女神「突然ですが、貴方たちには対魔忍になってもらいます!!」「「「「「えっ!?」」」」」 作:ニゴリエース
仄暗い部屋からグチュグチュとなにかをかき混ぜるかのような音が響いている。その一室は石畳でできており部屋全体を照らしているのは蝋燭の光ただ一つである。お世辞にも整理されているとはいえず、所々に血の跡のようなものや汚れた何かが散乱している。また粗末なベッドや腕や首を固定するためのギロチン、鞭や注射器など拷問に使われる器具も散らかっていることからこの部屋が人には言えないようなことを行っているのが伺える。
その一室にて動いている物体が二つある。一つは全身が緑色をしており、体は盛り上がっているが出っ張った腹があり、顔はまるで絵本に出てくる野獣がそのまま飛び出してきたかのような醜いものである。彼はオークと呼ばれる種族であり、魔界と呼ばれる世界からやってきた魔族のうちの一つである。
彼らは強い者には媚びへつらい、体は人間よりも強靭だが知能は悪い。またメスは存在せず、他の種族のメスを孕ませて種族繁栄を行う。その際にメスが抵抗しないように精液には媚薬効果があり、メスを快楽に溺れさせていることから生殖猿とも蔑まれている。しかし一般の人間に比べ力は強くその生殖能力から多くの組織が捨て駒や斥候などとして人員に組み込まれている。
しかしこのオークは一般的な兵隊の一人ではなく、とある組織の調教師である。オークはその生殖能力や媚薬などで女を犯し、調教して奴隷にするなどで生計を立てていることもある。このオークもまたそれを買われ、捉えた女を拷問兼調教して情報収集を行っている。そんなオークに哀れにも犯されている影が一つ見られた。
「あぐっ・・・ひぃっ、あがっ!?」
「きひひひっ、どうやら感じてきたな。仲間を逃がすために一人捕まって犯されるなんざ、泣ける話だなぁ。いや、本当は俺らに犯されるために捕まったのかもなぁ?」
「ち、ちがっ・・・ひぃぁぁあああっ!?」
オークに犯されているのは平均よりも少し整った顔つきの女性であり、所々破けているが鎧が付いている淡赤色のラバースーツのような服装を纏っていた。彼女は対魔忍と呼ばれるものであり、太古から互いに不干渉を守ってきたルールを破り、心に悪意を持つ者たちと結託して犯罪組織や企業を立ち上げる魑魅魍魎や犯罪者に対抗するため政府が組織した忍の者たちである。
今オークに犯されている彼女はその対魔忍において下忍と呼ばれる一般的な隊員のようなものである。彼女は他の対魔忍と共にとある組織に潜入と情報の収集を行っていたのだが、任務は失敗に終わり仲間を逃がすために自ら囮となって捕まったのである。しかし、待っていたのはオークによる拷問という名の凌辱であった。対魔忍であればこういう運命もありうると彼女自身も覚悟していたが、いくら対魔忍であろうと彼女もまた人間であり、その人外の快楽に心を乱されている真っ最中であった。
「オラオラっ!俺様のチンポをしっかり咥えて離さねぇじゃねぇか!!何が違うんだこの淫乱が!!」
「はっ、はひゃぁぁああああっ!?うごからいれぇっ!?こんらのむり、むりらからぁああっ!?」
「ぎゃはははっ!!やめるわけねぇだろ!!そのままイキ狂っちまえ!!!」
女は一時間以上も前からオークに犯されていた。最初こそ抵抗らしい抵抗をして見せていたが、オーク特有の精力と体力にすでに疲れ果て、体は媚薬で快楽に歓喜していた。すでに膣内には何発も出されているが、それでもとっくに快楽に溺れている体はもっともっととねだっており、オークの肉棒を咥えている女性器からはだらだらと潮が溢れて濡れそぼっていた。声も悲鳴からすでに喜悦がまじっているのも自覚していた。彼女自身の心が堕ちるのも時間の問題である。
「も、もうやめれ・・・・もうゆるひてぇぇええ♡!!?」
「やめてほしいかっ!?だったら言えよ!お前ら対魔忍の情報をな!それからこうも言え!『私は淫乱雌豚です。この雌豚にどうか種付けして孕ませてくださいご主人様』ってな!!」
己の限界を知り、許しを請う女に対してオークは下卑た笑顔で屈服の言葉を促す。快楽に狂わせられている彼女はその言葉に一瞬黙るが、それでも彼女は口を開き―――
「はいそこまでー」
「はっ?」
「っ!?」
女とオークだけの空間だった部屋に場違いな声が聞こえ、オークは一瞬後ろを振り向いた。そして彼の眼前には数多の刀剣が彼を突き刺さんとしているのが見えた。後にこれがオークの調教師が見た最後である。
グシャグシャっと肉や骨を断つ音が響き、全身を十数本の刀剣で串刺しにされたオークはまるで十字架のように壁に貼り付けにされていた。代わりに部屋に入ってきたのは、全身を灰色の外套で覆い、狐の面で顔を覆った謎の人物であった。女は突然のことに戸惑いを見せたが、すでにオークに犯された疲労が訪れそのまま気を失ってしまう。
部屋に入ってきた人物は、気を失った女の側に寄り脈を図って安否を確認する。それによって女が生きていることを確かめると耳に当てている通信機器に手をやり、どこかに連絡を入れ始めた。
「目標発見しました、アサギ様。これより回収地点へ向かいます」
『了解した、回収のヘリの到着は一二○○よ。少しも遅れないようにしなさい』
声からしてその人物は男であることが伺えた。男は通信相手の女性に対して目標の完了を報告していた。その相手の女性に関してはやや棘を含む物言いであり、男に対して若干の嫌悪感を抱いているのが伺える。要点だけ伝えるとすぐに通信をきり、男はそれに対してため息をつく。
「・・・やっぱ嫌ってんだろうなぁ、あの人。はぁっ、まったくなんでこんなことになったのやら・・・って、どう考えても頭領のせいだよなぁ、本当にジジイいつか殺す」
面で表情は見えないが、男は恨めしそうにつぶやくと女を抱え上げて手を振るう。するとオークを串刺しにしていた刀剣は全て光の粒子となって消え去る。同時に男の姿も見えなくなり、その場には一つの肉塊だけが残った。
「あぁ~~~疲れた~~~・・・・」
任務を終えた男はとある部屋を訪れた。その部屋は本棚やベッド、テレビ機器などある程度の生活必需品が置いてあり、この男の自室であることが伺える。男は心底疲れたため息をつき、血で染まった外套を脱ぎ捨て仮面を床に放り投げる。そして身にまとっていた全身ぴっちりとした服装―――対魔スーツと呼ばれる一般的な対魔忍の装備を脱ぎ捨て浴室へ移動する。
蛇口をひねり、シャワーを浴びて今日一日の疲れを汚れと共に落とす。男の体は一般の男性と比べかなり細身であった。髪は黒く腰まで伸びており、シャワーのお湯に濡れて非常に艶めかしく後姿だけなら女性と見間違えるほどである。
「はぁっ、生き返る~・・・」
男は疲労が抜けていくのを感じながら嘆息し、壁に手をついて目の前の鏡を注視する。そこには右目に痛々しい傷を残し、緑色の眼を持った鋭い目つきをした整った顔つきが移った。それは傷跡を除けば彼が先ほどの任務にて通信した相手である人物によく似ている。男は自身の顔を見つめると、再び大きなため息をついた。
「はぁっ・・・あの転生した日から早10年以上かぁ・・・早いもんだな。割と大変なもんだなぁ、転生って・・・」
男は自嘲気味に笑い、シャワーをきって浴室から出る。その後ろ姿は数十年しか生きていないにもかかわらず哀愁を伺わせるほど寂しげであった。
――――――これは、最強の対魔忍の弟として転生した男『井河カムイ』の物語―――