※この作品はR-18です。

女神「突然ですが、貴方たちには対魔忍になってもらいます!!」「「「「「えっ!?」」」」」   作:ニゴリエース

12 / 15
束の間の教育者編
猫の手も借りたいのは分かるけど、専門外のことをやらせるのはただの嫌がらせ


 姉さんが伊賀の頭領に着任して数か月が経過した。俺は相も変わらず姉さんのサポートで忙しい毎日を過ごしている。最近では公安の第三部(セクションスリー)に正式に組み込まれることになりそうということから政府からの期待も高まってきているらしく、仕事もそれに伴って倍増してきているのだ。

 

 姉さんは対魔忍のとしての仕事の他に五車学園の教師としての仕事も兼ねており、引退する前よりもさらに忙しい毎日を送っている。優秀なのは認めるし今は猫の手も借りたい状況なのは分かるけどなんでもかんでも姉さんに頼るのはどうかと思うけどね~……最近は五車学園一の問題児――親戚の関係でもある八津家の次男と付きっきりのマンツーマンらしい。あいつには何度も頭を悩まされたし、五車学園にて教鞭をふるっていた連中も匙を投げていたほどらしい。性格自体は小型犬のように人懐っこく可愛げがあるが、戦闘に関しては魔族と大差なくすぐに周りが見えなくなる、おまけに親戚だから強く言えないと姉さんから困り顔で相談を受けたこともあった。

 

だがそのマンツーマン指導を受けていたアイツによると、姉さんの指導を受けるくらいなら素手で米連の強化外骨格の部隊と戦った方がマシとのことらしい。その能力から単騎で敵陣に突っ込み皆殺しにして戦いそのことに愉悦を見出しているようなアイツは、戦闘に関してはほぼ無敵であり訓練では類を見ないほどずば抜けた身体能力を誇っているため学生達には憧れの眼で見られている。しかし教師たちからしてみれば何度も命令違反をするためかなり頭痛の種であったらしい。おまけに懲罰も始末書も並の倍以上は受けているのにものともしないのだ。

 

だが姉さんの指導を受けてからアイツは文字通り変わった。任務では決して命令違反はしなくなり、目上の人の言うことにはしっかりと聞くようになってきた。本人曰く、姉さんの指導で口に出すことすら憚れるほどの地獄を見たとのことだ。一個大隊を一人で相手にしても怯えもしなかったあの八津家の次男が目が死んだように濁ってあそこまで震えてる姿なんて初めてだ。もしまた命令違反をすればまた姉さんとマンツーマン指導らしい。まぁあいつに関しては何年も任務で組んできた俺自身にも飛び火して始末書の割り増しをされたことが何回もあるため同情の余地なんてないけどね。いやぁあの問題児を更生させるなんて本当に姉さん様様だよぉ~。

 

ちなみに姉さんが対魔忍に復帰してからは、現役時代にサポートをしてきた不知火さんや九郎さんも忙しく各地を飛び回っている。政府の仕事を任されるようになってきた影響かどうしても人手が足らなくなってきているからである。これ絶対政府の連中俺らを過労死させる気だろ……本当にあいつら山本長官以外皆殺しにした方が良いんじゃないかな。

 

 そして俺は今何をしているかというと――――。

 

「はぁ……子供達の野外訓練ですか……?」

 

 俺は今姉さんに呼び出されていた。告げられたのは普段俺達を動かすような任務の話ではなく、教育者としての仕事の話であった。姉さん――五車学園にいる間は髪を結ってまとめ、胸元が開かれているYシャツにミニスカート、高いヒールの靴にストッキングという格好である。この恰好は教育者として大丈夫ですかねぇ~……女子はともかく、思春期の男子どもには目に毒じゃないかなぁブラジャーも少しはみ出てるし……あっ、一番目に毒なのは紫だった、あいつ姉さんの恰好を見てはいちいち危ない反応してたし……。えっ、俺の恰好?いつも通りの外套に狐の面ですがなにか。

 

「えぇ、実は上からの命令のようなものでね。まだ五車学園に通っていない年齢の子や孤児院の子供達を合同の訓練に参加させて少しでも多くの経験を積ませてほしいの」

 

「そりゃまた急なことで……それだったらいつもみたいに組手見せてやればいいじゃないですか」

 

「私もそう思ったのだけど……ここ最近魔族との戦いが激化してどうしても人手が足りないのよ。五車学園の教師も何人か借り出されるほどね」

 

「まぁ確かにそうですね」

 

「学園の生徒たちも自分達の訓練や学業にどうしてもかかりっきりになっちゃうし、中には任務に行かなければならない子もいるのよ」

 

 対魔忍は魔族や米連と比べて一騎当千の猛者がそろっている。たとえ劣勢であろうと姉さんのような人が一人いれば簡単に戦況をひっくり返すことだってできるのだ。だがそれは逆に一人失うだけで千人の勢力を失うのに等しい。なにより狭い島国で密かに続けていたためか対魔忍はどうしても数が他の勢力と比べて乏しいのだ。事実今まで巨大勢力である魔族や米連と渡り歩いてこれたのはその人外並みの戦闘力のおかげであったのに等しい。

 

 だからこそ、今この里では後任の教育に力を入れているのである。一騎当千と言っても対魔忍も人なのだ。人一人ではどうしても限界がある。ならどうしても新しい戦力が必要となってくるのだ。そのために幼い頃からの訓練は必須であることは分かる。分かるのだが……。

 

「だからってなんでこの話が私らの方に来るんですか、私達はあくまで裏の仕事専門です……上はなに考えてるんですか」

 

「……そう言って私も反対したのだけど、上は頑として首を振らないのよ」

 

 その対魔忍の卵の入口前にいる子供たちの引率に、なぜか隠居ジジイ共からの命令で俺ら霧の部隊を使うことになった。なに考えてんのあのバカジジイ共……今まで散々汚いことやらせてきたくせに今度は教育ってなに正反対な方向性の仕事させようとしてんの……そんな俺の考えを理解したのか姉さんも頭を押さえてため息をついていた。

 

「私は五車学園の教師だからどうしてもそっちにかかりっきりになってしまうのよ。それにどうしても私が前線にでなくちゃいけないから」

 

「というよりなんで我々なんですかね。人員は少ないし、とても教育できるような立場ではないと思うのですが」

 

 霧の部隊は仮入隊である九郎さんや不知火さんを除き、俺を含めて総勢8名――その内二人が技術班で実働的に動けるのは6名のみなのだ。さらに一般的に極秘の組織である対魔忍のさらに裏に連なる部隊であり、部隊の人間はほとんどが公式的に死亡していることになっている人間などで構成されているためとても人前に出て物を教えることはできないだろう。

 

「何でも、少数でも統率のとれた貴方達《霧》なら引率に適しているから……それと幼少期から卓越した行動力と技術を持つ貴方たちなら子供達にとってもいい刺激になるとも言っていたわ。まるでとって付けたかのような理由ね……」

 

「まるでじゃなくてまさしくですね。言い出したのはたぶん加藤家か百田家……あとは弓走家ですかね……罠か、アサギ様の戦力たる我々の動きを封じる算段かのどちらかでしょう」

 

「はぁ……まさか身内の方からこんなことをしでかすなんて思わなかったわ」

 

 本当にいい迷惑だ。まだ無茶ブリな依頼を受ける方がマシだ。だが断ることはできない、隠居したと言ってもジジイ共の里での発言力は姉さんと同等なのだ。これが正式な仕事なのだから姉さんもやすやすと口出しできないのだろう。長老と同じく露骨すぎんだろご隠居共……あのジジイ共いつか殺す……。

 

「まったく……分かりました。できる範囲でしてみます。プランはどうなってるんですか?」

 

「助かるわ……ただ……」

 

「……なんか嫌な予感がするのですが」

 

「……これも上の決定で、予算や訓練内容の計画についてはこちらが全部受け持つことになったわ」

 

「やっぱりぃぃぃぃいいいいいいい!!やっぱり丸投げですかあいつらぁぁぁあああああっ!!?」

 

「はぁっ……」

 

 この話が出てきてから予想はついてたけどやっぱり面倒くさいことはこっちに全部ぶん投げてきやがった。いや、長老の時からそうだったけど……ちっきしょぉぉおおおおおおあの糞ジジイ共いつか見てろ、絶対ぶち殺す!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 姉さんから無茶ブリにもほどがあるジジイ共の仕事を仰せつかり、本部に戻って俺が行ったのはご隠居共の監視だ。どうせこの話を姉さんに持ってきた時点でよからぬことを考えているのだろうと俺には分かった。あの連中にとって対魔忍を引っ張っていく存在の姉さん――そしてその側近たる働きをしている俺らや九郎さん、さらに不知火さんは目の上のたん瘤なのだ。特に俺らに関してはいくら裏切り者とはいえ自分たちの元頭領を処刑したのだからいつその牙が自分達に向けられるかと怯えを含んでの今回の行動だろう。あからさますぎんだよな~本当に……。

 

監視の方はサスケだけに担当させとけば良いだろう。監視カメラや盗聴器あたりをしかければもはや連中はアイツの手のひらの上なのだ。何の心配もない。

 

そして次にどんな形で妨害しているかだ……。考えられるのは二つで、何らかの方法で子供達を見境なく死傷させ監督不届きなどと言い立てて姉さんや俺に責任の追及をするか、もしくは直接俺に対して手を下すかだ……これは見張っとけば後々ぼろを出すから大丈夫だろ。そういうところがおざなりなんだよね~、ボケてきたのかな連中……。

 

問題は野外訓練そのものだ。ジジイ共はこういう細かいことをずさんにしたままこっちに全部ぶん投げてきたのだから当然俺達が考えなきゃいけない。まじふざけんな……だがいくら幼少期から訓練を受け、史上最年少で現場に出たことがあるといってもそれをそのまま実行できるわけじゃない。子どもたちにトラウマを与えかねないからね~……。

 

なら自然と俺にできることは外部との連絡――対魔忍としての立場を除いて個人的な付き合いのある方で、とある学園の教師に教えを乞うことだけだ。

 

「――――というわけで、子供達への教育ってどんな感じにやればいいんですかね北絵さん」

 

『突然電話をかけてきて一番にそれってどうなのかと私は思うわね……』

 

 俺が電話を掛けた相手は『上原北絵』――隼人学園という吸血鬼ハンターを育成するための学校にて教師をしている女性である。彼女……というより彼女の祖父が穏健派の吸血鬼と人間の協定を結ぶ際の仲介人をしており、姉さんや山本長官のように人間代表のような一人でそれなりの権力を持っているという。

 

 しかも吸血女王たるカーラとも幼い頃から友人であり、俺がカーラに企業の会長職を押し付けたのと同じく彼女に働かざるもの食うべからずと、隼人学園の教師を押し付けたとか……女ってやっぱ豪胆だよね~。

 

 また対吸血鬼用の結界を作り出すことに関して右に出るものはいないと言わしめるほどの術者で、彼女自身もかなりの実力者である。俺がカーラと個人的に会談を設けた際に東やマリカと共に護衛兼付き添いをしていることからかなりの信頼関係なのだろう。

 

 そんな彼女もまたカーラを通じて親交を持っている。立場の違いも権力差もあるけれどよく愚痴を聞いたり聞かされたりとまぁかなり気安い関係でもある。そんな彼女は理事をしながら後任を育てているというのだから教育に関してのエキスパートなのだろうと考えて連絡をとったのだけど……。

 

『大体どうしたのいきなり教育なんて……』

 

「仕事っすよ……老害共がまだ学校にも通ってない卵共の野外訓練を俺らに押し付けてきたんすよ」

 

『それはまた大変ね……でも対魔忍になる訓練なら貴方も小さい頃に受けてたって言っていたじゃない。それを参考にすれば良いんじゃ……』

 

「それだと訓練受けた大半の子供はトラウマ抱えて自殺しますよ……右目が潰れたのはまだしも俺の口から子供に話すなんてとてもじゃないが憚られますよ……」

 

『……相変わらずカムイの過去ってどうなってるの』

 

「波乱万丈も真っ青だったと言っておきます」

 

 まさか訓練で草の任務についた時にヨミハラで淫魔族共に捕まったなんて口が裂けても言えない。あの過去は俺にとっても忘れ去りたい醜悪たる過去の出来事なのだ。今でも思い出すだけで怖気が走る。

 

『それで、教育の話に戻るけど訓練を受ける子供達はどのくらいの大きさなの?』 

 

「大体が10を越えてるか越えてないかぐらいの奴らっすね」

 

『――……残念だけど、私では役に立てないわね。年齢が低すぎるもの』

 

「ですよね~……」

 

『まぁでも、あえて言うなら子供達ができることを増やせるように指導するのがいいんじゃない?』

 

「できることを増やす……?」

 

『えぇ、その子達も将来対魔忍になるのでしょ……なら貴方が対魔忍に必要な技術を手本として見せて、そこから徐々にできるように分かりやすく指導していくのが一番だと思うわ。いきなり実践なんて真似は誰もしないでしょ』

 

「ふぅむ……」

 

『あとは子供達も楽しめるようなイベントも取り入れた方が良いんじゃないかしら。楽しくやった方が効率よく学べるものよ』

 

 確かに北絵さんの言う通りだな。俺だって神村や上原のフォローしながらキツイ任務を一日やらされるんだったら、うちの部隊の連中のサポートありの単独任務を一週間やらされる方が楽でまだマシだ。

 

しかしそうなると一から計画建てるために外の学校の教育資料とか集めて参考にした方がいいかねぇ~……やることは多そうだ。

 

「なるほどねぇ~……なんとなくだけど分かりました。ありがとうございます北絵さん」

 

『役に立てたなら嬉しいわ……それと、最近カーラの機嫌が悪いみたいだから、早く暇を見つけて会いに来なさい。時々授業にも身が入っていないみたいで困ってるの』

 

「うげっ、女王様怒ってらっしゃるんすか……百年以上生きてる吸血鬼にとって数か月なんてなんともないと思うんすけど」

 

『彼女も貴方という人間に会ってから少しずつ変わってるのよ、恋する乙女はなんたらっていうでしょ』

 

「乙女って年齢じゃないと思うっすけどね~……」

 

『……はぁ、貴方はもう少し女心を勉強するべきね。それじゃあまた何かあったら連絡してちょうだい』

 

「んっ、ありがとうございます」

 

 女心ね~……今度、知り合いのオカマ陰陽師さんに相談してみるかね。それはともかく俺は北絵さんに礼を言って電話を切り、早速準備を始めることにした。どうせ訓練が始まるのは一週間後なのだ。じっくりと念入りに計画を立てて損はないだろう。あわよくば今の内に才能溢れる対魔忍候補に唾をつけて引き抜きも考えさせてもらおう。老害共が押し付けてきた仕事なのだからこれくらいの報酬があっても罰は当たらないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの日、姉さんから子供たちの野外訓練の引率を任されて一週間が経過した。外の学校での臨海学校や林間学校、もしくはサバイバル体験などの資料をあらかた読み漁り、なんとか計画を練ってしおりを完成させることができた。場所は五車の里にある山――そこにキャンプをして二泊三日の訓練を行うことにした。みっちりと下見はしたし、道具の準備も終わったため後は問題なく子供たちを誘導していくはずだった。それなのに――――

 

「なんでお前らがいるんだよ……」

 

「ふんっ、私だってアサギ様の御命令がなければお前と顔を合わせることなんてしたくなかったんだ」

 

「じゃあ適当に理由つけて断れば良かったじゃねぇか」

 

「アサギ様直々の命令なのだから断るはずがないだろ……大体なんだそのだらけた様子は、それでもアサギ様に仕える対魔忍か!!」

 

「けっ、口を開けばアサギ様アサギ様と……そんなにアサギ様が好きかこの脳筋ムッツリちゃん」

 

「なっ、だっ、誰がムッツリだ言うにことかいて貴様っ!!」

 

『まぁまぁ、紫落ち着いて』

 

「ですが兄様っ!!」

 

 訓練当日の集合場所――そこにいつも通りの恰好で待機していた俺達に姉さんからの命令で引率の手伝いとして二人の生徒が訪ねてきたのだ。

 

 一人は八津紫――五車学園の二年で代々井河家に仕える八津家の長女だ。ほぼ不死身に近い再生能力と魔族に引けを取らない怪力を活かした戦いを得意としており、次期エースと謳われるほどの実力者で五車学園に通う生徒でありながらすでに成功させた任務は現役顔負けとのことだ。ただやっぱり姉さん――つまりアサギ様が大好きすぎて少々危ない女の子だそうだ。そして俺に対してめっちゃ喧嘩を吹っかけてくる。姉さんが俺を嫌っていたからというのが大半だが、その姉さんの態度が改善されてからも嫉妬入り混じった言葉でこちらを責め立ててくる、かなり面倒くさい女の子です。ちなみにまだカオス・アリーナの復活についての話はないためまだ処女であると思う。

 

 そしてもう一人は細見の男性で金色の短髪に紅い瞳、首元には大きな一文字の傷跡があり顔つきはどことなく紫に似ていた。こいつは八津躯(やつむくろ)――原作では本来存在しない人物で、俺の予想ではこいつも転生者なのだと思う。五車学園の3年生であり、八津家の次男……つまり紫の兄である。こいつは昔初の任務で喉を怪我し声帯を失っているためプラカードを使って意思疎通をしている。

 

また紫と同じく不死身の肉体を持ち、それはまさに鉄隗だったみたいな剣を軽々ぶん回し、超重量の銃火器を撃ちまくるというどこぞのバーサーカーみたいな戦い方をするやつだ。その戦い方から《狂戦士の対魔忍》という二つ名をつけられたらしい。いやだから忍者が二つ名付けられるとかどうなのよ……おまけに狂戦士って……。

 

 こいつらの話によると少数で子供たちの引率を行う俺達を心配し、少しでも負担を減らそうと姉さんがわざわざ二人に頼んできたので手伝いにきたとのことだ。……うん、なぜこの二人なのだ姉さん……いくら学園では表面上優秀だったとしてもこのバーサーカー二人は流石にないよ……任務を共にして散々始末書を増やされてきた俺が言うんだから間違いないよ!!

 

「くっ、なんでよりにもよってこんな奴がアサギ様直々の部下なのだ……」

 

「任務では言うこと聞かずに単身特攻する猪武者の誰かさんよりはマシだ……」

 

「誰が猪武者だっ!!」

 

「あれぇっ、誰も君のことなんて言ってないけどぉ!紫ちゃんって、やっぱり自分が諸突猛進だって自覚あるんだぁ、自分で猪とか言っちゃうんだぁ♪」

 

「き、貴様ぁっ……!!」

 

「――で、お前らちゃんと引率とかできんの。今回の野外訓練のことに関しては俺も初めてだから上手くフォローできるか分からんぞ」

 

「無視するなっ!」

 

『大丈夫ですウツロさん。こう見えても兄上にサバイバルを教わってるので役に立つ自信はあります』

 

「兄様まで無視しないでください!!」

 

「本当かよ……もし勝手に行動したらすぐにアサギ様に報告するからな」

 

『っ!?』

 

 横からとやかく言っている紫を無視し、俺はやけに自信満々な様子を醸し出している躯に対し念のため忠告をしておく。すると姉さんの名前を出した瞬間躯の瞳がみるみる色を失って虚ろになり、身体をガクガクと震わせる。震え方が尋常じゃない、どんだけ恐怖を与えたんだ姉さん……。

 

『だ、大丈夫です。ちゃんとしっかりウツロさんのサポートしますだからアサギ様に報告するのだけは勘弁してくださいお願いします』

 

「必死か……そんなにアサギ様とマンツーマンの指導は嫌か」

 

『死にます……いや、むしろ死なせてくださいと何度も思いました』

 

「そんなにか……」

 

「にっ、兄様、アサギ様とマンツーマンとはどういうことですかっ!」

 

『えっ?』

 

「あああアサギ様とふふ二人っきりで指導なんて……そんな……なんて、なんて羨ましいんですかっ!!」

 

「……おめぇの妹は相変わらずだな」

 

『これさえなければいい子なんですハイ……』

 

「兄様っ!今すぐ、今すぐその指導を代わってください、私もアサギ様との付きっきりでの指導を――はぁんっ、だめ、だめですアサギ様ぁ、そこは違っ、はひぃ、そっ、そんなところまでぇ!!」

 

「おい、危ないモードに入っちゃったぞ」

 

『少しすれば元に戻るんで大丈夫です……』

 

「そうかい……まぁ、それなりに頼りにはさせてもらうよ。そろそろ子供達が来る頃だな……お前らも準備はしてお――――」

 

「隊長、少しよろしいですか」

 

「んっ?」

 

 そろそろ集合時間間近になっているため、顔を赤くしながらくねくねしている紫を無視して子供達を迎える準備をしようとした俺に唐突にハヤテが話しかけてきた。その手には何やら紙束が握られている。

 

「どうしたハヤテ、なにか問題があったのか?」

 

「いえ、実は子供達の班分けが終わったので今の内に隊長にも目を通していただこうと思いまして」

 

「あぁっ、そういえば人数が多いから班分けするって言ってたねぇ~」

 

 ハヤテの言葉で思い出した、そういえばこの合同訓練に参加する子供達の人数が多いため、より効率的な指導を行うため引率者が二人一組となりそれぞれ子供達の指導を請け負うことになったのだ。そしてその班分けを担当したのがハヤテなのである。いやぁ俺が言い出す前にこういう風に仕事して報告してくるんだからうちの部下達って本当に有能すぎるよ……。っと、物思いに耽る前にちゃんと俺の班のメンバーを確認しないと……。

 

「どれどれ……うげっ!?」

 

「どうされました?」

 

「……なぁハヤテ……これわざとじゃないよな?」

 

「……なにか問題でも?」

 

「……いや、うんいいよ。ただちょっと個人的ことでな」

 

「そうですか……」

 

『どうかしたんですか?』

 

「何でもねぇよ……ほらっ、躯はさっさと妄想に耽ってる妹をなんとかして来い」

 

『了解です』

 

 俺は二人を追い払うと、メンバー表を見て思わず頭を抱えてしまう。いやマジでどうしてこんな組み合わせになったの……子供たちはまだいいよ、何人か付き合いのある子はいたし……しかしよりによってもう一人の引率者がねぇ~……ちゃんと乗り切れるかなこの野外訓練……。

 

 

 

 

【第一班引率者:ウツロ・八津紫】

担当児童

・水城ゆきかぜ

・秋山凛子

・紫藤凛花

・日奈乃梨那

・結城炎美

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある薄暗い一室――――そこにはコンピューターのモニターが一つ付いているだけで光源と呼べるものがなく、周囲がどのようになっているかまるで見えない。そんな暗い一室に一人――まるで幽鬼のように立っている者がいた。その者はぴったりと肌に張り付いているかのような服装をしていて、男にはないふくらみから女、それも成熟したての年若い女であると分かる。しかし女のようなしおらしさなどは一切なく、目は切れ長であり纏っている雰囲気は暗殺者そのものだ。

 

 女は唯一の光源であるモニターを見つめ、なにやらぼそぼそとつぶやいている。いや、実際はモニターに映っている人物と会話をしているのである。

 

「――――……目標は三名、内二人は生け捕り」

 

『――――――――……』

 

「――……了解した、いつも通り単独で行う」

 

『――――……』

 

「――――なにっ、新型のAI搭載機だと……必要ない、私だけで十分だ」

 

『――――……っ!!』

 

「……実験だと……ちっ、仕方ない」

 

『――……』

 

 女は少しモニターの相手と言い合いになり不満そうにするがそれでも特に強く出ることはなく、言い渡されたことに素直に従う。そしてモニターのスイッチが切れ、辺りが完全に闇に包まれる。やがて女はゆっくりと口を開き今しがた言い渡された任務を復唱し始める。

 

「任務了解、目標は無貌の対魔忍、不死身の対魔忍、狂戦士の対魔忍三名。無貌の対魔忍は抹殺、不死身の対魔忍《八津紫》と狂戦士の対魔忍《八津躯》は捕獲」

 

 女が言葉を口にすると、それまで闇に包まれていた部屋に光が現れる。それは彼女の体からであり、赤く光るラインが彼女の体中に走っている。そして女が目を開くと、彼女の瞳もまたラインと同じように赤く輝く――――……。

 

 

 

 

 

 

 

「レッドライン、これより任務を開始する――――……」

 

 死神の声がただ静かにその場に響いた。

 




おっ、ソープの対魔忍ってあやめじゃん!よーし、ガチャ回すぞ~!
 ↓↓↓↓(チケット10枚以上投下
・UR【空装武神】秋山凜子

……触手じゃねぇんだよぉぉおおおおおおおおおおっ!!!しかもかぶったぁぁぁあああああああああっ!!!

はい、今週ガチャで盛大に誤爆したニゴリエースです。ラークシャシャ当てた時点で運使い果たしたかな~……桐生姉辺り新しいカードで出ないかな~。
というわけで今日から新章突入しましたぁ~。今回のお話はアサギ1が終わって数か月、対魔忍ムラサキが始まる前辺りのお話になります。
やっぱり決戦アリーナのキャラも出しとかないとねぇ~……でもまだアリーナの話は先じゃないか……じゃあ幼少期ということでオリジナルストーリーにちょくちょく挿めばと思い、こうしてたくさん出しときました。まぁ原作通りの活躍とかはまだまだ先の話になりますけどね~。
まぁ何が言いたいかというと……。

赤い仮面の男「カムイは犠牲になったのだ……作者の突発的な考えによって決戦アリーナキャラを出すことによって生じるストレスの犠牲にな……」

徹底的にカムイ君は忙殺していく予定です(無慈悲)。ちなみに今回の話でもヒロインは増やす予定です。さて誰が犠牲になるのやら……

それと活動報告でも言ったのですが皆さんたくさんのご意見、本当にありがとうございます。
皆さんからの意見を参考に、考え抜いた結果この作品の主人公は『井河カムイ』一人で進めていき、幕間の主人公、一話完結外伝の主人公として他のオリキャラの話を書いていくことにしました。
そのため前回投稿した第十話を削除し、新しくこうして投稿させてもらいました。お騒がせして大変申し訳ありません。これからも色々あると思いますがなんとか書いていこうと思います。
長くなりましたが、今回はこれで終わりになります。今回登場したオリキャラ『八津躯』の詳しいプロフィールなどはまた次回のあとがきなどに書いていきたいと思います。最後までありがとうございました。
次回も暇があれば読んでください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。