<イッセー>
「ずむずむいやーん!」
「「「「「ずむずむいやーん!」」」」」
ステージに立つ俺の掛け声に、客席の子供たちも最高の笑顔で反応した。
学園祭を目前にして、俺は冥界の旧首都――ルシファードにある大型コンサート会場のステージ中央で、「乳龍帝おっぱいドラゴン」のヒーローショーに出演していた。
通常は代役の方が専用のコスチュームを着ることでショーを執り行っているのだが、サーゼクスさまからのオファーで今日は本物の俺が出演することとなった。
俺の他にもお助けキャラであるヘルキャットの小猫ちゃんや悪役のダークネスナイト・ファングの木場がステージに立っている。
体操着&ブルマ姿というマニアックなコスチュームを着ている小猫ちゃんが手を振ると、子供たちと一緒に小猫ちゃんファンの大きなお友達から声援があがる。
木場のほうにはお母さん方をはじめ、多くの女性ファンがついていた。……クソ、うらやましいぜ、木場の野郎! でも――。
「「「「「おっぱいドラゴーン!」」」」」
俺を求めるちびっ子たちの声援にはたまらないものがあった。
◆
「ふぅー」
ヒーローショーでの大方の出演を終えた俺は、舞台裏で一息ついていた。
これが終わったら、次は学園祭の準備再会だ。けっこう、大掛かりなものを用意するから男手が足りないんだよなぁ。戦力になるエイジのヤツはこのところ忙しいし。最近は俺や木場が連日突貫準備に励んでいる。
『……では、おっぱいドラゴンのクイズコーナーです』
「「「「うおおおおおおっ! ヘルキャットちゃぁぁぁぁぁんっ!」」」」
舞台でクイズコーナーの司会を担当する小猫ちゃんに、大きなお友達から声援が向けられているようだ。舞台裏から様子を窺うと、体操着&ブルマからスクール水着へとコスチュームチェンジした小猫ちゃんが笑顔でお客さんたちに手を振っていた。小猫ちゃん、スマイルは満点だけど、目が死んでるよ……。
早くヘルキャットの衣装が定着すればヒーローショーがコスプレショーみたいにならずに済むと思うけど、毎回変わる衣装がヘルキャットの人気を上げてるんだよなぁ。
それにしても、俺たちって違う方向で有名になってるな。ありがたいことだけど、まさかここまで「乳龍帝おっぱいドラゴン」が人気になるとは……。それだけ冥界には娯楽が少なくて、こういうのが物珍しいのだろう。
さらに冥界のメディアでは、ロキ襲来や京都の事件などのニュースを報じており、そこで作戦に参加していた俺たちグレモリー眷属のことを大々的に報道してくれたようで、冥界の子供たちのなかではテレビの「おっぱいドラゴン」と実際の俺の行動が混同されている。つまり、子供たちのなかではテレビのヒーローがロキや『禍の団』相手に活躍してるってことになってるんだ。
俺は嘆息し、頭を抱えた。
……うれしい反面、複雑だ! 有名になるのはいいけどさ! 戦が珍しい悪魔業界でなんで俺たちだけが激しい戦闘に巻き込まれる!? その相手も伝説の存在で旧魔王や神さまだぜ!? あげく英雄の子孫までとバトルしちまってよ! どんだけの確立で遭遇してんだ、超常バトルによ! そもそも俺はゲーム以外であんまり活躍してねえし! 伝説の赤龍帝だけど、赤龍帝らしく活躍したことなんてほとんどねぇよっ!
……まあ、最近やっと新しい力にも目覚めてこれからの可能性が大きく開けたし。子供たちから送られる声援もうれしい。今日のイベントも最高に楽しいよ。
けど、激戦ばかりなのはカンベンだ。俺自身もう二度と死にたくないし、それ以上に仲間も危険に晒されるのは嫌だ。メンバーの誰かが死んだら、俺マジへこむぞ……。
でも、そんな戦いに巻き込まれたこそ、今のメンバーがいるのも確かなんだよな。コカビエルとの戦いがあったからこそゼノヴィアが仲間に入り、ロキとの戦いがあったからこそロスヴァイセさんが仲間になった。今までの戦いがあったからこそ、皆は強くなって絆も強くなった。それらを考えると本当に複雑だよ。
やっぱ、ドラゴンの特性――天龍だから力を呼び込むんだろうか。悩むよな、そこのところ……。一連の事件は俺のせいじゃないか? って思いが日々高まってるしさ。
…………。
これ以上考えるのは止めよう。この件は悩むほど、どツボにハマる。起きたことは受け入れて、最善の努力をする。それしかない。
今の俺には、悩んで立ち止まってる暇なんかないんだ。
サイラオーグさんとのゲームまでに新しく手に入れた力をちゃんと使いこなせるようにしないといけないし……。
悪魔の駒を自分で抜いて人間に戻ってしまったエイジの処遇がどうなるか、まだわからないんだから。
◆
<エイジ>
イッセーたちがヒーローショーで出払っている頃。俺とリアスはサーゼクスから呼び出し――もとい出頭命令をくらい冥界にいた。
夏休みに将来有望の新人悪魔たちの顔合わせと年寄り悪魔たちへの紹介が行なわれたあの場所で、俺とリアスはサーゼクスを含む魔王3人と元老の悪魔、それに大王家のバアルにグレモリー家の現当主、堕天使総督アザゼルというお偉いさんたちを交えて俺とリアスの今後のことについての話し合いをしていた。
……まあ、話し合いといってもお偉いさんたちばかり議論していて、当事者である俺とリアスは蚊帳の外なんだけどさ。
それにそもそもこの議論、内容を簡単に説明していくと……、
俺、自由に色んな種族になれる。
人間から純潔の悪魔になったんじゃなかったのか?
純潔悪魔になって得た能力を鍛えすぎて、種族の壁とか超えちゃった。
ならばグレモリー眷属である証、『悪魔の駒』は?
テロリストとの戦闘の際に自分で摘出しました。摘出後も悪魔の能力使えますし、再び入れることも可能です。
自分の意思で簡単に眷属を抜けれ、人間にも悪魔の天敵だった天使にもなれるなんて……。
もう一度『悪魔の駒』を入れてグレモリー眷属になります?
自分の意思で簡単に眷属を辞めれるなら意味はない。枷がないのなら有望だとしても新人悪魔に魔王クラスである俺を抑えられるはずがないし。俺がリアスの眷属である意味もない。そもそも眷属とは自分よりも能力が劣っている下僕のことを指しているので、リアスの眷属として俺は最初から不適格だとか。
リアス自身、お偉いさんたちの話しに納得してしまい、何も言えない。
なら、グレモリー眷属じゃなくなったこいつをどうするのか?
戦闘力で同格とされる現魔王や大王家の眷属にしようにも『悪魔の駒』を自分で摘出できるのなら意味がない。他の種族にもなれるのなら、何も悪魔陣営だけが神城を独占する権利はないだろうと、堕天使総督。
……と、3大勢力だけでなく、敵陣営にも新勢力にもなりえそうな俺をどうするのかという議論をお偉いさんたちは永延と続けているわけだ。
あー……それにしても暇だなぁ。お偉いさんたちばかり話し合ってて全然こっちは話に交えようともしてこないし。正直、当事者を蚊帳の外においたこの議論にはあまり意味がないと思うので帰りたいのだけど……。間近に迫ってるサイラオーグとのレーティングゲームにも関係があるから無視して帰れないんだよなぁ。
思わずあくびをしてしまいそうになり――、
「エイジ」
隣のリアスに注意される。……いやでもね、リアス。
「…………」
「……わかったよ」
作ったようなニッコリ笑顔での睨み&無言で再度注意され、崩しそうになっていた姿勢を正す。
「そういえば。リアスは平気なんですか? 俺が眷属じゃなくなっても」
隣のリアスに小声で訊ねる。正直、俺がお偉いさんたちからの圧力で眷属を抜けさせられたりした場合、リアスが1番反発して反論するかと思ったんだけど、随分と大人しい。しっかりとお偉いさんたちの言葉を聞いて、その言葉の意味など考えてるっぽいし。
俺の疑問にリアスは小さく息を吐いてからつぶやく。
「もちろん平気じゃないわ。……でも、エイジの立場や現在の状勢なんかを考えると、私の眷属でいるよりも個人として自由に立ち回れたほうがいいと思うの」
「……まあ、確かに。俺自身に悪魔でいうところの眷属っぽいのが結構いますしね」
黒歌とかセルベリアとかノエルとか時雨とか……。まだ皆に紹介してないヒトも大勢いるし。リアスの眷属として指揮下にあるより別勢力として自分で別の部隊の指揮をとったほうが対テロリストの戦力も上がるだろう。
リアスは苦笑しながら言う。
「そもそもエイジの力は最初から私を超えていたでしょう? それも、私が手足も出ないほどにね。――王よりも強すぎる眷属で、自身の王や女王を鍛える。それは、眷属としての範疇を越えていると私も思っていたわ。例えエイジや私がいくら眷属とその王という関係に満足しているとしても、他の悪魔たちからはそうは見えないでしょ?」
「……そうだな」
事情を知らないヤツから見れば、リアスが俺を無理矢理眷属にして操っているようにも見えかねない。最初はものすごく弱くて最近強くなってきて注目度が上がっているイッセーとかなら眷属を生長させたのは王の功績ってことになるんだろうが……。
リアスは俺の頬に手を当てて微笑む。
「それにね、エイジ」
「?」
「私の眷属じゃなくなっても、あなたは私と一緒にいてくれるでしょ」
――っ。……や、ヤバい。いまものすごくムラっと……コホン。萌えた。うん、効いたよ。リアスの笑顔と言葉……かなり効いたよ。
頬に添えられた手を握りながら俺はしっかりとうなずく。
「はい。いつまでも」
「ありがとう、エイジ♪」
返事を聞いて少し頬を赤らめたリアスと2人で微笑みあう。
「――では、神城エイジから『悪魔の駒』をリアス・グレモリーに返却。以降、神城エイジは3大勢力とは別の新たな勢力として扱い。さらに、リアス・グレモリーとの正式な婚約を条件に悪魔サイドと協力関係を結ぶ。――ということで、いいですね? 皆さん」
…………。
……あれ? いつの間にかサーゼクスが議論の内容をまとめていて、他の悪魔たちやアザゼルもその内容にうなずいていて……議論が終了してた。さっきまで激しく議論していた悪魔のお偉いさんたちも席から立ち上がっていてすでにお帰りモードだ。
え? 本当にこれで終わりですか?
◆
マジで、あれで議論が終わってた。
主の了承なく『悪魔の駒』を摘出して一時的にでも眷属から外れたというのに、『はぐれ』認定されることもなく。特に処分らしい処分もなかった。
まあ、こっちが聞き流してる間にグレモリー眷属から外れて新たな勢力となり、さらっと悪魔側と協力態勢を組むことにされてたけどさ。
周りからの反対もなくリアスと正式な婚約を結べるなら、むしろ俺にとってプラスといえる。元々、どうなったとしてもリアスの側につくつもりだったし。3大勢力から追放されていた場合でも、旧悪魔側や英雄の子孫たちとも思想が合わないので加入するつもり協力態勢を組むもなかったからな。
本当に、変に話が大きくならず運がよかったよ。やっぱり悪魔のお偉いさんたちも魔王クラスっていわれてる俺やその仲間たちと敵対するより、むしろ味方側に取り込んだほうがいいと思ったんだろうね。ただでさえ荒れに荒れてる世界情勢なわけだし。
議論が行なわれたビルの一室。俺とリアスが用意されていた待合室で休憩していると、サーゼクスとアザゼルが入ってきた。ちなみに2人の格好は駒王協定でおなじみの正装である。
「婚約おめでとう、エイジ。これからは私のことをお義兄さんと呼びなさい」
俺たちに近づき、ニッコリと微笑むサーゼクス。
「……では、お義兄さま。そのニヤつきがまったく隠せてないキレイなお顔を一発殴らせていただいてもよろしいでしょうか?」
「それはダメだよ。あくまで今は婚約の段階で、まだ非公式だからね。眷属抜けして新勢力となったばかりのキミが悪魔側の魔王であるボクを殴れば、即外交問題だよ?」
「ちッ……」
舌打ちする俺に、サーゼクスはますます笑みを強めた。俺をからかえて悦んでやがる。結構なSだよな、こいつも。
アザゼルが小さく息を吐いて言う。
「まっ、婚約と協力態勢を組むぐらいですんでよかったじゃねぇか。下手すりゃ『はぐれ』認定されてたかもしれねぇんだからよ」
「全くだね。――まあ、最大の戦力と眷属を同時に失ってしまったリアスには悪いが、これですんでよかったと私は思ってるよ」
サーゼクスの言葉にリアスもうなずいた。
「はい。私もエイジが眷属からいなくなるのは残念ですが、これですんでよかったと思っています。――それに、遅かれ早かれ魔王クラスのエイジが新人悪魔である私の眷属であり続けることが不可能なことぐらい、わかっていましたから」
「そうか……」
「だから気になさらないでください、お兄さま」
「リアス……」
魔王と新人悪魔という立場のなかにも兄妹愛が感じられるサーゼクスとリアス。一方の堕天使総督のアザゼルは――。
「意外だな……」
リアスの様子をみて驚いていた。
「なにが意外なんだ? アザゼル」
「いや……。リアスならもうちょっと感情的に反論でもしてくるかと思ってたんだがよ……。意外と周り見えてるみたいで驚いちまった」
それはまあ……以前のリアスなら俺もそうなっていたと思う。夏休み以降の訓練やセルベリアから毎晩のように行われる『王』になるための勉強会を行ない、自分に自信を持つ前のリアスだったなら。
「リアスも日々成長してるってことだろ」
「……その成長のスピードがあまりにも異常すぎんだよ、おまえら全員は」
「それは確かに」
実際、リアスと出会ってまだ半年ほどぐらいしか経っていない間に、悪魔として最底辺の力の持ち主だったイッセーも今じゃ赤龍帝として各勢力から一目置かれる存在となっているし。朱乃やゼノヴィアもかなり強くなった。木場のヤツもコカビエルの一件で禁手に至って、小猫ちゃんも仙術を次々に習得していき急成長中。アーシアも回復能力や回復速度が上がり、今じゃ対象に触れてなくても回復させることができる。新たに眷属入りしたロスヴァイセまでも日々成長しているんだから……うん、異常だな。異常すぎだ。
ちなみに家にいるレイナーレもメイドとしてのスキルを上げ続けてるし、堕天使としてのレベルも中級だったのが今では上級堕天使レベルにまでなっている。
「ああ、学生ライフをエンジョイしてた半年前が懐かしいなぁ……」
たまに賞金稼ぎしながら各地を巡ったり、学校の友達とバカな話で盛り上がる。先なんて考えていない、今を楽しむお気楽ライフが懐かしい。
まっ、今の生活に不満があるわけじゃないけど。
「そういえば、サーゼクス」
「なんだい、エイジ」
「グレモリー眷属じゃなくなった俺は、やっぱりサイラオーグとのゲームには出場できないのか?」
「うん。グレモリー眷属じゃなくなったエイジの出場は認めてあげられない。すまないね、リアス」
「そうですか……」
リアスは少し残念そうな表情を浮かべた。そんなリアスにサーゼクスが笑いかける。
「だけど、リアス。エイジが出場できなくなったとしても、キミにはまだまだ自慢の眷属たちがいるだろう?」
その言葉にリアスはハッとなる。サーゼクスの顔を見上げ、微笑む。
「はい、お兄さま。私には自慢の眷属たちがたくさんいました。例えエイジが眷属から抜けてゲームに参加できなくなっても。私の眷属たちは負けたりはしません」
「そうだね、リアス。例えエイジがサイラオーグ側の臨時コーチになったとしても、リアスは負けたりしないね」
「はい! …………。……え? あの、お兄さま?」
戸惑うリアスを無視して、サーゼクスは俺の肩に手をおく。
「ではそういうことでよろしく頼むよ、エイジ。サイラオーグたちを鍛えてくれたまえ」
「……突然の話しで全くわけがわからないんだが、サーゼクス?」
サーゼクスは苦笑しながら説明を始める。
「実は今回の議論を行なう前にアザゼルと一緒にバアル家の現当主と対談していてね。そこでキミがゲームに参加できないことを知ったサイラオーグが、是非とも戦わせてくれと言ってきて……」
「どうせなら鍛えさせようぜ、って俺が進言したんだ。ほら、前におまえも鍛えたいって言ってただろ?」
「それは……そうだが……」
タイミングが悪すぎる。せめてグレモリー眷属とのゲームの後にしてくれよ……。
「ちなみにバアル家の現当主とサイラオーグはすでに了承済みだよ。現当主も次期当主であるサイラオーグを成長させるならと、今回の議論でもこちら側についてくれたんだ」
「最初から魔王3人と大王家までついてたからな。議論のほうも比較的スムーズに終わっただろ?」
それって裏取引じゃねえか! という、ツッコミはリアスと一緒に飲み込んだ。
と、ここでリアスがある疑問を口にする。
「あの、エイジがサイラオーグを鍛える場合、エイジの立場はどうなるんですか? サイラオーグたちを鍛えたあとに、私たちにサイラオーグの戦術や情報を流したりとか……。させたりしないと思いますが、その辺りについてはどうなされるつもりなんでしょうか?」
言葉に小さなトゲを含ませつつ、サーゼクスに訊ねるリアス。サーゼクスも「当然の疑問だね」とうなずいた。
「もちろん、その点についても考えているさ」
サーゼクスのあとに続いてアザゼルもうなずいて――あ、嫌な予感がするぞ、おい。
ものすごーく嫌な予感を感じる場所は部屋の出入り口。意識を部屋の外に飛ばして探ってみると……こちらに近づいてくる大きな魔力が7つ。その中で知ってる魔力は魔王である2人と、リアスの父親であるグレモリー家現当主。フェニックス家の兄妹。知らない魔力の2つで、ひとつは議論が行なわれていた会場で感じたバアル家当主の魔力だった。最後の魔力に関しては検討もつかない。
……だが、魔王の一角にして冥界一のマッドサイエンティストであるヤツと、堕天使総督にして神器狂いのマッドサイエンティストの2人が一緒の場所にいるだけで嫌な予感は確信へと変わってしまう。
「何をするつもりだ、アザゼル」
「なあに。ゲームが開始するまでの間。おまえでも簡単に解除できない、解除した時点でバレる、誤魔化そうとしてもわかるかなり強い契約を結んでもらうだけさ。――まっ、違反したからっておまえには大きなペナルティはない契約だから安心しろ」
「おまえにはって、俺以外にはあるのか?」
「契約違反の内容しだいではグレモリーとバアルのどちらかがゲームを行なう上で不利になるな」
「拒否権は……ないようだな」
「ああ。今回は大人しく諦めてくれ。一応、バアル家に便宜をはらってもらうため契約でもあるんだからよ」
俺たちには全部事後承諾だがな! ……まあ、害のある契約というわけでもなさそうだし。内容を確認した上で受けよう。こればっかりは仕方ないし。
◆
あれから数時間後。俺たちは駒王学園へと戻っていた。学園祭の準備が行なわれ始めたオカルト研究会の部室のソファに座り、一息を入れる。すでに日は暮れていて外は真っ暗だ。
本来であれば悪魔の仕事をするオカルト研究会の部員たちの誰かが部室にいるのだけど、学園祭の準備やレーティングゲームなどと忙しい今は誰もいない。それぞれが学園祭の準備やレーティングゲームに向けてのトレーニングを行なっているんだろう。
数時間冥界で拘束され、お疲れモードのリアスは俺の膝を枕にして仰向けに寝転がる。俺の方へ体を向けて、甘えるように抱きついてきた。
「う~……」
顔を擦りつけながら、かわいらしい唸り声をだすリアス。俺は慰めるようにリアスの髪をすかすように撫でる。
「はぁ……。今日は本当に疲れたわ」
「そうだな。俺も、色々あって疲れたよ」
2人して大きく息を吐く。このまますぐにでもベッドに入って休みたいところだが、まだまだやらなければいけないことが残っている。
俺がグレモリー眷属を抜けることになったこと。
抜けたあとは新たな勢力という扱いになって、冥界などの勢力と協力関係を結ぶことになったこと。
その関係でサイラオーグとのゲームに出場できなくなったこと。
便宜を払ってもらう代わりにバアル家と取引してサイラオーグを鍛えることになったことなどなど……。
これからグレモリー眷属たちへの説明をしなければいけないのだ。まだまだ休めない。
「そろそろ、かしらね……」
名残惜しそうにリアスが体を起こすと、部室に設置された転移用の魔法陣が輝きだした。怪しく部屋を照らす魔法陣の輝きが収まると、朱乃が現れる。服装は駒王学園の制服である。……グレモリー眷属といいシトリー眷族といい学生服=戦闘服になってきたな。
ソファに座っている俺たちを確認した朱乃がニッコリと微笑む。
「おかえりなさい、リアス、エイジ」
「……ただいま」
「ただいま、朱乃」
機嫌のよさそうなニッコリ笑顔を浮べてる朱乃さんに、お疲れモードのリアスは少し肩を落とす。そんなリアスの様子に朱乃は口元に手を当てて微笑んだ。
「あらあら。その様子は、冥界でたっぷりとしぼられたようですわね?」
「…………」
クスクスと笑う朱乃をリアスはジト目で睨むが……それは逆効果だ。Sモードになるぞ。散々イジメられ……弄られてリアスが「うーっ、うーっ」唸る姿が脳裏に浮ぶが……今は遊んでいる暇はない。
「とりあえず、皆が来る前に急いで現状を説明がしたいの。座ってくれるかしら、朱乃」
「ええ。わかりましたわ」
いつもとは違うリアスの反応に、朱乃は微笑みを止めて俺たちとは反対側の席に腰を下ろした。姿勢を正して、リアスと2人で説明を開始する。
説明の内容は冥界で決まったことのすべてだ。
すべての話を聞き終えた朱乃は……、
「あらあら、そうなんですか。リアスとエイジの婚約ですか。おめでとうございます」
満面の笑みを浮かべていた。
……いや、なんで?
リアスも朱乃の態度の意味がわからないのか、かなり戸惑っているようだ。
「……あ、朱乃?」
「あら? どうしたの、リアス」
「……その、怒らないの?」
「怒る?」
「私たち、婚約したのよ?」
「はい、お聞きしましたわ」
「……怒らないの?」
「怒られたいんですか?」
「そういう、わけじゃないけど……」
どんどん声が小さくなるリアス。王の威厳がまったくないぞぉ。
完全に口を閉ざしてしまったリアスに朱乃は微笑み、席を立つ。そのままゆっくりとこちら側のソファへとやってきて、リアスとは反対側の俺の隣へと腰を下ろした。
朱乃は蠱惑的な微笑みを浮かべて、俺の頬に手を添えた。やさしい手付きで頬を撫でながら体を寄せてくる。大きくてやわらかい胸で腕を挟み、もう片方の手で胸に挟んでいる腕を誘導し、スカートの中へと手を誘い入れた。
スカートのなかに入った手が、手触りの良い薄い布に触れる。
「ぁんっ……」
朱乃の口から艶かしい声が漏れる。甘い吐息を耳元で漏らされ、自然と下半身に血液が集まっていく。
流れるような手つきで朱乃さんはズボンのチャックに手をかけ、ペニスを取り出した。
「あ、朱乃!? あなた、いきなり何を……」
驚きの声をあげるリアスに、朱乃はニコニコ笑顔で当然のようにつぶやいた。
「婚約者がいる男を寝取るのって、一度やってみたかったんです」
「なっ……!?」
言葉を失うリアスをSな笑みで眺めつつ、朱乃は馴れた手つきでペニスを上下に擦り始める。竿を握って強弱をつけつつ、耳を舌で攻めてくる。さらにスカートのなかに入れさせた手にオマンコを擦りつけてくる。
見せ付けるような朱乃の攻めに、リアスが顔を赤くしながら叫ぶ。
「はっ、離れなさい、朱乃! これから皆が来るのよっ!」
「あら? ですが皆さんが来るまで、まだ1時間以上は時間がありますわよ?」
「それはあなたに前もって説明して、そのあと打ち合わせするために用意した時間よ!」
「でしたら、説明はすでに終わりましたし。打ち合わせは……楽しみながらということにしましょう」
朱乃は一旦席から立ち上がり、俺の上へ座ってくる。その格好は正面から抱き合う対面座位だが、ペニスは挿入していない。ショーツ越しにオマンコを擦り付けられてるかたちだ。
朱乃が俺の首に両手を絡めて抱きついてくる。足を大きく開き、ソファに両膝をついて体を密着させる。正面から俺の目を見つめて、キスを求めてくる。
「朱乃ッ!」
そんな朱乃をリアスが怒鳴るが、朱乃は止まらない。
「いいじゃありませんか、リアス。修学旅行からずっとお預けなんですよ。私、もうこれ以上我慢できませんわ」
「お預けなのは私もよ!」
「リアスは今回の件で婚約者になったんでしょう? だったら、私にも何かご褒美があってもいいじゃない」
「そ、それは……」
婚約の件を持ち出され、途端に弱くなるリアス。朱乃は「それに……」と続けて言う。
「さっきの話の通りなら、明日からゲームが終わるまでずっとお預けになるんでしょう?」
「……そう、だけど……でも……」
「家も別にされて、監視もつくのよ。今しかないじゃないの」
朱乃はそう言うと、唇を合わせてきた。……うわぁ、もう舌絡めてきた。そうとう溜まってたんだろうなぁ。
「うぅ……」
と、聞えてきた声に反応して隣へ視線を送ると……リアスがもじもじと膝をすり合わせていた。ちらちらと時計を見て、顎に手を当てて悩み、うんうんと唸り、息を吐きながら肩を落とす。……ああ、これはリアスが負けかなぁ。
悩んだ末に意思を固めたリアスは部室に魔法をかける。かけた魔法は部室に設置してる転移の魔法陣を一時的に起動させなくするものだ。おそらく集合時間よりも前に部員が入って来れなくするめだろう。
魔法をかけ終えたリアスが制服を脱いでいく。ボタンを外し、スカートのチャックを下ろす。
「あら、リアス。あなたもするの?」
朱乃のからかうような言葉に、リアスは鼻を鳴らす。
「当然でしょ! 朱乃たちがしてる隣でお預けなんて絶対に嫌よ! ほら、エイジ!」
「は、はい……んぐっ!?」
呼ばれて顔を向けた瞬間、唇を重ねられる! 朱乃とのキスに上塗りでもするかのように激しいキスだ。唾液を流し込まれ、舌で口内を蹂躙される。
「ん……うむっ……はぁはぁ……ぅん……」
「んぐ……り、リアス……」
「あらあら、私のことを忘れてもらっては困りますわよ」
「あ、朱乃……」
朱乃は自分のスカートの中へ片手を入れた。……何かを解くような音。この感じからして紐かな?
「ふふっ、まずは私からですわね♪」
微笑み、朱乃は腰を浮かせる。膝立ちになって角度を合わせ、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「――あんっ。ふふふっ、久しぶりですから、少しキツイわね」
じっとりと濡れた膣口の感触。スカートに隠れて見えないが、手に取るようにわかる。亀頭の先端が膣口に入ってる! おお、久々の朱乃のオマンコだ!
「少し……待ってくださいね、エイジ」
「ああ」
朱乃は俺の肩に両手を置くと、ゆっくりと腰を沈めてきた。
「んっ……はぁはぁっ、んんっ、あぁ……大きい……」
小さな膣口をいっぱいに広げ、ペニスが奥へ奥へと咥え込まれていく。咥え込まれたペニスから朱乃の体温が伝わってくる。
「ぁんっ、エイジが私のなかでうれしそうに跳ねてますわ」
「朱乃も、うれしそうに絡み付いてきてるよ」
本当に、違う生き物のようだ。ぐちゅぐちゅで、いやらしくペニスに絡みつき、キュウっと絞めてくる。
「うふふっ。――ぁんっ!?」
ゆっくりと腰を下ろしていたはずの朱乃がビクッと体を跳ねさせた! まるで生まれたての小鹿のようにブルブルと体を震わせ、顔からは大量の汗が流れる。……どうしたんだ?
朱乃はゆっくりとリアスのほうへ顔を向ける。
「り、リアス?」
「何かしら、朱乃?」
リアスはニッコリ笑顔で首を傾げる。……まさか……。
疑惑を確かめるために朱乃のお尻へ両手を伸ばしてみると……やっぱりだ。
朱乃のスカートの内側にリアスの手が入れられていた。
いやこれは、スカートの内側に入れられてるだけじゃない! 朱乃の反応や俺が気づいてなかったことから見て、アナルに何かイタズラされてる!
「な、何するのよ、リアス」
「あら? 何って、エッチをするんでしょう?」
「――っ」
当然のようにそう返したリアスに朱乃は驚く。リアスはやってやったと言わんばかりに黒い笑みを浮かべて、
「さあ、時間もないことだし。3人で楽しみましょう♪」
「あぐっ、んっ……!」
さらに朱乃のアナルを弄り始めた。
「はぁはぁ……はぁはぁっ……え、エイジ……!」
ビクビクと震えながら朱乃がすがり付いてくる。前の穴にはペニスが挿入されていて、後ろの穴にはリアスの指が捻じ込まれてるからなぁ。かなり辛そうだ。
辛そうなんだが……。
「じゃあ、続けようか。朱乃」
「そ、そんな……」
イジメられてる朱乃もかわいいんだよなぁ。
俺は朱乃のお尻に回した両手で尻肉を掴み、左右に開く。
「なっ……。――くひぃっ!?」
「あらあら、すごいわね。指が根元まで咥え込まれちゃったわ」
朱乃の背後にリアスが回り込み、耳元で囁く。朱乃は首を横に振って何とか逃げようとするが、オマンコにはずっぷりとペニスが挿入されているために動けない。
「リアス……お願いだから、今は……ひぐぅっ……! ズボズボしないでぇぇっ!」
「ふふっ、こんなにビクビク震えちゃって……かわいいわね、朱乃。――でも、だぁーめ」
「そ、そんな……」
涙を浮べ始めた朱乃を無視してリアスは体を倒す。近づいてくるリアスの唇に、俺も体ごと顔を近づけ、唇を重ねた。
間に朱乃を挟み、2人で唇を重ねあう。
「はぁはぁ……ううぅ……」
俺たちの間で朱乃が体をビクビクと痙攣させながら涙を流し始める。オマンコがキュウキュウとペニスを絞めてきて……もうイッちゃったのか。まあ、2穴責めだからなぁ。
と、一旦唇を離して、朱乃の顔をリアスと一緒になって舐め始める。
慰めるようにリアスが涙を舐め取り、俺が首筋を丁寧に舐めあげる。
「やぁああ……っんん! やめ……今は……!」
必死に顔を背けて逃れようとする朱乃だが、俺たちは逃がさない。顔を背けても顔を舐め続け、耳の穴や鼻など、いたるところに舌を這わせていく。
「……んっ! はぁはぁ、はぁはぁっ……も、もうっ! いやぁああああ……!」
悲鳴をあげながら失禁してしまった朱乃を見て、リアスは満足そうに微笑み、アナルから指を抜いた。
除菌シートで指を丁寧に拭きとり、俺の背後に回って抱き着いてくる。両手で頬を撫でつつ、虚ろな表情の朱乃を愛おしそうに眺めた。
「本当に、朱乃はかわいいわ♪」
……厳密に言えばイジメられて落ち込んでる朱乃が、だろう。リアスの場合。
「お、覚えてなさいよ、リアス」
「ええ。その元気が残っていればね♪」
リアス……。このあと重大発表をする予定だってこと、忘れてないか?
古本屋の50円セール……アレは、おそろしいものだ。
学園黙示録、今まで毎回ツタヤで借りてたんですが、おやすく全巻手に入りました。