許して下さい、もう片方の執筆してたんです(ステマ)
グロ注意
R18だしヘーキヘーキ(読者への信頼)
喉から迫り上がってきた空気を口に溜めてから細く吐き出す。生臭い匂いが鼻孔を刺激しながら通り抜け、眉を顰める。
安っぽい木製の椅子がカタカタと揺れているのを見ながらお腹を擦る。空腹を感じる。いいや、空腹ではない事はわかっている。けれど、お腹が空いて仕方がない。
足りない。足りなかった。どれだけ食べても、満たされない。
怯えた表情で私を見ている成人男性をボンヤリと見ながら、拾ったシャツで口元を拭う。真っ赤に染まったシャツを捨てて私は彼の目の前に立つ。
「ん゛ぅ!! ん゛ン゛!!」
巻かれた布で封じられる声を視ながら男性を見つめる。彼を埋め尽くす文字群。明るくもなく、かと言って暗くもない。極々ありふれた文章群であった。
そんな彼から目を離して後ろを振り返る。
赤い文字が散っていた。
部屋の中を乱雑にペンキで塗りたくったように、赤い文字が其処らに散っていた。
綺麗だったフローリングを汚す転がった人の形をした肉。赤い液体を滴らせた新鮮な肉だ。包丁で割かれたように綺麗に分割された物もある。
マナーもへったくれもなく食い散らかしてしまった。ただ求めていたモノはさっぱり手に入らなかったし、まだ足りない。足りない。
柔らかい太腿でもなかった。筋張った腕でもなかった。苦くて甘い臓物でもなかった。死んだ肉でもない。
足りないモノが何かは分からない。いいや、確かに自分の中から消失するモノはある。だから、ソレに間違いない。
けれど、それを補充する効率のいい方法を私は実行出来ない。知識として理解はしているけれど、私はソレを行えない。
だから、私は
「生きたまま食べれば、もっと蓄えられるかな?」
叫ぶ男に微笑んで、転がっているナイフを握る。終端がないのだから、きっと補充出来る筈だ。
お腹が鳴る。お腹が空いた。自分から止め処なく零れていく。だから補充しなきゃ。
止められない。零れ落ちる。ワタシが私で無くなる。私が零れていく。私が――ワタシが……。
「……けふっ」
安っぽい木製の椅子に深く座りながら慎二は下品に息を吐き出した。
木製の椅子に乗るように貼られた肉のシーツは未だに冷めない熱を持ち、慎二の背中を温めていく。
塗りたくられた量が多かったのか、赤いペンキが椅子の脚に垂れてフローリングに広がっていく。粘性の高い赤黒い液体がゆっくりと。
天井の明かりに手を伸ばして、赤色に染まった腕を指先から確認していく。
「テーブルマナーもあったものじゃないわね」
フローリングに所狭しと敷かれた赤い絨毯を踏まないように、少しだけ体を浮かした存在がその部屋に入ってくる。慎二はその存在を見る事もなく、自分の手を眺めている。
濃い紫色のフード付きの外套を被った女はそんな慎二を一瞥し、溜め息混じりに転がっている
形を保っているモノ。細切れにまで両断されたモノ。
多様な死に様である。けれどそのどれもに共通する事に女――キャスターは眉を顰める。
これらは人ではない。生物でもない。一体、何だ?
死んでいるから、という理由ではなく……いいや、その死体にもカテゴライズされていない物体立ち。けれど、死んでいる。
「私に足りないモノを補填しただけさ」
キャスターの疑問に答えるように慎二が気怠げに口を開いた。穏やかに、まるで日常を過ごしたような声色で。
ココに在ったモノは成人男性が数人と成人女性が二人ほど。それが、今はキャスターと慎二しか存在出来ていない。
気味の悪い、生々しいオブジェがそこらに転がっている。ただソレだけだ。
健啖家も身を引く量を胃に収めたというのに、慎二はただボンヤリと世界を視ながらお腹を撫でる。
食い意地が汚い子供のように頬まで……いいや、
「初めてにしては上出来だとは思わないか? ん?」
胃袋を満たした事で上機嫌なのか、口をニタリと歪ませて言葉が吐き出された。
思わず口を噤んだのは、彼女を殺しを行ったからではない。非人道的であろうが、彼女は目的の為には行ったであろう事は知っていた。だから、それほど驚きもしない。
果たして彼女が今の自分の状態を認識しているのだろうか。いいや、きっとしていない。
キャスターは懐からハンカチを取り出して慎二へと手渡す。肌触りのいいシルクのハンカチを受け取った慎二は訝しげにソレを見つめてキャスターへと視線を向けた。
「涙の跡が分かるから、早く拭くことをオススメするわ」
「……」
キョトンとした慎二はバツが悪そうにシルクのハンカチを赤色に染めていく。
下瞼から頬までを重点的に拭いた慎二はハンカチを摘んでキャスターへと向けた。キャスターがハンカチを指先で少し触れればその部分から赤が抜け落ち、白色へと変化していく。
その様子を
「んぎゅ」
「ここも取れてないわよ」
クスクスと笑うキャスターに抗議するように声を出してみたけれど、慎二の言葉はキャスターに届く事はなかった。
顔を拭いてくるキャスターの手を払い除けた慎二は不満気にキャスターを睨んだ。そんな睨みに肩を竦めてキャスターはクスクスと笑う。
「それで、その
「ああ。今も私から零れているけれど……暫くは保つだろうね」
「あらそう。ならこの拙い結界ももう必要はないのね」
「拙い? 私は優秀な魔術師が辛うじて気付く程度、と注文した筈だけれど」
「この時代の、と付け加えておきなさい」
神代に生きる優秀な魔術師が辛うじて気付ける程度の結界であったならば、恐らく今世では誰も気付くことは出来ないだろう。時間を掛ければ、残留している魔力を見つける事が出来るかもしれないが……。
「神代の魔術師と比べられるとは、今世の魔術師も喜ばしい事だろう」
「その神代の魔術師に教えられてるアナタの妹は恵まれているわね」
「私の義妹だからね。当然だろう」
言葉を吐き出した慎二は吟味するように瞼を降ろす。自身を流動する文字列を知覚して、溜め息を吐き出す。
損傷していた――欠落してしまった部分は補えた。けれど、そこだけ歪であった。日本語で書かれた文章の中に数文字の多国語が入り交じったように、歪だ。
文章として、文字式として、結果としては等式で繋がれているが気持ち悪い。
瞼を上げて、ぼんやりと世界を視る。
変らず世界は文字で埋め尽くされていた。
◆◆
遠坂凛にとって間桐慎二という女の印象はがらりと変化してしまった。
魔術師の家系に生まれながら魔術回路を持ち合わせる事もなく。けれども魔術や神秘に関しての知識は保有している。取るに足らないややコチラ寄りの一般人。その枠を逸脱する事などなかった。
けれどもあの夜。サーヴァントを仕えて現れた慎二を前にしてその印象は変化した。
性根の腐った魔女。決して凛自身はそんな事を思ったこともなかったけれど、こうして実害を被ればなるほどと理解出来た。
サーヴァントの真名を看破出来る。恐らく限定的な手段ではあるであろうが、それは絶大な力を保有している。例えば正体不明の敵が居たとして。慎二だけはそのカウンターを知る事が出来る。フィクション吸血鬼ならば銀の杭を慎二だけは事前に用意出来る。
嘘であったとして……けれども恐らくセイバーの様子からして彼女の真名は見破られているだろう。それは事実だ。そして真名の看破が嘘であるならば、つまりそれはセイバーの立ち振舞、装備、容姿、武器、様々な要因からの推測という事に成り得る。
そうであったならば、余計に警戒しなくてはならない。
気に食わない。間桐慎二の手の平の上で踊らされている感覚が拭えない。
衛宮士郎と間桐慎二を含む三者同盟もまた彼女の思惑があるのであろう。ならば、その利点は――。高速で予測を繰り返し、取捨し、遠坂凛は答えを求める。けれどもさっぱり魔女の思惑が見えない。
不利益になる前に
小さく溜め息を吐き出して思考を改めれば、衛宮邸の門前に特徴的な波打つ髪の少女が立っていた。その後ろに立っている長身の女性のお陰で普段よりもやや身長が低く見えてしまう。
「なにしてるのよ」
「ああ、凛か。ごきげんよう」
「ごきげんよう」
声を掛ければ悠々とそれを返しはする慎二であるがその視線は衛宮邸へと注がれている。数秒ほど門を眺めていた慎二は目頭を指で揉むようにして息を吐き出した。
「なんだ、結界を張ったのか」
「……ええ。拠点にしようと思ったから」
「そうか。ふむ」
「あなた、よくわかったわね」
「ライダーが魔術方面にも明るいからね」
「へぇ……」
慎二の後ろに控えている長身の女性に視線が向く。現在ばボディコンではなく、縦縞のセーターに細身のジーンズを履いて、メガネまで着用し現世に染め上げられている。
「何? ライダーも霊体になれないのかしら?」
「霊体化出来るのならばこうして現代の服装を着せなくても良かったのだがね」
シレッと答えた慎二にライダーの鋭い視線が刺さる。そんな視線に気づかないフリをしながら肩を竦めて少しばかり大げさに反応してみせた慎二。
果たして霊体化出来ない英霊がいるのであろうか。確かにセイバーは霊体化出来ないけれどそれはマスターである士郎の力量不足だろう。ライダーのマスターは魔術回路すら無い慎二――ではなく、その義妹である間桐桜だ。
凛自身の力量と同等と考えれば些か変にも思えるし、士郎以下という事はこの魔女を見ていればありえない事であろう。
「さて、そろそろ入ろうか。家主殿もきっとお待ちだ」
「そうね」
考えた所で答えは出てこない。この魔女は安々と尻尾を掴ませてくれる訳はない。それは自分も一緒だ。
勝って知りたる何やらと言わんばかりに我が物顔で門を潜り、それほど意識もせずに衛宮邸へと入る二人の少女。
「二人とも一緒に来たのか」
「丁度、門で会ったのよ。衛宮くん」
「偶然な」
偶然にしては、と慎二を見た凛であったけれど追及することはない。
変に長い付き合いのお陰か慎二の性格をある程度把握している士郎からしてみればただ慎二が思わせぶりな態度を取っているだけである事は予想出来た。そしてそれは当たりである。
家主である士郎に案内され居間に通された少女二人と長身女一人を待っていたのは西洋人形よろしく整った顔立ちに金糸を編み込んだ髪の女性が正座をして待ち受けていた。
「お待ちしてました、リン、シンジ」
「ごきげんよう、セイバー」
どこか超然とした印象も受けるセイバーに挨拶を軽やかに交わした慎二であるが、その後ろではライダーが目を細めて仮の主を見つめている。果たして彼女の視界には興奮して尻尾を千切れんばかりに振っているワカメ少女が幻視されているのだが。
その毒電波に近しい何かを受信してしまったのだろうか、それとも慎二が分かりやすかったのか、隣にいる凛も慎二を引き気味に見ている。
「本当に好きなのね」
「別に好きという訳ではないよ。こうして集会するに当たり失礼の無いようにセイバーの逸話を予習する程度だ」
つまり大好きなのであるが、やや興奮気味の慎二はそれに気づいていない。尻尾は振り切れんばかりに揺れ、目は輝いている。
自身に興味を抱いている無害そうな魔女を目の前にした王様は苦笑してしまう。前回の会合からやや警戒していた少女であるが主である士郎に人となりを聞き、今の状態を見れば毒気も抜かれる。
「ふーん、じゃあアーチャーの事も予習はしたの?」
「アーチャーは予習する意味が無いからな」
「あら、英雄様に失礼じゃないかしら?」
「覚えている部分だけで十分であるし、なによりそれ以上の情報もない。加えて私にも好き嫌いはあるのさ」
セイバーは好きだから予習をしたけれど、アーチャーは嫌いだから予習をしなかった。まるで子供のような言い訳であるが、そう言われれば追及も出来ない。
アーチャーの真名は看破されていないのかもしれない。こうして真名を看破したセイバーを見せて信憑性を高くしている可能性もある。
「何より、セイバーの文献が面白すぎるのが悪い」
恐らく何度も読んだのであろう実感と達成感が篭った一言であった。好きなヒーロー番組を見た少年のように輝かしい目をしていた。そんな情報が義妹に伝わるのを慎二は知らないし、義妹は義妹で「見たかった……ッ!」と血を吐くような後悔の声を出す事も未来の出来事である。
「えっと、その……聖杯戦争での集まりだよな?」
「そうだが。それ以外に何がある?」
「いや、それならいいんだ」
士郎の疑問の声をバッサリと切り捨てた慎二。その慎二を見つめる八つの瞳は「お前がはしゃぐからだぞ」と言わんばかりであるが、慎二はそれに気づく事もない。
>>健啖家も身を引く量――
引いてるのは量じゃないと思うんですが(名推理)。
>>少し目を輝かせて
少し(当社比)。
>>セイバーの文献予習
海産姉「(宝具はエクスカリバー以外にもあるのだろうか? 確か聖杯戦争の都合で宝具は一つに設定されていたのだったか? それでも選定の剣であるカリバーンも含めたエクスカリバーの可能性もある。ランスロット卿の繋がりが深ければもう少しハッキリとわかったのだろうが……いいや過去の事だ。ロンの槍を持っていない事を考えれば僥倖であるけれど……見たい。ロンゴミニアドをもったアーサー王と光の御子との戦いなど是非とも見たい。ああ、前回の聖杯戦争のランサーがセイバーとして参加していれば衛宮切嗣氏がランサーとしてのアーサー王を召喚した筈なのに!)おのれ衛宮切嗣……!」
>>会議内容
ワカメネキ「なんか身元不明死体出てきてるけど、あれ、キャスターの仕業だゾ」
うっかり嬢「魔力の名残あったし確定だな!」
主夫「どうして慎二がそんな情報を知ってるんですかねぇ……」
ワカメネキ「地元密着型魔術師家系の情報収集能力ナメるなと」
主夫「はぇ……すっごい(関心)」
うっかり嬢「これ以上の被害は抑えたいし、キャスターが好き勝手するのも問題」
ワカメネキ「キャスターもアサシンが出揃うまでは流石に自重すると思うゾ」
主夫「はぇー……」
騎士王「シロウ、おかわりです!」
内容を本文に書かないのは必要ないからだゾ! 二次創作の概念壊れるゥ↑
エロ(薄味)主体だから(震え声)