※この作品はR-18です。

【艦隊これくしょん】 絶望を希望へ   作:ノマノマ

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 何か見ないうちに新しい深海戦艦達が増えていますね。
深海戦艦大好きっ子の私が新しく出てきた深海戦艦の中で個人的にお気に入りなのは港湾夏姫です。


東京駅城砦攻落作戦、出撃中。

 真人達は葵を連れて女性トイレから抜け出した。すると左右から深海棲艦が入口からまるで液体のように無数に出てきた。早く脱出しないとまずい状況になる。

 

「このまま突っ走るしかない!!走れ!!!」

 

 葵を背中に乗せて深海棲艦に追い付かれないように京葉線通路まで全力で走る真人達。しかし不運にも京葉線通路の前で囲まれてしまう。

 

「金剛、叢雲、古鷹、不知火!目の前の深海棲艦を薙ぎ倒して道を作ってくれ!!」

 

「摩耶、木曾、長門は葵の護衛を頼む!!どうせここをぶっ壊すんだ、砲撃しても構わねぇ!!」

 

「「「「了解!!!!」」」」

 

 真人の命令を聞いて金剛達は走って目の前にいる何体もの深海棲艦を素早く倒していく。だが深海棲艦を倒しても倒しても雲霞の如く湧き上がる。

 

「(ちっ...このままじゃ埒が明かない...)」

 

 真人が苦しむ中、京葉線通路の立ちはだかる深海棲艦の後ろから悲鳴が聞こえた。その悲鳴は徐々に大きくなり、道が開くようになる。その向こうにはさっき護衛につかせた皐月、川内、蒼龍が立っていた。

 

「グットタイミングだお前ら!!」

 

 道が開いたところで真人達は京葉線通路に入る。それを深海棲艦は全力で追いかける。通路は細長く一本道な為に姿を紛らわす事が出来なかった。それを考えた真人は摩耶達に向かって命令した。

 

「よし今だ!全員砲撃開始!!」

 

 摩耶達は後ろを向いて立ち止まり追いかける深海棲艦を一斉に砲撃した。砲撃音が通路内に大きく響き渡り、着弾した途端に爆発を起こして天井が崩れ落ちて道を塞いだ。

 

 

 

――東京駅前。

 依然として外では喊声と砲声とが、怒涛のような響きとなって聞こえてきた。青い大空が広がる上空では味方の艦載機と敵の艦載機が、群がる烏のように爆撃し、飛び続けている。

 

 最前線には深海軽巡や深海戦艦などがそれぞれ地下町の提督達の艦隊と戦っている。奥には深海棲艦を束ねている中間棲姫を中心として戦艦棲姫、装甲空母鬼、泊地棲鬼、重巡棲姫、軽巡棲姫、飛行場姫とラスボス並の深海棲艦が揃いに揃って様子を窺っていた。

 

 提督達の戦況はいいとは言えるものではなかった。真人が東京駅内でばれて深海棲艦がある程度少なくなったとは言えそれを補うかの様に東京駅の上からぞろぞろと雨の様に深海棲艦が降ってくる。

 

「(まずいな...このままではごり押しされてしまう...)」

 

 誰もが思ったその時だった。突如東京駅内部から一人の深海棲艦が壁を突き破って吹き飛ばされ戦場に姿を現す。よく見るとさっき見に行かせた防空棲姫が白目を向け倒れていた。微かに声をあげるも突き破った穴から誰かの深海棲艦の艤装が飛び出て防空棲姫を押し潰してしまった。突然の事にさっきまで聞いた喊声と砲声がやみ、両者静かに東京駅のレンガの壁にある大きな穴に注目していた。

 

 土煙がたつ大きな穴から一人の影が見えた。ゆっくりと立ち上がりその戦況を見ている。戦況を確認したのか影はいきなりジャンプをして防空棲鬼を押し潰した艤装の上に着地した。影の正体は長く白い髪にサイドテール、"例の奴"と呼ばれた不死身の空母棲鬼だった。赤い目を光らせ提督達を見ている。

 

 提督達の艦娘は一斉に艤装を向ける。こんな状況に限って空母棲鬼が来るのはどう考えてもまずかった。

 

「例の奴かっ...あいつはどうしたんだ!!」

 

「知るか!!とにかくこいつを殺す他ないだろ!!」

 

 提督達が焦りの声をあげ戸惑いを見せる。真人が何とかしてくれるとそう思っていたと言うのに予想外の出来事に驚きの声を隠せなかった。しかし少しおかしい点がある。それはなぜ仲間であるはずの防空棲鬼を殺したのか――、

 空母棲鬼は立ったまま微動だにせず、ずっとこちらを見ていた。長くて白い髪を靡かせ艤装を展開し、無機質な目をするその姿はまさに"恐怖"を人型で表している様だった。

 数秒間経って空母棲鬼は右手をゆっくりあげ、砲口を提督達の艦隊に向け撃った――――が、撃った方向とは真逆の中間棲姫達にわざと外して威嚇射撃をした。

 

「...コレハドウイウ事ダ?...空母棲鬼。」

 

 中間棲姫が着弾した場所を見て空母棲鬼に話しかけた。他の深海棲艦は身動き一つせずに提督達から空母棲鬼に目線を向けた。

 

「...ドウイウ事ッテ..砲撃ダケド?」

 

 提督達は一連の出来事に驚愕した。例の奴が何故自分達ではなく仲間であるはずの深海棲艦に砲撃したのか、全く意図が掴めなかった。

 空母棲鬼が険しい目で中間棲姫達を睨む。明らかに敵意が提督達ではなく仲間に向けている。

 

「ソノ返答ハ最後ノ裏切リト見テイイノダナ?」

 

「...裏切ルモ何モイツモ裏切ッテタジャナイ。」

 

 戦場に戦慄が走った。深海棲艦と深海棲艦のぶつかり合い。それぞれの殺気が周りを包み敵味方関係なく体の底から湧き上がる恐怖を感じた。

 

「ンマァ1ツ言ウコトガアルトシタラ...」

 

 今度は空母棲鬼の方から話しかけた。右手の人差し指をあげ軽快に喋り出す。

 

「...私ハアナタ達ノ敵デアリ一応、人間ノ味方ダッテコトカシラネ。」

 

「....ソウ。アナナタチ今スグ空母棲鬼ヲ生ケ捕リニシロォ!!」

 

 中間棲姫の命令が出た途端に周りの深海棲艦が一斉に空母棲鬼の頭上へ飛び始めた。深海棲艦の波が空母棲鬼を覆い、中間棲姫がにやりとしたその時に突然空母棲鬼の上と周りで大爆発が起き、飛びかかった深海棲艦は薙ぎ倒されていった。

 

「ナニッ!?」

 

 中間棲姫は驚きを隠せなかった。空母棲鬼が出す火力にしては予想を遥かに超えており、下手でもすれば中間棲姫を上回っていてもおかしくはなかった。

 

「コンナ雑兵ジャア、私ヲ捕マエル事ナンテ無理ヨ?」

 

「...ッ貴様ァ!!」

 

 中間棲姫の隣にいる戦艦棲姫が悔しそうに空母棲鬼を"貴様"と呼びかけた。

 

「来ナサイ...本気デ行カナイト死ンジャウカモヨ?」

 

「...チッ...オ前ラ、全力デ捕マエロッ!!!」

 

 空母棲鬼に無数の深海棲艦が襲った。雑魚レベルとは言え数で攻められては圧倒的に不利だった。空母棲鬼は艤装を展開させて空中に浮かび始め、まるでスケボーの様に巧みに使いこなし、右腕を大きく振って殴り、目の前の深海棲艦を一網打尽にさせた。そして空母棲鬼は大きくUターンして後を追ってきた深海棲艦を狙い、砲撃した。地面が抉れ黒煙がたち始める。

 

 そんなもろともせずに黒煙の中から装甲空母鬼が狂気の目で空母棲鬼に殴りかかった。空母棲鬼は相手の右ストレートを左手で受け止め、残った右拳を下から上に振り、装甲空母鬼の腹に食い込ませたが間一髪で左拳で受け止められてしまった。しかし流石に左拳で受けきれても威力が大きい為か苦しそうな表情をした。

 

「...ッグギギ...!!」

 

 装甲空母鬼が苦しそうな声をあげながらお互いの拳が出たところで両者は一旦その場を離れるが後ろに下がった装甲空母鬼が距離を合わせた空母棲鬼にめがけて砲撃した。空母棲鬼がいた所に着弾し、やったかと慢心した後に装甲空母鬼の上に大きくジャンプして砲弾を避けた空母棲鬼が砲口をこちらに向けてきた。

 

 予想外の事に驚いた装甲空母鬼は次の砲弾を再装填するも空母棲鬼の砲撃には間に合わず直撃を受けて木っ端微塵になってしまった。

 

 アスファルトの地面に鉄骨が空から落ちてきたような音をさせて着地した空母棲鬼。一息ついて次の標的を探していると後ろから泊地棲鬼が体を横にして右腕を振り降ろし、わざと地面を殴りつけた。それと同時に後ろを向いてわざわざ逆の方向へ向かせた砲塔を空母棲鬼に見させて砲撃する。アスファルトの破片が飛び散り不安定な状態になってしまった空母棲鬼は無意識に体を沈ませ直撃を回避した。

 

 体を沈めた空母棲鬼は泊地棲鬼が支えている細い腕を掃腿を使って宙に浮かせた。身動きが取れなくなった泊地棲鬼は何とか防御態勢に入ろうとあがく。振り返った空母棲鬼はそれを見逃さずにすかさず下突きを食らわせ、艤装もろとも遠くのビル群へ吹き飛ばした。

 

 空母棲鬼に休む間はなくすぐさま深海棲艦が飛びかかった。隙をみせてしまった空母棲鬼は避けきれずに受けるところを1機の艦載機が深海棲艦を爆撃し、空母棲鬼を助けた。

 

「(...助ケタ?一体誰ガ...)」

 

 空母棲鬼を助けたのは提督達の艦隊にいる空母機動部隊だった。それに続いて艦娘達が周りにいる深海棲艦を素早く倒していく。どうやら共闘の道を選んだようだ。空母棲鬼が周りの光景を見ている途中に第1地下町の提督が艦娘を引き連れ話しかけてきた。

 

「貴様を味方にした覚えはないはずだが?」

 

「アラ、少シハ人間ノ為ニ尽クシテオイタノニ、ソノ言葉ハナイジャナイ?」

 

 軽々と話している様子からどうやら第1地下町の提督とこの空母棲鬼は何かしらの関係があるらしい。空母棲鬼はかかってきた深海棲艦を裏拳で迎え撃った。

 

「あのうるさい男に何か言われたのか?」

 

 "うるさい男"と言われて空母棲鬼は真人とあの人を思い出した。おそらく真人の事だろうがあの人と少し似ているのだろうか。

 

「エェマァネ。モウ、全部ヲ任セタカラ悔イハナイワ。」

 

「任せた?誰にだ?」

 

 空母棲鬼は聞かれた途端に安心したような笑みを浮かべはっきりと答えた。

 

「アノ人ミタイナ人間ヨッ!!」

 

 すぐ答えた空母棲鬼は最前線に向かい、深海棲艦の集団を蹴散らした。蹴り飛ばされた深海棲艦は吹っ飛び、その周りにいた深海棲艦は風圧で空へ巻き上げられ、空母棲鬼の艦載機で爆散した。

 

 すると後ろから深海戦艦が砲撃をして空母棲鬼の背中に直撃させた。突然のダメージに怯みを見せてしまった空母棲鬼は撃った深海戦艦を睨む。するとまた後ろから砲撃を受けてよろめいてしまう。

 

「一斉ニ撃テェー!」

 

 深海戦艦の号令と共に空母棲鬼は砲撃でタコ殴りにされてしまう。艤装は半壊し、綺麗な白い髪は赤く染まり、左腕と右足は吹き飛ばされ、砲撃の煙で姿が見えなくなってしまった。

 

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