続きを投稿します。
「ふあぁ……ねむーい……」
ドラキュラ主催のゲームが終わった翌朝。三奈が寝ぼけ眼で廊下を歩いていた。彼女の目の下には隈が浮かんでいる。
昨夜、使用人に個室へ案内された三奈はなかなか寝つくことができなかった。原因は卯稀だ。眠ろうと目を瞑っても、彼の顔がチラチラと頭に浮かんできてしまうのだ。おまけに彼に言われた求婚のセリフが頭の中で何度も再生される始末であった。
卯稀の声を思い返すたびに気恥ずかしさと嬉しさで胸がいっぱいになってしまい、三奈はベッドの中で悶えてしまった。気づいたら朝になっていた次第である。
「うへへ……」
こうやって歩いている最中も卯稀のことを思い出し、三奈は顔をゆるませてしまう。そうしているうちに彼女は卯稀の部屋の前にたどり着いた。二、三回ほどドアをノックをしてみるが返事がない。
まだ卯稀が寝ていると判断した三奈はゆっくりとドアを開けた。室内を覘くとベッドの上に掛けられた毛布が盛り上がっている。やはり卯稀は就寝中のようだ。
三奈は足音を立てないように静かに枕元へ移動した。
まだ眠っている夫を起こす妻。そんな新婚さんみたいなシチュエーションに彼女の胸が甘酸っぱい気持ちで一杯になる。
三奈は毛布の端を掴むと勢いよく引きはがした。
「もう朝だよっ! おっきろーーーーっ! って、ええぇっ!?」
驚いた三奈が目を白黒させる。毛布の下にいたのは卯稀だけではなかった。梅雨が彼の腕に抱きついて眠っていたのだ。おまけにどちらも裸だ。昨晩ここでナニが行われたのか、簡単に想像できてしまった。
三奈のピンク色の顔が真っ赤になっていく。
「こ、こ、こ、この浮気者ーーっ!? り、離婚だーーーっ!!」
目に涙を浮かべて部屋から走り去る三奈。彼女の大声に梅雨が驚いて目を覚ました。
「ケロっ!? いまのは三奈ちゃん!? ま、まずいわ……私としたことが」
梅雨の隣の卯稀はいまだに鼻ちょうちんを膨らませている。そんな彼を梅雨は急いで揺さぶった。
「ちょっ、卯稀ちゃん! 頼むから起きてちょうだい!」
「ふぁ……梅雨ちゃん? どしたの?」
「私たちが一緒に寝てるところを三奈ちゃんに見られちゃったのよ! とにかく三奈ちゃんをなだめてくるから、卯稀ちゃんも起きてちょうだい」
梅雨は昨晩着ていたパジャマを着こむと、慌てて部屋から駆け出して行った。
「……」
このまま二度寝しようとした卯稀だが、梅雨と入れ替わりにやってきたお茶子によってそれは阻止された。
それから十分後。
館の食堂に卯稀とお茶子の姿があった。二人とも昨日と同じラフな私服姿である。
卯稀の隣に座ったお茶子が、次々と料理を彼の口元へ運んでいく。
「はいっ、キング様。あーんっ」
「ありがとうお茶子ちゃん。もぐもぐ」
料理を頬張る卯稀を見て、お茶子の胸がキュンとなる。彼を甘やかしたくなる衝動が沸き上がってくるのであった。
卯稀の方はというと、今日どうするかを考えていた。使用人によるとドラキュラはまだ会える状態ではなく、もう一日だけここに滞在してほしいとのことであった。
「決めた。今日はゴックン祭りにしようか」
口の中の料理を飲み込んだ卯稀がニヤリと笑う。その様子にお茶子が可愛らしく首を傾げた。
◇◆◇◆◇
それから少しして。
ここはドラキュラの屋敷の裏庭である。そこに五人の人影があった。
「さーて、後がつかえてるからね。どんどんいっちゃうよ?」
服を脱いで裸になった卯稀が個性を発動する。彼の側にはお茶子が寄り添うように立っている。彼らの向かい側には百、響香、透の三人が両手をロープで縛られて座らされていた。
「いきなりこんなところに連れてきて、まさか私たちをまた洗脳するつもりですの!?」
ドラキュラの支配下におかれたままの百が、敵意を含んだ目で卯稀を睨みつける。
「そうだよー。僕らがゲームに勝ったんだし、そろそろ元に戻ってもらわないとね。ついでに透ちゃんも洗脳しちゃうよー」
「ふざけないでくださいまし! 負けたとはいえ、私たちは身も心もドラキュラ様に捧げております! いまさら貴方の手下に戻る気はありませんわ!」
「そうだそうだ!」
「洗脳はんたーい! 洗脳だめ! ゼッタイ!」
百の言葉に響香と透が続く。そうしているうちに卯稀の身体がどんどん大きくなっていく。
「これで準備完了っと。誰からにしようかなー? とりあえず百からいこうかなー?」
すっかり巨大化した顔でケタケタと笑う卯稀。
指名された百は顔を真っ青にしている。彼女の肩が小刻みに震えていた。
「くっ、ま、またイヤらしいことをするつもりですのねっ……!? エ、エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!」
「エロ同人言うなし! どこでそんな言葉を覚えたんだよ! このお嬢様ぁ!」
「きゃああああっ!?」
大きく開けた口で百を丸呑みにする卯稀。喉の奥に放り込まれた百の全身に大量の触手が絡みつく。
「ふぁああっ! またこれっ、ですのぉっ!?」
触手が百の衣服やロープを器用にはぎ取っていく。同時に百の全身を愛撫して抵抗できないようにする。あっと言う間に全裸にされてしまった百だが、触手の責めはまだ続いている。
「もごもご。ぺっ、ぺっ……せっかくだからイかせたげるよ」
百の衣服を吐き出しながら、卯稀がニヤリと笑う。彼の喉の奥から百の嬌声が響いた。
「うわぁ……」
「な、なにこれ!? 八百万さんどうなっちゃってるの!?」
卯稀のセリフにドン引きする響香。卯稀が誰かを洗脳するところを初めて見た透は驚いて声が上ずっていた。
「あ……いいなぁ、八百万さん」
「え!?」
ウットリとした顔で卯稀を見つめてつぶやくお茶子に、びっくりした透が振り向いた。
「うぇぇっ!? ち、違うよ!? いまのは違うよ!? 葉隠さん!?」
透に心の声を気づかれたお茶子が赤面しながら必死に否定する。
「……よかったら後でお茶子ちゃんもゴックンしてあげるよ?」
「キング様まで!? あ……えっと……よろしくお願いします」
触手責めの誘惑に屈したお茶子が頷いた。
こんなふうに外でワイワイとしている間も、百は卯稀の喉の中で触手に可愛がられていた。両手足を拘束された彼女の全身を触手が這い回る。
百の豊かな胸が触手に押しつぶされて形を変えられていく。そんな彼女の下腹部では、ドラキュラの僕の証であるコウモリ型のイレズミが激しく輝いていた。
「ひうぅっ! あんんっ! ひ、ひきょうですわぁぁっ……! こんなっ、誰もかてませ……ひゃああぁっ!?」
百の乳首の先端に触手が吸い付く。母乳を吸うような、チュウチュウと卑わいな音が鳴った。ビクッと体を震わせた百の股間から淫らな蜜が溢れ出す。
「おやおや? 乳首を吸ったらエッチな液が出てきたね?」
「く、くうううっ! あっ、あああぁっっ!」
煽るような卯稀の言葉に、百が歯ぎしりする。しかし今の彼女のはどうすることもできない。再び快楽の海に飲み込まれていくだけであった。
「それじゃあ、そろそろ止めだ。触手チンポで堕ちちゃえ!」
「ふぁっ、あっ、はああああああああああああぁぁぁぁっっ!?」
ひときわ太い触手が百の秘所を貫いた。いっぺんに胎内を征服され、百の身体が限界を迎える。はしたなく嬌声をあげながら、触手の快楽に負けてしまうのであった。
卯稀は百がグッタリしたのを確認すると、彼女の身体を喉の奥へと移動させていく。やがて容赦なく百を胃液のプールへ放り込んだ。
「ふひひ……」
胃の中で百が溶かされていくのを感じながら、卯稀が笑みを漏らす。その様子に響香と透は顔面を蒼白にしている。百の嬌声は外まで響いていた。卯稀のセリフから、彼女が何をされてしまったのかも分かってしまっていた。もうすぐ自分も同じ目に合うのだと、恐怖で全身を震わせるのであった。
「あー、だんだん気もち悪くなってきたー……おっ、おええええっ!」
卯稀がお茶子たちの前へ半透明の巨大な粘液の固まりを吐き出した。いつもならここで個性を解除して身体を戻す卯稀だが、今日はまだ残りが控えている。彼は巨大化した身体をキープしたまま、粘液の固まりを見つめている。
やがて粘液の固まりの中から全裸の百がゆっくりと立ち上がった。初めて洗脳されたときのように虚ろな目をしている。生まれ変わったことにより、先ほどまで首すじにあったドラキュラの噛み傷もきれいに無くなっていた。
「百? 気分はどう?」
「……はい。問題ございません、ご主人さ……ああっ! 申し訳ございませんでした!」
目の焦点が戻った百が、ものすごい勢いで土下座する。
「え? どうしたの百?」
「どうしたもこうしたも! 私、不覚にもドラキュラさんに操られ、ご主人様や麗日さん達にとんでもないことをしてしまいました……! これはもう死んで償うしかございませんわ!」
罪悪感に襲われた百が個性を発動する。彼女の腹から短刀が創造された。それを掴んだ百が短刀の切っ先を自分の喉元へ突きつける。
「わーっ!? お茶子ちゃん止めて! 急いで!」
「わっ、わわわわ!?」
自殺しようとする百に飛びつき、短刀を奪い取るお茶子。
「麗日さんっ、それを返してください!」
「あ、危ないって! 八百万さん!?」
短刀を巡って小競り合いになる二人を見て、卯稀が溜息を吐いた。
「はぁ……はい! 二人ともストップ! 百も早まっちゃだめ! これ命令ね。僕らは全然気にしてないから」
「し……承知しました」
卯稀に言われてようやく大人しくなる百。お茶子もホッとした様子だ。
「はい、これで百はオッケーだね。次は耳郎ちゃん、いってみようか」
「やっぱりウチもするの……って、うわぁっ!?」
続いて卯稀が響香をパクっと呑み込んだ。すぐに触手が彼女に襲い掛かる。慣れた動作で響香を丸裸にし、自由を奪っていった。
「もごもご。ぺっ、ぺっ……耳郎ちゃんもイかせてあげるよ」
「いやぁっ! なにこれ!? ヌルヌルしてきもちわ、あひぃぃっ!」
「そういえば耳郎ちゃんは触手初めてだっけ? どうせ生まれ変わるんだし、壊れるまでヤっちゃう?」
「やめっ、そんなっ! たすけ、マスタアアァァァァッ!? んぐっ、んぐぐっ!?」
泣き叫ぶ響香の口に触手が入り込み、口内を犯していく。しかも触手の責めはそれだけではない。彼女の前と後ろの両方の穴にも太めの触手が突き刺さっていた。それぞれの触手が前後に激しく動き、響香の大事なところを蹂躙していく。
「んぐっ、んぐぉぉっ!? んぶっ、かはぁぁっ! あぁぁっ! やめっ、んぐううううっぅ!?」
「あー、耳郎ちゃんってお尻の穴も気持ちいいんだね。あとでベッドの上でもヤらせてもらおうかなぁ」
のんきに呟きながら響香を三点責めを続ける卯稀。彼女の激しい嬌声が外にいる百とお茶子たちの耳にも届いた。
「うわぁ……」
じゃっかん引き気味のお茶子である。先ほど触手責めを志願したばかりだが、やっぱり考え直そうと思い始めていた。
「あぁっ! んぐぅっ! んんっ、んぅぅ!? あんっ、はぁっ……! は、あああああぁぁぁっ!?」
全身から押し寄せる快楽にすっかり酔わされて、響香が果てる。しだいに抵抗が弱まり、触手の為すがままにされてしまうのであった。
「……あの、ご主人様? 本当に大丈夫なんですの……?」
見かねた百が、卯稀に恐る恐る声を掛ける。
「……ちょっと心配になってきた。もう裸にしてあるから、ゴックンしちゃうね」
すっかり動かなくなった響香の様子に怖くなった卯稀は、彼女を胃袋へ放り込む。濁った眼をした響香の身体が溶けながら胃袋の中へ沈んでいくのであった。
それから待つことしばし。
「あー、また気もち悪くなってきたー……おっ、お、おええええええっ!」
百達の前に巨大な粘液が吐き出され、中から全裸の響香がゆっくりと立ち上がる。濁った眼はしているものの、生まれ変わったおかげで全身はツルツルになっていた。
「耳郎ちゃん? 大丈夫……だった?」
目の焦点が戻った響香が、恨みがましい目で卯稀を睨んだ。
「ゲーム中はごめん、ボス……でもさっきのは、ちょっと……あとで、覚えておいて……」
それだけ言い残すと響香は白目をむいて気絶した。
「耳郎さんっ!?」
あわててお茶子が響香に駆け寄り、彼女を抱き起した。
「よ、よーし! 気を取り直して最後は透ちゃんだ……って、あれ?」
透の方を向いた卯稀が目をパチパチさせる。そういえば先ほどから透の声を聴いていない気がした。
「……ご主人様。葉隠さんは気を失っておられますわ」
透の様子を確認した百が卯稀に報告する。
響香の責められる様子を聞かされた透はとうとう恐怖に耐えきれなくなり、気絶してしまっていたのだ。よく見ると彼女が座らされていた箇所から少量の湯気が立ち上っていた。
「おおう……それじゃ、このままヤッちゃおうか」
起こしてまた怖がらせるのも可哀そうと思った卯稀は、そのまま彼女を洗脳することにした。卯稀の大きな口に透が飲み込まれていく。卯稀は触手を使って彼女を裸に剥くと胃袋へ放り込んだ。
それから少しして、卯稀がえづきはじめる。
「よっしゃー、ひとまずラストー……って、、おっ、おふっ、おええええええっ!」
卯稀の口から三個目の巨大粘液が吐き出される。外からでは分かりにくいが、身体を透明にする個性を持つ少女が収まっているのだ。
「えーと、元に戻る前にお茶子ちゃん? 触手責めヤッとく?」
「い、いえいえ! なんだか急にお腹が痛くなってしまったので! また今度でお願いします!」
卯稀の問いに両手を大きく×の字に交差して断るお茶子。やはり触手責めされる勇気は出なかったようだ。
「じゃあ、百は? もっかいヤッとく?」
「わ、私も遠慮しておきますわ!」
「そう? んじゃ、元に戻るね」
個性を解除した卯稀が通常サイズに縮んでいく。そんなやりとりをしているうちに粘液の中から透が立ち上がった。
「おっ? 出てきた? 透明だから分かりづらいね。透ちゃん? 起きてる? 僕が誰だかわかる?」
卯稀に言葉に反応して透の目に光が戻る。彼女は粘液を抜け出して、卯稀の前まで移動した。
「うんっ! 私の大事なご主人様! これからよろしくね! りぼぼんっ!」
「これで五人目ゲットっと……って、りぼぼん?」
「そう! リボーン・キングだから、縮めてりぼぼん! かわいいでしょ?」
卯稀が首をかしげると透は無邪気にほほ笑んだ。
「なっ! 葉隠さん、ちゃんとご主人様とお呼びしなければダメですわ! いくらなんでもそれは……!」
「まあまあ百。僕の呼び方は何でもいいよ」
「ですが……あんっ」
まだ不満そうな百であったが、不意に後ろから卯稀に胸を揉まれて甘い声をあげる。
「うーん。この実家のような安心感。百が戻ってきてくれて本当に良かったよ」
「ああんっ、私も……ご主人様が一番ですわぁ……!」
先ほどの透に対する怒りはどこへやら。卯稀に構ってもらって百の顔があっというまに蕩けていく。それに気をよくした卯稀はさらに百の胸を弄ぶ。
「はぁんっ! あんっ、ああぁっ! ご、ご主人様ぁ……! 私、お股が切なくてたまりませんの……ご主人様のモノで埋めてくださいませんこと……?」
卯稀の愛撫にすっかりスイッチが入った百が身体をくねらせる。彼女の痴態に卯稀の股間も大きくなっていった。
「あー! 八百万さん、ずるいーっ! りぼぼんっ、私としよ?」
「あっ、キング様! 私もゲームで頑張ったので、ご褒美ほしいです!」
このまま野外で始めてしまいそうな二人を見て、透とお茶子が卯稀に飛びついた。
すっかり堕とされた透が大きめな胸を卯稀に押し付けてアピールしている。お茶子もさっそく彼の股間に手を伸ばし、膨らんだペニスに刺激を与え始めていた。
「ちょっと……ウチだけ除け者にしないで」
ピンク色になった空気を感じ取り、復活した響香がヨロヨロと卯稀に抱きついた。
「よしよしみんなエッチだねぇ。それじゃ、屋敷に戻ってお楽しみといこうか」
卯稀の言葉に全員の顔色が明るくなる。
一行が戻ろうとしたとき、誰かが屋敷から駆けてくるのが見えた。
「あっ、卯稀ちゃん! 探したわ。こんなところにいたのね」
ハアハアと荒い息を吐きながら梅雨が叫んだ。
「やあ梅雨ちゃん。また百と耳郎ちゃんを洗脳したよ。あと透ちゃんも僕のものになってもらったよ」
「それはいいんだけど……って、それよりも三奈ちゃんが大変なの! すぐに来てちょうだい!」
梅雨に手を引かれ、卯稀は屋敷に向かって駆け出した。その後を少女たちが追う。
卯稀たちが案内されたのは屋敷の入口のホールであった。大勢の使用人が何かを囲うように集まっている。彼らはみんな眉を八の字にして深刻そうな表情を浮かべていた。
「三奈ちゃん!?」
使用人の間をかき分けて、前に出た卯稀が叫んだ。
ホールの床には毛布が敷かれ、そのうえに大怪我をした三奈が寝かされていた。彼女は全身血まみれだ。いまは意識を失い、目を閉じたまま激痛に顔をゆがめている。
三奈の傍らでは屋敷お抱えのドクターが治療を行っている最中であった。
「梅雨ちゃん、どういうこと?」
「あのあと、三奈ちゃんをなだめにいったんだけど……私の不注意が原因で、私が卯稀ちゃんに洗脳されたことがバレちゃったのよ。そしたら三奈ちゃんが屋敷を飛び出して、崖から落ちてしまったの」
卯稀が尋ねると梅雨が苦い表情でいきさつを説明する。崖から落ちた三奈は、すぐに駆けつけた使用人たちによって救助され、屋敷に担ぎ込まれたとのことであった。
「あ、芦戸さんっ……!?」
後から追いついてきた透が、乾いた声をあげる。他の女子たちも声には出さないが全員が悲痛な顔を浮かべている。
「残念ですが、この屋敷の設備では助けることができません」
三奈の治療にあたっていたドクターが口を開いた。
「そんなっ……! ダメだよ、芦戸さんっ! 死んじゃダメぇ……!」
透の目から大粒の涙が次々とこぼれ、床を濡らしていった。
「だれか、使用人の方々の中に治療の個性持ちはいらっしゃいませんの!?」
百が叫んだが、使用人たちはみな目を逸らした。
「落ち着いて八百万さんっ! こんな大怪我を治せるのって、それこそリカバリーガールくらいしか……そうだっ、リカバリーガールを連れてくれば……あぁっ……」
三奈を助ける案を思いついたお茶子の顔が悲観に染まっていく。ここは人里離れた山奥だ。リカバリーガールを連れてくるまで何時間もかかってしまう。それまで三奈の命が持つとは思えなかった。
「ねぇ、ボスに洗脳してもらえばよくない? ウチたちの傷も治っちゃったし、もしかしたら」
響香の言葉に少女たちがハッとする。そんな中、一人だけ暗い表情のままの少女がいた。梅雨である。
「……おそらく駄目よ。卯稀ちゃんの個性って、相手を丸呑みにして強力な胃液で溶かしちゃうわよね? よく思い出してほしいんだけど、三奈ちゃんの個性って」
「酸、ですわね」
梅雨の言葉に百が相槌を打つ。
三奈の個性は身体中から溶解液を噴出することができる。つまり、酸性の液体にめっぽう強い体質なのだ。もしかすると卯稀の胃液にも耐えきってしまうかもしれない。
もしも三奈の洗脳に失敗した場合、彼女は卯稀の胃袋の中で溺死することになる。そう簡単に試すことはできなかった。
「ぐっ、ううぅ……」
苦しそうに三奈が呻いた。もうあまり時間は残されていないようだ。
百たちは何もすることが出来ず、悔しそうに三奈を見つめている。
「……もしかしたら何とかなるかもしれないよ」
辛そうな少女たちを見かねて卯稀が呟いた。
「りぼぼん本当っ!? でもどうやって!?」
「おっと、時間が少ないみたいだからね。質問はあとで。ええっと、誰かドラキュラのところに案内してもらえる? そろそろ元気になったでしょ? あのお爺ちゃん」
卯稀はひょうひょうとした態度で使用人たちに申しつけるのであった。
お読み下さり、ありがとうございました。