フェリーチェは素早く声の方を向きながら立ち上がる。彼女の視界に飛び込んで来たのは、黒いマントを羽織り、銀色の仮面をつけた男だった。男が放つ威圧感にも似た覇気にフェリーチェは気圧されそうになるが、何とか気丈に振る舞い、声を絞り出す。
「あなたは・・・何者ですか・・・」
「本来敵には名を名乗らないようにしているのだが・・・まぁいいか。君の美しさに免じて特別に教えてあげよう。僕はディザル。よろしくね。美しいキュアフェリーチェ。」
「っ!私を知っている?いえ・・・それよりも・・・何故魔物達を襲ったのです!あなたの目的はなんなのですか!」
フェリーチェは瞳と声で確かな怒りをディザルに向ける。しかし、ディザルは何故怒りを向けられてるのかわからないと言わんばかりにやれやれと言った仕草を見せたかと思えば、目にも止まらぬ速さでフェリーチェの目の前に接近し、彼女の顎をつかんで向けさせる。フェリーチェはあまりの速さに指先を動かすこともままならず、されるがままになっていた。
「っ!」
「何をそんなに怒っているんだ?美しい顔が台無しになってしまうよ?」
「黙りなさい!」
フェリーチェはディザルを突き飛ばし、距離を取る。
「フラスト様のアジトを荒らし・・・魔物達に酷いことをしたあなたを私は許しません!あなたを倒します!」
「仕方ないな。君には手荒なことをしないつもりだったけど・・・お仕置きだよ。」
ディザルと対峙し、身構えるフェリーチェの周りに左右から魔物達が集まってくる。ディザルの襲撃から逃れた魔物達だった。
「あなた達・・・!」
「フェリーチェ様!我々も戦います!」
その中にはミラクルとマジカルをハイエースした魔物達も混ざっていた。
「なんだ?お姫様を守る騎士でも気取ってるのか?醜いお前らじゃあ・・・役不足なんだよ!」
ディザルは口調が豹変したかと思えば雷を複数回落とす。
「きゃあっ!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!」
雷はフェリーチェを避け、正確に魔物の身体を貫いていく。魔物達は次々に倒れ、息絶えてしまう。
「あぁっ!皆さん!」
フェリーチェはその場に座り込み、涙を流す。
「ふん・・・形があるだけ感謝するんだな虫けらども。」
完全に人が変わったディザルは愉快痛快と言わんばかりに笑いだす。
「・・・ません・・・」
「あぁ?」
フェリーチェはゆっくりと立ち上がるとフラワーエコーワンドをディザルに向け、涙で潤んだ、しかし確かな怒りを称えた目で彼を睨み付ける。
「私はあなたを許しません!魔物達の仇・・・私がとります!フラワーエコーワンド!エメラルド!」
フェリーチェはフラワーエコーワンドにエメラルドをセットして必殺技の準備をはじめる。
「ふん・・・」
その間ディザルも魔力を凝縮し始める。
「プリキュアっ!エメラルドリンカネーション!」
渾身の力を込めて必殺技を放つフェリーチェ。ディザルは漆黒の龍を放って迎え撃つ。
「ふっ。」
「くっ・・・うぅっ・・・!」
必殺技同士がぶつかり合う。余裕そうなディザルとは対称的にフェリーチェは少し苦しそうな表情を浮かべる。少しして、フラワーエコーワンドにヒビが入る。
「それが君の全力か。なら、君は僕には勝てない。なぜなら僕は全力なんかだしてないからね。」
余裕が出来たからか冷静さを取り戻したディザルは魔力をさらに注ぎ込むと龍が巨大化し、フェリーチェの必殺技を呑み込んでしまう。
「そんな・・・!」
その時、限界に達したフラワーエコーワンドが彼女の手の中で粉々に砕け散ってしまう。龍はそのまま突進し、フェリーチェを呑み込んでしまう。
「あぁっ!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
フェリーチェを呑み込んだ龍はアジトの壁に突っ込み、凄まじい土煙をあげて消える。やがて土煙が晴れると壁には大きなクレーターが出来ていた。その真ん中からボロボロのことはが転がり落ちて床に倒れる。
「僕とした事が、少々大人気なかったかな?まぁいいや、これでこのアジトも彼女も僕の物だ。」
ディザルは魔法を使い、ことはを鎖で
拘束し、アジトの周囲に結界を張る。