※この作品はR-18です。

Blood Edge Survivor   作:空薬莢

2 / 6

出血を以て、己の弱さと愚かさを知る。
それが弱者であり、強者である。
即ち、等しく全てが卑称で、愚かな存在だ。





BloodⅠ~愚者の代償~

 

数日後――

(……着いた)

森林地帯を抜けた私は、アイズロスト大陸北部の都市、《North Frost》に辿り着く。

移民が築いた街であり、主な産業は第三次の接客業。

質の悪い物しか売っていないだろうけど、多少の物資補充はできるだろう。

そう思い、雑貨屋に入ったのだが――

「テメェみたいな小娘に売る物はねぇ。帰って飯事でもしてな」

態度の悪い店主に、商売する気は無かった。

一見すれば、横暴とも思えるが、これがシュトラーフの日常。

餓鬼は金を生む駒か、情欲を満たす為の道具に過ぎない。そのどちらも果たせない、“穀潰し”から搾り取れる金等、端金にも満たないのは自明の理。

穀潰しと商売をして、端金を手に入れるぐらいならば、餓鬼をバ(・)ラ(・)し(・)て(・)​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​、臓器を売り払う方が金になる。

「……金は払える。いいから、食料と水を提供して」

「にわかに信じ難いな。……本当に払えんのか?」

店主が私の身体を舐めるように見る。

「……そんな貧相な身体で」

……やっぱりか。

この店主は、身体で払うと思っている上に、豊満な女性が好みな質らしい。

反吐が出る。

「悪いが、知り合いにも買ってくれそうな奴がいないんでな。お帰り願おうか?」

売り払う先も無いならば、価値は無い、という事か。

(仕方無い。力尽くか……)

と、思った直後、奥から数人の男がしゃしゃり出る。

「ちょっと待ってくれよ、親方。こんな良い原石を手放すなんて損だ」

「そうだぜ。……嬢ちゃん、このお兄さんが欲しい物を買ってくれるらしい。代わりに、少しお兄さん達のお手伝――」

下衆が。

「――Halt die Klappe, Namachiritomo(口を閉じてろ、生ゴミ共)」

「何だって?聞こえないな」

私の発した言葉が理解できなかったのか、男の一人が舐めてかかるように、復唱を要求。

要求を呑む理由は無い。

必要なのは、この馬鹿共を苛つかせる事だ。

「Iro in Ihrem Penis saugen(棒でもしゃぶっていろ)」

「おい、俺達に分かる言葉で言えよ!」

別の男が激昂。もう少しだ。

「Augen verloren Sprache auch Nante nicht verstehen , es ist nicht weit zu den Ungebildete(訳:アイズロスト語も理解できないなんて、無教養にも程があるよ)」

「だから……」

今の言葉で、男の一人がブチ切れ、

「分かる言葉で喋りやがれっ!!」

ナイフを抜いて襲い掛かってくる。

単調な突進だ。

半歩横に避け、腹部を殴打。

それだけで、男の内臓が裏返り、床でのたうち回る。

「貴方達は血を見る方が良い?」

私は、残る男達を見据えつつ、腰のホルスターに手を掛ける。

そこに収まっているのは、大振りの刃物――戦闘用野戦鉈(コンバット・マチェーテ)。

柔な移民の首ぐらい、楽に叩き斬れる代物だ。

「あぁ?まぐれ当たりで喜んでじゃねぇっ!」

脅しは無駄だった。

いや、脅しと感じ取る程度の脳味噌も持ち合わせていなかった、だろう。

やや大振りの短剣……外見からすると――マン・ゴーシュ――を振るう男達。

牽制用にあたる短剣を主武装として扱うか。

刺突を紙一重で避け様に、男の腕にマチェーテを斬り上げるように振るう。

軽い手応えと共に、マン・ゴーシュを握る男の腕が宙に舞い、

「ぐぁあぁぁぁぁあっ!!…………ぁ」

激痛で絶叫した後、出血死。

まず一人。

振り上げたマチェーテを持ち替え、踏み込みつつ、手近な男に袈裟斬り。

右肩から心臓、肺、内蔵の一部と脇腹を切り裂き、二人目。

残りは一人。

姿勢を低くして、薙ぎ払われたマン・ゴーシュを避けつつ、更に踏み込み、

左手を一閃。

ズボンの上から男の象徴を切断。

続けて斬り上げるように、腕を振るい、正中線の肉と臓器を裂く。

だが、致命傷には至らない。左手に握るのが、刃渡りの非常に短い、ブッシュダガーだからだ。

「……Sterben(終わり)」

故に、右手に握るマチェーテを心臓に突き立て、左右に切り裂きつつ抉る。

心臓と肺を裂かれる激痛に男は絶叫。程無く絶命。

これで全部だ。

(……こういう手合いは、力尽くで捩じ伏せるに限る)

刀身に付いた返り血を払い、それぞれを鞘にしまう。

が、コートに付いた返り血はどうしようもなさそうだ。

「……買い物、して良い?」

再び店主に向き直り、私は言う。

「……あぁ、構わねぇ。金も……要らねぇ」

快諾してくれた。顔面蒼白で、だけど。意外と肝が据わっていないな。

「代金は払う。……商売は商売、だろうから」

これ以上、血を撒き散らす気も無いので、そう言ってから物色を始める。

……血塗られた店内で。

 

一時間後――

《North Frost》を出た私は、近場に合った廃墟に腰を下ろす。

そして、背負っていたリュックを降ろし、棒状の砥石を取り出した。

(……さて、手早く済まそう)

手近に落ちていた石を長方形に近い形に割り、そのうちの一つを手に取って砥石にかける。

初めは角を落とし、それから徐々に回しながら研磨して、全長の1/3は円錐となった円筒形に仕上げていく。

一本、二本と元々やり易い形に砕いてからやっているとはいえ、慣れも手伝って次々と尖頭円柱が出来上がっていき、数十分で、20本を研磨した。

(……これだけあれば、充分)

切子を払って、砥石をしまい、腰に巻いたポーチから、鈍色の箱を取り出す。

先程研磨した尖頭円柱を箱の中に収め、ポーチにしまう。

ポーチの一角には、似たような箱が数個あった。

(……まだ、80本はある)

当分は持つだろう。

(……次は…………腹拵え)

ポーチのファスナーを閉める。

リュックから、棒状の携行食糧を数本取り出し、腹の中へ。

寒冷地仕様の同携行食糧は栄養バランスは元より、摂取カロリーが多い。

にわかに信じ難い宣伝文句ではあるが、1本で三日は断食可能だとか。

(……まぁ、それぐらい高カロリーなのは確か)

多少とはいえ、体温が上がってきたような気がする。

が、すぐに下がる。 そういう体質だから、気にならないが。

(……さて腹拵えも済んだら……移動しよう)

リュックの蓋を閉じ、背負い直す。

スリングで背負った、折り畳み式の槍、腰のホルスターには、二本の棍棒と、マチェーテ。

左足のホルスターに二本のブッシュダガー。

……全武装共に問題無し。

確認を終え、私は歩き出す。

《North Frost》に、目(・)的(・)の(・)モ(・)ノ(・)は無かったのだから……。

 

 

 




――以上、Blood Edge Survivor第一話でした。
即興で書いたせいか、内容が薄く、文字数もかなり少ないです。
まぁ、追々増えるでしょう。
で、主人公である少女の名前は決めてありますが、判明するのはもう少し先の予定。
作中で相当な暴言を撒き散らしていますが、そういう風に荒んじゃった娘なのです。
基本無口だけど、かなりの美幼女なので、可愛がってあげたいね。……性的にだとこっちの首が飛ぶけれど。

では、今回はこの辺で。
拝読ありがとうございました――
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。