※この作品はR-18です。

この素晴らしいぼっち娘と性活を!   作:ろくでなしぼっち

2 / 6
ノーマルプレイ 前編

「なぁ、旦那。俺とゆんゆんのことで相談があるんだがいいか?」

 

 朝。ゆんゆんがどっかの頭のおかしい娘と一緒に散歩に出ている間に、俺は相談屋をやってるバニルの旦那のところに来ていた。

 

「……金は持っているのだろうな?」

「金ならない」

 

 訝しげに聞いてくる旦那に俺ははっきりと答える。

 

「帰れ」

「まぁ、そう言わないでくれよ旦那。俺だって本当は旦那に金を払いたいんだぜ?」

 

 旦那にはいろいろと世話になってるし、俺にゆんゆんなんていう出来過ぎた彼女が出来たのもバニルの旦那のおかげも大きい。

 まぁ、別に俺はゆんゆんと付き合いたいだなんて旦那に言った覚えはないし、それはゆんゆんも一緒のはずだが…………それはそれとして感謝はしていた。

 

「その台詞は一度でも我輩に金を払って相談していれば信じてもよいのだがな……」

「いや、本当に払いたいんだって。でも今の俺の財布はゆんゆんが握ってるから払えないんだよ」

 

 ついでに言えば俺のクエスト報酬もゆんゆんに握られてる。

 更に言えば俺の金がゆんゆんに握られてることを知られてか、この街の飲食店じゃゆんゆん同伴じゃなきゃまともに注文すら出来ない。ギルドの酒場はなんとか飯を出してくれるがそこも俺だけは先払いが基本だ。

 ……まぁ、いろんな店で散々無銭飲食した俺が悪いんだけどな。でも、あいつ『真っ昼間からお酒飲むのはダメです』って怒るから払ってくれって言いにくいんだよ。

 

「汝は付き合って一週間でそこまで尻に敷かれてるのか」

「別に尻にしかれてなんてねえよ。大人な俺が年下のあいつに譲歩してやってるだけだ」

 

 だからけして逆らえないとかそんなことはない。

 

「だって言うのに、あいつ遠慮とか欠片もしねぇんだよなぁ。基本的には引っ込み思案のくせして俺には強気なんだぜ?」

 

 どっかの爆裂娘にもわりと強気だが、俺にはそれ以上に遠慮というか容赦がない。悪友兼恋人になってからはそれに輪をかけて顕著だ。

 

「しかも、リーンもゆんゆんに協力してやがるから…………あいつら二人に組まれると俺はどうにも弱くてよ」

 

 あいつら俺の行動パターン完全に把握してやがるからな。どっちか片方だけならそれでも出し抜いたり出来るんだが……。

 

「はぁ……、まぁよい。そういうことなら今回の相談料はぼっち娘に払ってもらうこととしよう。それで相談したいこととは何なのだ?」

 

 仕方ないとばかりにため息を付いてバニルの旦那。

 

「ああ。俺とゆんゆんは付き合い始めただろ?」

「うむ。そうらしいな。我輩は汝たちから全く聞いておらぬが、うちの貧乏店主が喜んで話しておったわ」

「……報告に来なかったのは悪かったよ」

 

 旦那に話したらからかわれて悪感情搾り取られる気がしたから俺もゆんゆんも報告に来れなかったんだよ。

 

「で? 相談というのはあれか? 付き合い始めたのに未だにキスも出来ないからどうしようかと焦っているのか。汝はオラオラ系ヘタレチンピラだからそれも仕方あるまい」

「……旦那って本当に俺ら二人のことになると見通す力が使えねぇんだな」

 

 俺とゆんゆんの子供かその子孫が旦那を倒すらしく、その影響で旦那は俺とゆんゆんのことを見通しづらくなってるらしい。

 それでも俺とゆんゆん個人個人のことだったら多少見通しづらいだけで見通せるはずなんだが………無駄に労力使って面倒くさいとからかう時以外は見通す力を俺らに使おうとしないんだよな。

 今も俺の記憶や考えてることを読み取れば何があったかくらいすぐ分かるのに、使ってる様子はない。

 

「なんだ、キスはしたのか。……まぁ、あのぼっち娘は覚悟を決めれば積極的にもなるし、キスくらいであればしていてもおかしくないか」

 

 ……一応キスをしたのは俺からだが…………まぁゆんゆんが積極的だったからキスしたのには変わりないから良いか。

 

「ということは、キスの先に進みたいというのが相談か。汝が童貞でがっついているのは分かるし、我輩としても子作りをさっさとしてもらわねば困るが……流石に付き合って一週間は急ぎ過ぎであろう」

「いや別に俺童貞じゃないけど」

「………………なんだと?」

「初めてなら付き合ったその日で交換してるから…………俺はもう非童貞だぜ」

 

 苦節21年。キースに童貞童貞バカにされてたが、やっと言い返せる。今度は俺がテイラーをからかう番だ。

 

「汝のそういうところは、悪魔として好きにならざるをえない。からかう時は我輩も呼ぶのだぞ」

 

 ……人の心の中を見通す力使って見ないでくれ。

 

「使えばいいのにと思ったり使うなと思ったり汝も忙しい男だな。……ふむ。しかし汝が尻に敷かれてること以外は順調に順調というか進みすぎてるようだが、なにを相談することがあるのだ」

「あいつの口うるささは確かに面倒だが、それは今はいい。問題はエロなんだよ!」

「朝っぱらからエロなんて言葉をギルドで叫ぶでない非童貞チンピラよ。我輩まで行き遅れ受付嬢に変な目で見られるだろうが」

「…………というかむしろルナの奴、死にそうな顔してこっち見てんだが」

「うむ。どうやら汝にすら先を越されたのを知って死にたくなってるらしいな。今夜は極上の悪感情が収穫できそうだ」

 

……ルナに怒るべきかご愁傷様というべきか。というかもう誰かルナをもらってやれよ。

 

「行き遅れ受付嬢が結婚退職などしたら我輩のごちそうがなくなってしまうではないか。結婚するにしても汝並みのろくでなしであってもらわねば困る」

「もう旦那が結婚してやれよ。ルナも満更じゃねぇだろうし」

「それも悪くないかもしれぬが……まぁ少なくともあと5年位は今の状況を楽しみたいものだ」

 

 …………、ルナ、強く生きろよ。

 

 

「話がそれたな。既に初めてを済ましているというのに何かエロいことで問題があるのか? 汝の変態性癖にぼっち娘がドン引きしたのか? 童貞と処女同士で大失敗でもしたのか?」

「いや? あいつは俺の性癖もちゃんと受け入れてくれるって言ってくれたし、初めても失敗はしてねぇと思う」

 

 まぁ初めてにしちゃやり過ぎだった気はするけど…………あいつはいい思い出だって言ってくれたしそれは俺も同じだ。

 

「汝は相談と言って惚気話をしにきたのではないだろうな」

「旦那に愚痴はしても惚気話はしねぇよ。相談ってのは俺とゆんゆんにエロいことする時間がないってことだ」

「? そんなはずなかろう。汝たちは一緒の宿の部屋で寝泊まりしているのだ。夜寝る前にでも適当にすればいいだろう」

「確かに俺らは一緒のベッドで寝てるぜ? でも二人っきりじゃねぇんだ。ジハードも一緒なんだよ」

 

 ジハードというのはゆんゆんの使い魔であるドラゴンだ。俺ともドラゴン使いの契約を結んでいる。下位ドラゴンだが俺らと会話できるくらい知能が高く、いろいろあって今は戦闘時以外幼い女の子の姿をしている。

 

「……なぜ汝たちは付き合って一週間で、子どもが生まれてから3、4年目くらいの夫婦の悩みを持っているのだ」

「そんなこと言われても実際ジハードは俺らの娘みたいなもんだし」

 

 というかジハードがいなけりゃ俺とゆんゆんが付き合うなんてこと逆立ちしてもない気がするし。

 

「はぁ……まぁ言っても仕方ないことか。子作りをする時はあの野菜好きの娘にでも預ければよいだろう」

 

 リーンに預ける? 確かにそうすりゃ夜寝る時にゆんゆんとセックスできるだろうけど……。

 

「そしたら俺らがジハードと一緒に寝れねぇじゃん。ゆんゆんとセックスとジハードと添い寝だったら、俺はジハードと添い寝を選ぶぞ。多分ゆんゆんだって同じだ」

 

 俺もあいつもジハード溺愛してるからな。

 

「汝らは本当に面倒くさいな!」

 

 俺もそう思う。

 

「はぁ…………夜がダメなら朝や昼はどうだ?」

「朝はゆんゆんが頭のおかしい爆裂娘に付き合ってエンシェントドラゴンのところだろ? 昼は普通に冒険に行ってクエストやってるし」

 

 朝昼晩と隙がない。

 

「…………冒険を休む日もあるだろう。その時にするしかあるまい」

「あ、それも無理だ。休日はジハードとミネアの身体の掃除で忙しいんだよ」

 

 ミネアってのは俺と契約してるもう一頭のドラゴン。ジハードが娘ならミネアは俺の相棒だ。

 

「…………、流石に休日をそれだけで潰すわけじゃあるまい」

「まぁ、掃除が終わったらゆんゆんと一緒に街を散策してるな。……もちろんジハードも一緒に」

「その時間を潰して子作りをするというのは…………」

「正直嫌だなぁ…………あの時間、俺結構好きなんだよ」

 

 ゆんゆんをからかったり、ゆんゆんに怒られたり、ゆんゆんと喧嘩したりする……デートって言うには色気なんて全然ないあの時間が俺は好きだ。

 

「汝たちは本当に面倒だな」

「……全くだ」

 

 そう言いながら仮面の下で小さな笑みを浮かべている旦那に、俺も似たような笑みを浮かべて返す。

 

「てわけで旦那。そういった感じなんだがいい方法ねぇかな?」

 

 流石の旦那でもどうしようもないかね。

 

「ないわけではないな。どこぞの駄女神に知られたら煩そうな方法ではあるが」

「アクアのねーちゃんに?……まさか悪魔と契約結ぶとかじゃねぇよな?」

「契約など必要ない。必要ないが……契約よりもあの駄女神が知ったら怒るやも知れぬな」

「…………、結局、その方法ってなんなんだ?」

 

 悪魔と契約することより女神が怒ること……? ダメだ、全然想像がつかねぇ。

 

 

「ダストよ。あのぼっち娘とエロいことをしまくりたいのなら『地獄』へと行くがよい。そうすれば汝の悩みは全て解決するだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 カランカランという小さな鐘の音。

 

「すみません、今日はもう閉店で……って、ゆんゆんさんにダストさんじゃないですか。ジハードちゃんも連れてこんな時間にどうしたんですか?」

 

 その音とともに入ってきた俺達にウィズさんは箒の手を止めて不思議そうな顔をしている。

 

「ウィズさん夜分にすみません。バニルの旦那いますか?」

「バニルさんですか? なにか奥のほうで魔法陣を描いてましたね。呼んできましょうか?」

「お願いします」

 

 頷いてウィズさんは店の奥へと入っていく。

 

 

 旦那に相談してから初めての休みの日。俺はゆんゆんとジハードを連れてウィズ魔道具店へとやってきていた。

 旦那に言われたゆんゆんとエロい事しまくるための解決策を実行するために。

 

 

「ダストさんってウィズさんには微妙に言葉遣い丁寧になりますよね。ルナさんへの態度見る限り年上の女性だからってわけじゃないみたいですけど。……もしかして浮気ですか?」

「その場合はお前のほうが浮気相手ってことになるがいいか?……別に大した意味はねぇから心配すんな」

 

 俺のウィズさんへの態度に思うところがあったのか、訝しげに聞いてくるゆんゆんに俺はそう返す。

 

「まぁ、ダストさんって自分が認めた相手だと態度が軟化しますもんね。バニルさんとかカズマさんとか。その上で年上の向こうが丁寧語使ってるからとかそんな感じでしょうか」

「……分かってんなら浮気とか言うんじゃねぇよ」

 

 ゆんゆんの解釈に付け加えるなら、ウィズさんが恐らくは俺の命の恩人の一人だからってことくらいだ。

 …………、本当こいつ、俺に対する理解度がリーン並になってるな。それだけ俺が分かりやすいのか、それだけの時間が流れたか。

 ……多分両方だな。

 

「ごめんなさい。嫉妬する彼女ってのをやってみたかったんです。ダストさんを好きになる物好きなんて私以外に二人もいるとは思えないですから、機会がなさそうですし」

「なぁ、それ謝ってないよな? 明らかに喧嘩売ってるよな?」

「売ってないですよ? 事実を言っただけです」

「じ、事実じゃねぇよ! これでもライン時代は結構モテてたんだぞ!」

 

 一応、最年少でドラゴンナイトになったと評判だったんだ。あの頃の俺はミネアの世話や槍の特訓に時間費やしてて色恋沙汰は二の次だったから実際に付き合ったりはなかったが。

 …………、今思えばもったいないことしてたなぁ。

 

「つい最近まで童貞だった人が何を言ってるんですか。それに昔は昔、今は今です。今のダストさんはドラゴンいなければただのチンピラじゃないですか」

「上等だよこの毒舌ぼっちが! 表出ろ!」

 

 いくら事実でも言っちゃいけないことあるんだぞ。

 

「ぼ、ぼっちじゃないですよ! 今の私はめぐみんより友達多いんですから!」

「ハッ、ぼっちがちょっとマシなぼっちになっただけじゃねぇか」

「鼻で笑った! いいですよ、口の減らないチンピラさんの喧嘩買ってあげます!」

「喧嘩売ってきたのはそっちだろうが。今日こそはお前に土の味を覚えさせてやんよ」

「その台詞何度目ですかね。私がドラゴンいないただのチンピラさんに負けるはずないってこといい加減理解すればいいのに」

 

 魔道具店を出て行く俺に呆れ顔のゆんゆんがそんなことを言ってついてきた。

 

 

 

 

 

「……で? トカゲ娘よ、汝のご主人様二人はどこにいったのだ? いや、あれだけ騒いでいれば聞かなくても分かるのだが」

「そと」

「……あの二人は付き合い始めても出会った頃と変わらない喧嘩をするのか」

「でも、ゆんゆんさんとダストさんらしいですよね。……正直、少しだけ羨ましいです。ゆんゆんさんは私にはあんなに自分勝手でいてくれませんから」

 

 

 

 

「ちくしょう……あともう少しでゆんゆんに勝てたってのに……槍のほうが先に折れちまうとは」

 

 カランカランとまた音を立てて俺はウィズ魔道具店へと入っていく。

 

「ダストさんって槍使って戦うだけでも結構強いですよね。出会った頃の私だったらドラゴンいなくても負けてたかも。……あ、一応言っときますけど全然もう少しじゃないですからね? 私余力凄い残してますからね」

 

 不機嫌な俺とは対照的にすっきりした顔で俺のあとをついてくるゆんゆん。

 ……出会った頃だと俺の槍の腕も大分訛ってるから勝てないだろうけどな。で、俺が槍の特訓やり直してる間もこいつはレベル上げまくってて…………ドラゴンいないとこいつに勝てる時期ねぇな。それこそ俺がライン=シェイカー時代じゃねぇと。でも俺が13の時ってこいつ9歳で…………中級魔法すら使えない相手に勝っても嬉しくもなんともねぇ。

 

「まぁいい……次は勝つからな」

「いい加減懲りたら良いのに…………まぁ、負けないですから別にいいですけど」

 

 男として女に負けたまんまじゃプライドが許さねぇんだよ。

 

「……汝らは、何のためにここに来たか分かっておるのか?」

 

 仮面を被ってても分かる呆れ顔でバニルの旦那。

 

「おう。ゆんゆんとエロいことするために地獄に行くんだよな」

「ダストさん、ハーちゃんがいるところでエッチな話はしないでくださいよ。ハーちゃんが将来女の人に『発情中の淫乱なメスめ』とか言っちゃう子になったらどうするんですか」

 

 ……それは困るな。気をつけるか。

 

「分かってて喧嘩とは。汝らには雰囲気を大事にする気はないのか」

「雰囲気つってもなぁ……事前にいくら盛り上げても俺らじゃ台無しになる可能性高いし。やってるうちに盛り上がるから良いだろ」

 

 てことを初体験の時にしみじみ実感した。

 

「ダストさんって雰囲気壊すの得意ですもんね。空気よめないとも言えますけど」

「おう、それはこっちの台詞だっての」

 

 あの場面でオナニー三昧だったって告白とか。わりとドン引きだったからな。

 

「…………、汝らは本当に付き合っているのか……?」

「? なにを疑ってんだよ旦那」

 

 俺とゆんゆんが付き合ってるからこうしてここに来てるってのに。

 

「たしかに私がダストさんっと付き合ってるって信じられないのは仕方ないですけど……でも、実際に見たら分からないですか? 結構ダストさん私にデレデレしてると思うんですけど」

「あん? 俺はデレデレなんてしてねぇよ。してんのはお前のほうだろうが」

「……全く分からん」

 

 バニルの旦那は頭痛に耐えるように仮面を手で抑える。

 

「ゆんゆんさん、ダストさん。仕方ありませんよ。バニルさんは見通す力が使えないと色恋沙汰は全然ダメダメですからね」

「出会いがほしいと常日頃泣いている行き遅れ店主にだけは言われたくないわ!…………もういい、汝らはさっさと地獄に行くが良い」

 

 付き合いきれないとバニルの旦那は俺らを店の奥へと進ませる。

 

 

「はぇー……なんかすげぇ禍々しい魔法陣だな。これで地獄に跳べるのか」

 

 そうして入っていった店の奥。バニルの旦那に案内された一室には俺の身長と同じくらいの直径の魔法陣があった。

 

「ダストさん。なんかアホっぽいんで口開けて驚くのはやめてください。……逆五芒星を中心にした魔法陣だってのは分かりますけど、いろいろ混ざりすぎて訳が分からなくなってますね。立体交差までされてるなら私にはお手上げです」

 

 さすがは本職の魔法使い。俺とは違って少しはこれがどんなものか分かるらしい。

 

「悪魔の本拠地へと跳ぶ魔法陣を簡単に理解されてたまるか。……まぁ、理解しても悪魔の魔力がなければ発動せぬゆえ、裏切り者の悪魔でもいなければ問題はないが」

 

 そりゃそうだよな。この魔方陣が誰でも使えたら天敵の神々に簡単に攻められるってことだもんな。

 

「……まぁ、その裏切り者が悪魔や神の中から出るから神魔の大戦が起こるわけだが」

 

 ダメじゃねえか。

 

「その辺りの話は気になるけどとりあえず置いといて……。旦那、確認するけど本当に地獄ってのはこの世界より時間の流れが速いのか?」

 

 子作りする時間がないと悩む俺達に、バニルの旦那が出した解決策が本当に大丈夫なのか俺は確認する。

 

「うむ。地獄で一日を過ごしてもこっちでは一時間程しか経過せぬ。汝らの悩みを解決するにはぴったりであろう」

 

 時間がないなら時間を増やせばいいじゃない。解決策としては力技すぎるが、確かにこれなら子作りする時間を作れる。

 

「でもバニルさん、時間は作れても向こうでまともに子作りする場所なんてあるんですか? 私、地獄のイメージって荒れ果てた荒野でジメジメしてる感じなんですけど」

 

 ……俺もそんなイメージだな。

 

「領地によっては確かにそんな場所もあるが……今から飛ばすのは我輩の領地である。ちゃんとした街があるし、領民にはサキュバス達がいて店を出している。ありとあらゆる世界にもあの場所より子作りするのに優れた場所はあるまい」

 

 本場のサキュバス達の店? なにそれ想像するだけでエロいんだけど。

 

「ダストさん? 言っときますけどエッチなことするのは私にですからね? サキュバスさんたちの誘いに乗っちゃダメですよ」

「分かってるよ」

 

 だが、ドラゴンを連れてない俺じゃサキュバス達の誘惑に耐えることは難しいだろう。たとえサキュバスのおねーさんとエロいことしちゃっても俺は悪く無い。

 

「…………。まぁ、ダストさんを狙うサキュバスさんがいたら私が退治すればいっか」

 

 ……サキュバスのおねーさんとの一夜の間違いが起こることはなさそうだ。

 

「そもそもカリスマ溢れる我輩の領民がそんな野盗のようなことをするはずなかろう。我輩の領地はこの街より平和である」

 

 ……地獄ってなんだっけ? いや、バニルの旦那の領地って言われたら確かに納得するんだけど。

 

 

「うっし……それじゃ、行くか。……ウィズさん、すみません。俺らが帰ってくるまでジハードのこと預かっててくれますか?」

 

 地獄に行こうとする俺らだが、流石にジハードは一緒に連れていけない。信頼できる人に預けないといけなかった。

 

「ジハードちゃんをですか? もちろんいいですよ。ジハードちゃんとは卵の時からの付き合いですからね」

 

 快く引き受けてくれるウィズさん。断られるとは思ってなかったがもしも断られたらアクアのねーちゃんに預けないといけなかったから良かった。

 ……別にアクアのねーちゃんが嫌いとかはねぇけど、ジハードの教育的にはあれだからな。

 

「ほら、ジハード。ウィズおねーちゃんと一緒にお利口に待っててくれよ?」

 

 少しだけジハードの背中を押してウィズさんの所に行かせる。

 トトトと可愛い足音を立ててウィズさんのところに行ったジハードは、

 

「うぃずおねーちゃん、あそんでくれる?」

 

 世界一かわいい笑顔でそんなことを言った。

 

「…………………………。バニルさん! 私達もドラゴンを飼いましょう!」

「ええい、トカゲ風情に骨抜きにされるでないわ! そもそもドラゴンがいくらするか知っているのか。卵や幼竜であっても億はくだらないのだぞ!」

 

 ドラゴンの素晴らしさを理解したウィズさんにバニルの旦那は連れないことを言う。

 

「だったらダンジョンに潜って卵を取ってきましょう。私達ならきっと余裕ですよ」

 

 ……まぁ、俺でも出来たことだし、バニルの旦那の見通す力があれば余裕だろうな。

 

「ドラゴンの卵など手に入れたら売り払うに決まっておるだろう」

「バニルさんは鬼ですか!? こんなに可愛い子の卵を売り払うなんて!」

「鬼ではなく悪魔なのだが。……というか、そのトカゲ娘が可愛く見えるのはチンピラ冒険者が人化させているからで、普通は可愛げのない竜の姿であろう」

 

 ドラゴンの可愛さがわからないとか旦那は分かってないなぁ。たとえ竜化しててもジハードは可愛いし、その上かっこいいっての。

 

「……ダストさん? そろそろ行きませんか? バニルさんとウィズさんってあんな感じで言い争い始めたら長いですよ?」

 

 クイクイっと俺の袖を引っ張ってゆんゆん。

 

「…………そうだな」

 

 本当はウィズさんに協力してバニルの旦那を説得したいところだけど、本来の目的を忘れれる訳にはいかない。

 

「旦那、そろそろ俺らは行くぜ」

 

 変わらずウィズさんと言い争いを続ける旦那に俺はそう声をかける。

 

「む……そうか。魔法陣には魔力を通してるゆえ後は上に乗るだけでよい。──だから、ダンジョンの建築資金を貯めるまではそんな余裕はないと言っておるだろうが」

 

 ウィズさん、頑張ってくれ。俺はウィズさん応援してるぞ。是非ともバニルの旦那にドラゴンの素晴らしさを分からしてくれ。

 

 ジハードの頭を撫でた後、言い争う二人に軽く会釈をして俺とゆんゆんは魔法陣の上へと乗って行く。

 

「──っと、そうであった。ダストよ、この手紙を持って行くがよい。魔法陣の間の門番にそれを渡せばいろいろと便宜を図ってくれるだろう」

 

 魔法陣が光を放ち始め、転移が始まるという所でバニルの旦那は封書を渡してくる。

 

「何から何まで悪いな、旦那。恩に着るぜ」

「なに、今回はゆんゆんに相談料を払ってもらっておる。契約の範囲内ゆえ気にすることはない。……まぁ、汝が恩を感じるというならきちんと子作りしてくるがよい。それが何よりも我輩への恩返しとなる」

 

 そうして魔法陣が発動して俺とゆんゆんは地獄へと転移した。

 

 

 

 

 

「ここが地獄なのか? 建物の中だからよく分かんねぇな」

 

 魔法陣で跳んできた場所はアクセルの街にもありそうな普通の部屋だった。ただそれなりに大きな部屋には魔法陣一つしかない。ここがバニルの旦那が言ってた魔法陣の間だろうか。

 

「……って、ゆんゆん? お前何してんだよ」

 

 魔法陣を調べるように……というか明らかに魔法陣に魔力を通してる様子のゆんゆんに俺は聞く。

 

「何をしてるんですかダストさん。早く帰りますよ」

「…………は? 帰るって何でだよ?」

 

 来たばっかりで何もしてないんだが。

 

「何でも何も、バニルさんが私の名前呼んだんですよ!? 聞き間違いじゃないか早く確認しないと!」

 

 ………………あー…………うん。

 

「やっぱ、旦那。俺らは雰囲気とか作っても無駄だわ」

 

 帰りたがるゆんゆんを説得するのに苦労する俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダスト様とゆんゆん様ですね。私はこの店の責任者をやっております、リリスと申します。以後お見知り置きを」

 

 魔法陣の間の門番に案内され連れてこさせられた店。バニルの旦那に指定されたらしい、その見るからに淫靡な店の店主は俺とゆんゆんに恭しく頭を下げ挨拶をする。

 

「門番の時も思ったんだけどよ……上位者である悪魔が人間にそこまでへりくだるって一体全体旦那の手紙にはなんて書かれてたんだよ」

 

 最初『悪あがきは済んだか愚かなる人間よ』とか脅してきた門番がバニルの旦那の手紙を見せた途端いきなりこっちを様付けしてこの店まで案内してくれた。正直様変わりしすぎで不気味なレベルだった。

 

「特には。あなた方を丁重にもてなすようにとのことと、ダスト様がバニル様を打倒しうるドラゴン使いであるということが書かれているだけです」

「……そんだけで、そんなにへりくだるもんなのか?」

 

 もっとバニルの旦那が脅しかけてるかと思ってたんだが。

 

「この街の住人にとってそれだけバニル様の命は重いということです。そして悪魔の流儀として自らより強いものには従う……バニル様の認める実力者であるダスト様には従います」

「んー……つっても、今の俺らじゃどうやってもあんたには敵いそうにないんだが」

 

 このリリスとかいう悪魔……サキュバスかその上位の夢魔なんだろうが、対峙してるだけで魔王軍幹部クラスの実力があるのが分かる。恐らくはウィズさんと同等の強さだろう。ドラゴンがいない俺じゃ役立たずだしゆんゆんだけじゃ勝つのは厳しい。

 

「大切なのは『本気』の強さではなく『本領』での強さなのです。ましてやダスト様はドラゴン使い……幾度も辛酸を嘗めさせられた相手を侮ることなどどうしてできましょう。正直安堵すらしているのです。バニル様すら認めるドラゴン使いがドラゴンを連れて来なかったことを。連れてこられれば、弱き者が集まるこの街は阿鼻叫喚だったでしょう」

「『弱き者が集まる』?」

 

 って、どういう意味だろう。

 

「……ダスト様はこの街を見られて何か違和感を感じられませんでしたか?」

「んー…………旦那に聞いてたとはいえ平和すぎるなとは思ったな」

 

 悪魔の流儀は言うならば弱肉強食だ。強いものが弱いものから搾取する。そんな流儀が常識のように存在する地獄という世界でここまで平和な街が存在するんだろうか。旦那の治める街だと考えればそこまで違和感はないが、実際に目にしてよくよく考えれば不思議に思う。

 

「この街が何故平和なのか……それはこの街にいる者達は皆バニル様の庇護を求めやってきたからです。弱肉強食……搾取し搾取されることに疲れた者たちがただ一人の強者に支配されることを望んで」

 

 弱き者ってそういう意味か…………ようは強さはともかく悪魔として欲望のままに生きることが出来ない奴らがこの街には集まってるってことだろう。

 

「地獄においてこの街ほど文化が発展した所はありません。搾取し搾取されるのが普通の他の領地では文化が発展するはずもなく、住居すらまともにない街もあります」

 

 俺やゆんゆんが想像していた荒野のような所が地獄ではやっぱ普通なのか。それに対してこの街は本当に平和だし、文化のレベルも正直アクセルと同じかそれ以上には高度だ。

 

「そういうわけで、ダスト様とゆんゆん様の求める性の文化がこの店では廃らずに発展し続けているのです。地獄はありとあらゆる世界と繋がっておりますから、流れてきた性の文化がここに根付き、独自の進化も遂げております。……どんなに歪んだ性癖であろうとも満たすことが出来ましょう」

 

 ……割りとシリアスな話だと思ったら結論はそれかー。いやまぁ、そのために来てるんだしすげぇありがたいんだがな。

 

 

 

「ところでダスト様、ゆんゆん様。私からも一つ質問してもよろしいでしょうか?」

「おう、なんでも聞いてくれ。綺麗なねーちゃんの質問なら何でも答えてやるさ」

 

 リリスさんの言葉に俺は胸を張ってそう言う。

 

「………………………………ダストさんの浮気者」

 

 そんな俺の後ろにいるゆんゆんが小さく恨み言を言ってるがスルー。文句あるならちゃんとお前も前に出て話しやがれ。存在感皆無すぎているのかどうか分からないレベルだぞ。

 

「その……失礼な質問かもしれないのですが、お二人の名前は本名なのでしょうか?」

「おう、よく分かったな。俺の名前は偽名だぜ」

 

「よかった。そうですよね。流石に『ダスト』や『ゆんゆん』みたいな変な名前が本名なんてことないですよね。偽名とか愛称に決まってますよね。馬鹿なことを聞いてしまいました」

「全くだ。そんな変な名前が本名なんてことありえねぇよ」

「っ! っ! っ!」

 

 おう、ゆんゆん。だから文句あるなら前に出て自分で喋れ。無言で俺の膝裏蹴ってんじゃねぇよ。

 

「お二人は本当に仲がよろしいのですね。…………少し嫉妬してしまいます」

 

 ……………………ふむ。

 

「おい、ゆんゆんどうしよう。俺モテ期かもしれねぇ」

 

 初対面の女性(?)にこんなに好感触なのダストになってからじゃ初めてなんだが。

 

「っぅ~~~~~~~~!!!」

「だから文句あるなら自分でちゃんと喋れって! 無言でポカポカしてくんじゃねぇよ!」

 

 地味に背中がいてぇから。

 

 

 

「……ったく、落ち着いたか? ゆんゆん」

 

 ポカポカ叩くのが止んだ所で俺はゆんゆんに向き直ってそう聞く。

 

「…………はい」

 

 まだなんか不服そうな、あるいは不安そうな表情でゆんゆんは小さく頷く。

 

「ん……だったら、お前は先に部屋行ってろ。俺はリリスさんにちょっと話があるからよ」

「………………話って、何の話ですか?」

「今ここでゆんゆんと一緒だと話せないことだよ。……ほら、さっさと部屋にいけ」

 

 そう言って俺は不安そうにしているゆんゆんの背中を部屋の方へと押す。

 

「ゆんゆん様。部屋にはお風呂を用意してありますので、先に入っていてはいかがでしょうか」

 

 リリスさんもそう言ってゆんゆんを部屋の方へと促す。

 

「……ダストさん、大丈夫ですよね…………?」

「おう、大丈夫だ。お前が心配してることは全部なくしてくるからよ」

「ぁ…………。ダストさん、私、身奇麗にして待ってますから」

 

 そうしてゆんゆんは店員のサキュバスに誘導されて部屋へと向かっていった。

 

「ゆんゆん様は、ダスト様が私と浮気をしないか心配しているんでしょうか。可愛い彼女さんですね」

 

 ゆんゆんがいなくなった所でリリスさんは妖艶な笑みを浮かべて言う。

 

「ん? いや、そんなことはねぇよ」

「あら、ダスト様は冷たい方ですね。ゆんゆん様の嫉妬は可愛い物じゃないですか」

 

 ……否定したのはそっちじゃねぇんだけどな。まぁ、どうでもいいか。

 

「それより、リリスさん。俺に……俺だけに言いたいことがあるんじゃねぇのか?」

「よくお気づきになられましたね。折を見て話そうと思っていたのですが」

「ま……あんたの目を見とけばな」

 

 伊達にバニルの旦那を始めとした悪魔と長く触れ合ってるわけじゃない。悪魔って存在がどんなものかくらい俺だって知ってる。

 

「…………。ダスト様に提案があるのです。ただ単に部屋を貸すというだけでもいいのかもしれませんが、私は夢魔です。もっとダスト様のお役に立てる方法があります」

「ふーん……それは?」

「私はあらゆる世界のあらゆる性知識を持っています。夢魔である私ならその知識を夢の中でダスト様に教えることが出来るのです。一晩眠れば私の性知識をダスト様に全てお教えすることが出来ましょう」

「なるほど。そりゃいいな。頼むわ」

 

 正直俺の性知識は俺の歪んだ性癖に対してみれば心許ない。今のままじゃ俺の性癖が満足するのに時間がかかるとは思っていた。

 

「…………で? 本題をさっさと言ってくれねぇか?」

 

まぁ、前置きの話は俺に得があるし受けることにしよう。問題はこの後に来る本題だ。

 

「……ゆんゆん様にも同様に夢の中で性の知識をお教えすることが出来ます。人間の娼婦顔負けの男に奉仕する技術を一晩で身につけることが出来るでしょう」

「……本当にそれだけか?」

 

 だったら何も心配することはなかったってことになるが。

 

「…………、ダスト様が望むなら、あの娘を貴方様の性奴隷にすることも出来ます。あなたに奉仕することだけに喜びを覚える…………あの娘にはその素質があります」

「はっ……そんなこと言って実際はゆんゆんをお前らの手駒にするつもりなんだろ? で、ゆんゆんを使って俺を籠絡する。……それがサキュバスの『本領』だもんな」

 

 旦那に丁重にもてなせと手紙で言われた以上、俺達に無理やりどうこうするというのは出来ない。悪魔は上位者に対して絶対服従なのだから。

 だが丁(・)重(・)に(・)も(・)て(・)な(・)し(・)て(・)る(・)中で何をしようともそれは勝手だ。

 

「あんたはこの街が『弱き者が集まる』所って言ったよな。バニルの旦那っていう絶対的強者に従うことを選んだ街だって。そのことに嘘はないんだろう。実際バニルの旦那に支配されてる悪魔同士で争いはないように見える。……でも、それは別にこの街にいる奴らが搾取する側にないってことじゃねぇよな」

 

 門番が俺らに最初にした態度、そしてリリスがゆんゆんに向けていた『捕食者』の目。それを考えれば自然と答えは出る。

 

 悪魔の流儀は弱肉強食。それは悪魔の常識であり、同時に本能だ。その上でこの街が平和なのは『人間』という搾取されるだけの絶対的弱者がいるからだろう。

 悪魔との契約を破った人間は時にその対価として地獄に連れて行かれるという。そんな愚かな『人間』を搾取することでこの街の悪魔たちは強者としての本能を潤し、仮初の平和を形作ってると考えれば全てに説明がつく。

 門番の悪魔が最初偉そうだったのは、俺らが契約を破り地獄に連行された人間だと思ったからだ。

 

「……だとすればダスト様はどうすると? 搾取する私達を断罪するとでも?」

「んなことはしねぇよ。俺はどっかのまな板曰く自分の得にならなきゃ目の前で小さな女の子が溺れてても素通りする男だからな」

 

 流石にそこまで酷くはねぇけど、悪魔と契約結んでその対価も払わないような馬鹿を助けるほど正義の味方になった覚えもない。

 

「だから俺が言っときたいことは一つだけだ。ゆんゆんに……俺の女に手を出すな。あいつに変なことしやがったら例えバニルの旦那を敵に回してでもお前らを殺す」

 

 あいつを変えていいのはあいつを大事に思ってる奴らだけだ。

 

「…………、ダスト様は何故そこまで強気でいられるのです? 確かに私はあなたを侮ることはしません。だからこそ、あなたへ手を出すのはゆんゆん様を籠絡してからにしようと思ったのですから」

 

 だろうな。ゆんゆんに向ける視線と違って俺への視線には恐怖が混じってた。それだけドラゴンとドラゴン使いたちが悪魔たちにトラウマを植え付けてんだろう。

 

「ですが、ドラゴンのいないダスト様であれば、私は誘惑し籠絡することは容易です。……私たちのことをそこまで見抜いたあなたであればそれくらい分からないはずもないでしょう?」

「そうだな。誘惑されたら俺は抗えずエロいことしちまうだろう。……だが、俺を籠絡しようってんなら俺はドラゴン呼ぶぞ?」

 

 エロいことだけならしたいけど、操られるってんなら抵抗する。

 …………同じ轍を踏んであいつを泣かせるなんて絶対嫌だからな。

 

「ドラゴンを呼ぶ? ご冗談を。魔法陣から来たのはお二人だけです」

「そうだな。だから元の世界から地獄に呼ぶんだよ」

「いかに才能のあるドラゴン使いでも時空を超えてドラゴンとの繋がりを保つことなど不可能です。呼べるはずがありません」

 

 確かに地獄に来てからジハードやミネアとの繋がりはなくなっている。リリスの言う通りこの状態ではあいつらを呼ぶことは不可能だろう。

 

 だから呼ぶのはあいつら以外のドラゴンだ。

 

「そうでもないぜ? 契約したドラゴンが自ら時空を超える力を持ってたり、上位神や公爵級の大悪魔並の魔力を持ってたら呼ぶことくらいならできる」

「公爵級の大悪魔並の魔力を持ったドラゴン……?………………まさか!?」

 

 目を見開き驚くリリス。どうやら俺が持ってる切り札が何か分かったらしい。

 

「……というわけだ。ゆんゆんに手を出さないでくれよ。そしたら俺は別にあんたらに敵対する気はねぇからよ」

 

 俺だってバニルの旦那の庇護下にある悪魔と事を構える気はさらさらない。

 

「……はい。心得ました。なぜ、バニル様があなたを気に入ったのか分かる気がします。私程度では力はもちろん知力でも勝てそうにありません」

 

 俺をアホだ馬鹿だというリーンやキースにこの言葉を聞かせてやりたい。……いやまぁ普段の俺が馬鹿な行動してんのは認めるけど。バニルの旦那にだって俺は頭の回転は悪く無いって評価されてんだからな。

 ……同時に間抜けだとも言われてるけど。

 

「つっても、リリスさんも本気で俺らをどうこうするつもりはなかったろ? ここは地獄で悪魔の領域だ。その気になればもっと悪辣な手を用意できるだろうし」

 

 言うなれば生ぬるい。バニルの旦那の手紙があるから直接的には出来ることは少ないにしても間接的ならいくらでも選択肢がある。

 

「リリスと呼び捨てでいいですよダスト様。…………確かに試していた面がないと言えば嘘になります。バニル様のお気に入りとのことでしたから興味がありましたので」

「んじゃ、リリスで。……で、もしもこの程度の誘いに乗って騙されてたら」

「もちろん、バニル様に相応しくないと判断して私達の餌にしていました」

 

 そうなると。おい、旦那。どこが平和な街なんだよ。

 

 

 

「そういや、夢で性知識を教える話だけどよ。さっきも言った通りそっちは頼むわ。多分ここって俺の知らない道具とかたくさんあるだろうから困りそうだし」

 

 そうじゃなくてもサキュバスのエロ知識はいろいろ役に立ちそうだからな。

 

「承りました。私の持てる知識を全てダスト様に。一度眠ってもらわなければいけませんから、今日の行為が終わった後になりますが」

「頼むぜ。一応確認するが変なことは……」

「しませんよ。あなたの『切り札』を知って変なことをする悪魔など七大悪魔……公爵級悪魔の方々でもいるかどうか」

「ならいいけど」

 

 悪魔という存在は基本的に嘘をつかない。しないと言ってるのだからそれは信じていいだろう。

 

「とにかく…………これで俺とゆんゆんのエロエロな生活が始まるわけだな」

 

 今日はノーマルプレイだが、リリスの知識を手に入れたらアブノーマルなプレイもいくらでもできる。

 

「ダスト様は本当に欲望に正直に生きておられますね。その強さも含めて悪魔として尊敬せざるを得ません」

「おう、リリスとしては褒めてんだろうが全然褒められてる気がしないからやめてくれ」

 

 というか、悪魔に尊敬される人間ってダメ過ぎなんじゃ…………。

 褒めらているはずなのに微妙な気持ちになる俺だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。