらってたときに朦朧の意識のなかで確かにおっぱいの感触が……」

 

 自然と思い出して、にやけてしまったのがいけなかった。匙は心底ショックを受けたような表情となる。

 

 ふらふらと俺のもとから離れていき、椅子にガクンと力なく座った。その様は、酷いものだった。目を大きく開き、全身をガクガクと震わせている。

 

「……女風呂に投げ込まれる? ……先輩たちのおっぱいを見た? ……アーシアちゃんと小猫ちゃんに看病? ……おっぱいの感触? ……なんだ、それ……。お、俺は……一度もそんなこと会長とも……いや、女の子とも」

 

「さ、匙……? おーい……」

 

 呼びかけてみるが、反応がない。ただただ小声でつぶやいているだけだ。

 

「イッセー、お待たせ。あら、匙くんも来ていたのね」

 

 振り向くと――ドレスアップした部長! そして部員の面々!

 

 すっげぇええええっ! 皆、お化粧してドレスを着込んで! 髪も結ってる!

 

 皆、お姫さまみたいだぜ! 朱乃さんも今日は西洋ドレス姿! うわぁああああ! やべぇええっ、チョーかわいい。超絶を通り越した美人さんだよ!

 

 アーシアも恥ずかしげにしているけど、すごくドレスが似合っている。ゼノヴィアも着慣れていない様子だけど、十分お嬢さまで通じる!

 

 小猫ちゃんも一回り小さなドレス姿だけど、ロリコンに誘拐されても仕方ないかわいさだ!

 

 問題はギャスパーだ。

 

「なんでおまえまでドレス姿なんだよ!」

 

 ギャスパーもドレスで着飾っていた! 似合っているのが何とも言えません! 用事があるからいなくなっていたと思ったら、こういうことか!

 

「だ、だって、ドレス着たかったんだもん」

 

 もうこいつは……。女装癖もここまでくれば大したもんだ。

 

 最後にドレスアップしたソーナ会長と、どこぞの王子さまのようなイケメンが――って!

 

「……お、おまえ、エイジなのか?」

 

「もちろん、エイジだ。何を驚いているんだ?」

 

 足元から頭のてっぺんまで観察する。本当にエイジだった。しかも、どこぞの王子さまみたいな、豪華な装飾がつけられた衣装を完璧に着こなしている! 正直、悪魔になってエイジの裏側知るまで、松田と元浜と俺が絡んで二次元少女の話をする残念イケメンだと思っていたけど……。あの賞金稼ぎの衣装といい、マジで何でも着こなして、いま着ている服のように王子さまのような豪華な服がすごく似合う!

 

 くっ……! 何だこのオーラは!? 木場以上だとぉぉおおおお!?

 

「ケッ! イケメン、死ねっ!」

 

 俺は全ての気持ちをその言葉に込めて吐き捨てた。

 

「サジ。サジ、どうしました?」

 

 その隣で、ソーナ会長が匙の様子を怪訝そうに見ていた。

 

 匙、そこまでショックだったのか……。

 

 ドレスアップも終えた頃、軽い地響きと共に何かが庭に飛来する重い音がしてきた。

 

 しばらくして執事さんが来て言う。

 

「タンニーンさまとそのご眷属の方々がいらっしゃいました」

 

 おっさんは約束通りに迎えに来てくれた!

 

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