≫Wesker's secret story...?
≫3
ダイアナに実験を続けて数日。新しい組織で行動しつつ、合間を見つけてはこの島に戻っていた。
私がいない間の全ての記録を確認し、ダイアナの血液中の状態を調べ、今の様子を別室のモニターで伺う。最早ダイアナは、ただの実験体に成り果てた。
──いや、ただの、ではないな。
珍しい特異体質であるダイアナは、最高のサンプルだった。
「被験体25の細胞、遺伝子の新たな変化は驚きの連続ですよ!」
研究員達の言葉通り、ダイアナの体内中の細胞は大きく変化していった。見た目は少しも変わらず美しいままだ。ダイアナはウィルスの良い部分だけを吸収し、自らを進化させているのだ。 ……同じくこの私自身の体も、以前とは比べ物にならない強靭な身体能力を手に入れていた。
「被験体25の視覚聴覚共に、元の基準値よりアップしています」
変化のない外見とは反対に、ダイアナの中身は人間とはかけ離れていった。第一段階をクリアしたもう一体の被験体は、ダイアナと同じく実験を続行中に、妊娠している事が発覚した。母体自体は何の変化も起こりはしなかったが、胎児は耐えきれずに遺伝子異常を出した。
使えぬ実験体など処分すれば良いが、ダイアナの中で偶然にも新たに生まれたウィルスを使う為に、今はまだ生かしておこう。
そして、遂にラクーンシティが崩壊した。別段気に病む程ではない。
予定通りに進んだ結果により急遽手に入れる事の出来たGーウイルスを、上に報告の後に一部を手にし、私は島へ戻った。命じていた研究員らに、ダイアナの実験経過の報告を受ける。
サムが実験していた残骸に、僅かに残されていた始祖ウイルスの組織片が見つかっていた。それを私は、ダイアナの為に惜しげなく使う。──結果は同じだった。ここまで来れば、最早驚きも喜びに変わる。
「次はGーウイルスを打て」
仕組まれた死ではない。ダイアナの死亡記事は、たまたま手に入れた情報で知ったのだ。今となってはある意味好都合でもある。
事実を知ったダイアナは、酷く落ち込んだ様子だった。信じたくないと声を荒げるそこへ、私は被験体26の10時間前の映像を見せてやった。 無惨な最期を見せられ、ダイアナは泣き喚いた後に自身を縛り付ける拘束具を意図も簡単に壊し、辺りにあった物を怒り任せに破壊していった。
──Gの力か?
早速ダイアナのDNA細胞はGを支配して取り入れたのかと、私の口は静かに緩んだ。さんざん暴れまくったダイアナは、項垂れて嗚咽と共に伏せた。今なら簡単に押さえれるだろうと私は合図を送り、ダイアナに強力な安定剤入りの睡眠薬を打つよう指示した。
──それから数分後。私は自室のモニターにて、施設内の監視カメラに目を向けていた。数々あるカメラ映像の中に、睡眠薬で眠らせたダイアナをシャワー室へと運ぶ作業員の姿が映し出される。
この作業員二人は、その辺にいるごみ溜めの様なゴロツキだった。大金をチラつかせれば、いとも簡単に付いて来た。そのまま何かの実験体にでもする予定だったが、人手不足の為に急遽今の担当、つまりダイアナをシャワーで洗うという簡単な仕事を任せた。
初めは嫌々だっただろうが、いざ眠ったダイアナと対面すれば、その思いは吹き飛んだらしい。役得だ、と言わんばかりに喜んでいた。そんな二人に対し、私はこう告げる。
「彼女は大事な被験体だ。傷ひとつつけてはならない」
それにもうひとつ忠告も含めて付け足す。
「武装は必ずしておけ」
その深い意味に理解は出来ないだろう。私は、二人には隠していた監視カメラから様子を伺った。別に覗きの趣味は無い。数日間の記録の一つに目を通しただけだ。
「下衆め」
私は自然と呟いた。内一人が、眠らされたダイアナの身体を舐め回しながら自慰を始めたのだ。もう一人が見張りつつ、その様子に苦笑いを浮かべている。
確かに傷をつけるなとは言ったが、『マスをかくな』とは命令していない。決して気分の良いものではないが、奴らは一応、"真面目"に仕事をこなしているらしい。
──ダイアナが目を覚ませばどうなるか見物だな。
……そう、今この時も、これは実験中なのだ。奴らはその為に連れて来た。精々真面目に働いてくれ。
そうして幾日が過ぎて現在、相変わらずの行為は始められようとしていた。監視カメラにも気付かず、安心しきった奴らの何ともマヌケな姿よ。
今回はワザと薬の効き目を弱くしておいた。すると案の定、ダイアナは目を覚ました。さぞ驚いただろうな。必死に逃れ、抵抗しながら相手の男の顔を引っ掻いた様子が確認出来た。
「さて、どうなる?」
ものの数秒か。引っ掻かれた方はあっという間に反応を見せる。
──やはり変異したか。
ダイアナの中にある細胞はG-ウィルスを支配し、取り入れた事によってまた新たな変化をしたようだ。
──これでお前は、本当に、人間とはかけ離れた存在になったぞ!
ダイアナによってただの出来損ないへと変貌した男は、助けに寄ったもう一人を襲い、そして撃たれて生き絶えた。襲われて傷を負ったもう一人は、ダイアナに銃を向ける。──が、直ぐに動く屍と化してダイアナに襲いかかろうと動いた。
ダイアナは恐怖に慄きながらも側にあったナイフで対抗したらしく、出来損ないの屍は頭にナイフをさしたまま動かなくなった。……よし、実験修了。モニターから目を離さず、近くに待機していた部下に合図をした。
──さて、一先ず拍手でも送ってやろうか。
そう思いながら立ち上がった瞬間、少し予定とは違った結果が起きた。ダイアナが、自ら頭を撃ち抜いたのだ。
自らの脳天を狙って撃った弾は、確かに脳を突き破った。しかし、自身を再生させる能力を手に入れたらしいダイアナは、撃った直後にその異常な程の再生力で、弾けた脳や皮膚を再生し始めた。
「……残念だったな、ダイアナ」
あらゆる装置を施されて眠るダイアナに向けて言ってやった。死を選んで悪夢から逃れようと思ったか。……だが無駄だったな。お前はもう普通には死ねない。
脳の損傷は無い。心音も脈も正常。しかしダイアナは中々目覚はしなかった。撃った時の後遺症か。原因は不明だが、私はダイアナの全ての検査を続けさせた。
「これは何だ……?」
新たに細胞は変化を見せ、支配し吸収したウィルスは、ダイアナの体の中で別のウィルスを生み出した。
「面白い」
益々自身の細胞を進化させるその成果に、少しの
その後三年も眠り続けたダイアナが、漸く目覚めた。どれも全て非常に安定している。目覚めたばかりの脳は若干の記憶障害を起こしたものの、直ぐに正常に取り戻した。
現実を受け入れさせてやる為に、ダイアナの右手にナイフを突き刺してやった。今はこの素晴らしさを理解出来ないだろう。耳を塞ぎ、此方を向きもせず、私の言葉も今は耳に入れたくないらしい。
その後作業員と研究員に任せ、別室にて調べを済ませていた時だった。
『被験体25が逃亡を……!』
備えてあるカメラで場所を確認すると、ダイアナは一人の作業員に銃を突き付けてある場所へと向かっている様だった。
──そっちは制御室ではないぞ?
哀れなダイアナを滑稽に思う。私はやれやれと椅子から腰を上げ、その場所へと向かう事にした。
To be continued...