※この作品はR-18です。

【艦隊これくしょん】 絶望を希望へ   作:ノマノマ

5 / 12
5%ぐろいです。


破った約束

 

 

「ハァハァハァハァ....」

 

 

第9東京都地下町を抜け、外に繋がっている地下道を走る真人達。通常走っても20分はかかる遠い道を10分もかけずに外に出れる出入口に着いた。出入口は円形のフタで塞がれ、木と草むらに囲まれており、自然に溶け込んでいた。

 

おそるおそる下から重いフタをゆっくり開ける真人。周りに敵がいないかを確認する。敵にばれないようにそっとフタを横に置いてツゲで身を隠し、どこにいるか確認する。

 

「(見たところだと吹上ら辺か.....)」

 

後ろには不知火と皐月達が少々息切れをしながら座っていた。

 

「(ここなら蒼汰はいるはず....!)」

 

真人は親友を探そうと木々をかいくぐり歩く。

 

「マト...ちょっと待って...ください...。」

 

不知火が声をかけるも耳には届かずそのまま奥へ行く真人。不知火と皐月達はついていくしかなかった。

 

不思議なことに皇居の中の自然は壊されてはいなかった。木や草はそのまま残されていて、建物だけが壊されていた。誰も手をつけていないせいで生い茂っていた木々や草は戦前よりも深くなっていた。探すのは時間がかかるだろう。

 

「(どこだ....どこにいる....)」

 

真人は血眼になって蒼汰を探し、後ろでは不知火達が探していた。声を出したくとも出せなかった。なぜなら大きい声を出せば深海棲艦に気づかれる可能性があるからだ。

 

やがて歩くとペチャと普通あまり聞かない音が足から聞こえた。真人はつい足元を見る。

 

 

「っ!?」

 

 

赤い液体が水たまりとなっていた。真人はこれを踏んでいたのだ。

 

「まさか....嘘...だろ...」

 

真人は一番最悪な状況を頭の中で思い浮かべ、流れる赤い液体をたどっていく。そこには――――

 

 

 

 

―――木によりかかり大量の血を流していた蒼汰がいた。

 

 

 

 

「よう...遅ぇ....じゃ..ねぇか....。」

 

真人は絶句した。あられもない蒼汰の姿に。足はバキバキに折り曲げられ原型をとどめていない。右腕は深海棲艦に似た感じの姿をしていた。胸の方まで浸食している。近くには斬られたと思われる右腕が転がっていた。

 

「蒼汰.....なのか.....?」

 

手足が震え口も震い、短く話しかけるのが精一杯だった。

 

「そういう...お前は....マトか...?よかった.....助け...られたんだな。」

 

「俺の心配より自分を心配してくれよ...」

 

真人が涙をこぼしながら話す。

 

「蒼汰.......」

 

 

「ん?...何...?」

 

 

「約束を破って....すまない......」

 

 

「........いいさ。」

 

「!?」

 

ありえない答えに驚く真人は思わず顔を上げた。

 

「何で....いいんだよ...お前との約束を..!俺は破ったんだぞ!許していいのかよ!!」

 

真人が怒りながら話す。ただでさえ破ったのに許されてしまう真人の心は罪悪感でいっぱいだった。

 

「...いいんだよ...とにかく..お前が助か..ればそ..れで...いいんだ....。」

 

「....なんで..なんだよ......っ.....。」

 

意味の分からない理由を聞いて泣き崩れる真人。今は泣くことしか出来なかった。

 

 

 

「マト...少し早いです...。一回落ち着いたらどうd......」

 

少し遅れて不知火達が到着する。が、目の前の光景を見て立ち止まり、膝が崩れ落ちる。

 

「艦...娘...!?そうか....まだ...いたのか....。」

 

死にかけの蒼汰はまだ艦娘がいたことに少し驚いた。艦娘達は手を口に近づかせ泣いていた。

 

「司令....ですか....」

 

不知火が右腕を左手で支えミサンガを見せる。それを見た蒼汰は何かに気づいた。

 

「黄色.....生き残っ...てたか...不知火....。会えて...嬉しいよ...」

 

「私も...嬉しいです...が....そのっ..すがっ...だは」

 

喋ると涙がこぼれ口が震えてしまいうまく話すことが出来なくなった。蒼汰は優しい声で話す。

 

「不知火...こっちに...来てくれ...」

 

蒼汰の言葉を聞いて涙をこぼしながら近づく不知火。

 

「不知火....成長...したな...。」

 

浸食されていない左手で不知火の頭を優しく撫でる蒼汰。

 

「俺はもう..不知火とは..生きることが...出来なくなっち..まった...。」

 

「そんなっ..!まだ助かる方法g(「不知火。」)」

 

不知火の言葉を押しのけて話す蒼汰は不知火の顔を見て精一杯の笑顔を見せる。

不知火は何かを察したのか頭を下に向け涙をこぼした。

 

「マト....二つ...頼みが..ある。」

 

蒼汰が死にかけながらも真人に話しかける。真人は顔を上げ蒼汰を見た。

 

「...俺を..その銃で殺して..くれ....」

 

真人のポケットにはハンドガンがあった。それに気づいていたらしい。

 

「何言ってんだお前...やるわけないだろうが!」

 

「マト...俺は最後...人として...死にたい...。」

 

蒼汰の右腕は深海棲艦化していて首から腹まで浸食していた。

 

「っ.....」

 

真人はもう駄目な事に気づいてしまい、立ち上がってハンドガンを取り蒼汰の頭に向けた。

 

「それと...もう一つ....」

 

蒼汰の左手には血に濡れた一つの折られている紙を差し出した。

 

「後で...読んでくれ...。」

 

「....っ...あぁ...。」

 

もらった紙を受け取り、ポケットにしまった。

 

 

「さぁ...頼むぜ....」

 

 

蒼汰は目を閉じて自分が殺されるのをじっと待った。きっとこの日本に希望はあると思ってこの道を選んだ。悔いはないはずだ。深海棲艦に惨めに殺されるんじゃなく、大事な親友の手で殺された方が何十倍もマシだ。そう思った。

 

真人は蒼汰の頭にハンドガンを向けるも引き金が引けなかった。約束を破った上にそれを簡単に許されそして今から殺す事など真人には到底無理だった。小さく震えていた両手が激しく震えハンドガンの照準が定まらなくなる。落ち着こうにも落ち着けない。

 

すると、震えてしまう両手を誰かが支えた。見ると蒼汰が左手で真人の両手を支えていた。そして...

 

 

 

 

「―――ありがとう.....な。」

 

 

 

 

蒼汰の悲しい声を聞いて真人は泣きながらも精一杯の笑顔を見せ...

 

 

 

 

「....っ...あぁ.......」

 

 

 

 

皇居の中で一つの銃声が鳴り響いた。木にとまっていた鳥達が一斉に飛ぶ。

蒼汰は左手を不知火の足元に乗せ、頭をガクッと下に向き静止した。

真人はハンドガンを落とし両手を抱え膝から崩れ落ちて縮こまり叫んだ。

 

「...っん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!」

 

「ハァ..ハァ..っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」

 

地面を両手で叩きもがく真人。皐月達が近くに寄るも声をかけれなかった。

 

「......くそ...くそっくそっくそっくそっ....くそぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

真人は叫んだ。不知火も顔を隠し泣き崩れた。

 

「...くそ........」

 

ようやく落ち着いたのか静かになる。両手は叩きすぎたのかボロボロになっている。

 

「....提督....?」

 

摩耶が声をかけるも返事はしなかった。すると、摩耶は何か気配を感じたのか立ち上がる。よく見ると奥の木の陰から深海棲艦が見えて来た。

 

「深海棲艦!?」

 

「嘘でしょ!?こんな時に!?」

 

「多分さっきの銃声で駆けつけてきたんだ。早く逃げないと!」

 

深海棲艦はどんどん増えていて戦っても勝てる量ではなかった。今すぐ逃げないとまずい。すると真人が立ち上がる。

 

「提督!逃げよう!」

 

蒼龍が喋るも真人の耳には届かず、真人は深海棲艦のいる方向へ向かおうとする。

 

「司令官!!」

 

「....チッ。」

 

摩耶は舌打ちをしながら真人の頭を殴り気絶させた。

 

「とりあえず今はこの場を離れるぞ!蒼龍、手を貸してくれ!」

 

「う、うん!」

 

気絶した真人の腕を肩に乗せ持ち上げる摩耶と蒼龍。

 

「皐月は不知火を頼む!」

 

「あ、はい!不知火ちゃん行こう?」

 

伸ばした皐月の手を掴み立つ不知火。皐月は離さずに摩耶と蒼龍についていき、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

――第10東京都地下町、???の部屋。

 

「...........」

 

目が覚めた。コンクリートの天井が見える。右では摩耶が椅子に座って寝ていた。

起き上がろうとするも力があまり入らず、時間がかかった。

 

「.....気絶....か...」

 

頭の痛さがあるとすると横にいる奴に殴られて気絶したのだろう。服装は軍服ではなく誰かのかわいらしい部屋着を着ている。

 

「.......」

 

ジト目で確かめる真人。着る物がこれかとじろじろ見る。確かめているうちに

横から視線を感じた。

 

「起きたか提督。」

 

「摩耶...。」

 

真人が起きた時に丁度良く起きたらしい。

 

「..身体は大丈夫か?」

 

「あぁ...まぁな...。」

 

「...そう。」

 

会話が途切れてしまった。あの酷い状況があった中で何を話せばいいのか摩耶には分からなかった。

 

「.....あのさ..提督..........」

 

ついには黙り込んでしまう。

 

「...気にすんな。心配してくれてありがとな。」

 

「お、おう...。(気にすんなって....両手、震えてるじゃん....。)」

 

真人の両手は少しだが震えていた。多分あの時の感覚がまだ残っているだろうと思った。

 

「不知火は?」

 

「不知火なら今本部の方で色々やってる。」

 

不知火は本部へ行き、あの惨状を報告していた。

 

「んじゃ皐月と蒼龍は?」

 

「あの二人は今寝てる。こんな時に寝やがって....」

 

「...そうか。」

 

 

 

 

数時間して真人は誰かの部屋のベランダで足を垂らしながら地下町を見ていた。黄色の光があちこちを通り、この町全体を夜景みたいに明るくしている。

 

「.....」

 

真人は右手にある何かを握っていた。見てみるとそれは死んだ蒼汰から貰った一部分が赤く染まっている折られた紙だった。

 

「あっ.......」

 

恐る恐る折られた紙を開いていく。ようやく全部開かれると何か書いてある。

 

<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<

 

 

    真人へ

 

              ****************

      ***********************************************

     . . . . .. . . 真人に出会えて本当によかった!!!

         精神が強いお前なら何でもできるはず!!

            後は頼んだぞ!!!!!!!!!!!!

      *****************  ********  ****

           ***********************************

        ******  ********  ******* ** ****

 

                                親友の蒼汰より

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

その文の内容は鉛筆でぐしゃぐしゃにされ読めなかったが書き直されてこの二文だけになっていた。

この文を読んで真人は涙をこぼす。

 

「...あぁ....頼まれたぜ.....。」

 

紙を丁寧に折りポケットにしまった真人は立ち、地下町を眺めてある決意をした。

 

 

 

 

 

『―――あいつの為に必ずこの日本を取り戻す。』

 

 

 

 

 




次話は「攻城戦」です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。