日が暮れていく。
月が昇るとそこにあるのは、紅の月と青色の月に白い月。
三つの月があり、ここは異世界なのだと嫌なほどに聖耶の心に刻まれる。
「どうでもいいけど満ち干ってこの世界だとどうなるんだ?」
詳しい原理を聖耶はもう覚えていないが、月がどうとかで起こる自然現象である。
そう言った違いのある中で、聖耶の持つ知識はどこまで通じるのか、朝になったらカリンにでも彼は聞いてみようと思った。
「どういう理由かまではわかりませんが、あちら側の世界と環境はほぼ同じです。セイヤ様」
濡羽鴉色の髪に、空の双眸を持つ美少女メイドのカリンがそこにいた。
オートマタと呼称する彼女は、そこにいるのが当たり前のように存在していた。
オートマタとは何なのか。
それは魔法技術により完成した自動人形。
エルダーとは全く違う機械仕掛けの人形……なのだそうだ。
かと言って、目の前にいる少女はどこからどう見ても人にしか思えない。
球体間接があるわけでもないし、その肌触りは絹のように滑らかで、ぷにぷにしていた。
「カリンってオートマタって言ってたよな」
「はい。この身は魔力を動力として動く自動人形です。故に食物の摂取を必要としません」
「とてもそうは見えないんだけど」
「はい。それは当然です。この体はグリムが作り上げた限りなく人に近い体です。性交渉も可能となっています。子を孕むかまでは解りませんが」
その発言に、噴出す聖耶。
それを怪訝そうに小首を傾げて見やるカリン。
その手の発言を無表情に淡々と言うカリンには、常識をちゃんと教えた方がいいのではないか、と悩む聖耶。
ところで、聖耶はこの世界に来てからやたらと、"そっち方面"への欲求が強くなりつつあるのを感じていた。
「ところでカリン」
「はい、セイヤ様」
「やたら、こう、なんて言うか。ムラムラするのはなんで?」
「ムラムラ……? ……嗚呼、理解しました。精力強化などの影響により、性欲も増したのでしょう。特に問題はないかと思いますが」
「大有りだよ!! 性欲に我慢出来なくなって襲っちゃって性犯罪者とかやだよ!?」
「自省出来る範囲かとは思いますが……問題ありません。私が解消させることが出来ますので」
「そういう問題?!」
聖耶は25歳となるが、その実童貞である。
その手の知識は、エロ本とエロゲのみで本番などと呼ばれる行為に至った事は欠片も無い。
それどころか、彼女なんてものが出来た覚えはとんとないのだ。
別段、聖耶の顔が悪いわけでも性格が悪いわけでもない。ただ単に出来なかっただけである。
聖耶の傍に歩み寄るカリン。
その様に何故か逃げるように後ずさる聖耶。だが後ろは壁で逃げることはできなかった。
「致さないのですか?」
「したいって欲求はあるけど色々順番ってものが!?」
「では問題はありません」
聖耶が気づいた時には、すでにカリンは彼の懐にまで潜り込んでいた。
そして、気づいた時にはすでに、彼のソレは外気に晒されていたのだ。
「……なんじゃこりゃあ!?」
決して腹部を刺された刑事ではない。
彼が叫びをあげたのには理由がある。そう、彼の息子がとんでもない事になっていたのだ。
今までの彼のソレは平均的なサイズでしかなかったのだ。しかし、今の彼のソレは500mlペットボトル級の太くてでかくて黒いマグナムになっていた。
「……随分とグリムは強化をかけたのですね」
黒髪の少女は、そっとその肉棒を撫で擦る。
無表情ながら、どこか情欲に濡れたその瞳は初心な青年にはかなりの毒であった。
「……どうでもいいけどこんなの受け入れられるのっていんの」
「その為の性魔法かと」
彼の前に屈みこんだカリンは、その白魚のような指先で彼の肉棒をこすり撫でる。
敏感な部分であるソレは、撫でられ、こすられる度に彼女の手の中でびくん、びくんと跳ね、震える。
「うぁ……手でやってるってのは変わらないのに、自分でするより……っ」
他者にされると言うのと、それを行っているのが美少女であると言う事実。
しかも、彼女は聖耶の好みにホールインワンする外見なのだ。たとえ無表情であっても。たとえそれが人工的に作られた人形であっても。
むしろ、人形らしい人形らしさと言うのが表情が変わらないと言う一点しかない以上、聖耶にとってカリンは、無表情で冷静な女の子としか写っていなかった。
「流石に口に含むのは厳しいサイズですので……このような形でしか奉仕出来ず申し訳ありません」
それだけを告げればカリンは、そっとその舌を肉棒に這わせていく。
唾液を肉棒の竿全体に塗りつけるように、這わせながら片手をその竿の下でぶら下がっている袋に持っていき揉み上げる。
その行為がもたらす快感に、聖耶は微かなうめき声をあげることしか出来ずに肉棒を震わせるばかりであった。
「気持ち良いですか? セイヤ様」
問いかけながら、舌による奉仕を続けるカリン。
空色の双眸が上目遣いに見上げる様の破壊力は、初心でその手の行為が初めての青年には高すぎた。
少女の問いかけには、頷くことで返すことしか出来ない聖耶。
その答えに、表情は変わらず、けれどどこか嬉しそうな様子で奉仕を続けていく。
「……カリン、そろそろ、やばい」
彼は元から出すのが速かった。世間一般では早漏と呼ばれる部類である。
エロゲ主人公の大半は早漏である、とは彼の友人の弁ではあるが、諮らずも彼もまた早漏であった。
最も、彼の場合は尋常ではないソレと、何度でもこなすだけの精力、そして尋常じゃない快楽を与える術の性魔法があったので、世間一般的な意味での早漏になりえるかは謎なのだが。
「どうぞ、射精(だ)してください」
黒髪の少女は、とどめと言わんばかりに肉棒の先端。亀頭に当たる部分の先端部に唇を寄せ、吸い上げる。
鈴口と呼ばれる部分であり、敏感なそこを刺激された聖耶は達してしまう。
――ビュルルルッドビュッビュルルルルッグビュゥッ!!
かつては、そんな音などゲームや本などでしか見たことがないのに、そんな音を聞くほどの強烈な射精。
凄まじい量の精液が吐き出され、カリンの顔と、その綺麗な黒髪を白く染め上げていく。
それを吐き出された黒髪の少女は、顔と口、そして手でそれを受け止める。
その精液の濃さも尋常ではなく、指で摘みあげれば、重々しく糸を引くほどである。
長かったようで一瞬の尋常じゃない射精を行った聖耶は何度かする精力的な余裕はあれど精神的な余裕が欠片もなかった。
「……ん……あむ、濃度はかなり高いですね。量は強化がかけられたことを考慮すると少なめでしょうか」
吹きかけられた白濁液を指で拭い、口に含み飲み下しながらカリンが言う。
その様子に肉棒は昂ぶるが、精神的な疲労から回復出来ない聖耶はへたれこみながら見やる。
「……なんか疲れた。気持ちよかったけど。気持ちよかったけど」
「大事なことなので二回申されましたか。気持ちよくなられたようで幸いです」
軽めの性交渉を行った後だと言うのに淡々としたままのカリンを見やり苦笑する。
どちらにせよ、今の聖耶にはこれ以上の行為は厳しそうであり、聖耶もカリンもそれを解っているようで、どちらも続きをする様子はなかった。
「セイヤ様」
「何?」
「軽めではありますが、性交渉を行った為にステータスの増強が可能になったかと思いますが」
そう言われ、ステータスウィンドウとスキルウィンドウを展開する聖耶。
言われた通りにステータスポイントとスキルは増えていた。増えていたのだが。
「なんでさっきのだけでステータスポイントが10も増えてんだよ!!」
先ほどのご奉仕だけで10もステータスが伸ばせるのである。
実際に致してしまったら一体どうなってしまうと言うのか、戦々恐々とする聖耶である。
「果実の樹五つ分がありますので先ほどの行為で増えたのは正確には5です。セイヤ様」
「そういえばそうだった。って建物一つで+1っておかしい勢いで伸びそうな気がする」
「セイヤ様が強くなる分には問題ないかと」
「……まあ、うん。そうだね。とりあえずMNDに10振り込んでおこう」
「MND全てでよろしいのですか?」
先ほど吐き出した精液はいつの間に処理したのか、奉仕をした前と変わらぬ姿のカリンが小さく首を傾げる。
いつの間に……とは思いながらも口に出さずにそれに頷き返す聖耶
「MNDって言うのは精神性を司るんだろ?」
「はい。精神の頑強さを現すステータスです。魔法に対する抵抗力も現します」
「ってことはそれをあげておけば、モンスターとか人を殺傷した際にも動揺はしなくていい……はずだよね?」
「はい。良心の呵責や罪悪感などは覚えるやもしれませんが、それにより動揺したり吐き気を催すことなどはなくなるかと思います。15(D)もあれば、通常の戦闘行動は問題ないかと」
「なら、今あげておいた方が便利そうだからあげとく」
「畏まりました。ステータスのアップを行います」
ウィンドウのステータスポイントが減り、MNDが5(F)から15(D)まであがる。
身体が一瞬熱を帯びたように熱くなるがそれも一瞬のことで、すぐに収まる。
「ステータスの決定が行われました。お体の異常は?」
「さっき一瞬熱かったけど」
「それはステータスアップの影響です。身体がそれに対応する為にそのような反応を起こしますが、問題はありませんのでご安心ください」
「ならいいけど……じゃあ次はスキルかな」
NEWスキル!
技術スキル:短剣術(E)
技術スキル:剣術(E)
技術スキル:槍術(E)
技術スキル:斧術(E)
技術スキル:杖術(E)
技術スキル:槌術(E)
技術スキル:弓術(E)
技術スキル:銃術(E)
技術スキル:刀術(E)
技術スキル:盾術(E)
「多っ!! なんかめっちゃ習得した!!」
「私の持つ戦闘技術スキルを習得されたのですね、中途半端にEランクなのは、本格的な性交渉を行っていないからでしょう」
「え、カリンってなんでも使えるの」
「はい。少なくともセイヤ様を御守りしながら竜種を一蹴出来る程度には」
「俺よりカリンの方がチートな気がしてきた」
「セイヤ様の補助及び守護を任じられておりますから」
「納得した。……うん。とりあえず寝よう。なんか疲れた」
聖耶がぼふり、とベッドに倒れこむ。
やがて、そのまま寝息を立て始めてしまう。
その様を見やり、カリンは小さく笑う。
そう、無表情で、無感情な少女が初めて"笑った"のである。
「おやすみなさいませ、セイヤ様……また明日」
す、と頭を下げれば、オートマタの少女は外へ出て行く。
グリムに作られ、そして命じられた役目であるが、カリンにとってはそれは絶対である。
何故ならば、彼女の存在意義はそれが全てだからであるが、それよりもまだ一日の付き合いでしかないが、カリンにとって聖耶は好ましい主であったからと言う方が強い。
やろうと思えば、そのまま組み敷いて命じて行為を行う事とて可能だし、それをやっても良いのだから。
そういうものを気にしない性分であるが、女性として作られた以上強いられることをあまり好ましくは思わない。
グリムが何を考えて、彼女をこのように作り上げたのかは解らないが、カリンはこうしてあれることをグリムに対して感謝していた。
「範囲策敵開始……――異常、特に無し」
三つの月の下、黒髪のメイドはその持てる力全てを用いて主を守護する。
日がまた昇り、主が起きてきて、また色々話し、聞かれ、それに説明をし、答えを返し、領土を大きく広げていくと言う生活の為に。