「さて・・・準備は良いようだな。始めるぞ。」
一行はフラストが用意した魔法陣の上に乗っている。今まで使っていたそれとは違い、人物を識別して最大4ヶ所まで違う場所に転移出来る物だ。
「あの・・・」
「フラスト様!はーちゃんは必ず私達が連れ戻します!ですから・・・無茶はしないで、合図を確認したらすぐに逃げてください!」
何か言いたげにしていたマジカルの言葉を遮り、ミラクルは念を押すように言う。
「わかっているさ。ことはの奪還が優先だと言い出したのは俺だからな。」
それを聞いたミラクルは安心した表情でマジカルを諭すように見つめる。マジカルはそれ以上何も言えなかった。
「この作戦はスピード勝負だ。が、かといって焦りすぎるな。余計に時間を喰うようなミスをしかねないからな。」
「「はい!」」
「承知しました。」
「では行くぞ!」
魔法陣はフラストとそれ以外の3人を識別し、転移する。フラストはディザルがいる部屋の前に来た。部屋の中から鞭が打ち付けられる音とことはの悲鳴が聞こえてくる。
「ことは・・・!」
フラストは念のため防御用の障壁を張ってから扉を勢いよく開けた。
「なっ・・・!」
扉の開く音、そして扉を開けたフラストを見てディザルは驚き、手を止める。
「フラスト様っ!良かった・・・」
ことははボロボロと涙を溢すがその顔は笑顔になっていた。
「言ったはずだぞディザル。あの頃の俺とは違うと。」
「こ・・・この死に損ないが!たったひとりで何が出来るってんだよ!大人しく家族のところに逝けってんだ!」
ディザルは顔に動揺と怒りの表情を浮かべ、鞭を床に叩きつける。対してフラストは3人がかりで勝てなかった相手と対峙しているにも関わらず驚くほど冷静だった。
「ディザル、アジトもことはも返してもらう。地獄に落ちるのは貴様の方だ!」
その言葉を合図に互いの魔法が激しくぶつかり合う。
一方3人は魔法使いを先頭に隠し通路を進んでいた。
「隠し通路はある程度入り組んでる。私から離れないように・・・」
「わかったわ。」
その時フラストとディザルの魔法がぶつかり合ったのに連動して隠し通路が揺れる。
「わわっ!」
「始まったわね・・・急がないと!」
「しっかりついてきてくだされ、はぐれてる暇などありませぬ!」
3人は急ぎ足で隠し通路を進んでいく。魔法使いは特にはやる気持ちを抑え、道を間違えないよう一層慎重に進んでいき、ミラクルとマジカルも魔法使いの後を確実に着いていく。