天井に湯気が昇っていくのを、無心に眺める。
普段ならゆっくりと浸かれる広さの湯船が、今日に限ってやけに狭い。
「……いつまで、そっぽ向いてんのさ?」
顔のすぐ近くから声が聞こえ、小さな背中が寄り掛かって来た。その感触に、揺れる水面と同じように、自分の心臓も揺れる。
お団子に縛り上げた髪から漂う香りが、鼻をくすぐった。
本当なら、その裸体を目を皿にして凝視したい所なのだが、実際に出来る状況となると、緊張と照れで視界の端にすら入れる事が出来なかった。
「ちゃんと、見ろってば……。アタシだって、恥ずかしいんだかんな……」
しかし、彼女――杏子にとってはそれが不満らしく、視線を下ろす事を要求してくる。
その言葉には、抗いがたい魔力のような物を感じ、いいのかなと思いつつも、錆び付いた機械の如くぎこちない動きで顔を下ろす。
だが、一度目にしてしまうと、もう視線を離せなかった。
「………………」
火照ってほんのり赤くなった肌を、雫が伝っていく。それを追うと、杏子の引き締まった肢体が目に入る。
アスリートのように無駄のない体の上に、女性らしい膨らみが二つ――その頭頂部は、つんと上を向いていた。
更に視線を下げると、緩やかな曲線を描く腹部の下に、全く毛の生えていない丘が見えた。
年齢を尋ねた事は無かったが、もしや、それが当然の歳だったりするのだろうか。
その事に気がつくと、心臓が爆発したかのような早鐘を打ち始め、今まで必死に押さえ込んでいた煩悩が股間へ流れていく。
「……ひゃっ!?」
程なく、硬さを増したそれの頭が、杏子のお尻を撫で上げてしまう。
「な、何すんだよっ……っと、あっ……」
驚いて体を起こし、こちらを振り向く杏子だったが、そのせいで己の体が惜しげもなく晒されている事に気づくと、体を縮め、ザブンッ、と勢いよく湯船に体を沈める。
それを見て自分も恥ずかしくなり、脚を閉じて硬くなったものを隠す。
「………………」
杏子は更に湯船に沈み、口元まで湯に漬けて、息でコポコポ音を立てている。
なんだか視線が股間に向いている気がして、激しく気まずい。どうすれば良いのか、何をしたらまずいのか……全く見当もつかない。
意味のない思考ばかりが頭を巡り、刻々と時間が過ぎていく。
そんな時、杏子が動いた。
「……っ」
水面から顔を上げ、狭い湯船をこちらに近づく。
突然の行動に焦っていると、杏子は脚の隙間に体を滑り込ませ、止める間もなく抱きついてくる。
胸板に彼女の柔らかい膨らみが密着し、竿がお腹との間に挟まれた。
一瞬で頭が沸騰し、口をパクパクさせながら、自分は全身を硬直させる。
「やっぱり、驚くよな? 急に、こんな事して……」
杏子はそう言いながら、首筋に顔を埋める。
言葉と共に出る吐息が、くすぐったい。
「でもさ、アタシは、本気だから……ちゃんと答えてよ。……もし迷惑なら、アタシは……」
彼女の不安そうな声が、耳を打つ。
こんな行動を起こされるまで、その気持ちに気付こうともしなかった馬鹿な自分だが、流石にもう逃げるわけには行かない。
湯の下に見えるその背中を眺めながら、躊躇いがちに、自分で良いのか、と尋ねてみれば――
「アンタが良い。アンタ以外じゃ、ヤだ」
――杏子は、ハッキリと宣言してくれる。
その言葉が胸に染み入り、温かいような、切ないような、色々な感情が込み上げて。
溢れそうになった様々な気持ちを込めて、彼女を抱きしめる。
「あ……ぇへへ……」
肌がより密着し、互いの体温を感じる。
心臓は痛いほど高鳴っているのに、どうしてか、心はとても落ち着いていた。
しかし、そんな情緒も鑑みず、自分の分身は、杏子のお腹の感触に硬さを増していく。
「あ、えと……」
それを感じたのか、彼女は体を離し、少し不安気に口を開いた。
「あの、さ……アタシ、どうしたら良い? こういう事、あんま知らなくて……」
尻すぼみな言葉と戸惑う表情に、自分はこれから、何も知らない少女を汚すのだという事を実感し、背徳的な喜びが満ちる。
「あ、んっ……ちょ、ちょっと……んっ」
杏子の体に手を添え、そのまま下に滑らせて、形の良いお尻を揉みしだく。
そして腰を引き寄せ、股の間に竿を滑らし、脚を閉じさせる。
「うぇ? え、え?」
困惑し、キョロキョロする彼女を抱きしめ、そのまま閉じていてくれ、と頼む。
「……? ……分かった……」
素直に従い、脚を閉じる杏子。
太ももと恥部の間に、竿が挟み込まれる。
腰を前後させ始めると、すべすべした肌の感触が気持ちよかった。
「んっ……ん……」
お湯の中だからか、抵抗は殆どなかった。
竿の上部に少しだけ違う感触があり、それが杏子の恥部だというのが分かる。
「う……ん……っ……」
強い刺激ではなかったが、その分、余裕を持って快感を楽しむ。
しかし、彼女にとってはそれがもどかしいのか、杏子は吐息に合わせて、小さく喘ぎ声を漏らしていた。
「は……ぁ……ん……」
顔を覗いてみると、眼を閉じ、刺激を感じる事に集中しているようだった。徐々に吐息も熱を帯び始める。
それと比例して、竿へ掛かる圧力が強まっていく気がした。
「ふぅ……ふっ……んっ……」
杏子の吐息は、だいぶ荒いものへと変わっている。
小さい腰が、こちらの動きに合わせてゆらゆらと揺れていた。
「んん……うっ……く……」
抱きしめ合う腕にも力が篭り、胸板に杏子の胸が擦れ、二つの硬いしこりが存在を主張する。
「あっ……ぅんっ……ん……」
緩やかに高まりあった熱が形を持ち始め、やがてそれは、彼女の中に入りたいという欲に変じる。
杏子のお尻越しに上下して見える先端は、自分でも始めて見るほど大きく張り詰めていた。
それを伝えるため、もうそろそろ……と耳元で囁く。
「はぁ……ふ、ぅ……うん……いいよ……」
赤い顔で返事を返す杏子は、胸板に手を突いて体を起こす。
「………………」
体から湯を滴らせ、湯船のふちに腰掛けると、期待と不安の入り混じった表情でこちらを見つめる。
熱っぽい視線を受けながら、杏子の太ももに手を置き、閉じられた脚を押し開く。
「あっ……っ……」
嫌がり、彼女は脚に力を込めるが、手の平で内側を撫で続けると、それはゆっくりと開かれていく。
奥には、ぴったりと閉じられた一本の線があった。
「うぅ……」
両脇に指を添え、少しだけ左右に開く。
「んっ」
その内側は綺麗なピンク色をしていて、お湯とはまた違ったもので濡れそぼっていた。
思わず、綺麗だ、なんて呟くと、彼女は恥ずかしそうに目を逸らす。
「へ、変な事言うな、ばか……ぅぅ……」
杏子が体を揺らすたび、その中もピクピクと反応を示す。
入り口の小ささに、本当に入るのかと少し心配になったが、今更止まる事もできず、自分も立ち上がり、彼女に腰を寄せる。
「……あっ、ちょっと待った!!」
だが、先端が触れる直前、杏子が声を上げる。
これからと言う時に止められて、少し鼻白むものの、どうかしたか、と聞き返す。
「……ぁ~、そ、の……ま、まだ……ちゅー、してない……」
………………ぷっ。
「な、なんだよっ、笑うなぁっ!!」
杏子の口から出たあまりにも可愛らしい要求に、小さく吹き出す。それに怒ったのか、彼女は両手でポカポカと殴りつけてきた。
ごめん、と謝りながら、殆ど力の込められていない腕を掴み、顔を寄せる。
「っ、と……ん……」
すると一転、杏子は大人しくなり、しばらくこちらを見つめた後、目を瞑って顔を上に向ける。
小さく、杏子、と彼女の名を呼びながら、唇に唇を重ねた。
「……っ、ん……」
柔らかいそれを啄ばむように、軽く吸う。
上下の唇を、自分の唇で挟み込み、何度も、離れそうになっては元に戻る。
「ん……んむ……んぁ……」
次第に、杏子の唇が開き始めた。
薄目でそれを確認してから、舌を出して、と要求する。
「ふぁ……え? ……こ、こぉ……?」
口を大きく開き、杏子は小さく舌を出す。
すかさず口に含み、舌同士を絡ませた。
「んむっ!? ふ、んっ……」
驚く彼女の頭を逃がさぬように手で支え、深く口付ける。
少し、チョコのような甘い風味がするのが、杏子らしい。
「ふぁっ……ちゅっ……ちゅる……んんぅ……」
当初の目的も忘れ、無心に彼女の口内を犯し続ける。
「ん……ふ……ちゅぅ……ん~……」
知らず、体を寄せ合っていたのか、竿の先端が杏子のお腹に触れ、ピクッと揺れる。
その柔らかい感触に、忘れかけていた欲望が蘇り、唇を離す。
「ふはっ……はぁ……はぁ……」
呆けている杏子の恥部に、今度こそ先端を触れさせ、いいか、と尋ねる。
「……ぅ、ん……」
杏子は、伸ばした腕を首に巻きつけ、小さく頷く。
それを確認してから、彼女のお尻に手を置き、少し持ち上げるようにして、腰を前へ。
「……う……くぅ……」
先端が埋まると、急に狭くなるような抵抗感を感じたが、それを通り過ぎると、彼女の中に全てが埋没した。
「うぁ……っく……」
まず感じたのは、心地よい熱さだった。
湯に浸かっていたせいか、元々杏子の体温が高いのか。
どちらかは分からなかったが、正直、この気持ち良さの前では、どうでもいいと思える。
「ふっ……ふ、ぅ……ん、くぅ……」
しかし、耳に届く苦しげな息遣いに気付き、無理をさせたか、と杏子を気遣う。
「……んっ……大丈夫……あんまり、痛くはない、けど……ちょっと、苦しい……」
そう言うと、首に絡めていた腕を解き、彼女は自分のお腹を撫でる。
「はぁ……っ……自分でも、吃驚だよ……こんなとこまで来てる……」
杏子は目を閉じながら、静かに微笑む。
しかし、穏やかな表情と相反して、自分の中には劣情が燻ぶる。
「んぁっ……おぃ……くぅっ……」
腰をゆっくりと前後させると、苦しげに眉をひそめ、咎める声を出す。
そんな杏子に謝りながら、自分は腰の動きを続ける。
ごめん……。もう、我慢できない。
「んっ、く……ったく、しょうがないなぁ……」
すると杏子は、ふっと体から力を抜いて、再び両手を首に絡ませ、微笑む。
「好きに、しなよ……。全部、アタシが受け止めてやるから……」
彼女の微笑からは、清らかさすら感じられたが。
それにすら肉欲は滾り、衝動的に腰を突く。
「うぁっ……んっ……」
杏子が苦しそうに喘ぐ。
それは、消えかけていた理性をかろうじて繋ぎとめるが、それでも動きは止められない。
「ふぅっ……ん、んん……」
彼女の内側が竿を締め付ける。
かなり、きつい締め付け。その分、強く杏子を感じた。
「く、ぁ……う……」
しかし、まだ刺激に馴れないのか、彼女の声は苦しげで。
せめてそれを和らげようと、深く突き入れるのを止め、浅い所の往復を小刻みに繰り返すと――
「あ、うっ、ぅん、んっ」
――杏子の息のリズムが変わり、乗せられる色も変化し始めた。
「ふっ、んんっ、ふ、ぅ、ぅあっ」
綺麗な鳴き声に聞きほれながら、浅く抽送を繰り返していると、時折、体が大きく反応を示す部分に気付く。
中程手前の、上側。
そこを先端のくびれで引っかいてみれば――
「あんっ……へっ? 今の……ぅあんっ」
――苦しげな声から一転、杏子は甲高く喘ぐ。
彼女自身、自分の声に驚いているみたいだった。
しかし、そんな声を引き出せたのが嬉しく、内心のほくそ笑みを隠しながら、腰の位置を落とし、斜めに擦り上げるようにして突き出す。
「ひゃ、ぁんっ、ちょ、ちょっとま、やっ、あんっ」
戸惑う杏子を余所に、腰の動きが止まらない。
基本は浅く、たまに深く。
狭くて熱い、杏子の内を行き来する。
「あん……あんっ、やぁっ……あ、う」
湯船が、バシャバシャ、と大きく音を立てる。
次第に我慢が出来なくなり、腰のストロークも大きくなる。
「んあっ、はっ、あっ、あぁっ」
だが、苦しかったであろう深さにも、杏子は甘く吐息を漏らし始める。
表情も、明らかに、悦びに感じ入っているように見え。
いつの間にか、結っていた筈の髪は解け、濡れた肌に張り付いてしまっていた。
「はあぁ、あ、くぅ、ん、んんっ」
そんな彼女の表情に、尚更、興奮は高まって行き。
今にも出て行ってしまいそうな欲を堪えながら、杏子に最後の確認をする。
……このまま、出してもいいか……?
「あんっ、あっ、や、んっ、だめ、なか、は、だめぇ、赤ちゃん、が、あぁっ」
彼女は、熱に浮かされる切ない声でそれを嫌がる。
けれども、反応したのは自制しようとする理性ではなく、杏子の全てを穢したいという征服欲で。
既にギリギリだった興奮はそれに後押しされ、あえなく、彼女の中に白濁とした性欲が暴発してしまった。
「ひゃっ!?」
その勢いは、自分でも分かるほど激しく。
ドロドロとした粘液が、かつて無い量で放出される。
「うぁ、ぁあああぁぁぁっっ!!!!!!」
最奥を叩かれたからか、杏子は足をピンと伸ばし、体の内と外を、両方痙攣させる。
「あっ……あ……はっ……はぁっ……はぁ……は……はぁ……」
長い射精が終わると、同時に杏子の体が倒れ込んで来た。
「はぁ、ぁ……なに、これ……なんか、飛んで……」
荒い息遣いが耳に届き、全てを出し切って冷静になった頭へ心配が過ぎった。
すぐ様、解けてしまっている髪の上から彼女の背中を撫で、大丈夫か、と声を掛けると――
「はぁ……はぁ……大丈夫な訳、無いだろ……このばかぁ……ちゃんと……責任、取れよなぁ……?」
――胸板の上で、杏子はそう話す。
荒い息遣いを感じながら、彼女を抱きしめ、まだ一度も伝えていなかった気持ちを言葉にする。
……好きだ。
……杏子の事が、好きだ。
「……あ……」
その言葉に返事をする様に、杏子も背中に腕を回し、ゆっくりと口を開く。
だが――
「……うん……でも、アタシはちょっと違うかな……」
う、んぇえ゛!?
――予想もしていなかった言葉に、喉から変な声が出てしまった。
「……ぷっ、くくくっ」
しかし、それを聞いた杏子は、クスクスと笑いながら、体を離し。
満面の笑みを浮かべながら、もう一度、口を開いた。
「アタシは、アンタの事が大好きだっ」
杏子をあんあん言わせたい。