敗北①
とある異空間にフラストはいた。空間を変質させる魔法で作ったその空間は、一般人は勿論、並大抵の魔法使いでは決して見つけられない空間である。そこで彼は椅子に座り、空中に映し出されたモニターでナシマホウ界の、というよりはふたりの少女の行動を観察していた。
「あれがこの世界を守る伝説の魔法つかいプリキュア
か・・・ふふふ・・・俺の初めての獲物にしては上玉だな。我ながら見る目があると言ったところか・・・それともプリキュアというのは美少女の特権か?」
1人で色々呟きながらもふたりの行動を映すモニターから決して目を離さない。その背後には『狩り』の瞬間を今か今かと待っている影があった。彼が対プリキュア用にと魔法で召喚した怪物達である。中には少女の可憐さに興奮したのか鼻息を荒くする者もいた。
「おい・・・気持ちはわからんでも無いが、大人しく待てんのか?」
鼻息がかかったからか振り返らず、しかし少し不機嫌だと言わんばかりの声色で注意すると、鼻息を荒くしていた怪物は萎縮した。フラストの発するプレッシャーにあてられてしまったのだろうか。
「まったく・・・」
その直後、少女を観察していたモニターの隣にもうひとつモニターが現れる。そこに映っていたのはドクロクシーに仕える幹部の1人、バッティだった。プリキュアを手に入れる計画を進行する上で間違いなく邪魔になるからと一緒に観察、というより監視をしていたのだ。そのバッティに動きがあった。どうやら今まさに彼らの手駒、ヨクバールを召喚しようとしている所だった。
「魔法、入りました!出でよ!ヨクバール!」
モニターに映るバッティが叫ぶ。それと同時に彼の持っていた杖から黒い光線が走る。それはやがて消しゴムとハサミ、そしてCDを引き寄せるとそれらを混ぜ合わせ、ヨクバールが誕生した。
「ヨクバール!」
「ほぉ・・・あれがヨクバールか・・・あれか?ハサミが剣でCDが盾でってなんか騎士っぽいな。まぁどうでもいいか・・・」
フラストは椅子から立ち上がり、後ろに控える怪物軍団の方に振り返り叫ぶ。
「ヨクバールが現れた!間違いなく魔法つかいプリキュアが動くぞ!お前達!時は来た!いよいよ計画を実行する時だ!快楽の力を持ってプリキュア共を籠絡し!世界を!我らの手に!行くぞ!出陣だ!」
フラストの激に怪物達から歓声が上がる。そしてフラストは、怪物軍団を伴い、転移用の魔法陣を発動させる。プリキュアとヨクバールが戦うその舞台へ、己が欲を満たすため、研ぎに研いだその毒牙が、いよいよプリキュアの無垢な身体を狙わんとしていた・・・