※この作品はR-18です。

親友・・・恋人 改訂版   作:創生路ハイローラー

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第6話 親友⇔恋人

 翌日、授業中居眠りをして怒られもしながらなんとか昼休みを迎え、藍とお昼をとっていると、橙花と黒子が教室の扉から私達覗いていた。

「蒼が君を呼んでる。君だけで来てくれ」

 蒼という言葉を聞いた途端、私は昨日の夜を思い出してバツが悪い気持ちになった。

「俺だけって、藍はダメなのか」

「いいから、付いて来て」

 橙花に無理やり引き離されて、連れてこられたのは屋上だった。

「一体どうやって鍵を手に入れた?」

「いいから、じゃあ、頑張ってね」

 橙花はそう言うと屋上の鍵を閉めてしまった。

「くそっ、騙された!」

 鍵を開けようとノブを回していると、後ろから声がかかった。蒼だと解ったが、顔を合わせたくないので、目線はノブに向けたままだった。

「ねぇ」

「なんだ蒼か」

「何で無視してんだよ」

「そんなことよりも、閉じ込められたんだぞ。俺達」

「ボクが呼び出したんだよ」

「あ、そうか」

 蒼がそうするように仕向けたのか、意地が悪い。そう思って向き直る。蒼は日曜日とは別のヘアピンを付けて、普段は手入れしてない髪も今日はといたようだった。スカートの丈も短い。両手は後ろにやって、何かを隠しているようだった。

「なんの用だよ。昨日のことなら、お前の言えたことじゃないだろう」

 女装させようとしたことも、勉強会をサボったことも、お互い様だ。文句を言われる筋合いはない。しかし、蒼は首を横に振った。

「そんなことじゃなくて、今日はちょっと、言わなきゃいけないことがあって・・・」

「なんだよ」

「そ、その・・・それは後。取り敢えずこれ、あげる」

 蒼が隠していたものを取り出す。それは遊園地のペアチケットだった。

「ここって、小学校の遠足で行ったとこだよな。懐かしい・・・いいのか?お金掛かっただろう」

「ふ、ふん。友達として当然だよ。彼女と一緒に楽しめると思って。ありがたく受け取ればいいさ」

 蒼は自慢気にフンと鼻を鳴らす。上から目線でムカついたが、おかげで最高の条件で藍との思い出作りの計画が立てられる。しかし、期待していなかったのにここまでされて、ハイそうですかと他人の金でデートに行くなんてあまりに失礼だ。来月に居なくなるのは蒼も同じ。私の反応を伺う蒼の目は心なしか寂しそうに見えた。私達の友情を大切にしてもらっていると解った以上、今は藍は『恋人』として最優先であったとしても、『親友』の友情に応えるべきだと私は結論付ける。

「ありがとう、本当に感謝してる。これで3人で行くプランがたった」

「え?」

 キョトンとする蒼に私は組み直したプランを説明する。

「彼女なんて最初からいない。実はテストが終わったら、3人でどこかにいこうかって思って。ほら、お前ら引っ越すだろ」

「え?え?」

 蒼はますます呆然とした。まさか引っ越すことを知らないわけでもなかろうに、そう思っていると、蒼は恐る恐る私に尋ねてきた。

「えっと、どうして、ボクが居なくなること・・・知ってるの?」

「そりゃ、藍から聞いたから」

 その言葉に、蒼はひどく衝撃を受けた様子だった。震えてうなだれながら、私に近づく。

「そんな・・・そんなわけないだろ!藍がそんなこと言うわけない!」

「でも、事実2週間も前に藍から聞いた」

「そんなのない!藍に言えるわけがない!藍はビビリで、ボクがいなきゃ・・・」

 私は蒼の頬を叩いていた。流石に聞き捨てならない。

「なにすんだよ!」

「いい加減にしろ!藍はお前のおもちゃじゃないんだぞ!最近は勉強も頼りっぱなしのくせに、何時までも姉貴面するんじゃねぇ!」

「・・・・・・」

 これは自分の手を離れる前に『親友』としてはっきり言いたかったことだった。今のまま蒼に藍を支配させておくのは藍よりも蒼のためにならない。そんなことは中学生の自分にも解ることだった。

「藍は、お前と同じ俺の親友なんだ。だから、教えたって別に不思議な事はない。違うか?」

「・・・あは、あははは・・・そうだよね。うん、ごめん。ボクも藍も、いっしょ。なんだよね」

 蒼はそう言うと、少し俯いて泣き始めた。荒治療となってしまったが、この時は蒼が理解してくれたと思って嬉しかった。続けて私は蒼の肩を持ってフォローする。

「チケットはお前ら2人のものだ。俺の分は俺が出す。最後の日曜、楽しもう」

「うん・・・ねぇ」

 蒼は上目遣いに私を見つめてきた。日曜とは違い、今回は懇願するような目線だ。

「なんだ?」

「そ、その・・・藍と一緒なら、泣いてるボクの頭、ぎゅってしてぽんぽんってしてほしいな」

「そんなの、いまどき藍にもしてないぞ」

 何を要求されるかと思ったらそんなこととは。藍には『恋人として』こっそりしていた為、『親友』である蒼にはしたくなかったが「いいから・・・して」っと、強引に右手を頭にやった。蒼が頭を私の胸に押し付ける。私は左手を背中に回し、擦りながら頭をポンポンと撫でた。藍は男の子とは思えないほど華奢であったが、蒼は外目にはそっくりなのに、なんだか温かくて柔らかかった。家が大変だから、甘える機会に飢えているのかもしれない。そう思って、暫く撫で続けると蒼は満足したのか胸のなかから頭を出す。抱いたままだから身体が密着して、胸に柔らかいものが当たった気がした。昨日のこともあって、かなり緊張する。

「落ち着いたか?こんなの、かなり恥ずかしいんだが」

「うん。ねぇ・・・」

 蒼は耳元で囁くように言う。藍の蕩けるような吐息でもないのに、なぜかゾクゾクした。蒼は手を動かすと、私の脇腹から足の付根を通って固くなってズボンを押し上げているものに当てた。

「硬いよ。エッチぃね」

「離れろ!」

 私は蒼を突き放す。心配した私が馬鹿だったらしい。

「用が済んだんだから、早く降りるぞ。藍が待ってる!」

「ねぇ、ボクも一緒に行っていいよね?」

「勝手しろ。まったく・・・」

 いつもの親友としてのやり取りに戻る。結局お昼は3人で食べて、3人で一緒に家に帰った。翌日も蒼のスカートは短いままで、ヘアピンや髪形を変えてみたりということはあったもののこれといって妙な行動をとることもなく、いつも通りの『親友』の姿に私はひとまず安心した。

 そんなある日のことだ、授業の帰りに橙花が接触してきたのは。

「こんにちは、蒼ちゃんとは最近どう?」

「どうって、あいつはいつも通りだよ。藍とセットで俺の親友。最近身だしなみに気を遣うようになったのは嬉しいが」

「ふーん。なんでチケットは受け取らなかったの?」

「そりゃ、冗談で言ったつもりがあそこまでされたら、受け取れないさ。それに、いい機会だったから。蒼は家の事情で引っ越すんだぜ」

「唆しておいて、それはクズいと思うな。蒼ちゃん、結構悩んでたのに。あと、ひっぱたいたりして。彼女のこと、ちゃんと異性として見てあげたほうがいいとおもうよ」

 そういわれて、私はムッと来た。蒼との付き合いは私のほうが長いのに、他人に外から指図されるのが不快だったのと、異性という言葉が親友という意識を揺るがせるように思えたからだ。

「・・・なんでそんなことお前にそんなこと言われなきゃならないんだ?」

「別に、ただ忠告したかっただけだよ。蒼ちゃんは大事な友達だから」

「なんだよ、前は仲が悪かったくせに」

「今はお友達だよ。蒼ちゃんは今とっても可愛いから、もっと可愛くなるためにお手伝いしてるの。気づいてない?」

 どうやら蒼におしゃれを教えたのは彼女らしい。蒼と同じ顔だから確かに似合ってはいたが、性格を知っている自分には何だか奇妙に思えた。

「学校一の美少女に言われてもね。追っかけは何人いるんだ?」

「それはまた今度ね。それより、今の時間は蒼ちゃんをもうちょっと女の子として見てあげてほしいな?せっかくの両手に花なのにこのまま別れたらもったいないと思うよ」

 橙花はそれだけ言って帰って行った。結局、橙花が何を言いたかったか私には理解できなかった。つい数日前に蒼で自慰をしたし(猛烈に反省している)、女として成長していることは理解できる。だが、それで蒼が変わるのだろうか?

「蒼が異性?そんなの、古い偏見だろう?」

 誰が何と言おうと蒼は蒼だ、男とか女とかじゃない。でなければ藍を好きにもならなかったはずだ。性別なんて好き嫌いとは関係ない。そう頭に言い聞かせた。

 

 

「抱いてくれないの?」

「・・・・・・」

 一方で藍はあれから私に性的な接触を迫るようになった。それほど強引ではないのだが、熱いと言って服のボタンをはずしたり、硬くなった股間に手を当てたり、逆に抱き着くふりをして自分のところに持ってこさせたりと、それとなく意識させるようなことをしてくるようになった。しかも、恋人状態の時だけでなく、日常的に・・・

「その・・・何でそんな、急にセックスとか・・・したくなったんだ」

「もっとじかに触れてほしいから。君は・・・『特別』だから」

 そう言ってシャツの中に私の手を引き込んで、固くなった乳首を触らせようとする。

「あんまりいじると黒くなるらしいぞ」

「・・・それは・・・イヤ」

 藍には自分は性的な対象として藍を見たくないとはっきり伝えたが、藍は私へのアピールをやめない。最近は藍に告白する男子も減ってきたが、こうも色気を振りまかれたら、また変な男が言い寄ってくるかもしれない。

「なんだか蒼と同じような考えをするようになったな・・・」

 それもこれも蒼のせいだ、こんな時期に蒼が色気づくから、藍までそんな意識が向いてしまうようになったのだ。などと自分でもひどい言いがかりをつけて、昼間刺激された性欲を夜に発散する対象はやはり蒼だった。

「くそっ、寝ても覚めても蒼のことばっかり頭に浮かぶ。蒼はただの親友で、藍が好きなはずなのに・・・」

 テスト直前になっても、蒼の妄想で勉強ははかどらない。藍と勉強をしているので何とかなりそうではあるが。このままでは引っ越した後、蒼のことだけが頭に残ってしまう。そんな危機感すら感じていると、自分が1月前に言った言葉を思い出した。

「『忘れるのが怖いなら、お互い忘れられないぐらい思い出を作ればいい』か・・・覚悟、決めるべきか」

 セックスは汚いと思っていたが、しかし現実には多くの場合人生のパートナーは性生活のパートナーになっている。自分も覚悟を決めるために、藍と一緒になるべきではないのだろうか?

 

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