※この作品はR-18です。

天龍田は新しい鎮守府に着任するようです   作:時環

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記憶にあるのは、真っ赤な夕焼けの世界

誰も動くもののいない、やがて静かな紫に沈む世界

私は一人、そこに佇んでいる

ずっと、そこに佇んでいる


睦言

(※直接ではないですがえちぃ描写注意です)

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから更に数日が経った。

この鎮守府にも大型艦が揃う様になり、難なく南西諸島海域を攻略していった。

ただ、とある海域ではそうは行かなかった。かなり特殊な海域で重巡以上を編成すると

必ず天候が大荒れを起こし、まるで敵主力艦隊まで到達するのを海域が拒んでいる様だった。

それでも提督はゴリ押しで大型艦を含んだ編成で反復出撃をするも、全く成果は出せないでいた。

 

「何故だ!これだけ戦力が充実して来ているというのに、

 どうして敵主力艦隊まで進めない!?辿り着きさえすれば必ず勝てるのに!!」

「司令官、落ち着いて下さい。

 やはり大本営からの作戦司令書の通りに駆逐艦を中心とした水雷戦隊で出撃すべきかと」

 

あれから引き続き、秘書官をやっている吹雪が宥める。

大型艦を手に入れても、提督は吹雪を秘書官から外すことはしなかったようだ。

 

「そんなことを言われても、我が艦隊で使い物になる駆逐艦の数が足りないんだ!

 今までは練度向上の随伴艦として使い潰していたから、吹雪ぐらいしかいなんだよ!」

「今からでも遅くはありません、万全の態勢でこの海域には挑むべきだと思います」

「まさかこんなところでまた躓くことになるとは……」

「焦っても仕方ありません。

 司令官は此処までやって来れたんですから、今回もきっと大丈夫ですよ」

 

椅子に座り込んでいる提督の頭を吹雪が抱き寄せる。

傍から見れば、年端もいかない少女の姿をした吹雪だったが、その姿には母性が滲み出ていた。

 

「ああ、吹雪の方で見込みのある駆逐艦を選定してくれないか?」

「任せて下さい。きっと二人で作戦を成功まで導きましょうね」

 

苦しい最初期を共に過ごし、一番長い付き合いの吹雪が相手となると、

出世欲が強くプライドの高い提督も思わず弱音を吐いてしまうのだった。

 

 

 

駆逐艦の練度向上の為、天龍と龍田はその随伴艦としてとある海域を何度も回っている。

基本的には敵主力艦隊を破った海域のみの反復出撃で哨戒の意味も兼ねていた。

 

「にしても、ただの残党狩りに俺たちを使うなんてムカつく話だぜ」

「私達も駆逐艦の子達にお守りをして貰いながら練度を上げたのだから文句は言えないけどね~」

「確かにそうだがな。おい!隊列乱れてるぞ!」

 

急遽旗艦として抜擢された駆逐艦の朝潮は、慣れないことにかなり動揺していた。

今までは随伴艦としてのみ艦隊に編成されていたので、旗艦として何をしていいのかわからない。

 

「お前はこの艦隊の大将なんだから堂々と構えてるだけで良いんだよ」

「そうよ~、もうちょっとリラックスしてやってね~」

「わ、わかりました。しかし、朝潮としても何か成果を上げなければ」

「そういう事はもっと経験を積んでからにしろ。何の経験もなく出しゃばると戦場では沈むぞ」

(天龍さんは私よりも新参だった気が……)

 

凄みのある天龍の物言いに朝潮は思わず固唾を呑む。

幾ら主力艦隊を撃退した後の哨戒作戦とは言え、敵の反攻作戦部隊が来ていないとは限らない。

こうして海に出ている以上、何時何処で轟沈をしてしまうのかは、存在すれば神のみぞ知る。

 

「そういうことだから他の皆も頑張りましょうね~」

「無駄口叩いている内に敵艦隊発見したぜ、行くぞ龍田ぁ!!」

 

敵艦の存在を視認した天龍は航行速度を上げる。

呆れた表情を浮かべながらも龍田も天龍を追って敵艦隊へと突撃する。

 

 

 

作戦が終了して鎮守府に帰投すると、天龍はすぐに入渠ドックに入ることになった。

 

「あの、天龍さん申し訳ありません。朝潮が突撃してしまったばかりにこんな……」

 

天龍の左腕は真っ黒に焦げており、手首から先はなくなっていた。

それでも天龍は特に気にしている様子もなかった。

 

「なに言ってるんだよ、手ぐらい入渠すりゃあすぐに治る」

「それでも痛みは感じるものです、だから」

「そう思うんだったら、今度やる本番の作戦を成功させろ」

 

丁度自分のお腹ぐらいにある朝潮の頭を右腕で軽く二度叩く。

朝潮も力強く頷き、それを見た天龍は満足そうにしていた。

 

「天龍さん!早くドックに入って下さい!傷口から感染症になったら面倒なことになりますよ」

「わかってるよ、そんなに怒鳴るんじゃねぇよ明石」

 

不本意ながらも天龍は明石に引き摺られて入渠ドックの方へと連れていかれる。

 

「あの!天龍さんのことは、正直嫌いでした!

 初めて作戦を共にしたあの不遜な物言いと普段の態度から、朝潮の苦手とするタイプでした。

 でも、今日のことは素直に感謝します。

 必ず作戦を成功に導いてその鼻っ柱を圧し折ってやります!」

「言う様になったじゃねぇかよ。楽しみにしてるぜ」

「早く行きますよ!全く、いつもどこかしら壊して帰ってくるんですから」

 

ぶつくさと文句を垂れながら、明石は天龍の首根っこを捕まえて今度こそドックに連れていく。

朝潮は珍しく破顔していた。

 

 

 

哨戒作戦から帰投した龍田は自室で何をするでもなくベッドの上で衣服もそのままに呆けていた。

眠るには目が冴えすぎて、ただ本当に仰向けになって真っ白い天井を眺めている。

目を閉じれば青黒い海と、真っ赤な血で染まった天龍の姿がはっきりと脳裏に焼き付いている。

天龍は戦いの中でしか自分は生きられないと言っているが、自分も同じだと龍田は苦笑する。

鎮守府で待機している天龍を見るよりも、どんな姿になっても戦いを続ける天龍の方が好きだ。

戦いの中で生きている実感を得て、楽しそうにしている天龍を見ていると自分も楽しくなる。

 

(天龍ちゃんのいないこの時間が一番退屈だわ~)

 

かと言って、ケガもしてないのに入渠ドックに入ったら提督に怒られるだろう。

人に怒られるのは、龍田は昔から大嫌いだった。

目を閉じたまま、意識が夢の中へと誘われていく。

龍田の見た光景は、聞きなれた声に起こされたと同時に忘却される。

 

「おい、龍田。お前また飯も食わずに寝てやがったな」

 

目を開くと、最愛の姉のキラキラとした黄色い瞳が龍田を覗いていた。

天龍はベッドに仰向けになっている龍田に覆いかぶさる様にして彼女に呼び掛けていた。

独占欲の強い龍田は天龍のたった一つしかない瞳に自分が映るのが好きだった。

 

「あら~、天龍ちゃんおかえり~」

 

自分の両腕を天龍の首に回して、抱き寄せて龍田は彼女の唇に自分のそれを重ねた。

逃げられない様に両手で天龍の頭をがっちりと固定して、すぐに自分の舌を口内に侵入させる。

頬の裏側、舌の裏側と口内の隅々まで舌先で激しく蹂躙すると天龍もそれに応え始める。

こうなったら龍田は攻め手から受け手に回るだけだった。

流し込まれる唾液を、貪る様に飲み下す。

自分の喉を伝ってお腹の中に愛する人の体液が入り込むのを想像して龍田は恍惚の表情になる。

激しく長い接吻が終わり、天龍の顔が離れると二人の間に粘膜性の唾液が一筋残った。

 

「何だよ、いきなりがっつきやがって」

「だって~、最近天龍ちゃん此処の娘達と仲良くしてるんだもの」

「別にそういう仲になってる訳じゃねぇからいいだろ」

「本っ当に天龍ちゃんは女心がわかってないのね~」

「拗ねるなよ、どうせ今晩は寝かせないつもりなんだろ?」

 

龍田のアンミラ風なジャンパースカートに天龍は手をかける。

嫌がる素振りもなく、龍田はされるがままだった。

 

「あら~、どっちががっついているのかしらね~」

「お前から誘ったんだから当然だろうが」

 

龍田の顎に手を当て、天龍は再び口付けをする。今度は舌を入れずに優しく唇を食むようにする。

やがて露わになった龍田の首筋、乳房へと口付けの位置を変えた。

器用なもので、乳房には確りとキスマークを、自分の所有物である証を体に刻み込む。

くすぐったさよりも、自分が天龍の所有物の様に扱われて龍田は背筋がゾクゾクするのを感じた。

二人の長い夜は始まったばかりで、お互いを貪るように睦事は丑三つ時まで続いた。

 

 

 

さらに数日が経ち、吹雪と朝潮、木曾らの攻略艦隊が作戦遂行の日が訪れた。

出撃前に天龍と龍田は艦隊へと激励にやってくる。

 

「お前ら頑張れよ、今まで通りにやれば旗艦の木曾が何とかしてくれるだろうからな」

「おいおい、そんなに煽らなくても俺なら大丈夫だ。それよりも留守番よろしく頼むぜ」

 

お互いに皮肉を言い合うも、これが彼女らの間なりの激励のやり方だった。

 

「朝潮ちゃんも確りね~、脱力するところは脱力して頑張るところは頑張ってね~」

「判断が難しいですが了解しました。今は全力で脱力するところですね!」

「う~ん、まぁ良いわ。

 帰ったら天龍ちゃんが間宮奢ってくれるらしいからちゃんと帰って来てね~」

「何!?天龍お前太っ腹だな、もちろん俺にも奢ってくれるんだろうな?」

 

木曾が意地悪く笑って天龍にたかり始める。

 

「ふざけんじゃねぇ、いつもの龍田の口からの出まかせだ!」

「でもこの間、間宮さんに注文していたわよね~?」

「あれは自分用の奴を注文してたんだよ」

「それにしては6個は多すぎるんじゃない?余分なお肉が付いちゃうわよ~?」

「五月蠅ぇな、仕方ないからお前らが買って来たらアイス分けてやるよ。だから帰って来いよ」

 

帰投後の楽しみが増えて駆逐艦達の、朝潮の表情が華やいだ。

 

「いや、それだと数が一つ合わなくないか?」

「分けてやるのは駆逐艦だけでお前には分けねぇぞ」

「何でだよ!?俺にもアイス奢ってくれてもいいじゃねぇかよ!」

 

球磨型の5番艦である木曾は5人姉妹の末妹でもある。

対して天龍は天龍型の長女なので、この二人が会話をすると口の悪いが仲の良い姉と妹の様だ。

龍田はそう分析して必死に木曾に怒気が向かない様に、目の前の仲睦まじい光景をやり過ごした。

龍田の異変に天龍も気付いて、冷や汗が背中を伝う。

 

「よし、わかった。

 お前がもしもMVPでも取ったら奢ってやるから、さっさと行って来い」

「よし、言質取ったからな!忘れんなよ!

 それじゃあお前ら抜錨だ!!」

 

勇ましく木曾が朝潮、吹雪らの駆逐艦に号令する。

艦隊の姿が水平線の向こうへと吸い込まれ、やがて見えなくなっていった。




次話は轟沈注意です(ネタバレ
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