「うっ・・・うぅっ・・・」
ことはは目の前で起こった事が信じられずボロボロと泣いていた。
「さてと・・・さぁお嬢さん。僕が君の新しいご主人様だ。」
ディザルは舌なめずりしながらことはに近づく。
「来ないでぇ!来ないでよぉ!あなたなんかに従いたくない!いやぁ!助けてぇ!」
ことはは必死に暴れて抵抗する。泣きながらもなお、鎖を千切らんとしている。ディザルは苛立たしげな表情を浮かべると魔法で鞭を出し、ことはの背中に思いっきり打ち付ける。
「きゃあぁ!」
ことはは苦痛の表情を浮かべる。叩かれた箇所の服は破れ、肌には真っ赤な跡が出来ていた。
「もうあの男は死んだんだ!大人しく俺様に従え!」
「絶対に嫌!あなたなんかに絶対従わない!」
ディザルはイラついて叫びながら鞭を打ち付ける。ことはは悲鳴をあげる。服はボロボロになり、肌には沢山鞭の赤い跡がついた。
《ミラクル!マジカル!フラスト様!助けて!》
ことはは鞭の痛みに耐えながら心の中で叫ぶ。
《俺は・・・負けたのか?あれだけ力をつけても・・・まだ・・・奴には勝てないのか・・・このまま・・・奪われるのか?故郷や家族を奪われた時みたいに・・・》
フラストは暗闇の中にいた。まるで海の中にいるかの如く、彼の身体は徐々に沈んでいく。
《俺はもう・・・何も出来ないのか・・・結局・・・何も変わっていない・・・あの時の・・・まま・・・無力なままなのか・・・》
やがて、その意識も沈みかけたその時、彼の目に一際強い光が飛び込んでくる。
「っ!」
フラストは咄嗟に目を塞ぐが、すぐに直視しない程度に光を見た。その光の中にはミラクルとマジカル、そしてフェリーチェがいた。彼女達はフラストに呼び掛けているように見えた。
「ミラクル・・・マジカル・・・フェリーチェ・・・そうだ・・・俺にはあいつらがいる・・・!自らの力で手に入れたあいつらが・・・そうだ・・・俺はあの時とは違う・・・!これ以上・・・奴に・・・何もかも奪われて・・・たまるか!」
フラストは泳ぐようにその光に向かっていく。徐々にではあるが彼は必死に光に近づいていき、そこにたどり着いた瞬間、彼の意識は光に呑まれた。
「うっ・・・」
フラストが目覚め、うっすら目を開けると、ボロボロのミラクルとマジカルが泣きながらフラストの顔を除き込んでいた。彼が目覚めたのがわかるとその表情が一気に明るくなる。
「「フラスト様!」」
ふたりは余程心配だったのか、彼に抱きつくと泣きじゃくる。
「よかった・・・よかったよぉ!」
「ホントに・・・心配したんですからぁ!」
フラストは泣きじゃくるふたりの頭を撫でながらお前達こそと呟いた。
「漸くお目覚めになられましたか・・・本当に喜ばしい限りです・・・」
フラストは声の方に視線をやる。そこには魔法使いがいた。