※この作品はR-18です。

好感度MAXから始まる白猫プロジェクト   作:ココナポッカ

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赤髪と深き森の守り手【エマ・イングラム】

 

 

 飛行島のお昼時。

 みんなが昼食を摂ったり、友達同士でレストランで食事を交えながら親睦を深め合う最中、俺は手早く食事を済ませてから、飛行島にある図書館で調べ物をしていた。

 

 

「うーん、見つからん」

 

 

 俺は気だるげにそう呟いて、一冊の分厚い本を元の棚に戻した。今さらあの依頼を引き受けたことを後悔したが、もう遅い。

 今回の依頼はとある薬を作るのに特別な薬草が数種類必要だから、代わりにそれらを集めてきてほしいというものだ。

 それらの薬草は入手が難しいレアものばかりで、まず市場には売っていない。そこら辺の森を探索しても、珍しい薬草なだけあって滅多に見つからないという。

 

 依頼人からはその薬草がありそうな場所を教えてもらい、そこに出向いて時間をかけながらなんとかいくつか採取できたものの、まだ入手していない薬草は複数あり、俺はそれを見つけることができずにいた。

 だから、俺はそれを解決するため知識の宝物庫の図書館に来たのだが、見ての通り苦戦していた。

 

 一向に見つからない薬草にも、報酬がかなり良かったからと言ってあっさり依頼を引き受けた自分にも思わずため息が出てしまう。

 

 

「はぁ、喉乾いた」

 

 

 ちょっと休憩するか。

 俺は図書館の端に設置されている自販機でジュースを買って、近くのベンチに座って一息入れる。

 大きな箱にお金を入れて飲みたい物を選ぶだけで、冷えた缶ジュースが出てくるのだから自販機はとても便利だ。故郷のアストラ島や小さな島にはなかったけど、技術が発達した島や国では自販機は一般的なものらしい。科学の力ってすごい。

 

 

「あれ、赤髪さん?」

「ん。お、エマか」

 

 

 声が聞こえてきて、その方を見るとそこには赤い髪の少女エマ・イングラムがいた。

 まるで彼女は、俺がここにいるのが珍しいと言いたげな様子でこちらを見ている。

 

 

「こんにちは。赤髪さんがここにいるなんて珍しいですね」

 

 

 実際そう思われていたらしい。

 こんにちは、と俺もエマに挨拶する。

 

 

「図書館でこういう事を聞くのもあれですけど、赤髪さんは本読みに来たんですか?」

「そうだけど、本を読みに来たと言うよりは調べ物をしてるんだよ。……困ったことに、それが全く捗ってないんだけど」

「調べ物ですか?」

 

 

 俺はエマに図書館で調べ物をすることになった経緯を説明した。彼女はコクリと一回頷いてから、

 

 

「なるほど、そういう事なんですね。良ければお手伝いしましょうか?」

「それは助かるけど、いいの? さっき言ったけど調べ物は難航してるし、もしかしたら骨折り損になるかもしれないぞ」

 

 

 現に長い時間資料を調べてる割には、その薬草の情報は手に入っていない。人手があったら助かるのは間違いないけど、エマが読書好きなのは知ってるし本を読むために図書館に来たんだろうし、せっかくのその時間に仕事の手伝いをしてもらうのは悪い気がした。

 何より、実はというとこのまま調べ物を続けたところで薬草の手がかりは見つかりそうにない感じもするし。

 

 

「あ、そういう意味ではなくてですね。私の出身のリンツには珍しい薬草がけっこうあるので、もしかしたら赤髪さんが探している薬草が見つかるかもしれませんよ。リンツの自然なら私の方が詳しいですし、私も力になれますし」

 

 

 なるほど、手伝うといったのはそういう意味だったか。

 そう言えば以前リンツを訪れた時に、植物学者のエッダさんが『リンツには珍しい植物が多い』とか言ってた気がするな。

 珍しい薬草があるリンツ島、それにリンツ生まれでその土地に詳しいエマがいるのならすごく心強い。

 エマには迷惑がかかるが、断ることは出来なかった。俺はエマの意見に乗ることにした。

 

 

「それなら確か今ならリンツが近くにありますし、バロンさんに言って飛行島を下ろしてもらいましょう。距離的に昼頃には着くと思います」

「なら急いで準備しないとな。ありがとうエマ、持つべきものは友達だな」

「そんなこれくらいのことでお礼だなんて……それに友達が助け合うのは当然の事じゃないですか」

 

 

 嬉しそうに微笑むエマ。思えば彼女も俺たちの前でよく笑ってくれるようになったものだ。

 彼女の経歴やリンツ島での出来事を考えると仕方の無いことだけど、今はこうして笑ってくれるようになったのだから俺も嬉しく思う。

 

 

「どうしたんですか?」

「あ、いやー。エマもよく笑うようになったなと思ってさ。初めてあった時のエマって、あまり自分と関わらないで欲しい的なオーラが出てたし」

「そう、ですかね?」

「意地を張ってたというか、スレてたとも言えるかもしれないけど」

「す、スレてたって……そこまではないと思いますよ。意地っ張りとはよく言われましたが、最近は言われなくなりますし、アンジェラだって感情表現が柔らかくなったと言ってくれましたよ。

 ……もう、せっかくお手伝いしようと思ったのに、酷い言われようです」

 

 

 ムスッとして俺から視線を外すエマ。

 前よりはマシになったと思うけど、たまに意地っ張りなところを見せるのも事実だし……まあこれ以上言うと彼女の機嫌を損ねてしまうのでやめるとしよう。

 

 

「ごめんごめん。悪気はなかったんだって」

「……まあ気にしなくていいですけど。それに赤髪さんにはたくさんお世話になりましたから、そのお礼もしたいですからね。ちゃんと助けになるかは分かりませんが、リンツ島での薬草探しは任せてください」

 

 

 俺はホッとしてエマに「ありがとう」と感謝を述べる。

 でも俺、エマに何か感謝されるようなことしたか? ……うーむ、覚えてない。

 

 

「それじゃあ行きましょう。早くバロンさんに飛行島を停めてもらわないと、リンツを通り過ぎちゃいますよ」

 

 

 それとエマが妙に嬉しそうなのは気のせいか?

 ステップしながら歩いてるしなんか幸せそうに頬を緩めながら鼻歌歌ってるし。楽しそうなのは結構だけど、図書館であんなことしたら……。

 

 

「そこのお方、読書をされている方々のご迷惑になるので図書館ではお静かに」

 

 

 言わんこっちゃない。注意されたエマは「すいません」と頭を下げて、恥ずかしそうにしながら俺と一緒に図書館を出た。

 それでもエマはすぐに嬉しそうな表情をしていた。そんなに薬草探しが楽しみなのだろうか? それとも可能性があるとしたら俺と一緒に仕事をするのが嬉しい……とか?

 とにかく俺とエマはリンツ島に向かうことにした。

 

 

 

■

 

 

 図書館を出て、早速俺とエマはリンツ島に訪れて森の奥で薬草探しをしていた。

 エマの言った通りリンツには珍しい薬草や植物が多く、探し求めていた薬草が早くもいくつか見つかった。

 順調に薬草が見つかる中、姿勢を低くしながら残り一つの薬草を探していると、エマが勢いよく突然立ち上がる。彼女の手には薬草が握られていた。

 

 

「赤髪さん、見つけましたよ! これで合ってますよね?」

 

 

 彼女から薬草を渡され、依頼人から頼まれた薬草と同じものなのか匂いや見た目を調べる。結果、これは依頼対象の薬草であることが分かり、これで依頼は終了と言ってもいい。

 

 

「さんきゅーエマ! これでやっとこの辛かった依頼から解放される! エマがいなかったらまだ薬草探しをするハメになってたよ。マジで助かった!」

 

 

 自業自得とはいえ、これでこの無駄に難易度が高かった依頼ともおさらばだ。

 俺はいてもたってもいられないほどの喜びが湧き上がり、思わず小躍りしそうになる。本当に踊った訳じゃないが、エマがびっくりするほどの勢いで俺はお礼を言った。

 

 

「そ、そこまで喜んでくれたのなら私も嬉しいです! ただ、赤髪さん……っ」

「分かってる、報酬のことだな。もちろんエマにも分配するよ。むしろエマの取り分が多くていいくらいだ」

 

 というか、そうしよう。ほとんどの薬草はエマが見つけたわけだし、彼女がいなかったらそもそも依頼を達成できなかったかもしれないからな。

 

 

「あの、そうじゃなくて……」

 

 

 ……ん?

 どうしてか、エマの頬がほんのりと紅く染まっている。声だって緊張してるっぽいし、エメラルドグリーンの瞳はどこか困っているようにも見える。

 彼女の手の体温とどんどん上がってるような……ん、手?

 

 

「うわっ、ごめん!」

 

 

 俺はいつの間にかエマの両手をこちらの両手で包むように握っていた。さっきお礼を言ってる時に気づかないうちに、握ってしまったのだろう。俺は急いで彼女の手を離すと、エマの方は手を引っ込めてから気まずそうに視線を向こうに向けていた。

 ……エマの手、すべすべしてて気持ちよかったな。なんか得した気分。

 

 一泊置いて、先に口を開いたのはエマだった。

 

 

「び……びっくりしました。いきなり手握ってくるんですから……」

「すまん、嬉しすぎてつい」

「そ、そうですか。喜んでくれたのならなによりです。そんなことより、そろそろ暗くなってきましたしもう森を出ませんか?

 私がいるので道に迷うことは無いと思いますが、結構深いところまで来たので、早くを森を出るのに越したことはありません」

「うん! そうだな、そうしよう」

 

 

 気まずい流れを切り替えるように俺はエマの意見に強く頷く。

 どのみち深い森まで来てしまったため、静かで人気のない道を二人で歩くことになり、その間も少々気まずかったり恥ずかしかったりした訳だが、森を出た時にはその空気も無くなっていた。

 

 

「ふう、今日はお疲れ様でした。薬草も無事に見つかってよかったですね」

「ああ、何度も言うけどありがとうエマ。せっかく故郷に帰ってきたのにこんな遅い時間にまで付き合ってくれて助かったよ」

 

 空はもうすっかり暗く染まっていた。

 リンツ島に降りたのが昼過ぎで、そのあと森深くまで歩いて薬草探しを始めたわけだから、夜になってもいいように一応の村の宿を確保しておいた。つまり、今日は俺はリンツの宿で夜を過ごすことになる。

 エマの家はあるけど、さすがに女の子が一人暮らしている家に男が泊めてもらうわけにはいかないからな。

 

 

 

「それじゃあ俺はこれで。おやすみ、エマ」

「ええ、おやすみなさい赤髪さん」

 

 

 と、宿の前で別れようとしたところで────突然、やかましい声が夜の空に響きわたった。

 

 

「エマ!? お前、最近やっとリンツから出ていったと思ったらまた戻ってきやがったのか!? リンツを二度もあんなに合わせておいてよくも平気な顔して戻ってきたな!」

 

 

 そんな罵倒をかけてきたのは一人の老人。その人からは酒の臭いがしてきて、見ただけでも完全に酔っ払っていると分かる。

 ……そう言えば、初めてここに来た時に昼間から泥酔したおっさんを見た覚えがある。それがたしかこの人だったはずだ。

 

 

「グンナルさん……」

 

 

 エマが悲痛の声でその人の名前を呟いた。老人の名前はグンナルというらしい。……多分だけど、怒り方や横暴な態度からして、グンナルさんは前々からさっきのような酷いことをエマに言ってるのかもしれない。

 その証拠にエマは辛そうな表情をしているが、かと言ってこの状況が初めてではないといった雰囲気だった。

 

 

「魔幻獣がやっといなくなったのにな。巫覡のお前を見てるだけでイライラするんだよ! こんちくしょう!」

「……ごめんなさい。今日はもう森の奥に帰るので安心してください」

「さっさとそうしてくれ! できればリンツには戻ってきて欲しくなかったんだがな! 過去にお前ら巫覡の末裔と魔幻獣のせいで一体どれだけ人が死んだか……くそがっ!!」

 

 

 吐き捨てるようにしてグンナルさんはその場を立ち去る。うるさいやつが自分から立ち去ってくれて何よりだが、エマをここまで罵倒されておいて俺は見過ごすわけにはいかなかった。

 過去に魔幻獣が暴走して人がたくさん亡くなったと言っても、それは二十年の話だ。他人の家族を亡くした悲しみにどうこう言うつもりはないが、その悲劇の時にはエマは産まれていないし、なにより彼女に罪は無いはずだ。なのに、この言われようは……。

 

 

「赤髪さん、大丈夫です。あの人はいつもあんな感じですから、気にしないでください」

 

 

 グンナルさんを追っかけようとして、エマに後ろから服を引っ張られって止められる。

 

 

「なんでだよ。エマは何も悪くないのに」

「こういう事は前からありましたから、今更どうこうするつもりはありません。……ここ最近は、ようやく島の人たちとも普通に接することができてたので、あんなこと言われたのはちょっと久しぶりでしたけど」

 

 

 そうは言ってるが、エマの声音からどこか痛ましい思いをしているのを感じた。

 

 

「……でも、そうですね。ちょっと嫌なところを、あなたに見られてかもしれません。

 前よりは島の人々と仲は良好になれましたが、やっぱり今でも巫覡を疎む人達は大勢います。そういう人たちのほとんどは過去の悲劇で、大事な家族を失った人たちなんです。

 だから、巫覡の私がああいうこと言われるのは仕方がないんです。家族を失った時の悲しみや苦しみは私にも分かりますから」

「エマ……」

「あ、い、意地っ張ったりはしてませんよ!!」

 

 

 聞いてないって。まあこういう時にくらい意地を張らなくてもいいと思ったのは、本当だけど。

 

 

「そうだ! お詫びに今から私の家でお茶にしませんか? もう夜ですけど、ちょっとの間だけならいいですよね?」

「そうだな。少し、二人でゆっくりしようか」

「はい! ふふ、じゃあ私の家に行きましょう」

「でも、その前に……」

 

 

 帰ったらちゃんと本音を話してほしい。俺はそう言うと、続けてエマの瞳から水滴が流れているのを指摘した。

 

 

「────え? ……あれ、ほんとうだ。ど、どうして涙が……っ」

 

 

 どうやら彼女は自身が泣いてることに気が付かなかったらしい。

 それはつまり、エマはそうなるまで、周りから与えられる嫌悪と苦痛……それらに必死に耐えようとしていたということだった。

 

 

 

■

 

 

「ひとまず、お茶を用意しますね。どんなものがいいですか?」

「え? 今は大丈夫だよ、それよりエマはます休んだ方が」

「いいんです。せっかくの客人ですから、なにかもてなさないと私が落ち着かないですし、そうした方が今は気分が楽になるんです」

「それなら、エマと同じものをいいかな?」

「わかりました」

 

 

 精一杯の笑顔でエマは答える。さっきまで泣いていたというのに、明らかに無理しているのがわかる。

 家に着くと、俺は彼女に席に座らされ、お茶ができるのを待った。しばらくして、二人分のお茶を持ってきたエマがイスに腰を下ろした。

 

 

「お待たせしました。さあどうぞ」

「ありがとう……んっ、美味しい」

「ごくっ……うん。この前買ったちょっと高めのお茶の葉なんですけど、これは買って良かったです」

 

 

 

 ……さて。

 本当は何事も起こっていなかったのなら、このまま楽しく談笑したいところだが、そう言うわけにはいかない。余計なお世話だと思われるかもしれないが、これ以上エマが悲しむのを俺は見たくなかった。

 

 俺をエマと目を合わせると、彼女は先程の事を気にしてか顔を俯かせる。

 

 俺は早速、話を切り出した。

 

 

「エマはさ」

「は、はい。なんでしょう!」

 

 

 ちょっと固まった感じの声を返すエマ。

 

 

「住人に嫌がらせを受けたりしたら、それは仕方ないことだとか言ってるけど……エマは何も悪くないのに仕方ないわけないし、仕方ないの話にしても人の心が辛いことに耐えるのは限界があると思うんだ」

「限界、ですか?」

「うん。エレノアが世界を救うために俺たちに戦いに挑んできた時のこと……俺を殺そうとした時があったよね」

 

 

 はい、と小さく頷くエマ。

 

 あの時のエレノアは世界を滅亡から守るために、俺を殺す手段を選んだ。

 だけど同時にその選択から生み出された罪悪感にエレノアは苛まれていた。けっきょくは、何とか俺もみんなも死ぬことなく、世界も救うことができた訳だが、俺を殺そうとしたエレノアは自身のことを強く責めていたのだ。

 

 そして、未来から訪れて使命を成し遂げた少女は、みんなの前でこう言った。

 

 

『皆さんに剣を向けてごめんなさい。彼を殺そうとしてごめんなさい。世界を救うためとはいえ、私はあなたたちに許されないことをしてしまいました』

 

 

 そう、苦痛に表情を歪めながら、嗚咽しながら、彼女は何度も頭を下げてきたのだ。

 

 俺はエレノアの気持ちを理解できた……という言い方は図々しいが、彼女が辛い思いをしてきたのは十分にわかった。

 滅びた世界で絶望し、未来のアイリスから世界を救わなければならないという重すぎる宿命を一人で背負い、罪を抱えることになっても世界のために俺を殺すことを選んだ。それはエレノアにとっても選びたくなかった答えのはずだ。それこそ、重すぎる罪悪感に心を潰されそうになったはずだ。

 

 彼女の流した多くの涙は『辛い思いに耐えて、心が限界になりながらも前を進んだ』ということを物語っていた。

 

 

「エレノアは辛いことをたくさん我慢して、だけどあの時やっと我慢の限界がきて泣いたんだ。そしたら彼女、その後距離を置いてた俺とようやく普通に接してくれてさ。今のエレノアが毎日楽しそうにしてるのは、苦痛に耐えるのを……我慢をやめたからだと俺は思うんだ」

「……我慢を、やめる?」

「回りくどい言い方になったけど、ようするにエマも辛い時は辛いって言ったり、誰かに相談していいんじゃないかな。自分が気づかないくらい泣くのを我慢するなら、泣いて楽になった方がいいんじゃないかな。

 大丈夫。辛いなら泣いていいんだ。それを受け止めるのも友達だし………………て、エマ?」

 

 

 反応がない。彼女は暗い表情で俯いて、名前を呼んでも返事してくれない。

 もしかしてこんな話をするのは余計だっただろうか?

 

 

「うっ、くっ………………ひぐっ、うわぁ……あぁっ、あかがみさん……っ!」

 

 

 と、思ったら違ったらしい。エマは声にならない声を上げ、嗚咽を交えながらぽたぽたと涙を流し、顔を上げた。

 てっ、今から泣くのか!?

 

 

「っ……ぁぁっ!!」

 

 

 普段の意地も捨てて、エマは席を立ったかと思うと俺の胸に飛び込んできた。椅子ごと後ろに倒れそうになるがなんとか踏ん張って、俺はエマを受け止めて優しく慰めるように頭を撫でてやる。ちょっとびっくりしたけど、このくらい何ともない。

 あの時のエレノアのように、エマも我慢しすぎた結果、今に限界が来たのだろう。

 

 

 今までリンツの人々から疎まれてきた巫覡の少女エマ。

 ようやく島の人達とは仲を少しずつ築けるようにはなったものの、巫覡の彼女を恨んでいる人達が全員いなくなったわけじゃない。あの時のグンナルさんのようにエマに辛く当たったり、罵倒を浴びせるものはまだ存在する。

 彼女はその状況に「仕方ない」と冷めたような理由付けをしながらも、本当は苦しくて辛い思いを心の奥底に押さえ込んできた。

 そして今、ずっと溜め込んだその思いを涙とともに吐き出してくれたのだった。

 

 

 

 

 

■

 

 

 

「もう大丈夫?」

「はい。思いっきり泣いたら、すごくスッキリしました。私が泣き止むまで、その……私を抱きしめてくれて、ありがとうございます。

 赤髪さん。私ほんとうは、グンナルさんのようなことを言われる度に辛く感じていたんです。まるで、私が人を殺したみたいに言われて、幻獣様は私にとって大事な友達なのに幻獣様が亡くなってからそれを嘲笑われて、それでもその人達に歩み寄ろうとしたら、突き放されるようなこと言われて、それがすごく嫌で苦しくて……。

 …………あれ、おかしいな? いつもなら我慢して、こういうこと誰も話したりしないのに。ふふ、今なら何でも言えちゃいそう」

「それだけ意地張ってたエマが素直になったってことじゃないかな」

「もう、あなたはまた私のこと意地っ張りって言って! ちょっといじわるです。……でも、ありがとうございます」

 

 

 今まで泣くのを堪えてきたエマは、俺の胸元に大きなシミができるくらい涙を流した。

 泣きすぎたせいで目元が赤くなってるけど、表情はさっきよりも晴れやかだし、声音もスッキリしている。

 

 

「そう言えばもう夜でしたね。すいません、夜分にまで付き合ってもらって」

「気にしないでいいよ。それでエマの気分が少しでも楽になれたのならなによりだ」

 

 

 ……さて、俺は宿を取ってあることだしそろそろ帰らないとな。

 こんな夜遅くに男の俺が、女の子のエマとひとつ屋根の下に二人きりだと、彼女の方も落ち着かないだろう。

 エマも今日は疲れているだろうし、まだ話したいことはあるけどそれは明日にするとしよう。

 

 

「それじゃあ俺はこれで失礼するよ」

「………………いかないで」

「………………へ?」

 

 

 家を出ようとしたところ、後ろから服の袖を掴まれてエマに呼び止められた。

 袖にしわが寄っていて、それだけエマが強く掴んで離そうとしないことが見てわかる。

 俺にかけた声もなぜか切ない。と言っても、エマが今まで溜め込んできた悲しい思いのそれとはどこか違う気がした。

 

 どうしたのだろう? そう思ってると、エマは俺の背中にギュッと顔を力強く埋めてきた。しかも、両腕を俺の腹の方に回してきて、一言で言うと俺は彼女に抱きしめられていた。

 

 

「ど、どうしたんだよエマ? もしかしてまだ話したりないとか?」

「はい」

「そ、そうなのか。俺もそうだし気持ちは分かるけど、男の俺にこういうことするのはよくないぞ。しかも今は夜だし」

「私はもっとあなたと一緒にいたいです」

「それは、その……」

「ダメですか?」

 

 

 下手したら色々と刺激されてしまった俺がエマを……なんて、可能性は断じて無いとは言いきれない。

 情けない話だけど、エマのような可愛い女の子に抱きしめられると、それだけで男の理性はあっさりと揺らいでしまうものだ。

 後ろから女の子特有の甘い匂いが漂ってきて、顔を背中に密着され抱きしめているおかげで彼女の息や体温を感じてしまう。

 

 こんな状態で妄想するなと言うのが無理な話だ。現に今の俺の頭の中で、イケない妄想が膨れ上がって……ゲフンゲフン。

 

 とにかく、俺はこんなことしちゃいけないとエマに説明する。もちろん、妄想の部分は抜きにして。

 しかし、

 

 

「それはつまり、あなたは私にしちゃいけないことをするかもしれない、ということですか?」

「さすがに友達にそんな酷いことしないけど、エマみたいな可愛い女の子に抱きつかれると、ほらっ、男の俺としては色々やばいというか…………言わなくても、分かるだろ?」

 

 

 返事はない。だけど、離してくれもしない。むしろ、エマは俺を後ろからさらに強く抱きしめてきた。

 

 

「────です」

「……え。今、なんて」

 

 

 ぽつりと何か言葉を漏らすエマ。聞こえなかっため、俺は聞き返した。すると、彼女は素早く俺の正面に回ると、顔を真っ赤にして言った。

 

 

「あ、あなたにならそういうことされてもいいと言ったんです! もしこのまま私と……そういうことをしたいというなら、あなたが私を女として見てくれてるってことですよね。

 それならむしろ私は嬉しいですし、本望です。私だってあなたとそういうことしたい。

 だって私は……あなたが──────んっ!」

 

 

 

 エマがその思いを言葉にする前に、俺は彼女に唇を重ねていた。エマは少し驚くが、すぐに俺の行動を受け入れてくれたかのように目を閉じる。

 

 唇が重なったのはほんの数秒。だけど、彼女の唇は柔らかくて軽く触れ合うだけでもすごく心地よかった。

 

 

「んっ……これって、私とあなたの想いは一緒ってことでいいんですか?」

 

 

 俺とエマは自然と両の手を握り合わせ、指を絡め合う。彼女の返答に俺は首を縦に降って答えた。

 

 

「そうですか。そう、ですか……」

 

 

 嬉しそうに言葉を反芻するエマ。顔を上げた彼女の瞳は潤いを帯びながらも、柔らかく微笑んでいた。

 

 

「あなたの想い、もう一度確かめていいですか? またキス、したいです……」

 

 

 まるでキスが待てないかのように、エマは両の手を伸ばして俺の頬を撫でながら後頭部へと回していく。

 もちろん断るわけもなく、俺はゆっくりと近づいてくる彼女の唇に自身の唇を引き寄せる。

 

 

「んっ、ちゅっ、ちゅぷっ……キス、いいです。これ、気持ちいい……れるっ、んふっ」

 

 

 唇の僅かな隙間から愛おしげに息を漏らすエマ。俺もエマの宝石のような淡く輝く紅色の髪を撫でながら、唇どうしを擦り合わせる。

 エマのうるおい感を秘めた唇は優しくキスするだけでも非常に心地良いのだが、もっと目の前の愛おしい少女を味わいたいと思った俺はは唇をちょっと強めに吸い付ける。

 じゅるっ、ちゅるるっ……と水音が鳴り響き、今度は唇の隙間に舌を潜らせる。

 

 

「んむっ……!! れろっ、んふぁっ、ちゅるっ……んぅっ、れるるっ」

 

 

 俺の行動を察したのか、エマの方からも舌を伸ばしてくる。

 二つの舌はゆったりとした感じで控えめに絡み合い、徐々に時間をかけて顔の熱を上げながら激しい口付けに変わっていく。

 

 じゅるっ、ちゅぷぷっ、ちゅるっ、れろっ、ちゅぱぱっ、と情熱的な水音が部屋に反響し、口内から外へとヨダレが零れても構わずに俺とエマは互いの舌と唇の触感を味わい続ける。

 

 

「ぷはっ、はぁはぁ……っ。キス、最高でした。気持ち良いだけじゃなくて、あなたの想いが私の心の奥に伝わってくる感じがしました。て、なんだか私、詩人家みたいですね。変なこと言っちゃったかもしれません」

「別に変じゃないよ。それとエマ……ごめんっ」

「え、赤髪さん? いったいどうし……きゃぁ!」

 

 

 俺はエマを抱き寄せるとそのままベッドまで向かい、彼女をゆっくりとそこに寝かせる。

 エマは目を丸くして体を強ばらせたが、すぐに口元を緩めると大人しくベッドに寝そべった体勢になった。

 

 

「我慢できないんですね。ここ、こんなに大きくしちゃって……」

 

 

 そう言いながら、エマはベッドに寝転んだまま俺の股間の方へと目線を向ける。先程の激しいキスとエマの甘い匂いにやられて、俺の股間はすっかり大きく膨れ上がっていた。

 体が熱い。唇だけじゃなくて、もっと深くエマと交じり合いたいという思いが強くなる。

 

 

「はい、私もあなたのことが欲しいです。……いきなりですが、あなたにはすごく感謝しているんです。

 私の友達になってくれて、リンツ島ではアイリスさん達と一緒に私に島の人達に歩み寄るきっかけを与えてくれて。

 飛行島の時も、一人で生きていけると意固地になったせいで、周りにどう接したらいいか悩んでた私に、あなたはいつも付き添ってくれましたね」

「それは友達として当たり前のことだろ。こういう言い方するのはなんだけど、エマ以外にも似たようなことしてきたし、飛行島にきた新人は大体俺が案内してたからな。だから、それほど感謝してもらう事じゃ……」

 

 

 そこまで言いかけたところで、上半身だけ起き上がらせたエマが俺の口元に手を伸ばし人差し指を当ててくる。

 

 

「私はそれでも感謝してるんです。あなたのおかげで、私は毎日が楽しい日を送れるようになりました。あなたやアイリスさん達と出会わなかったら、私はまだ森で一人寂しくひっそりと生活してたかもしれません。それに」

「それに?」

「こういう時は、私にしてくれたことを私以外の人にしたのが本当でも黙っておくべきなんですよ。じゃないと、妬いちゃいますから」

「う、すまん」

「謝らないでください。それがあなたの魅力ですし、私もそんなところに惹かれたんですから。……ちょっと話が長くなっちゃいましたね。

 いいですよ、触りたいところ触っても。私の身体、好きなように触れてみてください」

 

 

 エマの言葉を聞いた途端、脳が一気に熱くなる感覚がほとばしる。

 俺は彼女に覆いかぶさると唇を重ねながら、服越しに膨らみのある場所へと手を触れた。

 

 

「んっ、あっ」

 

 

 俺は試しに揉んでみると、柔らかな心地の良い感触が手のひらに伝わってきた。

 切なげな声を漏らすエマ。彼女はどちらかと言えば性格は大人しめだが、どうやら胸の方は女性らしい主張をしているようだ。まあ、それは普段から見ても分かったが……その事を言うと、その時から彼女の胸に興味があったことがバレるので黙っておく。

 

 とにかく、気持ちの良いふわふわした感触を求めて胸を揉み続ける。

 

 

「はぁっ、あんっ……」

「くっ……」

 

 

 そんな艶めいた声を耳の近くで上げられてしまうと、あまり頑丈ではない俺の理性が揺らぎかけてしまう。否、もはや崩壊に向かいつつあった。

 俺はエマの着ているものを脱がしていく。許可をもらっていないため、エマは恥ずかしそうにするが抵抗することはなく、ついにブラとショーツだけになった。

 柔らかな明かりを帯びたルビーの髪に、透明感のあるエメラルドグリーンの瞳。

 健康的な柔肌に、細身でありながら女性らしい部分もしっかりとある魅惑的な身体。

 それだけでも男の性欲を昂らせるには十分なのに、エマはさらに切なげで熱っぽい瞳で俺を見つめてきた。この少女はどれだけ自身の魅力で俺を虜にすれば気が済むのだろうか。

 もちろん、エマ自身そういうつもりじゃないかもしれないが、俺はエマに身も心も完全に釘付けになっていた。

 もっと嫌らしい例えをするならば、この膨れに膨れ上がった性欲を彼女にぶつけたい気分だ。

 

 

「そ、そんなに、じっと見られたら恥ずかしいよ。あれ、赤髪さん? 聞こえてますか?

 え、ちょっと、あっ。いきなりむねにキスしちゃ、やっ、やぁぁっ……」

 

 

 そして実際に俺はエマに性欲をぶちまけることにした。

 エマのブラのホックを外し、瑞々しい乳房を露わにしてからすぐに俺は口付けして吸い付いたり舐めたり、もう片方の乳房にも手で触れて揉んだりこねたりと、柔らかな弾力が織り成す快感に浸っていた。

 エマのふわふわで揉んだら指が沈んでいくほど柔らかい乳房を楽しみつつ、俺は彼女のショーツに片方の手をかける。一応、布越しに秘部の方へと触れてみると、ねっとりとした感覚が返ってきた。

 

 

「エマのここ、もうこんなに濡れてるんだな。そんなに感じてた?」

「恥ずかしいからそういうこと言わないでください……。そうですよ。あなたに胸を触られると、すごく気持ちよくて、下の方がムズムズしちゃうんです……んっ」

 

 

 彼女も気持ちよく感じてるのなら喜ばしいことだ。

 俺は一旦エマの胸の感触を諦めて、彼女の腰へと移動してショーツを脱がしていく。

 既に若干湿っている秘部を外気に晒し、俺はそこに顔を近づけて、舌で筋をなぞり、ぬちゃっくちゅっ、と嫌らしい水音を鳴らして愛撫する。

 

 

「あっ、そこっ、なめちゃっ、だめえぇっ……。なんか、ぞくぞくしてぇっ、やぁ、はあぁ、んぁぁっ……」

 

 

 俺は構うことなく、秘所に舌を這わしてエマの反応を楽しみながら執拗に刺激を与えていく。

 俺は彼女の腰の方に顔を突っ込んだまま、隣左右の太ももを撫で回し、すべすべな手触りを堪能する。むっちりとした肉付きの太ももは胸と同じように指が沈むくらいの柔らかさを秘めているが、胸とはまた違った心地良い感触を与えてくれる。

 

 

「やんっ、ひゃうっ、うぅんっ、んっ、んぅぅっ、すごいっ……!」

 

 

 エマはというと、愛撫に耐えるように身をよじらせベッドのシーツを掴み、大きな喘ぎを上げながら快楽を受け入れる。

 

 

「ひゃあんっ……もっ、もうっ、我慢っ、がまんできないですっ! はっ、ああぁ……っ!」

 

 

 ビクビクと体を痙攣させ、秘所から愛液が溢れ出すエマ。色っぽい瞳は焦点が定まっておらず、快感により放心状態になっていた。

 足をくの字にさせたまま、エマはしばらくの間、はぁっはぁっと荒い吐息を漏らしたのち、呼吸を安定させると体を起き上がらせた。

 

 

「ふぅっ、すごく良かったです。恥ずかしかったけど、あなたに体を弄ってもらう度に気持ちよくなっていて、あんなの我慢出来ないですよ……。

 今度は私の番ですよね。さ、さあ赤髪さん、横になってください!」

「わ、わかった。だけどエマ、緊張してるなら無理しなくても」

「無理なんてしてません!」

「そ、そう?」

 

 声が張ってるんだけど、大丈夫だろうか。

 

「でも、ちょっと緊張してます。あなたをちゃんと気持ちよくさせることができるのか、それが不安で……」

「キスしただけでも十分気持ちよかったから、不安がらなくてもいいよ。正直、エマに色々してもらうのを想像するだけ興奮してしまうし、めちゃくちゃ期待してる」

「は、はい! それなら、その興奮と期待にしっかりと答えないとですね。えーと、まずは服脱いでもらってもいいですか?」

 

 

 そう言われて、俺はエマと同様に生まれたままの姿になる。

 俺はベッドに下半身を伸ばしてから、腰の間にエマがぷるぷるとした唇を接近させる。

 

 

「それでは、はじめますよ。我慢しないで、いつでも私の口の中に射精してもいいですからね。存分に気持ちよくなってください」

「ありがとう、エマ」

「えへへっ………では、失礼して」

 

 

 エマは自身の紅い前髪を指で軽く抑えると、笑みを浮かべながらこちらの亀頭へと口付けを始める。

 綺麗な桜色の唇で、ちゅぱちゅぱっと控えめな水音を鳴らしながら亀頭に何度もキスをして、エマは俺の表情を確認しながら舌で肉棒の先を舐めたり、玉袋を愛おしげに優しく揉みほぐしていく。

 

 

「ふふっ、あなたのおちんちんったらぴくぴく震えてますよ。なんだか、可愛いですね。これって気持ちよく感じてるってことでいいんですよね?」

「ああ。とても気持ちいいよ、エマ……」

「ありがとうございます。それなら、こんなのはどうでしょう?」

 

 

 エマが湿った舌で肉棒にしっとりと刺激を与える光景を眺めていると、彼女は突如前かがみになり二つの柔らかい乳房で肉棒を挟み込んでくる。

 

 

「うおっ、すごい……」

 

 

 ふわふわとした柔らかい質感が、吸い付くようにして肉棒を包み込む。

 乳房に包まれた肉棒全体から気持ちいい快感が押し寄せてきて、エマはさらに両手を用いて肉棒ごと乳房を押し付けてきた。

 

 

「これだけではありませんよ。ふぅっ、んあむっ……」

 

 

 エマはそう言い、二つの胸の間にあった硬い肉棒を上から唇でゆっくりと覆うと口内で舌を絡めてきて、さらに胸を揺らしながら、柔らかな感触で肉棒全体をマッサージするかのように圧迫してくる。

 唾液まみれの舌で亀頭を刺激される快感と、愚息を乳房でみっちり挟まれる快楽。それらにより、俺は天にでも登るような気分だった。

 だけど、気持ちよければ気持ち良いほど限界に近づくスピードは早くなり、容赦のない快感を四方八方から受け取っていた肉棒は、熱が上がるのを感じ取っていた。

 

 

「んあっ、いいですよっ。……このまま、白いのたくさん出してください、れろっ」

 

 

 エマもそれを察したのか、追い打ちをかけるようにしてさらに激しく胸で肉棒を刺激してきて、蹂躙するかのように舌で亀頭を舐めまわしていく。

 

 

「ちゅっ、ちゅるるっ、ちゅぷっ、んっ、んれろっ!」

 

 

 くっ……もう耐えられない!

 快感に呑まれて脳内が痺れていくなか、俺はふとそう感じたのと同時に、勢いよく込み上げてきた熱の塊をそのままエマの口内に吐き出した。

 

 びゅっ、びゅくっ、びゅくくっ、どぷっ……どぷぷっ

 

 

「んっ、んくっ、んふぅぅっ……! ごくっ、ちゅぷっ、んふっ…んっ、ふはっ、ハァハァ、はぁっ……。す、すごくたくさんでましたね。思った以上で結構びっくりしました」

 

 

 口内で爆発したかのように溢れ出る性欲を、エマは目を見開かせて驚きながらも飲み込んでいき、それが落ち着くと肉棒にまとわりついた白い液体を舐め取る。最後に唇で亀頭の全体をしゃぶりながら綺麗にし終わると、ようやく肉棒を口から離した。

 

 エマは口元から零れた精液を指で拭き取ると、その指に舌を這わせて集めた精液を舐りとる。

 全ての精液を舐めとっていくエマの瞳はどこか淫靡に輝いていて、普段は大人しめな彼女とは違うそのギャップに俺はすぐに欲情してしまう。

 

 

「あっ、すごい。もう大きくなってきてる」

「エマが可愛すぎるせいだよ。それにまだ最後までしてないからね」

「最後まで……そうですね。私の方はもう準備万端です。いつでも私を好きなようにして構いませんよ。

 ですから、どうぞきてください……私の初めて、もらってください」

 

 

 エマはベッドに寝そべると、何かを期待するかのような表情で俺を見る。

 俺はそんな愛おしい彼女の思いに精一杯答えたいと思い、彼女の太ももに手を回して股を開かせ、すっかり硬くなった肉棒を愛液で湿った蜜壷へと近づけていく。

 

 

「あっ、あなたの硬いおちんちんがっ、入ってきてます……っ」

 

 

 ついに膣内に肉棒を挿入して、エマはベッドのシーツを必死に掴み声を震わせながらもそれを受け入れる。俺はそのまま秘肉をかきわけて肉棒を膣奥へと突き進めていき、やがて薄い膜のようなものに接触した。

 

 

「たぶん痛いと思うから、きつかったら言って」

「わかりました。うぐっ、はぁぁ……っ!」

 

 

 そして膜を突き破った瞬間、エマが苦しみが混じったような声を上げる。

 秘部からは一筋の血液が流れ出て、俺は苦痛に表情を歪ませるエマの頬を優しく撫でてやる。これで痛みが和らぐとは思えないが、俺の手の甲にエマの方から手のひらを重ねてきてくれた。

 

 

「大丈夫ですよ、これくらい……っ。ちょっと痛かったですけど、それ以上に今は幸せなんです」

「……エマ」

「だって、周りから疎まれて生きてきた巫覡の私を────私の生き方を変えてくれたあなたと、大好きなあなたと繋がることができたんですから」

 

 

 エマがそう言うと、肉棒を包む周りの膣壁がぎゅうぎゅうっと圧縮してくるような感覚がしてくる。彼女の苦しそうな表情もさっきよりは和らいでいた。

 

 

「んぁっ……それに、もう大丈夫です。痛みも引いてきたみたいですし、あなたの熱いのがお腹の中にある感じがとても心地良いです。だから、動いてもいいですよ……んっ、ちゅっ」

 

 

 俺はエマの唇に自分の唇を重ねてちゅぱちゅぱっと啄み合う。エマがそれを気持ちよさそうにうっとりとした表情で受け入れるのを確認すると、俺は腰を前後に動かし始める。

 

 

 ずっ……ずぼっ、ぬちゅっ、ぐちゅっ、ずぷっ

 

 

「あっ、はぁっ、おくっ、きてますっ、あなたのおちんちんがっ、お腹の奥ついてますっ、いぃっ、ああっ、きもちいぃ……っ」

 

 

 前後して何度も膣奥を突いていくたびに一物に秘肉が強く絡みついてきて、エマは快楽に震えながら甘い声を上げる。

 エマの紅い髪が揺れ、形の良い胸が何度も揺れるその光景はとても扇情的で俺は手を伸ばさずにはいられない。両手で柔らかい乳房を鷲掴みにして揉みほぐし、もちろん休むことなく腰をエマに叩きつける。

 

 性器どうしが擦れ合う度に俺の体中に快楽が送れられてきて、強すぎる快楽のあまりに体全体が痺れたような気分になる。それでも俺は一物を秘肉を押しのけ膣奥を激しく突いていると、エマが両手を伸ばしてきた。

 

 

「はあぁぁっ、やぁっ、すごくっ、気持ちいいですっ……。ね、赤髪さんっ、私を抱きしめてほしいですっ、あぁっ、んぁん……っ」

 

 

 俺はエマの甘ったるい蕩けた声に誘われるまま彼女の背中に手を回して抱き起こし、互いに正面から抱き合った体勢になる。

 俺はエマを腰に乗せたまま肉棒を膣奥まで上下させ、快感を貪っていく。

 

 

「あああっ、いいですこれぇっ……! 赤髪さんっ、わたしあなたのことっ、好きですっ、大好きっ、ひゃっ、あっ、ああんっ」

 

 

 

 エマの方から積極的に腰を動かしてきて、絡み合った互いの性器の熱が上がっていく。

 俺の腰とエマの腰が、ぱんっぱんっと乾いた音を奏でながら情熱的にぶつかり合い、エマの体が何度も軽く宙に浮く。

 勢いで離れてしまわないように二人は互いの背中に手を回してぎゅっと抱きしめて密着する。エマの乳房が俺の胸板にみっちりと押し付けられる。

 

 しかし、二人で腰を振って快楽を分け合うのにも限界が迫りつつあった。

 

 

 

 

「はぁっ、あんっ、やぁっ、だっ、だめっ……私もうっ、だめっ、もうだめですぅ……っ!」

「くっ……」

 

 

 エマの膣肉が熱を含みながらうねうねと絡みつくのが分かる。秘肉が肉棒を強く締め付けてきて、俺は奥から込上がってくる熱の塊をそのままエマの膣内に吐き出した。

 

 

「んっ、はぁっ、あっ……やああぁぁぁっ、ああっ、ふはあぁっ……! あなたの精液がっ、私のなかに……たくさんでてるっ、あついぃ……んあっ」

 

 

 精液をびゅくびゅくっと熱い膣に吐き出し、俺はとてつもない快楽に身を震わせる。

 その間にも膣壁が残りの精液を全て搾り取ろうと肉棒を圧迫してきて、膣内は大量の精液で溢れていった。

 やがて快楽の余韻が体から抜けると、力尽きたのかエマが俺の方に体を預けるようにして倒れてきた。

 

 

「すいません、あまりにも気持ちよかったから力が抜けちゃって……んっ、まだ私の膣内にあなたの精液が流れ込んできてますよ。どれだけ出せば気が済むんですか?」

「エマの膣内が気持ちよすぎてだな……」

 

 

 そう口を開くとエマが俺の視界を遮って顔を近づけてくる。軽く唇が触れ合うと、エマは微笑みながら言った。

 

 

「ふふ、それは良かったです。

 これからもずっと、ずーーっと私と一緒にいてくださいね。もう一人は、いやですから……」

 

 

 もちろんだよ、と俺はそう答えてエマを抱きしめた。

 

 

「ん、暖かいです……」

 

 

 

 

 巫覡の少女エマ・イングラム。

 彼女は生まれながらにして、過去の悲劇による巫覡の一族とリンツ島の住民との深い溝と傷跡のせいで、周りから疎まれて育ってきた。

 今はどうにか過去の出来事を水に流して、エマとリンツ島の住民達はより良い関係を築こうと互い歩み寄るようになった。

 

 まだ巫覡を恨んでる人たちもいるし、全てのわだかまりがなくなったとはいえないけど……。

 

 だけど、孤独に生きていくことを決めていた少女は、今こうしてリンツ島の人々や飛行島の人達、俺やアイリスとも積極的に交友を深めようと努力している。

 

 俺はそんな彼女をこれからもそばで支えたいと、そう思った。

 

 

 

「これからもよろしくお願いしますね、赤髪さん」

 

 

 俺の腕の中でそう呟くエマ。

 

 エマの笑顔はとても幸せそうで、俺もそんな彼女の笑顔を見ているだけで満たされるのであった。

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