中の出来事という設定。
無人島……魅力的な女性サーヴァントたち……何も起こらないはずもなく
エレナ・ブラヴァツキーの水着
∞
燦然と照り付ける太陽。
熱砂の如き大地と、視界一面に広がる青の景色。
そう――――ここは「海」だった。
ある日のレイシフトに失敗し、無人島に漂着した俺たちの前には、かくも美しき眇々たる海原が広がっていた。南国を告げるかのような気温に、爽快に吹き抜ける風。人跡未踏の孤島は、自然らしさを盛大に謳っている。
漂流してから数日、俺たちは島の開拓を進めながら、ロマンのいるカルデアとの連絡手段を探していた。しかし、依然としてカルデアとは音信不通。現実は、この島がまさしく絶海の孤島であることを幾度となく教えてくれる。
間違いなく「危機」と呼ぶに相応しい状況だった。
明日を生きることすら確定しない、そんな現状のはずが――――
「……………………充実してるな」
目の前の光景は、遭難しているという事実すら忘れるほどに充実としていた。
かつての世を乗り越えたサーヴァントたちにしてみれば、この程度のアクシデントは「危機」と呼ぶまでもなく、見事この島に一つの文明を築き上げていた。
水路に、畑に、牧場に、寝床に……。これだけあれば、なるほど、生活に困ることもないかもしれない。そうして、生活の基盤が出来上がってくると、やはり余裕も生まれてくる。そう、せっかくの海なのだから楽しまなくては――――と。
繰り返される、日常的であり非日常的な光景。
俺の眼前では、言葉を失うほどに魅惑的な景色が広がっていた。男である自分には、あまりに強烈な。輝かしいばかりの魅力に詰まった理想郷が――――
「それでは、まずは私から――――」
「よっしゃ、来いッ、父上!!」
「…………………行きますよ、メアリー!」
(露骨にスルーされた!?)
颯爽と、アルトリアが透明なボールを空に打ち上げた。
空気で満たされた球体は緩やかな弧を描いて、対面のモードレッド――――ではなく、斜め右で構えていたメアリーの元へと落下していく。
「うわっ、ととっ、えっ、ちょ、まっ――――ぅあたぁっ!?」
「あららメアリーったら…………それっ!」
それを顔面で跳ね返した相棒をフォローをするかのように、アンが無軌道に飛んで行ったボールをレシーブした。阿吽の如き連携は流石と呼ぶべきか。
「オーケー、それじゃあ一つデカイのを……!」
「マルタさん、スマッシュは禁止です! あと、その
大きく腕を振りかぶったマルタ。
果たして、彼女にパスを続けるつもりはあったのだろうか?
「おぉっと、ついに玉藻ちゃんのところに来ましたか。それでは一丁景気よく……派手な花火を打ち上げますよっと、それっ――――!!」
「高――――っ!?」
玉藻のトスはぐんぐんと空へと伸びていき、やがて力を失ったように墜落を始めた。その落下地点にいたマシュはその
「くっ…………先輩っ!!」
半ば賭けに出るかのような仕草で上空に両腕を突き出したマシュは、辛うじてボールを繋げることに成功した。その進路を見るに――――アレは俺の捕球領域にあると見て間違いない。
「おーらい、おーらい……」
後退しながら、それを追いかける。幸い、追いつけないほどでもなく。
「先輩、後ろに清姫さんが……!」
「え?」「きゃっ」
後方を全然確認してなかったために、ボールの行方ばかりに夢中となっていた自分と彼女の身体が衝突した。体勢も崩し、二人して熱い砂浜の大地へと倒れ込む。ボールも地面に墜落し、心配してマシュが近寄ってきた、が――――
「ああっ、ますたぁったら……こんなところで押し倒してくるなんて……恥ずかしい、でも嬉しい。”らっきぃすけべ”と言うのでしょうか。
「むぐ、ぅぐ、んむむっ……………!!」
「ま、ますたぁっ、そんなに私の胸の中で暴れては……っ、情熱的なのは嬉しいですが、最初だけは優しくしてほしい、なんて――――だめ、ダメです、清姫。紳士の如く、それでいて野獣のように激しく求めてくる、それが殿方というもの。
「誤解です、清姫さん! 息が出来なくて苦しんでいるだけです、先輩は!」
「………………………………あっ」
一人妄想の世界に沈んでいた清姫が、マシュの指摘によってようやく我を取り戻す。
外見によらず豊満な少女の双丘は、それだけで窒息死という名の絶命を与えるほどの凶器と化していた。あやうく三途の川を渡りかけた俺に、清姫が申し訳なく謝罪を繰り返す。
「ああ、うん。不注意だった俺も悪いし、気にしてないよ。それに、気持ち良――――」
「気持ち良――――?」
「な、何でもないよ清姫っ! 今のはただの言い間違い……別に意外と気持ち良くて、寧ろラッキーだったなー、なんて……これっぽっちも思ってないから!」
「あらまあ。ふふ。ますたぁも、やはり男の子なんですね」
喋れば喋るほどに墓穴を掘ってしまい、清姫の優し気な笑みが痛く心に突き刺さる。
そうして、一息ついたところで、もう一度ラリーを再開させた。円陣を囲む、俺も含めた八人は、絶賛遭難中だということも忘れて、バカンスさながらに真夏を満喫していた。
(それにしても――――)
ふと意識して、同時に高揚感が込み上げる。
それほどまでに、眼前の光景は扇情的だったのだ。
見渡す限りの水着、水着、水着。
普段、サーヴァントたちが来ている甲冑やら着物とも違った、布地の少ない対海域用戦闘服。それに衣替えを果たした何人もの女性は、まさに魅力的の一言にこそ尽きる。
中でも、やはり――――ひときわ刺激が強いのは、数人のサーヴァント。
一つのボールを中心としてレシーブとトスを繰り返す彼女たちの中でも、明確に違うものが存在した。目を逸らそうとするも、どうしても引き寄せられてしまう。理性とは反対に、俺の視線は「そこ」に釘付けとなっていた。
「やっぱり水辺はテンション上がるわね!
この恰好も、何かと動きやすいし! 杖より断然拳よね!(シュッシュッ)」
「たまにはこういうのも悪くないかもですね、メアリー。……メアリー? どうしたんですか、恥ずかしそうに目を逸らして。え? 羨ましい? 何がですか?」
「タマモちゃん、サマーイン! 汗も滴る良い女になって、これで魅力度108%マシマシです☆」
特に、この辺りのサーヴァント。
ジャンプしたり、激しく横に動いたりする度に、彼女たちの、その、アレが、効果音が鳴るほどに弾むのだ。それはもう、魅力的を通り越して殺人的。あの二つの果実が実に忙しなく動く光景は、男の俺には耐えがたいものだった。
一方で――――
「何をしているんですか、モードレッド! 今のは私のボールでした! どうして毎度毎度私の範囲に入ってきて邪魔をするんですか、貴女は!」
「い、いいじゃねーか、別に! ボールを見たら追いかけずにはいられねーんだよ!」
「犬ですか! そんな子に育てた覚えはありませんよ!」
「う、うっせー、ばーか!! 父上のばーかっ!! せっかく一緒に遊べ………いやいやッ、もう一緒に遊んでやらねえ、一人で勝手に遊んでやらぁっっ!!」
仲良く喧嘩してるあの親子は、胸部の肉付きこそ薄いものの、肢体や腰回りは美しく仕上がっていた。騎士として、幾多の戦場を走りぬいたからこその肉体か。引き締まった筋肉は、それだけで十分魅力的な輝きを誇っている。
勿論、清姫も、そしてマシュも。未だ十代の前半という身体つきながら、胸元は程よい成熟加減を迎えていた。ある種の艶然さを感じさせるアンバランスな肉体に、視線は吸い込まれるようにして引き寄せられていく。
(
頬を両手でパチンと叩く。万が一にでも理性が途切れないよう、力強く。
(そう言えば、他の皆は……それと、
この無人島に漂着したメンバーには、ボールで遊んでいた八人だけでなく、各自で気ままに過ごしている者たちもいる。中でも、男たちの方はというと――――
「おっしゃ開通したー! これで完成で良くねーか?」
「いやいや、御子どのよ。『城』であるならば、そう、城主が誰であるかを示す旗なり像が必要ではないだろうか。具体的には、此処のあたりに。――――そう思うだろう、ディルムッド」
「は。まこと慧眼でございます。砂で城を為す、それだけの行為にも全力を尽くすその子供らし……いえ、余念の無さは、まさに感服の一言」
「はっはっは。そう褒めるな。……とはいえ、まだまだ手の付ける必要がありそうだな。たかが砂城の一つ、されど砂城の一つ。うむ、
「あん、まだ手ぇー付けるってのか? これ以上、施しようねーだろ。あんまり弄るとよぉ、ただでさえ不安定なこれが崩れちまうかもしれないぜ」
「だろうな。ケルトの大英雄の目算通り、この城は砂という脆弱な材質を基に出来ている。大砲はおろか、蛮族の侵入にも耐えられないだろう。不用意な改築は命取りだな」
「なるほど。であれば、だ。カルナ殿。この城はあくまで芸術的な見地からの美を追求したもの。本来の巨城が持つ堅固性には圧倒的に欠けている。であれば――――何が足りないかは、自ずと見えてくるではないか」
「…………城塞。侵入者の行く手を阻む、城を取り囲む壁だな」
「その通り。城に手を加えられぬのであれば、それ以外に手を加えればいい。流石は私だ。これこそが私だ。親指かむかむはしていないとはいえ、私の智慧には限りがない――――そう思うだろう、ディルムッド」
「は。流石です。それと、やはり親指かむかむという名称は如何なものかと…………」
クーフーリン、フィン、ディルムッド、カルナ。
ランサーのサーヴァントたちは、海水で固めた砂で以て、人間大ほどの巨城を造っていた。つまりは、砂遊びだ。あちらはあちらで満喫しているなー、などと眺めていると、そこへ一人のサーヴァントが優雅な足取りで近付いた。
「脆弱だな。触れただけでも崩れかねんぞ。我が弟子とはいえ、この程度の代物しか作れぬとは……情けなさを通り越して、呆れてしまうな。どれ、私が直々に智慧と手を貸してやろうか?」
クーフーリンの師匠。アサシンのサーヴァント・スカサハは、砂城を一瞥してそう言った。
弟子の体たらくを見ていられなかった――――と言いたげな彼女もまた、この場に合わせた衣装に着替えている。一際スタイルの良い彼女の水着姿は、立っているだけでも目と心を奪われるほどだったが、弟子であるクーフーリンだけは大して興味も無さそうに。
「あのなー、砂で作ってんだから、人力加えちゃ崩れるに決まってんだろ。ンなことも分かんねーとか、お師匠様は耄碌しちゃってんですかねー」
「ぐ……なんと口の悪い弟子か。正論ゆえ、言い返せぬが――――しかし、だ。だからこそ、私はより善いものを造るべきだと言って――――」
「あー、もしかして俺らの輪に入りてーのか? 素直に『入れてくれ』って頼めばいいのによ、恩着せがましく『力を貸してやる』ってか? 不器用すぎんだろ、アンタ」
「な、ばっ――――――――」
どうやら図星だったらしく、スカサハの顔が途端に赤面していく。
「一緒に城造りてーなら最初っからそう言えよ。ったく、相変わらず素直じゃ………」
「――――――――『
「「うぉぉぉぉぉおお俺たちの城がぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」」」
少し調子に乗りすぎたらしいクーフーリンに静かに激怒したスカサハが、その宝具で以て砂城を破壊する。無論、海水で固めただけの砂だ。サーヴァントの一撃に耐えられるはずもない。
「……虚しいな。砂上の楼閣とはこのこと。いや、この場合は砂状の楼閣と言うべきだが……如何な城も、いずれは崩れ去る。それがこの世の節理なれば。……虚しい、そう言わざるを得んな」
男たちの絶叫が木霊する中、カルナが淡々と述べていく。
一体どれほどの熱量をあの城一つに注いでいたのか――――今となっては、分からないこと。
「…………本当にみんな、楽しんでるなー」
そりゃあ幾たびの試練や戦場を克服してきた英雄たちなのだから、たかが無人島での遭難一つ、いつまでも困惑しているはずがない。漂着して数日は経ったが、既にほとんどのサーヴァントが現状への適応を果たして――――否、満喫していた。
その中で――――
「マリーとエレナは、そこで何してるの?」
浜辺に備えられたビーチパラソルの下、無邪気に遊ぶこともせず静かに休んでいる二人に俺は声を掛けた。せっかくなのだから、二人も一緒に遊ぼうと手を差し伸べたが、マリーは申し訳なさそうに首を横に振った。
「ごめんなさいね、マスター。この子たちのお世話をしなくちゃならないの」
「ああ、うりぼうたちの……」
マリーの膝元で愛らしく座っている数匹の猪、それはこの島で出会った無害な生物たちだ。彼らにエサをやったり、撫でたりと……うりぼうたちに付きっ切りとなっているマリーは、それだけで忙しいことを伝えてくる。
それでは一方の、優雅に本を読んでいる(なぜ持っているのかは不明)エレナだが、彼女は別に忙しいわけでもないだろうし、太陽が苦手なわけでもない。ならばこそ、気持ち良く身体を動かすべきだろう、と俺は誘いを掛けたのだが――――
「あたしはパス。肉体労働ってガラじゃないし……またの機会にお願いするわ」
「……そう言って、この前も断ったじゃないか。身体を動かすってのが嫌なら、せめて水着にだけでも着替えたらいいのに……その恰好、暑くないか?」
俺が心配するように、エレナの恰好は普段のそれと同じで、露出こそ多いが生地としては真夏の空気には適さない、そんないつも通りの装束のままだった。
他のサーヴァントたちがみな水着に着替えているだけに、この場において、彼女の存在は違和感も甚だしい。何か、そう。頑なに水着を嫌うだけの理由があるのだろうか。
「……あっ、もしかしてアンやスカサハたちの水着姿を見ちゃったから、自分の身体に自信が持てない、なんて―――――いたたたたたた!!!!」
「さて、どういうことかしら? まったく身に覚えがないのだけれど?」
ふと浮かんだ疑惑を思わず口に出してしまい、エレナが俺の頬を引っ張ってくる。
図星――――少なくとも、それが理由の一つだったのか。そりゃあ、お世辞にもエレナの身体は豊満とは言えないし、恥ずかしがる気持ちも分からないでもないけど。
「……俺は、エレナの水着姿が見たい、かな?」
「っ…………!」
「無理にとは言わないけど、一度くらい…………」
俺がそう言うと、エレナもしばらく困ったように葛藤の様子を見せた。
どうだろうか――――悩むこと十数秒。念を押すように「笑わないでよね」と顔を赤らめて了承してくれたエレナに、さっそく着替えてもらうようお願いする。
「あっ、それともう一つだけお願いがあるんだけど――――」
ここぞとばかりに、俺も二つ目の要求を繰り出した。
彼女たちの水着は、自身の霊基を弄って構成したもの。ある程度の自由が利くゆえに、それぞれの嗜好に合わせた水着が披露されている。ビキニタイプが大半で、そのどれもがサーヴァントたちの魅力を引き立てる、飾り付けの一手となってくれていたが――――
否、そうではない。
勿論、それも魅力的であるには違いないのだが――――
「わっ、ちょっ、ちょっとぉ………!!」
まさか公衆の面前で着替えるわけにもいかないだろうし、俺はエレナの手を引くと、浜辺から少し離れた――――岩が剥き出しとなった、そんな海岸。そこへの移動を開始した。
走りながら、俺はエレナが最も似合うだろう衣装の構想を彼女に伝えていた。
見る見るうちに少女の相貌は羞恥と後悔の赤色に染まっていったが、やはり彼女としても「その水着」だけは選びたくなかったのだろう。
つまり「その水着」とは―――――
∞ ∞ ∞ ∞
「はぁ……貴方のことだから、特殊なものを選んでくると……分かっていたはずなのにね」
悔やむようにしてエレナが溜息を零す。
海岸へと移動し、岩陰に隠れたエレナが俺の指示通りの霊基へと着替える――――その間、俺は静かに彼女の登場を待ちわび、しばらくして、着替え終わったエレナが姿を現した。
ある種の感動を覚えるその姿に、俺はただただ立ち尽くす。思考もうまく回らず、口に出たのは、そんな単純に過ぎる感想だけで――――
「似合ってる……可愛いよ、エレナ」
「……これって、子供が着る用の水着でしょ? それが似合ってるって言われても複雑ね。”すくーるみずぎ”って言うのかしら? 別に普段の恰好と肌面積は変わらないように思うけど」
「いや、だからこそ、それが善いんじゃないか。――――ああ、カメラとか持ってきてないのが残念だな。是非とも一枚、写真に収めておきたかったのに……」
「や・め・な・さ・い。こんな子供っぽい姿、すぐにでも忘れたいんだから」
ぴしゃりと言い放つエレナ。納得いかない彼女の様子も、理解できないワケではない。
紺色の布地に、一般のビキニが曝け出すような腹部までもを覆った、それこそ低年齢層の女子こそが纏うべき衣装――――それが、エレナの着ている水着の形状である。
子供っぽいという彼女の意見も尤もだ。外見こそ相応だが、大人びた正確のエレナには、通称スクール水着に対する嫌悪的な反応があったのだろう。同様の体格をしているメアリーがビキニを着こなしているだけに、なおさら恥ずかしさを感じているのかもしれない。
「あと、これ………胸の辺りに『白色のスペース』を用意してほしい、ということだったけど……どういう意味? 一応、ちゃんと用意するには用意したけど……」
エレナが指で示したのは、ちょうど彼女の胸元の辺りにある空白の領域。紺色の生地ゆえ、一目で分かるほどに不自然とした白い長方形のスペースだった。
「どういう意味って…………そこにエレナの名前を書くからだけど?」
「私の? 名前?」
「そ。どうやらスクール水着って、自分の名前をその辺りに書くのがデフォらしいからさ……ほら、じっとしてて。俺が書いてあげる……いや、俺に書かせてくれ」
そう言って、俺が取り出したのは一本のマジックペンである。
それで何をするのか――――信じがたい気持ちはあったが、エレナも程なくして理解する。自分でやる。大丈夫だ。そう、何度も俺を制止してきたが………
「ズレるから動かないで」
「っ……は、はい」
何時になく真剣な気配を漂わせた俺に、エレナがどきっとして身体を震わせた。
そのまま借りてきた猫のように動かなくなり、ゆっくりと接近するペンの動きを静かに見守って。自身の胸元を間接的に弄られる。その微妙な感覚を、エレナはただただ受け入れる。
「んっ……何か、変な感じ。名前くらい、言ってくれてたらあらかじめ記入してたのに……わざわざ貴方に書いてもらう必要なんて、無かったのに…………んひゃっ」
「そんなのつまらな――――いやいや、何でもないよ。とにかく、きれいに書きたいから少しの間だけじっとしててくれ、エレナ」
「んもぅ、やっぱり面白がってたのね……!」
不満を零しつつ、少女も俺の言うことに従って。
ペンが「えれな」という三文字を描き終えるその瞬間を、大人しく。
(ん、くぅ……ただ、なぞられているだけだってのに……直接じゃない、水着の上からなのに…………変な感じがして、むずむずしちゃう……!)
ペンの先から、少女のそんなもどかしさが伝わってくるようだった。
微細に振動するエレナの全身。痛いのでも、熱いのでもなく、また別種の感覚が身体全体を浸透してしまい、動かずにいることすら難しいと、少女の様子はそう訴えていた。
勿論、こんなことに意味は無い。彼女の言う通り、霊基の変換で事足りるだけの作業ゆえ、俺がわざわざにする必要のないことでもある。つまりは――――
「なんだろう、
わざとらしくそう言うと、俺は少女の胸元にある小さな「突起」を
「んんんっ……!! あ、貴方ねえ、分かってやってるでしょ…………ひぅんんっ!」
「何のことだ? 俺はただ、この膨らみが気になって……」
「あっ、んんっ、くぅ……それ、あたしの……ちくび、だから……そんなに乱暴に掴んだり、しないで……んひゃぁんっ、くぁっ、んんぅぅ…………おもちゃみたいに、なんて……はっ、あぁっ、んっ、……先っぽ、どんどん敏感になって…………!!」
エレナが苦しそうに身体をよじらせる。
スクール水着の上から、決して確信していたわけではないが、おおよその位置を掴んだ俺は、その辺りを重点的に愛撫した。
とぼけたように。そこにあるだろう桜色の突起を、さも知らないフリをして。
彼女の性感帯である部分を、執拗に。
「あひゃぁ、おっぱい、ビリビリしてる、ぅ……もう、やめへっ…………」
「ん? 少しずつ固くなってきたな……中に何があるのか、見ていいか?」
「え、ぁっ、それは…………!?」
エレナの反応を待つこともなく、俺は彼女のスクール水着を腰のあたりまで下げおろした。途端、現れたのは小ぶりの双丘。決して大きいわけではなく、さりとて全くないわけでもなく。僅かに築かれた丘陵。そして、その頂にありし乳頭もまた小さく咲き誇り。
姿を現したそれを、俺は唇で噛み締めた。
すると、エレナが激しく身を悶えさせた。自身の乳首を愛撫される感触が、今度は直接襲い掛かってきたために。今頃、少女の肉体では電流の如き快感が流れているに違いない。
「く、ひぃ……っ、そんな、赤ちゃんみたいに……おっぱい、吸わないで……母乳なんて、出るわけない、からっ…………んっ、やぁぁ、あんっ、はぁん……あっ、くぅっ、ひぅ……んんんっ!!」
少女の乳首を歯で甘噛みした瞬間、エレナが必死に声を押し殺して快感を叫んだ。
小指の先ほどもない愛らしい突起は、果実のどれよりも甘く、僅かに少女の汗がにじんでいたためか、しょっぱさを感じさせた。
悪戯も此処までにしよう、と。エレナの水着を元に戻し、俺は途中だった三文字の記入を完了させる。かくして、少女の胸元には自身を証明する名前が刻まれて、その単純なまでの見た目が何とも言えない高揚感を抱かせた。
「もう……悪戯にも程があるわ」
「ごめんごめん、エレナの水着姿を見ていたら、可愛くて、つい…………」
頬を膨らませて不貞腐れるエレナだったが、彼女自身満更でもなかったのか、それ以上は引きずることもなく――――
「さて、皆のところに戻ろうか。いつまでも戻らないと、流石に怪しまれるからね」
俺がそう言って他のサーヴァントたちがいる浜辺へと戻ろうとすると。
その瞬間、エレナが俺の手を掴んで引き留めてきた。
彼女の視線は、まっすぐに俺の下半身へと向けられている。そこにあるのは、海水用のパンツ。俺もまた水着に着替えていたため、別段そこに不自然なものなんてなかったはずだが――――
「ば、馬鹿っ……
エレナのその言葉でようやく理解した。
恰好自体におかしなところは何一つとして存在しない。ただ、下半身を守る海パン――――その内側に収められているべき「あるもの」が、激しく存在を主張していたのだ。
それこそ、パンツの形状を変化させるほどに。裏側に眠っているはずの雄の象徴が怒張している、そのことが一目瞭然なほどに。
この状態で戻れば、およそ全員が「その膨らみは何だ」と奇異な視線を送ってくるだろう。男として仕方の無い反応であるとはいえ、色々とマズイことであるのは間違いない。
どうしよう――――俺がそうあたふたしていると。
「仕方ないわね……ほら、あなたの
巨大な岩壁に手を突いて、俺に小さなお尻を向けてくるエレナ。股を覆い隠す部分の水着を指でずらし、その内側で十分以上に発情した雌穴を向けてきて――――
(水着姿のエレナと…………)
普段とはまた違った恰好の少女の痴態に、既に全開を遂げたとばかり思われた肉棒が更なる怒張を迎えた。これがただの水着であればそうはならなかっただろう。エレナの姿は、背徳感という名の興奮を呼び起こす。彼女の水着が、幼さをいっそう助長させるだけに。
「悪い、エレナ。すぐに終わらせるから――――」
「ん、っ……いいから、早くしなさい。あたしはもう、準備は出来てるから……」
そうして、少女の言う通り、充分に濡れ切った割れ目へと陰茎を押しあてた。彼女を背後から犯すようにして。紺色の布地に覆われたエレナの腰回りを掴み、勢いよく――――突く。
「ん、ぐぅぅぅっ……………!! 入って、きたぁ……ますたーの、おち○ちんがぁ……太いの、じゅぼぉって……っ、んあっ、おま○この奥まで、ぇ、一気に来たぁ…………っっ!!」
膣道の感触は滑らかに、力強く突き出した肉棒、亀頭は、ただの一突きでエレナの最奥を穿通した。愛液が潤滑油の役割を務めているのか、抽挿は一秒ごとに加速していく。
燦然と輝く太陽の下、この開放的な空間での性交はひどく禁忌的。それ故、誰に見られるかもしれない現状が、恐怖を押しつぶすほどの快楽を生み出して。
俺は何度もエレナの膣内を、その男性器で以て攪拌した。腰を引き、亀頭を外界に覗かせ、すぐさま前進、少女の浅い膣内へと肉棒の全てを埋めていく。
「か、ひゃっ、あんっ、
既に足腰も弱り切ったエレナは、性欲のままに振られる肉棒の威力の前に為す術も無いようだった。岩壁を頼りに全体重を預ける姿は、あまりに弱々しくて。合意のはずが、まるで強引に犯しているかのような感覚さえ及ぼしてくる。
そして――――ああ、その理由の一端を理解した。
エレナの恰好は、彼女の幼い矮躯と
今ではもう、エレナの身体が、その全てが興奮を促すための要素にしか思われない。すらりと伸びた肢体も、浮かび上がる肩甲骨のラインも、そのどれもが可愛らしくて。だからこそ、組み伏せずにはいられない――――
「ん、んっ、はぁっ、しゅきぃ、ますたー……! もっと、もっとぉ、いっぱい突いてぇ……あたしのおま○こで、気持ち良くなって…………ひぐ、ぅぅ……っ!」
小さい。小さい。小さい。
あまりにも矮小な少女を、これでもかと言うほどに犯し尽くす。腰を前後する少女だったが、そんな自由すらも与えない。俺はエレナの腰を抱き上げると、そのまま彼女の身体ごとを動かすようにして少女を貫いた。
「ごつごつ、してるぅ……おま○この奥、んっ、子宮にぃ……ますたーのケモノおち○ぽが突いてきてぇ、んく、はぁん、っ、んっ……ものみたいに、犯されてるのぉ……しゅごく気持ちいぃ……っ、あふぁ、はげひ、くて、頭がおかひくなっひゃってる……んぁぁっ!」
もはや足さえ届いていないエレナは、俺にされるがままとなっていた。
だらしなく口を開き、瞳を虚ろにして快楽を貪る堕落した姿。酷い扱いをされているのにも関わらず、喜んでいる――――そんな卑猥すぎるほどの様子は、俺の嗜虐心を更に駆り立ててくる。このロリサーヴァントをめちゃくちゃにしてやりたいと、本能が叫び出す。
果敢に抽挿を繰り返していた肉棒は、少女の最奥という城門をこじ開けて、その奥にこそ開かれる領域へと到達した。本来であれば、彼女くらいの体格ではまだ発達しきっていないのかもしれない。けれど、サーヴァントであるが故に関係の無い不可侵領域は、受精の用意が出来ていると言わんばかりに発情して。
「あ、んんっ……ましゅたぁのおち○ぽ、ごりごりって、孕ませる動きしてるぅ……あたしの子供おま○こに、精液びゅくびゅくしたくて、何度も震えてる……んぁ、っ、はぁ、ん、くぃぃ…………!!」
エレナもまた、子宮口に擦りつけるようにして稼働するペニスの意味を理解したのかもしれない。決して意図的に動いたわけでなく、衝動的な反応。性欲の一切を膣内で吐き出したいという男の意思が、彼女にも伝わっていたのだろう。
しかし、エレナに嫌悪感を浮かべた様子は感じられない。寧ろ、それを望むようにして歓喜の嬌声を叫び、押し寄せる快楽の津波にただただ身体を痙攣させていた。
肉棒の抽挿によって、少女の雌穴から愛液がぷしゃっ、と何度も弾け飛んでいく。下着でも履いていようものなら、見る影もなく湿っていただろうが――――その心配は無い。今の俺たちは水着姿ゆえ、互いの体液に濡れる心配はしなくていい。
「ます、たー……もうらめぇ、それ以上おち○ぽ、ずぼずぼされるとぉ、もうイッちゃう……っ!! やらぁ、ましゅたぁと一緒にイキたいのぉ……っ、ん、ましゅたぁの射精と一緒にイキたくてぇ……んひぅ、あっ、あんっ、ぁ、あ、んあぁぁっっ…………!!」
少女が涙ながらに懇願してくる。その内容は卑猥にも程があったが、だからこそ、寸前まで昂っていた俺の射精感は一気に爆発を迎えた。
――――もう我慢できない。
そう理解した瞬間、肉棒の動きを最大限に加速させた。少女の少女という部分を壊し尽くすように。エレナの狂おしい嬌声と腰を打ち付ける打撃音が響く中、俺は無心で腰を振り続ける。もっとだ、もっと。この小さな身体を俺という色で余すところなく塗りつぶすべく。
そして――――
――――ドビュッ、ビュルルルル、ドピューッッ!!!!
「んんんんんんっっ……………!!
我慢の限界が解かれた陰茎から、盛大に欲望が爆発した。
亀頭の先端から勢いよく吐き出される精液は、少女の子宮いっぱいを満たしていく。その感触を恍惚として味わうエレナの身体が、肉棒の痙攣と連動するように震えていた。
「あ、ん、零れちゃ…………」
出し切った肉棒をエレナの膣内から引き抜くと、少女が未練がましい表情を覗かせた。
栓が抜けたことで零れ始めた精液を惜しむように。それでも精液は止まらない。結合部からどろぉっとして零れる白濁液。一方で、彼女の陰裂からは絶頂の証拠でもある潮が何度も噴き出していた。まるで出し終えたかのように体液の噴射が収まると、エレナの身体がくたっとしてその場に倒れ込む。
すぐにでも皆のいる場所へ戻らないといけないのだろうが――――
「ねえ、ますたー、もう一回…………」
「…………そうだな。もう一回くらい、大丈夫かな……」
互いに本能こそが勝り、再びの性交へと及んでいく。
無人島……娯楽なんてものは存在しない。それ故に、性欲に溺れてしまうのは仕方の無いこと。少なくとも、あれだけ魅力的なサーヴァントたちに囲まれて、紳士でいる……居続けることなど、自分には到底不可能だった。
いつまで続くかも分からぬ生活だ。出せるときに出さなければ、爆発してしまう。
言ってしまえば、エレナが居てくれたからこそ――――俺は「マスター」として居られるのだ。もしも彼女がこの島にいなければと考えると…………今頃、誰かに襲い掛かっていたとしても不思議ではない。それほどに、無人島での生活は
だからこそ――――大丈夫だと考えた。
エレナがいるから、だれ彼構わず襲い掛かるようなことはない――――そう、安堵していた。その時の俺は確かに慢心していたのだ。まさか『あんなこと』になるなんて、と。
∞
今回は前座のようなもの。
次回からが、本番。
『海に行ってみた』とは名ばかりの『襲ってみた』編が始まります。
基本的にイベントと同じ設定で進んでいます。ところどころ時間軸は狂っています。うりぼうが仲間になってるのにフィオナの二人が生きている、とか。尤も、エレナは今回のイベントに出ていないだろ――――と言われてしまえば何も言えません。
スク水…………そう、スク水なのだ。
もしも、噂のあの礼装に描かれた彼女がサーヴァントとしてガチャに登場したら、破産も覚悟で回してたんですけどねぇ……くそぉ、礼装か。何だろう、この気持ち。かゆいところに微妙に手が届かないような――――
けど、いつか……いつか、別クラスのエレナが来たり……そんな夢を見ています。今からでもスク水エレナがガチャに来たり――――流石に無い、か。…………
ここで一句。
書いてから
気付いちゃったよ
竜殺し(TSUBAME)
最強のドラゴンスレイヤーが出てきていないことに書き上げてから気付くとか……