※この作品はR-18です。

女神「突然ですが、貴方たちには対魔忍になってもらいます!!」「「「「「えっ!?」」」」」   作:ニゴリエース

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皆様お久しぶりですニゴリエースです。長い間失踪してしまい申し訳ありませんでした。先月ようやくリアルでのゴタゴタが終わり執筆作業に戻ることができました。しかし元々低いクオリティが長い間触れないでいたせいで更にダウンしたことを感じえません。申し訳ありません。これからまた執筆するなかで修正できるようにしていければいいなと思います。

またリアルが忙しくなっていく予定で次の投稿がいつになるのかわかりませんのでそこはどうかご了承ください。


敵はこっちの都合を考えてくれないけど実際にタイミングが悪いとストレスが溜まる

 結城炎美は今自分になにが起こっているのかまったく理解ができていなかった。物心がつく前、両親が亡くなり孤児として引き取られた彼女はつねに周囲との壁を作り続けて一人になりがちであった。元々泣き言一つ言わないような性格が災いしたためかすぐに孤立し、そのまま一人で対魔忍の訓練にのめり込むような生活を送っていた。

 

 その成果もあってか炎美の実力は孤児院の子供たちの中でもトップクラスのものであり、実力ある一族の同年代たちと比べても引けを取らないほどである。そのことが幼いながらも彼女が自分自身を保つ要素になっていた。

 

 そして彼女の実力は大人相手にも通じるものだと思っていた。今回の訓練でも彼女は指導者に対して真正面から挑んだ。小細工なしに相手を屈服させ自分の実力を示そうとした。

 

 しかし挑みかかって数分後、炎美は首から下が地面に埋まって身動きが出来なくなっていた。彼女は自分自身に何が起こったのか分からない、ウツロと組み合ってから一瞬意識がブラックアウトした後ではすでに体が動かせる状態ではなくほんの一瞬の出来事だったのだ。そして彼女をそんな状態にしたウツロはというと、炎美に対して一瞥もせず他の四人の子供達が消えていった森の中へと足を向けていた。

 

 そしてそんな時間も経たないうちにウツロは四人の少女を抱えて森から出てきた。少女たちはそれぞれたんこぶができていたりや泥などの汚れが見られたがウツロには草木がついた後すらなかったのである。

 

「さて、これで全員片付いたな……その前に、お前ら何か言うことはあるか」

 

「「「「「……」」」」」

 

 ウツロがやや気だるげに頭を掻きながら目の前に正座している五人の少女たちに視線を向けるが、全員が全員怯えていたり気まずそうに眼を逸らしており誰も声を発しようとしなかった。ウツロはため息をつくとそのまま少女たちに声をかける。

 

「……まず戦力を分散させるな。いくらお前らがガキだからといって俺とお前らとの実力差は分かるはずだ。そんな奴相手に戦力を分散させるな、確固撃破されるのが目に見える。次に単独行動をさせるな、必ずチームで連携を取れ……実力云々の前に統率のとれないメンバーがいるだけで足引っ張って全員が死ぬ可能性があるんだ、それを自覚しろ」

 

 ウツロの顔は仮面で隠れて伺えないが声は真剣そのものであり、言葉には重みがある。彼は子供達と同じくらいの年齢で現場に出ており、公に出せない部隊ではあるが恐らく対魔忍の中で最年少でチームを率いて血生臭い任務に当たっていたのだ。その中で犠牲になった者は少なからずいる。だからこそ子供達にチームで動くことを自覚させようとしたのだ。

 

 子供達はろくに抵抗も出来ずに無力化されて落ち込んでいたのも相まって彼の言葉に気おされ、ただただ顔を伏せるしかなかった。特にいの一番に挑んであっという間に返り討ちにあった炎美は余計に気分が沈んでいるようである。

 

「……まっ、今お前らの実力なんてたかが知れてるんだ、これからきっちりと学んでいけ。お前らはまだ訓練生なんだからな」

 

 ウツロはそれだけを言うと話を区切り、テントの傍に待機していた紫の元へ歩を進めた。紫はというと形態端末を使ってどこかに連絡を取ろうとしているのか、何度もボタンをいじっているのが見られるが、その表情は芳しくなかった。

 

「どうした紫、なんかあったか」

 

「……いや、情報交換のために兄様や他の班との連絡を取ろうとしたんだが、さっきからノイズが酷いんだ。全然連絡が取れない、山中だから影響が出ているのだろうか」

 

「……」

 

 今回の訓練では、それぞれが人数分けを行い離れた場所でそれぞれ野外訓練を行う手はずになっている。そして互いに状況の報告や安否の確認のため端末を用いて連絡することになったのだが、紫の手に持っている端末からはノイズだけが走り、とても連絡ができる状態ではなかった。

 

 紫は山の磁場などの影響で故障しているのだろうかと訝しんでいたが、ウツロは嫌な予感を感じ取り空を見上げる。するとそれを見計らったかのように上空からパンと何かがはじける音が聞こえた。紫とウツロはそこに視線を向けると、そこには赤い煙が広がっているのが見えた。

 

「あれは……」

 

「っ!?」

 

 紫はそれがなんなのか分からなかったが、ウツロははっとなる。空に上がった赤い煙はウツロが率いる霧の部隊が持つ信号弾である。ウツロ達は通信の傍受防止や連絡手段がない状況で互いの位置や状況を報告するためそれぞれ色の分かれた信号弾を使って意思疎通を図っているのだ。

 

 青が集合を示し、黄色は任務の成功を示し、緑は救援要請を意味する。そして赤は『敵からの襲撃、および撤退中』を意味するものである。

 

「訓練中止!全員荷物をその場に放棄して避難だ!!」

 

「おっ、おいどうしたいきなり……」

 

「紫、ガキ共を先導して下山しろ……敵が入り込んできた」

 

「なにっ、里に敵だと……いったいいつ入り込んだんだ!」

 

「今は確かめる術がねぇ、それよりも撤退が先だ!」

 

 二人はそれぞれ武器を携帯し子供達の元へ走ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 ウツロと紫が信号弾を上空に確認する少し前、八津躯とハヤテはそれぞれ子供達を背負って森の中を駆けていた。その表情は出発前の平和ボケしたかのような表情ではなく、真剣そのものでありビリビリとした緊迫感が彼らを包んでいた。

 

 躯は出発前にウツロに言っていた通り山登りに慣れているのか、もしくは対魔忍としての身体能力に優れているのかその足取りは軽く時折子供達に様子を確認しながらまったくペースを落とさずに険しい山道を進んでいた。彼と一緒の班であるハヤテもまた対魔忍として活動してきた経験も相まって躯のペースに合わせて歩くことはできていた。

 

 しかしまだ十にも満たない子供達の大半は彼らの体力にはついていけずすぐにばててしまい、これ以上は支障が出ると二人は判断し川の傍で小休憩を取っていた。子どもたちは重い荷物を降ろしてそれぞれ水遊びをしたり木陰に入ってゆっくりと休んでいた。そんな彼等を躯とハヤテは程よい大きさの岩に腰かけて様子を見守っていた。

 

 しかしそんな彼らの隙を狙ったかのように突然人影が複数現れた。その恰好は素顔を隠すかのようなフルフェイスマスクに防弾チョッキ、手元には一般的な軍で使われているM4カービンライフルが握られていた。まず間違いなく対魔忍の里、それも里からだいぶ離れた山奥では絶対に見られない格好である。

 

 謎の集団は一切のためらいもなく銃弾を撃った。ハヤテと躯はいきなりの襲撃に驚きはしたもののすぐに子どもたちの前に立ち、庇うようにしてその身で弾丸を受けた。弾丸は二人に命中するが、彼らは特に大きな怪我を負った様子はなかった。そのことに謎の集団が驚いた様子を見せた。その隙をついて二人は子供達を抱え込み、森の中へと逃げ込んだのである。

 

 彼らの後ろからは襲撃してきた者たちが慌てた様子で何かを叫び、森の中へ入って追いかけてきたのが二人には聞こえた。その会話の内容は途切れ途切れではあるが、その声は男の物で日本語ではなく英語であったため、ハヤテは真っ先に襲撃をかけてきた集団の正体を察することができた。

 

「くそっ、まさか米連が里に入り込んできたとは……!!」

 

 装備や訓練された動き、子どもがその場にいたにも関わらず容赦なく銃を乱射する姿勢から米連の兵士であるとハヤテは結論付けた。まさか一般的に秘匿されている対魔忍の里に米連が襲撃をかけてくるなど誰が予測できただろうか。ハヤテはそのことに舌打ちをしつつ森を駆けながら最適な脱出ルートを探していた。

 

 と、その時後続していた躯がその場に立ち止り脇に抱えていた子供達を降ろした。そのことにハヤテは驚き躯に向かって怒鳴ってしまう。

 

「何をしている八津躯!立ち止っている時間などないぞ!!」

 

「……」

 

 しかし躯はまったく反応を示さず来た道を見つめる。そしてハヤテの方を見ずプラカードを投げ渡してきた。そこには短い文章だけが書かれていた。

 

『殿を努めますので子供達の誘導をお願いします』

 

「っ!?」

 

 それを見てハヤテははっとした。いくら対魔忍候補といっても子供達はまだ訓練を開始して一年や二年、それもまだまだ基礎体力すらままならない。そして到底関わりのない実戦の雰囲気に何人かの子どもは怯えている様子が見られた。まともに動けるとは思えない。しかしだからといって抱えながら逃げきることはとてもじゃないが不可能だ。だからこそ子供達を逃がす時間を作るために躯は自ら殿を買って出たのだ。それを理解したハヤテの行動は早かった。

 

「引き受けた、お前も深追いせずに隙を見て撤退しろ」

 

「……」

 

「聞けお前達……これは訓練ではない、もしかしたら命を落とすかもしれない。そうならないために俺の後を必死について来い、決して慌ててはぐれるような真似はするな、いいな?」

 

「「「「「はっ、はい!!」」」」」

 

「よし、ついて来い!!」

 

 ハヤテは子供達に簡潔に指示を出すと子供達が追い付けるスピードでその場から走る。するとそれを見計らったかのように彼らの前に先ほどの米連兵士と同じ格好をした者が現れた。どうやら別動隊がいたようである。

 

『いたぞ、あそこだ!』

 

『優先目標(ターゲット)以外は皆殺しの命令だ、撃て!!』

 

 兵士たちは英語で口々に叫ぶと引き金を引く。しかしハヤテはそれを避けようとせずに腕を顔の前にクロスして銃弾の嵐に突っ込んでいく。そして彼に銃弾が直撃するが、銃弾は全て火花を散らしながら弾かれ、その形をひしゃげさせた。

 

『なっ!?』

 

 兵士たちはそのことに驚きを隠せなかった。いくら奇怪な術を使う忍と言っても人間、訓練を積み最新式の装備を持つ自分達なら仕留められると高を括っていたのだ。それがまさか生身で銃弾をはじくなど信じられなかったのだ。それを見逃すほどハヤテはお人よしでもなければ間抜けでもない。

 

「邪魔だっ!」

 

 ハヤテは拳を振るい兵士の胸を素手で貫いた。その腕はまるで金属が覆われているかのように光沢を放っており、それが鎧のように纏われていた。これは『対魔殻』と呼ばれる異能の忍法で、皮膚を硬質化させた甲冑を纏う物である。その装甲は刃や炎を物ともせず、金属を溶かすほどの熱量を放つことができるのである。ハヤテは元々“対魔殻”使いを輩出する対魔忍の三名門の一つである佐久家の分家の人間であり、彼もまた優秀な対魔忍であった。

 

 しかし彼は分家でありながらその実力は本家の人間にも引けを取らないほどである。彼のこなしてきた任務は数え切れず、次期対魔忍エースとさえ呼ばれたのだ。それを本家の人間に妬まれ、彼は任務中に味方から暗殺されそうになったのだ。しかし彼は逆にその刺客たちを返り討ちにしてしまったのだ。

 

 傍から見たら正当防衛ではあるが彼は分家であり、返り討ちに遭い逆に物言わぬ死体となった対魔忍は本家の者たち。上の人間が分家の言葉を簡単にねじ伏せることができるのはハヤテ自身も理解していた。そしてそこに登場したのがウツロである。

 

 ウツロはハヤテの実力を買い、彼の保護を申し出たのだ。ハヤテはすぐにそこに飛びついた。元々本家と分家の溝は深く、そこに辟易していたハヤテにとってありがたい話であったのである。彼は佐久家とのつながりを絶ってくれたウツロに感謝し、彼に忠誠を誓ったのである。

 

 そんな彼を人間の基準で考えた装備の兵士達に止めることは当然できるはずなく、あっという間にそこは血だまりが広がった。

 

「止まるな、走れ!!」

 

 しかしハヤテは気にすることなく子供達に発破をかける。彼は遠ざかる八津躯の後ろ姿を後目に五車の里へと子供達を誘導していった。

 

 

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