千雨が狼に犯されながら狼になった後、狼をぶち殺す話 【完結】 作:ミキマル
寂れた社殿でタバコを吹かす白いスーツの男。年齢は30から40歳ぐらいだろうか。白髪を上げて、無精髭を生やしたこの男の名前はタカミチ。
タカミチ・T・高畑。
千雨が通う麻帆良学園中等部2年A組の担任教師である。
彼は今、三峰神社に訪れていた。
正確に言うと三峰神社に兼用されていた一般人が立ち入ることが出来ない場所。魔法使いなど裏の事情を知るものしか知ることのない銀狼が封印されていた社殿である。
管轄は関東魔法協会であるが昔から管理していたのは関西呪術協会である。日本に入植してきた魔法使いが身勝手に封印したこの土地神は代々関西が管理してきた存在であり、あくまで関東は自分達の尻拭いを維持してきたに過ぎない。
しかしその結界が突然破られたのだ。それに気づいた神社の巫女はそのまま関東魔法協会に連絡。事前調査として実力者であるタカミチが派遣されたのである。
檻の代わりになっている結界が破られたのは前日の夕方から夜にかけて。朝、巡回中の神社の巫女が結界を破られているのに気が付き、今は周りを多数の魔法使いの神社職員が囲って監視している状態である。
「この社殿の封印に関しては詳しい資料が現在、関西が保持しているため良く分かっていません。なので封印されている存在が未知数のため私たちも手が出せない状態でして」
「ということはまだ社殿内に入っていない訳なの?」
「はい。今は周りに被害がないか調査中です」
「成る程、つまり僕はいわば切り込み隊長ね。しかし狼か」
そう言って彼は両手をポケットの中に入れる。決して余裕である訳ではない。これがタカミチの戦闘スタイル。
ポケットを刀の鞘に見立て、常人には目視出来ないほどの速度で拳を抜き放つ、刀の居合い抜きならぬ拳の居合抜き。無音拳。別名居合い拳である。
中で何が起こっても良いようにその構えをとりながら、鳥居をくぐる。空気が変わるのを身に感じゆっくりと拝殿の方に目を向けた。
そこは一面真っ赤に染まっていた。参道に横わたっている肉塊を中心に血と肉片が四方八方に飛び散る。
殺戮現場。地獄絵図。まさにピッタリな文字である。
顔をしかめるタカミチ。
戦争経験者として似たような現場に何度も遭遇してきた物としてもやはりこのような惨状は慣れる事はない。周りに注意しながらゆっくりと一歩一歩、血だるまになった肉塊へ向かう。
肉塊は狼の死体だった。しかしながら頭を潰され、四股は飛び散り、真っ赤な毛皮のカーペットがこれまた真っ赤な参道に敷いてあるのである。到底息を吹き返す事はないだろう。
タカミチはハンドサインで社殿外に待機してある魔法使い達に合図を送る。ハンドサインを読み取った神社職員達は結界内で各自調査を始めた。
そうして各自が調査している間、手持ち無沙汰になったタカミチは社殿内を歩き始める。
拝殿、本殿をグルっとまわり手水舎、神楽殿、摂末社など一つ一つを見て回るが学者でもないタカミチは専門外である。今日の僕の自分の仕事は終わりかな、と思いながら社殿を出ようと鳥居をくぐろうとしたその時である。
鳥居の柱の側に紙袋が落ちていた。
表面が少し汚れているが明らかにここ最近の物。職員が持ち込んだ調査器具かと思ったがこんなアパレルショップの紙袋には入れないだろう。良く見てみると周りには飛び散った布切れも確認できる。
社殿内に突入した時は参道の現状に注意を向けておりまったく気がつかなかったが一体これは何だろうか、紙袋を手に取る。
中には色とりどりの布生地や花柄のレース、カラフルなミシン糸などの洋服を作る為の材料が揃っている。そして紙袋の奥にはレシートが入っていた。
レシートの日付はつい前日のお昼時。一体どういう事だろうか、ここは結界が張っており一般人が立ち入ることはまずない。という事はこのお買い物をした人物が結界を破った犯人だろう、おもわぬ証拠を手にいれたタカミチは周りの破れ散った布切れにも目を向ける。
まるで引き裂かれたように飛び散った布切れ。
イギリスにいるネギ君の風花・武装解除(フランス・エクセルマティオ)によって飛び散った服のようだと苦笑してしまう。チェック柄の生地やネクタイ、ナイロン生地の何かなどまるで全てを組み合わせると自分が担任をしている麻帆良学園本校女子中等部の制服ようだ。
ここで気が付く。
そうだこれは麻帆良学園本校女子中等部の制服だ。
うちの学校のネクタイにブレザー、チェック柄のミニスカート。それらが破けて飛び散っているのだ。一気に血の気が引いたタカミチは至急学園長に連絡をとる。3コールもしない内に学園長は電話に出た。
「学園長、緊急事態です! どうやらうちの女子中の生徒が巻き込まれている可能性があります」
「ファ! 一体どういう事じゃ?」
「とにかく女子寮に連絡を取って昨日から連絡の取れない生徒がいないかチェックをお願いします!」
そう言って一度、電話を切る。
個人名が判断できる物、例えば学生手帳などが出てくるかもしれない。付近を丹念に調べ上げる。
飛び散った制服に沿って周りを探索。そうして鳥居の柱の横に落ちているレディースバックを発見。急いでジッパーを開けバックをひっくり返し中身を取り出す。
壊れた携帯やメモ帳、飲みかけのペットボトル、そして財布。
恐る恐る財布を開くとそれは出てきた。
麻帆良学園本校女子中等部の学生手帳である磁気カード。
そこには丸眼鏡を掛け、不機嫌な顔でカメラを見つめる顔写真。新学期ということで新しい学年になったばかりの2年A組の文字。
2年A組25番 長谷川 千雨
自分が担任とする生徒の名前だった。
「な、なんだよありゃ」
住宅街の路地を一生懸命に走る大学生。彼は汗だくになり呼吸を乱しながらも脚を止めることなく走り続ける。
「ば、化け物ってあの大っきな犬のことかよ!」
彼を後ろから追いかけるのは街灯の明かりに照らされるなんとも幻想的な雰囲気を醸し出している大体2m位の大きな犬。
いや、どちらかと言うと狼だろう。その大きな狼はゆっくりとされど確実に青年との距離を詰めていた。
グルルと唸り声をあげながら青年を追い詰める。青年は全速力で走り回っているが狼は仕留める事なく距離を積めるのみ。それはまるで何処かに誘導するかのようにも見える。しかしながら余裕のない青年は一心不乱に逃げ回っていた。
「くそ、ふざけんなよ! Twitterにでも上げさせるぐらいの余裕をくれよ!」
『町の中でおっきなワンちゃんに遭遇!』とでもツイートすればフォロワー急増待ったなしのこの現状。現代っ子らしく危機感を持ってそうで持っていない彼。
そうこうしているうちに住宅街の一角にある児童公園が横目に入る。彼は曲がり角で急旋回をすると追われないように猛ダッシュ。咄嗟に児童公園のフェンスをドラマ『マイアミ・バイス』でオープンカーに飛び乗る主人公のように飛び越えるとそのまま雑木林に身を低くして息を潜めた。
静かな時間が過ぎる。
静観な住宅街では聞こえてくるのは電柱に付いている柱上変圧器のジリリリとした音と自分の荒い呼吸音のみ。そういえばこのような低周波は年をとるたびに聞こえなくなる事を思いだし、逃げ惑う体力といいまだまだ若いなと再確認。肩で息をしていたのだが次第に落ち着きひと安心つけるようになる。
ホッと息をつく。良かった、何とか巻けたか。と緊張感が緩んだその時である。
ガサガサと音を立てて近づいてくる足音。
まさか見つかった!
息を再度潜めて丸くなり見つからないようにと神様仏様に祈る。そうしている間にも一歩一歩確実に距離を詰められる。
もうダメだ! おしまいだ。
そう思ったとき彼の肩にポンと手が置かれた。
「えーと、大丈夫ですか?」
夜の公園のベンチに座る男女一組。
男の手にはブラックコーヒー。女の手にはミルクティーがが握られていた。
「奢って貰ってスミマセン。本当に大丈夫でしたか?」
「いえいえ、ご迷惑をお掛けしてこちらの方がすみませんでした。わざわざ声を掛けて貰って」
「そんな、追われるように公園の雑木林に飛び込んだと思ったらなかなか出てこなかったので大丈夫かなっと。なにかあったんですか?」
「あははは。まぁいろいろと」
愛想笑いでこの場を濁す。
さすがに大きな狼が自分を追いかけ回していたと言ってもこいつは何を言っているのかと変人に思われるだろう。
そう誤魔化しながら隣に座る彼女に目を向ける。けっして胸は大きくないないが抜群のプロポーション、高校生から大学生だろう。ダークブラウンの髪を後ろで纏めミルクティーの缶で両手を暖めながら虚空の先を見つめる彼女はなんだか物寂しそうに見えた。
それから彼は彼女と世間話を交わす。そうして彼女と会話するに連れて幾つか彼女の事を知れた。
ネットに詳しくノートPCはVAIOを使っている事。
サブカルチャーに精通しており彼女自身コスプレなどしていた事。
そして彼女はまだ学生でありながら今は学校に通っておらず家に帰る事が出来ない事。
俗に言う家出少女なのであろう。
彼に話しかける彼女は寂しさを紛らす為であろうか。だからそんな目をしているのか。
そんな彼女に彼は優しい言葉を掛ける。彼自身このような状況に慣れてるわけもなく話を聴いてあげるのみ。まだまだ大学生で女性経験が少ない彼はそれが精一杯であったが彼女は少しずつ笑みを漏らすようになってきた。
そうしているうちに時間が過ぎ日を跨ごうとする。彼は彼女に聞いてみた。
「もうこんな時間だけど今日これからはどうするのかい? なんなら家に泊まってくる?」
他意がないわけではないが半分は優しさである。何となくであるが放っておけない彼女であるため今日の寝床にへと自分の家に招きいれようとした。
しかし彼女は首を横に降る。見知らぬ男の部屋に行くほどガードは低くないのだろう。そうか、と呟きベンチから立ち上がろうとする。
その時である。
彼女は立ち上がると彼の前に立ち向き合ってそのまま飛び付く。そして両手を首に回し彼女は耳元で囁いた。
「待ちきれないの。ここでシテ……」
彼女は囁いた後、彼の唇にそっと口づける。
そのまま接吻すると真っ赤な舌で彼の口のなかを犯す。クチュリクチュリと互いの唇と唇が重なりあいながら舌が絡まりあう。
深夜の住宅街の一角で官能的かつ卑猥な音が響き渡る。
肩に回した両手がそのまま彼の首筋を通り耳の下に回り互いの唇の間には唾液で糸が引いている。
そして彼女は彼の固くなった局部へ手を回す。固くなった局部ははち切れんばかりの自己主張をしており彼のジーンズを上へ上へと押し出している。それを彼女は優しく撫でたあとゆっくりとジーンズのフックを外し、ジッパーを下げた。
ジーンズによって塞がれていた彼の局部はジッパーの間から顔をだす。前あき部から顔を出した彼の股間の印は海綿体が膨れ上がり今か今かとピクピク動いている。
彼女は彼の太ももからゆっくり降りるとベンチに座っている彼の前にしゃがみこむ。そして彼の膨れ上がった海綿体に手をとるとそのまま口のなかへ頬張り始めた。
クチュクチュと音をたてながら彼のペニスを頬張る。
優しく筋を下から上へと舐めあげて亀頭を舌で転がす。そのままペニスを喉の奥へと持っていくと亀頭の裏までまるでピストン運動のように上下へ動かす。まるで口の中が女性器のように感じられる。
片手はペニスの根本。上下小刻みに動かし攻める。もうひとつの手は彼の玉袋をやさしく揉みほぐす。ピクピクと痙攣する彼のペニス。やがてその快感は頂点に達する。
「あぁ……出るよ。出るよ!」
そういって射精の瞬間を事前告知。もうだめだ。出てしまう。そう思いペニスに身を任せギリギリと歯を噛みならす。
しかしながらその時は彼女の手によってお預けされた。
「まだダメ。出すときはこ・こ・に」
そう言って彼女は自分の腹部をなで回した。
彼女が示す行動は只一つ。彼女の中に出す。つまりはそう言う事であろう。彼の中の男の性が溢れ出す。
彼女はカウパーと唾液で艶やかになった指を一本一本舐め回すとスカートの中に手を入れ、そのまま腰周りの所まで手を回すと自分が穿いていたショーツに手を掛け足元まで下ろした。彼女のショーツは愛液で湿っておりまた艶々と輝いてる。
彼女は彼と対面する形で彼の膝の上に乗る。
そして彼のペニスを自分の秘部に合わせるとそのままゆっくりと彼のペニスを自分の膣内に納めていく。
「あああぁ」
彼女の口から声が漏れる。誰の目にも触れることが出来る公園の一角で一組の男女が混じり合う。口から漏れる喘ぎ声を両手で抑えゆっくりと上下に腰を動かす。浮かしては落とし、浮かしては落とし、彼の肉茎と彼女の穴蔵が互いに擦れ合い、ぐちゅんぐちゅんと音を立てる。けっして大きな音ではないが誰もいない夜の公園では一層この音が卑猥に響き渡った。
喘ぐ事を抑え、互いが欲望のまま混じり合う。
いや、欲望は欲望でも彼女の場合、そう長谷川千雨の場合は今交わっている彼とは違いなかなか特殊であろう。
この状況は彼女の作戦みたいなものである。
彼をここまでおびき寄せこの場で混じり合う。彼女が今している行動は一種の栄養補給である。
魔力、精力、気。
このような現実では不可侵な力は直接相手を食らう以外に一番効率が良いのは互いの体液を交換することである。魔法使いの仮契約が唇と唇がふれあうキスなのがその代表だ。
その力はそのままお腹の中のまだ見ぬ子供達に送られる。親が子に抱く気持ちは万国共通。それがこのような特殊な例だとしてもだ。今は化け物である千雨だがわざわざ本能で動く必要はない。理性が働くのなら『妖』ではなく『妖怪』に。この一ヶ月で心に誓った言葉である。またこのように混じり合う事によりまだ自分が人間社会で排他される存在ではないことを再確認する。
最初の頃の本能に身を任せるのは得策ではない。現段階で数十人の命を奪っている。その度に理性を取り戻すと自分を攻めていた。理性が本能に負けぬよう彼女は今も抑えてる。
身も心も一度は化け物に成り下がった自分のリハビリ。
彼の家に招かれるのを断ったのは彼に依存する可能性を少しでも減らすため。今の彼女は本能と理性が混じあいながらも必死に抑え付けていた。
喫茶店で彼を最初に見つめた目は捕食者の目。本能に従った目。
今、彼の上で腰を降りながらみつめる目は理性を抑え、快楽に身を任せながら必死に本能を抑える悲しき瞳。
やがて男の快楽が頂点に達する。
彼の肉茎が溢れ出す精液を彼女の秘部は受け止める。ドクンドクンと波を打ちながら吐き出される肉茎。彼女の膣は一滴も残さず絞り出す。
彼女自身はエクスタシーの頂点に達する事はなかった。
しかしこれで良いのだ。
彼女は息が上がっている彼にもう一度キスをすると立ち上がる。彼女の秘部からは彼の精液が太ももに流れ落ちていた。しかし彼女はそのまま振り替えることのなく公園を立ち去ろうとする。彼はそんな彼女を呼び止めるが腰に力が入らず立ち上がる事は出来ない。
そうしている内に彼女は夜の住宅街に消えていった。
襲われたのは2年に進級する春休みの3月後半。前話とこの話の後半はその一ヶ月後ですね。