「ごめんなさい……。突然、こんな事をして……」
視界が閉ざされた中、耳に心地よい声が届く。
ベッドが軋む音と、体が沈み込む感覚で、彼女が隣に腰掛けたのが分かった。
自分は今、彼女――巴マミが魔法で作り出したリボンによって、両腕と腰の辺りを、ベッドそのものに拘束されている。
視界も同じようにリボンで塞がれてしまっていて、状況が把握できない。……どうしてこうなった。
一体、何で……?
「いいの……。アナタは、気にしないで? 全部、私のせいだから」
藻掻きながら問い掛ければ、再びベッドが軋み、顔に暖かい息が掛かった。
「……でも。気付いてくれないアナタも、悪いんだからね……ん……」
次の瞬間、唇に温かい物が触れる。
それが巴さんの唇だと気付いて、驚きに身を捩るが、その温度はすぐに離れていく。
「私、初めて、なんだから」
呆気に取られ、え、と間抜けな声を出している間に、再び体温が近づいて来た。
頬に手が添えられ、心地よい体重が体に圧し掛かる。
「……んっ……これで、二回目……む……三回……ちゅ……ん、ん……」
思考は止まり、抵抗する事も出来ず、雨の様に降ってくるキスを受け続ける。
最初は、触れるだけ。
しかし、段々と行為は大胆になって行き、やがて、啄ばむように唇を吸い始める。
「……んぅ……っはぁ……れるっ……」
その柔らかさに、次第に夢中になっていき、頭がボーっとして来た。
すると、今度は舌が唇を舐め、口の中へ侵入しようとしてくる。
意外な程の積極性に再び驚き、思わず歯が閉じてしまう。
幸い、噛んでしまう事はなかったが、彼女は諦めず、歯の汚れを舐め取ろうと歯茎に沿って舌を蠢かせる。
「……はっ……ちゅるっ……んっ……ちゅっ……」
まさかそんな事をされるとは予想もできず、ゾクゾク、と快感が背筋を走り、食いしばっていた奥歯が緩んでしまう。
「……ん……ちゅぷ……む……ん……ちゅ……」
その隙に、巴さんの舌はすんなりと口内に侵入し、舌を絡め取られてしまった。
事前に、飴でも舐めていたのだろうか。
何度目かも分からないキスは、仄かに甘い味がした。
「……っは……ふふっ……」
唇を離した彼女は、胸板に手を置いて体を起こす。
小さく笑うと、その細い指で体をなぞる。シャツのボタンが外れて行き、地肌が空気に触れた。
「すごい……全然違うんだ」
呟くと、巴さんはペタペタ体を触り始める。そのくすぐったさに思わず息を吐き、身悶える。
……そういえば前に、こんな風に悪戯された事があった。まぁ、服は着ていたし、相手が男だったのが悲しいが。
ふと、そんな事を思い出し、苦笑いする。
「……むっ」
それをどう勘違いしたのか、彼女は不機嫌そうな声を上げ、覆い被さるようにして再び体を密着させてくる。
「今は、私の事だけを、感じて……? ……ぁむ……ちゅろ……」
耳元で呟き、そのまま耳たぶを甘噛みして、次に、耳全体に舌が這った。
それは耳の穴にまで及び、経験した事の無い感覚に声が漏れる。
そして、段々と下へ降りていく。
「……はぁ……んちゅっ……れる……む、ちゅ……」
耳から顎。
首筋から鎖骨。
下へと移動しつつ、キスをし、舌を這わせる。
まるで奉仕さながらの愛撫に、体が勝手に悶えてしまう。
「……む……ちゅっ……はむ……」
胸元まで来た所で、おもむろに乳首へと舌先が向けられ、口に含まれる。
想像していなかった刺激に、体が跳ねた。
「あ……気持ち、いい……? ちゅぱっ……」
その反応に気を良くしたのか、巴さんは執拗に乳首を吸い上げ、責め立てる。
くすぐったいような、もどかしい性感への刺激で、またも声が漏れてしまう。
「……ちゅうぅ……っぷぁ……んちゅぅ……」
下半身に血が流れ込むのが分かった。
男性でも胸を責められれば気持ちいいと聞いた事はあったが、視界が隠されている分、得られる情報に意識が集中してしまい、その快感は数段上に思えた。
「……あ……」
硬さを増したそれが巴さんの体をわずかに押し上げると、気付いた彼女は体を起こす。
「良かった……。気持ちよくなって、くれたのよね……?」
安心したように呟き、彼女はズボンの上からそれを撫で回す。
今までのとは違う、直接的な性感への刺激に、体が勝手に反応を返してしまった。
「クスッ……苦しいよね? ……今、外に出してあげるから……」
悪戯っぽく笑い、巴さんはベルトを外し始める。
恥ずかしさに体が動き、必死に抵抗しようとするが、腰の辺りが固定されている事で大した身じろぎも出来ず、ズボンが下ろされ、下着までもが脱がされていく。
だが――
「……きゃっ!?」
――興奮から既に硬直していた竿が勢いよく飛び出すと、それに驚いたのか、彼女は小さな悲鳴を上げる。
「………………」
しばらく、無言が続く。
けれど突然、ツンッ、と先端に何かが触れ、反応した竿が跳ねる。
「わ……。ピクピクしてる……」
考えるに、好奇心に負けた巴さんが指でつついたのだろう。
次の瞬間には、細い指と、ざらざらした――なにか手袋の様な物に包まれ、内心求めて止まなかった刺激に、呻き声を上げてしまった。
「あ、ごめんなさいっ……。痛かった……?」
それを痛みによるものだと勘違いした巴さんが謝る。
しかし、彼女はその手を離そうとはせず、ゆっくりと上下させ始めた。
「このくらいなら、平気?」
触れるか触れないか、絶妙な力加減で動く小さな手の感触に、腰が揺れる。
だが、先程声を上げたのを心配しているのか、その力は快感を得る為には少し弱すぎ、段々ともどかしさが募って来た。
「……ん……」
すると、与えられていた刺激が途切れ、プチプチ、となにかを外す衣擦れの音が耳に届く。
かと思ったら、今度は竿全体が、ふわふわとした柔らかい圧力に包まれる。
再び与えられた未知の感覚に、またも呻き声が上がってしまう。
「うふふっ……。なんだか、分かる? こんな事、他の子じゃ出来ないんだから」
自慢げに言って、巴さんはそれを上下させる。
肌と肌が直接擦れる感触と柔らかさに、それが彼女の豊満な胸である事が理解できた。
「……んしょっ……結構っ……難しいっ……んっ……」
彼女にとっても初めての事なのだろう。勝手が分からないのか、その動きはたどたどしい。
しかし、閉ざされた視界が想像力を掻き立て、そこにあるであろう光景を夢想し、柔らかい圧力の中で、一段と硬さが増していく。
と、不意に上下が止み、圧力の中から先端だけが飛び出る。
「れろっ」
喉から、まるで女の子が上げるような、短い喘ぎが出てしまった。
先端を、竿を包む胸とはまた違う熱さを持った、湿り気のある物が撫で上げたのだ。
間違いなく、舌で舐められたのだろう。
「……あはっ……はむ……」
だが、彼女はそれが効果的であるのを本能で悟ったのか、小さく笑って先端を咥え込み、同時に小刻みに胸の上下を再開する。
「むっ、じゅっ、はぁっ、んむっ」
敏感な部分が、一際熱い彼女の口内で舐め上げられ、吸い上げられた。
竿は柔らかな暖かさに包まれながらも、感じる圧力は段々と高まり、上下にしごかれ続ける。
「じゅぷ、ぷぁっ、はむっ、ちゅうっ」
限界が、近かった。
それに耐えようと体に力が篭り、ベッドが軋む。
「じゅぱっ、れるっ、む、ふっ、じゅるっ」
それでも止まらない快感に我慢が限界を超え始め、堪らず、声が出た。
……駄目だ、もう、出る……。
「ぷは……ふふっ……」
すると巴さんは、意地悪をする様にまた小さく笑って、その動きを止めた。
へ、と呆けた声をあげ、困惑していれば、腰の辺りに掛かっていた体重が無くなり――
「まだ、だぁめ」
――彼女は、再び竿を弄び始めた。
「まだ……もうちょっとだけ、我慢して……? ね……?」
先端に手で触れたり。
竿をしごいたり。
キスをしたり、舐めたり、しゃぶったり。
何度も何度も、定期的に刺激しては、それが止み、達する事も出来ず、萎える事も許されない。
そんな繰り返しに、理性が削られていく。
「出したい? ぴゅっ、ぴゅっ、って、出したい……?」
どれ程時間が経ったのか分からなくなった頃、巴さんが竿を指でなぞりながら尋ねる。
その問いに、首を激しく上下に振って頷く。
「じゃあ、ちゃんと言って……? どうして欲しい……?」
迷いは、ほんの一瞬だけ。
もう、限界だから、お願いだから、最後まで……出させて、下さい。
「……ふふ。ちゅっ」
情けない懇願を聴くと、巴さんは満足そうに笑い、先端にキスをする。
だが、彼女の気配はすぐ様、また離れていってしまう。
なんで、どうして、と疑問が頭を駆け巡り、体が暴れだしそうになる。
「……出すなら、ココで……」
ベッドが軋み、巴さんが体勢を変えたのが分かった。
唐突に視界を覆っていたリボンが取り払われ、久方ぶりに彼女の姿が目に入る。
「ね……?」
そこには、かつて、自分を助けてくれた時と同じ衣装の。
けれど、大きく胸をはだけ、別人の如く艶めいた表情をする巴さんが、腰の上辺りで膝立ちになっていた。
生唾が、渇いた喉を下っていく。
「ほら……。もう、準備……出来てるから……」
彼女はスカートの端を指で摘んで、ゆっくりと、それを上に持ち上げていく。
下着は、着けていなかった。
スタンドライトに照らされた彼女の恥部は、テラテラと光を反射し、洪水のように愛液が太ももを伝って落ちていた。
「ぅんっ」
巴さんが腰を下ろし、先端と恥部が接触する。だが、彼女が動いてくれたのはそこまでで。
ほんの少し先に待つ熱へ身を埋めたくて、獣のように激しく体を藻掻かせる。
「………………」
巴さんが、無言のまま手をかざす。
体を拘束していたリボンが消え去った。
もう、止まれなかった。
「きゃんっ!?」
すぐ様、体を跳ね起こして巴さんを組み伏せる。
全力疾走した直後と変わらない荒い呼吸をしながら、入り口に先端をあてがう。
「……っ……」
巴さんは、熱を帯びた瞳で、じっとこちらを見つめていた。
その熱に魅せられて、一気に腰を推し進める。
「……ひ、ぐ……んぁあっ!?」
微かに、何かを破る感触。だが、それ以外の抵抗は全く無く、彼女の中へ吸い込まれていく。
それと共に、全てが決壊した。
「ひ、ぁあっ!? あ、熱、い……!?」
今まで散々我慢させられていた熱い滾りが、巴さんの内に向かって激しく放たれる。
熱を感じてか、彼女も体を震わせた。
体を反らせ、瞼を硬く閉じて、こちらの背中に腕が回り、腰にも脚が纏わりつく。
「あ……あぁ……ん、んっ……」
やがて、巴さんの内に全てを出し終えると、荒く、長い息を吐き、体から力が抜ける。
その間も彼女の内に収めた竿は、柔らかく刺激され続けた。
「はぁ……はぁ……ん……」
背中に回っていた腕から力が抜け、少し体を起こすと、巴さんの顔が視界に入る。
その様子を見る限り、痛みは感じていなさそうで――いや、むしろ快楽に蕩けてしまっているように見えた。
「……お願い、もっと……もっと、アナタを……感じたい、の……」
そう言って彼女は、潤んだ瞳で、淫らに微笑む。
理性が、飛んだ。
他の事なんか、もう、どうでもよくなった。
「ふぁ……あんっ」
試しに腰を引くと、その声は甘く、また中に戻ろうと、腰を突く。
「あ……んっ……あっ……は、ひっ……あぁっ」
柔らかく、全てを包み込むように、巴さんの内側は竿に絡みつく。
それを味わうために、ゆっくりと腰で円を描き、かき回す。
「あ、んっ……はっ……んくぅ……ぅうんっ」
動きに合わせて、彼女が甘く嬌声を上げる。瞳から涙が零れ、陶酔する口元からは涎が一筋垂れていた。
普段、理知的な巴さんが、そんな痴態を見せてくれる。
酷く高揚感を覚えた。
「あぁぁ……き、気持ち……いい……んんっ……もっと……深、くぅ」
彼女のねだる声に応え、腰の動きを一旦止めて、より奥へ進むため、腰と腰を密着させる。
先端がなにか硬いものに触れ、それをグリグリと押し上げるようにしながら、目の前でプルプルと揺れている、たわわな果実の頭頂部を強く吸い上げた。
「ひっ!? ん、あっ!!」
巴さんが体を海老反らせ、顔にマシュマロが押し付けられる。
軽く絶頂に至ったのか、根元まで完全に埋まった竿を、肉壁が絡め取るように蠢く。
それが収まるのを待たずに体を起こし、腰を前後させ始める。
「んぁあっ、あっ、あぁっ、奥、奥がぁ、ぁはんっ」
先程までとは違い、かなりきつく、それなのに柔らかいまま、竿が締め付けられる。
奥へと進むたび先端が行き止まりに触れ、押し上げる度、巴さんの甲高い声が部屋に響いた。
「ぁあんっ、や、あぁっ、あんっ、んんっ」
腰を打ち付けるたび、パンッ、パンッ、と肉のぶつかり合う音がした。
まるで、融けてしまうのではないかと思う程、その中は熱くて。熱が繋がっている部分を伝わり、自分にまで伝染する。
もう、彼女を啼かせる事しか、頭の中には残っていなかった。
「あ、ひっ、ん、んぅ、ぅっ、ぁっ、やぁんっ」
とろとろした愛液が竿に纏わりつき、そのぬめりが、また快感を呼び起こす。
腹の中程に、痺れが生まれた。
感電しているみたいな感覚を吐き出そうと、腰を激しく前後させる。
「くぁ、ぁう、ふぅっ、んふっ、ふぁんっ」
それに合わせて、彼女も小さく、腰を揺らし始める。
快感に、脳内が白く染め上げられていく。
マミ、と、口が勝手に名前を呼ぶ。
「あ……」
途端、彼女の顔に、情欲とはまた違う色の喜びが浮かんだ。
その微笑みには、淫靡さは欠片も無く。
一輪の花のような、可憐さを感じた。
「あっ、んっ、あぁっ、あんっ、あっ、ぁあっ、はぁっ」
しかし、その微笑に似合わない大胆さで、彼女は腰を動かし始める。
痺れが急速にせり上がり、今にも弾けそうなそれを堪えながら、膣内に出すぞ、と乱暴に宣言する。
「あっ、うっ、うんっ、なかぁっ、なかにっ、きてぇっ」
彼女の言葉が、最後の枷を取り払った。
抱き潰してしまう程の力を込めて、その体を腕に抱き。
渾身の力を込めて腰を突き出しながら、獣の如き声を上げ、最奥に痺れを吐き出す。
「ふぁっ!? ぁく、ぁあぁぁああんんんっっっ!!!!!!」
叫びと共に、千切れるかと思う程、締め付けが強くなる。
二度目とは思えない激しい勢いと量で、彼女の内側を白く染め上げた。
奥歯をギリギリとかみ締める。
そうしなければ、意識が飛んでしまいそうな程、気持ち良かった。
「はっ、あっ……あ、つい……の、がぁ……たく、さん……んぁぁ……」
快感に揺らぐ声が、耳元で聞こえる。
うわ言のようなその声には、誰にでも分かる程の充足感が込められていた。
腰を引き、竿が抜けると、彼女は寂しげな声を上げながら体を震わせる。
「あ……んぅっ……」
その声を聞きながら、気だるさに襲われる体を投げ出し、彼女の横へ仰向けに横たわる。
二人分の、荒い息遣いが響く。
目を閉じ、悦楽の余韻に浸っていると、投げ出していた掌の上に重みを感じた。
ただ、重なるように、巴さんの手が乗せられていた。
「……ふぅ……ふぅ……」
荒い息を整えながら、先程までと違い、不安げな瞳でこちらを見つめている。
少しだけ、迷ってから。
マミ、と小さく呼びかけて、その手を握る。
「あ……っ」
ただ、手を握っただけなのに。
ただ、名前を呼んだだけなのに。
彼女は――マミは、嬉しそうに目を細め、顔を綻ばせた。
「……アナタの事が、好き……大好きよ……」
マミさんにマミマミされたい。