エロ成分補給と少し後日談的な。
読み飛ばしても問題ありません。
「……はぁ」
ハーマイオニー達と別れ、セシリアは一人部屋にしては大きすぎるベッドに頭から倒れこんだ。ハリー達の前では気丈に振る舞っていたが、これでも危うく大怪我をするところだったのだ。全てが終わったと思った途端に、どっと疲れが押し寄せた。
ギイとベッドが軋み、本来の姿に戻ったヘリオスが彼にとってはやや窮屈なベッドにのしかかる。極力セシリアに体重をかけないように、しかしのしかかるような形で、獣の鼻がヒクつきながら髪の張り付いた首筋を、汗ばんだうなじや耳の裏をかいで回るのに、セシリアは擽ったそうに体を震わせた。
「ヘリオス、今日は散々走り回ったんだ、臭いと思うぞ?」
照れ隠しにそう答えて、恥ずかしげに耳を赤く染めるセシリアに、ヘリオスはゴロゴロと喉を鳴らし、我慢できないとばかりにローブを咥えて引き裂いた。耳障りな音の直後に、生暖かい息が背中にかかり、セシリアはピクリと細い腰を跳ねさせる。逃げようと思った頃にはもう遅かった。少女になりたての、未成熟な、危うい曲線を描く背中を、肉厚の舌がベロリと撫で回し、愛撫するように甘噛みを繰り返す。
「ひぅっこらっ…めっろ、っ……!?」
初心な態度がかえって背後の獣を喜ばせているのだと、セシリアは知らない。喜びの声をあげながら、完全にボロ切れと化したローブの残骸を咥え、首を振って投げ捨てた猛虎は、更に丹念にセシリアの細い足首から上に遡るようにして、舐り回した。
「まっ…まてって、あっ…んぁっ……」
どこでそんな技巧を学んだのか、強弱をつけて気持ちのいいところを的確に攻めるソレに、セシリアは忽ち力が抜けた。元々背中が比較的に弱い気はあったが、こうも翻弄されては、無心に喘ぐ他彼女に術はない。セシリアが息も絶え絶えになった頃、細い太ももの内側に熱い屹立が挟み込まれた。
「あぁっ…だめ、そんな…っ……」
今セシリアは膝立ちで尻を高く掲げ、上体を伏せたなんとも屈辱的な姿勢を取らされている。規格外に大きいそれを無理やり挿入させられなかったことに安堵するのも束の間、獣は硬くそびえ立つそれを太ももの内側に擦り付けてきた。所謂素股というものだ。そしてその牙は、舌は相変わらず丹念な動きでセシリアのうなじに刺激を与え続ける。
「やめ…やめろって、んっ……ダメ、もっ…」
脚の間だけでなく、同時に秘部にも擦り付けられて、適度に肉芽に刺激を与える肉棒の動きと、絶えず敏感な背中で暴れまわる舌に、セシリアが音を上げたのはすぐのことだった。
「あっ…ぁ……」
じわりと暖かい何かが体のうちから湧き出るのを感じながら、セシリアは半ば放心してビクビクと痙攣した。それとと同時に、限りなく獣臭いどろりとした何かが、腹に、胸に、果ては顎にまでかけられる。いつの間にか、セシリアの指は助けを求めるように引き寄せたまくらに食い込んでおり、頬を押し付けたそれには、快楽でだらしなく開いた口角から垂れ落ちた涎が染み込んでいた。意識が闇に閉ざされるその瞬間、傍らの獣がくつくつと笑ったような気がした。
翌朝、気だるい体を引きずり起こしたセシリアがまず気づいたのは、裸身を包み込む温もりと、それに比例したような獣臭さだった。瞬間、昨晩の出来事が頭を過り、顔が紅潮する。誤解でなければ、あの時ヘリオスは明らかに己に欲情していた。無理やり犯され無かったのは、紳士的な性格ゆえか、それともゆっくり慣らすつもりか。そんな思惑をよそに、セシリアを抱え込むようにして大いびきをかいていたヘリオスは、猫のような欠伸をすると、起き上がったセシリアに口づけをした。
「んっ…ふ……」
口付けというには些か乱暴すぎるきらいもあるが、逆棘の生えた肉厚の舌は当然ながらセシリアの口に収まるものでは無かったので、その代わり器用に唇ごと舐め回し、思わず自ら差し出してしまった、彼女の舌を見事に絡め取った。羞恥心とともに身体が火照り、脚の間に燻る熱を感じる。気づけばヘリオスの首に腕を回し、セシリアはされるがまま心地よい波に揺蕩っていた。
「……しかしどうしたんだ一体」
漸く解放されて身嗜みを整えた頃には既に6時30分を回っていた。朝食まではまだまだ余裕があるものの、普段より早起きなセシリアにしてはやや遅い時間帯である。昨晩からやけにヘリオスのスキンシップ…と言うよりも匂い付け?と言うべき行動が激しくなった。 花嫁に選ばれというが、まともな神経の人間が獣との情事に耽るべきではないとセシリアの理性は語る。だがそれとは裏腹に、もしあの時三頭犬に襲われたのに腹を据えかねたヘリオスが縄張りを強く主張していたとしたら、嬉しいと思う気持ちもあった。
「『φλοξ』」
二人きりの空間で真名を唱える。白い日差しを反射した黄金の瞳は愛しげに細められている。何事も心配いらないと告げるような眼差しに、なんとも言えない擽ったさが胸をついた。
大広間では、眉間に皺を寄せ、年に似合わずブラックコーヒーを飲むハーマイオニーと、その向かい側で片方は伏せるようにして、もう片方は大きくそらした首を背凭れに乗せて大口を開けて寝続けるハリーとロンの姿があった。カフェインで強制的に目を覚まし、教科書と睨めっこをするハーマイオニーだったが、よく見れば少しふらついており、ページの進みも遅い。船を漕ぎ出すのも時間の問題だった。
「おはよう。諸君、だらしないぞ」
ヘリオスのおかげ?で一人やたらとスッキリと目覚めたセシリアは、最早定位置となった四人組の最後の席に腰を下ろしながら、夜更かしの手厳しい反動を食らう少年少女に皮肉を言った。ついでに杖を振って各々の身嗜みを整え、曲がったタイを直してやる。ハーマイオニーが八つ当たりのように頭を叩いたハリーが目を覚まし、続けてハリーに腹に肘打ちを食らったロンが覚醒した。
「おはよう、セシリア」
「おはよう。なんで君だけそんなにピンピンしているんだい?」
「鍛え方が違うんだ。ぼくはこれでも貧弱な方だが、魔法の連発は当然ながら高い集中力と体力が要求される。君らも来るべき日に備えて体を鍛えることを勧めるよ。まあ、ポッターはこれからクィディッチでしごかれるとして、ウィーズリー、君も何かしたらどうだ?」
「うっ…何だか昨日からやたらと僕に辛辣じゃないか」
「そう思うのは何かやましいことでもあるからだろう。思い当たる節でもあるのか?え?」
「うぅ…」
「あんまりロンを虐めないでくれ。ほら、オートミール」
「ふん」
たっぷり皮肉を効かせるセシリアに、やっぱり苦手だとロンが呟いて黙り込む。助け舟を出したハリーがオートミールを差し出すと、セシリアは小さく鼻を鳴らして、ロンを解放した。昨日からご機嫌斜めだったハーマイオニーも、少しは溜飲が下ったのか、黙々と朝食に手を出した。だが、セシリア以外の面々はやはりと言うべきか、満腹になった途端、襲い来る睡魔に撃沈した。
「もうダメだ…寮に戻って寝たい」
「ロン…ふぁあ〜、まだ、授業が…」
「大丈夫。私は起きてる…私はちゃんと起きてる…起きてるのよ…」
特にブツブツと自己暗示をかけ始めたハーマイオニーが精神的にも良くなさそうだったので、セシリアは呆れながらクリスタルの小瓶を3つ取り出した。
「ぼくが作った眠気覚しだ。成分は頭冴え薬に似ているが、主に交感神経を刺激し、日中脳を覚醒状態に保つことを主眼としてる。とは言え、神経を強制的に活動がさせるというよりは、調子を整えることを主眼にしているため、大きな副作用はないはずだ。ちょうどいい、治験も兼ねて飲みたまえ」
「治験って君っ……!」
「安心したまえ、以前ぼく自身が飲んだ際は少なくとも大きな問題はなかった。大きな問題は、ね」
「昨日のこともあるし、僕は飲むよ」
「ハリーっ!?」
真っ先に薬を呷ったのはハリーだった。昨日の負い目もあるのか、躊躇いなく濃緑色の気味の悪い液体を飲み干す。勿論治験云々は口から出任せだった、ポッターとは違いあまり反省した風のないウィーズリー少年に対するいたずら心というやつだ。続いて、ハーマイオニーも鼻を摘んで、蓋を開けた。
「お、おい、まさか君もかい?グレンジャー」
「当然よ。セシリアは私の友達だもの。それもとびっきり優秀よ。私はセシリアを信じてるわ」
こうもストレートに信頼されると、なんだか少し恥ずかしい。セシリアはヘリオスを撫でながら耳を赤くした。飲んすぐ、完全に眠気を吹き飛ばしたハリーたちを見て、ロンが恐る恐る蓋を開ける。そして、噎せながらも飲みきった。
「なんだってこんな苦いんだ!」
「良薬口に苦しと言うものだ。美味しい魔法薬の方がおかしいだろう。念のため何かあったら言ってくれ。そこは責任を持って対処しよう」
因みにグリフィンドールが予想に反して減点されなかったことにスリザリンの机のマルフォイが悔しそうにしていたが、薬のせいでややハイになったハリーとロンとハーマイオニーが揃いも揃っていい笑顔で中指を立てたのを、セシリアは見なかったことにした。