※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D 世界を渡る転生者   作:上平 英

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第49話 グレモリーVSシトリー 開幕!

 

<イッセー>

 

 

 シトリー眷属とのゲームの前日の晩。俺たちはアザゼルの部屋に集まってミーティングをしていた。

 

「リアス、ソーナ・シトリーはグレモリー眷属のことをある程度知っているんだろう?」

 

 先生の問いに部長はうなずく。

 

「ええ、おおまかなところは把握されているわね。たとえばイッセーや祐斗、朱乃、アーシア、ゼノヴィアの主力武器は確認しているわ。――フェニックス家との一戦を録画した映像は一部に公開されているもの。さらに言うならギャスパーの神器も小猫の素性も割れてるわ。エイジに関してはアニメやドラマなんかで知っているとは思うけど、魔力制限があるから戦い方も変わるでしょうし、あまり情報をしられていないと思うわ」

 

「ま、ほぼ知られているわけか。で、おまえのほうはどれぐらいあちらを把握してる?」

 

「ソーナのこと、副会長である『女王』のこと、多数名の能力は知っているわ。一部判明していない能力の者もいるけど」

 

「不利な面もあると。まあ、その辺はゲームでも実際の戦闘でもよくあることだ。戦闘中に神器が進化、変化する例もある。細心の注意をはらえばいい。相手の数は8名か」

 

「ええ、『王』1、『女王』1、『戦車』1、『騎士』1、『僧侶』2、『兵士』2で8名。まだ全部の駒はそろっていないみたいだけれど、数では私のほうが1名多いわ」

 

 次にアザゼル先生は用意したホワイトボードに何かを書いていく。

 

「レーティングゲームは、プレイヤーに細やかなタイプをつけて分けている。パワー、テクニック、ウィザード、サポート。このなかでなら、リアスはウィザードタイプ。いわえる魔力全般に秀でたタイプだ。朱乃も同様。木場はテクニックタイプ。スピードや技で戦う者。ゼノヴィアと小猫はパワータイプ。アーシアとギャスパーはサポートタイプ。さらに細かく分けるなら、アーシアはウィザードタイプのほうに近く、ギャスパーはテクニックのほうに近い。イッセーはパワータイプで、サポートタイプのほうにもいける。ギフトの力でな」

 

 いきなり、たくさん覚えることが出てきて俺は困惑したが、つまりゲームをする眷族にはいくつかタイプがあるってことね。で、俺はサポートもできるパワータイプ、と。

 

「そういえばエイジは何タイプなんですか?」

 

 俺が訊くとアザゼル先生は嘆息した。

 

「こいつはいわえる万能型だ。パワー、テクニック、サポートを全て兼ね備えたな」

 

 ま、マジか……! いや、この場合は納得か。

 

 アザゼル先生は嘆息したまま、十字を線を引いて、上下左右の端に各タイプ名を書いてグラフを描いた。

 

 俺たちがどの位置のタイプなのか、グラフに名前を書いていく。俺はサポート寄りのパワータイプのところだ。木場はテクニックタイプのところ。アーシアはウィザードよりのサポートのところ。ギャスパーはテクニックタイプに近いサポートタイプのところ。小猫ちゃんはパワータイプのところ。

 

 そこまで書いてアザゼル先生は手を止めてこちらを見てきた。

 

「神城。……リアス、朱乃、ゼノヴィアの3人に修行を積ませすぎだ」

 

 ん? どうしたんだ? アザゼル先生は3人のタイプの位置に書いた。

 

 ――っ! 俺だけじゃなく、木場や小猫ちゃんが驚いた!

 

「ゼノヴィアはテクニックタイプよりのパワータイプ。朱乃はウィザードタイプのテクニックタイプ。リアスはパワータイプよりのウィザードタイプ。――昨日、神城の修行の様子を一度見せてもらったが、神城、おまえの修行って地獄だな」

 

 アザゼル先生が地獄と判断するほどの修行!? タンニーンのおっさんにお山でサバイバル修行させたアザゼル先生がそんなに言うほどの厳しい修行だったの!?

 

「俺の見立てじゃ、ゼノヴィアの剣技は木場を軽く超えているし、朱乃も雷光を使えるだけになっただけじゃなくて、応用技まで会得している。リアスもパワー上がって魔力運用の効率もよくなっているし、新装備もついた。そして、その全員に無手での近接格闘訓練まで覚えさせるって……」

 

 ゼノヴィアって木場より剣の技術が高くなったの!? しかも近接戦闘までって! それに部長の新装備ってなんだよ!

 

 俺と木場たちが絶句していると、アザゼル先生は思い出すように遠くを見た。

 

「あれは修行ってより拷問だな……。準備運動から体に負荷をかけているし、模擬戦で骨折ったり血を流したり……。実戦とほとんど変わらない状況で実力が上の相手から動けるか動けない境界線で、攻撃され続けるなんて……。よく耐えれたなおまえら」

 

 感心と哀れみの視線を向けるアザゼル先生! 部長たちとエイジの4人は苦笑していた!

 

 そんな修行をしていればいやでも強くなるよな。

 

「小猫にしてもこの短期間で仙術を会得するなんてすごいぞ。普通は何年もかけて修行するのに」

 

 アザゼルの言葉に小猫ちゃんは意外そうな表情になる。

 

「私はまだ全然会得できていないですよ? まだ姉さまにも初級程度だと言われてますし……」

 

「初級?」

 

「はい」

 

「おまえが黒歌に教えられている仙術は中級レベル以上のものばかりだぞ?」

 

「え?」

 

 小猫ちゃんは信じられないという様子だった。アザゼル先生がエイジのほうを再び見た。

 

「まさか、中級レベルの仙術は、おまえたちでいうところの初級だったりするのか?」

 

 エイジはしばし顎に手を当てて考えるような素振りを見せた。

 

「世界の仙術の基準は知らないからなんともいえないな」

 

「…………」

 

 アザゼル先生は長い間沈黙すると、気を取り直してミーティングを再開した。パワータイプやテクニックタイプ、サポートタイプの弱点と対処法、気をつけておくべきことなどを丁寧に説明してくれた。

 

 そしてアザゼル先生からアドバイスをもらい、アザゼル先生が退出したあとも、俺たちは決戦の日まで戦術のことを話し合ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 決戦日――。

 

 グレモリーの居城地価にゲーム場へ移動する専用の巨大な魔法陣が存在する。

 

 俺たち眷属はその魔法陣に集まり、もうすぐ始まるゲーム場への移動に備えていた。

 

 エイジとアーシア、ゼノヴィア以外、駒王学園の夏の制服姿だ。エイジは冥界でお馴染みの赤と黒の衣装、アーシアはシスター服、ゼノヴィアは出会った当初の頃にきていたあのボンテージっぽい戦闘服だ。3人ともそちらのほうが気合が入るらしい。で、シトリー側も駒王学園の制服のようだ。

 

 部長のお父さん、お母さん、ミリキャスさま、アザゼル先生が魔法陣の外から声をかけてくれる。

 

「リアス、一度負けているのだ。勝ちなさい」

 

「次期当主として恥じぬ戦いをしなさい。眷族の皆さんもですよ?」

 

「がんばって、リアス姉さま」

 

「まあ、今回教えられることは教えた。あとは気張れ」

 

 この場にいないのは先にゲーム場に行っているエイジの眷族たちと、サーゼクスさまとグレイフィアさんだ。サーゼクスさまとグレイフィアさんもすでに用心専用の会場へ移動されているようだ。そこには3大勢力のお偉いさんだけでなく、他の勢力からのVIPも招待されているという。先生もこのあとその会場に移動するらしい。

 

 そんだけ注目されてんだ、部長と俺らの試合……。やっぱ有望な若手悪魔って点と、魔王の娘2人が戦うところで注目浴びてんだろうな。

 

 緊張感漂うが、魔法陣は容赦なく輝きだした。

 

 ――ついにゲームが始まる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔法陣でジャンプして到着したのは――テーブルだらけの場所だった。

 

 ……どこかの広いレストラン? とか思って周囲を見渡してみれば、どうやら飲食フロアらしく、テーブルの周囲にファストフィードの店が連なっていた。

 

 これも全部専用空間に用意された本物そっくりのレプリカか。悪魔の力は相変わらず凄まじい限りだ。

 

 はて? どこかでこの場所見たことある気が……。店の配置とかも記憶のどこかで一致する。

 

 俺はフロアから少し出て奥を見渡す。そこは――広大なショッピングモールだった。

 

「駒王学園近くのデパートが舞台とは、予想してなかったわ」

 

 部長が言う。

 

 そう、ゲームの舞台は俺たちがよく通うデパートだった! そのとき店内アナウンスが聞こえてくる!

 

『皆さま、このたびはグレモリー家、シトリー家の「レーティングゲーム」の審判役を担うことになりました、ルシファー眷属『女王』のグレイフィアでございます』

 

 ライザーとのゲームのときと名乗りが違うな?

 

『我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。どうぞ、よろしくお願い致します。さっそくですが、今回のバトルフィールドはリアスさまとソーナさまの通われる学舎「駒王学園」の近隣に存在するデパートをゲームのフィールドとして異空間にご用意いたしました』

 

 ゲーム会場が見知った場所だから、やりやすいとは思うが、それはシトリーも同じだ。あっちもこのデパートには何度も来ているだろうからな。

 

 舞台となっているこのデパートは二階建てだ。高さ的には大したことない。

 

 しかし、1階2階と吹き抜けの長いショッピングモールとなっており、横面積がかなりのものになっている。屋上は駐車場。その他にも立体駐車場も存在している。

 

『両陣営、転移された先が「本陣」でございます。リアスさまの本陣が2階の東側、ソーナさまの「本陣」は1階西側でございます。「兵士」の方は「プロモーション」をする際、相手の「本陣」まで赴いてください』

 

 俺たちと敵の陣地はデパートの端だ。俺たちは2階の一番東側。相手は1階の一番西側だ。俺たちの陣地の周りには、ペットショップ、ゲーセン、飲食フロア、本屋、ドラッグストアが存在している。本陣下の1階には大手古本屋の支店とスポーツ用品店。

 

 相手側にあるのは食材品売り場と、電気屋、ジャンクフード店、雑貨品売り場だ。

 

『今回、特別なルールがございます。陣営には資料が送られていますので、ご確認ください。回復品である「フェニックスの涙」は今回両チームにひとつずつ支給されます。なお、作戦を練る時間は30分です。この時間内での相手との接触は禁じられております。ゲーム開始は30分後に予定しております。それでは作戦時間です』

 

 アナウンス後、すぐに皆で集まる。時間は一分も無駄にできないだろう。

 

「バトルフィールドは駒王学園近くのデパートを模したもの。屋内戦ね」

 

 部長が飲食フロアの壁に描かれた大きなデパート内の案内図を見ながら言った。部長の手元にはチェスのマス目に区切られた専門の図面も存在する。

 

 部長が送られてきたルールの紙に目を通す。

 

「今回のルール、『バトルフィールドとなるデパートを破壊し尽くさないこと』――つまり、ど派手な戦闘をおこなうなって意味ね」

 

 部長は目を細め、このルールをどうしたものかと考えている様子だった。

 

「……なるほど、以前の私や副部長にとっては不利な戦場だったな」

 

「ええ、そうですわね。修行前は効果範囲の大きい殲滅型の攻撃しかできませんでしたから」

 

 ゼノヴィアと朱乃さんが修行の成果が現れると、自身たっぷりにつぶやいた。朱乃さんもゼノヴィアも近距離戦闘できるようになっているんだったな。――って、俺ががんばって修行で覚えたドラゴンショットは使えないのかよ!

 

「シトリー眷属も朱乃とゼノヴィアが広範囲の攻撃から、範囲指定の近距離戦もできるようになったことは想定外のはずよ。裏をかけるわね」

 

 部長が嬉しそうにつぶやく。木場が意見を口にする。

 

「ギャスパーくんの眼は今回効果が望めませんね。店内では隠れる場所が多すぎる。商品もそのまま模されるでしょうし、視線を遮る物が溢れています。闇討ちされる可能性もありますし……困りましたね」

 

 部長は木場の言葉に首を横に振った。

 

「いえ、ギャスパーの眼は最初から使えないわ。エイジのハンデと同じように、こちらに規制が入ったの。『ギャスパー・ヴラディの神器使用を禁ずる』だそうよ。理由は単純明快。まだ完全に使いこなせないからね。眼による暴走でゲームのすべてが台無しになったら困るという判断でしょう。イッセーの血を与えるのも禁止。アザゼル開発の神器封印メガネを装着のことよ。『ギャスパー専用に作ってあるため、体への悪影響なし』――と。本当、用意がいいわね」

 

 ギャスパーの神器はダメってか! そういや、ギャスパーの修行は神器だけ順調じゃなかったって聞いた。いろいろやってはいるけど、ギャスパーの眼はまだまだ時間がかかりそうだ。お外に解放されただけでも良しなのかな。

 

「では、ギャスパーは魔力とヴァンパイアの能力で戦えと?」

 

 俺の問いに部長はうなずく。

 

「そういうことね。もともと時間停止はリスクが大きかったわ。カウンタータイプの存在だでなく、能力を吸収する神器を持つ匙くんが相手側にいるのだもの。どんな返し技をされるかわからないのよ。幻術で封殺。他にも視界を奪う術はある。そんなこと言っていたらゲームや戦闘なんてできやしないのだけれど。細心の注意を払うのは当然ね」

 

 ヴァーリも部長と同じことを言っていたな。眼から発動するとわかっているなら対処もしやすい、と。部長は続ける。あ、ギャスパーがさっそくメガネをかけてるぞ。

 

「……レーティングゲームは、単純にパワーが大きいほうが勝てるわけでもない。バトルフィールド、ルールによって戦局は一変するわ。力が足りなくても知恵しだいで上に上がれる土壌もあるからこそ、ここまで冥界や他の勢力の間で流行ったのよ。今回は私たちにとって不利なルールかもしれないわ。けれど、これをこなせなければこれからのゲームに勝ち残ることなんてできない。『「兵士」でも「王」を取れる』――これはチェスの基本ルールでもあり、レーティングゲームの格言よ。つまり、『やり方しだいでは誰でも勝てる可能性がある』ということを示唆しているわ」

 

 朱乃さんもエイジも部長の意見に賛同し、うなずいた。

 

「そうですわね。実際の戦場でも、このような屋内戦が今後あるかもしれません。そうなった場合、今日この日のように力が完全に発揮できないこともあるでしょうし。いい機会かもしれませんわね。チームバトルの屋内戦に慣れておくのに今回の戦闘は最適ですわ」

 

 頭の良い皆が話し合うなか、俺は恐る恐る手をあげる。

 

「あ、あの、部長。俺、禁手になることやパワーを上げる修行に必死で、力を抑えて戦う練習なんてしてもせんけど……」

 

「わかっているわ。今回、完全に裏目に出たのよ。戦場とルールはランダムで決まるとはいえ、今度のゲームはイッセーにとって最悪に近いかもしれないわ。倍化させたあなたのパワーは絶大よ。ルール上、建物を破壊したらアウト。ドラゴンショットもできるだけ撃たないこと。デパートが倒壊するかもしれないから。格闘戦でなんとか凌いでちょうだいね。……難しいことばかりでゴメンなさい」

 

「……は、はい。って、正直、不安すぎますけど……」

 

 部長はそう言ってくれるけど、同じ広範囲型のパワータイプのゼノヴィアと朱乃さんは範囲を絞ることを習得しているし、部長も近接格闘の修行もしてるから、実質、俺だけなんだよなパワーをコントロールできないの……。

 

 しかも、俺だけが辛い修行を受けていたって思ったら、部長たちのほうが骨が折れたり血を吐いたり、毎回指一本も動けなくなるほどの修行を積んでいたし……。

 

 3大勢力の会議で部長と眷属の仲間を守るって言ったのに、まったく守れてないな……。

 

 そのあとは作戦を話し合い、戦場であるショッピングモールの様子を偵察にそれぞれ動き、細かい戦術まで決めていった。

 

 そして、作戦が始まって半分が過ぎた頃、いちおうプランは固まった。

 

 部長は俺たちを見渡して言う。

 

「ゲーム開始は15分後ね。10分後にここに集合。各自、それまでそれぞれのリラックス方法で待機していてちょうだい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一旦別れて戦闘前のリラックスをしに向かう。

 

 部長と朱乃さんはエイジを連れて飲食フロアの店舗に入って、エイジが給仕役になって3人でお茶を楽しんでいた。そういや、最近、朱乃さんまでキレイになってきてエイジとよく一緒にいるところ見るけど、エイジの奴、朱乃さんにも手を出していないよな? もし出していたら絶交だぜ! 部長だけじゃなくて2大お姉さまを全部手に入れるんだったら、俺と松田、元浜の3人で闇討ちをかけてやる! まあ、負けるだろうけど……。

 

 ギャスパーはドーナッツ店のドーナッツを食べようか食べまいかしている。

 

 アーシアとゼノヴィアはハンバーガー店前であれやこれや話していた。木場は飲食フロアの手前にあるドラックストアで物色中。そっか、薬品とかもまんまコピーみたいだから、何かを持っていこうとしているのかな。

 

 皆、それぞれのリラックス方法で開始前まで過ごそうとしていた。で、俺はとういうと――。

 

 その場をあとにして、飲食フロア近くにある本屋に入っていた。

 

 ぐふふふ。なんとなく、思ったんだよね! モール全部再現ってことはこの本屋も同様だろう! 俺はエッチな本のコーナーに行き、誰もいない店内で1人エロ本をあさる! あったあった! すげえええええ! このエロ本すべてが読み放題! 素敵なバトルフィールドもあったもんだ! あー、どれから見ようかな! すごい量の金銀財宝を見つけたトレジャーハンターってこんな気持ちなのだろうか? よりどりみどり!

 

 これ、全部お持ち帰り可能? 持って帰りたい! アーシアと住んでいるのだから、エロ本なんていらないだろうと悪友2人やクラスの男子は言うかもしれない。

 

 そうじゃない! そうじゃないんだよ! あれはあれ、これはこれ。だってさ、アーシアは俺からしたら妹なんだ! 一緒に添い寝してくれて、兄のように慕ってくれるアーシアに手なんて出したら嫌われそうだし、かといって日々悶々と過ごすのは健康な男子高校生として性欲を持て余す。

 

 こういうのを見て、アーシアとできないことを日々発散するわけですよ。あー、ハーレム野朗のエイジみたいになったら、毎日エッチできるだろうし、こんな本いらないんだろうなぁ。

 

「……イッセー先輩、そろそろ集合です」

 

 俺が大喜びでエロ本を読んでいると、小猫ちゃんがひっこり現れた! うああああああああっ! エロ本読んでいるところ見られたぁぁぁぁっ!

 

「こ、小猫ちゃん! これはその!」

 

 俺はあたふたしながら誤魔化そうとするが、小猫ちゃんは半眼で息を吐くだけだ。

 

「まったく……試合前に何をやっているんですか」

 

「ご、ゴメンなさい! 魔がさしたんです、ゴメンなさい!」

 

 俺は即座にその場で土下座する。

 

 小猫ちゃんは大きく息を吐くと、訊いてきた。

 

「そういえばイッセー先輩って、エイジ先輩と付き合いが長いんですか?」

 

 え? どうしたんだいきなり?

 

「エイジと知り合ったのは高校入学してからだから、友達になってから1年と半分ぐらいだよ」

 

「1年と半年……」

 

「まあ、1年以上友達だったけど、俺ってエイジの何も知らなかったんだよなぁ」

 

 俺の言葉に小猫ちゃんが意外そうな顔になった。

 

「あいつの両親がかなり前に死んでて、実は冥界で賞金稼ぎしていて、実力は魔王クラスで……。……女の子に裏ではすごくモテモテだったり……」

 

 ぐしゃ。おっと、雑誌がボロボロに……。落ち着け、男の嫉妬はみっともないぞぉぉ。

 

「って! マジであいつモテモテなこと隠しやがって! 女の子の知り合いとかたくさんいるくせに、俺らに女の子を紹介しないとはどういう了見だ! いや! いまからでも遅くはないのか!? あいつに頼めばエッチな女の子を紹介してもらえるんじゃないか!? そうだよ! サキュバスの女の子とも知り合いなんだし――」

 

「……イッセー先輩?」

 

「ご、ゴメンなさい!」

 

 怒気を含ませた小猫ちゃんの声に俺は我にかえって、床に頭を擦りつけた! ああ、床が冷たいぜ!

 

 小猫ちゃんは気を取り直して話し始める。

 

「イッセー先輩。なぜエイジ先輩は猫又である姉さまや私を怖がらないんでしょう? なぜ人間ベースの体から、尻尾まで生えた悪魔の体になったのに笑っていられるんでしょうか?」

 

 そ、そんなこと相談されてもなぁ……。

 

「俺も小猫ちゃんのこと、猫又だって教えられても別に怖くなかったけど?」

 

「――え?」

 

 意外そうな小猫ちゃん。

 

「いや、なんで怖いのさ。逆にネコミミ姿がラブリーだったし、怖がる理由なんてないだろ?」

 

「…………」

 

 俺の言葉で小猫ちゃんの顔が困惑という色になった!

 

「……修行が始まる前、イッセー先輩に酷いこと言いました」

 

 あー、俺が気軽に言って、小猫ちゃんが怒ったときのことか。

 

「気にしなくていいよ。俺も悪かった。事情を知らなかったとはいえ、俺は――気の利かない先輩だったよ」

 

「そんなことありません」

 

 小猫ちゃんは決意を固めた表情になる。

 

「私はこれから猫又の力を乗り越えて、仙術を習得して、姉さまにつけてもらった通り名である『冥界猫(ヘルキャット)』の名を冥界に轟かせるつもりです」

 

 宣言するように言う小猫ちゃん! 小猫ちゃんにも目標があったんだ!

 

 俺も顔を上げて小猫ちゃんに宣言する!

 

「俺も小猫ちゃんに宣言する。俺は小猫ちゃんが言ったような力に溺れない、やさしい『赤い龍の帝王』を目指すよ」

 

「イッセー先輩……」

 

 嬉しそうに微笑む小猫ちゃん。――っ! 土下座している俺の視界にある物が映り込んだ! こ、これは――!

 

 俺の視界に映り込んだのは――ピンクと白のシマパンだった!

 

 角度がいいから丸見えで、さっきまでずっとエロ本を読んでいたせいで目が離せない!

 

 いけないと分かっていても、目が離せない! 顔が緩む! 鼻血が出そうになる!

 

「――っ!」

 

 小猫ちゃんがバっとスカートを抑えた! ああっ、桃源郷が……。

 

 って!

 

「……最低です、イッセー先輩」

 

 吐き捨てるようにそれだけ言うと立ち去っていく小猫ちゃん!

 

「エッチでゴメンなさいぃぃぃぃぃ!」

 

 仕方ないんだ! 俺の近くにリアルハーレム野朗のエイジとイケメン木場がいるから仕方がないんだよぉぉぉぉ!

 

 お山での修行で女っ気がなかった所為で性欲が溜まってるんだよぉぉぉぉ!

 

「……やらしい赤龍帝です、やっぱり」

 

 小声でつぶやいたみたいだったけど、聞こえてるよ小猫ちゃぁぁん! 待ってぇぇぇ、おいていかないでぇぇぇぇ! エイジのことはもういいんですかぁぁぁぁ!

 

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