※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D 世界を渡る転生者   作:上平 英

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 予想以上に長くなったので分けました。

 前編はゼノヴィア回です。


第72話 京都2日目の夜 前編 ☆

<イッセー>

 

「よし! 次!」

 

「はい!」

 

 早朝。旅行2日目の朝。空が白け始めた頃、俺はアーシアとホテルの屋上を借りてトレーニングをしていた。

 

 とにかく、基本的な動きから徹底してトレーニングしていた。アーシアはダッシュのタイミングを取ってくれたり、条件反射の練習をするため至近距離で魔力を放ってくれる。俺は至近距離からの攻撃を瞬時に反応して避ける練習を繰り返していた。

 

 基礎訓練に加え、これらをゲームが始まるまでに朝夕毎日行なう! 何はともあれ、練習だ。それこそ、サイラオーグさんやヴァーリ、そしてエイジとの差を埋める第一だと思う。

 

 ――強くなる!

 

 1歩ずつでいい。それでも確実に前に進むため、トレーニングする!

 

「悪いなアーシア。修学旅行にまでこういうの付き合わせちゃって」

 

 俺は息をあげながら、そう言った。アーシアは首を横に振る。

 

「いいんです。イッセーさんと朝の京都は楽しいですよ」

 

 満面の笑みでそう言ってくれる。ああ、なんていい子なんだろうか! もうアーシアちゃんは俺の大事な大事な自慢のアーシアちゃんでございますよ!

 

「相手がいたほうが効率がいいんじゃないかな?」

 

 木場の声。見れば木場が立っていた。

 

「あの大王家の次期当主サイラオーグ・バアルとの戦いも近いし、僕の神器のちょうどいい慣らし(・・・)にもなるからね」

 

 木場はそう言うと手元に剣を創りだした。

 

 剣から感じるのは聖なるもののオーラ。聖なる剣だ。木場は禁手となったことで魔剣だけじゃなく、ちょっとした聖剣も創りだせるようになったんだったな。本場の伝説の聖剣に比べると全然力が足りないようだが……。いまは創れるようになった聖剣をいろいろと試しているそうだ。

 

 ――しかし、敵か。

 

 自分でも先ほどそう思ってゲンナリした。

 

 ここでも戦いがあるかもしれないのか。俺のドラゴンの力が引き込んでいる? ……それだけは嫌だな。

 

 俺は顔を手でパンと叩いて気合を入れた。気を取り直さないと。

 

「よっしゃ! 朝の点呼前までに一勝負しようか!」

 

「うん! ――あ、そういえば、ゼノヴィアはどうしたんだい? まだ寝てるのかな?」

 

「ああ、ゼノヴィアか……」

 

「ゼノヴィアさんは……」

 

 木場の言葉に俺とアーシアは顔を見合わせて苦笑いになる。いや、ね……。

 

「ゼノヴィアはエイジのところにいるんだ」

 

「エイジくんのところに?」

 

 首をかしげる木場に今度はアーシアが答える。

 

「実はイリナさんと生徒会の椿姫先輩も一緒で、新しく創った剣の最終調整をしているんです」

 

「新しく創った剣の最終調整?」

 

 顎に手を当ててつぶやく木場。いま一瞬木場の目がギラっと光ったような気が……。

 

 気のせいだと思うことにして、頭をかきながら言う。

 

「いやー、俺が朝練にアーシアを誘いに行ったとき、丁度部屋の前でゼノヴィアとイリナが、新しく創ってもらった剣の最終調整をするところ見にエイジの部屋に行こうとしてるところでさ。少し興味があったから俺と寝起きのアーシアも一緒について行ったんだ」

 

 俺は肩をすくませて続ける。

 

「それからエイジの部屋に行って、エイジが魔法で部屋と工房を繋げて、そこでユウカナリアさんとユウカナリアさんの新しい眷属っていう人と鉢合せしてさ。エイジが剣の最終調整しながら、その眷属の人からストーカーの悪魔の封じることができる装置がないかって聞かれて、俺たちにはまったく理解できない話を始めたり……。ゼノヴィアやイリナ、それに同じく見に来てた椿姫先輩は刀剣談議とか始めちゃってさぁ。……ユウカナリアさんも相変わらずエイジにべったりだったし」

 

 刀剣談議にはアーシア参加できないし、俺も話しに加われなかったから自然な流れで俺の特訓にアーシアが付き合ってくれることになったんだよなー。

 

「…………」

 

 無言で顎に手を当てる木場。ん? どうしたんだ?

 

「おーい、特訓しねぇのか?」

 

「あ……、ああ、ゴメン。特訓するんだったね」

 

 そう言って聖剣をかまえる木場。若干ながらそわそわしていて心無いように見える……。

 

「えーと……、もしかしてゼノヴィアたちと刀剣談議したかったか?」

 

「…………。まあね。正直エイジくんが剣を創るところや、ゼノヴィアたちとの刀剣談議には興味あったよ。――でも、いまはイッセーくんとのトレーニングのほうを優先するよ」

 

 気にするなと笑みを浮かべて言う木場。……本当にありがたいぜ。

 

「じゃあ、せっかく付き合ってもらうんだから、さっそくはじめるか!」

 

「うん!」

 

 こうして朝のトレーニングを再会したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――じゃあ、野郎ども! 行くわよ!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

 桐生(きりゅう)がメガネをキラリと光らせながらバス停を目指し、俺たち男子が雄叫びをあげた!

 

 大変なこともあった初日だったけど、先生たちのお言葉に甘えて観光できるうちに観光しておこうと想った。匙たちも今日は各所を回るって言ってたしな。ちなみにエイジとは別行動だ。なんでも片瀬と村山につかまってて、エイジは椿姫先輩と一緒にその2人の班と一緒に観光するらしい。

 

 2日目は京都駅前のバス停から清水寺行きのバスに乗ることから始まる。俺たちは京都駅でバスの1日乗車券を買うと他の生徒たちと共に並びながらバスを待った。

 

 乗車したあとは清水寺までバスで移動だ。見知らぬ街の風景を眺めながら下車する予定のバス停に到着。

 

 周辺を軽く探索し、坂を上って清水寺を目指す。おおっ、(おもむき)のある日本家屋のお店が両脇に建ち並んでいる。

 

「ここ三年坂って言って、転ぶと3年以内に死ぬらしいわよ?」

 

 と、桐生が言う。

 

「はぅぅぅっ! それは怖いです!」

 

 アーシアがマジで怖がり、俺の腕につかまった。

 

 だが、すぐにゼノヴィアが……。

 

「ふふっ、アーシア。それはあくまで言い伝えだ。心配する必要はないぞ」

 

 と微笑みながら言った。

 

「そ、そうなんですか?」

 

 怪訝そうに訊ねるアーシアにゼノヴィアはうなずく。

 

「ああ、修学旅行前に黒歌さんにいろいろと教えてもらったからな。なんでも住んでいたこともあったらしくてすごく詳しかったぞ」

 

「そ、そうなんですか」

 

 俺につかまっているアーシアの手から力が抜ける。あ、アーシア? アーシアはドジっ子だから、転びそうで怖いから……、もっと俺につかまっていてくれてもよかったんだぞ?

 

 桐生が少し残念そうにつぶやく。

 

「ん~、知ってたかぁ。つまんない。アーシアさんとゼノヴィアさんならひっかかると思ったんだけどなー」

 

「ふふっ、私は事前に調査してきているからな」

 

「あ、待ってくださーい」

 

 ゼノヴィアが微笑み、桐生やイリナと坂を上っていく。それに遅れないようにアーシアも小走りで走っていく。

 

 自然と取り残されるのは俺たち男子3人。いや、取り残されるっていってもすぐ前にいるんだけどね……。

 

「そういえば黒歌って誰のこと?」

 

「塔城小猫の姉だ。いろいろと博識な方で、私やイリナが住む前からエイジの家で一緒に住んでいる方なんだ」

 

「搭城さんにお姉さんいたんだ。――で、どんな人なの?」

 

「えーと、黒髪で、いつも和服を着てて見るからにお姉さんって感じの人よ。しかもかなりの美人で、お兄ちゃんと1番長い付き合いらしいの」

 

「かなりの美人……。エイジくんと1番付き合いが長い、ね。……へー、そうなんだ」

 

「とてもやさしい方なんですよ」

 

「ふふっ、こういうことには1番食いつくと思っていたが。――桐生も恋をし始めたということか」

 

「――っ!? ちょっ、ゼノヴィアさんっ! 何言ってるのよ!? 私は別にそんな……」

 

「うそっ!? あの桐生さんが恋! ねえねえ、相手は誰なの!?」

 

「私たちが知ってる人なんですか?」

 

「紫藤さんにアーシアさんまで……っ! 紫藤さんなんか少し前までまったく恋愛なんて興味ないって感じだったのに!」

 

「ふふっ」

 

「――っ。……ゼノヴィアさん? そのわかってるぞみたいな笑みは何?」

 

「いや、なに……。――いつもは攻めるほうなのに、攻められると本当に弱くなんだな、と思ってな」

 

「――っ。うう~! ああ、もうっ! この話止めましょ! ほら、さっさと上るわよっ!」

 

 と、桐生とゼノヴィア、イリナとアーシアが俺たちの前で4人輪をつくって盛り上がってるからね。近くにいるのに俺らは空気みたいなんだ。

 

 4人でわいわい上っていく女子たちをよそに寂しく野郎3人で固まって坂を上るが、大丈夫。全然平気だ。なんていったって昨日は完全に野郎4人での行動だったからな! 昨日のことを思い出せば……、いや、思い出したくないな。

 

 坂を上り切ると大きな門が現れる。ここが清水寺か。

 

 門――人王門を潜り、寺へ。

 

「見ろ、アーシア! 異教徒の文化の粋を集めた寺だ! やはり聞くのと実際に見るのは違うな!」

 

「は、はい! 歴史を感じる佇まいです!」

 

「異教徒バンザイね!」

 

 教会トリオは興奮気味に失礼なことを言い合っていた! キ、キミたち、いちおうここにも神さまや仏さまがいるんだからさ。見ていると思うし、あまり失礼のないように、ね?

 

 テレビで見ていた清水の舞台! 下を眺めると……うん、高いけど、いまの俺なら落ちても平気な具合かな? などと思ってしまう。いかんいかん。俺、戦闘的なものが身にしみすぎてるよ!

 

「ここから落ちても助かるケースが多いらしいわよ」

 

「うん、私は落ちても大丈夫そうだ」

 

「私もこれぐらいなら大丈夫そうね」

 

 桐生の説明に感心しながらうなずくゼノヴィアとイリナ。おいおい、他にもいたよ、戦闘的なものが身にしみてるヤツ。

 

 境内に安全と合格の祈願や恋愛成就を願う小さなお社などがあった。

 

 いちおう、賽銭箱に小銭を入れて願っておく。俺も学生だしね。でも悪魔だから、どこまで仏さまが叶えてくれるかわかったもんじゃないか。けど、俺も大学は出たい。

 

「兵藤、アーシアさんと恋愛のくじやってみたら?」

 

 桐生に促され、俺とアーシアは恋愛のくじを引く。……相性はどれどれ。

 

「…………」

 

「どうしたんですか? イッセーさん」

 

 心配そうに覗き込んでくるアーシア。俺は頬を書きながら言う。

 

「えーっと、しょ、小吉だって。だっ、だけど将来安泰とか、書いてあった、よ」

 

「そうなんですか……」

 

 ああっ、アーシアが目に見えて落ち込みだした! 

 

「だ、大丈夫だって! えーと、確か木にとかに結べば良くなるらしいし! うん! 大丈夫だぞ!」

 

 俺はすぐにくじを木の枝に結びつける! クソッ! やっぱり悪魔だから悪い運勢になるのか!?

 

 俺たちはその後、寺を一回りし、記念の品を手軽く買うと、バス停に歩を進めた。

 

「次は銀閣寺。パパッと行かないと時間なんてすぐに過ぎてしまうわよ。アーシアさんももう落ち込まない。勧めた私がいうのもなんだけど、運勢なんてすぐに変わるんだからね」

 

「はい、大丈夫ですぅ」

 

 アーシアは時計を見ながら先導する桐生に力のない返事を返す。確かにいつの間にか午前10時を過ぎていた。あと2か所を回るなら、桐生が言うように落ち込んでいる暇はないし、早足で向わないとダメだ。それになによりも、落ち込んでいては観光を楽しめないだろう。

 

 次は銀閣寺だ。銀閣寺行きのバスに乗り、俺たちは清水寺をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 清水寺から無事に銀閣寺に着き、観光と昼食を済ませた俺たちは、その次に観光する予定の金閣寺へ訪れていた。

 

「金だっ! 今度こそ金だぞ!」

 

 金閣寺に着き、ゼノヴィアが開口一番に叫んだのがそれだった。

 

 先ほどの銀閣寺観光の際に、黒歌さんや他の皆から銀閣寺について事前に教えられていなかったゼノヴィアは、銀閣寺を見て「銀閣寺が銀じゃない!」と開いた口が塞がらないほどショックを受けていたから、金閣寺がちゃんと金なことに喜んでえらいはしゃぎようだった。いやー、本当にチョー喜んでる。

 

「金だぞぉぉっ!」

 

 両手をあげてゼノヴィアがお顔を輝かせるほど、金閣寺は金ピカだ! テレビで見たことあるけど、実際に見るとその輝かしさに圧倒されるわ。

 

 他の生徒たちも来ていて、皆撮影していた。うちの松田も夢中でパシャパシャとカメラで撮ってるもんな。……ああ、昨日とは違って野郎以外を撮れることに涙を流しながら撮ってる。俺も記念に写メしておくか。駒王学園にいるメンバーに送信送信。

 

 見て回ったあと、お土産を買い、休憩所――お茶屋で一休みすることに。

 

「どうぞ」

 

 和服のお姉さんが淹れたての抹茶を運んできてくれた。和菓子も添えてね。

 

 口にしてみると――思っていたほどの苦味はなかった。むしろ、和菓子と共にいただくと風味も感じられてちょうどいいぐらいだ。

 

「うん、悪くないわね」

 

 イリナも気に入っているようだった。

 

「少し苦いです」

 

 アーシアはちょっとダメか。でも、ちょびちょび飲んでいるから、嫌いってほどでもないか。

 

「……金ピカだった」

 

 ゼノヴィアはいまだ覚めぬ夢のなかのようだ。よほど金閣寺を見た感動がデカいみたいだね。目が爛々と輝いているし。お茶どころじゃないか。

 

「ゼノヴィア、記念に祈っておきましょう!」

 

 イリナの提案にゼノヴィアはうなずく。

 

「そうだな」

 

「私もお祈りします!」

 

 アーシアも続き、「「「ああ、主よ!」」」ってトリオは天にお祈りしていた。どういう記念だろうか……。

 

 あ、もう午後2時を回る。かなり早足で観光地を回っているんだけど、目を奪われるばかりで時間の経過がおそろしく早く感じるな。

 

 そういや、金閣寺入ってすぐに鐘突きするのに全員で並んだりしたし、案外時間がかかっているのか。

 

「キャー、痴漢! 変態!」

 

 あ、女性の声だ。気になってお茶屋を出てみると、男性が係りの人に取り押さえられていた。

 

「お、おっぱいを! おっぱいをくれ!」

 

 金閣寺で痴漢かよ。ったく、せっかくの観光気分が台無しだ。

 

「痴漢かー。そういえばさ、朝のテレビニュースでもやってたぜ、痴漢報道。祇園のほうで痴漢があったらしいぞ。昨日の駅といい、ちょっと多いな」

 

 そういう松田に元浜がメガネをくいっとあげながら物申す。

 

「おまえが何を言う松田よ。行きの新幹線で俺に襲い掛かってきたくせにな」

 

 そんなこともあったな。

 

「いや、なんだかさ、あのときは寝ぼけていたというか、意識がおかしかったというか、やたら乳に触りたかったんだよな。なんだろう、あの感覚」

 

 首をかしげる松田。まあ、男子たるもの乳のひとつぐらい常に揉みたいと思うわな。

 

「それは青春だな」

 

 元浜がそう言うと松田も「若さゆえの過ちか!」とうんうんうなずいていた。でも、男の乳はカンベンだ。…………。あれ? なんでジト目で俺を見るんだ、ゼノヴィア、イリナ。アーシアも心配そうに見つめてなんだ?

 

「イッセーさんは痴漢しませんよね?」

 

「え?」

 

 …………。あれ? 俺、アーシアに痴漢しないか心配されてる?

 

「す、するわけないだろ! いくら乳が揉みたいと思っていても俺が痴漢なんかするわけが……」

 

「いや、イッセーの【洋服破壊】という技はかなり悪質な痴漢行為だと思うぞ」

 

 弁解しようとする俺に、ゼノヴィアが一言物申した。

 

「そうね。レーティングゲーム中に【洋服破壊】受けたら冥界全土に裸を放送されるのよね。……それは痴漢よりも酷いかも」

 

 イリナも同意して3人から冷たい目が向けられる。

 

 そ、そう言われると……、た、確かに……。そういえばシトリー眷属とのレーティングゲーム中に禁手化するために小猫ちゃんにお願いして乳首をつつかせてもらったような……。あ、あれも痴漢に入るのか? いや、セクハラ? パワハラ?

 

 そんなふうに悩んでいると――ふいにゼノヴィアのケータイが鳴った。

 

 電話の相手はどうやら朱乃さんで、小猫ちゃんに俺が送った写メに狐の妖怪が心霊写真のように映っているから何か京都で起きていないかという心配の電話だった。

 

 小猫ちゃーん、わざわざゼノヴィアの携帯にかけなくてもいいじゃない。そろそろ許してくれないかなぁー。

 

 なにはともあれ心配の電話だったが、アザゼル先生に京都で何かが起こっていることはまだ部長たちには話すなと言われていたので、その場は誤魔化して電話を切った。

 

 ゼノヴィアが電話している間に俺もケータイを取り出して小猫ちゃんに送った写メを確認してみたけど、俺には普通の金閣寺を写した風景にしか見えなかった。もしかして心霊写真の類? まあ、猫又――小猫ちゃんだからこそわかるものがあるのだろう。

 

 とりあえず、朱乃さんからの電話をアーシアたちにも伝えたほうがいいよな。

 

 と、お茶屋のほうを振り返ると――松田、元浜、桐生が眠りこけていた! 疲れからの眠りじゃないよな……。ゼノヴィアが電話に出て、その内容を俺が聞いていたいた少しの間に眠るなんてあり得ない。

 

 現にアーシアたちは起きている。それに俺よりも先に異変に気づいただろうゼノヴィアが女性店員を怖い顔でにらみつけていた。

 

 怪訝に思い、俺も女性のほうに視線を送る。……なるほど、ゼノヴィアが警戒するわけだ。

 

 頭部に獣耳が生えてるもんな。尻尾も出てるし。……人間じゃないね。見れば周囲はいつの間にか獣耳の方々ばかりだ。普通の観光客は倒れ込むように寝ている。

 

 ……ハハハ、有名な観光地ならさすがに襲来してこないかと高をくくってたら、これだもんな。金閣寺も妖怪さんの縄張りですか。

 

 ゼノヴィアは何もない空間から手元に真・リュウノアギト改を呼び寄せる。元の真・リュウノアギトを強化し、真・リュウノアギト改となった大剣。見かけはほとんど変わらず真・リュウノアギトのままなんだが、オーラの質も力強さも今までと全然違う。ただ構えているだけなのに半端ない龍殺しのオーラがビリビリ感じる。おそらく切れ味も上がっているだろうから俺の『赤龍帝の鎧』も簡単に切り裂いてくるだろう。怖いもんだ。

 

 イリナも手元に新しい剣を出現させ、非戦闘員のアーシアを背後に隠す。こちらの剣もエイジが作成した T C M (テンコマンドメンツ)という10の姿に変わる魔法の剣だ。

 

 TCMの基本形態はレイヴェルトという片手持ちの聖剣らしいのだが、いまは悪魔のアーシアがいるので10種類の姿の内『アイゼンメテオール』という鉄の両手持ちの大剣に変化させて構えていた。

 

 俺も左手を構え、籠手を出現させようと――。

 

「待ってください」

 

 聞き覚えのある声に俺たちはそちらに顔を向けた。そこには――ロスヴァイセさん!

 

「ロスヴァイセさん! どうしてここに?」

 

 俺の問いにロスヴァイセさんは息を()きながら言う。

 

「ええ、あなたたちを迎えに行くようアザゼル先生に言われました」

 

「先生に? 何が起こっているんですか?」

 

 俺が周囲に目を配らせながら訊くが……思ってみれば昨日襲い掛かってきたときのような敵意を妖怪たちから感じない。

 

「停戦です。というか、誤解が解けました。――九尾のご息女があなたたちに謝りたいと言うのです」

 

 ロスヴァイセさんがそう言う。

 

 あらら? 停戦? 誤解が解けた? じゃあ、もう狐さんたちが襲ってくることはないと?

 

 疑問の残る俺たちに獣耳のお姉さんがひとり、前に出て深く頭を下げてくる。

 

「私は九尾の君に仕える狐の(あやかし)でございます。先日は申し訳ございませんでした。まさかエイジ殿のお仲間とは思わず……。我らが姫君もあなた方に謝罪したいと申されておりますので、どうか私たちについてきてくださいませ」

 

 どうやらエイジが京都の妖怪たちと知り合いって本当だったみたいだ。いや、それよりもついてきて欲しいって? どこに? ――と訊く前に狐の妖怪というお姉さんが続けた。

 

「我ら京の妖怪が住む――裏の(みやこ)です。魔王さまと堕天使の総督殿も先にそちらへいらっしゃっております。もちろんエイジ殿とエイジ殿のお付の方も」

 

 どうやら、俺たちが観光している間に上が誤解を解いてくれていたようだった。てか、エイジのお付の方って……もしかして真羅先輩のこと?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺たちが足を踏み込んだのは――異界ともいえる場所だった。

 

 江戸時代の町並みのセットのごとく、古い家屋が建ち並び、扉から窓から通りの道から、面妖な生き物たちが顔を覗かせていた。

 

 金閣寺の人気のない場所に設置してあった鳥居。そこを潜ると一転して別世界だった。

 

 薄暗い空間。独特の空気。先ほど説明した古い家屋群。そして、そこの住人たちが俺たちを迎えてくれた。……一つ目の大きな顔の妖怪、河童らしき頭部に皿のある妖怪、立って歩く狸などなど、お話で聞いていたような生物がたくさんいる。

 

 皆、好奇の視線を向け、俺たちを見ていた。

 

 狐の姫さまがいるという場所まで狐のお姉さんの案内で歩く俺たち。薄暗いなか、唯一の光源といえる灯火が道の先まで点々と続いている。

 

「うきゃきゃきゃ」

 

 うおっ! ビックリした! 提灯に目と口が現れて突然笑いだしたよ! いまの有名な提灯お化けか?

 

「すみません。ここの妖怪たちはイタズラ好きで……。害をなす者はいないと思いますが……」

 

 と、先導の狐のお姉さんが歩きながら謝ってきた。

 

「ここは妖怪の世界なんですか?」

 

 俺の問いだ。この空間は京都と繋がっているってことはわかるんだけどね。

 

 狐のお姉さんが答えてくれる。

 

「はい、ここは京都に住む妖怪が身を置く場所です。悪魔の方々がレーティングゲームで使うフィールド空間があると思いますが、あれに近い方法でこの空間を作りだしていると思ってくれてかまいません。私はたちは裏街、裏京都などと呼んでおります。むろん、ここに住まず表の京都に住む妖怪もおりますが」

 

 裏の京都か。なるほど、悪魔のゲームフィールドに近いのね。

 

「……人間か?」

 

「いんや、悪魔だってよ」

 

「悪魔か。珍しいなや」

 

「あのキレイな外国の娘っ子も悪魔か?」

 

「龍だ、龍の気配もあるぞ。悪魔と龍……」

 

「そういや最近、仮面の旦那も悪魔になったんじゃなかったか?」

 

「ああ、それに今は仮面も脱いでるはずだ」

 

 妖怪たちの話し声が聞えてくる。悪魔が珍しい感じだ。ていうか仮面の旦那?

 

「仮面……。もしかしてエイジのことなのか?」

 

 ゼノヴィアが狐のお姉さんに訊ねた。

 

 狐のお姉さんはうなずいて答えてくれる。

 

「ええ、そうです。よく長の屋敷に黒歌という猫又と一緒に訪れておりました。少しの間ではありますがこの街に住んでいたこともあるんですよ」

 

「へえ、そうなのか。エイジと黒歌さんがここに」

 

 お姉さんの言葉にゼノヴィアは周りを眺めながらつぶやく。やっぱりエイジの奴って裏の世界ではかなり有名人なんだなぁ。

 

 家屋が建ち並ぶ場所を抜けると、小さな川を挟んで林に入る。そこをさらに進むと巨大な鳥居が出現した。

 

 その先にデカい屋敷が建っている。古さと威厳を感じさせる佇まいだ。

 

 あ、鳥居の先にアザゼル先生、学生服姿のエイジと制服姿の真羅先輩、それに着物姿のレヴィアタンさまがいる!

 

「お、来たか」

 

「よう」

 

「…………」

 

「やっほー、皆☆」

 

 この世界に住んでいたことのあるらしいエイジはともかく、アザゼル先生とレヴィアタンさまは妖怪の世界に来ても変わらないな。

 

 真羅先輩はというと、エイジの少し後ろの位置に立って無言で軽く会釈してた。うん、こうして見るとお付の人(・・・・)に見えなくもないね。こちらも妖怪の世界にさほど緊張してる様子はなかった。

 

 エイジとレヴィアタンさまの間に金髪の少女がいた。俺を襲ってくれた女の子。九尾の娘さんでいいんだよね?

 

 今日は巫女装束ではなく、戦国時代のお姫さまが着るような豪華な着物に身を包んでいた。

 

 あー、こう見ると確かに小さなお姫さまだ。

 

九重(くのう)さま、皆さまをお連れ致しました」

 

 狐のお姉さんはそれだけ報告すると――ドロンと炎を出現させて消えてしまった。……あれか? 狐火ってやつ?

 

 お姫さまは俺たちのほうに1歩出てきて口を開く。

 

「私は表と裏の京都に住む妖怪たちを束ねる者――八坂の娘、九重と申す」

 

 自己紹介をしたあと、深く頭を下げてきた。

 

「先日は申し訳なかった。お主たちの事情も知らずに襲ってしまった。どうか、許して欲しい」

 

 と、謝ってきてくれた。

 

 先日襲われたのは木場を除いて俺だけ。全員の視線が俺に集中し、俺は慌てて気味に言う。

 

「ああ、怪我もなかったんだし、別にもういいって。顔をあげてくれよ」

 

「し、しかし……」

 

 うーむ、あのときのこと、俺たち以上に気にしてみるみたいだな。俺はヒザをつき、少女――九重に目線を合わせて言う。

 

「えーと、九重でいいかな? なあ、九重、お母さんのこと心配なんだろう?」

 

「と、当然じゃ」

 

「なら、あんなふうに間違えて襲撃してしまうこともあるさ。もちろん、それは場合によって問題になったり、相手を不快にさせてしまう。でも、九重は謝った。間違ったと思ったから謝ったんだよな?」

 

「もちろんだとも」

 

 俺は肩に手を置き――スカッ。

 

「…………」

 

「…………」

 

 ……俺は笑顔で続けた。

 

「それなら何も九重のことを咎めたりしないよ」

 

 九重は俺の言葉を聞き、若干申し訳なさそうにしたあともじもじとつぶやいた。

 

「……ありがとう」

 

 ……うん、これでOKだろ。もう誤解は解けた。

 

 立ち上がる俺にアザゼル先生が小突いてくる。

 

「さすがおっぱいドラゴンだな。子供の扱いが上手だ」

 

「ちゃ、茶化さないでくださいよ。これでも精一杯なんですから!」

 

「いやいや、なかなかだったぞ。意外に子供の扱いが上手いんだな」

 

「はい、さすがです! 感動しました!」

 

「ええ、そうね。意外だったわ」

 

 照れる俺にゼノヴィア、アーシア、イリナがうんうんうなずきながら賛辞をくれた。

 

 いや、本当に、マジで精一杯だからねっ! ていうか、さっき肩に手を置こうとして避けられたし! 笑顔浮べるの必死だったんだからね! だからそんなに褒めないで! 恥ずかしいから!

 

「ちょっと見直しました。教師として鼻が高いです」

 

 ロスヴァイセさんのなかで俺の評価が少し上がったようだ。……現状、どれだけ低いのだろうか? 百均が好きらしいし、百均について語り合えば評価が上がりそうだけどさ……。

 

「ま、負けてはいられないわ! こんなところまでおっぱいドラゴンの布教だなんて! 魔女っ子テレビ番組『ミラクル☆レヴィアたん』の主演としては負けられないんだから! ほら、ブラたんもバトル系テレビ番組の主演として宣伝活動しないと!」

 

「え? いや、俺は別に……」

 

 レヴィアタンさまに変な対抗意識を燃やされてるーっ!? エイジにも飛び火して困り顔だし! ――ったく、本当に悪魔は平和だよね!

 

 九重は照れながら俺たちに言った。

 

「……咎のある身で悪いのじゃが……どうか、どうか! 母上を助けるために力を貸してほしい!」

 

 それは少女に悲痛な叫びだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この京都を取り仕切る妖怪のボス――九尾の狐こと『八坂(やさか)』は、須弥山(しゅみせん) 帝釈天 (たいしゃくてん)から遣わされた使者と会談するため、数日前にこの屋敷を出たという。

 

 ところが、八坂さんは帝釈天の使者との会談の席に姿を現さなかった。不信に思った妖怪サイドが調査したところ、八坂さんに同行していた警護の 烏天狗 (からすてんぐ)を保護した。瀕死の重傷だったそうだ。

 

 その烏天狗が死の間際、八坂さんが何者かに襲撃され、さらわれたことを告げたらしいんだ。

 

 で、京都にいる怪しい輩を徹底的に捜していた、と。俺と木場はそのとき襲撃を受けたことになる。

 

 その後、先生とレヴィアタンさまが九重たちと交渉し、冥界側の関与はないことを告げ、手口から今回の首謀者が『禍の団』の可能性が高いと情報を提供した。

 

「……なんだか、えらいことになってますね」

 

 今回の経緯についての説明を受けての、俺の意見だった。

 

 俺たちは屋敷に上がらせてもらっていた。大広間で九重を上座にして座っている。

 

「ま、各勢力が手を取り合おうとすると、こういうことが起こりやすい。オーディンのときもロキが来ただろう? 今回はその敵役がテロリストどもだったわけだ」

 

 先生が不機嫌そうにそう言う。平和な日常を願う先生は、テロリストを絶対に許さない姿勢だもんな。きっと腹のなかは煮えくり返っていると思う。

 

 九重の両脇には先ほどの狐のお姉さんと山伏姿で鼻の長いじいさん。じいさんのほうは天狗の長で、古くから九尾の一族と親交が深いそうなんだ。今回もさらわれた八坂さんと娘の九重を心底心配している様子だった。

 

「総督殿、魔王殿、どうにか八坂姫を助ける協力をしてもらえんじゃろうか? 我らならばいくらでも力を貸し申す」

 

 と、天狗のじいさんもそう言ってくれる。

 

 天狗のじいさんが1枚の絵画を見せてくれた。巫女装束を着た金髪のキレイなお姉さんが描かれていた! 頭部にピンと立った獣耳! ま、まさか……。

 

「ここに描かれておりますのが八坂姫でございます」

 

 マジか! おっぱいチョーデカいじゃん! 巫女装束の上からでもその存在がわかるほどだよ! こ、こんなデカ乳の狐姫をさらってテロリストどもは何を……。ひ、卑猥なことをしていたら俺が許さん!

 

「八坂姫をさらった奴らがいまだにこの京都にいるのは確実だ」

 

 先生はそう口にした。

 

「どうしてそう思うんですか?」

 

 俺の疑問だ。先生はうなずきながら説明してくれる。

 

「京都全域の気が乱れていないからだ。九尾の狐はこの地に流れる様々な気を総括してバランスを保つ存在でもある。京都ってのはその存在自体が大規模な力場だからな。九尾がこの地を離れるか、殺されていれば京都に異変が起こるんだよ。まだその予兆すら起きていないってことは、八坂姫は無事であり、さらった奴らもここにいる可能性が高いってわけだ」

 

 きょ、京都ってそんな事情のある都市だったんですか! 知らんことばかりだな……。

 

 でも、八坂さんが無事なら助けられる可能性も高い。

 

「セラフォルー、悪魔側のスタッフはすでにどれぐらい調査をおこなっている?」

 

「つぶさにやらせているのよ。京都に詳しいスタッフにも動いてもらっているし、ブラたんも索敵用の式紙を放って調査を開始したわ」

 

 先生がエイジを除く俺たち眷属を見渡すように視線を向ける。

 

「神城以外にもおまえたちにも動いてもらうことになるかもしれん。人手が足りなさすぎるからな。特におまえたちは強者との戦いに慣れているから、対英雄派の際に力を貸してもらうことになるだろう。悪いが最悪の事態を想定しておいてくれ。あと、ここにいない木場とシトリー眷属には俺から連絡しておく。そこまでは旅行を満喫してていいが、いざというときは頼むぞ」

 

『はい!』

 

 先生の言葉に俺たちは応じた。結局、旅行どころじゃなくなってきたな。まあ、今日のうちにめぼしいところを回っておいて正解だったか。

 

 九重が手をつき、深く頭を下げる。両脇の狐のお姉さんと天狗のじいさんも続く。

 

「……どうかお願いじゃ。母上を……母上を助けるのに力を貸してくれ……。いや、貸してください。お願いします」

 

 ――っ。

 

 こんな小さな子が頭を下げ、声を涙で震わせている。

 

 お姫さまな言葉遣いをしているけど、まだお母さんに甘えたい歳だろう。

 

 ……俺は心の底で少しずつ怒りが込み上がっていた。

 

 何が目的か知らないけど、『禍の団』の奴ら、会ったら絶対にとっ捕まえてやる! あんな乳の大きいお姉さんをさらうなんて絶対に許されない!

 

 そして思った! 助けたらきっと八坂さんが何かご褒美をくれるんじゃないかって!

 

『うふふ、お主が赤龍帝か? わらわを助けてくれたようじゃな? さて、どんなご褒美を所望するか。ふふふ、よかろう、極上の喜びを教えてやるぞ?』

 

 たらり……。エロ妄想をしていて鼻血が出てしまった。着物を妖艶にはだける九尾のお姉さんが脳内で大変なことになってます! 乳が! 乳がぁぁぁあっ!

 

「……イッセーさん、エッチなことを考えてませんか?」

 

 アーシアがジト目で俺を見ている。アーシアちゃん、こういうことに関してたまに勘が鋭い!

 

 俺は頭を振って切り替える。いかんいかん。幼いお姫さまの懇願なんだぞ!

 

 気持ちを新たに決意し、旅行中の戦闘を覚悟した。

 

 しかし、俺の出ていった可能性はどこに行ったのか……。いまだに帰ってくる気配はなかった。京都にいるのかな……?

 

 なんとなく、そんな遠くにいるような感じでもないんだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわー、いろいろありすぎだ」

 

 夜、俺は部屋のベッドに寝転がっていた。夕飯も済んで風呂にも入った。いやー、バイキング最高だね。しかもどれもこれも高級そうなのばかりだ。

 

 ……妖怪の世界で過ごしたあと、エイジたちと別れて再び俺たちは金閣寺へ戻った。寝ていた松田たちを起こして、そのまま観光を最下位。お土産を買ったりして、期間時間まで金閣寺周辺で楽しんだんだ。

 

 ホテルに帰ってからエイジたちと合流して、木場とシトリー眷属を加えて今後についても話し合った。

 

 明日は、予定通りの観光地巡りをする。ただし、ホテルにいつでも戻れる転移用魔法陣の携帯簡易版を持っていく。俺たちを統括しているアザゼル先生からの連絡しだいで観光を中止してホテルに戻らないといけない。

 

 正直な話、観光どころじゃない雰囲気になってきているんだが……。明日は嵐山方面を攻める予定だったんだけど、そこで九重が観光の手伝いをしてくれるそうなんだ。

 

 初日に襲来してきたときの謝罪と、2日目一緒に行動する予定になっているエイジと真羅先輩が八坂さんの次に狙われるかもしれない九重の護衛するためという意味合いもあるらしい。謝罪については俺も木場も気にしていないからいいんだけどね。

 

 まあ、これも冥界と妖怪の協力態勢の第1歩だそうです。九重自身昔からの知り合いであるエイジに護衛してもらえることに安堵の表情を浮かべていたからな。

 

 まだ幼い子供だけど、相手は妖怪の総大将の娘、超VIPだ。それとの交流を俺たちに一任か……。昔からの知り合いらしいエイジがうまくパイプ役になってくれるだろうけど、明日は失礼のないようにしようっと。

 

 ……部長は何をしているのかな。朱乃さんは……小猫ちゃんは……。あ、ギャスパーもいたっけ。と、駒王学園に残ったメンバーに想いを馳せてみたり。

 

 俺たちが『禍の団』の件に巻き込まれているなんて露ほども思っていないんだろうな。今回の件はまだあちらに対してかん口状態だしな。

 

 ……うぅ、部長のおっぱいが恋しい。朱乃さんのおっぱいが恋しい。一度でいいからあのおっぱいに飛び込みんでみたい! いや、触りたい! 俺、一度ぐらいしか触ったことないんだもん! ああ……、おっぱい触りてぇー。

 

 …………。

 

 さて、就寝時間までどうしたものか。松田と元浜が女風呂の覗きに挑戦するとかでさっき部屋から飛びだしていったが……。俺は……。ロスヴァイセさんとシトリー眷属の強力な布陣の突破に挑戦してもいいんだけど……うーん、どうしたものか。

 

 …………。うん! やっぱり覗きに行こう! 昨日はなぜか急にやる気がなくなって寝てしまったけど、今日は大丈夫! リベンジだ!

 

 さあ、いつもは俺をバカにしているクラスの女子ども! くくくくく! 今夜こそはこの俺がその全裸を舐め回すように見てしんぜよう!

 

 自然とこぼれる笑み、湧き上がる性衝動に駆られながら俺は部屋のドアを開け、先に出て行った松田と元浜のあとを追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<エイジ>

 

 

 京都の妖怪たちとの誤解が解けて、俺は久々に妖怪が住む裏街へと行き九重と会った。

 

 俺の顔を見た九重は、周りも気にせずに抱きついてきてわんわんと大声で泣いた。母親の八坂がさらわれたことによる不安や、八坂の代わりに妖怪たちをまとめなくてはいけなくなったりと、ストレスが溜まっていたんだろう。

 

 俺は九重が泣き止むまでやさしく背中をさすり、八坂をさらい、九重を泣かせた『禍の団』への怒りを心のなかで燃やしながら、必ず八坂を救いだすことを九重や烏天狗たちに約束した。

 

 九重が泣き止み、落ち着いたところでイッセーたちがこちらに向っていることを知らされ、俺と九重、そして一緒に観光している椿姫さんと代表兼交渉役であるアザゼル、セラたんの4人で出迎えに行って合流した。

 

 合流したあと、妖怪側……つまり九重が正式に悪魔側に謝罪して、八坂の捜索と救助を依頼し、悪魔側は了承した。

 

 これで表立って俺自身が八坂の捜索に参加できるようになったわけだが、修学旅行中は当初の予定通りに観光を楽しめと関係者全員、アザゼルとセラたんに指示されているため、ホテルを抜け出しての単独行動はできない。まあ、抜け出しての単独行動ができないだけで、式紙を動因させていまも京都中捜索させてるんだけどさ。

 

 九重との対談を終えたあと、俺と椿姫さんはイッセーたちと別れ、片瀬さんと村山さんたちの元へと戻り、予定通りに観光してからホテルへと帰った。

 

 ホテルに帰ってから、木場と椿姫さん以外のシトリー眷属を加えて今後について話し合い、明日は予定通りの行動をすることに決めて、何かあった場合には観光を中止していつでもホテルに帰れるよう携帯用の転移魔法陣を持ち歩くことになった。

 

 俺と椿姫さんの明日の予定は、イッセーたちの班と一緒に観光することになっている。そして、それに関連して観光には九重も参加することになっている。

 

 なんでも悪魔勢を勘違いで襲撃したことに対する謝罪に観光案内をしてくれるそうだ。一応観光案内の他にも、次に狙われるかもしれない九重を俺たちが守るという理由がある。

 

 まったく、『禍の団』め。本当に勘弁してほしい。

 

 3大勢力の会談を邪魔したり、洗脳した神器持ちを使って実験したり、レーティングゲームを妨害して首脳たちを殺そうとしたり……。

 

 ああ、特に、今回の八坂をさらったことが許せない。九重を泣かせたことが許せない。

 

 本当に『禍の団』がやったかは確定していないが、八坂をさらった奴は殺すッ!

 

 自分が何に手を出したのかをわからせ、二度と手を出す気にならないよう徹底的に潰してやる!

 

 そう決意して部屋で放っていた式紙から情報を集める。

 

 …………。む~……、特に情報がない。八坂が京都にいるのは確実で、身も無事なことはわかるけど、見つからない。京都中を探しきっていないから確かじゃないが、どこか別の空間……、というか結界に閉じ込めているのか?

 

『禍の団』には空間系の神滅具使いがいるという情報もある。『禍の団』のしわざだった場合、そいつが結界とか張って八坂を隔離している可能性があるな。

 

 その場合、八坂を隠している結界の近くを重点的に探知するか、相手が動くまで待たなければいけない。

 

 もっと式紙を強化して、数も増やして捜索すれば結界を張っている場所ぐらいは特定することもできるかもしれないけど。

 

 九重と別れるときに、もしもさらわれそうになったり、襲撃されたときように、かなり力を込めたお守りを渡したから、今はあまり力を使えないんだよなぁ。まあ、その力も今夜一晩ぐらいで回復するんだけどさ。

 

「はぁ……、とりあえずまだ表立って動けないか」

 

 床の上に敷いた布団に寝転ぶ。食事も風呂も済ませていることだし、京都で起こっている事件のせいで今夜の鍛錬もない。このまま明日に備えて今日はもう寝るかなぁ。もしも夜中に何かあれば式紙を通してわかるわけだし。

 

 そんなことを考えていると、

 

 コンコン。

 

 部屋の扉をノックされる。

 

「はい」

 

 返事をすると――。

 

『エイジ、私だ』

 

 ゼノヴィアの声だ。どうしたんだ? また剣の稽古に付き合ってほしいとかだろうか?

 

 起き上がって扉越しに声を返す。

 

「どうぞ」

 

 扉を開けて入ってきたのは寝巻き姿のゼノヴィアだった。

 

「よう、ゼノたん」

 

「ああ、エイジ。皆で遊びに来たぞ」

 

 そう答えてこちらに近づいてくるゼノヴィア。

 

 ……皆?

 

 ゼノヴィアの後ろ、扉のほうを見てみれば、

 

「し、失礼します」

 

「お、お邪魔します」

 

「……失礼します」

 

 寝巻き姿のアーシアとイリナ、そして椿姫さんがゼノヴィアに続いて入ってきていた。

 

 ゼノヴィアは普段通りの自然体だが、あとの3人は普段と様子が違っていた。

 

 アーシアはそわそわしながら顔を赤くしているし、イリナはいつもの元気な感じではなく、緊張している様子でもじもじしている。……さらに椿姫さんにいたっては、何か大きな覚悟でも決めたかのような目をしている。

 

 …………。えっと、遊びに来たんだよな?

 

 ゼノヴィアは布団の近くまで歩いてくると、アーシアたち3人を座らせ、自分は扉のほうへ歩き出した。

 

「本当は桐生も誘うつもりだったが、他のクラスの女子と京都について情報交換をするそうで来ていない」

 

「え、そうなのか」

 

「ああ、桐生にも是非来てほしかったんだがな」

 

 ゼノヴィアは少し残念そうに言いながら、部屋の扉に何かを貼り付けていた。

 

 それは長方形のお札のようなもので……、5枚。星を描くように張っていた。

 

 何の札を貼っているのか確認したいが、丁度アーシアたち3人が壁になっていてよくわからない。

 

 本当に、遊びに来たんだよな?

 

 扉に札を貼り終えたゼノヴィアが戻ってきた。正座して座っている3人の隣に、自分も並んで座る。

 

 とてもじゃないが、遊びに来た雰囲気じゃないぞ。おい……。

 

「さてと……、エイジ」

 

 真剣な表情で真っ直ぐこちらを見つめるゼノヴィア。

 

「……なんだ?」

 

「京都で事件が起こっているのはわかっているが、私たちは修学旅行の最中でもあるはずだ」

 

「あ、ああ。そうだな」

 

 何が言いたいんだ? そう疑問符を浮べる俺にゼノヴィアは語り始める。

 

「エイジ。エイジはまず修学旅行といえば何を連想する? ――友達と皆で旅行の計画や旅行先での出来事に夢を馳せる? 飛行機や新幹線、バスなんかに乗って皆でわいわい楽しく騒ぐ? 友達や彼氏や彼女と楽しく観光地巡りで思い出を作る? ホテルや旅館に泊まって豪華な料理に舌鼓をうったり、広いお風呂や温泉で体を癒す? クラスの皆で枕投げをしたり、恋話など夜遅くまで楽しく遊ぶ? ……ああ、そのどれもが修学旅行の楽しみであり醍醐味だろう」

 

 ゼノヴィアは目を閉じてうなずく。

 

 ……確かに、修学旅行の楽しみであり醍醐味だな。

 

 ゼノヴィアの言葉に俺も、アーシアたち3人も引き込まれていた。

 

 ゼノヴィアは再び目を開くと、無言で耳を傾けている俺たちに、堂々と言った。

 

「だが、もうひとつ……。私たちにとって重要なイベントがあることを忘れないで欲しい」

 

「「「…………」」」

 

「重大なイベント?」

 

 アーシアたちは思い当たるフシがあるようだけど……。いったい何のことだ?

 

 そんな疑問符を浮べている俺に、ゼノヴィアは言う……、いや、言い放つ!

 

「私たち年頃の女子高校生の重大なイベントと言ったらアレしかないだろう。――そう、初体験だ」

 

「…………。――っ!?」

 

 はぁっ!? なっ!? ゼッ、ゼノたん!?

 

 混乱する俺にゼノヴィアは冷静に、いつも通りの調子で話し始める。

 

「修学旅行で高まるテンションと、修学旅行といういつもと変わったシチュエーションに勇気をもらって、気になるあの人やあの子に告白。彼氏彼女がいる者で、初体験まで踏み出せていなかった者も、修学旅行を機に体験してみたりと……。修学旅行はいいキッカケをもたらす重大なイベントだろう? ――もちろん初体験を済ませている者も修学旅行でセックスしたって不思議じゃないぞ」

 

「あ、ん……。ま、まあ……、そうだな」

 

 それも確かに修学旅行の楽しみ方だろう。健全な修学旅行とは言えないけど……。ていうか、そもそも修学旅行では男女の仲を深めるぐらいじゃないのか? エッチはしないだろう……。

 

 すでに肯定してしまった俺に、ゼノヴィアは四つんばいになって近づいてくる。

 

 肉食獣が獲物に狙いを済ませたときのような表情で、ゆっくりと、薄く笑みを浮かべて近づいてくる。

 

 畳から敷き布団の上へ移動し、思わず後ろに手をついて仰け反った俺に覆いかぶさるように近づき、

 

「ぜ……、ゼノ、たん……?」

 

「エイジ……」

 

 息がかかるほど顔を近づけたゼノヴィアは、唇を合わせてきた。

 

「――っん!」

 

 やわらかくて温かい、ゼノヴィアの唇。頬に触れる鼻。目の前にゼノヴィアの閉じられた瞳がある。

 

「「「――っ」」」

 

 ゼノヴィアの背中越しにアーシアたち3人の息を飲むような声が聞えた。

 

 一旦唇を離し、笑顔を浮かべるゼノヴィア。その表情は艶っぽくてすごく魅力的だった。

 

 見惚れる俺を、ゼノヴィアが押し倒す。

 

 俺は抵抗せずに布団の上に押し倒される。ゼノヴィアは押し倒された俺の顔の両側に両手をつく。

 

「エイジ……」

 

 今のゼノヴィアの雰囲気はいつもセックスするときのような女の顔をしていた。普段見せている剣士とは違う、女の顔だ。

 

「ゼノたん。あ、アーシアたちが……」

 

 ――見ているぞ? そう言おうとするが、ゼノヴィアは笑みを浮かべて、

 

「大丈夫だ。問題ない。最初からそのつもりだったんだ」

 

 と言った。

 

「え? それって……」

 

 俺の疑問に答えるようにゼノヴィアは言う。

 

「まったく男を知らない、初心なアーシアとイリナに経験者の友達として、セックスというものがどういうものなのか教えてやるつもりでつれてきたんだ」

 

 フフンと得意げに鼻を鳴らすゼノヴィア。

 

 …………。……え?

 

 まさかの言葉に思考が停止して戸惑う。ゼノヴィアの胸越し……、重力で下を向いてる胸が邪魔で覗けない。首を動かして横から3人を覗く。3人は驚いている様子はあるものの戸惑ってはいなかった。むしろ期待しているような、目がこちらに釘付けになっていた。

 

「まったく知識がないと、セックスするときに色々と困るだろうと思ってね。私とエイジとのセックスを見せて勉強させようと思ったんだ」

 

「勉強って……」

 

「ああ、誤解されないように言っておくが、勉強のためにセックスするんじゃない。セックスするついでに勉強させてあげるんだ。――ふふ、修学旅行中に恋人とセックス……。しかも友人たちに見られながらなんて。いつもより興奮してしまうな」

 

 ゼノヴィアはそうつぶやき笑顔を浮べた。おいおい……、まさか露出とか視姦プレイとかに目覚めてないよな?

 

 って、そういえば椿姫さんは? 椿姫さんはどうしてつれてきたんだ? ていうか、椿姫さんって俺の監視で修学旅行に来てるんじゃなかったけ? 止めないでいいの?

 

 ゼノヴィアは仰向けで寝転んでいる俺の下腹辺りに跨るように腰を下ろし、服に手をかけて上着を脱いだ。形のいい白い肌の胸を彩り、覆っているブルーのかわいらしいブラジャーを後ろに手を回して外し、上着と共に床に置く。

 

「ゼノたん……」

 

「ふふっ、そんなギラギラした瞳で胸を見て……。そんなに私が欲しいのか?」

 

 誘惑するようにつぶやき。上半身を折って俺の顔の上に胸を持ってくるゼノヴィア。ゆっくりと上半身ごと体を下ろしていき、胸の中心に顔を埋めさせる。ああ、ゼノたんの谷間、柔らかくていい匂い……。風呂が違うからかな? いつもの匂いと違うなぁ。

 

「――っん。ふふっ、よしよし」

 

 ゼノヴィアは俺の頭に片手を回して固定する。ん? もう片方の手に魔力を込めてる? 何をする気だ?

 

 パチンッ。

 

 ゼノヴィアが指を鳴らした音が聞えたのとほぼ同時に部屋が結界で覆われる。

 

 ああ、結界を張るために魔力を集めていたのか。

 

 ん? この結界って……。

 

「黒歌さんに用意してもらった結界だ。結界内の時間を進める効果はもちろん。いい雰囲気を演出してくれるし、何か起こった場合でもすぐに対応ができるように改造されている。さらにこの結界は周りに結界を張っていることを気づかれないようになっていて、結界の周りには意識を逸らす処理もされている。だから安心して淫行に励めるぞ」

 

 黒歌……。またおまえか……。

 

「さあ、これで場は整った。次は……」

 

「――っ」

 

 ゼノヴィアが手を上着のなかに滑り込ませてくる。やさしく腹筋やわき腹を撫でて、胸に触れ、指先で乳首を弄ってくる。

 

 ゼノヴィアの体温と感触を感じさせられながら性感を刺激されて、俺も興奮し始める。

 

「ゼノたん……。俺……」

 

「ふふっ、いいぞ。今脱がせてやろう」

 

 興奮した俺にゼノヴィアはそう微笑むと上半身を起こし、俺の服を脱がし始めた。俺もゼノヴィアに協力して服を脱いでいく。

 

 上着、ズボンと脱がされていき、下着1枚となり、ゼノヴィアの手がかかったところで、息を飲むような音が……。

 

 視線だけ動かして見れば、いつの間にか布団を囲うようにアーシア、イリナ、椿姫さんが座っていて、俺の股間を食い入るように見つめていた。

 

 こ、この状態で見られるのか?

 

「興奮するだろう?」

 

 ゼノヴィアからの突然の問いかけ。

 

「――っ。…………はぁ。そうだな。ああ、興奮するな」

 

 俺はため息を吐いて諦めたようにうなずいた。……うん、否定できそうになかったんだ。ペニスは勃起して下着にテントを作っていたし、興奮していたのは本当だから。

 

 ゼノヴィアはうなずく俺を見て笑み、下着を脱がした。

 

 下着という拘束具を解かれたペニスは、ビンッという効果音でも鳴らすかのように、天井に向けてそそり立つ。

 

「キャッ!」

 

「す、すごい……。お兄ちゃんの……」

 

「お、おお……」

 

 アーシアが悲鳴をあげて目を覆い、イリナが驚きながらもペニスを見つめ、椿姫さんは恐れおののくような声を漏らした。

 

 そんななかでゼノヴィアは勃起したペニスをうれしそうに見つめ、自分も立ち上がって寝巻きのズボンと下に着ていたブルーのショーツを脱いで全裸になった。

 

 全裸になったゼノヴィアは布団の上に座った。丁度俺の腰辺りだ。

 

「ふふっ、もうカチカチだな。――すぐに私が楽にしてやるからな」

 

 ゼノヴィアは指でペニスの亀頭をツンと触り、微笑む。

 

 そして慣れた手つきで亀頭から雁首、竿から玉袋と触り、上半身を倒して俺の腹を枕にペニスの竿を握って上下に扱き始めた。

 

「んっ、くぅ……」

 

「ああ、相変わらずすごいな。太く、長く、雁首も凶悪で、玉袋もプリプリ。血管は浮き出て陰毛も濃く太い毛で、畏怖を与えるような迫力を感じるペニスだ。――今でもこのペニスが私のなかに何度も入ってるなんて信じられないな」

 

 ゼノヴィアは猫のように体を俺の下半身に擦りつけながら、先ほどから食い入るように見学してる3人に向かって、自慢するかのようにつぶやく。

 

「ほら、アーシア、イリナ、椿姫先輩。これが男のペニスというものだ。すごいだろう? この臭い、この迫力。女の本能から刺激されてしまうような感覚に陥ってしまいそうになるだろう」

 

「「「…………」」」

 

 ゼノヴィアの言葉にごくりと3人のツバを飲んだ。生まれて初めて見ただろう勃起したペニスに釘づけになっている3人の様子にゼノヴィアは満足した様子で微笑み、尿道から漏れ出しているカウパーを指先で掏い舌で舐めとった。

 

「さてと、それじゃあ本格的に始めるかな」

 

 ゼノヴィアはそうつぶやくと体を起こしてペニスの真上に顔を移動させる。そして両手でペニスを真上に真っ直ぐ立たせ、口を大きく開けて亀頭を咥えこんだ。

 

「うっ、ゼノたんっ」

 

 敏感な亀頭がゼノヴィアの口のなかに包まれたことによる快感が走り、さらにちろちろと舌先で尿道口や雁首を撫でられ、腰が浮き上がってしまう。

 

「ちゅ、れろっ……、んんっ、はぁ……、ちゅっ、あむ……」

 

 さらにゼノヴィアは亀頭を口のなかで愛撫しながらも同時に、片手で竿を上下に擦り、もう片方の手で玉袋までを弄ってくる。

 

「はぁはぁ……、ちゅじゅっ、んっ、はぁ……、どうだ? 気持ちいいか?」

 

「ああ、すごく……。すごく気持ちいいよ、ゼノたん」

 

「ふふふ、そうか。もっと気持ちよくしてやるからな」

 

 いつもは蹂躙されるように攻められるのが好きなゼノヴィアだけど、今日は完全に攻める側に回ってる。やっぱり3人に見られているからなのかな?

 

「わわわ……、ぜ、ゼノヴィアさんがエイジさんのオ、オチンチンを……」

 

「す、すごいわ……。これがフェラチオってやつなの……?」

 

「こ、こんな、は、破廉恥な……」

 

 …………ていうか、3人とも近くないか? アーシアももう顔を隠さずに堂々を見てるし、イリナも興味津々と観察してる。椿姫さんも口では否定的なことを言いながらも顔を赤くして鼻息荒く食い入るように見ているし。

 

 なによりも3人共通してヒザを悩ましく擦らせているところが何とも言えない。俺とゼノヴィアを見て興奮してるのが丸わかりだ。

 

「――っん」

 

「ビクビクしてるな。そろそろ射精が近いのか? エイジ」

 

「……わかってて聞いてるだろ、ゼノたん」

 

 ペニスの竿にキスしながら訊ねてくるゼノヴィアにジト目で言うと、ゼノヴィアは「バレたか」とかわいらしく笑い、スパートをかけてきた。

 

「まずは一発目だな。ふふっ、さあ、景気良く吐き出そうじゃないか」

 

 ご機嫌のゼノヴィアはテンションを高くして激しく上下に手を動かし、ペニスを深く咥え込み、いやらしく吸いつく。

 

「んじゅ、んむっ……、ぅん、ふぅ……、じゅぶ、じゅるる……」

 

「――っ。ゼノたんっ、も、もう出る!」

 

「あむっ♪ んじゅるるるぅぅ……」

 

 射精が近くなった俺が声を上げると、ゼノヴィアはうれしそうな笑みを浮かべてペニスを深く咥え込んだ。両手で竿を扱かれながら強く吸われる。

 

「くっ! 出すぞ!」

 

 ビュルッ! ビュルルッ! ビュルルルルゥウウウウウウ~!

 

「ジュルルルルっ! ぶはっ! はぁ、はぁぁぁ……」

 

 精液を一気に吸い取り、口いっぱいに精液を溜めると、ゼノヴィアは口を離した。

 

 口を半分開けて、射精途中のペニスを眺めながら精液を体に浴びた。

 

「わわわ……、あ、あれが精子なんですか?」

 

「い、いっぱいでるのね。ゼノヴィアがドロドロになってる……」

 

「はぁはぁ……、い、勢いよく飛んで、い、いやらしい光景ですね」

 

 外野から観察している3人の声が聞えていないのか、ゼノヴィアは口を開けたまま舌でいやらしく精液をかき混ぜて味わい、ごくんと喉を鳴らして飲み込んだ。

 

 蕩けた微笑を浮べて、

 

「ごちそうさま。すごく濃厚で、おいしかったよ」

 

 とつぶやいた。

 

「「「…………」」」

 

 その様子にアーシアたち3人のほうが顔を赤らめた。

 

 ゼノヴィアは起き上がると、俺の体の上に跨った。

 

 片手の指を自らのオマンコへともっていき、指をV字にして大陰唇を開いた。間からとろりと愛液が伝う。

 

「さあ、エイジ」

 

「ああ」

 

 うなずくとゼノヴィアがゆっくりと腰を下ろしてきた。

 

「「「――っ」」」

 

 腰を下ろすゼノヴィアに、アーシアたち3人が息を飲み、ゼノヴィアが思い出したように声をかけた。

 

「ああ、そうだった。アーシア、イリナ、椿姫先輩。よく見ておいてくれ。これからが本番だからな」

 

 そのつぶやきを聞いてアーシアたち3人の顔が赤みを増して顔を俯かせた。どうやら声をかけられたことで、我に返ったようだ。3人ともかわいらしく視線をさ迷わせている。

 

 ゼノヴィアはそんな3人を無視してゆっくりと腰を下ろしていく。オマンコにペニスの先端が当たり、ゼノヴィアがもう片方の手でペニスを掴んで固定し、挿入していく。

 

「くっ……、うぐぐ……、うっ、んんっ!」

 

 亀頭まで咥え込ませたゼノヴィアは、オマンコとペニスから手を離してさらに腰を落とす。

 

 中腰からベッドにヒザをつけて跨り、俺の胸に両手をつく。

 

「はぁ……、はぁ……、はぁ……」

 

 ゼノヴィアは荒く息を吐きながらも、うれしそうな笑みを浮かべた。しっとり汗で艶をえた髪が光り輝いてすごくキレイだ。

 

「ゼノたん」

 

 ゼノヴィアの両手をとって指を組ませる。

 

「す、すごいです……。あ、あんなに大きくて長いのが、ゼノヴィアさんのなかに……」

 

「ふふふ、すごいだろ。アーシア」

 

「……はい」

 

 ゼノヴィアは俺を正面から見つめたまま、アーシアと言葉を交わし、笑む。さらに信じられないといった椿姫さんも声を漏らす。

 

「本当にすごいわ。こ、こんなものが入るなんて……」

 

 ゼノヴィアはそんな2人に見られていることに快感でも感じているのか、オマンコをきゅっと絞めつけた。おいおい、それにしてもアーシア、椿姫さん、少し近すぎないか? 見られるっていうより、もう覗き込まれてるに近いんだけど……。あれ? そういえばイリナは……?

 

 俺は視線だけずらしてイリナのほうを見る。

 

「はぁはぁ……、はぁはぁ……、はぁはぁ……」

 

 見るとイリナは赤い顔をしたままその場でこちらを見つけていた。股をすり合わせて、体を少し震わせている。切なげな瞳がなんとも言えず、かわいらしい。

 

「はぁ……、はぁ……、エイジ」

 

 ん? ゼノたん?

 

「そろそろ動き始めるぞ」

 

 ゼノヴィアはそう言うと、ゆっくりと腰を揺らし始めた。

 

 まずは前後に揺らして、次に両ヒザを支えに腰を持上げて上下に、そして腰を下ろして円を描くように腰を動かす。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……っ。んっ、くぅっ……」

 

 腹の上でゼノヴィアが甘い吐息を漏らしながら踊る。

 

 形がよく、白く、やわらかい胸が揺れる。

 

 白い肌がほんのりと桜色と熱を帯びて、汗の玉が浮び、光に照らされて輝く。

 

 美しい鎖骨から汗の玉が伝い、揺れる胸の先端から俺の体にぽたりと落ちる。

 

 俺は下から、ゼノヴィアは上から見つめあう。

 

 ゼノヴィアの瞳に映る俺が見える。

 

 ゼノヴィアの瞳に映る俺は、本当に幸せそうだ。

 

 ふふっ、それも当然だな。

 

 好きな女を抱いているんだ。

 

 幸せで当然だ。

 

 ゼノヴィアの両手と組んでいる指にもう少し力を入れて、強く組む。

 

 もっと強く、もっと強く触れ合いたいと想いながら。

 

「はぁはぁ……、んっ、あっ……、ふっ、んんっ……。エイジ……、エイジ……」

 

 俺の名を紡ぎ、ゼノヴィアはさらにオマンコを絞めつけ、踊る。

 

 まるで俺の体を使って自慰するかのように。

 

 自身の快楽と本能に従って腰を動かす。

 

 奥までじっとりと濡れて、熱く、そして狭い膣道を動かし、子宮口で吸いつき、俺のペニスを誘惑して味わい、受精しようと精液を求める。

 

「エイジっ、私は……、私は……っ!」

 

 ゼノヴィアのオマンコが締まりを増して、子宮口がちゅううっと亀頭に吸いついてきた。

 

「エイジっ、イク! 私は……もうっ!」

 

 腰の上でゼノヴィアが体を震わせる。まるで快感に全身を蝕まれたかのようにビクビクと悶え、頬を朱色に染める。

 

 ああ……、すごくいやらしくて、かわいい……。

 

「くっ、うぅんんっ!」

 

 ゼノヴィアの体がビクッと大きく跳ねる。オマンコが収縮し、ペニスに絡みつく。子宮がペニスに強く吸いつく。

 

「ダメっ! い、イクっ! はぁはぁっ、あくっ、イクっ! イクゥウウウウウウウウウウ!」

 

 きゅっ、きゅうううっ、きゅうううううっと何度もオマンコを収縮させ、部屋の外まで聞えんばかりの大声をあげて、ゼノヴィアは絶頂に達する。

 

「ゼノ、たんっ!」

 

 精液を求めてペニスに絡みつく膣道、亀頭に吸い付く子宮口に俺のほうも限界を迎える。

 

「俺もだすぞ!」

 

 ビュっ! ビュルルっ! ビュビュウウウウウ!

 

 ゼノヴィアの返答を待たずに俺はそのまま射精を開始する。オマンコの要望通りにたっぷりと煮詰まった精液を子宮に吐き出していく。

 

「――っ! ああああっ! なかにっ! エイジの精液が私の子宮に注がれてるっ! はぁはぁっ、くっ、ああ、エイジのが……」

 

 ふるふると震えながらゼノヴィアは子宮に吐き出された精液を味わう。目を細めて、くびれた腰を悩ましく動かして。

 

 子宮に感じる俺の熱を幸せそうな顔で味わっていた。

 

「ゼノヴィア」

 

 口のなかで小さく名を紡ぐ。

 

「――ん」

 

 腰の上で幸せそうな顔を浮べ、小さく声を漏らした彼女を見て、俺も幸せな気持ちで満たされた。

 

 射精を終えてなお勃起しているペニスをオマンコに収めたまま、ゼノヴィアは細めていた瞳を開いて俺を見つめてくる。

 

 俺も下からゼノヴィアを見上げる。

 

 俺は彼女の顔を見つめ返しながら、彼女の名を紡ぐ。

 

「ゼノヴィア」

 

 親愛の気持ちを込めて、さらにもう一度「ゼノヴィア」と名を紡ぐと、彼女は照れくさそうな笑みを浮かべた。

 

 乱れた呼吸を整えて、しっかりと気持ちを伝えるように、組んでいる指に力を入れて、ぎゅっと強く組んで、彼女は言葉を紡ぐ。

 

「エイジ、好きだ。大好きだ。私は、エイジが大好きだ」

 

 身から溢れる気持ちを抑え切れないと、伝えたいと、彼女は桜色の唇から言葉を紡ぐ。周りにいる3人のことなど忘れて、愛の言葉を紡ぐ。

 

 今感じている幸せが伝わるようにと、満面の笑みを浮かべて。

 

 子宮に吐き出された精液を確かめるように、麗しき体を揺らしながら。

 

「エイジを好きになれてよかった。私はエイジを愛してる」

 

 そうゼノヴィアは誇らしげに微笑んだ。

 

 ああ……、本当になんて愛らしいんだ……。

 

「俺も、心の底から愛してるよ、ゼノヴィア」

 

 俺の言葉を聞いて微笑み、覆いかぶさるように抱きついてくるゼノヴィアを抱きしめ返し、周りを忘れて2人だけの世界へとのめりこんでいった。

 




 ああ……、これからが大変だ。さっさと書き上げよう。

 とりあえずエロパートがだいぶ続くと思います。

 最初からわかっていたけど、全てを通して修学旅行編を書き上げるが1番キツイという……。

 現在の予定では、悪魔聖女、新米天使、クール副会長、九尾親子

 それぞれにエロパートが……。シチュの段取りや、モチベを保つのがががが……。

 たまには戦闘書きたいです。

 ネギマのほうもエロパートで止まってるんだよね……。
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