何故単なるギャラリーに過ぎなかった秋雲がこんな目に……。
秋雲は必死で思考を反芻する。
――えーと、えーと。薄い本用のイラスト描きたーいとは日頃から言ってたけど、リアルはゴメンなんだよね、あは、あはははっ。
脳内でセルフボケセルフツッコミをしながら秋雲は正気を保とうとしていた。大事にしているトイレでの勉強用の薄い本が床に落ちて脂まみれになっているが、もう目の前の惨状を前にしては気にならなかった。
――こ、このままじゃ秋雲ちゃくしょ~しちゃいそうだから、急いで逃げたい。だけど、だけど。
必死で今までに起きたことを反芻する。
――え、えーと有明の遠征前に薄い本を早割入稿出来たのはいいけど、ミスが見つかったから印刷所から連絡が、って違う! 遠征隊が帰投する前に入った民宿でゴーヤたちが撮ってきた魚を私と潮以外が食べちゃって……。
「あっ、そうだ! 潮、潮に助けを!」
突然大声を出したことで、秋雲の前で媚態を繰り広げていたゴーヤたちが振り返る。
彼女らのスクール水着は既に片方の肩紐が外されて白くて綺麗なおっぱいがこぼれている。そのおっぱいも勃起した乳首に負けないくらいピンク色になっている。
――ゴーヤは乳輪が大きくてブツブツが目立つけど、天龍に授乳中の8ちゃんは陥没乳首だよね、あれ。スク水って、本来は競泳のTバック型の方がズリ落ちにくいから戦闘用にはソッチのほうがいいけど、なぜか肩紐のズラしやすい背中U字型の旧タイプなんだよね。そこら辺を指定する提督のセンスは私と気が合うほど実にいいんだけど。やっぱりスク水は競泳もいいけど、旧タイプの固然とした佇まいよね。
目の前の仲間が淫乱モードに変化している恐怖から逃れるために、ついつい秋雲の思考は薄い本のモデルとして乳首やスク水の分類に自然と移行して行く。
――じゃない、今すぐ這ってでも逃げないと。
頭をぶんぶんと振って、赤ちゃん授乳プレイを行う8ちゃんと、天龍と8との擬似ママプレイを物欲しそうに見ているゴーヤの脇を抜けようとする。
ゴーヤは、スク水越しにぶりゅぶりゅとオイル大便を行う8ちゃんと天龍の授乳プレイと、時雨のペニス自家発電&アナル舐めという変則3Pを見ながら、さみしげに水着の股紙をズラしてお尻に指を挿入して出入りさせている。無論胸は肩紐をずらして乳首オナニー、通称ニップルオナニー(ニナニー)を行っている。
脇を通りすぎようとした秋雲をゴーヤが淫欲に濡れた目で見たが、ゴーヤの目に不可視のスカウターがハメられているようで、ゴーヤが色々分析したのか、数瞬後にポツリと漏らした。
「性交力たったの5か、ゴミめ、でち」
――ぬあぁぁっぁぁっ、つ、突っ込みたいぃィィィ。提督っ! 大喜利が始まってますよ! 何で提督は此処に居ないんですか!
だが、自分を淫乱プレイの相手に選んでくれないということはある意味、安心を手に入れた事に等しい。
「お、おじゃましま~す」
抜けてしまった腰をズリズリと引きずりながらゴーヤの横を抜けきろうとした時、ゴーヤが不吉な声を発した。
「あ……」
秋雲は自分の死角に回ったゴーヤの声色を聞いて危険を察知した。
「そう言えば、秋雲はゴーヤたちと違って、普通のうんちが出るんでちね」
天使よりも寧ろ悪魔の方が人間に近いという言葉は、さぎょイプで語り合う薄い本仲間の間でもよく口にしていた。
その時は聞き流していたが、目の前の笑顔の同僚を見ていると、納得がいった。
「秋雲、お魚を食べてお腹から甘くて美味しいオイルを流すのと、ゴーヤたちが浣腸をしてあげるのと、どっちがいいでちか? ゴーヤは優しいから、選ばせてあげるでち」
「あ、ろーちゃん。どうしたの」
「え、どこにいるでち」
古い手だが、でっち呼ばわりを気に食わないゴーヤの反応は顕著だった。入口の方を向いたゴーヤの顔も見ずに秋雲は立ち上がった。
その立ち上がった秋雲のお腹をぐぎゅるるるっという音と共に痛みが襲った。
「ぬぐっ、で、でも」
壁に手をついて全力で走りだそうとする秋雲の足を伊8号の手に握られた魚雷が引っ掛けると、顔面から秋雲はトイレの床にキスをしたままスライディングをした。
秋雲より年配の腐女子が好きな漫画でよく見られた顔面スライディングだが、それを理解したのは秋雲だけだった。
「逃げられるなんて甘いですよ」
周囲の淫靡な空気を吸い続けている内に、秋雲の体も反応しつつあり、せっかくの性交仲間を見逃す伊8号ではなかった。