※この作品はR-18です。

Blood Edge Survivor   作:空薬莢

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プロローグ

 

 

生物は争う。

生物は奪い合う。

生物は殺し合う。

 

これらは、世界の真理であり、生物に宿命付けられた呪いのようなもの。

逃れる事は出来ず、克服も出来ず、従う事しか出来ない、絶対的な規範。

私達人類も例外ではなく、互いに争い続けている。

だが、他の生物と決定的に違う点が幾つか存在していた。

 

それは、道具を用いる事と、明確な規範を持つ事である――

 

 

――血暦(B.C.)11.1.20 アイズロスト大陸北部 森林地帯

「…………」

私は湖畔を囲む岩の一つに腰掛け、折り畳み式釣竿を握っていた。

既に二時間は同じ体勢のまま。

魚がかかる気配も無いまま、無為に時間が過ぎていく。

澄んだ水面に写る、自分の姿を眺める。

長い前髪の銀髪セミロング。端整だが人形同然の顔。線の細く華奢な身体。

表情は無く、呼吸しているのかも疑わしく見える。

生きている以上、呼吸はしているのだが。

普通の人間が見れば、人形と勘違いし、頭の軽い男性ならば、性的玩具(ダッチワイフ)と勘違いされるだろう。……事実、今までも何回か、そう思われた事があったし。

(…………どうでもいい)

今は食料の確保が先だ。

再び、釣糸に集中した直後、浮子が浮き沈み。

暫し、様子を伺い――完全に沈むと同時に、引き上げる。

かかっていたのは、比較的大きい魚。

主食としては充分な大きさだった。

脇に置いていたバケツに放り込む。

餌を付け直し、釣りを再開。

程無くして、二匹めが釣れると同時に、背後から声が聞こえた。

「おいおい、こんな僻地に何があるってんだよ?」

「あるのは確か……シュネーベルの跡地だろ?」

「そう、シュネーベルの跡地だが……そういう場所には――」

男性三人。声の調子からして、放浪者か。

一ヶ所に留まらず、世界中を転々とする放浪者のうち、彼らは盗賊寄りの連中だろう。しかも、かなり駆け出しの。

そんな奴が豪雪、永久凍土である極北地域のシュネーベルに向かうのは自殺行為に他ならない。

が、私には関係無い。勝手に苦労すればいい。

通り過ぎてくれればいいのだが、現実そうは行かない。

「お、テントに…………女がいるぜ」

男の一人が私に気付いた。

「ほんとだ。……しかも、北国系か」

「…………悪くねぇな。胸は無さそうだけど、小さいって事は、孔も小さいって事だ」

「あぁ、締まりが良いんだろ?」

遅れて気付いた二人もの声音には、下心がありありと浮かぶ。

下衆か。

あぁいう連中は、男尊女卑の精神が強く、女は性欲の捌け口でしか無いのかもしれない。

故に、このままだと、私は人身売買の商品か、肉便器になる。

(言葉が通じるような連中には思えないし、対処法は……実力行使)

釣竿を折り畳み、収納。

バケツにも蓋をし、反対側の傍らに置いていた物に手をかける。

それは、全長1.1m程の折り畳まれた金属の棒。……否、金属の棒ではない。

「なぁ、嬢ちゃん……こんな所に一人は危ないぞ。お兄さん達が街まで送ってあげようか?」

下心を隠さず近付いて来る男に向けて、先端を向け――

棒の中ほどを握り込む。

すると、軽い炸裂音が響き、

「大丈夫、お兄さん達は怖くな――い……ぐあっ!?」

男の心臓部が赤く染まる。

私は立ち上がり、棒を展開。

全長2m程の槍が組み上がった。

組み上がった槍を構えたまま、胸を押さえる男を蹴り倒し、

出血部を踏みにじる。

「ぐぁあぁぁぁぁっ!?」

寒冷地用のブーツのスパイクが傷口を抉る激痛に男は絶叫し……絶命。

まずは一人。

「……死にたくないなら、去れ」

槍の中ほどから突き出た、レ(・)バ(・)ー(・)を引きながら、残りの男に向かって言う。

これで立ち去れば御の字。

「テメェ……」

予想通りというべきか、男達は怒りを露にし、得物を抜いた。

(……安物のブロードソード)

傷一つ見えない新品。

壊すのは勿体無いな。売り払っても端金程度にしかならないけど。

早く終わらせよう。

穂先を男の顔面へ向け、グリップを握り込む。

軽い音。

血の華が咲く。

男は何が起きたか分からず、絶命しただろう。

(関係無い)

華が咲いた時、既に私はもう一人の男に向けて、疾走していた。

「なろっ!!」

振り回された長剣。

だが、直線的。素人め。

頭を下げて回避し――

「ごふっ!?」

ダッシュの勢いを乗せた突きを、胸部に叩き込む。

穂先は易々と肉を貫くが、絶命には至らない。

「まだだ……死ね、糞アマァアァァッ!!」

死力を振り絞るかのように、大上段に掲げられる長剣。

現状ならば避けられない。

……現(・)状(・)な(・)ら(・)ば(・)。

「死ぬのは貴方(Sie sterben)」

柄の中程を握り込む。

すると、炸裂音が響き、鮮血と共に穂先が抜ける。

その衝撃を利用し、私はバックステップ。

男は胸部を大きく抉り取られ、肉がこびり付いた肋骨を覗かせながら、絶命。

辺りには、鮮血と肉片。砕けた骨片も散乱してしている。

「……出て来なければ良かったのに(Obwohl es kommen sollte)」

宙に槍を一薙して鮮血を払いながら、私は呟いた。

既に物言わぬ、死体に――

 

 






――以上、Blood Edge Survivorのプロローグでした。
本作は、どちらかと言えば理由稀薄なケレン味ありの近接アクション。
主武装は刃物や鈍器で、基本的に銃火器は出ません(予定)。
尚、続きを読みたい方が多数の場合は続けます。

……実を言えば、プロローグを書き殴っただけで、荒筋も5割くらいしか出来ていないので。

今回はこの辺で。
拝読ありがとうございました――
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