多目的トイレ。
それは車椅子に乗る人や身体障害者、妊婦や赤子を連れた母親などに設けられた広い空間のトイレ。
もう一度言おう。
"多目的トイレ"である。
どんなことに使っても問題ないトイレ。
だから俺がこうして陽乃さんを連れてきたところでなんら問題はないはず。ましてや、今の陽乃さんはいろんな意味で危険なため、このトイレが一番合っているはずだ。
「………ねぇ、なんで君も入ってくるの?」
陽乃さんが不思議そうに聞いてくる。
どうやらさっきのからまだ回復しきっていないようだ。
いつもの軽快で意地の悪そうな笑みは全くなく、ただの純粋で無垢な美女と化している。
「なら、出てましょうか」
「ううん、一緒にいて」
服の裾をつままれ、可愛いと思ってしまった。
でもさすがに同じトイレにいるのはまずいよなー。けど、今のこの人を一人にしておくのも危険というか。
結論、どうしようと今の陽乃さんは危険である。
「それじゃ、ドアの方で後ろ向いてますから、ちゃんと拭いてください」
大洪水となった下半身をきれいにするために連れてきたけど、俺が綺麗にするわけにもいかず……………。
けど、これは困ったな。
視界がない分、聴覚が鋭くなってしまい、しゅるしゅると布が擦れる音が異常に耳に入ってくる。
「うわー、もうべちょべちょ」
何が、とは想像しないでおこう。
まあ大体はわかるんだけど。あの白い素肌とは対照的な黒のパ………って超想像してんじゃん俺!
「………ごめんね、比企谷くん。ほんとは次の駅で降りるつもりだったんだけど、私我慢できなかったよ。あんな強く抱きしめられたら…………抱きしめられ、たら……………ああんっ」
「あの、思い出すのやめてもらえます。超恥ずかしいんですけど」
「ええー、いいじゃん。ああっ、どうせ今日帰ったら思い出して一人でするんでしょ、んぁっ」
「うっ」
そう言われてしまっては否定はできない。
「いいんだよー、別に。私も帰ったら一人で、んんっ、する、からぁ」
あれ?
なんか段々とクチュクチュという音がしてきてるんですが………。
何をしていらっしゃるんでしょうかね、この魔王は。
「はぁはぁ…………ああんっ、なんで………まだ敏感、なのよぉああっ!?」
艶かしい音声を聞き続けること数分。
「はあ…………やっと、ふけた………」
肩で息をする陽乃さん。
それが余計におれの欲望を高めてくる。
ドクンドクン、身体中の血が活性化しているのがわかる。
おかげでズボンがてんと張っている。
「もういいよ」
そう言われたので振り返ると、どこかさっきよりも彼女の体の線がくっきりと浮き出て見えた。
「あ、あの…………結局俺は今日どうすればいいんですか?」
「んー? それは今日一日私といてくれればいいんだよ」
「はあ………さいですか。あ、ならこれ…………」
そう言って俺はプレゼントに用意した首につけるアクセサリー(決して首輪と言ってはいけない)をカバンから取り出す。
「一日つけててください。一応、俺からの誕生日プレゼントってことで」
「これって…………チョーカー?」
そうか。これはチョーカーというのか。
「これを………つけるの?」
「ええ、そうです。小町に勧められてみんなの誕生日にプレゼントしてるんですけど。あ、や、別に嫌だったらつけなくてもいいんですよ」
「ううん、嫌じゃないんだけど…………その、比企谷くんがつけて」
「はあ…………それじゃ、失礼します」
首に手を回して紫色のチョーカー(決して首輪と言ってはいけない)をつけていく。
項に手が触れた瞬間、ビクンと肩を震わせ、足がガクガクとなっている。
「これで………いいですか」
「ッッッ!?!」
陽乃さんがチョーカーに両手をあてがったかと思うと、急に仰け反った。
俺は慌てて抱きかかえるが彼女の目は焦点が定まっていなかった。
「ちょ、陽乃さん」
「ひ、比企谷くん………………もう………もう、我慢できない……………」
涙目で俺の胸の中に潜ってくる。
そして、ワンピースのボタンを上から一つずつ外していき、前を全てはだける。
そこには下着は一切なく、大事な部分を隠すものは何もなかった。
「ねえ、触って」
白く美しい肌は俺の欲望を掻き立て、彼女の艶淫な空気に脳が溺れていく。
「お願い」
今の俺には抗う術もなく、どっぷりと呑み込まれていった。