エレナ・ブラヴァツキーの恭順
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ある日のこと。ベッドで寛ぐエレナが楽しそうに本を読んでるものだから、一体なにを読んでいるのかと気になり、声を掛けると――――
「ん? ああ、これのこと? ……そうだ、ちょうどいいわ。あなたに心理テストしてあげる!」
「心理テスト?」
本当に楽しそうに、そんなことを聞かれた。
「そ。占いみたいなものね。それでは、一問目……『次の6匹の中からあなたが一番好きな動物を選んでください。犬、猫、鳥、馬、ライオン、象』……さあ、どれかしら?」
エレナの手にしている本は、別段珍しくも何ともない、動物を選ぶことによって性格を占うといった内容のものだった。魔術的な根拠とは離れた人間の心理……本当に正しいのかが甚だ疑問な占い本ではあるが、何となくエレナが好きそうな本だなーとは思った。
っていうか、この子……きっと、血液型占いとかも大好きなクチだよね。主観的な意見で申し訳ないが、信頼性なんてあったもんでもないのに。
「さ、答えなさい!」
それでもエレナは目を爛々と輝かせて尋ねてくる。
外見相応の無邪気さに押し負けて、半信半疑ではあるが、俺もマスターとして彼女の遊興に付き合うことにした。――――それはそうと、一番好きな動物は何、だったか。
「…………ライオンかな。何ていうか……カッコいいし」
「ふぅん……じゃあ、二番目に好きな動物は?」
「さっきと同じ六択か? なら、そうだな…………犬かな。可愛いよな」
「ふむふむ、なるほど……」
何度も頷きを示すエレナ。
あまり信じてはいないと言ったものの、やはりこうして自分を占われると気になって仕方がない。エレナは今頃、俺の解答をその本に書かれた診断結果と照らし合わせているんだろうが…………果たして、その結果は如何に。
「『一番目にライオンを選んだあなたは冒険心が強く、好奇心が旺盛です。攻撃的な性格で、目立ちがり屋』…………とのことです。どう? 当たってる?」
「あぁー、まあ何度もレイシフトしてるわけだし冒険心や好奇心は強い方なのかな? 攻撃的かどうかと言われると微妙だし、目立ちがり屋のつもりもないけど……」
「当たらずも遠からずってところかしら? それじゃあ、二問目の解答だけど『二番目に犬を選んだあなたは、忠実で、自分に尽くしてくれるタイプの異性を好みます』……」
「好きな異性のタイプか……気にはしてなかったけど、実はそうだったりするのかなぁ?」
「単なる暇潰しだし、そこまで深く考えなくてもいいわよ。だけど……ねえ、あたしって犬っぽいと思う? 自分ではそんなつもりないんだけど」
「強いて言うなら、エレナは猫とかかな。自由奔放で、気分屋的なところが」
「そ、そう? ………けどそれって、あなたの好みとは正反対じゃない。確か、忠実で、自分に尽くしてくれるような異性がタイプなんでしょ。何だか複雑ね」
「深く考えるなって言ったのはエレナじゃないか。所詮、科学的な根拠に基づいているわけでもない占いなんだからさ、気にしなくていいよ」
そう言うと、エレナはホッとしたように表情を緩めた。
心理テストとはいえ、簡単な相性を占うことくらいは可能だ。たとえ的外れな結果だったとしても「相性が悪い」と言われて良い気にはならないだろう。
(それにしても、犬、か…………)
再び静かに本を読み始めたエレナを遠い眼差しで眺めながら、ふと、そんなことを考える。
何かと、俺の周りには忠犬のような女性が多い気がした。マシュやリリィ、ネロ、牛若丸あたりは多分そうだし、エレナのようなタイプはきっと珍しい方だ。キャットはよく分からん。
(犬は可愛いよな。忠実なのもそうだし、何ていうか、こう、撫でたくなるのが……勿論、猫とか他の動物も好きだけど、やっぱり俺は犬が好きかな。だから――――)
他愛ない暇潰しではあったけど、それは俺の心に一つの炎を灯らせる。その炎は決して暖炉に灯るような穏やかなものではない。轟々と激しく盛る欲望という名の灼熱だ。
エレナ(の持っている占い本)に言われて、俺はそれを自覚した。
自分はきっと犬が好きなのだろう。今もそう、
無論、このカルデアに『犬』は居ない。フォウ君は『フォウ君』だし、イスカンダルや乳上の乗ってる幻獣は牛だったり馬だったり……とにかく、カルデアに『犬』は居ないのだ。
ならば――――誰かに
「……あのー、エレナさん?」
「んーなにー?」
エレナは本に目を向けたまま、俺の言葉に耳を傾ける。
「お願いがあるんですけど、いいでしょうか?」
「急にどうしたの? 気味悪いくらいの殊勝さね、何か魂胆があるんでしょう…………って、ああ、そういうことね? まったくもう、あなたってば本当に男の子なんだから。昨日もあれだけしたのに、もう我慢出来なくなっちゃったのかしら?」
いそいそと起き上がるエレナ。
少しだけ勘違い……否、早とちりされた気がするが、あながち間違いでもないのでこのまま話を進めよう。今から俺が頼もうとしていることは、つまりは『そういうこと』なのだから。
「それで、今日はまず何からしてほしいの? 口? それとも足?」
初めは躊躇ぎみだった行為も、今のエレナは積極的に応じてくれる。口ではやれやれと言いつつも、彼女自身、俺との悦楽の日々から抜け出せないでいる。
そんな少女ならばこそ、並大抵の要求では断るどころか驚きもしないはずだ。この前も足でしてくれと頼んだら乗り気でオーケーしてくれたし。故に、今から告げる俺の要求は、エレナの余裕を砕くといった意味も含んでいた。
そうして、俺は『それ』を一見申し訳なさそうに告げて――――
「なっ――――――――!?!?」
内緒話を囁くような声量で伝える。すると、エレナが顔を真っ赤にして驚いた。
「ほ、本気!? そんなの出来るわけないじゃない! あなたにちょっと特殊な性癖があるのは知ってたけど……最近、ますます磨きが掛かってきてるわ! 少し頭を冷やしたらどうなの!?」
「あ、うん、ごめん……自分でも変なこと頼んでるのは分かってるけど、こんなこと頼めるのエレナしかいないからさ……」
「う、ぐぐ……そんなこと言われたって、あたしには……」
葛藤がエレナを苦しめる。
引き受けたいのは山々だが、流石にそれは無理だと理性が叫ぶ、そんな葛藤。少女が決断に苦しむのも当然だ。プライドもあるし、何よりもエレナの羞恥心が悲鳴を叫んでいた。そんなことは人間が――――それも、英霊である自分がすることではない、と。
(うーん、流石に今回はダメかな……)
逡巡の様子こそ見せるエレナだが、その葛藤の針は明らかに理性の方へと傾いていた。きっと、どれだけ腰を低くお願いしたところで、少女が首を縦に振ることはない。俺の楽観とは反して、エレナの態度は明らかに「無理」だと主張していた。
流石に、ハードルが高すぎたのだ。こればかりはエレナを責められないし、素直に諦めようと引き下がる。ただし、その前に――――
「分かった。じゃあ、
一言、そう言った。
わざとらしく部屋を出ようとすると、少し間を置いて、背後からエレナに呼び止められた。振り返った先では、少女が難しい表情を作っている。俺が恍けて「どうかしたの?」と問い返すと、エレナは激しく顔を赤らめて叫ぶように言った。
「……し、仕方がないから、あたしがやってあげる。本当は嫌だけど……他のサーヴァントになんて任せられないし、だから
責任感か、あるいは嫉妬か。
エレナが紅潮して告げた台詞を待っていたと言わんばかりに俺は笑う。ならば、そう。必要となるのは『道具』だろう。俺は妥協を許さない。エレナには申し訳ないが、これから先、彼女には俺の指示に従う文字通りの「犬」となってもらおうではないか。
∞ ∞ ∞ ∞
――――マイルーム。
「…………で。これらの不吉な道具たちは一体何なのかしら?」
エレナが冷めた目つきで俺を睨んでくる。
「何って……見たまんまの道具だと思うけど」
「見ても分からないから聞いてるのっ! だいたい何よこれ……手のひらに収まる程度のボールに、紐が繋がってる? 随分とおかしな形状ね……これで一体何をするつもり?」
「それはボールギャグ。猿ぐつわの一種だよ。いやあ、持つべきものはカーミラ様かな。そういった道具なら何でも持ってるんだもん、そう、カーミラ様ならね」
「他にも、いっぱいあるけど……」
エレナはひとまずボールギャグ――――『
「この『バイザー』は?」
「――――あ、それメデューサの」
「ガチな奴じゃない!」
「特殊な眼鏡と交換で譲ってくれてさ、他にも色んなサーヴァントから借りて……この『首輪』なんかはアタランテから貰ったものだし。何だっけか、布教用? とか言ってたな。自分の分はあるからとか何とか……」
(え、え、なに、どういうこと? 自分の分って何?)
驚愕と動揺の連続。普段の冷静さなんて疾うの昔に消えている。それらの道具が単なる紹介で終わるのならまだしも、それを「体験」するとあっては、エレナが動揺するのも無理はない。
そして、俺は最後に今日の主役とでも言うべき『犬耳』と『尻尾』を紹介した。
人工的に作られた動物を動物たらしめる部位。それらを見た瞬間、エレナがハッキリと嫌そうな顔を見せた。そんな彼女に、再度俺は意気揚々として「それ」をお願いする。つまり――――
「――――犬になってくれ、エレナ!」
「――――絶対に無理!!」
実物を見たことで改めて羞恥心が高まったのだろう。
エレナは声を大にして拒否を叫び、何度も首を横に振っていた。犬になってくれとは言ったが、ただのコスプレで終わらせるつもりはない。『
犬を飼うのであれば、しなくてはならない行為がある――――すなわち、散歩だ。
今からエレナにはそれらのアイテムを使い、ペットとしてカルデアを歩き回ってもらう。俺にリードを引かれ、勿論、見つかるわけにはいかないので深夜の誰もいない暗い廊下を慎重に。忠実で、健気で、愛くるしい犬そのものになって――――
「無理よ、無理! いくらあなたの頼みでも……!!」
「……そっか。いや、今回は俺が悪かったよ。だから他のサーヴァントに――――」
「そ、それもダメっ、そんなこと――――ああもう、分かった、分かったからぁ! あたしに全部任せなさい! どんな結果になっても知らないんだから!!」
自暴自棄になってエレナが泣き叫ぶ。良心が痛まないでもないが、ここは本能にこそ従った。
「それじゃあ、まずは服を脱いで」
「っ…………!!」
初めに準備がある。動物ならば服を着ないのが自然であり、妥協を許さないということは、つまりはそう徹底的に極めるということ――――エレナを着替えさせる必要があった。
(そんなにマジマジと見ないでよ、馬鹿ぁ……っ!)
俺の指示に従い、ゆっくりと服を脱いでいくエレナ。
その光景を俺はじっくりと観察する。まず初めに現れたのは、僅かに膨らんだ双丘。その先端で小さく屹立している桜色の突起から、どんどん下に下がっていって――――
ヘソを過ぎた辺りからエレナの動きが鈍り始めた。何度も裸は見せたことのある相手なのに、今日は一段と恥ずかしさが込み上げてくる――――と言った具合に。俺が急かすように声を掛けると、観念したのか、エレナがついに己の秘部を露わにした。
俺に見られていることで緊張しているのか、幼さを全開に主張する少女の割れ目はきゅんきゅんと疼いていた。そうして、生まれたままの姿となったエレナの首に、俺が続けて『あるもの』を掛けてあげると、
「はぅん、くっ…………!」
途端、エレナが甘い悲鳴を叫んだ。
『あるもの』とは首輪のこと。少女の細い首で一周させて、金具に止めた、赤いベルトのような帯である。首輪からは鎖が繋がっていて、伸びた鎖は俺の手に握られていた。
サーヴァントを戒める『令呪』とはまた違った拘束――――強制力がエレナを縛り上げる。その一方、俺の中では征服感のような衝動が激しく燃え盛っていた。
(あっ、やだ、これぇ……嫌なのに、マスターのものにされてる感じがすごくして……っ)
首輪の存在のおかげで飼い犬らしさを自覚し始めたエレナ。
身をくねって快楽から逃げ出そうとする少女へと、俺は更に続けて『耳』を付けてあげた。犬のそれを模した人工的な獣耳。カチューシャのようになっているので、それを装着させること自体は難なく成功したのだが、
「エレナ、ベッドにうつ伏せになって」
「え……こ、こう?」
全裸となり、首輪に繋がれ、獣耳を生やし、かくして犬の姿に近づいたエレナだが。
やはり、耳と同様、肝心となるのは尻尾の有無だろう。それなくして動物と呼ぶことは出来ない。だからこそ、残る一つの
ベッドの上で四つん這いになるエレナ。俺は今、彼女の姿を後ろから眺めている。つまり、俺の眼前へと突き出されるようになっている少女の小さなお尻を直視していた。
少女の陰裂からほんのりと色がかった菊門まで丸見えとなっている姿勢。今回、用があるのは彼女の後ろの方の穴だ。獣としての尾だけではなく、その末端となる部分に不自然な突起のような異物が連結しているその道具を見た瞬間、エレナが不安な声を出した。
「ね、ねえ……それって、やっぱり」
「息吐いて、力抜いて。それじゃあ、行くよ」
エレナの危惧した通り、それはベルトで腰に止める――なんて優しい仕組みはしていない。
「んっ、んぁっ……ふぁ、あ、あぅっ……かひゃぁ、これぇ……へ、変な感じぃ……!!」
なるべくゆっくりと、それを挿入した。
ピラミッド型の異物は決して大きくはないものの、少女の閉じ切った尻穴を悠々と通るほどのものではない。こじ開けて、こじ開けて、ずぶぶぶぶ……と、奥へと潜り込ませるために少しずつ力を強めていく。
「ひぐぅ、りゃ、めぇ……ん”ん”ん”っ……ぁっ…………!!」
すると、どうしたことか。
少女の尻穴を刺激しているというのに、次第にエレナの雌である前の穴からは愛液が垂れ始めていた。にじみ出る程度ではあるが、エレナが快楽を覚えているのは事実である。これならば、絶頂を迎えるのも時間の問題だろう。
「壊れひゃ、んぃぃ……っ、おしりが、ぁ、あっ……はぐ、ぅ…………らめぇ……っ!!」
まだ準備の段階ではあったが、エレナは一人で出来上がってしまっていた。此処で達せられても困るので、不用意に弄りすぎることはせず、突起物が完全に収まったところで手を止めた。
「あ、ひゃぁ……ん、くぅ、はぁ………も、もう、終わったの?」
「まったく……本当にだらしないサーヴァントだな、エレナは。俺はイっていいなんて許可してないぞ。今回は未遂だったからいいけど、次に俺の許可なく絶頂を迎えたらお仕置きだからな」
「んぁっ、……ごめん、なさい…………! だから、鎖引っ張らないで……んっ!!」
エレナが苦しそうに目を瞑る。
それほど力強く引いたつもりはないのだが、やはり首を支点に力が掛けられるというのは予想以上の圧力が掛かるのだろう。けれど、エレナの悲鳴はどちらかと言えば、苦痛よりも快感としての音を奏でている。存外、俺の与えた首輪を気に入ってくれているようだった。
「よしっ、さっそく散歩にいこうか」
これで準備も整ったことだし、本番へと移っていく。
俺がそう言うと、エレナが恐怖に身体を震え上がらせた。
これまでは室内で行われた、言ってしまえば普段俺たちが及んでいる性交と何ら変わりがないのに対し、全裸に首輪という極めて危ない恰好で
――――否、本当にそれだけだろうか。本当に、エレナは恐怖に震えているだけだろうか。
俺の予感としては、恐怖だけではないはずだ。縛られたり、見られたり、
(んぁぁ……マスターに乱暴にされると、身体がびくんって……これ、首輪付けてると……マスターの犬になってる感じが本当にすごい…………ちょっと、好き、かも…………)
愛おしそうに首輪を指で弄ぶエレナ。そんな彼女の頭を無意識的に撫でると――――
(ん、やぁっ……やだ、マスターに頭撫でられるの嬉しい……あたし、心まであなたの犬になっちゃったのかも……んっ、もっと……もっと、ナデナデしてほしい……っ)
エレナもとろけたような表情で俺のそれを受け入れていた。
全身が性感帯にでもなったのか、俺が頭を優しく撫でる度にエレナはびくんびくんと身体を震わせていた。しきりに漏れ出す悲鳴は完全に快楽の音に染まっている。エレナの堕ちた姿――――もしくは、これが本当の姿なのかもしれないが――――を見ていると、俺の方も興奮が高まってきた。
さて、と。時間も頃合いだ、出かけるとしよう。夜も寝静まった時間帯。各サーヴァントや、カルデアの職員たちも、大人しく自室で待機しているはず……少なくとも、廊下を出歩いている者は一人か二人。広大なカルデアの全容を以てすれば、鉢合わせになる可能性など皆無に等しく。
そうして、俺はリードを引いてエレナと一緒にマイルームを脱出した。四足歩行で俺の一つ後ろを追ってくる少女、だがその前に――――
「ん、ぐぅ、ふぐ、ぅっ……んん、ん、ぐ、んむぅ…………!!」
目隠し用のバイザーと、口を塞ぐためのボールギャグを装着して、完了だ。
犬以上の何かへと変身したエレナが何かを抗議しているようだが、おそらくは不安を叫んでいるのだろう。視界が閉ざされた状態では何を錯覚してもおかしくはないのだし、彼女の疑心暗鬼は一秒ごとに膨れ上がっていく。
――――もしかすると、すぐそこには誰かが居て。
――――自分のことを、侮蔑の眼差しで見ているのかもしれない。
そんな不安感に襲われるエレナを連れて、俺は外に出た。雌穴から垂れ落ちる愛液が両足を伝って、ある種の痕跡を床に残す。一歩ずつゆっくりと、背後から感じる影法師の気配に震えながら、少女はただひたに暗い
∞ ∞ ∞ ∞
ドキドキと、心臓の音が木霊するようだった。
それ以外の音なんて何一つ響かない静寂。慎重に歩を進めることで、足音さえしない――――無音、閑静、静謐。この静けさに気が狂いかけるのだが、なのに、身体の中心から迸る恍惚とした感情をエレナはハッキリと感じ取っていた。
一秒でも早く帰りたい。視力を封じられた彼女は、ただただそう願う。今のところ他人と遭遇する気配が無いとはいえ、それも時間の問題だ。誰かに見られでもしたならば、言い訳の余地などない、正真正銘の破滅が舞い降りる。
服を着ていないどころの話ではないのだ。その状態で公共の道を行くのみならず、飼い犬としての恰好もさせられて、その
「ん、んうぅ、ふぅ……んむぐぅ、ぅぅ…………っっ」
眼だけではなく、口もまた封じられた現状。ゴルフボール程度の異物を咥えさせられたエレナに、人としての言語は話せない。せいぜいが呻くような、それこそ獣の声なれば。
(や、あぁ……首輪が引っ掛かって苦しいのに、あたしの身体……熱くなって)
先導する俺の一つ後ろを懸命に追従するエレナ。
元々、人体とは動物のような四足歩行をするために出来てはいないので、膝を突き、両腕の力を使って前へと進むその姿勢は、少女にひどく窮屈さを覚えさせているのだろう。俺も普段より幾分か遅く歩いてはいたが、その程度のスピードに後れを取るほどで。
交互に進む大腿の動きに合わせ、少女の尻穴から伸びた疑似的な尻尾が左右に揺れた。犬が尻尾を振るのは喜んでいる証拠と聞いたことがあるが…………今のエレナを見ていると、それも正しいとさえ思えてしまう。
彼女の陰裂から漏れ出す愛液は、カルデアの廊下に軌跡を描いていた。エレナは気付いているのか、少女の雌穴は発情した獣の如くに熱を帯びて、
一度、エレナの口枷を取ってやる。彼女に発言の許可を与えたのだ。
「犬になった感想はどうだ、エレナ?」
「ん、ぷはぁ…………ば、馬鹿。最悪に決まってるじゃない。怖くて、不安で……こんなの、嬉しいはずが……んっ、一刻も早く帰りたくて仕方がないのに……っ」
「……本当に帰りたいのか?」
「あ、当たり前でしょっ。万が一、誰かに見られでもしたら……あたし、もう此処にいられない。マスターとこんなことしてるって知られたら……皆に軽蔑されちゃう……っ」
囁く程度の声でエレナが呟く。
彼女の不安は正しい。これなる痴態を目撃されて、元の関係のままでいられる――――なんて想像は都合が良すぎるだろう。少なくとも、周囲におけるエレナのイメージは瓦解する。それは侮蔑であり、憐憫であり、愉悦であり、少女の尊厳を地に失墜させる社会的な死を意味していた。
ああ、それは間違いない。ただ、本心とも言い難い。万が一の可能性を恐れる心は本当だし、早く帰って安堵に浸かりたいと願う気持ちも本物だ。けれど――――
――――もしも見られたらどうなるのだろうか。
そんな妄想が興奮を刺激する。恐ろしい。恐ろしい。恐ろしい。そんなことを考えてしまう……否、心の何処かで
(早く、早く犯してほしい……ますたーのおち○ぽで、あたしの発情したおま○こを壊してほしい……何処でもいいから、見られてもいいから、気持ちよくなりたい……っ)
言葉にこそ出ないが、既にエレナの理性はドロドロにとろけ堕ちていた。ともすれば、この場での性交を求めるほどに。口枷を外したことでだらりと垂れ切った少女の舌は、ペットが餌をねだる時の姿によく似ていた。
それを察しながら、俺は再び口枷を戻して散歩を再開する。一瞬、エレナが辛そうに身を震わせたが、無視をした。ペットに褒美を与えるのは散歩が終わってから、そう言い付けて。
「ん、むぅ、んぐ…………っ」
故に、エレナも今はただ歩くしかない。期待に飢え、性欲に狂い、雌穴から涎を漏らし続け、それでも歩く。果てしない快楽の連鎖にも耐え、今はただこの迷宮を――――
(あっ……なんだか急に、良い匂いがしてきて……)
どれほど歩いただろうか。
恥ずかしさを切なさが上回った頃。目隠しをされたエレナには当然、自分が今どのあたりを歩いているかを確かめることは出来ない。けれど、突如自身の鼻孔をくすぐった花の香り――――爽やかで、清々しい、その香りに、漠然と位置を把握した。
そこは絢爛豪華に花々が咲き誇る、カルデア唯一の
地下深くに位置するカルデアで植物が育つはずはなく、それらの多くは魔術的な栽培を為された花として知られていた。見栄えの点では外の世界のものとも遜色はない。色取り取りの花に囲まれた庭園は、今でこそ照明の一つもなく青白い光を灯すだけだったが、日中であればそれはいと煌びやかな空間を演出し――――
事実、そこは憩いの空間として普段から多くの住人が訪れていた。俺やエレナも、何度も訪れたことがある。だからこそ、少女も気が付いたのだろう。
「…………よし、少しここで休憩するか」
人っ子一人いない静かとした庭園で、俺は足を止める。
エレナもくたっとへたり込んで、肩で息をしていた。何というか、今更ながらにエレナの姿が極めて扇情的であることに気が付いた。全裸であり、首輪を付けて、目隠しと口枷に苦しみ、耳と尻尾を備えている。その有り得べからざる姿を眺めていると、俺自身も欲望を我慢できず、
「
少女の口枷を外すと同時に、俺はズボンのファスナーを下ろして、内側で張り詰めていた肉棒を彼女の面前にさらけ出した。それ自体が生物のように脈を打つ男の象徴。勃起した陰茎は、今か今かと爆発の瞬間を待ち望んでいる。
「あっ、ますたーのおち○ちんの匂いが…………」
俺の膝元で座り込んでいたエレナが、途端に歓喜の表情を浮かべた。
尤も、バイザーを装着している彼女に、露わとなった俺の肉棒が見えているわけではない。鼻をつんざく獣の異臭を感じ取ったが故の劣情だった。
エレナは動物さながらに鼻をすんすんと働かせて、見えぬままに俺の肉棒の居場所を嗅ぎ分ける。褒めるべきか、その精度は正確の一言に尽きた。怒張した陰茎。その目の前に顔を近づけてみせた少女は、そのまま咥え込み――――
「んむぅ、じゅる、じゅぶっ、ずずずっ……ちゅぱ、ぇろぉ、ちゅぅぅぅぅ……………!! んはぁ、ますたーの、んんっ……これぇ、ずっと欲しくて……っ、じゅぶん、じゅるるっ……この匂い、味が、んちゅ、しゅきぃ……ぢゅ、ぢゅぅぅ……れろぉ、ん、んんぅ、じゅずるる……ちゅ、美味しいっ……もっと欲しいっ……じゅぽ、じゅぱ、ずじゅぅぅ……っっ!!」
疲れ切っていたかに見えたエレナだったが、口淫の動きは激しく、俺を圧倒した。
亀頭に舌を触れさせたかと思うと、次の瞬間には喉の奥底まで咥え込み、俺の肉棒を愛撫する。全体的に丁寧に嘗め回され、時には吸い出され。予想を超えて遥かに強烈だった刺激に、陰茎はびくんびくんと何度も大きく跳ね上がっていた。
「ごほうび、嬉しぃ……ん、ちゅ、ぺろっ……じゅる、ちゅぱぁ……んあぁ、やだぁ、逃げないで、……んぢゅぶ、ちゅくぅぅ、ん、んふぅ、んんっ…………!!」
肉棒は瞬時に爆発寸前へと至り、俺はたまらず腰を引くことで逃げ出した。しかし――――
「はぁ、ん、むぅ……!! おち○ぽの先かりゃ、ん、ちゅぅぅ……露がでてりゅ、もうイきそうなのね、ますたー。あたひのおくちで、じゅるるる………!! 気持ちよく、なってくれてるのね……んっ!!」
エレナの口に一秒と経たず捕まって、サオのスジに従って舌先と、先走りの液を吸い尽くす苛烈な吸引力、それらの相乗した口淫による攻撃に、俺の足腰が砕け始めていた。
欲望に貪欲となった彼女はかくも恐ろしい。そう告げるような。
唾液が幾度となく弾け飛ぶ。卑猥な音色が奏でられる。じゅぶん、じゅず、ぢゅるるる。頭を前後にストロークさせる少女の動きに、俺のペニスも射精の秒読み段階に入っていた。
「
「んんっ……いいわ、りゃひて、……ちゅ、れろ、んじゅぅ、わらひのお口に……ずじゅ、ずずっ………!! あなたの精液、んむ、びゅっびゅって射精して……っっ!!」
一層、エレナの口淫が激しくなる。
獣として、雌として。その恰好も相まってか、正真正銘の雌犬として。俺の吐き出さんとしている白濁液を無我夢中に待ちわびていた。じゅくじゅくと雌穴は愛液を垂れ零し、少女の膣内は男の精を受け入れる準備が完了していた。――――が、あくまでエレナは口への射精を所望している。
目も見えないながらに繰り出される愛撫の連撃に、俺もいよいよ限界が到来して――――
「ッ――――誰か来るッ!?」
だが、その瞬間。カツカツと足音を響かせて此方に向かってくる人の気配を感じ、俺は咄嗟にエレナを連れて、近くの茂みに姿を隠した。それほど高さがないとはいえ、屈めば十分に隠れられる程度の草の壁である。俺とエレナは一先ず、息を殺してその誰かを待った。
その誰かとは、
「むぅ……何やら音がしたと思ったか、やはり気のせいでしたか。この時間帯に出歩く者もいないでしょうし、気のせいであってくれて良かったのですが……。いや、幽霊怖いですし」
筋骨隆々とした一人の男――――独り言をぶつぶつと呟きながら此方に向かって歩いてきたのは、ランサーのサーヴァント・レオニダス一世だった。
なぜ彼がこんな静まり返った庭園に。自称・頭脳派の肉体系サーヴァントには、このような場所は縁が無いだろうに。ただ、それでも来てしまったのは事実だ。今はそう、庭園の中をゆっくりと進んでいくレオニダスが此方に気付くことなく帰ってくれるのを祈るばかりだ。
「最近、この辺りで幽霊が出るとの噂が絶えませんが……一刻も早くその真相を明らかにしないと、私、穏やかに寝ることもままなりません。こうして調査に来たのは良いですが……やはり怖い! 幽霊怖い!!」
庭園は一本道で出来ている。長さもそれなりで、比較的入口近くの横道に隠れていた俺たちに気付かず、レオニダスは奥へと進んでいく。その足音も次第に小さくなっていき、やがて折り返し庭園を後にする――――それまでの辛抱だと、俺はかたく息を呑んだ。
なのに――――
「ぱくっ、ちゅぽん、じゅずるるるる…………!!」
(っ……エレナ!?)
再び口淫を再開させた少女に、俺の心臓が盛大に早鐘を打った。
慌てて隠れたために、俺とエレナは抱き合うようにして茂みの裏に倒れていた。ちょうど俺の股の間にエレナが顔を埋めるようにして。だから、剥き出しになったままの肉棒が彼女の眼前にあったのは事実だが、それでもだ――――!
ひたすらに気配を殺すべき時間。見つかりたくないのであれば、取るべき手段など一つだろうその空白に、エレナは尚も欲望に従い口淫を続行させたのだった。
少し視線を下げれば、俺のペニスをいやらしく咥え込む少女の相貌が映ってしまう。それはひどく淫猥で、魅惑的で、瞬く間に射精感が回復した。ちょうどその頃、ランサーが庭園を折り返す。その足音が一歩ごとに巨大化する。
(駄目だ、エレナ……気付かれるぞ……!!)
声には出せないから、視線でそう訴えたのだが………今の彼女はバイザーのせいで何も見えていない。此方がいくら視線で意思を伝えようが、伝わるはずもなく。
「じゅぅ、ずず、ぇろ、ぺろ、ちゅぅぅぅぅ…………!! んちゅ、ちゅぱ、んむぅ、ん、んっ、んんんっ………んじゅぷ、ちゅぽんっ、んぁっ……! ますたーの精液、欲しい……あむぅ、んっ、んふぅ、んぢゅぅ、ずじゅるるるるる…………!!」
亀頭を呑み込んだ少女は、此方の事情などお構いなしに吸い上げる。左手で自身の陰部をぐじゅぐじゅと弄りながら、カリに、サオに、時には玉袋にさえ及んで、体温に熱された唾液を満遍なく塗り付ける。じゅぽ、じゅぽ。そして、俺が耐えきれなくなったことを悟った時から、エレナは肉棒を咥え、一瞬たりとも離さずに――――
(射精る…………!!)
両手で自分の口を強く塞ぎ、跳ね上がる腰を出来る限り抑え込んだ。そして、
――――ドプンッ、ドピュッ、ドピュッ、ビュルルルルッ!!
「んぶぅっ……!! …………ッ!! ……ん、ふぅ……んくぅ、ん、ごきゅん、……!! んむ……ごきゅ、ごく、……っ……っっ…………ッッ!!」
その瞬間、エレナの口内に精液が勢いよく吐き出された。幸いにして彼女の口から悲鳴が漏れ出すことはなく、俺も声を押し殺すことに成功したが……
「………………………………やはり、気のせい、ですか」
レオニダスがその場で一歩足を止めた時は、本当に心臓が破裂するかと思った。何事も無かったかのように再び歩き出し、庭園を立ち去っていく彼の後ろ姿に安堵を覚え、ホッと溜息を吐こうとした刹那。
「んちゅ、ちゅぱ、じゅぢゅぅぅ……っ、あはぁ、ますたーのせいえき、すごい量……のみきれない、こんなひ………ん、あぁ……ぴちゅ、ちゅぽん、こぼれちゃう……っ」
連続した吸引に、肉棒が更なる快感に襲われた。
尿道の中に溜まった精液を吸い尽くすようにエレナが口をすぼめ、狭小とした彼女の口内に収まり切らなかった白濁液が溢れ出す。粘性の白い液体が少女の口から伝い、彼女の表情を卑猥に仕立て上げ、更に垂れ落ちた精液はエレナの胸を汚していった。
ごぼっ……と流れる精液の行方を自然と目で追うと、小ぶりではあるが、その頂にて可愛らしく勃起している乳首が視界に映った。それをエレナが自分の胸に塗りたくるものだから、汗も合わさって、桃色の突起から母乳が出ているかのように見えてしまう。
「っ…………まったく、気付かれるかもしれなかったのに、エレナは本当にこらえ性がないな。自分の卑しさを反省しろ、この
芝居がかった口調で、俺はエレナを罵った。鎖を持ち上げ、転じて首輪が締め上げられると、エレナが苦しそうでいて気持ちの良さそうでもある悲鳴を零した。既に身も心も飼い犬と化した少女には、それがある種の褒美となってしまったのか。
バイザーを取ってやると、快楽にとろけた二つの瞳が現れた。焦点も合わず、ただ欲望に揺れ動くだけの淡い輝きを放ち、その視線は更なる快楽を渇望していた。
「にゃぁ……んん、ましゅたぁ……」
エレナが自分の両脚をM字に広げ、俺に見せつけてくる。ぷっくらと盛り上がった肉の花弁を指で開き、割れ目の奥にある膣穴を開かせて、ぐちゅぐちゅと音を立てて自慰をする、どこまでも卑しいサーヴァントは、その黒洞で以て俺を誘惑した。
獣耳と、尻尾と、そして首輪。単純な裸ではなく、動物を真似たその姿。くぱあと広げた雌穴はひくひくと震えている。いつの間にか、射精を終えたはずの陰茎も回復しており、
「お仕置きだ、エレナ。俺がイクまでイクんじゃないぞ!」
「あっ、ひゃいっ……お仕置き、してぇ……っ、あたしの雌犬おま○こ、ご主人さまのおち○ぽで、いっぱいお仕置きしてぇ……!!」
自ら広げてみせたエレナの膣口に肉棒をあてがうと、そのまま覆いかぶさるようにして腰を突き出した。亀頭が少女の洞穴を掘り進み、熱くとろけた粘膜の感触に包まれる。まるで幾つもの小さな舌に舐められているかのようなヒダの刺激に、気を抜けばすぐにでも果ててしまいそうな快楽に襲われた。
「んぁ、ぁぅんんっ、ましゅたあのおち○ぽぉ、いつもより激しくて、乱暴で……っ、発情しちゃうの、止まらにゃ……っ、んふぅ、あっ、しゅご、ぃ、お仕置きなのに……んくぅ!! ぁ、はぁ、んんっ……喜んじゃって……っ、ごめんなしゃ……ぃ、ひぐぅ……っっ!」
俺の腰に足を絡めるエレナは、そんなことを謝りながらも気持ちの良い声を出して。
痙攣する少女の膣壁は物欲しげにペニスを締め付ける。お仕置きとはつまり、反省こそすれ感謝をするべきものではないというのに、彼女の相貌は隠す気すらないほどの幸福感に歪んでいた。
首輪を引いてやると、やはりというか、苦しそうでいて嬉しそうな鳴き声が漏らされる。コツン、コツン、と子宮口を亀頭の先端が打ち叩けば、それだけで恍惚として嬌声が乱舞し、この静謐とした空間を響いていった。
誰もいない――――レオニダスも帰ったことで無人と化した庭園ゆえに、エレナは快楽を押し殺すということをしなくなった。ともすれば、再び誰かに勘付かれてしまいそうなものだが、俺がいくら忠告したところで今のエレナの耳には届くまい。
俺もただただ腰を振り続ける。このだらしのない雌犬サーヴァントを躾けるための、悪手でもあった調教行為を、肉棒の抽挿を繰り返した。
――――
∞ ∞ ∞ ∞
――――私は、夜に咲く毒の花。
――――我が舞踊は風に毒を乗せ、主の敵を殺し尽くす。
二人が性交に及ぶよりも遥かに以前、二人が此処を訪れるよりも彼方に以前。
その庭園には、既に一人の客がいた。ひっそりとして、音も気配もなびかせず、だからこそ誰に気付かれることもなかった暗殺者が一人――――
(アレは…………
「山の翁」と呼ばれる者たちがいる。
とある暗殺者集団の教主たる存在に贈られる称号。それなる位を務めし歴代の暗殺者を指して、山の翁――――すなわち、ハサン・サッバーハと呼ぶ。
その一人、「毒の娘」を模した、うら若き乙女の姿なりし暗殺者。肌は色濃く、死をも凍てつかせるその静かとした気配をして、歴代のハサンを区別する、少女こそが「静謐」なれば。
花が好きだった。小さな動物や、あらゆる生命が愛しさの対象として。自身の特性ゆえに触れること叶わぬものたちではあったが、それはともかくとして。
静まり返った夜の庭園。活気に満ち溢れた日中ではなく、魔が歩く時間帯の庭園を彼女は好んでいた。寄り添う者はいない。けれども、可憐に咲く花々を眺めるこの時間が大好きで――――
そんなある日。
今日もまた静かに花壇を愛おし気に眺めていると『足音』を聞いた。暗殺者として、人の気配には敏感だったのか、相手が気付くよりも先に少女は察知する。
理由こそ無かったのだが、少女はとりあえず隠れることにした。人見知りということにでもしておこう。未だ此処――――カルデアに召喚されたばかりで、馴染めていない彼女には、やはりじっと隠れてやりすごすのが無難に思われたのだ。
けれど、その人は。
――――過日、出会ったあの日から。
――――自分は、彼の優しさにこそ恭順している。
――――我が毒に殺されぬ其の人よ。
――――穏やかで、あまりにも輝かしくて。
――――嗚呼、そんな貴方のお役に立ちたかった。
体液、粘膜、あらゆる毒素に溢れた我が身。それを知らずに触れること一度。それを知ってなお、撫でてくれたことが何度か。その度に私は――――
少女にして特別な
尽くし、尽くすべき、ただ一人からなる主人。話がしたくて。微笑んでほしくて。出来ることなら、この頭を撫でて、もう一度触れてほしくて。彼ならばと、少女は姿を現して声を掛けようとしたのだが、その動きが突然止められる。
(あの子は……確か、キャスターのサーヴァント。けれど、その恰好はいったい……)
彼に遅れて、一人のサーヴァントが現れた。
現れたというよりは半ば引きずられてきたかのような登場だったが、何よりも少女の瞳に奇異に映ったのは、その出で立ち。耳があり、尻尾があった。裸で、四足で歩いて、首に輪をはめていた。
少女は一瞬でその異常性を理解する。これは流石に
彼女に見られていることにおそらく気付いていないのだろう彼らは、その場で徐に互いを求め始めた。初めて見るマスターの陰茎。大きくて、力強くて、嗚呼、自分もまた心の何処かで欲していた彼の愛の象徴を、獣の姿を真似たサーヴァントが、一気に咥え込んだのだ。
(っ…………!?)
激しく行われる口淫の光景に、瞠目する少女は息を殺す。
どうして――――という疑問よりは、そうなのか――――という納得の方が大きく、食い入るばかりにその一部始終を見つめていた。マスターの性器が、自分よりも幾分か小さな少女の口内を犯している。その尋常ならざる光景に、ただただ視線を向けて。
やがて他のサーヴァントの出現により、彼らは茂みの裏へと避難したのだが、それが偶然にも自分が隠れている付近であったこと、それでも自分の存在には気付くことのなく、度重なる偶然の名の下に再び交わりを再開させた二人の淫行から、少女は目を離せずにいた。
(あっ……
まるで参考とするかのように。
(ん、はぁ…………身体が、熱くなってきて……こんなこと、初めてです……自分が犯されているわけでもないのに、どうして……ああ、だからこそ……貴方に尽くしたい、貴方に愛してほしい)
いつの間にか、その視線は劣情という名の熱を孕んでいた。
口淫は加速し、幼いサーヴァントの口内へとマスターである彼の精液が吐き出され、なおも休むことなく本番へと――――茹で上がった少女の雌穴を貫いた彼のペニスを見て。
身体は、耐えがたいほどに火照っていた。意識とは無関係に震えてしまう。胸に虚空が穿たれたよう。寂しくて、切なくて、狂いそうなほどに求めてしまう。
――――あのサーヴァントの立場が、もしも自分だったならば。
思考はそう、そんな妄想を考えてしまっていた。マスターの肉棒で犯される自分を。自身の子宮に、マスターの
(指が、止まらない……どれだけ膣を愛撫しても、収まらない……違う、こんなものじゃなくて……あの人のものが、欲しい……あの
スリングショットの水着に似た衣装をずらし、それによって屹立した乳首が露わとなる。スパッツのようなそれを脱ぎ去ると、発情した雌穴が外気と触れ合った。
そして、左手で自身の雌穴を弄り、右手で程よく成長した乳房を揉みしだく。自分が無自覚の内に
(あっ、んくっ……ま、マスター……もっと強く、犯してください……貴方の望むお心のままに、私の
ぱちゅんと音を発して愛液を飛び散らす膣口。勃起した陰核をコリっと押し倒すと、未知の快感が襲い掛かってきた。知識はあるが、経験は薄く。生前でも、自慰をしたことがあったかどうか。
――――自分とはまさに「そのため」に作られた。
暗殺者として、「毒の娘」を再現する人型の細菌兵器。その理念とは、女の武器を最大限に利用した、権力者を仕留める魔性の毒。親密な関係を築くことで、近づき、自分の身体に触れさせる。指先一つ触れさせることで、王や貴族、将軍の命、その悉くを奪い尽くしてきた。
それは疑似的な恋である。正真正銘の熱量とは比べるべくもない。殺すために愛させ、愛させたところで殺す。そんなマッチポンプの記憶しか自分は覚えていない。だけど――――
(ん、んんぅ、あ、ぁっ、ますたー、ますたー…………!!)
その人だけは特別だった。
自分の毒でも死なないどころか、仲間として、サーヴァントとして、友情や信頼、自分にはついぞ縁のなかった感情を向けてくる、その人が。
好きで、好きで、どうしようもない。
だから、随従を許してください。何処までも、何処までも。――――人理の果てまでも。
(ぁ、あんっ、んぁぁぁぁぁ…………………っ!!)
キャスターのサーヴァントの膣内に精液が流し込まれるのと、少女が絶頂を迎えるのは同時だった。腰が浮かび上がるほどの快楽。実際に自分の膣内へと射精されたかのような錯覚に襲われ、少女が盛大に蜜を飛び散らす。
(んっ、これっ…………止まらな、い……っ! ますたー、ますたー……!! もっと……私に夢中になってください、貴方の気が済むまで……私の膣内に、
雌穴への指の抽挿は絶頂に至って止まることはなく、現実と錯覚の差異に苦しんでいるのだろう、膣ヒダを擦り上げる動きは激しさを増した。
空を仰ぐとろけた瞳。M字に広げられた両脚、その間から流れ落ちる愛液は洪水として。切なさがやがて収まるその時まで、一心不乱に指を動かした。
「はぁ、んっ…………マス、ター……」
自らの体液がこびり付いた指を口に咥え、舌で転がしてみる。甘い。自分自身には通用しないとはいえ、己が排出した体液は正真正銘の毒素を孕んでいるというのに、どうしてこれほどまでに甘露な味わいをしているのか。
とさっ、と。力なく後ろに倒れ込む。息も絶え絶えに、緑の絨毯の上で茫然と余韻に浸っていた。しばらくは動けないだろう。全身の痙攣が収まるまでは、起き上がることすら……
そして――――
∞ ∞ ∞ ∞
「あっ、んぁ、んんんんんっっ――――!! ましゅたーの精液、わたひの雌犬おま○こにぃ、んくぁっ、んいぃ……!! はっ、ん、どぴゅどぴゅ注がれて……ご主人様のおち○ぽで、受精しちゃう……っ、りゃめぇ、イクのとまらにゃいぃ…………っっ!!」
一段と強く突き出した腰の動きが少女の最奥を貫くと。
瞬間、子宮口をこじ開けた亀頭の先端から欲望がどくどくと吐き出されて、肉棒の痙攣に合わせるようにしてエレナの子宮を白く染めていった。
陰茎を引き抜くと、エレナの雌穴からどろぉっとして白濁液が漏れ出した。彼女の狭すぎる子宮内では収まらなかった量が溢れ、地面に卑猥な水溜まりを作っていく。発情した少女の陰裂が閉じることはなく、肉棒を受け入れていた穴がぽっかりとして開いていた。
よくもまあ、二発目だというのに、これだけの精液を吐き出して――――
そんな関心に苦笑していた、その時。
背後の方で音がした。ちょうど誰かが地面に倒れるような、とさっとした、軽い物音。自分たちの叩き出す音を除けばまさしく無音の空間にて、有り得ざる音の出現に緊張が奔った。
(まさか誰かが此処に……見られていたのか!?)
レオニダス以降、誰かが庭園に足を踏み入れる気配は感じられなかった。つまり、その人物とは最初からこの場に居たという――――もう少し注意深く周囲を調査しておけば結果も変わったのだろうが、何者かに自分たちの行為を目撃された事実は明らかだった。
音がした方向へ咄嗟に振り向く。ちょうどその茂みの裏側の辺り。恐る恐るといった具合に草をかき分けると、そこで倒れ込む一人の少女を見つけた。
(彼女は――――)
普段装着しているはずの髑髏の面こそないが、その少女がアサシン――――「静謐」と呼称されるハサンの一人であることを確信する。息も荒く、胸や割れ目を露出させている恰好に疑問を抱かないわけでもなかったが。
「あっ、
これは一体どういうことだろうか。
見られたことには違いない。けれど、悲鳴を叫ばれるのでも、無言で立ち去られるのでもなく、俺たちの行為を目撃した『静謐』は、それを見て自慰に及んでいた。
その
すると、絶頂に疲れた身体を持ち上げて、『静謐』が俺の近くへとすり寄ってきた。地面を這いずる姿勢で、ひっそりと。そうして俺の足元の辺りに止まった少女は、縋るような上目使いで俺を見上げてきた。
「お願い……してもいいでしょうか、マスター。私は貴方のサーヴァント……尽くし、従うことが全て。主に求めるなど烏滸がましいと……承知しています、ですが――――」
その瞳は、まるで毒のように俺の中の何かを溶かした。
「私
身体全体が『魅了』という名の毒性を放っているかのように、彼女の毒気に心が触れた途端、俺たちは更なる深みへと堕落して――――
∞
『更新おせーよ変態』と思う方がいらっしゃるかもしれないので、一先ず最初に謝罪しておきたい。構想自体は随分前から決まっていて、執筆も順調に進んでいった7月某日、それは起こったのだ。
――――静謐ちゃん可愛くね? 事件である。
FGO第六章をプレイしていたら誰もが一度はそう感じたはずだ(自分リサーチ)。既に書き上がっていたはずの内容を大幅に修正し、是が非でも第六章が始まったこの時期にこそ静謐ちゃんを書きたい……ただそれだけの欲望がありました。まあ、きのこも曲に感動して第六章を書き直したというらしいし、是非もないよネってことです。
次回は3P。
本当はね、静謐ちゃんのポジションを他の鯖が務めていたんですよ。A、牛若丸。B、清姫。C、茨木。D、玉藻。この中の誰かです(※当時は鬼ヶ島イベ)。
(答え合わせはしませんが)見事正解した方には永久に尽くしてあげます、何でも命令してください(静謐並感)