<エイジ>
結界が張ってあったが、俺は朱乃先輩の家である神社の境内から堂々と外に出て、自宅に帰って着替えた。
そのあと、街にくりだして町の不良狩りをしていたら、学園から帰宅途中と思わしきイッセーを発見した。
「おーい! イッセー!」
「おっ! エイジじゃないか! お前、今日なんで学校に来なかったんだよ?」
「ああ。昨日ちょっとあってな」
「ちょっとってなんだよ?」
「あはは。まぁ、そのことはもういいだろ?」
まぁ、リアス先輩と朱乃先輩に軟禁されて、そこから抜け出して……、しかもさっきまで町のゴミ、もとい不良狩りをしていたとは言えないから、笑って誤魔化した。
「ああ。そうだな……それよりも俺には大事な用があったんだった!!」
「ん? なんだその大事な用ってのは?」
「よく聞いてくれた、エイジ! 今夜俺と元浜は松田の家でエロDVDの鑑賞会をやるんだ!」
イッセーは道ばたで力強く俺言い放つが、俺にどうしろと?
「なんだエイジ? お前も見たいのか? 見に来たいのかっ!? いいぞ! お前も来い! お菓子とジュースを持ってくれば参加オーケーだ!!」
「あ、ああ……、暇だったら行かせて貰う」
「松田の奴が、掘り出し物だと言っていたから期待していいぜ!」
言うだけ言って、イッセーは自宅に向かって走り出した……。
うーん……、それにしてもAVかぁ。AV見なくても充分なぐらい満足してるから見なくてもいいが……。
でもなぁ、掘り出し物。……エロ魔人である松田と元浜が言う掘り出し物は気になる。
ていうか、悪魔に転生したこと言ってない。というか、言う暇がなかったな。
う~~ん……、どうしよう? 非常に行きたいんだが、現在俺は逃亡中の身……。
ん? それなら丁度いいんじゃないか?
「エ・イ・ジ~~?」
「そうさ! 逃げるんだったら絶対に見つからない場所……へ」
あれ? 今さっき艶やかで透き通るような女性の声が?
「エイジ~、朱乃の家に居るはずのあなたが、何でこんなところにいるの?」
「エイジくん。どうやって私に気づかれず、家の結界を抜け出したか教えてくださいますか?」
……両方の肩に手を置かれて振り返ると、そこには笑顔なのに笑顔に見えない顔をしたリアス先輩と朱乃先輩が立っていて――。
「いえっ! あのっ……そ、それは~……、なんと、いいますか……」
「私たち、学園に行く前に言ったわよね?」
「いえ、その、血だらけで穴の開いた服では、どうかと思って着替えに……」
「私たちが戻ってくるまで、朱乃の家で待ってなさいって言ったわよね!?」
「あ、はい……。す、すみません……」
ヤバイ、二大お姉さまがご立腹だ……!
「とりあえず、リアス。ここではなんですから、家に行きましょうか?」
朱乃さ~ん。また尋問ですか~?
「そうね。ここじゃ魔力も使えないし……」
って、リアス先輩、魔力まで使う気なんですか!?
「すみません! 俺、今日予定が……!」
「「キャンセルしなさい!」」
「……はい」
こうして俺は、二大お姉さまに引きずられるように、朱乃先輩の家に送還され、リアス先輩と朱乃先輩にお説教&どうやって結界を抜け出したのかを尋問された。
◆
リアス先輩達からの尋問が終わり、言いつけを破った罰としてリアス先輩に尻を叩かれていると、なんでも転生悪魔になったイッセーを『はぐれ悪魔』と勘違いした堕天使が襲っているという情報が入ったらしい。
「朱乃! 私はすぐにあの子のところに行くわ!」
リアス先輩は急いで転移魔法の魔法陣を展開し始める。
「リアス先輩! 俺も行きます!」
「ダメよ! あなたは悪魔になったばかりだし、相手は堕天使よ!」
リアス先輩が俺を怒鳴りつけるが、これだけは引けない!
「イッセーは俺の友達です!」
「――っ」
「それに、リアス先輩を一人でそんなとこに向わせるわけにはいきません!」
「うぅ~……、もうっ、勝手にしなさい!」
「リアス先輩……」
「でも、一つだけ約束しなさい! 私が許可するまで堕天使に攻撃しないこと! わかった!?」
「はい!」
リアス先輩は俺に近づくと転移魔法を発動させた。
「え~と……? 私は……?」
転移直前に寂しそうな朱乃先輩の声が聞こえたが、今は緊急事態なので無視!
◆
リアス先輩の転移魔法が終わって周りを見て見ると、そこは先日夕麻ちゃんに刺された公園だった。
「行くわよエイジ!」
リアス先輩が駆け出したあとを追っていくと、イッセーが腹から血を流していて、そのすぐ近くにいる黒い羽を生やしたスーツ姿のおっさんが光の槍を掲げ、いままさに止めを刺されそうになっているところだった!
それを確認したリアス先輩は、手のひらに魔力を集めておっさんの手に目掛けて放った。
そして、そのままおっさんの前に立って、
「その子に触れないでちょうだい」
と啖呵をきった!
堂々と胸を張るリアス先輩、すっごく綺麗です!
――っと、いけないいけない。いまのうちにイッセーを回収しないと。
「なっ、エ……イジか?」
「イッセー。今は喋るんじゃない。傷に響く」
「ぐぅ……」
イッセーは重傷だがギリギリ命に別状はない。それに俺の気を分け与えれば回復させることができるから放置だ!
いまはリアス先輩と堕天使との啖呵の切りあいを見ないといけないからな!
「……紅い髪、……グレモリー家の者か……」
おっさんが憎憎しげにリアス先輩を睨みつける。
「リアス・グレモリーよ。ごきげんよう、堕ちた天使さん。この子にちょっかいを出すなら容赦しないわ」
「……ふふっ。これはこれは。その者はそちらの眷属か。この町もそちらの縄張りというわけだな。まあいい。今日の事は詫びよう。だが、下僕は放し飼いにしないことだ。私のような者が散歩がてらに狩ってしまうかもしれんぞ?」
「ご忠告痛み入るわ。この町は私の管轄なの。私の邪魔をしたら、そのときは容赦なくやらせてもらうわ」
「その台詞、そっくりそちらへ返そう、グレモリー家の次期当主よ。我が名はドーナシーク。再び見えないことを願う」
おっさんはそう言い残して黒い羽を羽ばたかせ夜の空に消えていった。
そしてリアス先輩はイッセーを抱えている俺に向って来てイッセーの容態を確認しにきた。
「あら、気絶してしまうの? 確かにこれは少しばかり危険な傷ね。仕方ない。あなた自宅は……」
「リアス先輩! マジでさっきの啖呵の切りあいは格好良かったです!」
「……えーと、エイジ? いまはその子の治療をしなければいけないんだけど?」
「大丈夫です! 俺に任せてください!」
「任せてくださいって? 治せるの?」
「はいっ! 気を使えば一瞬ですよ!」
「――っ! ……へぇ~、気。気ねぇ…?」
「はい! 見ててください! ――ふんっ!」
俺はイッセーを地面に寝かせ、4大変身宇宙人に孫悟空がやったように気を分け与えてイッセーの傷を完治させる。
「どうですか? 回復しましたよ」
「すごい……。あれだけの深手が一瞬で……」
「えへへへ~~、偉いでしょう? 褒めて、褒めてください~~」
「えっ、ええ……。偉いわねエイジ」
リアス先輩が手を伸ばして頭を撫ぜてくれる。ああ、リアス先輩の指は滑々してて気持ちいいなぁ~。
「そういえばエイジ?」
「なんですか~?」
「私、あなたが仙術を使えることを教えてもらってないんだけど? これはどういうことなのかしら?」
ヤバイ……、リアス先輩の手にまた魔力が集まってきた!
「あれ~? さっきの仙術って言うんですか? 知らなかったなぁ~~。…………すみません」
「大丈夫よ、エイジ。私、怒ってないから」
「えっ!? 本当ですか!? お仕置き無しですか!?」
「いいえ。お仕置きはしなきゃだめよ。私に隠し事したんですもの。当然でしょう?」
ヤバイって! またあの笑っていない笑顔になってる!
「リアス先輩は怒ってる! 実はすごく怒ってるでしょう!?」
「怒ってないって言ってるでしょう? さぁ、お尻を出しなさい。今度は魔力を使って叩いてあげるから……」
「やめぇ……! やめてぇぇぇぇぇ~~~~!」
……。
………。
……………。
その場でお仕置きを終えた俺は、リアス先輩と一緒に意識を失ってるイッセーを自宅に送り届けたあと、朱乃先輩の自宅に戻り、再び能力についての尋問と隠していたことによるお仕置きを2人から受けた………。