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「そして、由比ヶ浜結衣は全てを失った……」http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6892088
人間五十年 下天のうちをくらぶれば 夢幻のごとくなり……
とは、かの織田信長の有名な言葉ではあるが、人生が夢や幻のようであってたまるものかと、いつかのヒネクレ者は思っていた。
人生とは、働いて金を稼ぎ、食事という名の燃料を補給して、疲労を睡眠で補うだけの、ひたすらの無限地獄でしかなく、そこに、夢や希望を見いだすことなど、愚の極みとしか言えないまである……
そんな叶わない夢にすがって、自分のため等と嘯いて他人とのコミュニケーションだの、ボランティアだのに貴重な労力を割くことほど無駄なことは他になく、また、その結果を努力と称した全ての行為に求めて自分を慰めるなど、それこそ無能の凡人の凡人足る所以となろう。
然るに……
人は全ての無駄を放棄し、そして、自身のパーソナリティーの死守にのみ全力を注ぐべきであり、他者からの意見や要望などは受け入れるべきではなく、自らの行いの全てを………
「ねえ!ヒッキーってば!聞いてるの?」
「うおぉ!き、聞いてる、聞いてるから」
「そう?なんかボーッとしてたよ?大丈夫?目が泳いでるけど?また、どうしようもないヒッキー回路でなんか考えてたでしょう」
「お、お前な……そうやって、人の心の中覗かないでくれるか?俺、こうでもしないとやってけないんだからな」
「まったく、ヒッキーはもう……あたしと、あんなに恥ずかしいHまでしちゃったのに、まだグダグダしてるんだから……」
「お、お前な、それ言わないでくれる?あれを全部妹に見られた兄の気持ち分かってないの?」
「そ、それ言ったら、あたしの方がずっと、ずーっと恥ずかしいし!だ、だって……ヒッキーのが挿入ったまま……わわわ……」
「お、おい!誰が聞いてるかわかんねえんだから、気をつけろ!」
「ご、ごめんね……で、でも……、あたし、もっとヒッキーとHしたいな……きょ、今日とか……ダメ?」
「お、お、お、おまえにゃあぁ、きょ、きょ、きょうはダメだろ、お前の誕生会だぞ?」
「だ、だからさ……、その、終わってから……ね?」
「い、いや、でもな……」
「おっぱいでもしてあげるから……ね?」
「あっはい」
「やた!じゃあ、約束だよ!はい指切り」
「んぐ……ほれ……」
「ゆーびきりげーんまーん、うーそついたらーはーりせーんぼーんのーます、ゆーびきった!はい!」
うふふと、微笑む由比ヶ浜は本当に可愛くて、いつまでも愛でていたくなる。というか、こいつのためならなんでもできるし、死ねるまである。
結論から言おう……
人生やっぱりぼっちより、可愛い彼女と二人の方が良いと思いました。
× × ×
こんな会話をしつつ、腕を組んで街中を歩いている俺達も大概だとは思うが、正直まだこの状況に慣れていない。というか、付き合い始めてまだ数日で慣れるわけがない!
ついこの前、俺と結衣の二人は、エライ勘違いを重ねた上、お互いとんでもない思い込みの末、二人そろって食事も喉を通らないほどに衰弱して、さらに、絶望のあまり人間不信の一歩手前まで陥っていた。
まあ、俺の場合は、もともと俺がこんなに頼りない上に、どうしようもないほどの捻くれ者なもんで、結衣に愛想を尽かされることもあり得るとは思っていたが、まさか、ここまで結衣を失うことを恐れていたとは自分でも気が付かなかった。
後から来ると言っていた結衣がついに現れず、校内を探しても見つけられず、そのうえ、下駄箱に靴が入ったままなのを見たときは、心臓を抉られたような恐怖に襲われた。
頭の中を廻るのは、最悪の事態に遭遇してしまった結衣の姿。
連絡もつかないし、居場所も分からなかった俺は、豪雨の中をあてもなく走って探し回る。だが、当然のごとく結衣を見つけることはできない。
深夜に家に着いてから、雪ノ下からのメールで、結衣が家には帰っているらしいということは分かったのだが、相変わらず、携帯は通じないし、俺に会えなくなるほどの何事かに巻き込まれた……と、悪い方悪い方へと、想像を働かせるだけで、俺はあまりの苦しさに一晩中吐き続け、絶望に気が狂いそうになっていた。
そんな状況のまま、三日目を迎えたころ、突然結衣からメールが。
文面は短くて単純なものだったが、俺はそれを見て、一気に安堵した。その文章に明るい結衣の姿が重なったから。
そして、しばらくして結衣がやってきたわけだけど、そんなことする気は全くなかったのにも関わらず、あれよあれよと、抱き合い、キスをして、お互い弄り合って、素っ裸になって、ついにSEXまでしてしまった。
もう、何が何だかの上、俺は童貞だし、やりかたなんか、モザイク越しのあれしか見たことなかったにも関わらず、なんとなく結衣のわれめに俺のいきり立ったアレを当てていたら、ずっぷりと見事に挿入出来てしまった。
で、後は一心不乱!
結衣も初めてだったようで、最初こそ苦しそうな顔をしていたが、きつく抱きしめながら繰り返し責め続けているうちに熱い吐息を漏らすようになってきて、それがとんでもなく可愛くてエロくて、あとはもういつ果てたか分からないくらい射精を続けながら腰を振りまくった。
これ、今考えると相当やばい。
何、俺、初セックスで中出ししまくってんだよ?……それもまったく抜かないままで何発も。しかも、ここ数日の異常な緊張感の所為なのか、妙にハイテンションになっちまって、なに?ドーパミンとか出まくってたんじゃねえか?
もう、わけが分かんなくなるまで、というか、分かんなくなったところまで責め続けたわけだ。
玄関で……
そう……俺は……いや、俺達は重大なことを忘れていた。
俺達二人とも、実は2日以上何も食べていなかった。
そして、どんなスポーツにも勝ると言われる、最強の有酸素運動に突入してしまったわけだ。
結果……
何回目かの射精をした瞬間に、そのまま意識が遠のき、結衣に抱き着いたまま……というか、ずっぽりと奥まで差し込んだまま力尽きた。
結衣は結衣で、すでにその時には完全に失神していたらしい。
つまり、俺達は完全なハンガーノック状態で気絶してしまった。
玄関で……
大事な事なので、もう一度言おう!
そう、玄関で!
わざわざ俺達のために時間を作ってくれた小町が、遅くに帰ってきて、ドアを開けた瞬間に、目に飛び込んできたのは、玄関の上がり框でずっぽりナニをナニして素っ裸で抱き合ったままの歌麿な実兄とその彼女。
小町の心境はもう想像するだに恐ろしいが、こちとらハンガーノック。叩いても蹴っても起きられるわけがない。下手すれば死ぬまである。しかしなぜかアレはガッチガチにいきり立ったままだった不思議。うーむ。
小町に、頭に水を掛けられ、辛うじて意識が戻ったところで、動けるわけもないので、必死に「砂糖をくれ」と懇願して、小町に砂糖を口の中に放り込んでもらい。それを時間をかけて食べて、しばらくして、全身に力が入るのを確認してから、今度は完全に意識のない結衣に、俺が口で溶かした砂糖を何度も何度も口移しで飲ませて、意識が戻るまでそれを繰り返した。
もうこの時点で小町は退散。
俺と結衣は毛布にくるまりながらひたすら口移しを続けていたわけだが、この間もしっかり挿入れたままでした。というか、がっちり咥え込まれて抜けませんでした。はい。
で、ようやく結衣の意識が戻ってから、ことの次第を説明して、発狂しそうになる結衣をなんとか宥めて、一緒に風呂に入ってから、小町の前で正座。
今回のことは小町的にポイントは低いようだが、俺と結衣の体調を考慮してなかったことも含めて、見なかったことにしてくれたようだ。まあ、忘れられない光景だろうとは思うけどな。
それで、もう夜も遅いからと、うちに泊まることになり、なぜか、父親と母親も外泊することになったとかで、というか、明らかに小町が何か裏で手を引いたに違いないんだが……で、結局は何も問題なく結衣と一緒にベッドで眠りました。
いや、嘘です。朝までHしまくりましたです。はい。
と、まあ、こんなことがあったわけだ。
どんなわけだ。
× × ×
さて、そんな一線を越えてしまった俺たち二人は、結衣の誕生会の会場である、千葉駅近くのとある喫茶店を目指して歩いている。
どうしてこの喫茶店なのかといえば、一色の奴のお気に入りだとかなんとか……。この店、とにかくケーキが旨いらしい。
小町や一色が言うには、これから3年の俺たちが受験だなんだで忙しくなるから、最後の全体パーティーとして結衣の誕生会をピックアップすることにしたんだと。たぶん、自分らの代の親睦会の意味あいもあるんだろうけどな。
「ねえ、ヒッキー!この服可愛い!どうかな?」
腕を組んで歩いていた結衣が、急にそう声を上げて立ち止まった。
顔の向いている先は、今風の小洒落た女性服店のショーウインドウ。
「どうかな……って、なにが?」
「もう……彼女がそう言ったら、似合うよとか、別のがいいとか、感想言うもんだよ」
「そ、そうなのか」
「うん!そうだ」
そう言って俺の腕をグイグイ引っ張る結衣は、そのショーウインドウに飾ってある涼やかな青いノースリーブに目を輝かせてる。
はっきり言えば、この服を着た結衣を正視できる自信が俺にはない。もう、絶対脇から乳はみ出すし、これにキュロットかなんか合わせられたら、もうそれだけで俺のハチマンはボルテージマックス間違いなし。というか、今履いているショートパンツに合わせるだけでも相当ヤバい。
速攻で押し倒して脱がすまである。
「似合う……よ。お前ならすごく可愛いと思う」
「そ、そう?」
「……ただ、それを他の奴には絶対見せたくない。だから、ダメだ。絶対買うな」
俺のその言葉に結衣が唖然、呆然、言葉もない。
で、諦めるのかとおもってたら……
「じゃ、じゃあ、買ってくるね」
「お、おい!なんで、そうなるんだよ。お前、俺のこと……」
「えっと……、たぶんヒッキーは『俺に嫌われるためにしてる』とかなんとか思ってるかもだけど、違うからね。あたし、この服、ヒッキーの前だけで着るから……えへへ……ヒッキーだけに見て貰うために買うの」
そう言って小走りに店内に入ろうとするのを、俺は腕をひいて止めた。
結衣は振り返ってちょっと不機嫌そうな顔をしていたが、俺は構わずそのまま手をひいて店に入った。
「え?え?どうしてヒッキーが先に入るの?」
「お前な……お前が俺の為に着る服なんだろ?だったら、俺がかってやんなきゃおかしいだろ」
「え?ほ、ほんと?ほんとに買ってくれるの?」
「ああ、買ってやるよ。だからさっさと試着でもなんでもしてサイズ合わせてこいよ」
「う、うん!分かった。ありがとヒッキー!」
タタタ……と駆けた結衣が店員のお姉さんと話をして、早速試着室に。
俺は、結衣が見えなくなってから、こっそりと財布を出して……
思った以上の出費に頭を掻いた。
こりゃ、当分ゲームは買えねえな……。
そう思いつつも、好きな彼女の為に金を使うことが、想像していた以上に気分がいいことに今更ながらに気が付いた。きっとあいつは、俺にたくさん、お礼を言うのだろう。そして、今まで以上に甘えてくるんだろうな……
そんなことを想い、一人にやける。
それを見ていた女性の店員さんの可哀そうなものを見るような、何とも言えない微妙な笑顔に、俺はあわてて表情を引き締める。
今は結衣の彼氏として頑張らねばなるまい。
こんな羞恥プレイなど、何とでもしてやるわ、グワーッハッハッハ!と、マーラ様張りにふんぞり返ってみたり……
俺……ちゃんと彼氏できてるよね?はあ……
× × ×
「じゃあね、ゆきのん!またね!」
車に乗り込んだ雪ノ下を二人で見送る。
これで、完全に今日の会もお開きだ。
「あー、本当に楽しかった!ヒッキーはどうだった?」
みんなから貰ったたくさんのプレゼントの入った袋を両手で持ち上げて歩き出そうとする結衣に近づいて、その袋をひょいと俺が持った。
「持ってやるよ」
「あ、ありがと……う、嬉しい」
「ま、彼氏だしな。っていうか、重いなこれ、いったい何入ってんだ?」
「えーと、ゆきのんはパンさんのマグカップでしょ?いろはちゃんは手縫いの可愛いハンカチだったし、小町ちゃんはゴディバのチョコでしょ?」
「確か、戸塚が体幹トレーニングのDVDで、タイキックが意味不明の花束だったか?ああ!材木座だ!あのバカ、リゼロ全巻セットで持って来てやがったのか……何、勝手に布教してんだ……ったく、最高だ!なあ、これ俺にも貸してくれ」
うん、材木座、いい仕事した。マジグッジョブ!やっぱ挿絵入りはいいよね。後、書下ろしも!
「へへ……でもね、みんなには悪いけど、あたしヒッキーがくれたこれが一番嬉しかったんだ。ありがと、ヒッキー」
「お、おう……ま、喜んでもらえたみたいで良かったよ」
俺に抱き着く結衣の胸元には、ピンクのアザレアを象ったネックレスが。
それを持ち上げては、街灯の明かりに照らして、その輝きにうっとりと目を細める。
「この前のビデオレターもあったし、まさか、もらえるなんて思ってなかったから、本当に嬉しかった」
「まあ、あれはもうお前も見ちまったしな。それに、みんなが渡すのに、彼氏の俺が渡さねえのはなんかおかしいだろ」
「またそうやって、変な風に考えるし……素直に渡したかったって言ってくれた方が嬉しいのに」
「んぐ」
まったくその通りなんで、今更引き返せないのがもどかしすぎる。
俺、なんでツンデレキャラみたいなフラグ立ててんだかな……
結衣は俺を見上げながら言った。
「でも……ありがと!あ、そうだ!ね、ヒッキーこっち来て」
「お、おい……」
急に結衣に引っ張られて連れていかれた先は、大手デパートの2階……
の身障者用トイレ、もとい、多目的トイレ……
結衣は周りをきょろきょろ見回して誰もいないのを確認すると、そのまま中に俺を引っ張り込んだ。
ま、まさか、ここでセックスしようってのか?いくらなんでもそりゃ、まずい……
そんな慌てる俺を気にする様子もなく、俺を熱い眼差しで見つめる結衣が、自分のブラウスのボタンをはずし始めた。そして……フロントホックのブラもぱちんと外す。
そのたわわな果実を惜しげもなく露わにすると、そのまま、座って俺のズボンを引き下ろした。
当然、俺の息子はすでにはち切れんばかりに怒張。
それをひんやりした両手で包むように優しくさすりながら、静かに言った。
「ごめんね、あたし、どうしてもすぐにお礼したくてさ……、だから、一回だけ、胸でしてあげるね……んしょ」
そう言うと、結衣はそのまま自分の乳房を掴んで、俺のモノをはさみこむ。そして、俺に体を預けるように胸を押し当てながら、上下に動いた。
結衣の胸の間から、俺のモノが出てくる様は、凄まじい背徳感があって、もうそれだけで脳が痺れてくる。
ただ、やっぱり乾いた状態でこすられても、少しヒリヒリする感じもあって、ダイレクトに気持ちよくなっていかない。
「ちょっと……痛いかな」
「そう?じゃあ、こんなのは?」
言いながら、結衣は自分の唾液を俺の亀頭の先に垂らし始めた。
大量の唾液が結衣の胸、俺のモノを次々に犯していく。
それが潤滑油になって、まるで、あそこに締め上げられているかのような快感の波が押し寄せてきた。
あまりの気持ちよさに、腰を振り始めたら……
「こ、これ……気持ちいいかも……あん……もう、我慢できないよぉ……んちゅ、ちゅぱ、ちゅぷ……」
「お、おい!?」
得も言われぬ快感が頭に突き抜けたかと思うと、見下ろした先では両胸を揉みしだきながら、俺の亀頭にむしゃぶりつく結衣のあられもない顔。
「も、もう、ダメだ……うあ、うああ……」
まったく耐えることもできずに、結衣の口内に大量の精液をぶちまけてしまった。
結衣は俺の肉棒をくわえたまま、口の中で丁寧にその長い舌を精液まみれの亀頭に這わせて舐めしごく……そして、一滴も取り零すまいと、優しく愛おしく舐めとりながら俺のその全てをゴックンと飲み込んだ。
「えへへ……にがーい。こんな味だったんだ。いっぱい出たね」
「ば、ばか!飲むやつがあるか!」
「んふ、ヒッキーのなら平気だよ。あ、でも、これ結構匂うね」
「やめて、なんか、俺が臭いみたいに聞こえるから……」
なんか、圧倒的な敗北感を感じつつもさっきのエロすぎる結衣の姿を思い出して、再びアレが元気になってくる。
いや、ダメだ。ここじゃまずい。外にだれかいるかもしれねえし、店員に警察を呼ばれる可能性だってある。
ただ、一度スイッチはいると、これで終われないのが男の性。
もう、ああだこうだ考えるのやめて、襲っちまおうか。などと、乱暴なことを考えていたら、結衣に声を掛けられた。
「ねえ、ヒッキー、どうかな?この格好……似合う……かな?」
上目遣いにそう聞かれながらの結衣のその恰好は、さっき買ったばかりの青のノースリーブ。後ろ手に組んで、突き出した胸の谷間には、俺が贈ったピンクのアザレアのネックレスと……さっきの淫行の名残のぬらぬらと光る唾液の後……
も、も、も、もう辛抱たまらん!!
コンコン
「ひえっ!」
「いっ!」
もうね、その後のことは記憶から消したいですね。
大量の荷物を抱えた俺と、着替えたばかりの結衣のふたりで、さっとドアを開いた後は、そこに待ってる人の顔など一切確認せずに、速足で一気にデパートの外まで出ました。
ぐぬぬー。なんかここのところ、恥をかく頻度が上がってるきがするが、これ如何に!?
「はあ、もう……ほんとに怖かったね」
と言いつつも、何故か嬉しそうな結衣さん。
結局、あのノースリーブのまま、外まで出てきちゃったし。もう、この格好エロすぎるから他の男の目を全部つぶさなきゃなんないじゃねえかよ。
「ヒッキー。行こ?」
そう言われて見てみれば、俺の腕に胸を押し当てまくった結衣さん。
周りの男どもの視線を感じはするが、厭らしい目というより、どちらかといえば凄まじい殺意を感じる。あ、これ、ターゲット俺だわ。
まあ、俺をにらむなら、結衣に視線がいかないからいいか、別に。
結衣を俺に抱き着かせたまま歩く道すがら、結衣が俺に聞いてきた。
「ねえ、ヒッキー?ヒッキーの夢ってなあに?」
「夢?」
「そう、夢!将来なりたいもの……とか、将来したいこと……とかね」
「俺の夢?そりゃ専業……「専業主夫はだめね」んぐ」
言葉を被されて、俺の十八番を潰された。
だが、そうするとなんだ?俺の夢?俺の将来なりたいもの?なんだそれ?
俺がうーぬと悩んでいると、結衣が再び話した。
「えとさ、ヒッキーがもし今なにも夢が決まってないんなら、急がなくていいよ。でも、お願いがあるの。ヒッキーがやりたいこと見つかるまで、あたしもヒッキーの隣に一緒に居させてほしいの……ダメかな?」
そう言う結衣の表情はどこか不安げで元気もない。
まったくこいつは……
俺にはホントいつも強気にでれるのに、自分のこととなると急にこれだ。
自信なさすぎだろ……どんだけ俺を上に見てんだよ。
「お前なあ、そもそもそれお願いするの俺の方なんだけどな。なんでそんなに卑屈になってんだよ」
「え?いや、だってそれ……え?お願い?ヒッキーが?じゃ、じゃあ」
「だから……お願いするのは俺の方だって……頼む、俺とずっと一緒にいてくれ、な!」
その言葉に結衣が真っ赤になる。
「ずっと一緒……頼む……って、夢が決まるまでじゃなくて!?う、うん……じゃなくて、はい!こちらこそふつつかものではございますがよろしくおねがいします」
「は?お、お、お、お前、なんだそれ、それじゃあ、プロポーズの返事みてえじゃ……ハッ!」
「だって、今のプロポーズでしょ?違うの?」
「ちが…………わ、ない……な」
というか、もう結衣以外にプロポーズする相手なんかいねえよ。
「うん!!ヒッキー大好き!!」
「ばっ……よ、よせって、そ、そんなに密着されたら、ま、また俺のアレが、マグナムがぁ!!」
「もう、この子も全部あたしのだよ。だからあたしも頑張るね。ヒッキーをいつでも満足させてあげられるように色々勉強します」
「いや、なんか勉強の方向性が間違ってるよ!?」
「いいの!受験はもっとがんばるから!ね、ヒッキー、大好き!」
結衣の愛が強すぎて眩しい。
ここまで一途に俺を信じ続けてくれることが何より重く、そして嬉しい。
俺はここに再度確認する。
俺は結衣が好きだ。結衣のすべてが好きだ。だからこの先どんなことがあろうとも、絶対結衣をしあわせにする。そう誓う、そう決めた。
だから、俺も結衣を愛そう。
俺は心からの想いを籠めて結衣に囁いた。
「ああ、結衣……俺も、大好きだよ」
これにて、俺と結衣のふたりのHな物語はおしまいになる。
しかし、これはただの始まりにすぎない。
俺と結衣の紡ぐ、二人一緒の人生という物語の……!
そして、その始まりの最初の一行目にはこう書かれるのだ。
「俺には最愛の女性がいる…………」
と!
了