※この作品はR-18です。

千雨が狼に犯されながら狼になった後、狼をぶち殺す話 【完結】   作:ミキマル

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学園side、超一味とエヴァの話。千雨の出番は次回に持ち越し。


ハカセは千雨を心配し、エヴァはペットが欲しい話

 麻帆良大学工学部のキャンパス。その一つにロボット工学研究会の研究所がある。その一室に二人の女子中学生がパソコンの前で黙々と手を動かしていた。

 一人は葉加瀬 聡美。

 学年トップクラスの成績の持ち主で茶々丸のプロジェクトに加わっており、メンテナンスも担当している。通称『ハカセ』

 もう一人は超 鈴音。

『麻帆良の最強頭脳』と呼ばれており勉強・スポーツ・お料理、何でもござれの無敵超人である。茶々丸のプロジェクトの中心にいる人物だ。

 この二人は今、茶々丸の新しい更新ソフトフェアをプログラミングをしている最中である。しかしながらハカセの顔色は良くなかった。

 

「超さん、千雨さんがいなくなったのは歴史の通りですか?」

「……」

「超さん!」

「……静かにするネ」

 

 そう言って立ち上がり、給湯室へ向かう超。そのまま二つのマグカップにインスタントコーヒーの粉を入れるとポットのお湯を注ぐ。そしてマドラーでかき混ぜながら超が口を開いた。

 

「私の知っている歴史ではこんな出来事はないヨ」

「つまり……」

「……タイムパラドックス、つまりはイレギュラーネ」

 

 ハカセにコーヒーを渡す。超は近くの椅子をハカセの向かい側に引っ張っていき、そこに腰掛けた。

 

「長谷川千雨。1989年2月2日生まれ。水瓶座。B型。コンピュータに精通しておりのちにそのスーパーハッカーの力と洞察力でネギ・スプリングフィールドを支える存在。その他色々、今までは私の知る千雨さんだったネ」

 

 コーヒーに角砂糖を入れていく超。一個一個、次つぎにコーヒーの中に消えていく角砂糖。頭を効率良く使うためにはカロリーが必須である。それはハカセも同様で超と同じように角砂糖が消えていった。

 

「長谷川さんってハッカーの能力があるんですか?」

「一度長谷川さんのPCにアクセスしてみれば解るネ。あれは女子中学生が掛けるセキュリティじゃないヨ。どちらかって言うと個人職員レベルでのペンタゴンとかNSAのレベルネ」

 

 そう言いながら一度話を止め、コーヒーを含む。口の中に砂糖の甘味とコーヒーの苦味が広がり疲れた体に染み渡る。

 

「でも今はそれどころじゃない。今の千雨さんは行方不明、それも安否不明ヨ」

「一大事じゃないですか! なんで学園側はそう発表せずに家庭の事情と誤魔化しているんですか!」

「簡単な事ヨ。これが『裏』の出来事で、もしかしたら関東魔法協会の失態の可能性があるからネ」

 

 新学期が始まってすぐのHRで高畑先生は千雨が家庭の事情でしばらく学校をお休みするとクラスの生徒に説明した。クラスの生徒達は一体どうしたのかと騒いでいたが超も含めて『裏』の関係者のクラスメート達の顔は厳しく、疑問に思ったハカセは超に話題を振ったのである。

 

「どうやら千雨さんは結界で立ち入ることが出来ない場所に立ち入ってそのまま行方不明になったみたいヨ。その結界には封印されていたとされる狼の死体しかなかったらしいネ」

「それと関東の失態とは?」

「どうやら関東、正確には学園長が千雨さんの体質を把握しており、尚且つ関東が管理する霊地での事件だからヨ」

「関東が管理って点では解りましたが千雨さんの体質とは?」

「結界の無効化ネ」

 

 長谷川千雨は学園都市全域に張ってある学園結界の一つ、認識阻害の結界が働いていない。

 認識阻害の結界はその名の通り麻帆良の非常識な出来事、270mもある世界樹、自立歩行型のガイノイド、そして気や魔法による異常な身体能力や異常現象などを認知させないための物である。

 魔法使いの都市である麻帆良は世界樹を中心に多種多様な結界がはってあるが千雨の場合、自分に掛かる結界の効果をレジスト、もしくは無効化していたのである。

 

「つまり千雨さんは……」

「そう、私たちと違う世界が見えていた訳ネ。何時も一人でいる理由も察することができるヨ。まあ今はその話は置いておいて、その千雨さんの体質を把握しておきながら放置していた責任。それがもう一つの失態ヨ」

 

 そして一息つく。ハカセは口を開かず、研究室にはHDDの回転音しか聞こえない。

 

「そして今の千雨さんの現状について幾つかの仮説が残されているネ」

 

 超はテーブルの上にコーヒーカップを置き立ち上がるとバックからノートPCを取り出し椅子をハカセの横に引いて座る。そしてPCを立ち上げ操作すると、とあるPDFファイルが表示された。

 それが写し出された液晶ディスプレイをハカセに向ける。

 そのPDFファイルには簡潔に説明するとこのように書かれていた。

 長谷川千雨の現状。

 推測される仮説として大きく二つに分けられる。

 

 一つは死亡説。

 社殿内で死亡していた狼が補食した可能性があるため。

 遺留品や血痕も残っており可能性としては一番高い。しかしながら死亡した狼の腹の中からは遺体は発見されなかった。消化しきっている可能性はあるが真偽不明。

 二つは生存説。

 上記の通り遺体が発見されなかったため。

 社殿内での狼の死体は撃退に成功した可能性が示されてある。だが長谷川千雨は一般人のため可能性としては第三者の介入、そのままその第三者と一緒に消息をたった可能性があり。

 しかし長谷川千雨が社殿内に入り込んだ時も結界自体は働いていたので第三者が入り込むには一度結界を解除。もしくはレジストする必要がある。よってこちらも確信するには証拠不十分である。

 

「つまり長谷川さんは?」

「わからないネ……。二つの説はどちらとも確信できる部分が少ないヨ。本当に消息不明ネ」

 

 そう言ってため息を吐く超。このPDFファイルは魔法先生の間で渡されていたファイルを超が不正に所得したファイルである。超自身千雨の事で分かるのはこのファイルの事だけである。

 

「もともとその神社に封印されていた狼についても関東は把握していないネ。関西に文献などは残っていると思うけどデジタル化していないし、アクセスは難しいヨ」

 

 超やハカセの科学技術は未来の知識もありこの世界の誰よりも進んでいる。しかしアナログの文献や資料は把握するには直接出向かなくてはならなかった。

 

「超さんでも分からないんですか……。大丈夫なんでしょうか……」

「無事を祈るのみネ……。ただ一つ私は気になっている事件があるヨ」

「事件……ですか?」

 

 そう言って再びPCを弄る超。インターネットブラウザを開きブックマークしているニュースサイトを開くと液晶画面をハカセの方に向けた。

 

「これは……」

「秩父山中で起きた事件、登山に来ていた老若男女6人のグループが全員惨殺されたと言う事件ヨ。犯人は不明。また遺体には大型の生物に襲われた可能性あり。警察は野生の熊を犯人として捜査を継続中である。って事らしいネ」

 

 そして超はハカセの前に手を出すとタッチパットを操作、カーソルを動かしタブを切り替える。

 

「そしてこれが埼玉県の先月の行方不明者の数ネ。他の月に比べて少し多いヨ」

「これが何を示すのかは私にはまだ推測もできないけれどこの二つは千雨さんの事と関係がないとは言い切れないと思うネ」

 

 そう言ってテーブルに肘を置き、顎に手を添える。

 窓の外では午後の放課後で部活に打ち込む生徒たちが夕日を浴びてオレンジ色に染まっていた。そして研究室の中にもその光は降り注ぐ。

 夕日で反射したコーヒーを持ちながら下を向くハカセは口を開く。

 

「超さん、私たちで何かできませんかね? クラスメートは放っておけませんよ」

「分かっているサハカセ。私にとってもこの中学生活は夢のような生活ネ。だけど私たちの計画もある。スキマ時間だが情報収集など出来ることは徹底するヨ」

 

 超はわざわざ未来から来てやらなければならない計画がまだ残っている。戦乱の世から訪れた超であるがその計画の合間にもこの儚い夢を守る為に何かしらの力になろうと決めていた。

 超の言葉を聞いて何処か安心したハカセであったがハッと何か気が付いたのだろうかもう一度超に質問する。

 

「そう言えば麻帆良の魔法使いさんたちは?」

「魔法使いの連中も必死に捜索中ヨ。

 死亡している可能性が否めないがやはり自分達の学校の生徒であるからネ。教育者として責任があるし自分達の管轄の事故だし責任は取るみたいヨ。

 大体学園長が千雨さんの結界レジストの事を事前に知っていたとしても一般人に魔法の事をばらすことは最適でない事を知っているからこそ対策しようもなかった事だしネ」

 

 成る程、良かったと一安心するハカセ。

 ホッと一息ついたのか暫く二人でお茶をし、プログラミングの作業に戻る。その時、PCに戻るハカセを横目で見ながら超はぽつり何かと呟くがその声が聞こえている者は誰一人居なかった。

 

 

 

「邪魔するぞ」

「お邪魔します」

 

 そう言って開かれる研究室の扉。

 ハカセと超によって作られた魔法と科学の融合ロボット、絡繰茶々丸とその主人推定600歳前後の吸血鬼、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルが扉の先から現れる。

 茶々丸は何時ものメイド服、エヴァは黒のゴシックで右手にはカタログサイズの雑誌を所持していた。

 

「今晩はネ、エヴァンジェリンさん、茶々丸さん。わざわざこんな時間に」

「今日は茶々丸のあれだろ、パワーアップするんだろ」

「プログラムのバージョンアップネ。排熱部の効率化だからあんまりパワーアップしないヨ」

「そんな事を言われても私は解らん。今から夜の警備だからその前には終わらせておこうと思って来ただけだ」

 

 そう言ってエヴァは研究室備え付けのソファに寝転ぶと持ってきた雑誌をパラパラと捲り、茶々丸のインストールしている間の手持ちの時間を潰す。

 茶々丸はハカセの前に座り、パソコンに繋がったケーブルをハカセが茶々丸の後頭部に接続していた。そんな中、エヴァに超は質問する。

 

「エヴァンジェリンさんは何を読んでいるネ」

「ん? これか」

 

 そう言って起き上がると背表紙を見せる。そこには『Komatsuna 4月号 ~ペットと過ごす私生活~』と書かれていた。

 

「なに、ペットとか茶々丸の情操教育に最適かと思ってな。こう調べているんだよ」

「……ペットネ。確かに子供の教育には最適だと思うけど茶々丸はエヴァンジェリンさんのお世話で大変じゃないかネ?」

「ほう、茶々丸に家事一式覚えさせたの私だぞ。それに従者に主人の世話は当たり前だろ」

 

 そう言ってスッと目を細める。周りの温度が下がっていくのが感じられると超は慌てて弁護。

 

「アハハハ、ジョーク、ジョークネ。火星人嘘つかないアルヨ」

「ふん」

 

 まるでもう一人の中国人留学生、古菲の口調になる超。エヴァは不機嫌になりながら雑誌に目線を戻すと何事もなかったように雑誌のページを進めていった。

 

「故にエヴァンジェリンさん。ペットは何が欲しいかネ」

「そうだな……」

 

 そう言って雑誌をソファの背もたれにかけ、あぐらをかくと顎に手を当てながら悩み始めるエヴァ。外見は10歳児の為、大きなソファで胡坐をかくその姿は何故だか保護欲注がれる景色である。

 

「そうだな、無難に犬とか鳥じゃないか? ドラゴンやグリフォンなどでも良いが麻帆良では難しいだろうし」

「なんでそんな伝説の生物が出てくるネ」

「それは私が最強だからだろ」

 

 そう言うエヴァはニタァと当たり前のように答える。

 確かにエヴァは闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)と呼ばれる吸血鬼の真祖(ハイ・デイライトウォーカー)である。あながち間違いではない。

 ……なにやら続編のUQでは本物やら偽物、本来の真租、狭間の魔女などよく分からない事になってるがネギまの世界ではそんな事を突っ込むのは野暮であろう。

 

「そんな物ネ?」

「そんなものだよ」

 

 そんな中、PCの前で二人の会話を聞いていた茶々丸が口を開く。

 

「マスター、私は猫が良いです」

「なに、猫だと。それはダメだ! 私が許さん」

「何故ですマスター? 可愛いじゃないですか」

「何が可愛いだ! 駄目なものはダメ。わかったか」

 

 はい……と答え、肩を落とす茶々丸と励ますハカセ。主人の言うことは絶対なので言う事を聞くしかない。

 しかし何故エヴァが猫を嫌っていたのかはあの陰湿古本がエヴァのミドルネームで弄っていたのが原因だったりするがそれが知られるのは随分先であろう。

 

「ふーむ。私は狼とか良いと思うネ」

「ほう、何故だ?」

「吸血鬼に狼は付き物ヨ。どちらも夜に生きる物同士、古代ヨーロッパでは同一視されてたらしいじゃないか。それに良く創作物では一緒に居るネ」

「それは創作物でしかない。私の知ってるヨーロッパの人狼どもは今は異界に引きこもっている根暗どもで優雅さを一片も持ち合わせていない野蛮な奴ばかりだ」

 

 そう言われムスッっとする超。それを感じ取ったのかエヴァは意外だと驚き、顔に出す。

 

「お前が狼にどんな感情を抱いているか知らないが一応候補に入れておこう。近接戦では茶々丸一人ではまだ心元ないからな」

 

 そうして時間を潰している間に太陽は沈み、外は夜の闇に包まれる。

 茶々丸はインストールが終わるとさっさと研究室を出ていく。猫の件で不機嫌になった茶々丸は主人を置いて行こうとする所をエヴァは驚きせっせと追いかける。

 ハカセはもしや茶々丸に自我が目覚めた! と興奮し、超がそうかもしれないネと参同する。

 

 

 

 そんな麻帆良の一幕。

 空には月は出ておらず星空が広がるのみ。

 そんな景色を見つめる一匹の銀狼。

 そして物語は進んで行く。

 




UQの方はちょっと解らない(詳しく読んでいない)ので吸血鬼の真祖が何とかはスルーで。

あれってネギまの伏線含めて完結出来るんですかね…
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