※この作品はR-18です。

桜に落花   作:猫毛布

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次回エロのみ予定


8

 間桐慎二にとって間桐臓硯という男は畏怖の対象であった。

 一歩間違えれば自身が蟲蔵に落とされる事も知っていたし、同時に臓硯が自身の事を至って普(・)通(・)の孫……或いは普(・)通(・)にしてはそこそこに優秀な孫として見ていた事も知っていた。

 桜を蟲蔵に落とし、堕としてから慎二は間桐――マキリの魔術を読み解いた。ゆっくりと桜を犯していくソレを読み解いて、魔術回路を持ち合わせない慎二にとっては無価値にも等しい蔵書達を読み漁った。

 マキリの魔術。その先端である間桐臓硯。

 

 間桐慎二にとって間桐臓硯という祖父は忌むべき対象であり、同時に尊敬すべき男であった。

 

「やあお爺様」

「――なんじゃ、慎二。サーヴァントを連れて儂を殺そうというのか?」

「殺しても死なないようなヤツを殺す趣味はないさ」

 

 クツクツと喉を震わせた臓硯の前に慎二は座った。その後ろに付き従うようにライダー(メデューサ)が立っている。

 臓硯は目を細めて、眉を寄せる。軽口に対して何かを感じた訳ではなく、間桐慎二と名付けた少女に違和感を抱いてしまった。

 慎二は元来臆病な性格である事を臓硯は理解している。そして悪役ぶって悪になりきれない事も、根本的な善人であることも。その間桐慎二が無策に自身の前に座っている――なんてありえない。

 故に、ついに自分を殺すための算段を立て終わったと考えてしまう。少女の後ろにいるライダーもその証明だろう。けれど、慎二は桜に蟲が憑いている事も知っている筈だ。その対処法は幾つか存在するかも知れないが、少なくとも慎二には不可能だろう。そしてライダーは目の前に居る。

 

「さて、お爺様。いつかした交渉の続きをしようじゃないか」

「はて……? お主の様な小娘と何を交渉したのだったか」

「桜の自由、感情と私の瞳に関して」

「おお、そうじゃったそうじゃった。お主が義妹を蟲蔵に叩き込んで無策にも儂に交渉した事じゃったな」

「若気の至りさ。お爺様にとっては可愛い孫のお願いだったけれど、私にとっては大事な交渉だったのさ」

 

 互いにクツクツと笑いながら相手を睨みつける。濁った黒を瞳を眼鏡を通して深い青の瞳が睨んだ。

 ライダーは息を吐き出したい気持ちだった。実体化をし続ける事は言われた事であるからイイとして、少なからず、この居心地の悪い部屋には居たくなかった。

 

「あの時、お前は儂に"その瞳"の有用性を売り、桜の感情を買った」

「蟲蔵に落とさない事を提示したかったけれど、それではこの目を盗られそうだったからね」

「実に惜しい――が、今になって何を乞う」

「お爺様を殺す手筈が整ったのはわかっている筈だけれど」

 

 ああ、やはり。と臓硯は表情に出すこともなくクツクツと嗤う。慎二が――臆病者がこうして真正面から言うからには全ての手筈が整っているのだろう。逃げ道を模索し、生を諦めるつもりなどないが、こうして日中に前に居る事も術中だろう。

 少しばかり、孫の成長を喜ばしく思う。同時に惜しくも思った。この孫に少しでも魔術素養があったのならば……。そう考えて思考を捨てる。

 

「ほう、儂を脅すか」

「勘違いしないでもらえるかな。コレは交渉だよ、お爺様」

「――して、お主は何を以って何を望む?」

「私の自由、桜の自由――そしてマキリの魔術」

「――魔術じゃと?」

 

 慎二の言葉に初めて臓硯の表情が歪む。魔術に憧れを持っていたのは知っていた。けれど、素養がない事も重々理解していたはずの慎二が魔術――それも"マキリの魔術"を求めるなどと。

 

「過去にも言っておるが――」

「私に魔術回路はない。魔術は使えない。わかっているよ。

 それでも私は間桐の――マキリの子だからね」

「安心して死ねと言うか」

「別に死ねとは言わないさ。それこそコレは交渉なんだから」

 

 臓硯は眉を寄せて息を吐き出す。少なくとも、片方だ(・)け(・)の命を握られている状態では脅迫というにも等しい状況だろう。

 その圧倒的に優位に立っている筈の慎二は臓硯を相変わらず見つめている。瞳の奥にある緊張を臓硯は見抜くことは出来る。出来たが、臆病者とお人好しを"悪役"の外装で取り繕った慎二が臓硯を前にして緊張するのはいつもの事である。

 

「お爺様は拒否権がない事を理解している筈だ。もう一騎サーヴァントを従えている事も知っている筈だし」

「…………」

 

 間桐臓硯は頭痛がした。

 決して迫る自身の終焉に嫌気が差したとか、慎二がサーヴァントを二騎従えている事に驚いたとか、間桐邸の魔術結界にようやく僅かに綻びが生じている事に気付き相手の力量を知り絶望したとか、そういう類い(たぐい)の感情で頭痛が生じている訳ではない。

 確かにそういった感情が芽生えた事も確かだ。同時に魔術結界をコレほどに綻びもなく侵入出来るとなればキャスターのクラスになるだろう。

 高速回転していた思考を纏め上げ、ある程度の予想と予測をした後に臓硯は真っ直ぐに慎二を見た。

 

 ――そして溜め息を吐き出す。

 

「慎二」

「なにかな?」

「……お主、阿呆じゃな」

「ふぁ!?」

 

 驚きの声を上げた慎二に対して臓硯は改めて溜め息を吐き出してライダーへと視線を送った。

 

「申し訳ないのぉ、こんな阿呆な娘で」

「ちょっと抜けてるぐらいが可愛らしいので」

「ちょっと待ってくれ。人の頭の上で阿呆だの抜けてるだのと好き勝手言わないでくれるかな」

「少し黙っとれ、阿呆」

「ぐ、ぬぬ……」

 

 盛大に溜め息を吐き出した臓硯は呆れた視線を慎二へと向けて、先ほどまで張り詰めていた空気などなかったように慎二へと駄目だしをしていく。

 

「そもそもお主は手札を見せすぎじゃ」

「だって、お爺様なら私の動向に気付いている筈――」

「お主が街で儂の蟲達を撒いた事は知っとる。が、普通キャスターのサーヴァントを従えたなど考えるか阿呆。精々魔術師を雇った程度と考えるのが普通じゃ」

「で、でも」

「ソレに、だ。仮にも現世の魔術師――それも衰退しておるマキリの魔術師がサーヴァントに座す魔術師に気付くと思っておるのか思っておるのじゃな、この戯け(たわけ)め」

 

 盛大に落ち込んだ慎二を何か愛らしいモノでも見るように優しい目をしているライダー。そんなライダーとは違い呆れて物も言えないと慎二に視線を向けている臓硯。

 

「暗躍はソコソコに上手いクセにこういった交渉事――人に関わる事は徹底して苦手じゃな、慎二」

「否定出来ない……」

「事実を言うておるから当然じゃ」

「あぅ……」

 

 落ち込んだのか、先ほどまでの優雅さなど微塵も無くなってしまった慎二がやや涙ぐみながら顔を上げる。

 交渉が苦手だろうと、既に始まってしまっているのだから続けなくては――終わらさなくてはいけない。

 

「うぅ……でも、お爺様の命を握ってるのはホントだから」

「阿呆。死ににいく身である事は十二分に理解しとるわ。じゃがの、こんな情けない交渉で命を落とすとなれば釈然ともせんわ」

「勝手に死のうとしているが、私の要求を飲めば生きる事は出来るけど?」

「……桜の調整を無しには出来ないぞ」

「そもそも桜にマキリの魔術を埋め込む為のモノであって、魔術師として鍛える事が出来るのならば必要ない筈」

「桜の刻印蟲を――」

「ソレは取り除いて貰う。絶対に」

「……儂に死ねと言っておるモンじゃろ」

「――代わりに私の子をやろう」

「…………」

 

 臓硯の口が噤まれる。

 子。子供と言ったかこの孫は。やはり呆れてしまう。間桐の血縁は衰退を歩んでいるというのに――。

 

「桜と私の子だ。魔術師的にはなんら問題ない筈だ。それに加えて私の瞳を子に移植する」

 

 あっさりと慎二は言い切った。

 口を少しだけ開けて慎二を視界に入れている臓硯。老獪の魔術師であっても、自分を殺す事が出来る状態で交渉事に持ち込むバカの思考を理解する事などしない。

 それでも思考を回転させて、目の前にいる阿呆(慎二)の思考を読み解こうとする臓硯。対して慎二はようやく臓硯に驚いた表情をさせたことに少しばかり満足している。

 

「お前の目的は何じゃ、慎二」

「何度も言っているだろう? 桜と私の自由、そしてマキリの魔術の進歩さ」

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

「と、まあそんな事があってだな。キャスターとの賭けに私は負けてしまったわけだよ」

「待ってください。私が居ない時に義姉さんは何をしてるんですか、キャスターとの賭け? というか私と義姉さんの子って何ですか私気になります」

「お爺様は私の動向を全て見抜いていると思っていた。それもキャスターの動きも……まあメディア姫に魔術師として勝つのは無理という事はお爺様本人から聞いたが……。それで賭けに負けた結果がこの格好だ。二度としない」

「私と義姉さんの子ってなんですか。どっちが産むんですか? 私としてドチラでも構いませんが……」

「……ああ、メディア。そんなに残念そうなモノを見る感じで義妹を見てくれるな」

「無理よ」

 

 スッパリと言い切ったメディアは相変わらず残念極まりない桜へと視線を向けている。

 そんな桜は果たして産む方はドチラか、という事を真剣に悩んでいる。もっと言えば、生(・)え(・)る(・)方(・)はドチラか、という事なのだが。

 

「桜、一応言っておくが私達の子というのはお互いの遺伝子情報を得たホムンクルスの様なものであって、そもそも男性器がない私達がまぐわった所で子供は――」

「あら、男性器なら魔術で生やせるわよ」

「本当ですか!?」

「え、えぇ……」

 

 キャスター(メディア)の手を両手で握りながら希望の溢れたキラキラとした目をする桜。そんな純粋で真っ直ぐな視線から思わず顔を背けてしまうキャスター。尤も、純粋で真っ直ぐな希望であるが、考えている事は義姉をどう犯すかであるから希望自体は非常に黒い。

 

「桜、別に無理をしなくても構わないぞ」

「無理なんてしてません。私は問題ありませんよ」

「……そうか」

 

 桜に問題が無くても桜自身が問題だと思う。という言葉は慎二の口からは出なかった。頭の中では桜に犯されるなら別に問題ないか、とあっさりと受け入れている辺り、この桜の義姉である事がよくわかる。




>>交渉事
 ワカメネキは苦手です。暗躍とかは得意

>>お爺様
 蟲爺。嫌悪対象。尊敬対象。ワカメネキにとっては愛すべき家族の内。基本的に善人なワカメネキなので殺す手段はあってもチラつかせるだけ。
 なおバレバレで、看破されるもよう。

>>桜とワカメネキの子供
 運良く桜の因子が強ければ、虚数系統と間桐の魔術を使え、ワカメネキの瞳を超能力ごと移植すれば魔術師としては恐らく上の方。但し、ワカメネキの瞳は根源的なモノも含めたアレやソレの設定なので受け継がれるかは不明。

 つーか、この小説には子供は出ないから問題ないな!!

>>ボツ
「桜別に無理をしなくても構わないぞ」
「無理なんてしてません。私はただ義姉さんのキツキツおまんこにおチンチンを入れてヌコヌコしたいだけです」
「お、おう……」

 次回エロ。桜ちゃんに生やします。
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