※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D 世界を渡る転生者   作:上平 英

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放課後のラグナロク
第60話 北欧の主神オーディン来訪


<エイジ>

 

 

 朱乃さんとのデートを開始して1日が経過していた。そう、1日が。

 

 デートは先日の朝から始まってウインドウショッピングや映画、水族館とありふれた若者らしいデートだったが、夜、夕食を摂ったあと、自然とラブホテルへと行くながれになってしまってたのだ。

 

 そして現在は昼を軽く回ったところ……。

 

 完全に2人きりでのセックスだったし、デートあとということもあってか色々と燃え上がってしまって先ほどやっと起きたのだ。

 

 とりあえず、もうホテルから出なければ。お互い下着は昨日のものだが、他はデートで買った服に着替えてからホテルから出た。

 

 デートということでいつもよりもおしゃれして、ポニーテールからストレートヘアにしている朱乃が微笑みながら手をつないできた。

 

「うふふ、楽しかったですわね」

 

「ああ。久しぶりに朱乃とゆっくりできたな」

 

 手を恋人つなぎにして、さあ家に帰ろうとなったところである気配を感じ取った。そちらの方向へ顔を向けると、話しかけられた。

 

「久しいの。大勇者よ」

 

「オーディン?」

 

 現れたのは――北欧の主神、オーディンだった。帽子を被っていて随分とラフな格好をしている。背後にガタイの良い男性とシトリーとのレーティングゲームのあとに会ったことのある、パンツスーツを着込んだ真面目そうな美女を連れていた。

 

「ほっほっほ、北の国から遠路はるばる来たぞい」

 

「ど、どうして、ここに?」

 

 そうだ。どうして日本の町に来たんだ? 観光か? この爺さんの場合テロが頻繁に起こっていても無視しそうだし。と思っていたら、横から真面目そうなお姉さんが入ってくる。

 

「オーディンさま! こ、このような場所をうろうろされては困ります! か、神さまなのですから、キチンとなさってください!」

 

 この人、オーディンに結構苦労かけられているみたいだな。あと、鎧姿も綺麗だったけどその服装もナイスだよ!

 

「よいではないか、ロスヴァイセ。お主、勇者をもてなすヴァルキリーなんじゃから、こういう風景もよく見て覚えるんじゃな」

 

「どうせ、私は色気のないヴァルキリーですよ。セルベリアさんよりもおっぱいちいさいですよぉぉぉ」

 

 キミも十分大きいほうだからな。セルベリアの爆乳と比べるほうが間違っていると思うぞ……。

 

「あなたたち、さっきここから出てきたわね! ハイスクールの生徒なんでしょ? まだ早すぎるわ! お家に帰って勉強しなさい勉強」

 

 なんだか、ヴァルキリーのロスヴァイセに怒られてしまった。少し羨ましそうな視線がなかったらもう少し素直に反省できたんだが……。

 

 と、横を見れば朱乃さんがオーディンの付き添いらしいガタイの良い男性に詰め寄られていた。

 

「……あ、あなたは」

 

 朱乃さんは目を見開いて、驚いている。見覚えのある人? 堕天使のようだけど……、まさか――。

 

「朱乃、これはどういうことだ?」

 

 男性のほうはキレ気味だ。声音に怒気が含まれている。結構な迫力だな。

 

「……か、関係ないでしょ! そ、それよりもどうしてあなたがここにいるのよ!」

 

 朱乃さんは目つきを鋭くして、にらみ付けていた。先ほどまでのラブってた雰囲気はない。つないでいる手が力が入っている。

 

「それはいまどうでもいい! 先ほどこの建物のなかから出て来たな? ……な、なな、何をやっていたんだ?」

 

 朱乃さんのほうへ飛ばすと見せかけて、俺のほうへと全力で殺気を飛ばしてくる。

 

「なんだっていいでしょ! あなたには関係ないことよ!」

 

 大声で叫ぶ朱乃さん。予想は出来ているけど……訊ねる。

 

「あなたは?」

 

「……今日はオーディン殿の護衛として来ている。堕天使組織グリゴリ幹部、バラキエルだ。――姫島朱乃の父親でもある」

 

 ……やっぱり朱乃さんのお父さんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほっほっほ、というわけで訪日したぞい」

 

 兵藤家の最上階に設けたVIPルームでオーディンが楽しそうに笑っていた。

 

 なんでも日本に用事があって、そのついでにこの町へ来たようだ。下手なところよりも悪魔、天使、堕天使、3大勢力の協力態勢が強く、俺と黒歌たちがいるこの町にいたほうが安全みたいだ。

 

 俺の家にはVIPルームとかないし、隣で集まりやすいって理由で兵藤家に集まったわけだが、すごいことになってるな、兵藤家。少し前まで完全な一般人だったのに、いまでは神さままで訪れちゃうなんてさ。

 

 兵藤家にはグレモリー眷属と俺の眷属扱いの黒歌たちも全員集合している。アザゼルも久しぶりに顔を出していた。

 

 あのあと、俺と朱乃さんはリアスたちと合流し、イッセーに連絡してからそのまま兵藤家に連れて帰ってきたのだ。朱乃さんはお父さんの登場に当惑していて、不機嫌になってしまっていた。いまもあまり前に出ず、ニコニコ笑顔すら止めていた。

 

 朱乃さんのお父さん――バラキエルもこの場にいるけど、朱乃さんは視線すらも交わさない。無視しようとしていた。……お父さんとの確執は根深いようだ。

 

 堕天使バラキエル。賞金稼ぎだし、聞いたことはある名前だった。武人気質で堅物。アザゼルと肩を並べるほどの実力者だという話で、一発の攻撃力なら堕天使随一だそうだ。

 

「どうぞ、お茶です」

 

 レイナーレがオーディンに対応していた。すごいね。もはや完璧なメイドさんだよ。家事も戦闘補助もなんでもござれのハイスペックメイドさんだよ。

 

「かまわんでいいぞい。しかし、相変わらずセルベリアは爆乳だのう」

 

「オーディンさまも相変わらずですね」

 

 呆れたようにつぶやくセルベリアに、うんうんとロスヴァイセもうなずいていた。

 

「おお、もちろんお主もな。そっちもデカいのぅ。ほっほっほ、眼福じゃ」

 

 このスケベジジイ……。リアスと朱乃に黒歌と交互に厭らしい目で見るなよな。あとノエル、君はそのスタイルでも充分綺麗だから、何もない胸の前で手をスカスカさせないでくれ。切なくなるから。

 

「もう! オーディンさまったら、厭らしい目線を送っちゃダメです! こちらは魔王ルシファーさまの妹君なんですよ!」

 

 ロスヴァイセがオーディンの頭をハリセンで叩いた。この前のリアスといい、どこから出しているんだ? ハリセン。

 

「まったく、堅いのぉ。サーゼクスの妹といえばべっぴんでグラマーじゃからな、そりゃ、ワシだって乳ぐらいまた見たくもなるわい。と、こやつはわしのお付ヴァルキリー。名は――」

 

「ロスヴァイセと申します。日本にいる間、お世話になります。以後、お見知りおきを」

 

 オーディンの紹介でロスヴァイゼがあいさつしてくれた。こいつも美人だよな。年は俺より2、3上ぐらいか?

 

「彼氏いない歴=年齢の生娘ヴァルキリーじゃ」

 

 オーディンが厭らしい顔つきで追加情報をくれる。ロスヴァイセは酷く狼狽しだした。

 

「そ、そ、それは関係ないじゃないですかぁぁぁぁっ! わ、私だって、好きでいままで彼氏ができなかったわけじゃないんですからね! 好きで処女なわけじゃなぁぁぁぁいっ! うぅぅっ!」

 

 あー、その場にくずれおれて、床を叩きだしたぞ。セルベリアが慰めるように背中をさすっていた。

 

「まあ、戦乙女の業界も厳しいんじゃよ。器量よしでもなかなか芽吹かない者も多いからのぉ。最近では英雄や勇者の数も減ったもんでな、経費削減でヴァルキリー部署が縮小傾向での、こやつもわしもお付になるまで職場の隅にいたのじゃよ」

 

 オーディンはうんうんうなずきながら言う。そういえば俺が北欧に行ったときもそうだったな。

 

「爺さんが日本にいる間、俺たちで護衛することになっている。バラキエルは堕天使側のバックアップ要員だ。俺も最近忙しくて、ここにいられるのも限られているからな。その間、俺の代わりにバラキエルが見てくれるだろう」

 

「よろしく頼む」

 

 と、言葉少なにバラキエルがあいさつをくれた。

 

 俺たちはオーディンの護衛なのか……。

 

「爺さん、来日するにはちょっと早すぎたんじゃないか? 俺が聞いていた日程はもう少し先だったはずだが。今回来日の主目的は日本の神々と話をつけたいからだろう? ミカエルとサーゼクスが仲介で、俺が会議に同席――と」

 

 アザゼルが茶を飲みつつ訊いた。

 

「まあの。それと我が国の内情で少々厄介事……というよりも厄介なもんにわしのやり方を批難されておってな。ことを起こされる前に早めに行動しておこうと思ってのぉ。日本の神々といくつか話をしておきたいんじゃよ。いままで閉鎖的にやっとって交流すらなかったからのぉ」

 

 オーディンは長い白ヒゲをさすりながら嘆息していた。どこも色々と厄介事を抱えているんだな。

 

「厄介事って、ヴァン神族にでも狙われたクチか? お願いだから『神々の黄昏(ラグナロク)』を勝手に起こさないでくれよ、爺さん」

 

 アザゼルは皮肉げに笑っていた。

 

「ヴァン神族はどうでもいいんじゃが……。ま、この話をしていても仕方ないの。それよりもアザゼル坊。どうも『禍の団』は禁手化できる使い手を増やしておるようじゃな。怖いのぉ。あれは稀有な現象と聞いたんじゃが?」

 

 ――っ。

 

 俺たち眷属は皆驚いて顔を見合わせていた。やっぱり各勢力に神器所有者をぶつけていたのは禁手化させるためだったのか。

 

「ああ、レアだぜ。だが、どっかのバカがてっとり早く、それでいて怖ろしくわかりやすい強引な方法でレアな現象を乱発させようとしているのさ。それは神器に詳しいものなら一度は思いつくが、実行するとなると各方面から批判されるためにやらなかったことだ。成功しても失敗しても大批判確定だからな」

 

「なんですか、その方法って」

 

 イッセーの問いかけにアザゼルは丁寧に答える。

 

「リアスの報告書でおおむね合っている。下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦だよ。まず、世界中から神器を持つ人間を無理矢理かき集める。ほとんど拉致だ。そして、洗脳。次に強者が集う場所――超常の存在が住まう重要拠点に神器を持つ者を送る。それを禁手に至る者が現れるまで続けることさ。至ったら、強制的に魔法陣で帰還させる。おまえらの対峙した神器使いが逃げたのも禁手に至ったか、至りかけていたからだろう」

 

 そういえば、襲ってきた神器所持者で影を操る神器使いが途中で逃げていたな。

 

 アザゼルは続ける。

 

「これらのことはどの勢力も、思いついたとしても実際にやれはしない。仮に協定を結ぶ前の俺が悪魔と天使の拠点に向って同じことをすれば批判を受けると共に戦争開始の秒読み段階に発展する。自分たちはそれを望んでいなかった。だが、奴らはテロリストだからこそそれをやりやがったのさ」

 

 神器を持った人間をそんな目に遭わせたら、各方面から批判がくるのも当然だろうな。

 

 アザゼルの説明でイッセーが何か言いたそうな表情を浮かべた。アザゼルもイッセーに気づいたようだ。

 

「自分はそのような目に遭って禁手化に至りましたけどって訴えかけるような顔だな、イッセー」

 

「そりゃそうですよ、先生」

 

「だが、おまえは悪魔だ。人間より頑丈なんだぜ?」

 

「それでも死にかけました!」

 

「あー、まあ、おまえだから別にいいんだよ」

 

「あーっ! それでまた片付けるぅぅぅっ! 酷いよ、先生!」

 

 泣き叫ぶイッセー。最終的に禁手化できたのは小猫ちゃんのおかげだろうけど、言わない。……全冥界放送で乳首をつつかれたところを放送されて泣いた小猫ちゃんのために……。

 

「どちらにしろ、人間をそんな方法で拉致、洗脳して禁手にさせるってのはテロリスト集団『禍の団』ならではの行動ってわけだ」

 

「それをやっている連中はどういう輩なんですか?」

 

 イッセーの問いにアザゼルが続ける。

 

「英雄派の正メンバーは伝説の勇者や英雄さまの子孫が集まっていらっしゃる。身体能力は天使や悪魔にひけを取らないだろう。さらに神器や伝説の武具を所有。その上、神器が禁手に至っている上に、神をも倒せる力を持つ神滅具だと倍プッシュなんてもんじゃすまなくなるわけだ。報告では、英雄派はオーフィスの蛇に手を出さない傾向が強いようだから、底上げに関してはまだわからんが」

 

「禁手使いを増やして何をしでかすか、それが問題じゃの」

 

 オーディンは特別深刻そうな顔でもなく、普通に茶を飲みながら言った。まあ、スケベジジイでも北欧の主神さまだし、普通の奴よりも剛胆だろう。

 

「まあ、調査中の事柄だ、ここでどうこう言っても始まらん。爺さん、どこか行きたいとこはあるか?」

 

 アザゼルがオーディンに訊くと、オーディンは厭らしい顔つきで両手の五指をわしゃわしゃさせた。

 

「おっぱいパブに行きたいのぉ!」

 

「ハッハッ、見るところが違いますな、主神どの! よっしゃ、いっちょそこまで行きますか! 前にエイジから色々な風俗店のマップも貰ってるし、俺んところの若い娘っこどももこの町でVIP用の店を最近開いたからな。まずはそこに招待しちゃうぜ!」

 

「うほほほほっ! さっすが、アザゼル坊じゃ! わかっとるのぉ! でっかい胸のをしこたま用意しておくれ! たくさんもむぞい!」

 

「ついてこいクソジジイ! おいでませ、和の国日本! 着物の帯をくるくるするか? あれは日本に来たら一度はやっておくべきだぞ! 和の心を教えてやるぜ!」

 

「たまらんのー、たまらんのー」

 

 2人は盛り上がって、部屋を早々と退散していった。このエロ総督とスケベ爺さんが本当に、堕天使の総督と北欧の主神なんだよな……。

 

 リアスも額に手をやって、眉をしかめていた。

 

「オーディンさま! わ、私もついていきます!」

 

 ロスヴァイセが追っていったけど、

 

「おまえは残っとれ。アザゼルがいれば問題あるまい。それよりもセルベリアにでも男の落とし方でも習っとれ」

 

「――うぐっ! だ、ダメです! 私も行きます!」

 

 などというやり取りを廊下でしていたようだが、そのまま付いていったようだ。

 

 部屋に残された俺たち眷属とバラキエルは同時にため息をついていた。ちなみに黒歌たちは笑っていました。あんまり関係ないからって酷い……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朱乃、おまえと話し合いをしたいのだ」

 

「気安く名前を呼ばないで」

 

 兵藤家から自宅に帰ろうと階段を下りていると途中で、朱乃さんの姿が見えなかったから探しに来てみたら、5階の廊下で朱乃さんとバラキエルが何やらもめていた。

 

「……黒い捕食者と逢引していたとはどういうことだ?」

 

「私の勝手でしょ。なぜ、あなたにそれをとやかく言われるのかしら?」

 

 朱乃さんの声はいままで聞いたことのないほど冷たく鋭い。顔もニコニコフェイスではなく、不機嫌なものだった。

 

 盗み聞きするのは失礼だろうけど、俺が関わっていそうだし、ここまで来たら去るのは無理だ。

 

「噂は聞いている。なんでも幼い女から年のいった女まで、どんな相手とも寝る破廉恥な男だと。それにインキュバスだと。インキュバスは絶滅する前までは、世界でサキュバスと合わせて1、2位を争うほど破廉恥な種族だといわれていたんだぞ」

 

「確かに悪魔の仕事とかでそういう仕事も多くしているし、エッチだし、インキュバスだけど。女性に対してエイジは誠実よ」

 

 …………。

 

「心配なのだよ。おまえが……卑猥な目に遭っているのではないかと」

 

 娘を心配する父親。……タンニーンのときを思い出すな。バラキエルは悪い奴に見えないが朱乃さんといったい何があったんだろう……。

 

「それがどうしたの、あなたに何の関係あるのよ」

 

「わ、私は父として――」

 

 そこまで言いかけたバラキエルに朱乃さんは言い放った。

 

「父親顔しないでよっ! だったら、どうしてあのとき来てくれなかったの!? 母さまを見殺しにしたのはあなたじゃない!」

 

「…………」

 

 その一言にバラキエルは黙ってしまった。ここまでだな。ワザと見つかるように物陰から顔をだす。

 

「エイジ。……聞いていたの?」

 

 くん(・・)は付けないんですね。いつもと違って全然余裕がないんだろう。

 

「はい、すみません」

 

 朱乃さんに素直に謝る。そのときバラキエルが俺を見て激怒した。

 

「ぬっ! 破廉恥な! 男が盗み聞きなどと! おまえのような破廉恥悪魔と娘の交際は断じて認めん! 認めんぞ!」

 

 おおう……、破廉恥悪魔ときたよ。事実だけど、少し傷つく……。

 

 バチッ! バチッ!

 

 バラキエルは手に雷光を走らせる。

 

 ……ヤバいな。堕天使の幹部であるこいつの雷光よりも、朱乃さんの雷光のほうが密度もあって殺傷力がありそうだ。鍛えすぎたのか?

 

 バッ。

 

 朱乃さんが俺とバラキエルの間に入り、そして俺を庇うように抱きしめた。

 

「彼に触らないで。私からこの人を取らないでください。いまの私には彼が必要なのよ……。だから、ここから消えて! あなたなんて私の父親なんかじゃない!」

 

 ……朱乃さんの叫び。それを聞き、バラキエルは雷光を止め、瞑目して言った。

 

「……すまん」

 

 言葉少なにそれだけ謝ると、この場を去っていく。あれほどの立派なガタイを人の背中が……少しだけ寂しそうだった。

 

「朱乃……」

 

 俺をぎゅっと抱きしめる朱乃さん。何とも言えない感情を含んでいるようだった。

 

「お願い。何も言わないで。……少しの間、このままで。お願い、エイジ……」

 

 その声は涙で震えていた。

 

 ……親子の間に何があったかわからないけど……。

 

 俺は朱乃さんをやさしく抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<イッセー>

 

 

 オーディンの爺さんが訪日した次の日。俺たちはグレモリー眷属はグレモリー家主催で冥界のイベントに主役として参加していた。

 

「はい、ありがとう」

 

 握手とサイン会だった。

 

 俺たちの前に長蛇の列ができ、子供一人一人にサイン色紙を渡して、握手をしていく。

 

 子供たちは俺の汚い悪魔文字で書いたサインをうれしそうに受け取り、握手をしてあげると満面の笑みで、

 

「おっぱいドラゴン! がんばってね!」

 

 って、声をかけてくれるんだ。

 

 その光景を見ているだけで、俺は鎧のなかで男泣きしていた。

 

 くっそぉぉぉぉおおっ! むちゃくちゃうれしいじゃねぇか!

 

 俺、この子たちのためにおっぱいドラゴンやっていくよ!

 

『ふははははは……、おっぱいドラゴン。……俺は、おっぱいドラゴン……』

 

 ど、ドライグ……。

 

『もうどうでもいいさ。俺は乳龍帝ドライグで、おまえも乳龍帝……。ふははははは……』

 

 完全な精神病患者となってしまったドライグ。ゴメン、ドライグ! エロいのは止められないし、おっぱい大好きなんだ!

 

『別にいいさ、相棒。これはこれで面白いから。……ふは、ふははははは……」

 

 力なく笑いだすドライグ。そろそろお薬の時間だから頑張って!

 

 子供たちに対応しながら周りを見てみると、木場のところに女の子がすっげー並んでいた。う、うらやましいぃぃぃぃっ!

 

 木場も番組内で敵役の『ダークネスナイト・ファング』となっていた。格好も適幹部の凛々しい鎧姿だ。

 

 俺は本来あれをのぞんでいたんじゃないのか! 子供の絶大な支持に最初の思惑が消えてしまったけど、俺が掴み取りたかった現実を木場が手にしていた。

 

 いいもん! 俺はどうせおっぱいドラゴンさ!

 

 かわいらしい獣ルックの衣装を着る小猫ちゃんのところには大きなお友たちがたくさん。

 

 小猫ちゃんも『ヘルキャットちゃん』としておっぱいドラゴン味方役になっていた。小猫ちゃん、嫌がらずにていねいに対応してる。

 

 プロだ! 小猫ちゃんにプロ魂を見た! 最新話でピンチとなった乳龍帝におっぱいつつかれるっていう、シトリー戦の一部映像を差し替えた話があったときはボコボコにされたけど、いまは完全に大人な対応を見せている!

 

 ……さて、そろそろ目を背けるのは止めるか。

 

 俺は視線をエイジと部長のほうへ向ける。うん……。俺の列の3倍以上の長さの行列……。

 

 この特撮、俺が主役なんだよなぁぁぁああ!?

 

 なんだこの差は!?

 

 確かに子共たちは俺のほうが断然多いけど! 子供向け特撮の主人公としていいんだろうけども!

 

 エイジの列はほとんど女性悪魔さんたちで、俺が欲しかった美人ママさん人気だけじゃなく、幼い女の子までって……。

 

 俺の1番の理想系を体現しているじゃないか!

 

 よく見ると俺の列に並んでいる子供も、男の子の割合が圧倒的に多いし!

 

 ちなみに部長は男性7割、女性3割の行列だった。この人も冥界の人気者だということを改めて知りました。

 

 高速でサインをして次々に笑顔で対応していくエイジと、同じく笑顔で対応する部長を横目で見ながら、俺も子供たちに対応していった。

 

 サイン会もひと通りこなし、俺たちは楽屋のテントへと戻っていった。

 

 あー、ちかれた。俺も鎧を解除して、素の状態に戻っている。

 

 エイジと部長も戻ってきたが、疲労困憊と机に突っ伏していた。

 

 部長大丈夫かな? エイジはどうでもいいけど。

 

 そこへスタッフがエイジに近づいていく。

 

「エイジさま。お疲れさまですわ」

 

 エイジにタオルを持って行ったのは――縦ロールヘアのお嬢さまでライザーの妹、レイヴェル・フェニックスだった。

 

「あ、レイヴェル。ありがとう」

 

 礼を言ってレイヴェルからタオルを受け取り、エイジは汗を拭いた。

 

 レイヴェルは俺たちが冥界でイベントすると聞きアシスタントとして、協力してくれていた。

 

「こ、これも修行の一環ですわ! それに冥界の子供たちに夢を与える立派なお仕事だと思えるからこそ、お手伝いをしているのです! べ、別にエイジさまやグレモリー眷属のためってわけじゃありませんわ!」

 

 などというが、結構真剣に仕事をしてくれていた。

 

 最初であった頃は高飛車で、人を小馬鹿にするいけ好かないお嬢さんだと思ったけど、いまは誰とでも普通に話している。

 

 ……いや、エイジにはツンデレみたいな態度を取ったりしていたな。まさかこいつもエイジ狙い!?

 

 俺がそんなことを考えていると、部長が時計を見て言った。

 

「皆、そろそろ人間界に帰還する時間よ」

 

「あー、そうでした。今日はこのあと、オーディンの爺さんの護衛だった」

 

 あのクソジジイ、来日してから無茶な注文ばかりしてきやがってさ。おっぱいパブには行くわ、道ばたを歩いている姉ちゃんをナンパするではやりたい放題!

 

 一度、あの頭をロスヴァイセさんみたいにハリセンで叩きたいぜ!

 

「そう、早く戻らないといけないわ。レイヴェルもお疲れさま。今日はありがとう」

 

「い、いえ、勉強のためですから」

 

 部長のお礼の一言にレイヴェルも頬を赤く染めていた。

 

「じゃあ、また今度な」

 

 席から立ち上がったエイジはレイヴェルにそう微笑んだ。

 

「は、はい! イベントのときは呼んでください。わ、私でよろしければなんでもお手伝いしますから」

 

「ありがとう、レイヴェル」

 

「い、いえ……」

 

 部長のときよりも頬を赤らめてうれしそうなレイヴェル。クソゥゥゥ! 完全にエイジ狙いだろ、こいつ!

 

 このあとすぐに、俺たちは人間界へ帰っていった。

 

 握手イベント、またやりたいが、エイジと木場の2人と一緒は嫌だ! 女性人気が全部持っていかれる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冥界でのイベントを終え、オーディンの爺さんの日本観光に付き合わされたあと、エイジを除く、俺と木場とギャスパーの男組みは戦闘訓練をしていた。

 

 ゴウゥゥゥゥゥゥッ!

 

 禁手状態の俺が背中の魔力噴出口から火を噴かして、ジグザグに神速で木場を追う。

 

 木場の『騎士』としての脚は俺を超えている。だけど――。

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

 倍加して、瞬間的なダッシュ力を一気に高めれば直線では抜ける!

 

 背中のブースとが大出力で噴きだし、木場との距離を一気に詰めた!

 

 ギィィィィンッ!

 

 木場が聖魔剣を振るい、俺はアスカロンを出現させて、それを受け止める。

 

 ギィン! ギィン! ギィィィィンッ!

 

 お互い、高速で移動しながら縦横無尽に動き回る。その間、一瞬の隙も見せずに剣を振るった。

 

 ……クソッ。剣じゃ、分が悪い。徐々に押されていき、木場の刃が俺の鎧に届くようになってきていた。

 

 聖魔剣のスピードがどんどん上がってる! 切っ先なんて俺の胴体視力じゃ、捉えきれなくなってきた。木場がトップスピードに入ったら一気に攻め込まれるだろう。

 

 ――懐に飛び込んでの肉弾戦しかない!

 

 ゴウッ!

 

 俺は背中のブーストを一瞬だけ大きく噴かせて、木場の懐に入り込んだ!

 

 ショートレンジからのボディーブロー! 木場は俺と違って生身だ。防御力に関しては圧倒的にこちらが上。攻撃力もこちらのほうが上。当たれば勝機は増える!

 

 だが――。

 

 ガキャンッ!

 

 金属が殴打される音が響いた。木場は剣の柄頭をボーリングの球のように膨れ上がらせて、俺の兜を横殴りにしてきたんだ。

 

 俺のブローを察知していたのか、木場はカウンターを打ってきやがった!

 

 ……頭を打たれたせいか、一瞬意識が視界がぐにゃりと歪んだ……。脳を揺らされた。

 

 直接的な攻撃を加えられないなら、中身を刺激するってか。

 

 このまま2撃目を食らうわけにはいかないので、すぐにその場を離れようと後退しようとしたんだが――。

 

 俺は足元を凍らされて、地面と繋がってしまっていた。

 

「――氷の聖魔剣だよ」

 

 木場の手に氷で出来ている剣が握られていた。これじゃ、足が封じられて、逃げられない!

 

 バチッ! バチッ!

 

 さらにもう1本、反対の手には電気を帯びる聖魔剣が――。

 

 雷の聖魔剣か! あれを使って俺を内部から感電させる気か!

 

 くっ、回避不可能か! なら――。

 

 バチッ! バチバチッ!

 

「――くぅっ!」

 

「――なっ」

 

 驚いた木場の顔。当然だろう。電撃を受け止めたんだから。がぁああっ! 超いてぇえええっ! だけど――。

 

「隙あり!」

 

 まさか電撃を正面から受けるとは予想していなかっただろう。完全に無防備になっている木場のどてっ腹に、俺は力を込めたブローを打ち込もうとする!

 

 タイミングはバッチリ! 逃げられないと勝利を確信していたら、木場は右足の先から刃を生えさせて、蹴りを放とうとしていた! そんなところにも剣を作れるのか!

 

 俺のブロー、木場の足の聖魔剣が交差しようとした瞬間、けたたましい音が鳴り響いた。

 

「そ、そこまでですぅ! 制限時間がきましたぁ! ス、ストップですよぉぉ!」

 

 ギャスパーが大きなベルを持って、ぴょんぴょん跳ねていた。

 

 俺と木場はお互いすんでの位置で攻撃を止めていた。こちらのほうが出は速かったけど、電撃のダメージがこちらの攻撃を遅らせ、ほとんど同士討ちの状態にしてしまったようだ。

 

 模擬戦は時間制限を設けている。俺と木場はお互い苦笑しながら手を引いていった。

 

 今日は引き分けか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たまにイッセーくんの練習量についていけないときがあるよ」

 

 練習後、スポーツ飲料をあおりながら木場はそう笑っていた。

 

 模擬戦のあとはお互い各々の方法で自主トレだ。

 

 木場は休憩。ギャスパーは空中を飛び回る謎の小型ロボットを目で停める練習ロボットは先生が作ったギャスパー専用の練習アイテムだ。

 

 俺は鎧を解除してスクワットをしながら、木場の言葉に苦笑していた。

 

 俺自身、ディオドラとの戦いで何かが変わったような気がする。

 

 前よりも禁手化できる時間が延びだし、倍加できる回数も増えたからな。

 

「でも、まだまだだ。俺のライバルである白龍皇のヴァーリは『覇龍』とかいう、禁手よりもすごい力が得られる技も習得できてるそうだし。まあ、俺自身対価しだいでは『覇龍』が使えるそうだけど、対価はとんでもなく大きいし、その場限りで使えない。だから俺は――違う方法で強くなる。才能がないなら努力で埋めりゃいいし、魔力が足りないなら体力で補えばいい。俺は諦めないよ。サイラオーグさんだって、そうやって次期当主の座を手に入れたっていうじゃねぇか。先駆者がいるなら、俺はさらにがんばれるさ」

 

 そう、それに目標だって近くにいるんだ。あいつを目指すならこの程度の修行でも足りないと思う。

 

 子供たちのヒーロー役でもあるんだしね。格好悪いところを子供たちに見せたくないんだ。

 

「けどよ、スピードじゃ、おまえに勝てないよな、木場」

 

 俺がそう言うと、木場は首を横に振る。

 

「背中のブーストを噴かしての瞬間的なダッシュでは僕に引けを取らないよ」

 

「直線はな。直線で詰めてもおまえ、大概避けるじゃねぇか。やっぱ、おまえみたいに高速でジグザグに動けるようにしないといけないんだろうけど、背中のブーストはまだ使いこなせていないからなぁ。現状じゃ、真っ直ぐしかできないや」

 

「慣れるしかないだろうね。でも、パワーでは僕を圧倒的に上回っているよ。それに赤龍帝を相手にするって、相当なプレッシャーだからパンチが飛んでくるたびに肝が冷える。命が何個あっても足りないよ」

 

 そりゃどうも。でも当たるまでが長いんだ。木場はカウンターを混ぜてくるから、どこで攻めていいか、迷うからね。

 

 最近、俺と木場とギャスパーはアザゼル先生とサーゼクスさまが作ってくれた頑丈なバトルフィールドで修行していた。冥界グレモリー領のとある地下に作ったものだ。

 

 俺と木場とギャスパーじゃ能力上、普通のばしょでは思いっきり修行できない。本気になったら、風景吹っ飛ばしたり、周囲を剣だらけにしちまうからな。

 

 トレーニングできる空間は家の地下にもあったけど、強度が足りなくて使用できなかったんだよな。

 

 そこへお2方からのプレゼント!

 

 前回、ディオドラの件で活躍したご褒美らしい。

 

 家から専用の魔法陣でジャンプして、ここへ来ている。かなり特殊な作りだから、テロリストに気取られることはないようだ。

 

 ゲームに参加する上級悪魔なら、似たような場所を持っているようで、若手悪魔の俺たちは特例という形でいただいていた。

 

 この特例は若手のなかでは俺たちと――サイラオーグさんのチームだけらしい。

 

 だけどここって普段は俺たちぐらいしか使わないんだよな。

 

 エイジの奴は自分自身で空間術とかいう技を使って仮想フィールドを作れるらしく、ウチみたいに元から地下にあった訓練用の部屋を自分たちで弄って修行しやすい空間にしているそうなんだ。エイジたちは近いし、使い慣れたところだから、基本はそっちで修行して、合同練習の時は皆でこっちのフィールドでするっていうのがいまの形だからな。

 

 エイジは部長たちや黒歌さんたちと修行。羨ましい気もしないではない――いや、めちゃくちゃうらやましい!

 

 ――んだけど、最近エイジの奴、忙しいらしいんだよな。

 

 部長たちも、修行は自主トレや黒歌さんたちとの模擬戦とかで、エイジ自身も自分の修行だけでいっぱいいっぱいだそうなんだ。

 

 ちなみに忙しい理由ってのは、悪魔の仕事が多いから。なんでも素性がバレてからどんどん悪魔の依頼が増えていて、グレモリー家側が稼げるうちに稼ごうと、エイジを働かせているそうなんだ。

 

 だからエイジはオーディンの爺さんの護衛もしながら、悪魔の仕事を請け負っている。

 

 とんでもなく忙しいそうだが、それでもうらやましいっ! 俺の変態相手の契約とは違って、あいつのは契約のほとんどはエッチなものばっかりだし!

 

 俺もインキュバスに転生したかったと、悪魔の契約で変態の相手をするたびに毎回思う……。

 

 い、いや、それを考えても仕方がないだろ!

 

 いまは俺自身のレベルアップが先決だ!

 

 先決なんだけど――。

 

「俺たち、強くなっているよな……?」

 

 俺はスクワットしながら木場に訊く。

 

「もちろん。部長や朱乃さん、ゼノヴィアに大分差をつけられているけど、僕たちの実力も確実に上がっているよ。もう並みの上級悪魔なら圧倒できるぐらいまでにはね。でも、油断はいけない」

 

「ああ、俺とおまえの能力は広く知られているし、対処されやすいんだよな」

 

 俺の弱点は変身前に強力な攻撃に対処できないのと、倍加能力が発動すると体を覆うオーラが一気に弾けるから、パワーの増大が傍から見るとすぐに察知させられてしまう点だ。

 

 木場の弱点は生身のため防御力があまり高くない点と、脚だ。脚は木場の長所でもあるけど、短所でもある。脚を狙われたらアウトなんだ。

 

 それにしても――。

 

「部長たちに随分と差をつけられたな~」

 

「そうだね。夏休み前までだったら、上級悪魔の枠組みのなかにいたけど、いまの部長たちの実力は最上級悪魔に近いレベルだよ。仙術を習得した小猫ちゃんも上級悪魔レベルぐらいの実力はあると思うよ」

 

「最上級悪魔……」

 

 タンニーンのおっさんクラスの実力者ってことなんだよな。改めて木場の口から訊かされると、部長たちとの差を強く感じる。

 

「部長や朱乃さん、ゼノヴィアは元々才能があって、女性限定だけど、凄腕トレーナーのエイジくんが鍛えたんだし、小猫ちゃんもお姉さんで元SSランクのはぐれ悪魔、仙術のエキスパートでもある黒歌さんが直々に鍛えたそうだし――」

 

 木場は苦笑しながら続ける。

 

「部長たちの修行はほんとうに厳しくて、骨とかが折れたりと大きな怪我を負ったり、魔力が空になるまで消費させられたり、修行中ずっと負荷をかけたままだったりして毎回指1本動かせなくなるぐらいまで追い込んだ上で、アーシアの回復系神器は修行で培った筋力や魔力を元に戻すからって使用不可能らしいからね。そんな地獄のような特訓を受けたら嫌でも強くなるだろうし、短期での強化も納得できるんだよね」

 

「地獄の特訓かぁ……。俺たちは参加出来ないんだったよな?」

 

「うん。エイジくんは仙術と陰陽道って、男性と女性の陽と陰の気を循環させて相手を回復させる術と、特別なマッサージを併合して、相手の体の歪みを整え、自己治癒能力を引き上げさせて回復させる術は女性にしか使用できない能力だからね。僕らだったら――」

 

「骨を折られても、大怪我しても、動けなくなってもアーシアの神器は使用禁止で、自分の力だけで回復しなきゃいけなくなるんだろ。しかも、自己治癒能力だけで」

 

 木場の言葉に続けて言うと、木場は苦笑しながらうなずいた。強くなれるっていっても、大怪我を負ったり、極限まで疲労してるのに、すぐに治癒できないんじゃ修行どころじゃないからな。俺たちには部長たちと同じ修行は無理ってことだ。

 

 それにしても、陰陽道かぁ~……、女性と男性の気を混ぜ合わせて回復させる仙術ねぇ。

 

「それって黒歌さんや小猫ちゃんとかはできねぇの?」

 

 仙術を操る妖怪らしいし、異性だし陰陽道ってのができるんじゃね?

 

 木場は首を横に振った。

 

「前に訊いたけど出来ないそうだよ。確かに仙術のエキスパートで小猫ちゃんよりも成熟した黒歌さんなら、陰陽道を使って生命力を回復させることはできるそうだけど、大怪我は治せないんだって。エイジくんの場合は魔法みたいな特別なマッサージと仙術を合わせているからこそ、大怪我を負っても、極限まで疲労していても、24時間以内には治癒できるそうなんだ」

 

 美少女の小猫ちゃんや、巨乳で美人さんの黒歌さんにマッサージしてもらえると思ったのに……。

 

「俺たちも部長たちみたいな特訓が出来ればなぁ」

 

「まあまあ、部長たちも楽して強くなってるわけじゃない、というか、僕たちよりもすごく厳しい修行を積んでいるんだし、僕たちは僕たちで強くなるための修行をしようよ」

 

「…………。そうだな。腐っててもしょうがねぇし、成長していないわけじゃないんだもんな!」

 

 スクワットから腕立て伏せに移る俺に、木場は言う。

 

「それに部長たちから学ぶことも多いと思うよ」

 

「へ?」

 

「イッセーくんの戦い方だけど、ゼノヴィアのが特に参考になると思うよ」

 

「ゼノヴィアの戦い方……。確かにディオドラからアーシアを助けたときとか、シャルバって奴と戦ってるときの戦い方はすごかったな」

 

 ディオドラの事件での最後の戦闘を思いだす。あのときのゼノヴィアは、禁手化した俺や『騎士』の木場と同じぐらいの速度で動けていたと思う。

 

「長い距離でみれば僕たちのほうが早いだろうけど、短い距離での速度では僕たちよりおそらくゼノヴィアのほうが速いと思うよ」

 

「マジで!?」

 

 ジェットを噴かせた俺や、『騎士』の木場よりも早いの!?

 

 驚く俺に、木場はうなずいた。

 

「うん。ゼノヴィアは『戦車』の特徴であるバカげた攻撃力と防御力を移動にも使っているからね。それに魔術も覚えて、移動する際に足場が崩れて力が分散しないように、同時に足場を強化してダッシュしやすくしたり、魔術で身体能力も底上げしているから瞬発力はものすごいよ」

 

 ゼノヴィア、魔術も覚えたのかよ……。

 

「そ、そういえば、部長も朱乃さんもすっごく強くなってましたよね」

 

 ギャスパーの言葉に木場は再びうなずく。

 

「そうだね。部長は魔力量も増えて、滅びの魔力の威力も上がって、さらにその滅びの魔力を圧縮して矢として打ちだせるまでのコントロールを得ていたし、エイジくん特製の武器の力だけじゃなく、王としての堂々とした風格と、どんな事態にも対処できるように精神的にも成長していたね。朱乃さんも魔力量も増えて、雷光の槍を使っての槍術の腕も見事だったし、その雷光の槍を空中に留めたまま、自由に射出したり、まだ新装備とかいう武器も持っているそうだからね。総合値の面でも強化されているから、ほんとうに僕らよりも強くなっているよ」

 

「あ、改めて説明されると、部長たちってほんとうに強くなっちゃったことがわかりますね」

 

 ギャスパーは驚きつつも、感心しているような表情でつぶやいていた。

 

「…………」

 

 …………そうなんだよな。

 

 アーシアを……、部長たちも眷族全員を守るって決めたのに、実力が開く一方なんだよな。

 

 それに俺って、龍殺しにあったら要注意なんだし……。

 

 腕立て伏せを止めて起き上がり、スポーツドリンクをあおる。

 

 アスカロンは悪魔でも使えるようにしてあって、俺の武器だから、いままであんまり危険なんて感じていなかったけど、シャルバ戦で見たゼノヴィアの龍殺しの剣、真・リュウノアギトの龍殺しのオーラを直に感じたときは死の恐怖のようなものを感じて、龍殺しが俺の弱点だと改めて認識した。

 

 俺の赤龍帝の鎧がどんなに防御力があっても、龍殺しの剣の前では意味がないだろう。

 

 龍殺しの特製を持った相手は俺以外のグレモリー眷属が対処する予定だけど、それだけじゃなくて、

 

「将来部長の元から独り立ちしてレーティングゲームの『王』になるなら、やっぱりチーム戦も考えないといけないよなぁ」

 

「そうだね。1人が強くなるのもいいけど、一強のチームじゃ先が知れるし、『王』が取られたら終わりだからね」

 

「サイラオーグさんみたいに『王』自らってのもいいけど、それに対応した戦術を敷かれたらヤバいし、俺自身弱点が多くて対処されやすいからな。いまのうちにチームバトルに慣れておくさ。はぁ、ほんとうに厳しいな。悪魔業界! 俺も『王』になったら、いざというとき以外は自重しないとな」

 

 と、こんな風に俺たち男子組みは日々集まって修行やら、ゲーム戦術やらを話していた。

 

 俺もいつまでも「わからねぇ!」じゃ、先行き不安だし、超えたい目標があるから、必死こいて木場たちと勉強していたんだ。おかげでそこそこ話せるようになってきたんだよな。さっきまでは自分と部長たちとの差について話していたけどね……。

 

「戦術論も様になってきたな」

 

 そこへ第3者の声が。振り向けばアザゼル先生だった。

 

「ほら、差し入れ。女子部員お手製のおにぎりだ」

 

 俺たちはそれに喜び、さっそく頬張っていた。自分たちの修行もあるのにわざわざありがとうございます! うん、うまい! このおにぎりはアーシアの味だ。やさしい味がするんだよなぁ。アーシアも今回はエイジの家で修行してたんだっけ。

 

 休憩する俺たちの傍に先生も座り笑う。

 

「いい体つきになってきたな、イッセー。鍛錬を積み重ねてきたものだとすぐにわかる」

 

「もっと強くならないと最強の『兵士』になれませんからね。部長に約束したことなんで、将来独り立ちするまでには同じ『兵士』のエイジを殴れるぐらいにはなっておかないといけないんですよ」

 

「エイジを殴れるぐらいか。……かなり難しいな」

 

 苦い表情を浮かべるアザゼル先生。……そんなに難しいのか?

 

「まっ、目標は高いだけいい。それより、おまえが将来リアスのもとから独り立ちするときが来たら、アーシアを連れて行くんだって?」

 

 アーシアから聞いたのか?

 

「ええ、まあ」

 

「やるじゃねぇか」

 

「いや、アーシアとはずっと一緒にいるって約束しましたし。俺もアーシアと一緒にいたいんです」

 

 アーシアとは離れたくないもんな。

 

 先生が俺の頭をくしゃくしゃ撫でながら言う。

 

「だがな、イッセー。おまえが将来『王』になるなら、ひとつ覚えておかないことがある」

 

「何ですか?」

 

 とたんに真剣な目つきになって先生は言う。

 

「――犠牲だ。ゲームのとき、手駒を見捨てなければいけないことが必ず起きる。そのとき、おまえはどう出るか。そこで『王』としての資質が試されるんだよ」

 

「……助けるっていう選択肢を捨てろと?」

 

 俺の問いに先生は首を横に振る。

 

「助けてもいい。助けられるのなら、そうすべきだ。実戦でも重要なことだな、仲間を助けるというのは。――だがな、ゲームではそういうわけにはいかない。リタイヤ転送がある以上、死ぬことは少ない。そうなると、重傷の仲間を見捨ててでも、次の行動に移らなければいけないときがあるんだよ」

 

「……難しいこと訊くんスね」

 

 俺は仲間を見捨てられない。仲間がピンチになったら最大加速で助けに行くもんな。

 

「おまえが眷属のなかで1番親愛度が高いからな。それが将来のゲームで弊害となるだろう。――木場」

 

 先生の視線が俺から木場に行く。

 

「はい」

 

「おまえはゲーム中、最悪のとき、リアスとイッセー、どちらを選ぶ」

 

「部長を選びます」

 

 先生の言葉に木場は迷う様子もなく答えた、ああ、それで正解だ。俺も、こいつが俺を選んだらこの場で殴ったと思う。

 

 ゲームでの最悪の状況で生かすべきは俺じゃない。『王』の部長だ。『王』を取られたら、すべてが終わりだからだ。

 

 先生はそれを確認して続ける。

 

「その覚悟を他の仲間にも持たないといけない。おまえらはグレモリー眷属のためか、愛情が深い。仲間への親愛は悪魔のなかでもトップクラスだろう。それが武器でもあり、弱点なんだよ。『こいつらは仲間を見捨てない』と他の悪魔に覚えられたら、確実に戦術に組み込まれて狙われる。バカのひとつ覚えで仲間を救うことばかりして敗北していたら、評価も落ちるだろう。おまえたちに今後のゲームで必要なことは目の前で倒れた仲間がいても捨てる覚悟だ。ソーナ・シトリーは夏休みのゲームでそれをおまえたちに見せたはずだ。実戦で仲間を捨てるなとは言わない。だけどな、ゲームではそれを頭に入れておけ。特にイッセーは独り立ちする予定ならば、そこをちゃんと確認しておくんだ。――おまえが『王』のゲームで最後まで生かすべきはおまえであり、眷属の悪魔じゃない」

 

 ――将来の眷属を犠牲にする覚悟、か。

 

 その覚悟を俺は持たないといけないし、もうひとつ苦い思い出があった。

 

 ライザーとの一戦のことだ。

 

 あのときことは、いまでも夢に見る。

 

 最終局面で、俺はエイジが自分よりも強いとわかっていたに、敵の『女王』と『僧侶』を押しつけて部長の救援にいったせいで敗北した。

 

 俺が自分の……独りよがりな考えで救援に行ったくせに、ライザーに手も足も出せずにボコボコにされて、あまつさえ投了させる原因になってしまったんだ。

 

 いまの俺ならわかる。

 

 あのときは間違えだったと。シトリー戦を経験して身にしみて理解したんだ。

 

 俺や木場……『王』以外は駒で、『王』がゲームに勝つための勝率を駒が上げないといけないのに、あのときの俺は強力な味方の駒を止め、その駒の代わりに『王』の元へ行き、逆に『王』を窮地に追い込んだダメな駒なんだったと。

 

 それこそシトリー戦の匙のように、敵と刺し違えるつもりで自分よりも強力な駒が『王』の元へ向わないように足止めしないといけなかったんだと。

 

 だけど――。

 

 ――だけど、もう間違わない。

 

 あんな惨めな不甲斐ない想いをするのはもうたくさんなんだ!

 

 俺は深呼吸をして、木場とギャスパーに言った。

 

「木場、ギャスパー。俺らもそろそろ覚悟を決めなきゃいけない」

 

 木場がうなずく。

 

「ゲームの際、目の前で倒れた眷族を捨てる覚悟だね?」

 

「ああ、俺たちは――レーティングゲームで部長を勝たせないといけない。そのために俺たち自身も勝率を上げるために自分から犠牲になる覚悟も持っておこうぜ」

 

 俺の意見にギャスパーも口元にご飯粒をつけながら応じた。

 

「は、はい! そ、その通りですぅ!」

 

「だから、部長のために笑って倒れよう。ただし、倒れる時は全力を出し切ってから、前のめりで倒れようぜ。敵に背中を見せたら格好悪いからな。正々堂々、真っ正面からぶつかって倒れよう」

 

 俺の言葉に2人は笑顔でうなずいた。

 

「うん」

 

「はい!」

 

 そうさ。俺たちが散るときはカッコ良く散ろうぜ。部長のためにさ。

 

 でも、それ以前に勝とう。勝ちたいって精神だけは捨てちゃダメだ。

 

 その横で先生が頬をポリポリかいていた。

 

「カッコイイこと言ってるけどな、イッセー。おまえは女を相手にするときどうにかならないものか……。パイリンガルとドレス・ブレイクが有効なのはわかるが、それにばかり集中すると、そこを狙われるぞ。ていうか、弱点わかりやすすぎだ。半裸の女が出てきたら、どうする?」

 

「眼福です!」

 

 俺の即答に先生は肩を落とした。

 

「ダメだ、こいつ。負けるって」

 

 そ、そんなこと言われても眼前にエロエロお姉さんが出てきたら、理性を保つことなんてできないって! あー、だからそこを付け狙われて隙ができそうなのか。

 

 うーむ、エロに慣れればいい? 無理だ! 目の前のエロスを無視してまで俺は突っ込むことなんてできないよ!

 

 そんな俺の思考を察したのか先生はふぅーとため息を吐いて言う。

 

「おまえ、そのスケベ根性が原因で普段のリアスたちの修行に参加できないことに気づいているのか?」

 

「え!? いったい何のことですか!?」

 

「……気づいてなかったか。いや、まあ、いいだろ」

 

 そう締めくくって話を終わらせようとする先生に詰めよって訊く。

 

「ちょっと待ってくださいよ! 俺が原因って何で――」

 

「……はぁ、わかった。丁寧に説明してやるよ。修行だがな、グレモリー眷属の奴らだけだったらよかったかも知れんが、修行には黒歌たちも加わるんだ。身内扱いだろうグレモリー眷属の奴らと違って、黒歌たちは――いや、一般の奴らは、おまえのスケベ根性にそこまで寛容じゃなねぇんだよ」

 

「それは……」

 

 どうしよう、何も言い返せない……。

 

 さらに先生は追い討ちをかけるように続けた。

 

 洋服 破壊 (ドレス・ブレイク)とかいう触っただけで服を破壊する技持ってて、いつ服を破壊されて全裸にされるかわからない。乳の声を聞くとか言ってプライバシーを侵害されたりするかわからない。好きな男がいるのにそんな男とわざわざ模擬戦したり、戦ったりすると思うか? いや、好きな男がいなくても年頃とか関係なくても、そんな男と戦いたいと思うか?」

 

「……お、思いません」

 

 そんな変態と模擬戦でも戦いたくなんかねぇよ! たとえ変態能力を使わないって言っても信用できん! そんな変態なんかと部長やアーシアを戦わせたくねぇ! ――って、その変態って俺じゃん!?

 

「それにおまえは黒歌に嫌われているからな」

 

「ええっ!? 小猫ちゃんのお姉さんに!?」

 

 おっぱいも大きくてエッチそうな美人なネコミミお姉さんに嫌われてる!? ていうか、サラッとそんなこと言わないでくださいよ!

 

「言っとくがこれは100%おまえが悪い。黒歌は小猫の姉だからこそ、小猫に恥をかかせたおまえが気に入らないんだとよ」

 

「小猫ちゃんに恥をかかせた? …………。――っ! まさか――」

 

「気づいたか。そうだ、シトリー戦との一戦でおまえが禁手化するためにやったことだ」

 

「で、でも、あれは――」

 

 あの場合、ああでもしなきゃ禁手化できなかったと――。

 

「あの戦闘は冥界全土に放送されているって先に言っておいたよな?」

 

 ――っ。冥界全土に放送!

 

「お茶の間に乳をさらして、乳をつつかれているところが放送されたんだぞ。冥界のネットにもその映像が流出して、もう消すこともできん」

 

 ボコボコにされて終わったと思ってたら、なんだがす、すごいことになっちゃってる!

 

「それにな――」

 

 アザゼル先生はそう言って懐から何かを取り出した。

 

「な、なんですか、これ……?」

 

 先生が出したのは――小さな人形だった。

 

「『乳龍帝おっぱいドラゴン』が冥界のハンバーガーチェーン店とコラボをすることになってな。お子さま用のセットを頼むとついてくるおもちゃだ。こちらがおまえの人形。こっちが『ヘルキャットちゃん』こと小猫人形だ」

 

 た、確かに俺の禁手状態をデフォルメしたような人形だ! こっちはロリなマスコットみたいなかわいらしいお人形だよ! すごく精巧だね。

 

「ギミックもあってな。両方集めるとお得なんだ。この部分をこうすると――」

 

 小猫ちゃんのお人形の服が捲れた! 下着までついてるし、小猫ちゃんの小山がキチンと再現されてる! 先生が俺の人形の手を動かして、小猫ちゃん人形の胸部分を押した。すると――。

 

『にゃん』

 

 ――ッ!?

 

 小猫ちゃんのエッチなボイスが鳴り響いた! 何これ!? すごくない!?

 

「と、声が出る」

 

 自慢げに先生が胸を張った。

 

「何これ! チョー欲しいっス! うわー! これ、ヒット商品になりますって!」

 

 俺はぶるぶると身震いしながら、人形を手に取った。

 

 す、すごい! これは神聖なおもちゃだ! こ、こんなものが作れるのか! 部長の人形や朱乃さんの人形はないのか!?

 

「ハハハハハ、だろうだろう! サーゼクスも『画期的なおもちゃだ!』って絶賛してたぞ! 俺はこういうのを考えるのが大好きなのさ! いいか、おまえも上級悪魔になりたいなら、アイディアも大切にしろ!」

 

 豪快に笑う先生がいやにまぶしかった!

 

 まぶしかったんだけど……、

 

「こ、これも黒歌さんに嫌われた理由なんですか……?」

 

 俺の問いに先生は大きくうなずいた。

 

「ああ、そうだ。小猫なんてレーティングゲームの映像が冥界に流れたことだけでもショックを受けてたってのに、追い討ちするように特撮でシトリー戦の映像が使われたり、この商品の発売だろ? 小猫の奴がとうとう部屋に引っ込んじまってよ」

 

 はっはっはっ、と笑う先生。全然笑い事じゃねぇよ!

 

「すぐに小猫ちゃんと黒歌さんに謝りに――」

 

 がっ。

 

 木場に肩をつかまれ、止められた。

 

「なんだよ! 俺は謝りに――」

 

「いまイッセーくんがいっても逆効果だと思うよ」

 

「――っ」

 

「そうだぜ。いまいっても黒歌の奴に仙術で種抜かれて再起不能にされるかもしれねぇからな」

 

「せ、先生……その種ってまさか――」

 

 冷たい汗が体から流れた。先生は遠い目をしながら言う。

 

「おまえの思っている通りだ。仙術ってのはそういうこともできんだよ」

 

「オカマにされちゃうの!?」

 

「おそらくな。だからほとぼりが冷めるまではあまり近づくな。気づいたら、ってことになるかもしれねぇから」

 

「了解しました!」

 

 先生にビシッと敬礼する! ゴメン、小猫ちゃん! ほんとうはすぐに謝りにいきたいけど、黒歌さんに種無しにされるのは嫌だ!

 

 そのあとは、改めて先生に『覇龍』を使うな使用禁止だと注意され、先生自身も俺の神器の新しい可能性を探ってくれると約束してくれて、俺たち3人は修行を再開させた。

 

 …………それはそうと、小猫ちゃん、ゴメンなさい……。

 

 まさか、こんなことになるなんて……。

 

 また今度謝りにいくよ……。

 





 木場くんとアザゼル先生が原作と同じようにいい説明役になってる。



 やべぇ、2万字超えた……。
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