「・・・何故ここに来た・・・お前にはあのふたりの案内を任せたはずだが?」
「入り組んでいるところは既に抜け・・・後は一本道をまっすぐ進むのみ・・・私の案内も不要と判断いたしました・・・」
「・・・ふん・・・礼は言っておく。」
そう言いながらもフラストの口角は上がっていた。
「クソガキの犬がしゃしゃり出て来やがって!何しに出てきたかは知らねぇが、虫けらが一匹増えたくらいでてめぇらに勝ち目はねぇんだよ!」
自分の思い通りにいかないことが続き、ディザルは明らかにイライラしていた。
「何をごちゃごちゃ言ってるのかも知らねぇがてめぇらまとめて消し炭にしてやる!」
「さて・・・行くぞ。作戦はまだ終わっていない・・・」
「そうですな・・・」
ふたりはディザルの魔法を待ち構える。ディザルは怒りのままに攻撃魔法を放った。
「「はぁ・・・はぁ・・・」」
一方ミラクルとマジカルは魔法使いに言われた通りまっすぐ道なりに隠し通路を走っていた。長らく走り続けたふたりは既に息が切れていた。
「ま・・・まだなの?かなり長く走ったつもりだけど・・・」
「くっ・・・こんなに長いなんて・・・でも魔法使いさんはまっすぐ進むだけって言ってたわ・・・!ミラクル・・・まだ・・・走れるわよね?」
「もちろん!はーちゃんがこの先で待っているから・・・!」
ふたりは疲れきっているはずの身体を奮い立たせ再び隠し通路を走り始める。そんなふたりの目に光が飛び込んで来る。
「出口だ!」
「はーちゃん!今いくわ!」
ふたりは嬉々として出口に向かいかけていく。
「フラスト様・・・魔法使いさん・・・」
ことははハラハラしながらふたりの様子を見守っていた。ふとことはは肩に何かが乗ったのを感じて振り向く。
「はーちゃん。助けに来たモフ!」
「モフルン!と言うことは・・・」
「はーちゃん!」
「助けに来たわよ!」
モフルンに次いでミラクル達もことはの真後ろにたどり着く。それを見たことはは歓喜の余り涙を溢す。
「何だと!?奴等も生きていたのか!?くそっ!」
ディザルがさらに動揺した隙をついて魔法使いとフラストが魔法を放つ。放たれた魔法はディザルの脇を抜けてことはを拘束する鎖に直撃した。
「きゃっ!」
「今だ!」
「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」
ミラクルとマジカルは両側から鎖を思いきり引っ張る。フラスト達の魔法によって脆くなった鎖は簡単に千切れた。ことはが空中でふたりの胸に飛び込む。
「ありがとう!助けに来てくれるって信じてた!」
「よし!撤収だ!」
フラストはミラクル達の着地する場所に魔法陣を生成し、自身もそこに向かう。
「っ!逃がすか!」
ディザルは慌てて魔法を放つ。が、それを魔法使いが防ぐ。
「焦って生成した魔法を防ぐくらい容易いこと。フラスト様!先に行ってくださいませ!私も後から追います!」
「待って!魔法使いさんも一緒に逃げようよ!」
「ことは・・・私を信じておくれ・・・」
「・・・わかった・・・必ず追いかけてこい・・・」
「はい・・・もちろんでございます・・・」
「フラスト様!」
ことはが何か言おうとしたが転移魔法が発動し、魔法使い以外は転移する。
「・・・フラスト様・・・申し訳ございません・・・そのご命令は・・・守れそうに御座いません・・・」
そう呟くと怒り狂った表情を浮かべるディザルに向き直る。
「こい若造。本物の魔法を見せてやる!」