異次元転生、超能力、宇宙人との交信、タイムトラベル、タイムリーク。
小説、アニメ、映画、ドラマ、この中に登場する人物たちにこれらの事象が、ある日突然に、または誰かの陰謀により、もしくは運命によって降りかかる。そして今まで普通もしくは普通以上非凡未満の主人公たちは相応の理不尽に巻き込まれる。そこへタイミング良く現れた助け人。しかし彼女(彼)は性格的に問題があるやつで主人公の癇に障ることばかりしてくる。でもそんな時間も日常となり一緒に様々な経験をして互いに信頼を寄せあう仲になっていく。だが時間とは有限であり、主人公はもとの日常に戻らなければならない。焦る主人公と心配する彼女(彼)は小さなすれ違いから口論となり一方が離れていく。主人公は彼女(彼)を忘れようとするが彼女(彼)のピンチを知り激しく自分のしたことを後悔する。そしてその後は、皆さんもご存じの通り、主人公は再び理不尽に立ち向かい、主人公なりの答えを見つけ理不尽に勝利し、彼女(彼)を助け出し、二人は誓いのキスをしてハッピーエンド。
まったく上手くできた物語ですよね。皆さんもそう思いますか?何て上手くできた物語だと。だったらあなたの目は素晴らしい。なぜならこれらすべて作り物なのですから。え?そんなこと分かってるって?なるほど。もしかするとあなたが言っているのは事象のほうではありませんか?いやいや馬鹿になんかしていませんよ。でもあなたは最初の事象から作り物と思うわけですよね。何をそんな当たり前のこと言っているって?ごめんなさい、少し笑いを含んだ言い方になりました。ただあなたは一つ誤解をしている。人間にはそんな事象を起こすことなんて出来ない。まだ分かりませんか。物語を作っているのは人間です。まだ分かりませんか。逆を言うと事象を起こす登場人物は実在します。今も世界のどこかで起きています。あり得ないと思いましたか?おめでとうございます。これであなたはやっとこの物語のスタート地点に立てました。ここまで時間にして3分48秒コンマ26、ページにして3ページと3行、小説にしては長々とした序章の段階、アニメーションだったら1824枚目のカット、ドラマならカットされてるかもしれません、映画なら良くて30秒以内にまとめられていますね。何のことだか分からないって?いい反応ですね、王道は好きですよ。まあまあ、その拳を下げて大人しく座っていて下さい。後ほんの、、、おっといけないもう時間です。それでは皆さん本日この時、運命によって選ばれた『主人公』を送り出す門出の拍手をしましょう!御起立願います。
訳が分からない。俺はメディア関係の会社の説明会を受けに来たはずだった。就活中の無数にある候補会社の一つで、名前は覚えていない。どこの会社の面接もダメでエントリーシートさえ通らない状況で、基本に立ち返り会社説明会からまたはじめてモチベーションを上げようとしていた。はずだったが、、、いきなり彼は理解できない胡散臭い話をしだし、こちらがいくらそれに抵抗しても無駄で、周りの人たちが立ち上がり拍手をしだした。だから俺は一つだけ聞いた。あなたたちは何者なんだ?
「我々の名前は『フィクション』。主人公にハッピーエンドをもたらすことが最大の幸福です」
答えになっていない答えを聞いた瞬間、俺は今まで感じたことのない力に引きずり込まれた。