ただ一言、遅れて申し訳ない。
今回は導入なのでエロはないです
次はあるんで許して下さい!何でも(ry
燦々と降り注ぐ日光を反射して輝く海が、モードレッドは大好きだった。
寄せては返す波、それによって心地よい音を奏でる。吹き付ける潮風は白銀の鎧と巨大な兜の隙間に入り込み、蒸れた肉体を冷ましてくれた。時折水面にて跳ねる魚たちの気ままな姿に羨ましさを憶えたこともあったか――――。
思い出すのは懐かしき情景。此処の海と故郷の海は全くの別物だと判っていても、世界全土と繋がっている海を見ていると、何か感慨深いものがある。
叛逆の騎士として天寿を全うしたモードレッドだが、彼女とて人の魂を持つ者なのだ。特にこんなに美しい南国の蒼海を見れば、柄にもなく過去を思い出すのも仕方ない。
あの時は、ただひたすらに彼の王に認められたくて――――。
「――――」
…………思考がどこか見当違いな方向へ向かっていたらしい。折角
「…………よーし」
普段身に付けている鎧はとうの昔に脱ぎ捨てており、赤いビキニを着て準備は完了。ブリテンに居た頃に泳いだことは無いが、英霊としての身体能力と持ち前の度胸があれば大丈夫だろう。
海まで十メートル――――助走距離は十分。この砂浜には高台になるような岩が無く、一見すれば飛び込みが不可能に見える。だがサーヴァントの身体能力を以てすれば、助走の勢いと筋力やら敏捷やらを利用して二十メートルは優に飛べる筈だ。水泳競技の飛び込みの高さが最大十メートルであることを考えると、その高さは簡単に想像できるだろう。
軽く跳ねて足の調子を確かめる。初めての海水浴ということもあってか、調子はすこぶる良い。これならば三十メートルまで行くかもしれない。
「いやっほうううううぅぅぅぅぅ!!」
かくして、モードレッドは紅い風と化した。
敏捷・Bという優れた素早さを活かして砂浜を一瞬で踏破…………などという風情の無いことはせず、一歩一歩砂浜を踏みしめながら進んでいく。だがそれでも十分に速い――――数秒後、モードレッドは海中に柱を立てながら激突するだろう。
海まで後五メートル、四メートル、三メートル――――そして一メートルを切り、踏切としてモードレッドが右脚を突き出した。
「警告、止まりなさい。準備体操もせずに水泳をするなど言語道断…………ただちに実行しなければ、私の愛銃が水を吹くと思いなさい」
右脚を地面に叩き付けた瞬間、音速の速度で放たれた鉛玉――――ではなく、某劇作家が戯れでエンチャントを施し独自にカスタムされた、水鉄砲(ライフルバージョン)によって発射された水が着弾した。
弾丸自体はただの水だというのに【エンチャント】と馬鹿げた魔改造によって引き上げられた威力は尋常ではなく、騎士であるモードレッドが悶絶する程。
跳躍の瞬間、肝心な踏み切り脚を撃たれたモードレットは勢いそのままに海辺へと転がって行った。顔面から転んだ故に痛みはとてつもなく、あのモードレッドが絶叫する程。だが騎士の矜持か泣き喚くことはせず、水を発射した方向へ向いて抗議した。
「いってぇぇぇ!? なにすんだよ、母ちゃん!」
「私は貴女の母ではありません。ただの看護婦…………いえ、今回ばかりはライフセーバーでしょうか。兎に角、早く準備運動を開始しなさい。身体を慣らさずに入水した場合、筋肉の痙攣や心臓麻痺などが懸念されます。身体に異常を来す前に、早く」
「わ、わかったよぉ…………なんでか、母みたいに思っちまうんだよな」
水鉄砲を放ったのは、鋼鉄の白衣の下に黄色のビキニを着たナイチンゲールだった。右手には拡声器、左手にはライフルと所持品だけみると奇怪だが、彼女の仕事はライフセーバーだ――――皆に情報を拡散するためにも拡声器は必要であり、もしもモードレッドのように十分な準備体操もせずに海に飛び込む輩がいる場合、威嚇射撃の意を込めてライフルを持つのも当然と言える。
「このような仕事をするのは初めてですが、案外悪いものではありませんね。牛若さんやジャックちゃんもきちんと責務を果たしていますし、怪我をしている人もいない…………後は彼だけ、ですか」
――――常夏の楽園に降り注ぐ太陽は止む様子を見せない。
カルデアの夏はまだ始まったばかりだった。
魔術王・ソロモンによって破壊された人理を復元する為に活動しているカルデア。
人理を乱す原因である特異点を発生させる聖杯は、既に七個中六個回収できている。残る聖杯は後一つだが、聖杯が確認された特異点は紀元前だ…………西暦より前の時代へのレイシフトは莫大なエネルギーと不確定要素が含まれるらしく、調整の時間が普段よりも多く必要となった。
暫くはカルデア内にて待機――――今後の方針はそれで固まった。早急にやるべき事柄がないのは良いことだ。一時の日常を楽しむというのも大事なのだから。
「とは言っても、やる事が無いのも考え物だねー。目に見えて鬱屈が溜まっているサーヴァントもちらほら見かける。ロマニ、何か策を講じるべきではないのかな?」
しかし、そうなると新たな問題が浮上してしまったのだ。
急いで定礎復元しなければならない特異点も無く、かと言って新しいサーヴァントを召喚する余裕も無い――――そうなってしまえば、カルデアの面々の仕事は皆無と言っていい。
英霊とは
某正義の味方などは料理で気を紛らしていたが、それにも限界がある。元々が生粋の魔術師によって建築された所為で、カルデアの娯楽施設はかなり少ないのだ。
「策、と言ってもねぇ。僕が貸し出している漫画にも限界があるし、カルデア自体は真っ当な研究施設だったから嗜好品なんてまるで無い。かと言っていちいちレイシフトさせるのもなあ…………あ、そうだ」
しかし、現在のカルデアのトップはロマニである。趣味嗜好をジャパニーズカルチャーに汚染され、ネットアイドルのブログを周回し続ける一面を持つ彼が。オルガマリーが前所長だった頃からサボり癖があった彼が――――こういう息抜きを、考えつかない筈が無かった。
「何か妙案でも思いついたのかい?」
世間話のついでにやってきたロマニに対して、コーヒーを出して歓迎したのは工房の主であるダ・ヴィンチちゃんだ。
普段はいろいろとはっちゃけている部分が目立つダ・ヴィンチだが、自称万能の天才は伊達ではない。目聡くカルデア内部の様子を気にかけ、何か問題が生じればスタッフやマスターに報告している。きちんと気遣いが出来る優れた英霊なのだ。
そして何よりも、彼は娯楽や愉悦が大好きだった。
「うん。ほら、そろそろ夏が近づいているからね。カルデア外の時間が消滅してしまっている以上、日付なんてものはないけど…………それでも季節のイベントは大事だと思うんだ。
秋のハロウィンや冬のクリスマス、新年のお祝いにバレンタイン。カルデアも色々と、まあ巻き込まれたりしながら季節を楽しんできた。それなら、夏のイベントがあっても可笑しくないだろう?」
「それは中々いいアイデアだね。最近召喚されたサーヴァントも、これを機にマスターとの親睦を深めることも出来る…………うん、ロマニにしては良い案だ。
まあ夏だから女性陣の水着が見たい、なんて欲望は隠れてないけどね」
「何故それを!?」
そんなこんなでスタッフとマスター、サーヴァントを交えて話し合いが進み、カルデアの夏休みが始まった。
勿論、百騎を超えるサーヴァント達全員に休暇を言い渡すことは出来ない。万が一の事態に備えてカルデアを防衛できるだけの戦力は維持しておきたく、サーヴァントの夏休みはシフト制になった。
全てのサーヴァントをバランスよく配分するのは苦労したものの、遊びの下準備は全力でした方が楽しいに決まっている。それを理解しているロマニとマスター二人は睡眠時間を削ってまで計画を練っていたらしい。
そして今回選出された十数騎のサーヴァントとマスターは、失われた南国の秘境へとレイシフトしていた。
「そーれっ! メアリー、パス!」
「了解、アン――――って、ぁいたあ!?」
「顔面レシーブとはやるわね……そらっ!」
「ちょっとマルタさん、高く上げ過ぎです!」
太陽が照り付ける砂浜で、ビーチバレーを楽しむ水着姿のマシュ達。
「こうして開放的になるのも悪くないな…………やはり、適度な息抜きは必要ということか」
立てたパラソルによって出来た影の中、ビーチチェアに身体を預け普段は見せないような笑みを浮かべるスカサハ。
「このような機会を与えて下さったマスターには感謝しなくてはなりませんね。やはりここは私というプレゼントが最適…………!」
「清姫ちゃん、相変わらずぶれませんねー」
邪悪とも淫靡とも取れる笑みを浮かべる清姫と、それを見て呆れ顔の玉藻前。
「南国の海はこんなにも美しいのね――――ああ、アマデウスとサンソンにも見せてあげたかった」
白いワンピースのマリーはこの場に居ない、同郷出身の音楽家と処刑人に思いを馳せ。
「オラァッッ! どんどんイクぜ父上ェェェ!!」
「ふん。その程度ですかモードレッド…………甘い!」
水鉄砲という玩具を用いてモードレッドとアルトリアが壮絶な戦いを繰り広げる。
「――――――――」
そして彼女らを見守っているのが、我らが婦長――――フローレンス・ナイチンゲールだ。
普段は赤い軍服に身を包んでいる彼女でも、この場に限っては素肌を露出させていた。黄色のビキニは分厚い軍服の上からでも判る程の胸を扇情的に演出し、腰から臀部にかけてのラインは男共の視線を釘付けにすることだろう。
敢えてビキニの上からシャツを着ているのも、余計に男の欲望を煽る。白いハットの合間から覗く眼光こそは鋭いが、それも普段に比べれば優しげだ。だからと言って浮かれている訳ではない…………もしも先程のモードレッドのような不届き者が居れば、右手に握られているライフルが水を放出することだろう。
「あっ、ナイチンゲール殿」
声を掛けられ振り返ると、そこにいたのは同じく自主的にライフセーバーとして働いている牛若丸だった。
…………ナイチンゲールは日本の文化には疎く、水辺において日本人がどのような格好をするか見当もつかない。それでも、一般常識で考えると牛若丸の水着がいかに異様かが理解できた。
それは
艶のある黒髪は水滴を絡ませて輝き、胸に巻いているサラシは素肌に張り付いて色気を醸し出していた。生前より戦闘に特化した肉体を誇る牛若丸には余分な脂肪は少なく、小柄な身長と相まってか細身の印象を受ける。
人懐っこい笑みを浮かべながら、牛若丸はナイチンゲールへ話しかけた。
「そろそろ交代の時間です。ナイチンゲール殿は我々の中で最も働いておられですから、その分長くお休み下さい!」
「ですが、それでは貴女方が……」
「大丈夫です! ナイチンゲール殿が休憩の間は、この牛若とジャック殿が皆様の安全をお守りします!」
「……………ふふふ、全く――――」
――――共に仕事を全うできる仲間がいて、自分は本当に幸せ者だ。
それではよろしくお願いします、と告げてナイチンゲールはその場を離れた。生前の彼女ならば休憩など挟むことなく、ライフセーバーとしての任務を果たしただろう。だがナイチンゲールは理解していた――――英雄としての能力を最大限に活かした、彼女たちの能力を。
人間は過労によって倒れてしまう。事実彼女は過労によって何人もの仲間を失ってきた。だが牛若丸やジャックは違う。霊体化すれば自身の体力を使うことなく救護が出来、また仕事効率も人間に比べれば桁違いだ。例え自分が居なくとも、彼女たちならば難なく使命を全うすることが出来るだろう。
そして、自分を気遣ってくれる彼女たちの好意が何よりも嬉しかった。
「さて」
ナイチンゲールが向かうはこの場に居ない自身のマスターの下。
つい一時間前まで女性サーヴァントに紛れてビーチではしゃいでいたマスターだが、流石にモードレッドと共に波乗りを体験しアルトリアと射的をし、誘惑してくる清姫を躱しながらマルタ達とビーチボールをするのは耐えられなかったようだ。
あくまで表面には出さぬよう取り繕っていたようだが、婦長の目は誤魔化せない。【人体理解】など使わずとも彼のことならば肌の角質に至るまで把握している――――汗の分泌量から心拍数の増加、一度に吸う空気の増加から疲労を隠せない足の痙攣などなど。
これだけの要因が重なれば大凡の疲労度は推測できる。おまけに彼とて自分のことを把握できない愚か者ではないのだ、拙いと思えば休息を取る。恐らくは水分補給と体力回復の為に、男サーヴァント達が建てたログハウスで休んでいるのだろう。
苦痛に喘ぐマスターを救うべく、真夏の天使は歩き始めた。
◇ ◇ ◇
――――サーヴァント達の体力というか、気力を嘗めていた。
流石は人類を救おうとカルデアに集結した英雄豪傑だ、身体から溢れ出る活力が尋常ではない。敵をなぎ倒すあの力を、邪悪を払い除けるあの力を遊びに回せばあんなに激しいものなのか…………サーヴァントという存在の力強さを体感して、彼は思わず苦笑していた。
彼女らがサーヴァント――――即ち英霊として成ったのはその武勲や逸話が理由だ。だが幾ら英霊に昇華されようとも、英雄として祭り上げられようとも本質は自分と変わらない
「…………しかしまあ…………流石に、三時間続けて遊ぶのはきつい」
木の板で作られたログハウスの壁は硬く、とても休めるような材質ではない。それでも体重を預けておくと少しは楽になれた。
水分補給は既に済ませており、体力も大方回復している。恐らく後十分も座って休んでいれば再び活発に活動できるようになるだろう。しかし一度休憩した後に動くというのは億劫で、中々立ち上がることが出来なかった。
我ながらなんてだらしない――――そう彼がぼやいていると、足音が近づいてきているのが判った。
足音は止まることなく徐々に大きくなっている。このログハウスを目指しているのは明らかだ…………しかし誰が、何故来るのかの見当がつけられない。マルタ達には「南国のフルーツを探してくる」と言って離れてきたのだ。手伝いに行く為に森に向かうならまだしも、ログハウスに来る目的なんて――――。
「やはり此処に居ましたか。…………大分休憩は取れているようですね、安心しました」
――――そこに、天使が立っていた。
「…………あ、フローレンス。気付いてたんだね」
「当然です。寧ろ気付いていないとでも思ったんですか? …………貴方のことなら、私は何でも理解しています。それこそ貴方よりも」
あ、この台詞は拙い――――脳が蕩ける。
ログハウスを訪れたのは浜辺でライフセーバーをしていた筈のナイチンゲールだった。
彼が彼女に見惚れて茫然としている間に、ナイチンゲールは彼の横に腰を落とした。彼が記憶している限り彼女は黄色いビキニの上にシャツを着ていた筈だが…………よく見れば、彼女の肌は汗ではない何かでしっとりと濡れていた。恐らくはシャワーを浴びてきたのだろう。シャツはそのタイミングで脱いだのだと勝手に納得した。
それ以降、彼とナイチンゲールの間で会話は無かった。お互いの呼吸音だけがログハウスに響き、触れ合う肌から伝わる熱で心臓が飛び上がる。
肌が触れ合う――――そんなレベルではない行為をしたというのに、高鳴る心臓を抑えることが出来ない。普段とは違うナイチンゲールの衣装は何とも魅力的で、蠱惑的で、刺激的で…………。
「――――」
思考が出鱈目な方向へ向かっていたようだ。
ナイチンゲールの白い肌に目を奪われる。ビキニに支えられる双丘は正に目に毒で、急速に血液が循環していく。駄目だと判っていても頭はナイチンゲールの事で染め上げられ、嫌でも意識してしまう。
「…………ねえ、マスター」
「っ……な、なにかな」
突然声をかけられ肩が跳ねる。視線を横にずらせば、頬を紅潮させたナイチンゲールが俯きながらぼそっと言い放った。
「…………もう少し、近付いていいですか? 貴方の温もりを感じていたいから――――」
――――それが我慢の限界だった。
「きゃっ……ちょ、ちょっとますた――んっ、じゅる、んん、っは、ちゅ…………れろっ、ふ、あ…………」
ナイチンゲールの頭が床に激突しないよう支えつつ、体重を乗せてナイチンゲールを押し倒した。相手が混乱している隙を突いて、その柔らかい唇へ舌を滑り込ませた。
ぴちゃ、ぴちゃ、と波とは違う水音が流れる。口こそは抵抗するような言葉を吐いていたナイチンゲールも、舌を絡ませ唾液を交換すればただただ喘ぐだけになった。
「こ、んなぁ……ところでぇ……♡ ほかのみなさんに、ちゅ、んふ、はぁ…………ばれたら、どうなるか……れろぉ、んく、ぁ……じゅる、じゅ、んんん…………」
「嘘吐け、本当は誘ってた癖に…………ん、ふぅ…………」
次第にナイチンゲールの方から舌を絡ませるようになり、脚を駆使して彼が離れないよう腰を縛り付ける。彼の怒張した肉棒が太腿に触れ、嬌声とも悲鳴とも取れる声が漏れた。
より貪欲に、より淫靡に――――汗を垂らしながら、一組の雌雄はお互いを求め合った。
キャラクター紹介
・主人公
アメリカを横断できる癖に浜辺で遊んだだけで疲れるクソザコナメクジ。
水着バージョンの婦長には、まずいと思ったが性欲を抑えられなかった。
・ナイチンゲール
今回は看護婦改めライフセーバー。あのイラストは反則だと思う。
男を知ってからちょっと色っぽくなった。敢えて主人公を誘惑する場合も。
書いてて思いましたが、婦長のキャラ壊れ過ぎですね。凛々しいってなんだよ(哲学)、ただの甘えたがりなお姉さんじゃねーか。
初めて「♡」を使ってみました。記号をつけてみてどうなったか、感想頂けると幸いです。