── down the rabbit-hole
「ゆ゛に゛ち゛ゃ゛〜ん゛!!! おちんちん生えて来ちゃったよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」
「はぁ!? 突然なに!?」
事務所の入り口が思いっきり開かれると同時に、大きなウサ耳を揺らしながら小走りに私のデスクへ駆け寄るひまりちゃん。
今日は私だけが配信の準備と言うことで出勤。ひまりちゃんは休日で昨夜は積んでるエロゲーを消化するために、一日中家に引きこもると宣言していた筈。
だが全くもって訳が分からない、何だか嫌な予感がする単語を羅列しながら突然私の前に現われたかと思うと、机をバンバンと叩き必死に訴えかけて来た。
「だからそのまんまの意味! ちんちん生えてきたの! それも玉あり!!!」
「いや~、ひまりちゃん。エロゲはフィクションであってね、決して現実で……は……!?」
恐らくエロゲのやり過ぎで現実と虚構が混ざり合い、夕暮れ時の学校を徘徊するような教育実習の先生と同じようになってしまったかと悲しく思い、ここは現実だと諭すように声を掛けようとするが最後まで言い終える前に私は絶句した。
ひまりちゃんは羞恥を含んだ表情で、じっと目で訴えながら私に見せつけるようにスカートを捲りあげる。
そこにはエロゲやエロ漫画でしか見ることのないであろう、禍々しく血管が浮き出たペニスがショーツの隙間から垂れ下がる。それもクロッチの部分で押さえつけられ、二つに分かれた陰嚢付き。
ひまりちゃんの中身はともかく、愛らしく可愛らしい外見に反するような太くて長い逸物が何も付いていないはずの股間からぷらぷらと顔を出していたのだ。
「えっ……ひまりちゃん……それ、ジョークグッズだったり……する……?」
「いや、多分……ホンモノ……。私も朝起きてなんか違和感あるなーって布団を捲ったら付いてた」
「ペニスが!?」
「そう、ペニスが」
なんでも朝起きたら股間からペニスが生えおり、どうすれば良いか途方にくれていた所、1000歳以上生きるゆにちゃんなら何か知っているだろうとスカートで隠しながら事務所へ顔を出したらしい。
一見街を歩く只のウサ耳美少女であるが実際はペニスをぶらぶらさせてるとは、文京区の都民も予想だにしなかっただろう。勃起しなかったのが不幸中の幸い。もしテントでも張ってしまったら公衆の面々で羞恥プレイである。
「流石に両性具有ぐらいなら見たことあるけど、朝起きたらペニスが生えてるのは経験したことないから分からないな」
「そ゛ん゛な゛ぁ〜吸血鬼なんでし゛ょ゛ぉ〜、会長なんでし゛ょ゛ぉ〜」
「吸血鬼でも知らないことは知らないし、そもそも会長関係ないし……」
抱きついて頬を擦り寄せながら必死に懇願するひまりちゃん。
その時ふと普段は感じる事の無い、甘い匂いが鼻腔を擽る。
それはまるで紅茶やお菓子みたいな、まったりと絡めつく甘い香り。
何の香りか疑問符を浮かべながらも頭の片隅に追いやり、取りあえず性的なことに関してはひまりちゃんの専売特許ではないだろうか?と訝しむ。
「それじゃひまりちゃん的には、どうやったら解決するとかある? ひまりちゃんの方がこう言うのは詳しいとは思うけど?」
「あるといえばあるのですが、それはその……エッッッロゲの話でございまして……」
「良いから話してみて」
「えぇえと……その……なんて言いますが……」
途端に赤面し、目線を外しながらモジモジしだすひまりちゃん。彼女は時折手心のない発言をすることがあるが、そんな彼女が言いずらそうに口を閉ざすとは珍しい。
これはもしかするとアレかも知れない。
そう思った私はオブラートに包まず、率直に尋ねる。
「ひまりちゃん、もしかして私にヌいて欲しいの?」
「いや! そんな、そんなことないから! うん゛! エッッッロゲだったら1発シコったりセックスしたら治ったりするよねーとか考えた事ないから!」
「うんそれ考えたよね」
彼女の反応からなんとなくそんな気がしていた。
そもそも本当に相談だけなら最初にペニスを見せつける事など無いだろう。タジタジと焦った様子から察するに誰でも分かるリアクション。
『こう言った素直じゃ無いところがひまりちゃんの可愛いところだよなぁ』と思いながら膝をポンポンと叩き、おいでのポーズで両手を広げ抱きついた彼女を優しく包み込む。
「心配しなくて良いから。もしかしたら本当にひまりちゃんの言う通りかも知れないし」
「でっ……でもいいの? ゆ、ゆにちゃん?」
「任せなさい。それに私もひまりちゃんに選ばれて嬉しかったし」
「そっ、それってどういう……」
「ひまりちゃん、用はセックスすれば治ると考えたんでし? そんな大事な相手として私を頼ってきたのが嬉しいってこと」
「ゆっ、ゆ゛に゛ち゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ん゛っっっ!!!」
まるで滝のように涙を流しながら、ダミ声に近い声で泣き縋る彼女の頭を優しく撫でる。なんだかんだで私は彼女の事が放って置けないんだなぁとしみじみ。
それが種族的かつ歳上の憐れみなのか、状況に対する同情なのか、それとも彼女に対する好意なのか、はっきりしたことは分からない。ただ、いま分かることはひまりちゃんが私を求めていること。
そんな彼女と一緒に二人だけの世界へ堕ちてゆく。
甘い匂いに身を任せ、私はゆっくりと彼女の唇へキスをした。
――ぴちゃ、ぴちゃ、じゅるっ、じゅる
「んっっ、あっ゛、あっ、そこ゛、きもちいぃ゛」
「んっ、そう。ここが良いんだ」
照明が落とされ、非常用の誘導灯だけがぼんやりと二人だけのオフィスに浮かび上がる。窓の向こうに広がる夜空。そこに浮かぶ満月と一緒に私達を照らす存在はまるでスポットライトのよう。
そんな光の袂で椅子に寄りかかったひまりちゃんが背もたに身を預けながら静かに震えた。捲り上げたスカートを両手でギュッと抱きかかえ、悶える姿を私は彼女の股下から見上げる。
普段は飄々と揶揄うひまりちゃんであるが、こんな風に女の子相応の反応を見ていると何だか加虐心擽られて面白い。これは夜空に浮かぶ満月が起因する吸血鬼の性なのか。手玉を取られる彼女が今はただ愛らしく、可愛らしい。
ペニスを間近で見るのは初めてではないが、クリトリスが置き換わったであろう女の子のペニスは流石に初めての経験であり、そそり立つその姿は男性のモノとなんら遜色ない。強いて言うなら生えてきたばかりな為か、全体的に皺が少なく浮き出た血管の薄いピンク色が強調される。縮れた陰毛も見当たらない。
私はペニスを両手で握り、上下にゆっくり動かしながら舌先で鈴口に触れる。
そのままチロチロと、端先の隆起した口周りを攻めるとひまりちゃんの喉の奥から微かに息が漏れ、亀頭の縁に舌を這わすとゾクゾクとした快感に悶え、嬌声が発せられる。
ペニスの先は愛液、否カウパーと涎で艶めかしく光り輝き、水音と合わせて淫靡な雰囲気を醸し出す。
――ぴちゃ、ぴちゅ、じゅぼ、じゅじゅっ
亀頭を咥え、身を乗り出して股間に覆い被せるとスジに舌を這わせながら口全体でペニスを包み込む。小さな唇がカリ首に触れ、生暖かく胎動するような感触が薄皮を通してじんわりと舌先へ伝わってゆく。
――ずずっ、ずぼっ、じゅぼぼっっっ
鈴口から滲み出るカウパーと入り混じった唾液を音を立てながら吸い込んだ。
ふと、こうやって自分の会社で人のペニスを咥えるのは何だか間抜けな姿だと、羞恥心が湧き出て来る。だけど今は関係ない。ひまりちゃんが気持ちよくなってくれれば、それで良いのだ。
周到にペニスを扱き、舐め回し、吸い上げる。
右手で股下を撫でまわしながら、左手で陰嚢を包み込む。そして陰嚢の裏にあるひまりちゃんの女性器に人差し指を這わせるとゾクゾクと身を震わせる。手玉に取られたひまりちゃんは只々攻め立てられる。
「何時でもイって良いからね。ほら、私に身を委ねて……」
「あっ、ゆ゛に゛ち゛ゃ゛あぁ゛ん゛……あっ、ああぁ……あぁ……イクっ……イ゛っちゃう゛ぅ……」
「えっ、ちょっ、まっ……はやっ!?」
甘い声で唆した途端、口に加え直す暇も無く小刻みに震えると同時に勢いよく吐き出される白濁液。ペニスから噴出した粘っぽい精液は顔をべったりと張り付き、オス特有の悶々としたイカっぽい匂いが鼻をツンと突き抜ける。
それと同時に、きゅんとお腹の奥が締まるメスの感覚。荒い息を吐きながらひまりちゃんの座る椅子に愛液で滴り、沁みを作る。更に精液がペニスを伝って流れ、沁みを重ねた。
そんな彼女を傍目に私はゆっくりとの股下を触れるとジワッと生暖かい感覚と共に指先が濡れ、指の間で糸を引く。それはひまりちゃんのオスの匂いに引きつけられ、子宮が答えた証。彼女を受け入れようとする印。
息が上がって虚ろなひまりちゃんを見下ろしながら立ち上がる。
そして口周りに付いた精液を舐め取り、荒々しく手で顔を拭うとそのままゆっくりと手の平に舌を這わせて飲込んだ。
目の前に居るのは兎。私を誘なう白うさぎ。
否、うさぎはうさぎでも三月うさぎかもしれない。となるとこのが狂ったシチュはまさにMad Tea-Party。甘い匂いに連れられて、延々と続く甘やかな倒錯の時。
ヌいたばかりのペニスは変わらず元気にそそり立ったまま、濡れてギラギラと照らされる。私はショーツを脱ぎ捨てひまりちゃんと向かい合うように彼女の膝へ座り込むと、ゆっくりと手を回し胸と胸を重ね合わせながら抱きついた。
そして彼女の耳元で囁く。
「ねぇ、ひまりちゃん……。まだ……大丈夫だよね……?」
「えっ……あっ゛、うん……っ!!!」
返事を待たずに私は彼女のペニスをヴァギナに滑らすとそのまま力を抜いて腰を下ろす。彼女の太ましいペニスが私の膣を押し広げながら、中へ中へと挿入される。やがて濡れ濡ったペニスが根元まで導かれると、端先が子宮口にキスをした。
「ぬ゛ぁ゛あ゛ぁぁぁ゛!!! まだシコったばかりで感度高いのぉ゛! 感じちゃうのぉお゛お゛お゛!!!」
「急に声が太くなったね……。でもダメ……さっき、大丈夫って言ったし」
「ぬぉお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ!!!」
取り乱すひまりちゃんに耳を傾けず、腰を上下に振って抽挿を繰り返す。
その度に彼女の野太い声が事務所に響き渡り、膣内の粘液とペニスが擦られる音と相まって退廃的で甘美な雰囲気を漂わせていた。
お尻と太ももが打ち付けられる音。体液が入り交じる水音。段々と早くなる呼吸音。それらが互いに交差し、狂ったお茶会は進む。
「どうしたのひまりちゃん? さっきのフェラの時もだけど、何時ものひまりちゃんらしくないじゃん」
「そ、そんな事無いもん! おちんちんがこんなに気持ち良いなんて思ってないもん!」
「ふーん、それじゃ、気持ちよくないならここも揉んであげるね」
「ひ゛ゃ゛ふ゛ぅ゛ん! だ、だ゛めぇ゛! 胸揉んじゃやだぁ゛!」
素直じゃないひまりちゃんの胸を服の上から両手で覆い被せるとクネクネと指を動かし揉み拉く。そのまま親指を乳首に被せると小刻みに擦らせながら、ぷっくりと隆起させた。
快楽から逃れるよう身を縮こませるひまりちゃん。だがマウンティングポジションを取っている私の手から逃れらず、皺を付けながらもみくちゃにされる。
「あれぇ、ひまりちゃん? ブラジャー付けてないの? これはもしや変態さんかなぁ?」
「そうじゃないのっ゛! 急いで来たから付けてなかっただけっ...…ん゛っ゛!!!」
「ヘーソウナンダー」
支えるブラがない胸は服の上からでも荒ぶる様に形を変え、大きな胸が強調される。それがまるで胸の薄い私への当てつけのような気がして、ついつい指先に力が入ってしまう。
その度にひまりちゃんは快感に身体を震えさせ、ペニスをビクビクとさせながら私の奥を亀頭でノックすると今度は私にまで快感が迸る。
そんな蕩けきった顔の彼女の薄い唇に口づけすると舌を押し込み、絡め合わせながら淫らな音を響かせた。
「ねぇ、ゆ゛に゛ちゃ゛ぁん゛……ひまり、シコれる?」
「藪から棒になんだい突然?」
「いや、ひまり。リスナーからシコれないって言われるじゃん。そんなひまりとセックスしてゆにちゃんはえっちな気持ちになるのかなーって」
「なんだ、そんな事か」
狙ってやっている節も否めないひまりちゃんの言動だけど、こうやって二人きりの時になるとやっぱり女の子なんだなぁってつくづく思ってしまう。妙に張り合う姿なんか見るとまるで子供を見ているようで愛らしい。
でもそんな彼女も私より直ぐに大きくなって、大人の女性になり、お婆ちゃんになって死んでしまう事を考えると何だか吸血鬼ってのがもどかしく感じる。なんだかんだで私はひまりちゃんの事が好きなのだ。だからこそこうやって身体を重ね合わせるし、彼女が望む答えを導く。
「ひまりちゃんはえっちだよ。“ひまシコ”出来るよ」
「うううぅ……ゆ゛に゛ち゛ゃ゛ぁぁあああぁん゛!!!」
顔をくしゃくしゃにしながら目尻に大きな涙を浮かべ、抱きついてくるひまりちゃんの背中を優しく撫でる。セックスの最中なのになんだか湿っぽくなってしまったと苦笑い。でもこれでお茶会の席を立つことが出来る。
うさぎを追いかけ落ちた穴は不思議の国。きっとこれは夢の世界。
こうやって私と抱き合う心象スケッチの中でひまりちゃんは男性側として“ひまシコ”の概念を明らかにする。
「ゆにちゃん! そろそろ、そろそろ出そう……!」
「いいよ、ひまりちゃん。出して」
「ゆにちゃん、ゆ゛に゛ちゃ゛ん゛、ゆ゛に゛ち゛ゃ゛ん゛っっっ!!!」
――ドピュッ! ビュッルルル! ビュッー! ビュッー!
暖かな精液が私の中を注がれ満たされる。彼女の物で一色に染め上げる。
奥にこつこつと当たっていた子宮口が彼女の精液を逃さないようヒクヒクと捉え、膣全体で彼女のペニスを締め上げ搾り取る。
全身を電流のように駆け巡った快感。快楽に身を委ね、食い縛りながら背を逸らすとそのまま、ビクビクと痙攣するひまりちゃんに力なく寄りかかった。
「……いっぱい出たね。どう? 満足、した?」
「はぁ、はぁ……まだ……いけると……思う……」
「そっか、それじゃいっぱい愛してあげなきゃ」
そう言って私は彼女に口づける。途端に漂う甘い匂い。
これは甘くて幸せな、不思議な夢のお話。
彼女の“ひまシコ”に対する想いのカタチ。
覚めない夢はない。けれど、“夢”を見なくなる事も無い。
――それからも私達は互いに身体を重ね合わせる。
夢から覚めたら、きっと今夜のことは忘れているのだろう。
だけど私は、私が得た想いを胸に目を覚ます。