≫Wesker's secret story......?
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私に後悔というものはない。これから先も、永遠に。
以前から少しずつ不具合を起こしていた自身の中のウィルスは、何度もダイアナを使って実験したお陰で漸く安定を手にすることが出来た。金と時間はかかるが、 目処はある。ギオネ家の令嬢、エクセラ・ギオネだ。
今や世界的製薬企業となったトライセル社創業者の一族、トラヴィス家出身という由緒ある血筋をくんでいるエクセラは、そのトライセル社で若くして製薬部門の役員をしていた。傲慢でプライド高く、ただの役員止まりでいるのを不満がっているところに私は付け入った。
言葉巧みに取り入り、アンブレラから奪った全てのウィルスとプラーガの情報をエクセラに与えてやると、私が提案したアフリカ支社長の地位を手に入れる事が出来たと、偉くご満悦だった。
エクセラは私を真に信用しきり、尽くし、随分と心酔している様子。益々好都合だ。新しい組織を抜けても何ら支障は起こらなかった。闇に乗じる様に表から姿を隠し、裏に生きて静かに力を広げていく。
しかしただ一つ、私の中で渦巻くもの。──オズウェル・E・スペンサーだ。理由は分からない。何故か私の意識の奥で存在する男。それが何なのか知る為に、多額の金を使ってまで彼を捜している。馬鹿げた話だが……。
思わぬ形で良い被験体となったダイアナをこの小さなリゾート地に置き、久しぶりの安堵とやらを与えてやった。
──私なりの慈悲とも言うべきか?
名前を偽り、どこぞの金持ちの道楽の様にホテルを貸し切ると、ダイアナをそこへ住まわせた。知らない者が我々を見れば、ダイアナは囲われの女だとしか思われないだろう。
見張りは見える場所に置かない。気配をより敏感に感じ取るダイアナには気付かれないよう、ホテルの敷地外に配備させた。本人は逃げる意思など少しもなかったが、用心に越したことはない。
ダイアナを残し裏で動き、そしてウィルス欲しさに戻るを繰り返す日々は、愉快な事に非日常的に感じる時が度々あった。
あの研究施設で偶然にも発見したウィルスを、実験の為にとダイアナを犯して創り出す。ただの被験体との行為と理解しつつも、過去が私の思考を奪う様にちらついては苛立った。
完成間近、ダイアナはもう用済みだと思っていたが、やはり生きているダイアナの中でしかウィルスは生まれないと分かり、仕方なく島から生きて出しやった。再会後、このリゾート地でも変わらずウィルスを抽出し続けた。その為の行為はやむ終えない。──ただ、この場所の雰囲気のせいか、いやダイアナの意思とは逆に私を受け入れる
……私も所詮男だったと言うべきか。共鳴し、痺れる快楽に流された。
此処に来てから何処か上の空だったダイアナは、ある日に大量の酒を浴びるほど飲んでいた。皮肉った台詞を吐いてやると、挑発気味に私を見上げ、席を立ち上がった。酔っていたせいで足をふらつかせたダイアナは、支えを探すかの様にそのまま私にしがみつく。
ものの数秒、私とダイアナは見つめ合った。様子に過去を重ねる。──すると突然、ダイアナの唇が私の唇をふさぎ、自らの舌を絡ませてきた。
その瞬間に、私の何かもが外れてしまったのかもしれない。ただの男と女の様に、私とダイアナは激しく交ざり合った。今までは、被験体による実験としての行為だった筈であるのに。
──いや、本当にそうか?
過去に愛した女の影を重ね、ダイアナを被験体としてではなく、ただの女として見ていたのではないのか。否、違う。私はそんな存在を必要としていない。
苛立ちや怒りさえもぶちまけてしまいそうになりながら、ひたすらに我を忘れて腰を打ち付ける。凄まじい快楽に押し上げられて漸く果てると、ダイアナは気を失っていた。
荒く吐いた息と共に、自分に対して少し失笑した。一気に現実に引き戻ったからだ。私は当たり前に行う作業の様にウイルスを抽出し、身支度を整えてホテルから出た。
「──薄汚い野良犬が彷徨いていると聞いたが?」
ホテルの入り口から差ほど遠くない場所で、背後に潜む何者かに私は話しかけた。見張りの情報で、その存在は全て把握していた。
「もう良いだろう? 売れないジャーナリスト、ジャック・バンソン」
名前を呼ばれて驚いたのか、ジャックとやらは木の陰からゆっくりと姿を現した。
「……何故名前を?」
「見張りがいないとでも? キミの事は全て調べさせてもらっている」
「……へえ、だったら話は早い」
この男は、偶然バカンスにこの島へ。予約していたホテルを私が突然貸し切りにしたせいで、急遽別のホテルに移されたと話す。楽しみにしていた休日を初っ端から台無しにされたと腹いせに、貸し切りにした金持ちをパパラッチして何かの情報を掴み、あわよくば脅して小金でも手にしようと思っていたらしい。
するとだ、周辺を張っていると、たまたまダイアナに接触。異変を目撃し、ジャックはもっと凄いネタを知った。
「金か?」
「当たり前だろ。こっちは仕掛けたカメラや音声の証拠がある」
よくもまあそれだけで簡単に金が手に入ると思うな。それだからいつまでも売れないジャーナリストなんだよ。私は吹き出しそうになるのを堪えた。
「超能力……いや、あれは人間じゃないのか?」
あれ、とはダイアナの事だろう。
「何かを彼女から聞いたか?」
「いや、『早くこの島から出ろ』って言われただけさ」
「そうか。無礼を許してくれないだろうか、ジャック。キミの言う通りに好きな金額を渡そう。私や彼女の事はまだ誰にも知られたくないんでね」
そう返すと、ジャックはいけ好かない表情で「話が早くて助かる」と喜んだ。
「一先ず此処から離れよう。一目に付きやすい。近くにプライベート機を置いているから、そこで受け取ってくれ」
「流石お金持ちは違う。だけどオレを殺そうなんて思うなよ?」
一応の警戒心はあるようだ。私は「まさか、殺すならもうしてる筈だ」と、軽く冗談を言いながらジャックとプライベート機に向かった。
勿論金など渡すつもりは最初から無い。この男のあまりのマヌケさ加減を利用させてもらう事にしたのだ。丁度新しい実験に被験体が欲しかった所だ。ただ殺すだけなのは勿体無い。有効に使うべきだ。
証拠があるであろうジャックの部屋は、既に手を打っている。今頃パソコンの中身は全て消去、不始末を装って煙草の火をつけたままにさせた。ついてる事にジャックはすこぶる評判の悪い男だった。調べれば調べるだけ悪い噂も多々あり、失踪しても疑問がられる心配は無さそうだ。
暗いせいで気づくのが遅れたが、この男はクリスに似ている。ダイアナの様子がおかしかったのはこのせいか。
──まあいい。後少しすれば静かに出来る。憎い奴の顔など一人で充分だ。
暫くして連絡が入った。スペンサーの居場所が分かったのだ。漸く、だ。
苛立たせる元凶についに決着がつく。邪魔なものはいらない。妨げは必要ない。
この俺が求めるのは────。
Wesker's secret story......?
≫≫end......