鉄郎が見た神使と人間女性の交わり

悩める人間だけで泣く、神使にも神はいるのかと迷う鉄郎

自サイトとpixivにマルチ投稿していますが。
部分的に手直し、削ったりしてあります。

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少し大人事情のエロが入っています。


ぎんぎつね 悩める神使 

あなたは神使で私は人間だもの、そんなことは分かっていた、最初からわかっていたことだった、だが、離れたくなかっただけのことだ。

 捨てられる、自分は取り残されると思っていた方が楽だったのかもしれない、苛立ちと焦燥間にさいなまされた日々から抜け出せたわけではないが、今は少しだけマシになった気がすると鉄郎は思っていた。

 そう、思っていただけかもしれない。

 

 

 「俺を見てた女がいた」

 人混みの中、神使である自分の姿が見える人間はほとんどいない。

 だが、たまにだか、ごくわずかに、そういう人間がいる、気になるのねと十子の言葉に、いいやと鉄郎は答えた。

 行って確かめてきたらと言われて、めんどくせえと返事をしながらも気になってしまう自分がいた。

 それがだ、会うことはないだろうと思っていたのに、また偶然に出会ってしまった。

 だが、一人ではない、そばには狐がいた、それも金色の狐、神使だとわかった。

 

 

 「夕飯、きつねうどんにしましょうか」

 「なんでもいい」

 「また、せっかく一緒に食べるんだから、そういう言い方はねえ」

 離れていたが、二人の会話はよく聞こえた。

 まるで、人間のようなと思いながら、気づかれないように後をつけていった。

 後になって後悔することになるのだが、このときの彼には、まだ分からなかった。

 

 

 「美味しい」

 「ああ」

 「箸の使い方、上手になったわよね」

 「教えてくれたおかげだ」

 テーブルで向かい合い、うどんを食べる神使と人間の姿は普通なら、違和感を感じずにはいられないだろう、それなのに、この二人は、なんなんだろうと鉄郎は思った。

 感じるのは安定したような距離間と空気だ。

 

 「さあて、お腹いっぱい、風呂に入ろうかな」

 「早いな」

 「今日は疲れたから、色々と歩き回って」

 

 

 自分も、そろそろ帰ろう、そもそも何故、こんなにも気になるのか,正直、鉄太郎にはわからなかった。

 

 

 「一緒に、入るか」

 「狭いわよ、風呂」

 「かまわんさ」

 その会話に、帰ろうとした鉄郎だったが、もう少しと自分に言い聞かせた。

 

 

 しばらくして二人が風呂から出てきた、女は裸で、狐も白い神衣を脱いでいた。

 なんだ、どうして、狐は女の腰に手を回して、乳房をゆっくりと撫でていた。

 女はというと、うっとりとした顔で体を預けている。 

 それは人の行為ではないか。

 何故、神と人が交わる。

 それとも女は人ではないのだろうか、いいや、あり得ない。

 女は声を漏らしながら、狐の体に手を回して抱きついている。

 

 「久しぶりよね

 「時間はいくらでもある」

 「まさか、一晩中」

 驚いた声で女が聞き返した。

 「我慢していたからな、ずっと」

 「神様なのに」

 乳房の間に顔を埋めていた狐は顔を上げるとだからだと呟いた。

 「神だから我慢していた、人間の男ならそうはいかん」

 床の上に女を押し倒したまま、ゆっくりと腰を動かす狐から逃げるように女は体を動かしながら笑う。

 「布団を敷いたほうがよくない」

 「このまま、抱いたままでは嫌か」

 「そういうんじゃ」

 「濡れているんだ、どうしようもなく、おまえは」

 「濡れてるわ,同じくらい」

 

 あれは神使では、人間ではない、本来のあるべき姿ではない。

 これは見てはいけないものだ、そう思いながらも鉄郎は目を離すことができなかった。

 

 自分は人間の十子が好きだ、だからといって、あんな風に交わるというのは、いけないことではないか。

 

 

 あれから数日が過ぎた、狐と出会った。

 

 

 「あんなことして、いいと思っているのか」

 「神もある意味、人間だ、迷い泣くこともある、何かにすがりたいときもある」

 すがるだと、神使いが。

 「あの女が先に死ぬ、あんたは我慢できるのか」

 十子が死んだら自分は悲しい、この男は、あの女が死んだら悲しくはないのだろうか。

 そのことを考えたことはないのだろうか。

 狐が、じっと自分を見た。

 隠れているので、その顔が表情が、よく見えない。

 

 「苦しくないか、そんなことを考えて」

 

 見透かされたような気がした。

 「女を手放すことはないし、そのつもりもない」

 「どういうことだ」

 「もし、あの女が人間の男と結婚し子供を産み、歳をとっても、私はあの女から離れないと言っているのだ」

 そんなことは無理だ、許されるはずがない、神なら。

 いや、自分も神だというのに、何故か、否定するようなことを考えてしまう。

 

 「許すとか、いけないことだからと考えていては生きづらくなるのではないか、神は自分に取っ手の神がいるか」

 「あんたにとっての神ってなんだ」

 「彼女だ」

 

 迷いもなくそう言った狐が羨ましいとさえ思う。

 自分にとって十子は、彼女にとって自分はなんだろう。

 考えると胸が苦しくなる。

 

 「おまえは若い、ゆっくりと答えをさがせばいいのではないか」

 簡単に言ってくれる。

 人と神使の間にあるものなど、この狐にとっては、ただ邪魔なだけなのかもしれない。

 そして自分はというと、簡単に納得できない割り切れない。

 どうしようもない感情を持て余してしまう。

 こんなこと十子には言えない、話すこともできない。

 何年かたったら、十子を見送って、何十年、百年生きたら、そうしたら。

 自分は、この狐のようになれるのだろうか。

 そこに行き着くまでの道のりがどれくらいなのか知りたいと思いながら、あまりにも長すぎると思わずにはいられなかった。


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