「っ!はーちゃん!そんな・・・!」
「はーちゃん・・・」
大好きなはーちゃんがいなくなり、悲しみの涙を流すふたり。その傍らでリーアは頭を抱え、怒り狂っていた。
「ふざけるなぁ!エメラルドめ!リンクルスマホンめ!よくも私の計画をぶち壊してくれやがってぇ!許さねぇ!絶対に許さねぇ!」
「・・・許せないのは・・・こっちの方よ!」
マジカルは力強く叫ぶとミラクルを端の方に静かに横たえ、リーアに向かって歩き出す。モフルンはミラクルの側についた。
「さっきから聞いていれば・・・理不尽で・・・くだらない言いがかりばかり言って勝手に因縁つけて・・・ミラクルを・・・あんなに傷つけて・・・私は絶対にあなたを許さない!」
マジカルの声や表情には涙が混じりながらも確かな怒りがこもっていた。
「ふざけるんじゃないよ小娘ぇ!」
リーアはさらに怒り狂い、魔導書を開いて狼型の魔物を召喚する。
「ふざけているのはどっちよ!そんなことばかり・・・そんな自分勝手なことばかり言って・・・フラストのこと・・・本当は好きじゃないんじゃないの?」
「貴様・・・!」
さらに表情が険しくなるリーアに動じずマジカルは続ける。
「私は恋愛とか詳しくないけど・・・それでも分かる・・・あなたはフラストに恋してるんじゃなくて、彼に恋する自分に酔ってるだけなのよ!」
リーアは怒りのままに合図を出すと魔物はマジカルに噛みつこうと襲いかかる。マジカルはそれを受けとめる。
「貴様こそ勝手な事を言うな!あたしがフラストを愛していない!?彼を愛する自分に酔ってるだけ!?それこそ妄言だ!あたしは彼を愛してるんだよ!」
「それこそ妄言よ!その考えを捨てない限り・・・あなたは一生彼には振り向いて貰えないわ!」
マジカルは魔物を持ち上げると勢いをつけて投げる。魔物はリーアの脇を抜けて壁に叩きつけられる。
「殺す・・・貴様ら全員!ぶっ殺してやる!」
リーアは同じ魔物をさらに2体召喚する。マジカルはミラクルとモフルンの前に立ち、構える。
一方フラストは中々手掛かりを得られず焦っていた。
「くっ・・・この俺が手掛かりひとつ得られんとは・・・リーアめ・・・」
悔しそうに歯噛みするフラストの前にひとりの少女が歩み寄ってくる。
「なんだ・・・俺に何・・・か・・・」
フラストは言葉を詰まらせる。少女の手、それが持っていたもの、リンクルスマホンに見覚えがあったのだ。
「そうだ・・・俺はあれを奪った事がある。だが・・・なぜお前がそれを・・・」
フラストの問いに少女は口を開く。
「わたし、リンクルスマホンの中からずっと見てた。あなたのしてきたこと。」
「何だと・・・!まさかお前・・・」
フラストは驚き、記憶を呼び起こす。前にリンクルスマホンを奪い、それを見せたとき、マジカルがはーちゃんと叫んでいた事を思い出す。
「そういうことか・・・それで?ふたりの仇でも取りに来たのか?生憎そんな暇はないのだがな・・・」
「確かにあなたはみらいとリコにいっぱい酷い事をした。それは許せない。」
やはりと言わんばかりの表情をうかべるフラスト。だが、彼女の次の言葉はフラストの予想していないものだった。
「でも、今はあなたの力が必要なの。リーアって悪い人からみらいとリコを助けるために。」
「何・・・!今リーアと言ったか!?奴の居場所を知っているのか?」
フラストは二重の意味で驚き、ことはに詰め寄る。ことはは特に動じることもなく踵を返す。
「こっち。」
ことははそのまま歩き始める。他に手掛かりの無いフラストは彼女にそのまま着いていく事にした。